説明

携帯用電子機器の支持装置

【課題】携帯用電子機器の取り外し作業の作業性を向上できる支持装置を提供する。
【解決手段】支持装置1には、台座2と、レバー機構3とが設けられる。台座2は、支持面部21上に配置された電子機器100を支持する支持位置と、押圧部23aの位置が下がるように動くことによって配置される取外し位置との間を移動可能に支持される。レバー機構3は、台座2の支持位置から取外し位置への移動時に、押圧部23aによって押されて下方に移動する被押圧アーム32と、被押圧アーム32の下方への移動に起因する支点部31の回転に連動して上方に移動し、台座2の支持面部21から突出する突出部40aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や携帯用ゲーム機、カメラなど、携帯用電子機器を支持し、充電等を行う支持装置に関し、特に、支持装置からの電子機器の取り外し作業の作業性を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話や携帯用ゲーム機など、携帯用電子機器を支持するとともに、当該電子機器と電気的に接続する支持装置が利用されている(例えば、特許文献1)。このような支持装置は、その上面に、電子機器のコネクタと接続するためのコネクタを有しており、電子機器の充電や、支持装置が接続される外部機器と電子機器との間でのデータの送受信が、コネクタを介して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−96883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の支持装置では、電子機器の支持装置からの取り外し作業が繁雑になる場合があった。例えば、支持装置のコネクタが電子機器のコネクタに強く差し込まれている場合には、電子機器が支持装置から分離し難い。このような場合、例えば、一方の手で支持装置を保持し、他方の手で電子機器を持ち上げるといった作業が利用者に必要とされ、円滑な取り外し作業が行われ難かった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、携帯用電子機器の取り外し作業の作業性を向上できる支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る支持装置は、携帯用電子機器が載置可能な支持面を有する台座と、前記台座の下方に配置されるレバー機構と、を備える。前記台座は、前記レバー機構を押圧するための押圧部を有し、前記支持面上に配置された前記電子機器を支持する第1の位置と、前記押圧部の位置が下がるように動くことによって配置される第2の位置との間を移動可能に支持される。前記レバー機構は、前記押圧部の下に配置され、前記台座の前記第1の位置から前記第2の位置への移動時に、前記押圧部によって押されて下方に移動する被押圧部と、回転可能に支持され、前記被押圧部の下方への移動に連動して回転する支点部と、前記支点部の回転に連動して上下動するよう設けられ、前記被押圧部の下方への移動に起因する前記支点部の回転に連動して上方に移動し、前記台座の前記支持面から突出する突出部と、を有する。
【0007】
本発明によれば、電子機器の支持装置からの取外しに際して、突出部によって電子機器が押し上げられるため、取外し作業の作業性を向上できる。例えば、支持装置のコネクタが電子機器のコネクタに強く差し込まれている場合であっても、これらのコネクタを容易に分離でき、容易に電子機器を支持装置から取り外すことができる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記押圧部は前記台座の前側に設けられ、前記台座は、当該台座の前側が下がるように動くことによって前記第2の位置に配置されてもよい。
【0009】
この態様によれば、台座を第1の位置から第2の位置に移動させることによって、第1の位置に配置される台座によって支持されている電子機器を前方に移動させることができる。その結果、取外し作業の作業性をさらに向上できる。
【0010】
また、この態様では、前記支持面から上方に突出するよう配置され、前方に傾斜可能に支持されたコネクタが設けられてもよい。こうすることによって、支持装置の利用者は、電子機器を斜め前方に持ち上げることによって電子機器を支持装置から取り外すことができるため、取外し作業の作業性をさらに向上できる。
【0011】
また、本発明の他の態様では、前記レバー機構は、上下動可能に配置され、上部に前記突出部を有するスライド部材を有する。また、前記レバー機構は、前記スライド部材を下方から支持するとともに、前記支点部の回転に連動して上方に移動して前記スライド部材を押し上げる支持部と、前記支点部と、前記被押圧部とが設けられたレバー部材を有する。そして、支持装置には、前記スライド部材の移動方向を案内するガイド部が設けられてもよい。
【0012】
この態様によれば、ガイド部がスライド部材を案内する方向に、電子機器を押し上げることができる。
【0013】
また、この態様では、前記ガイド部は、前記台座に設けられてもよい。これによって、台座に対するスライド部材の移動方向を一定にできる。
【0014】
また、この態様では、前記台座には、前記支持面から突出するよう配置されるコネクタが設けられ、前記ガイド部は、前記スライド部材が前記コネクタの突出方向に移動するよう当該スライド部材を案内してもよい。こうすることによって、電子機器の支持装置からの取外しに際して、電子機器のコネクタと支持装置のコネクタとを円滑に分離できる。
【0015】
また、この態様では、前記支持部は、前記支点部の半径方向に伸びるよう形成され、前記スライド部材は、前記支持部と当接する当接部を有してもよい。そして、前記ガイド部は、前記支点部を中心とした前記支持部の上方への移動時に、前記当接部が前記支持部上を当該支持部の先端に向かって移動するよう、前記スライド部材を支持してもよい。レバー部材の回転量に対するスライド部材の移動量は、支持部が、当該支点部寄りの位置でスライド部材を押し上げる場合に比べて、支持部の先端寄りの位置でスライド部材を押し上げる場合の方が大きい。そのため、当接部が支持部上を先端に向かって移動する構造によれば、支持部が、当該支点部よりの位置でのみスライド部材を押し上げる場合に比べて、スライド部材の移動距離を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る支持装置の斜視図である。
【図2】上記支持装置が有するレバー機構と、底板の分解斜視図である。
【図3】図1に示すIII−III線での断面図であり、台座が有する支持面部に対して垂直な切断面で支持装置を切断したときに得られる断面図である。
