携帯用電子機器
【課題】 表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善する。
【解決手段】 開示される折り畳み式携帯電話10は、文字情報又は画像情報を表示する表示部1と、複数の情報入力用キー2Aが配置されている操作部2とが一体に構成され、操作部2に表示部1に表示する情報の表示態様を制御するアナログキー4を備えるとともに、アナログキー4の移動範囲を規制する円形状のアナログキー移動範囲部5が設定されている構成において、アナログキー移動範囲部5は、円形状の外周に間隔の等しい90°ごとに複数の突起5A〜5Dが設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部5に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起5A〜5Dに対応した形状で同数の凹部6A〜6Dが設けられた空孔6を有するカバー7を備えている。
【解決手段】 開示される折り畳み式携帯電話10は、文字情報又は画像情報を表示する表示部1と、複数の情報入力用キー2Aが配置されている操作部2とが一体に構成され、操作部2に表示部1に表示する情報の表示態様を制御するアナログキー4を備えるとともに、アナログキー4の移動範囲を規制する円形状のアナログキー移動範囲部5が設定されている構成において、アナログキー移動範囲部5は、円形状の外周に間隔の等しい90°ごとに複数の突起5A〜5Dが設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部5に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起5A〜5Dに対応した形状で同数の凹部6A〜6Dが設けられた空孔6を有するカバー7を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯用電子機器に係り、詳しくは、表示部に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定するアナログキー付きの折り畳み式携帯電話のような携帯用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話のような携帯用電子機器(以下、単に電子機器とも称する)は、携帯性の向上のためにほとんどのタイプのものが、文字情報又は画像情報を表示する表示部と、情報入力用キー群が配置されている操作部とが一体に折り畳み可能に構成されている。また、このような折り畳み式携帯電話において、表示部に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定するアナログキーを操作部に備えた構成のものが知られている。
【0003】
そのようなアナログキー付の折り畳み式携帯電話100は、図11に示すように、文字情報又は画像情報を表示する例えば液晶表示素子から成る主表示画面101Aを内側に備える表示部101と、複数の情報入力用キー102Aが配置されている操作部102とがヒンジ部103を介して一体に折り畳み可能に構成されている。表示部101には送受信用アンテナ104が装着されて、この送受信用アンテナ104は、手動により送受信時に表示部101から伸張しかつ送受信時以外には表示部101に収納可能となるように伸縮可能に装着されている。また、操作部102の上部の中央位置には表示部101に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定するアナログキー移動ポインタ部(以下、単にアナログキーと称する)105を備えている。
【0004】
ここで、アナログキー105は例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、図12に示すように、円形状のアナログキー移動範囲部106内を移動可能になっていて、上述したように表示部101に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定できるように構成されている。すなわち、アナログキー105は、アナログキー移動範囲部106により移動範囲が規制されて、表示部101に表示する情報の表示態様を制御する制御キーの役割を担っている。アナログキー105は指を離すと、初期位置である中央位置に戻るように構成されている。
【0005】
ところで、折り畳み式携帯電話がより小型化に向かうにつれて、操作部102の面積もより狭くなっているので、アナログキー105を含んだ機構を設ける操作部102のスペースも限られてきている。また、携帯電話を折り畳む場合を考慮すると、アナログキー105の高さも制限されるので、アナログキー105を操作性がよくなるように突起状に設けるのが困難になっている。このため、図13に示すように、右手107でアナログキー105を操作する場合には、操作性が非常に悪くなっている。例えば、アナログキー105を間横に移動させようと操作したつもりが、アナログキー105の操作性が悪いために思うとおりに移動してくれないことが多いので、移動方向を修正しながらアナログキー105の操作を行わなければならず、煩わしい操作が必要になる。ここで、アナログキー105の移動方向は、一般に上下左右の特定方向が頻繁に使用される傾向にある。したがって、アナログキー105を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際の操作性の改善が望まれている。
【0006】
ジョイステック形ノブを手動入力装置として用いた車載機器制御装置が、例えば特許文献1に開示されている。同手動入力装置110は、図14に示すように、ジョイステック形ノブのロータリノブ113の操作方向を規制する十文字状のガイド孔117aが設けられたガイド部材117を備えている。
【0007】
また、スクロールスイッチ付の携帯電話用スクロールスイッチ装置が、例えば特許文献2に開示されている。同スクロールスイッチ装置120は、図15に示すように、ケース部分124内の中心に設けられたドーム型の確定スイッチ122及び確定スイッチ122の周囲の4個所に設けられた4個のドーム型の選択スイッチ123を有する第1のスイッチ部材120Aと、図16に示すように、第1のスイッチ部材120Aを覆い確定スイッチ122に対応した凸部125及び4個の選択スイッチ123に対応した4個の切片126を有するボタンキー127から成る第2のスイッチ部材120Bとを備えている。そして、一つのキー操作だけで、携帯電話の情報表示部上の動作指示の選択と確定ができるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−189560号公報
【特許文献2】特開平11−126126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されている手動入力装置及び特許文献2に開示されている携帯電話用スクロールスイッチ装置を組み合わせたとしても、アナログキー付の折り畳み式携帯電話におけるアナログキーの操作性を改善することはできない、という問題がある。
まず、特許文献1の手動入力装置110は、図14に示すように、十文字状のガイド孔117aが設けられたガイド部材117によりジョイステック形ノブのロータリノブ113の操作方向を規制することが示されているだけであり、この発明の対象である折り畳み式携帯電話におけるアナログキーの操作性に関しては、全く考慮されていない。