【図4】図3に示すIV−IV線での断面図である。
【図5】図4の断面図と同じ切断面で上記支持装置を切断したときに得られる断面図である。同図では、上記支持装置が有する台座が、図4に示す位置から回転した後の様子が示されている。
【図6】図3の拡大図であり、上記レバー機構が中心に示されている。
【図7】上記支持装置の断面図であり、同図では、台座が、図6に示す位置から回転した後の様子が示されている。
【図8】図3に示すVIII−VIII線での断面図である。
【図9】図3に示すIX−IX線での断面図である。
【図10】上記台座を斜め下方から臨んだときに得られる斜視図である。
【図11】上記レバー機構が有するレバー部材の側面図である。同図では、レバー部材とともに、台座及びスライド部材が二点鎖線で示されている。
【図12】上記レバー部材の動きを説明するための図である。同図(a−1)乃至(a−3)には上記レバー部材と上記台座とが示されている。同図(b−1)乃至(b−3)は、比較の対象とするレバー部材と上記台座とが示されている。
【図13】スライド部材とレバー部材の動きを説明するための図である。同図(a−1)乃至(a−3)では、上記レバー部材と上記スライド部材とが示されている。同図(b−1)乃至(b−3)では、比較の対象とするレバー部材と、上記スライド部材とが示されている。
【図14】上記台座を斜め下方から臨む斜視図であり、同図では、基板収容室を下方から閉じる下蓋が取り外された様子が示されている。
【図15】図8の断面図と同じ切断面で支持装置を切断することによって得られる断面図である。同図では、台座が取外し位置に配置され、コネクタが前方に傾斜している様子が示されている。
【図16】本発明の他の実施形態に係る支持装置の断面図である。同図(a)では、台座が支持位置に配置された支持装置が示され、同図(b)では、台座が取外し位置に配置された支持装置が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の例である支持装置1の斜視図である。図2は支持装置1が有するレバー機構3と、底板5の分解斜視図である。図3は図1に示すIII−III線での断面図であり、台座2が有する支持面部21に対して垂直な切断面で支持装置1を切断したときに得られる断面図である。図4は図3に示すIV−IV線での断面図である。図5は図4の断面図と同じ切断面で支持装置1を切断した時に得られる断面図であり、支持装置1が有する台座2が、図4に示す位置から回転した後の様子が示されている。図6は図3の拡大図であり、レバー機構3が中心に示されている。図7は、支持装置1の断面図であり、台座2が、図6に示す位置から回転した後の様子が示されている。図8は、図3に示すVIII−VIII線での断面図である。図9は図3に示すIX−IX線での断面図である。図10は台座2を斜め下方から臨んだ時に得られる斜視図である。
【0018】
図1又は図2に示すように、支持装置1は、携帯電話や携帯用ゲーム機などの電子機器100を立てた状態で支持する装置であり、電子機器100が載置可能な台座2を有している。また、支持装置1は、台座2の下方に配置される複数のレバー機構3を有している。各レバー機構3は、台座2に対して上下動可能なスライド部材40と、当該スライド部材40を上下動させるレバー部材30とを有している。この例では、支持装置1は2つのレバー機構3を有し、それらは左右方向に離れて配置されている。さらに、支持装置1は、レバー機構3を支持する底板5と、底板5を上方から覆うように配置され、レバー機構3を収容するハウジング6とを有している。
【0019】
図3、図4及び図10に示すように、台座2は、下方に開いた左右方向に長い概略箱状の部材であり、台座2の上面を構成し、電子機器100が載置可能な支持面部21と、支持面部21の縁において垂下する一対の側壁22,22と、前壁23と後壁24とを有している。底板5を覆うハウジング6には、台座2の形状に対応する、左右方向に長い開口6aが形成されている。台座2は、ハウジング6の開口6aの内側に配置されており、支持面部21は開口6aから露呈している。
【0020】
台座2は、レバー機構3を下方に押圧するための複数の押圧部23aを有している。押圧部23aは台座2の前側に位置している。この例では、押圧部23aは、前壁23の下縁23bに、下方に突出するように形成されている(図10参照)。なお、上述したように、レバー機構3は、左右に離れた2つの位置に配置されており、押圧部23aも、前壁23の下縁23bにおける互いに離れた2つの位置に設けられている。
【0021】
台座2は、支持面部21上に配置された電子機器100を支持する支持位置(図4で示される台座2の位置)と、押圧部23aの位置が下がるように動くことによって配置される取外し位置(図5で示される台座2の位置)との間を移動可能に支持されている。この例では、台座2は、当該台座2の前側の位置が上下動可能となるように支持されており、図4に示す支持位置から、台座2の前側の位置が下がることによって取外し位置に配置される。
【0022】
詳細には、図3又は図10に示すように、側壁22には、左右方向に突出し、底板5とハウジング6とによって回転可能に支持される軸部22aが形成されている。この例では、底板5の縁には、上方に立つ左右一対の支持壁51が形成され、支持壁51の上縁に、軸部22aの外径に対応した深さの凹部51aが形成されている(図2参照)。軸部22aは、この凹部51aの内側に配置されている。また、ハウジング6は、下方に伸び、支持壁51に沿って配置される側壁61を有し、側壁61に、支持壁51の上縁と上下方向に向き合う支持部61aが形成されている。支持部61aにおける凹部51aと対向する部分にも凹部が形成されており、軸部22aは、支持部61aの凹部と凹部51aとの間に配置され、回転可能に支持されている。
【0023】
図4に示すように、支持位置では、支持面部21の前側が後側に比べて高くなるように、台座2は斜めに配置される。そのため、台座2は、支持面部21上に配置される電子機器100を後方に傾斜させた状態で支持する。なお、ハウジング6は、台座2の後において斜めに立つ後壁62を有している。支持面部21上に配置される電子機器100は、この後壁62に寄り掛かるように配置される。
【0024】
軸部22aは、概ね側壁22の中央に位置しており、台座2は軸部22aを中心にして動くことによって取外し位置に配置される。すなわち、台座2は、当該台座2の前側の位置が下がるとともに後側の位置が上がるように回転することによって、取外し位置に配置される。図5に示すように、取外し位置では、支持装置1が配置される面に対して支持面部21が水平になるように、台座2は配置される。すなわち、取外し位置では、支持面部21は底板5と平行に配置される。