【0009】
次に、特許文献2の携帯電話用スクロールスイッチ装置120は、図15及び図16に示すように、ボタンキー127のX、Y方向の操作で周囲4個所の選択スイッチ123の設定を選択可能に構成されているが、前述したようなアナログキーの操作性を改善する具体的構成に関しては示されていない。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善することができるようにした携帯用電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成され、該操作部に上記表示部に表示する情報の表示態様を制御する制御キーを備えるとともに、該制御キーの移動範囲を規制する円形状の制御キー移動範囲部が設定されている携帯用電子機器に係り、上記制御キー移動範囲部は、上記円形状の外周に間隔の等しい所定角度ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、上記制御キー移動範囲部に重なるように取り付けられ、上記外周形状と同一の内周形状となるように上記複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の携帯用電子機器に係り、上記カバーは、上記制御キー移動範囲部に対して上記制御キーを中心として回転可能に構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の携帯用電子機器に係り、上記制御キー移動範囲部の上記外周形状に上記カバーの内周形状が一致するように上記カバーを回転したとき、上記制御キーを上記突起及び上記凹部により規制される特定方向に操作することを特徴としている。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の携帯用電子機器に係り、上記カバーは、上記操作部の表面と適度な摩擦が生ずるような材料から構成されることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の携帯用電子機器に係り、上記材料としてプラスチックを用いることを特徴としている。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の携帯用電子機器に係り、上記操作部の表面のカバー取付け位置に、上記カバーの内周の上記空孔をガイドするようなガイド手段を設けることを特徴としている。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一に記載の携帯用電子機器に係り、上記所定角度が90°であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の携帯用電子機器に係り、上記表示部と上記操作部とが折り畳み可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
この発明の携帯用電子機器によれば、アナログキー移動範囲部は、円形状の外周に間隔の等しい90°ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えているので、表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成され、操作部に表示部に表示する情報の表示態様を制御するアナログキーを備えるとともに、アナログキーの移動範囲を規制する円形状のアナログキー移動範囲部が設定されている構成において、アナログキー移動範囲部は、円形状の外周に間隔の等しい所定角度ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えている。
【実施例1】
【0021】
図1は、この発明の実施例1である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図、図2は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図、図3は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図、図4は同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図、図5は同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。なお、この例では電子機器としては折り畳み式携帯電話に例をとって説明する。
この例の折り畳み式携帯電話10は、図1に示すように、文字情報又は画像情報を表示する例えば液晶表示素子から成る主表示画面を内側に備える表示部1と、複数の情報入力用キー2Aが配置されている操作部2とがヒンジ部3を介して一体に折り畳み可能に構成されている。表示部1の具体的構成は、図11に示した従来例のそれと略同様なので、図示を省略する。操作部2の上部の中央位置には表示部1に表示するカーソルの移動速度、方向、座標を決定するアナログキー移動ポインタ部(以下、単にアナログキーと称する)4を備えている。操作部2の表面は、化粧性に富んだ金属性あるいは絶縁性の被膜で覆われている。
【0022】
アナログキー4の周囲には、円の外周に90°ごとにそれぞれ第1の突起5A、第2の突起5B、第3の突起5C及び第4の突起5Dが設けられた外周形状のアナログキー移動範囲部5が設定されている。このアナログキー移動範囲部5はアナログキー4が移動する際の移動範囲を規制するように作用する。アナログキー4は例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、そのアナログキー移動範囲部5内を移動可能になっていて、表示部1に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定できるように構成されて、表示部1に表示する情報の表示態様を制御する制御キーの役割を担っている。アナログキー4は指を離すと、初期位置である中央位置に戻るように構成されている。
【0023】
操作部2の表面には、アナログキー移動範囲部5に重なるようにアナログキー移動範囲部5の外周形状と同一の内周形状の空孔6が設けられた略リング形状のカバー7が取り付けられる。空孔6は、突起5A〜5Dにそれぞれ対応して90°ごとに4個の凹部6A〜6Dが設けられている。カバー7は、アナログキー移動範囲部5に対してアナログキー4を中心として回転可能に取付けられる。
【0024】
また、カバー7は、操作部2の表面に基本的に取り外せないように取り付けられて、かつ必要な角度だけ回転されるので、滑り過ぎないように操作部2の表面と適度な摩擦が生ずるように、例えばプラスチックのような材料から構成される。さらに、カバー7は回転時にずれないように、予め操作部2の表面のカバー取付け位置には、カバー7の内周の空孔6をガイドするような円形状の微小な突起等のガイド手段を設けておくことが望ましい。
【0025】
カバー7は、図2に示すように、アナログキー移動範囲部5の周囲に、それぞれの凹部6A〜6Dが隣接する突起5A〜5D(図2では見えない)と45°ずらして取り付けられる。この状態では、カバー7とアナログキー移動範囲部5が重なることで、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図1に示したアナログキー移動範囲部5のように円形となる。