【0025】
なお、支持装置1の利用者は、支持面部21上に配置された電子機器100を動かすことによって、台座2を支持位置から取外し位置に移動させることができる。すなわち、台座2の支持面部21上に電子機器100が配置された状態では、支持面部21は電子機器100の下面に接している。また、支持装置1は、支持面部21から上方に突出するコネクタ71を有している。このコネクタ71は、電子機器100の下面に設けられたコネクタ(不図示)に差し込まれ、当該電子機器100のコネクタと接続している。そのため、利用者が支持面部21上に配置された電子機器100を前方に傾けると、台座2は、軸部22aを中心にして、その前側が下がるように動く。
【0026】
図4に示すように、底板5には、当該底板5から立ち上がる壁状に形成され、支持位置に配置される台座2に当接する後ストッパ52が設けられている。取外し位置から支持位置に向かう方向への台座2の回転時に、後ストッパ52の上面52aは、台座2の下縁に当接して、台座2の支持位置を越える回転を規制している。なお、この例では、底板5には、左右方向に離れて配置される3つの後ストッパ52が設けられている(図3参照)。また、上面52aは、当該上面52aの前縁の高さが後縁の高さより高くなるように傾斜しており、台座2が支持位置にある状態では、右側の後ストッパ52の上面52aと、左側の後ストッパ52の上面52aは、側壁22の下縁に沿っている。
【0027】
また、図5に示すように、底板5には、当該底板5から立ち上がる壁状に形成され、取外し位置に配置される台座2に当接する前ストッパ53が設けられている。支持位置から取外し位置に向かう方向への台座2の回転時に、前ストッパ53の上面53aは、台座2の下縁に当接して、台座2の取外し位置を越える回転を規制している。なお、この例では、後ストッパ52と同様に、左右方向に離れて配置される3つの前ストッパ53が設けられ(図2参照)、各前ストッパ53は後ストッパ52の前方に位置している。また、前ストッパ53の上面53aは、底板5と平行に設けられ、台座2が取外し位置にある状態では、右側の前ストッパ53の上面53aと、左側の前ストッパ53の上面53aは、側壁22の下縁に沿っている。また、これら左右の前ストッパ53の間に配置された前ストッパ53の上面53aは、台座2の前壁23の下縁23bに当接する。
【0028】
図9又は図10に示すように、支持装置1には、台座2を支持位置に留めるためのバネ29が設けられている。バネ29は、取外し位置から支持位置へ向かう方向(図9では反時計方向)に台座2を付勢している。そのため、台座2は、電子機器100等からの外力が作用していない状況では、バネ29の弾性力によって後ストッパ52に押し付けられ、支持位置に留まっている。この例では、バネ29は、トーションスプリングによって構成され、当該バネ29の一端29aは支持面部21の下面に設けられた取付部21aに差し込まれ、他端29bは底板5に当っている。また、台座2には、当該台座2の回転中心軸C1の方向に延伸する支持軸28aが設けられ、バネ29は支持軸28aに巻き付けられている。
【0029】
図3又は図8に示すように、支持装置1は、上述したコネクタ71と、当該コネクタ71が取り付けられる回路基板72とを有している。この例では、コネクタ71と回路基板72は、台座2とともに軸部22aを中心にして回転するように設けられている。すなわち、台座2には、支持面部21の下面側に位置する基板収容室28が設けられ、回路基板72は基板収容室28の内側で支持されている。なお、支持装置1は、底板5上に配置される回路基板(不図示)を有し、回路基板72は、例えば、FFC等の可撓性を有するケーブルを介して、底板5上の回路基板に接続される。
【0030】
回路基板72は、基板収容室28の内側で支持面部21と平行になるように配置されている。コネクタ71は、回路基板72に対して垂直に取り付けられている。また、コネクタ71は、支持面部21に対して垂直に設けられ、支持面部21に形成された開口21bから上方に突出している。すなわち、コネクタ71の挿入方向が、支持面部21に対して垂直となっている。そのため、図8に示すように、台座2が支持位置にある状態では、コネクタ71は後方に傾斜している。また、上述したように、台座2は、支持位置から、当該台座2の前側が下がるように回転することによって取外し位置に配置される。そのため、台座2が取外し位置にある状態でのコネクタ71の後方への傾きは、台座2が支持位置にある状態での傾きに比べて小さくなっている。特に、この例では、台座2が取外し位置に配置された状態では、コネクタ71は鉛直に配置される。なお、支持装置1では、コネクタ71と回路基板72は、台座2から独立してコネクタ71の前方への傾斜が可能となるように支持されている。コネクタ71等の支持構造については後において詳説する。
【0031】
基板収容室28は、支持面部21の下面側において左右方向に向き合う一対の内壁28bと、内壁28bに下方から取り付けられる下蓋28cとによって構成されている。下蓋28cは、内壁28b,28bにボルト79によって取り付けられ、基板収容室28を閉じている(図8又は図10参照)。バネ29を支持する支持軸28aは、内壁28bの側面に設けられている。
【0032】
レバー機構3について詳細に説明する。上述したように、レバー機構3はレバー部材30を有している。図11は、レバー部材30の側面図である。なお、同図では、レバー部材30とともに、台座2及びスライド部材40が二点鎖線で示されている。図2又は図4、図11に示すように、レバー部材30には、支点部31と、被押圧アーム32と、支持アーム33とが形成されている。支点部31は回転可能に支持され、レバー部材30は、支点部31の回転中心軸C2が台座2の回転中心軸C1と平行になるように配置されている。また、回転中心軸C2は、回転中心軸C1の下方であって、当該回転中心軸C1より前に位置している。
【0033】
底板5には、当該底板5から立ち上がり、左右方向に向き合う一対のレバー支持部54,54が形成されている。レバー部材30は、レバー支持部54,54の間に配置されている。支点部31は軸状であり、一対のレバー支持部54,54よって回転可能に支持されている。詳細には、レバー支持部54の上縁には支点部31の外径に対応した凹部が形成されており、支点部31は、レバー支持部54の凹部に嵌められ、支持されている。
【0034】
被押圧アーム32と支持アーム33は、支点部31から、当該支点部31の半径方向に伸びるよう設けられ、支点部31を中心にして上下動可能となっている。前後方向における被押圧アーム32の位置と、支持アーム33の位置は、支点部31を挟んで反対側に位置しており、支点部31を中心とする、被押圧アーム32と支持アーム33の上方又は下方への移動は、互いに逆向きとなる。すなわち、図4に示すように、前後方向における支持アーム33の位置は、支点部31より後であり、前後方向における被押圧アーム32の位置は支点部31より前である。そのため、被押圧アーム32が支点部31を中心にして下方に移動する場合には、支持アーム33は上方に移動する。反対に、被押圧アーム32が支点部31を中心にして上方に移動する場合には、支持アーム33は下方に移動する。
【0035】
被押圧アーム32が底板5に対して斜め上方に伸びるよう配置され、支持アーム33が底板5に沿って配置される位置(以下、非押し上げ位置(図4に示すレバー部材30の位置)と、被押圧アーム32が底板5に沿って配置され、支持アーム33が底板5に対して斜め上方に伸びるよう配置される位置(以下、押し上げ位置(図5に示すレバー部材30の位置))との間で、レバー部材30は回転可能となっている。なお、後述するように、レバー部材30は、非押し上げ位置から押し上げ位置に向かって移動する時に、スライド部材40を押し上げる。
【0036】
図2に示すように、底板5は、レバー機構3の前方に、左右方向に延伸する前壁55を有している。前壁55には、レバー部材30が押し上げ位置に配置されている時に、前壁55と被押圧アーム32との干渉を避けるための凹部55aが形成されている。
【0037】
被押圧アーム32は、台座2に設けられた押圧部23aの下方に位置し、当該押圧部23aに当っており、レバー部材30は、台座2の動きに連動して回転する。すなわち、台座2の支持位置から取外し位置への移動時に、被押圧アーム32は、押圧部23aによって押されて下方に移動する。その時、支点部31は、被押圧アーム32の下方への移動に連動して回転する。また、支持アーム33は、被押圧アーム32の移動に起因する支点部31の回転に連動して、上方に移動する。この様にして、非押し上げ位置に配置されていたレバー部材30は、押し上げ位置まで移動する。
【0038】
図11に示すように、被押圧アーム32は、当該被押圧アーム32の上面に、押圧部23aと当るスライド面32aを有している。このスライド面32aの先端32bは、支点部31から半径方向に離れて位置している。スライド面32aは、その基端32cに近づくに従って、支点部31の回転中心軸C2との間の距離が小さくなるように伸びており、基端32cと回転中心軸C2との距離は、先端32bと回転中心軸C2との距離に比べて小さくなっている。
【0039】
図4又は図5に示すように、台座2が支持位置にある状態においては、押圧部23aはスライド面32aの先端32bに当たり、前後方向における基点32cの位置は、押圧部32aの位置より後方である。また、支持位置から取外し位置に向かう方向への台座2の回転時に、前後方向における当該押圧部23aの位置が後方に移動するように、押圧部23aは設けられている。特に、この例では、台座2が支持位置にある状態では、押圧部23aの位置は回転中心軸C1より前方であり、且つ、回転中心軸C1より低くなっており、取外し位置に向かう台座2の回転時には、前後方向における押圧部23aの位置の移動の向きは、常に後方となる。そのため、押圧部23aは、台座2の支持位置から取外し位置への移動時に、スライド面32a上を先端32bから基端32cに向かって移動する。
【0040】
なお、この例では、取外し位置に向かう台座2の回転時、すなわち、レバー部材30の押し上げ位置に向かう方向への回転時には、前後方向における基点33aの位置は、前方に移動する。そのため、台座2の取外し位置に向かう方向への回転時には、押圧部23aは、基点32cの前方への移動と、押圧部23aの後方への移動とに起因して、スライド面32a上を基点32bに向かって移動する。
【0041】
押圧部23aの下方への移動距離に対するレバー部材30の回転量は、押圧部23aがスライド面32aの先端32b寄りの位置を押圧する場合に比べて、押圧部23aが基端32c寄りの位置を押圧する場合の方が大きい。そのため、押圧部23aがスライド面32a上を基端32cに向かって移動する、このような構造では、押圧部23aがスライド面32aの先端32b或いはそれに近い位置のみを押し続ける構造に比べて、押圧部23aの下方への移動距離、すなわち台座2の回転量に対するレバー部材30の回転量を大きくできる。
【0042】
また、この例では、図11に示すように、スライド面32aは、上方に膨らむように僅かに湾曲している。スライド面32aがこの様に湾曲することによって、台座2の移動過程(支持位置から取外し位置に達するまでの間)の前半におけるレバー部材30の回転量が大きくなっている。
【0043】
図12は、レバー部材30の動きを説明するための図である。同図(a−1)乃至(a−3)には台座2とレバー部材30とが示されている。同図(b−1)乃至(b−3)は、台座2とレバー部材30Aとが示されている。レバー部材30Aはレバー部材30の比較の対象とするレバー部材であり、レバー部材30Aが有する被押圧アーム32Aのスライド面32Aaは、先端32Abから基端32Acに向かって直線的に伸びている。同図(a−1)及び(b−1)では台座2が支持位置にある状態が示され、同図(a−3)及び(b−3)では台座2が取外し位置にある状態が示されている。また、同図(a−2)及び(b−2)では、支持位置と取外し位置との間の状態が示され、同図(a−2)及び(b−2)に示す台座2の回転位置は等しくなっている。なお、レバー部材30とレバー部材30Aの動きの相違の明瞭化のため、同図(a−1)乃至(a−3)で示すレバー部材30のスライド面32aの湾曲が強調して描かれている。
【0044】
同図(a−1)及び(b−1)に示すように、台座2が支持位置にある状態では、レバー部材30Aの位置と、レバー部材30の位置は等しくなっている。また、同図(a−3)及び(b−3)に示すように、台座2が取外し位置にある状態でも、レバー部材30Aの位置と、レバー部材30の位置は等しくなっている。例えば、支持アーム33と底板5とがなす角を用いて説明すると、台座2が支持位置にある状態では、支持アーム33,33Aと、底板5とがなす角(同図では、底板5に沿う面である背面33d,33Adと底板5とがなす角)は、ともに0度であり、台座2が取外し位置にある状態では、支持アーム33,33Aと、底板5とがなす角は、ともにθ3である。しかしながら、同図(a−2)及び(b−2)に示すように、台座2が支持位置と取外し位置との間の位置にある状態では、被押圧アーム32のスライド面32aが上方に湾曲しているため、レバー部材30の位置は、レバー部材30Aの位置に比べて、取外し位置に近くなっている。すなわち、台座2の回転量に対するレバー部材30の回転量が大きくなっている。支持アーム33,33Aと底板5とがなす角を用いて説明すると、支持アーム33Aと底板5とがなす角がθ2Aである一方で、支持アーム33と底板5とがなす角はθ2(θ2>θ2A)となっている。つまり、台座2の支持位置から取外し位置への移動過程の前半におけるレバー部材30の回転量は、レバー部材30Aに比べて大きくなっている。このようにスライド面32aの湾曲の態様を変えることによって、レバー部材30の回転速度を適宜に調整できる。例えば、レバー部材30では、スライド面32aが上方に膨らむよう湾曲しているので、移動過程の前半におけるレバー部材30の回転速度は、スライド面32aがそのように湾曲していない形態に比べて、速くなっている。