【0026】
次に、図2の状態から、カバー7を45°右回り方向、あるいは左回り方向に回転させると、図3に示すように、各突起5A〜5Dの位置がそれぞれの凹部6A〜6D(5A〜5Dと同位置となるので図示していない)の位置と一致する。したがって、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図1に示したように、アナログキー移動範囲部5の外周形状に一致するように変更される。この状態では、アナログキー移動範囲部5の上下左右方向に、アナログキー4を固定するように作用するそれぞれの突起5A〜5Dが配置されているので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動した際に、アナログキー4はこれらの特定方向の位置に固定されることになる。
【0027】
次に、図4及び図5を参照して、この例の折り畳み式携帯電話10の動作について説明する。
(1)通常の携帯電話の使用時
図2に示したように、カバー7をアナログキー移動範囲部5の周囲に、それぞれの凹部6A〜6Dを隣接する突起5A〜5Dと45°ずらして取り付けることにより、カバー7とアナログキー移動範囲部5が重なることで、アナログキー4が操作可能な範囲はアナログキー移動範囲部5のように円形となる。したがって、この範囲内であれば、図4に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を自由な位置に移動することができる。このようにアナログキー4を移動したときには、アナログキー4の位置とアナログキー移動範囲部5の中心位置との位置関係を検出して、表示部1に表示する「カーソルの移動方向」、「速度」及び「座標」を決定する。
【0028】
(2)アナログキーを上下左右の特定方向に移動する際の携帯電話の使用時
図3に示したように、図2の状態から、カバー7をアナログキー移動範囲部5の周囲に45°回転させることにより、それぞれの凹部6A〜6Dを各突起5A〜5Dと一致させる。これにより、アナログキー4が操作可能な範囲は、図1に示したようなアナログキー移動範囲部5の外周形状に変更される。
【0029】
したがって、この範囲内であれば、図5に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を上下左右方向の各突起5A〜5Dの位置例えば右方向の突起の位置に移動することができる。この状態では、それぞれの突起5A〜5D(及び凹部6A〜6D)によってアナログキー移動範囲部5の上下左右方向に、アナログキー4が固定されるので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができる。すなわち、従来のように、操作部2のスペースの制限からアナログキー4を操作性がよくなるように突起状に設けるのが困難になっていても、特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができるようになる。
【0030】
このように、この例の折り畳み式携帯電話10の構成によれば、文字情報又は画像情報を表示する表示部1と、複数の情報入力用キー2Aが配置されている操作部2とが一体に構成され、操作部2に表示部1に表示する情報の表示態様を制御するアナログキー4を備えるとともに、アナログキー4の移動範囲を規制する円形状のアナログキー移動範囲部5が設定されている構成において、アナログキー移動範囲部5は、円形状の外周に間隔の等しい90°ごとに複数の突起5A〜5Dが設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部5に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起5A〜5Dに対応した形状で同数の凹部6A〜6Dが設けられた空孔6を有するカバー7を備えている。
したがって、表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善することができる。
【実施例2】
【0031】
図6は、この発明の実施例2である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図、図7は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図、図8は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図、図9は同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図、図10は同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。この実施例2の携帯用電子機器の構成が、上述の実施例1のそれと大きく異なるところは、アナログキーを操作する特定方向を増やすようにした点である。この例でも電子機器としては携帯電話に例をとって説明する。
この例の折り畳み式携帯電話20は、図6に示すように、アナログキー4の周囲には、円の外周に45°ごとにそれぞれ第1の突起15A乃至第8の突起15Hが設けられた外周形状のアナログキー移動範囲部15が設定されている。このアナログキー移動範囲部15はアナログキー4が移動する際の移動範囲を規制するように作用する。アナログキー4は例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、そのアナログキー移動範囲部15内を移動可能になっていて、表示部1に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定できるように構成されて、表示部1に表示する情報の表示態様を制御する制御キーの役割を担っている。アナログキー4は指を離すと、初期位置である最初の中央位置に戻るように構成されている。
【0032】
操作部2の表面には、アナログキー移動範囲部15に重なるようにアナログキー移動範囲部15の外周形状と同一の内周形状の空孔16が設けられた略リング形状のカバー17が基本的に取り外せないように取り付けられる。空孔16は、突起15A〜15Hにそれぞれ対応して45°ごとに8個の凹部16A〜16Hが設けられている。カバー17は、アナログキー移動範囲部15に対してアナログキー4を中心として回転可能に取付けられる。
【0033】
カバー17は、図7に示すように、アナログキー移動範囲部15の周囲に、それぞれの凹部16A〜16Hが隣接する突起15A〜15H(図7では見えない)と22.5°ずらして取り付けられる。この状態では、カバー17とアナログキー移動範囲部15が重なることで、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図6に示したアナログキー移動範囲部15のように円形となる。
【0034】
次に、図7の状態から、カバー17を22.5°右回り方向、あるいは左回り方向に回転させると、図8に示すように、各突起15A〜15Hの位置がそれぞれの凹部16A〜16H(15A〜15Hと同位置となるので図示していない)の位置と一致する。したがって、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図6に示したように、アナログキー移動範囲部15の外周形状に一致するように変更される。この状態では、アナログキー移動範囲部15の上下左右方向に、アナログキー4を固定するように作用するそれぞれの突起15A〜15Hが配置されているので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動した際に、アナログキー4はこれらの特定方向の位置に固定されることになる。
【0035】
次に、図9及び図10を参照して、この例の折り畳み式携帯電話20の動作について説明する。
(1)通常の携帯電話の使用時
図7に示したように、カバー17をアナログキー移動範囲部15の周囲に、それぞれの凹部16A〜16Hを隣接する突起15A〜15Hと22.5°ずらして取り付けることにより、カバー17とアナログキー移動範囲部15が重なることで、アナログキー4が操作可能な範囲はアナログキー移動範囲部15のように円形となる。したがって、この範囲内であれば、図9に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を自由な位置に移動することができる。このようにアナログキー4を移動したときには、アナログキー4の位置とアナログキー移動範囲部15の中心位置との位置関係を検出して、表示部1に表示する「カーソルの移動方向」、「速度」及び「座標」を決定する。
【0036】
(2)アナログキーを上下左右の特定方向に移動する際の携帯電話の使用時
図8に示したように、図7の状態から、カバー17をアナログキー移動範囲部15の周囲に22.5°回転させることにより、それぞれの凹部16A〜16Hを各突起15A〜15Hと一致させる。これにより、アナログキー4が操作可能な範囲は、図6に示したようなアナログキー移動範囲部15の外周形状に変更される。
【0037】
したがって、この範囲内であれば、図10に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を上下左右方向の各突起15A〜15Hの位置例えば右方向の突起の位置に移動することができる。この状態では、それぞれの突起15A〜15H(及び凹部16A〜16H)によってアナログキー移動範囲部15の上下左右方向に、アナログキー4が固定されるので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができる。すなわち、従来のように、操作部2のスペースの制限からアナログキー4を操作性がよくなるように突起状に設けるのが困難になっていても、特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができるようになる。
これ以外は、上述した実施例1と略同様である。それゆえ、図6〜図10において、図1〜図5の構成部分と対応する各部には、同一の番号を付してその説明を省略する。
【0038】
このように、この例の構成によっても、実施例1と略同様な効果を得ることができる。
【0039】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。例えば、アナログキー移動範囲部に設けられる突起及びカバーの空孔に設けられる凹部の数は、等しい間隔で設けられのであれば特定の数には限定されない。また、実施例では折り畳み式の携帯電話に適用した例で説明したが、文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成されている携帯電話であれば折り畳み式に限ることはない。また、携帯電話に限らずに、PDA(Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)、携帯用GPS(Global Positioning System)等の携帯用の電子機器一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施例1である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図である。
【図2】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図である。
【図3】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図である。
【図4】同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図5】同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図6】この発明の実施例2である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図である。
【図7】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図である。
【図8】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図である。
【図9】同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図10】同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図11】従来の携帯用電子機器の構成を示す斜視図である。
【図12】同携帯用電子機器の構成を示す平面図である。
【図13】同携帯用電子機器の使用方法を示す斜視図である。
【図14】従来の手動入力装置の構成を示す概略図である。
【図15】従来のスクロールスイッチ装置の構成を示す概略図である。
【図16】従来のスクロールスイッチ装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 表示部
2 操作部
2A 情報入力用キー
3 ヒンジ部
4 アナログキー(制御キー)
5、15 アナログキー移動範囲部
5A〜5D、15A〜15H 突起
6、16 空孔
6A〜6D、16A〜16H 凹部
7、17 カバー
10、20 折り畳み式携帯電話(携帯用電子機器)
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯用電子機器に係り、詳しくは、表示部に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定するアナログキー付きの折り畳み式携帯電話のような携帯用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話のような携帯用電子機器(以下、単に電子機器とも称する)は、携帯性の向上のためにほとんどのタイプのものが、文字情報又は画像情報を表示する表示部と、情報入力用キー群が配置されている操作部とが一体に折り畳み可能に構成されている。また、このような折り畳み式携帯電話において、表示部に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定するアナログキーを操作部に備えた構成のものが知られている。
【0003】
そのようなアナログキー付の折り畳み式携帯電話100は、図11に示すように、文字情報又は画像情報を表示する例えば液晶表示素子から成る主表示画面101Aを内側に備える表示部101と、複数の情報入力用キー102Aが配置されている操作部102とがヒンジ部103を介して一体に折り畳み可能に構成されている。表示部101には送受信用アンテナ104が装着されて、この送受信用アンテナ104は、手動により送受信時に表示部101から伸張しかつ送受信時以外には表示部101に収納可能となるように伸縮可能に装着されている。また、操作部102の上部の中央位置には表示部101に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定するアナログキー移動ポインタ部(以下、単にアナログキーと称する)105を備えている。