【0045】
また、後述するように、支持アーム33上には、支持アーム33によって押し上げられて支持面部21から突出するスライド部材40が配置されている。スライド面32aの湾曲の態様を変えることによって、スライド部材40の上方への移動速度、及び、スライド部材40が電子機器100を押し上げるタイミングを、適宜に調整できる。この例では、スライド面32aが上方に膨らむように湾曲しているので、移動過程の前半におけるスライド部材40の速度は、スライド面32aがそのように湾曲していない形態に比べて、速くなっている。
【0046】
支持アーム33及びスライド部材40について説明する。図4に示すように、スライド部材40は、上下方向に長い概略直方体状の部材である。スライド部材40は、支持アーム33上に配置されており、スライド部材40は、その下端に支持アーム33に当接する当接部40bを有している。支持アーム33は、スライド部材40を下方から支持しており、スライド部材40の上端に位置する突出部40aは、支点部31の回転、すなわち支持アーム33の上下動に連動して、上下に移動する。
【0047】
すなわち、スライド部材40は、突出部40aが台座2に収納される収納位置(図4に示すスライド部材40の位置)と、支持面部21に形成された開口21cから突出部40aが上方に突出する突出位置(図5に示すスライド部材40の位置)との間を移動可能に設けられている。そして、被押圧アーム32の下方への移動に起因して支点部31が回転し、支持アーム33が上方へ移動すると、収納位置に配置されていたスライド部材40は、支持アーム33によって押し上げられ、突出部40aは支持面部21から上方に突出する。このように、突出部40aは、被押圧アーム32の下方への移動に起因する支点部31の回転に連動して上方に移動し、支持面部21から突出する。そして、突出部40aが支持面部21から突出することによって、支持面部21上に配置される電子機器100は押し上げられる。
【0048】
なお、この例では、突出部40aの先端は丸められており、突出部40aによって電子機器100を押し上げる際に、電子機器100をスライド部材40に対して斜めに配置することができる。また、スライド部材40が収納位置に配置された状態では、突出部40aの先端は、支持面部21と概ね同じ高さに位置している。
【0049】
図4、図5又は図10に示すように、台座2にはガイド部27が設けられている。このガイド部27はスライド部材40の移動方向を案内している。すなわち、ガイド部27は、収納位置と突出位置との間を移動するようにスライド部材40を案内している。この例では、ガイド部27は、支持面部21に形成された開口21cの縁から下方に伸びる壁状であり、スライド部材40の側面を囲んでおり、スライド部材40は、このガイド部27に沿って上下動可能となっている。また、スライド部材40は、台座2の回転中心軸C1上に配置されており、台座2の回転時には、回転中心軸C1を中心として台座2とともに回転する。
【0050】
ガイド部27は、台座2の内側において下方に向かって伸び、支持面部21に対して垂直に設けられている。そのため、ガイド部27は、スライド部材40が支持面部21に対して垂直に移動するよう当該スライド部材40を案内する。また、上述したように、コネクタ71は支持面部21から上方に突出するとともに、支持面部21に対して垂直に設けられている。そのため、ガイド部27は、コネクタ71の突出方向、すなわちコネクタ71の挿入方向にスライド部材40が移動するように、当該スライド部材40を案内する。
【0051】
なお、支持装置1には、左右方向に離れて配置される2つのスライド部材40が設けられ、2つのスライド部材40の間に、コネクタ71が配置されている。特に、この例では、スライド部材40の移動時には、2つのスライド部材40の突出部40aを結ぶ直線上に、コネクタ71が位置する。そのため、電子機器100の取り外し作業に際しては、スライド部材40は、コネクタ71が間に配置される2つの位置で、電子機器100を押し上げる。これによって、電子機器100の取外しに際して、コネクタ71と、電子機器100のコネクタとを円滑に分離できる。
【0052】
また、支持面部21には、当該支持面部21から上方に突出し、電子機器100の下面に形成された穴に嵌る突起74が設けられている。この突起74は、電子機器100を支持面部21上の正規の位置に案内する。ガイド部27は、スライド部材40が突起74の突出方向に移動するよう当該スライド部材40を案内する。
【0053】
図11に示すように、支持アーム33は、当該支持アーム33の上面に、スライド部材40の当接部40bと当るスライド面33aを有している。このスライド面33aの先端33bは、支点部31から、その半径方向に離れて位置している。スライド面33aは、その基端33cに近づくに従って、支点部31の回転中心軸C2との間の距離が小さくなるように伸びており、基端33cと回転中心軸C2との距離は、先端33bと回転中心軸C2との距離に比べて小さくなっている。
【0054】
ガイド部27は、支点部31を中心とした支持アーム33の上方への移動時に当接部40bがスライド面33a上を先端33bに向かって移動するように、スライド部材40を支持している。詳細には、ガイド部27は、台座2が支持位置にある状態において、スライド部材40を斜めに支持し、当接部40bの位置は、回転中心軸C1より前方であって当該回転中心軸C1より低くなっている。そのため、取外し位置へ向かう方向への台座2の回転時には、前後方向における当接部40bの位置は後方に移動する。一方、台座2が支持位置にある状態では、支持アーム33は支点部31から後方に延伸し、スライド面33aの先端33bは当接部40bより後方に位置している。その結果、台座2の取外し位置への移動時、すなわち、支点部31を中心とした支持アーム33の上方への移動時に、当接部40bはスライド面33a上を先端33bに向かって移動する。特に、この例では、台座2が支持位置にある状態では、当接部40bはスライド面33aの基端33c寄りに位置しており、当接部40bは、スライド面33a上を基端33c寄りの位置から先端33bに向かって移動する。