【0004】
ここで、アナログキー105は例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、図12に示すように、円形状のアナログキー移動範囲部106内を移動可能になっていて、上述したように表示部101に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定できるように構成されている。すなわち、アナログキー105は、アナログキー移動範囲部106により移動範囲が規制されて、表示部101に表示する情報の表示態様を制御する制御キーの役割を担っている。アナログキー105は指を離すと、初期位置である中央位置に戻るように構成されている。
【0005】
ところで、折り畳み式携帯電話がより小型化に向かうにつれて、操作部102の面積もより狭くなっているので、アナログキー105を含んだ機構を設ける操作部102のスペースも限られてきている。また、携帯電話を折り畳む場合を考慮すると、アナログキー105の高さも制限されるので、アナログキー105を操作性がよくなるように突起状に設けるのが困難になっている。このため、図13に示すように、右手107でアナログキー105を操作する場合には、操作性が非常に悪くなっている。例えば、アナログキー105を間横に移動させようと操作したつもりが、アナログキー105の操作性が悪いために思うとおりに移動してくれないことが多いので、移動方向を修正しながらアナログキー105の操作を行わなければならず、煩わしい操作が必要になる。ここで、アナログキー105の移動方向は、一般に上下左右の特定方向が頻繁に使用される傾向にある。したがって、アナログキー105を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際の操作性の改善が望まれている。
【0006】
ジョイステック形ノブを手動入力装置として用いた車載機器制御装置が、例えば特許文献1に開示されている。同手動入力装置110は、図14に示すように、ジョイステック形ノブのロータリノブ113の操作方向を規制する十文字状のガイド孔117aが設けられたガイド部材117を備えている。
【0007】
また、スクロールスイッチ付の携帯電話用スクロールスイッチ装置が、例えば特許文献2に開示されている。同スクロールスイッチ装置120は、図15に示すように、ケース部分124内の中心に設けられたドーム型の確定スイッチ122及び確定スイッチ122の周囲の4個所に設けられた4個のドーム型の選択スイッチ123を有する第1のスイッチ部材120Aと、図16に示すように、第1のスイッチ部材120Aを覆い確定スイッチ122に対応した凸部125及び4個の選択スイッチ123に対応した4個の切片126を有するボタンキー127から成る第2のスイッチ部材120Bとを備えている。そして、一つのキー操作だけで、携帯電話の情報表示部上の動作指示の選択と確定ができるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−189560号公報
【特許文献2】特開平11−126126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されている手動入力装置及び特許文献2に開示されている携帯電話用スクロールスイッチ装置を組み合わせたとしても、アナログキー付の折り畳み式携帯電話におけるアナログキーの操作性を改善することはできない、という問題がある。
まず、特許文献1の手動入力装置110は、図14に示すように、十文字状のガイド孔117aが設けられたガイド部材117によりジョイステック形ノブのロータリノブ113の操作方向を規制することが示されているだけであり、この発明の対象である折り畳み式携帯電話におけるアナログキーの操作性に関しては、全く考慮されていない。
【0009】
次に、特許文献2の携帯電話用スクロールスイッチ装置120は、図15及び図16に示すように、ボタンキー127のX、Y方向の操作で周囲4個所の選択スイッチ123の設定を選択可能に構成されているが、前述したようなアナログキーの操作性を改善する具体的構成に関しては示されていない。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善することができるようにした携帯用電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成され、該操作部に上記表示部に表示する情報の表示態様を制御する制御キーを備えるとともに、該制御キーの移動範囲を規制する円形状の制御キー移動範囲部が設定されている携帯用電子機器に係り、上記制御キー移動範囲部は、上記円形状の外周に間隔の等しい所定角度ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、上記制御キー移動範囲部に重なるように取り付けられ、上記外周形状と同一の内周形状となるように上記複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の携帯用電子機器に係り、上記カバーは、上記制御キー移動範囲部に対して上記制御キーを中心として回転可能に構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の携帯用電子機器に係り、上記制御キー移動範囲部の上記外周形状に上記カバーの内周形状が一致するように上記カバーを回転したとき、上記制御キーを上記突起及び上記凹部により規制される特定方向に操作することを特徴としている。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の携帯用電子機器に係り、上記カバーは、上記操作部の表面と適度な摩擦が生ずるような材料から構成されることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の携帯用電子機器に係り、上記材料としてプラスチックを用いることを特徴としている。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の携帯用電子機器に係り、上記操作部の表面のカバー取付け位置に、上記カバーの内周の上記空孔をガイドするようなガイド手段を設けることを特徴としている。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一に記載の携帯用電子機器に係り、上記所定角度が90°であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の携帯用電子機器に係り、上記表示部と上記操作部とが折り畳み可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
この発明の携帯用電子機器によれば、アナログキー移動範囲部は、円形状の外周に間隔の等しい90°ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えているので、表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成され、操作部に表示部に表示する情報の表示態様を制御するアナログキーを備えるとともに、アナログキーの移動範囲を規制する円形状のアナログキー移動範囲部が設定されている構成において、アナログキー移動範囲部は、円形状の外周に間隔の等しい所定角度ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えている。
【実施例1】
【0021】
図1は、この発明の実施例1である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図、図2は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図、図3は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図、図4は同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図、図5は同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。なお、この例では電子機器としては折り畳み式携帯電話に例をとって説明する。
この例の折り畳み式携帯電話10は、図1に示すように、文字情報又は画像情報を表示する例えば液晶表示素子から成る主表示画面を内側に備える表示部1と、複数の情報入力用キー2Aが配置されている操作部2とがヒンジ部3を介して一体に折り畳み可能に構成されている。表示部1の具体的構成は、図11に示した従来例のそれと略同様なので、図示を省略する。操作部2の上部の中央位置には表示部1に表示するカーソルの移動速度、方向、座標を決定するアナログキー移動ポインタ部(以下、単にアナログキーと称する)4を備えている。操作部2の表面は、化粧性に富んだ金属性あるいは絶縁性の被膜で覆われている。
【0022】
アナログキー4の周囲には、円の外周に90°ごとにそれぞれ第1の突起5A、第2の突起5B、第3の突起5C及び第4の突起5Dが設けられた外周形状のアナログキー移動範囲部5が設定されている。このアナログキー移動範囲部5はアナログキー4が移動する際の移動範囲を規制するように作用する。アナログキー4は例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、そのアナログキー移動範囲部5内を移動可能になっていて、表示部1に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定できるように構成されて、表示部1に表示する情報の表示態様を制御する制御キーの役割を担っている。アナログキー4は指を離すと、初期位置である中央位置に戻るように構成されている。
【0023】
操作部2の表面には、アナログキー移動範囲部5に重なるようにアナログキー移動範囲部5の外周形状と同一の内周形状の空孔6が設けられた略リング形状のカバー7が取り付けられる。空孔6は、突起5A〜5Dにそれぞれ対応して90°ごとに4個の凹部6A〜6Dが設けられている。カバー7は、アナログキー移動範囲部5に対してアナログキー4を中心として回転可能に取付けられる。
【0024】
また、カバー7は、操作部2の表面に基本的に取り外せないように取り付けられて、かつ必要な角度だけ回転されるので、滑り過ぎないように操作部2の表面と適度な摩擦が生ずるように、例えばプラスチックのような材料から構成される。さらに、カバー7は回転時にずれないように、予め操作部2の表面のカバー取付け位置には、カバー7の内周の空孔6をガイドするような円形状の微小な突起等のガイド手段を設けておくことが望ましい。
【0025】
カバー7は、図2に示すように、アナログキー移動範囲部5の周囲に、それぞれの凹部6A〜6Dが隣接する突起5A〜5D(図2では見えない)と45°ずらして取り付けられる。この状態では、カバー7とアナログキー移動範囲部5が重なることで、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図1に示したアナログキー移動範囲部5のように円形となる。
【0026】
次に、図2の状態から、カバー7を45°右回り方向、あるいは左回り方向に回転させると、図3に示すように、各突起5A〜5Dの位置がそれぞれの凹部6A〜6D(5A〜5Dと同位置となるので図示していない)の位置と一致する。したがって、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図1に示したように、アナログキー移動範囲部5の外周形状に一致するように変更される。この状態では、アナログキー移動範囲部5の上下左右方向に、アナログキー4を固定するように作用するそれぞれの突起5A〜5Dが配置されているので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動した際に、アナログキー4はこれらの特定方向の位置に固定されることになる。
【0027】
次に、図4及び図5を参照して、この例の折り畳み式携帯電話10の動作について説明する。
(1)通常の携帯電話の使用時
図2に示したように、カバー7をアナログキー移動範囲部5の周囲に、それぞれの凹部6A〜6Dを隣接する突起5A〜5Dと45°ずらして取り付けることにより、カバー7とアナログキー移動範囲部5が重なることで、アナログキー4が操作可能な範囲はアナログキー移動範囲部5のように円形となる。したがって、この範囲内であれば、図4に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を自由な位置に移動することができる。このようにアナログキー4を移動したときには、アナログキー4の位置とアナログキー移動範囲部5の中心位置との位置関係を検出して、表示部1に表示する「カーソルの移動方向」、「速度」及び「座標」を決定する。
【0028】
(2)アナログキーを上下左右の特定方向に移動する際の携帯電話の使用時
図3に示したように、図2の状態から、カバー7をアナログキー移動範囲部5の周囲に45°回転させることにより、それぞれの凹部6A〜6Dを各突起5A〜5Dと一致させる。これにより、アナログキー4が操作可能な範囲は、図1に示したようなアナログキー移動範囲部5の外周形状に変更される。
【0029】
したがって、この範囲内であれば、図5に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を上下左右方向の各突起5A〜5Dの位置例えば右方向の突起の位置に移動することができる。この状態では、それぞれの突起5A〜5D(及び凹部6A〜6D)によってアナログキー移動範囲部5の上下左右方向に、アナログキー4が固定されるので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができる。すなわち、従来のように、操作部2のスペースの制限からアナログキー4を操作性がよくなるように突起状に設けるのが困難になっていても、特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができるようになる。
【0030】