【0055】
当接部40bがスライド面33a上を先端33bに向かって移動するこの様な構造によれば、当接部40bが基端33cに近い位置に留まる構造に比べて、スライド部材40の上方への移動距離を大きくできる。つまり、レバー部材30の回転量に対応するスライド部材40の移動距離は、支持アーム33が基端33c寄りの位置でスライド部材40を押し上げる場合に比べて、支持アーム33が先端33b寄りの位置でスライド部材40を押し上げる場合の方が大きい。そのため、当接部40bがこの様に移動する構造によれば、支持アーム33が、基端33cに近い位置でのみ当接部40bを押し上げる構造に比べて、スライド部材40の上方への移動距離を大きくできる。
【0056】
また、この例では、図11に示すように、スライド面33aは、上方に膨らむように僅かに湾曲している。スライド面33aが、この様に湾曲することによって、台座2の回転過程の前半、すなわちレバー部材30の回転過程の前半におけるスライド部材40の移動距離が大きくなっている。
【0057】
図13は、スライド部材40とレバー部材30の動きを説明するための図である。同図(a−1)乃至(a−3)では、レバー部材30とスライド部材40とが示され、同図(b−1)乃至(b−3)では、レバー部材30Bとスライド部材40とが示されている。レバー部材30Bはレバー部材30の比較の対象とするレバー部材であり、レバー部材30Bが有する支持アーム33Bのスライド面33Bは、先端32Baから基端32Bcに向かって直線的に伸びている。また、同図(a−1)及び(b−1)ではレバー部材30,30bが非押し上げ位置にある状態が示され、同図(a−3)及び(b−3)ではレバー部材30,30Bが押し上げ位置にある状態が示されている。また、同図(a−2)及び(b−2)では、非押し上げ位置と押し上げ位置との間の状態が示され、同図(a−2)及び(b−2)に示す台座2及びレバー部材30の回転位置は等しくなっている。
【0058】
同図(a−1)及び(b−1)に示すように、レバー部材30,30Bが非押し上げ位置にある状態では、レバー部材30上のスライド部材40の位置と、レバー部材30B上のスライド部材40の位置は、等しくなっている。すなわち、レバー部材30,30Bが非押し上げ位置にある状態では、突出部40aの高さは、支持面部21の高さと等しくなっている。同様に、レバー部材30,30Bが押し上げ位置にある状態では、同図(a−3)及び(b−3)に示すように、レバー部材30上のスライド部材40の位置と、レバー部材30B上のスライド部材40の位置は、等しくなっている。しかしながら、同図(a−2)及び(b−2)に示すように、レバー部材30,30Bが非押し上げ位置と取外し位置との間の位置にある状態では、支持アーム33のスライド面33aが上方に湾曲しているため、レバー部材30上のスライド部材40の位置は、レバー部材30B上のスライド部材40の位置に比べて高くなっている。支持面部21に対する突出部40aの高さを用いて説明すると、レバー部材30B上のスライド部材40の突出部40aの高さがhBであるの一方で、レバー部材30上のスライド部材40の突出部40aの高さはh(h>hB)となっている。つまり、スライド面33aが上方に湾曲することによって、スライド面33aがそのように湾曲していない形態に比べて、レバー部材30の移動過程の前半におけるスライド部材40の速度が速くなっており、レバー部材30の移動過程の前半におけるスライド部材40の移動距離が大きくなっている。このように、スライド面33aの湾曲の態様を変えることによって、スライド部材40の移動速度、及び、突出部40aが電子機器100を押し上げるタイミングを適宜に調整できる。
【0059】
また、回転中心軸C2から、スライド面33aの先端33bまでの距離を変えることによって、突出部40aの突出量を変えることができる。例えば、図11の二点差線で示されるスライド面33a−1の先端33b−1と回転中心軸C2との距離R−1は、先端33bと回転中心軸C2との距離Rより大きくなっている。このようにレバー部材30の形状を変えることによって、レバー部材30が押し上げ位置にある状態で、先端33bの底板5からの高さが高くなり、突出部40aの突出量を増やすことができる。
【0060】
なお、図11に示すように、被押圧アーム32は、スライド面32aとは反対側に背面32dを有している。また、支持アーム33は、スライド面33aとは反対側に背面33dを有している。レバー部材30が押し上げ位置に配置されている状態では、背面32dは、底板5に沿って配置され、背面33dは、底板5に対して傾斜している(図5参照)。一方、レバー部材30が非押し上げ位置に配置されている状態では、背面32dが底板5に対して傾斜し、背面33dが底板5に沿って配置される(図4参照)。そして、この例では、被押圧アーム32と支持アーム33は、背面32dと背面33dとがなす角が鈍角になるように設けられている。これによって、背面32dの位置が最も低くなった時、すなわち、背面32が底板5に沿うように配置された時に、支持アーム33の先端33bの高さは最も高くなる。なお、背面32dと背面33dとがなす角が鋭角となるように、被押圧アーム32と支持アーム33は設けられてもよい。この様な構造が採用される場合、押し上げ位置に向かう方向へのレバー部材30の回転時に、支持アーム33が適正な位置(例えば、先端33bが最も高くなる位置)で留まるように、レバー部材30の回転を規制するストッパが設けられてもよい。
【0061】
支持装置1には、図6又は図7に示すように、突出位置から収納位置に向かう方向にスライド部材40を付勢するバネ49が設けられている。スライド部材40には、上方に向かって開いた受け部42が設けられている。受け部42と支持面部21との間にバネ49が配置され、受け部42はバネ49を下方から支持している。レバー部材30が非押し上げ位置から押し上げ位置に回転する際には、支持アーム33はバネ49の弾性力に抗してスライド部材40を押し上げており、スライド部材40が突出位置に配置された状態では、スライド部材40を押し下げる方向(突出位置から収納位置へ向かう方向)の力がスライド部材40に作用している。
【0062】
台座2とレバー機構3の動作について説明する。台座2が支持位置から取外し位置に向かって移動すると、押圧部23aはレバー部材30の被押圧アーム32を押し下げる。これによって、レバー部材30は、支点部31を中心にして非押し上げ位置から押し上げ位置に向かって回転する。この時、押圧部23aは、被押圧アーム32のスライド面32aを基端32cに向かって移動する。レバー部材30が回転すると、支持アーム33は、その上に配置されたスライド部材40を押し上げる。その結果、突出部40aは、支持面部21上に配置されている電子機器100を押し上げ、支持面部21より高い位置まで移動する。この時、スライド部材40の当接部40bは、支持アーム33のスライド面33aを先端33bに向かって移動する。電子機器100が支持装置1から取り外されると、バネ49がスライド部材40を押し下げる。その結果、レバー部材30は、押し上げ位置から非押し上げ位置に向かって回転し、被押圧アーム32が押圧部23aを押し上げる。そして、台座2は、取外し位置から支持位置に向かって回転する。
【0063】
コネクタ71及び回路基板72を基板収容室28内で支持する構造について説明する。図14は、台座2を斜め下方から臨む斜視図であり、同図では、基板収容室28を下方から閉じる下蓋28cが取り外された様子が示されている。また、図15は、図8の断面図と同じ切断面で支持装置1を切断することによって得られる断面図である。上述したように、支持装置1では、コネクタ71及び回路基板72は、前方への傾斜が可能となるように支持されている。図15では、台座2が取外し位置に配置され、コネクタ71が前方に傾斜している様子が示されている。
【0064】
回路基板72は、基板収容室28内において、当該回路基板72の前側の位置の上下動が可能となるように支持されている。詳細には、基板収容室28内には、回路基板72が載せられる受け台26が配置されている。回路基板72はこの受け台26に固定されている。図3、図9又は図14に示すように、受け台26には、台座2の回転中心軸C1の方向に突出する軸部26a,26aが形成されており、この軸部26aが内壁28bと下蓋28cとによって回転可能に支持されている。この例では、内壁28bの下縁には凹部28dが形成され、軸部26aは凹部28dに配置されている。また、図9又は図10に示すように、下蓋28cの縁には、上方に立つ側壁28eが形成されており、軸部26aは、側壁28eの上縁と凹部28dとによって回転可能に支持されている。
【0065】
そして、軸部26aを中心として受け台26が回転することによって、回路基板72が支持面部21に対して傾くことができる。すなわち、受け台26と回路基板72は、支持面部21と平行に配置される位置(以下、水平位置(図8に示す回路基板72と受け台26の位置))と、回路基板72の前側が後側に比べて低くなる位置(傾斜位置(図15に示す回路基板72と受け台26の位置))との間を、移動可能となるように支持されている。その結果、コネクタ71は、支持面部21に対して垂直に配置される位置と、支持面部21に対して前方への傾斜する位置との間を移動可能となっている。
【0066】
上述したように、台座2は、その前側の位置が下がるように軸部22aを中心にして回転することによって取外し位置に配置される。また、台座2が取外し位置に配置された後においても、台座2とは独立して、コネクタ71の前方への傾斜が許容されている。これによって、支持装置1の利用者は、電子機器100を支持装置1から取り外す際に、電子機器100を斜め前方に持ち上げることができ、取外し作業の作業性を向上できる。例えば、収納ラックなど、上下方向に十分なスペースが確保しがたい場所に、支持装置が配置されている場合には、電子機器を支持装置から真上に持ち上げる作業が行い難い。支持装置1では、コネクタ71が、前方への傾斜が可能となるように支持されており、そのような狭い場所での取外し作業の作業性を向上できる。
【0067】
なお、図8に示すように、下蓋28cには、水平位置に配置される受け台26の後側の下面に当接する後ストッパ28fが設けられている。後ストッパ28fは、水平位置を越える受け台26及び回路基板72の動きを規制している。すなわち、受け台26及び回路基板72の傾斜位置から水平位置へ向かう方向への移動時に、後ストッパ28fは、受け台26及び回路基板72が水平位置を越えて移動することを規制する。また、図15に示すように、下蓋28cには、傾斜位置に配置される受け台26の前側の下面に当接する前ストッパ28hが設けられている。前ストッパ28hは、傾斜位置を越える受け台26の動きを規制している。すなわち、受け台26及び回路基板72の水平位置から傾斜位置へ向かう方向への移動時に、後ストッパ28fは、受け台26及び回路基板72が傾斜位置を越えて移動することを規制する。
【0068】
図8又は図15に示すように、支持装置1には、受け台26と回路基板72とを、水平位置に留めるためのバネ25が設けられている。バネ25は、傾斜位置から水平位置に向かう方向(図8又は図15において反時計方向)に受け台26を付勢している。そのため、受け台26は、電子機器100等からの力がコネクタ71を介して作用していない状況では、バネ25の弾性力によって後ストッパ28fに押し付けられ、水平位置に留まっている。
【0069】
この例では、バネ25は、2つの位置にコイル部25aを有するトーションスプリングによって構成されている。コイル部25aは、内壁28bから左右方向に突出する支持軸28iに巻かれている。バネ25の端部25bは、支持面部21の下面に設けられた取付部21dに差し込まれている。バネ25の中途部25cは受け台26の前側に下方から当っている。バネ25は、内壁28bに形成された凹部28jを通って基板収容室28内に伸びている。
【0070】
以上説明した支持装置1では、台座2は、支持面部21上に配置された電子機器100を支持する支持位置と、押圧部23aの位置が下がるように動くことによって配置される取外し位置との間を移動可能に支持されている。また、レバー機構3は、押圧部23aの下に配置され、台座2の支持位置から取外し位置への移動時に、押圧部23aによって押されて下方に移動する被押圧アーム32と、回転可能に支持され、被押圧アーム32の下方への移動に連動して回転する支点部31と、支点部31の回転に連動して上下動するよう設けられ、被押圧アーム32の下方への移動に起因する支点部31の回転に連動して上方に移動し、支持面部21から突出する突出部40aとを有している。このような支持装置1によれば、電子機器100の支持装置1からの取外しに際して、突出部40aによって電子機器100が押し上げられる。そのため、コネクタ71が電子機器100のコネクタに強く差し込まれている場合であっても、これらのコネクタを容易に分離でき、取外し作業の作業性を向上できる。
【0071】
なお、本発明は以上説明した支持装置1に限られず、種々の変更が可能である。例えば、以上説明した支持装置1では、レバー機構3は、レバー部材30と、スライド部材40とによって構成され、支持面部21から突出する突出部40aはスライド部材40に設けられていた。しかしながら、突出部はレバー部材に設けられてもよい。