このように、この例の折り畳み式携帯電話10の構成によれば、文字情報又は画像情報を表示する表示部1と、複数の情報入力用キー2Aが配置されている操作部2とが一体に構成され、操作部2に表示部1に表示する情報の表示態様を制御するアナログキー4を備えるとともに、アナログキー4の移動範囲を規制する円形状のアナログキー移動範囲部5が設定されている構成において、アナログキー移動範囲部5は、円形状の外周に間隔の等しい90°ごとに複数の突起5A〜5Dが設けられた外周形状を有する一方、アナログキー移動範囲部5に重なるように取り付けられ、外周形状と同一の内周形状となるように複数の突起5A〜5Dに対応した形状で同数の凹部6A〜6Dが設けられた空孔6を有するカバー7を備えている。
したがって、表示する情報の表示態様を制御する制御キーを特定の方向に操作する場合の操作性を改善することができる。
【実施例2】
【0031】
図6は、この発明の実施例2である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図、図7は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図、図8は同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図、図9は同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図、図10は同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。この実施例2の携帯用電子機器の構成が、上述の実施例1のそれと大きく異なるところは、アナログキーを操作する特定方向を増やすようにした点である。この例でも電子機器としては携帯電話に例をとって説明する。
この例の折り畳み式携帯電話20は、図6に示すように、アナログキー4の周囲には、円の外周に45°ごとにそれぞれ第1の突起15A乃至第8の突起15Hが設けられた外周形状のアナログキー移動範囲部15が設定されている。このアナログキー移動範囲部15はアナログキー4が移動する際の移動範囲を規制するように作用する。アナログキー4は例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、そのアナログキー移動範囲部15内を移動可能になっていて、表示部1に表示するカーソルの移動速度、方向、座標等を決定できるように構成されて、表示部1に表示する情報の表示態様を制御する制御キーの役割を担っている。アナログキー4は指を離すと、初期位置である最初の中央位置に戻るように構成されている。
【0032】
操作部2の表面には、アナログキー移動範囲部15に重なるようにアナログキー移動範囲部15の外周形状と同一の内周形状の空孔16が設けられた略リング形状のカバー17が基本的に取り外せないように取り付けられる。空孔16は、突起15A〜15Hにそれぞれ対応して45°ごとに8個の凹部16A〜16Hが設けられている。カバー17は、アナログキー移動範囲部15に対してアナログキー4を中心として回転可能に取付けられる。
【0033】
カバー17は、図7に示すように、アナログキー移動範囲部15の周囲に、それぞれの凹部16A〜16Hが隣接する突起15A〜15H(図7では見えない)と22.5°ずらして取り付けられる。この状態では、カバー17とアナログキー移動範囲部15が重なることで、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図6に示したアナログキー移動範囲部15のように円形となる。
【0034】
次に、図7の状態から、カバー17を22.5°右回り方向、あるいは左回り方向に回転させると、図8に示すように、各突起15A〜15Hの位置がそれぞれの凹部16A〜16H(15A〜15Hと同位置となるので図示していない)の位置と一致する。したがって、実際にアナログキー4が操作可能な範囲は、図6に示したように、アナログキー移動範囲部15の外周形状に一致するように変更される。この状態では、アナログキー移動範囲部15の上下左右方向に、アナログキー4を固定するように作用するそれぞれの突起15A〜15Hが配置されているので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動した際に、アナログキー4はこれらの特定方向の位置に固定されることになる。
【0035】
次に、図9及び図10を参照して、この例の折り畳み式携帯電話20の動作について説明する。
(1)通常の携帯電話の使用時
図7に示したように、カバー17をアナログキー移動範囲部15の周囲に、それぞれの凹部16A〜16Hを隣接する突起15A〜15Hと22.5°ずらして取り付けることにより、カバー17とアナログキー移動範囲部15が重なることで、アナログキー4が操作可能な範囲はアナログキー移動範囲部15のように円形となる。したがって、この範囲内であれば、図9に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を自由な位置に移動することができる。このようにアナログキー4を移動したときには、アナログキー4の位置とアナログキー移動範囲部15の中心位置との位置関係を検出して、表示部1に表示する「カーソルの移動方向」、「速度」及び「座標」を決定する。
【0036】
(2)アナログキーを上下左右の特定方向に移動する際の携帯電話の使用時
図8に示したように、図7の状態から、カバー17をアナログキー移動範囲部15の周囲に22.5°回転させることにより、それぞれの凹部16A〜16Hを各突起15A〜15Hと一致させる。これにより、アナログキー4が操作可能な範囲は、図6に示したようなアナログキー移動範囲部15の外周形状に変更される。
【0037】
したがって、この範囲内であれば、図10に示すように、アナログキー4を例えば右手で操作することにより初期位置である中央位置から、アナログキー4を上下左右方向の各突起15A〜15Hの位置例えば右方向の突起の位置に移動することができる。この状態では、それぞれの突起15A〜15H(及び凹部16A〜16H)によってアナログキー移動範囲部15の上下左右方向に、アナログキー4が固定されるので、アナログキー4を特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができる。すなわち、従来のように、操作部2のスペースの制限からアナログキー4を操作性がよくなるように突起状に設けるのが困難になっていても、特に使用頻度の多い上下左右の特定方向に移動する際に操作性を改善することができるようになる。
これ以外は、上述した実施例1と略同様である。それゆえ、図6〜図10において、図1〜図5の構成部分と対応する各部には、同一の番号を付してその説明を省略する。
【0038】
このように、この例の構成によっても、実施例1と略同様な効果を得ることができる。
【0039】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。例えば、アナログキー移動範囲部に設けられる突起及びカバーの空孔に設けられる凹部の数は、等しい間隔で設けられのであれば特定の数には限定されない。また、実施例では折り畳み式の携帯電話に適用した例で説明したが、文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成されている携帯電話であれば折り畳み式に限ることはない。また、携帯電話に限らずに、PDA(Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)、携帯用GPS(Global Positioning System)等の携帯用の電子機器一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施例1である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図である。
【図2】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図である。
【図3】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図である。
【図4】同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図5】同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図6】この発明の実施例2である携帯用電子機器のカバー取付け前の状態を概略的に示す平面図である。
【図7】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転前の状態を概略的に示す平面図である。
【図8】同携帯用電子機器に取り付けたカバーの回転後の状態を概略的に示す平面図である。
【図9】同携帯用電子機器のカバーの回転前に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図10】同携帯用電子機器のカバーの回転後に制御キーを操作した状態を概略的に示す平面図である。
【図11】従来の携帯用電子機器の構成を示す斜視図である。
【図12】同携帯用電子機器の構成を示す平面図である。
【図13】同携帯用電子機器の使用方法を示す斜視図である。
【図14】従来の手動入力装置の構成を示す概略図である。
【図15】従来のスクロールスイッチ装置の構成を示す概略図である。
【図16】従来のスクロールスイッチ装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 表示部
2 操作部
2A 情報入力用キー
3 ヒンジ部
4 アナログキー(制御キー)
5、15 アナログキー移動範囲部
5A〜5D、15A〜15H 突起
6、16 空孔
6A〜6D、16A〜16H 凹部
7、17 カバー
10、20 折り畳み式携帯電話(携帯用電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成され、該操作部に前記表示部に表示する情報の表示態様を制御する制御キーを備えるとともに、該制御キーの移動範囲を規制する円形状の制御キー移動範囲部が設定されている携帯用電子機器であって、
前記制御キー移動範囲部は、前記円形状の外周に間隔の等しい所定角度ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、前記制御キー移動範囲部に重なるように取り付けられ、前記外周形状と同一の内周形状となるように前記複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項2】
前記カバーは、前記制御キー移動範囲部に対して前記制御キーを中心として回転可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯用電子機器。
【請求項3】
前記制御キー移動範囲部の前記外周形状に前記カバーの内周形状が一致するように前記カバーを回転したとき、前記制御キーを前記突起及び前記凹部により規制される特定方向に操作することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯用電子機器。
【請求項4】
前記カバーは、前記操作部の表面と適度な摩擦が生ずるような材料から構成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の携帯用電子機器。
【請求項5】
前記材料としてプラスチックを用いることを特徴とする請求項4記載の携帯用電子機器。
【請求項6】
前記操作部の表面のカバー取付け位置に、前記カバーの内周の前記空孔をガイドするようなガイド手段を設けることを特徴とする請求項4又は5記載の携帯用電子機器。
【請求項7】
前記所定角度が90°であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の携帯用電子機器。
【請求項8】
前記表示部と前記操作部とが折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の携帯用電子機器。
【請求項1】
文字情報又は画像情報を表示する表示部と、複数の情報入力用キーが配置されている操作部とが一体に構成され、該操作部に前記表示部に表示する情報の表示態様を制御する制御キーを備えるとともに、該制御キーの移動範囲を規制する円形状の制御キー移動範囲部が設定されている携帯用電子機器であって、
前記制御キー移動範囲部は、前記円形状の外周に間隔の等しい所定角度ごとに複数の突起が設けられた外周形状を有する一方、前記制御キー移動範囲部に重なるように取り付けられ、前記外周形状と同一の内周形状となるように前記複数の突起に対応した形状で同数の凹部が設けられた空孔を有するカバーを備えることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項2】
前記カバーは、前記制御キー移動範囲部に対して前記制御キーを中心として回転可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯用電子機器。
【請求項3】
前記制御キー移動範囲部の前記外周形状に前記カバーの内周形状が一致するように前記カバーを回転したとき、前記制御キーを前記突起及び前記凹部により規制される特定方向に操作することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯用電子機器。
【請求項4】
前記カバーは、前記操作部の表面と適度な摩擦が生ずるような材料から構成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の携帯用電子機器。
【請求項5】
前記材料としてプラスチックを用いることを特徴とする請求項4記載の携帯用電子機器。
【請求項6】
前記操作部の表面のカバー取付け位置に、前記カバーの内周の前記空孔をガイドするようなガイド手段を設けることを特徴とする請求項4又は5記載の携帯用電子機器。
【請求項7】
前記所定角度が90°であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の携帯用電子機器。
【請求項8】
前記表示部と前記操作部とが折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の携帯用電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−65594(P2006−65594A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247536(P2004−247536)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
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