【0072】
図16は、このような形態に係る支持装置101の断面図である。図16(a)では、台座2が支持位置に配置された支持装置101が示され、図16(b)では、台座2が取外し位置に配置された支持装置101が示されている。これらの図において、以上説明した箇所と同一箇所には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
同図に示すように、支持装置101は、レバー機構として、レバー部材130を有している。レバー部材130は、レバー部材30と同様に、被押圧アーム132と、支点部131とを有している。また、レバー部材130は、押し上げアーム133を有し、押し上げアーム133は、その先端に突出部133aを有している。押し上げアーム133と被押圧アーム132は、支点部131を挟んで反対側に設けられており、押し上げアーム133は、支点部131を中心にして被押圧アーム132とは反対方向に移動する。
【0074】
図16(a)に示すように、台座2が支持位置に配置されている状態では、突出部133aは台座2に収納されている。台座2が支持位置から取外し位置に移動すると、被押圧アーム132は、押圧部23aに押されて下方に移動する。この時、支点部131は、図16(b)に示すように、被押圧アーム132の下方への移動に連動して回転し、押し上げアーム133は、支点部131を中心にして上方に移動する。その結果、台座2が取外し位置に配置された状態では、押し上げアーム133の先端に位置する突出部133aは支持面部21から上方に突出する。以上が支持装置101の説明である。
【0075】
また、以上説明した支持装置1では、台座2は、支持位置から、当該台座2の前側が低くなるとともに、後側が高くなるように動くことによって、取外し位置に配置されていた。しかしながら、台座2の動きはこのような動きに限られない。例えば、台座2は、その後側の高さが概ね維持される一方で、前側の位置が低くなるように動くことによって、取外し位置に配置されてもよい。この場合、台座2を支持する軸部22aは、例えば、側壁22の後側に形成される。
【0076】
なお、以上の説明で用いた方向は、支持装置1が有する各部材、各部の位置関係を表すための相対的な方向である。そのため、支持装置1が設置される面を基準として、各部材、各部の位置関係を解釈する場合には、以上の説明で用いた方向は、当該面の向きに応じて適宜に変更して解釈する必要がある。
【符号の説明】
【0077】
1,101 支持装置、2 台座、3 レバー機構、5 底板、6 ハウジング、21 支持面部(支持面)、22 側壁、23 前壁、23a 押圧部、24 後壁、26 受け台、27 ガイド部、28 基板収容室、30,130 レバー部材、31,131 支点部、32,132 被押圧アーム(被押圧部)、33 支持アーム(支持部)、40 スライド部材、40a 突出部、40b 当接部、54 支持部、71 コネクタ、72 回路基板、C1 台座の回転中心軸、C2 レバー部材の回転中心軸、100 電子機器、133 押し上げアーム、133a 突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用電子機器が載置可能な支持面を有する台座と、
前記台座の下方に配置されるレバー機構と、を備え、
前記台座は、前記レバー機構を押圧するための押圧部を有し、前記支持面上に配置された前記電子機器を支持する第1の位置と、前記押圧部の位置が下がるように動くことによって配置される第2の位置との間を移動可能に支持され、
前記レバー機構は、
前記押圧部の下に配置され、前記台座の前記第1の位置から前記第2の位置への移動時に、前記押圧部によって押されて下方に移動する被押圧部と、
回転可能に支持され、前記被押圧部の下方への移動に連動して回転する支点部と、
前記支点部の回転に連動して上下動するよう設けられ、前記被押圧部の下方への移動に起因する前記支点部の回転に連動して上方に移動し、前記台座の前記支持面から突出する突出部と、を有する、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の支持装置において、
前記押圧部は、前記台座の前側に設けられ、
前記台座は、当該台座の前側が下がるように動くことによって前記第2の位置に配置される、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の支持装置において、
前記支持面から上方に突出するよう配置され、前方に傾斜可能に支持されたコネクタを備える、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。
【請求項4】
請求項1に記載の支持装置において、
前記レバー機構は、
上下動可能に配置され、上部に前記突出部を有するスライド部材と、
前記スライド部材を下方から支持するとともに、前記支点部の回転に連動して上方に移動して前記スライド部材を押し上げる支持部と、前記支点部と、前記被押圧部とが設けられたレバー部材と、を有し、
前記支持装置は、前記スライド部材の移動方向を案内するガイド部を有している、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の支持装置において、
前記ガイド部は、前記台座に設けられている、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。
【請求項6】
請求項5に記載の支持装置において、
前記台座には、前記支持面から突出するよう配置されるコネクタが設けられ、
前記ガイド部は、前記スライド部材が前記コネクタの突出方向に移動するよう当該スライド部材を案内する、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。
【請求項7】
請求項4に記載の支持装置において、
前記支持部は、前記支点部の半径方向に伸びるよう形成され、
前記スライド部材は、前記支持部と当接する当接部を有し、
前記ガイド部は、前記支点部を中心とした前記支持部の上方への移動時に、前記当接部が前記支持部上を当該支持部の先端に向かって移動するよう、前記スライド部材を支持する、
ことを特徴とする携帯用電子機器の支持装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−200423(P2010−200423A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40013(P2009−40013)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】