説明

携帯端末、その発呼先情報報知方法およびプログラム

【課題】誤発呼を効果的に防ぐことが可能な携帯端末、その発呼先情報報知方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】制御部24は、電話帳データ50の読み仮名62に格納されているカタカナ列を読み出し、音節データ70に基づいてカタカナ毎に対応する音節データを各々選択し、それらを順番に連結することにより音節データ列を作成し、さらに、このデータ列の末尾に文章音データ72に格納されている所望の文章音データを付加することで最終的に発呼先情報音声データ100を作成する。制御部24は、無線部12から入力した信号が、回線接続中信号S1および/または呼出中信号S2であった場合、すなわち発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先情報音声データ100を音声情報としてレシーバ20から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、コードレスホンの子機等の携帯端末、その発呼先情報報知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文字や画像等の視覚的情報を表示するためのディスプレイを搭載した電話機が知られている。上記電話機で発呼を行う場合、一般的には、以下のような手順を踏んでいる。先ず、所望とする発呼先が電子電話帳に登録されている場合、該電話帳の一覧をディスプレイに表示した後に、該一覧の中から前記発呼先を選択し、該発呼先に関する情報、例えば、登録名や電話番号等をディスプレイに表示する。また、発呼先が前記電話帳に登録されていない場合、テンキー等の入力手段から発呼先の電話番号を直接入力し、入力した電話番号をディスプレイに表示する。そして、利用者は、その表示内容を目視で確認し問題が無ければ、発呼開始ボタンを押して発呼を開始する。通常、発呼が開始されると利用者は受話器を耳に当てて通話体制に入る。
【0003】
一方、従来から、図14に示すように、レシーバ1とディスプレイ2とマイク3とが狭小なスペースに一体的に形成されたコンパクトな携帯端末4、例えば、携帯電話、PHS、あるいはコードレスホンの子機等が知られている。このような携帯端末4から発呼を行う場合も上記一般的発呼手順と同様に、利用者は、発呼が開始されると受話器(すなわち、この場合は携帯端末4自体)を耳に当てて通話体制に入る。
【0004】
しかしながら、前記携帯端末4の場合、前述したとおり、レシーバ1とディスプレイ2とマイク3とが狭小なスペースに一体的に形成されているため、レシーバ1を耳に、マイク3を口に各々当てた状態ではディスプレイ2の表示内容を視認することができない。従って、前記電話帳の選択や電話番号の入力結果が間違っているとそのまま誤った先に発呼してしまう、という問題があった。もちろん、発呼開始ボタン押下以前の目視確認時において、利用者が、その表示内容をしっかりと確認すればよいのだが、その確認が必ずしも正確に行われるとは限らない。すなわち、前述したような表示のみによる発呼先情報報知には限界があることを認めざるを得ない。
【0005】
そこで、発呼先情報を音声情報として報知することで、前述したような入力ミスを軽減させるようにする方法が考えられる。例えば、特許文献1には、通話対象者の名前をスピーカホンから音声情報として出力する技術が開示されている。また、特許文献2には、ハンズフリー通話を行うために携帯電話機を載置するクレードルが、携帯電話機から読み出したメモリ番号と電話番号とユーザ名とを音声で読み上げるようにした技術が開示されている。
【0006】
これらの音声による報知を前記表示による報知と併せて採用することにより、発呼先確認への注意を喚起させ、前述した誤発呼をある程度防ぐことができる。
【0007】
【特許文献1】特開2004―147322号公報(段落[0051]、図4)
【特許文献2】特開平10―262107号公報(段落[0019]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電話帳における発呼先の選択ミスや電話番号そのものの入力ミスといった単純な誤発呼以外にも、次のような誤発呼がある。すなわち、一度は発呼を決意したものの、相手が電話に出るまでの間、発呼すべきか否かを悩んだ挙げ句に結局相手がでてしまい、気まずい思いをして、後悔するような誤発呼(このような発呼を仮に「悩み発呼」という。)である。この「悩み発呼」は、その後の人間関係に悪影響を及ぼすことがあり、以外と深刻な誤発呼でもある。
【0009】
しかしながら、前述した特許文献1および2いずれの場合も、その音声報知は、発呼開始以前に行われるものであって、発呼開始後に発呼先情報を音声報知するものではない。従って、前述した図14に示す携帯端末4の構成に特許文献1または2の構成を付加したとしても、前述したような「悩み発呼」を最終的に思いとどまらせることはできない。すなわち、誤発呼防止対策としては不十分である。
【0010】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、誤発呼を効果的に防ぐことが可能な携帯端末、その発呼先情報報知方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯端末は、音声情報を出力する音声情報出力手段と、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を前記音声情報出力手段から音声情報として出力する制御手段とを備える。
【0012】
この場合、発呼先と回線を接続している期間中を示す信号である第1期間信号と、前記発呼先を呼び出している期間中を示す信号である第2期間信号とを前記制御手段に出力する無線部を備え、前記制御手段が、前記無線部から入力した信号が、前記第1期間信号および/または前記第2期間信号であった場合、前記発呼先に関する情報を前記音声情報出力手段から音声情報として出力するよう構成することもできる。
【0013】
この場合、前記発呼先情報は、所定の記憶手段に構築された電子電話帳に登録された発呼先の名称であってもよく、また、所定の入力手段から入力された発呼先の電話番号であってもよい。
【0014】
また、前記音声情報出力手段をレシーバとすることもできる。
【0015】
本発明の携帯端末における発呼先情報報知方法は、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を音声情報として出力する。
【0016】
この場合、前記発呼先情報は、所定の記憶手段に構築された電子電話帳に登録された発呼先の名称であってもよく、また、所定の入力手段から入力された発呼先の電話番号であってもよい。
【0017】
本発明の携帯端末における発呼先情報報知プログラムは、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を音声情報として出力する機能をコンピュータに実現させる。
【0018】
この場合、前記発呼先情報は、所定の記憶手段に構築された電子電話帳に登録された発呼先の名称であってもよく、また、所定の入力手段から入力された発呼先の電話番号であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の携帯端末、その発呼先情報報知方法およびプログラムは、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を音声情報として報知するようにしている。これによって、利用者には発呼先の最終確認機会が与えられる。従って、単なる入力ミスによる誤発呼を防ぐことができるばかりでなく、発呼するか否かを悩んでいる発呼についても、相手が出る以前に再度考える機会を与え、場合によっては、発呼を思いとどまらせることができる。
【0020】
また、本発明によれば、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間における発呼先情報の視覚的報知、すなわち、ディスプレイへの表示を省略することもできる。これにより、携帯端末の消費電力を抑制し、しかも、その制御を簡略化させることもできる。
【0021】
さらに、前記音声報知は、ディスプレイ機能そのものを持たない携帯端末にとっては、発呼先を確認するための唯一の確認手段であって、好適に誤発呼を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態の携帯端末10の構成ブロック図を示す。携帯端末10は、無線部12と、操作部14(入力手段)と、記憶部16(記憶手段)と、表示部18と、レシーバ20(音声情報出力手段)と、マイク音声処理部22と、制御部24(制御手段)とから基本的に構成される。
【0024】
無線部12は、アンテナ30を備え、このアンテナ30を介して基地局(BTS:BaseTransceiverStation)を含む移動通信ネットワークとの間で電波により情報の授受を行う。この場合、情報とは、情報チャネル(TCH:TrafficChannel)を介して基地局との間で授受される音声やデータ等のユーザ情報と、制御チャネル(CCH:ControlChannel)を介して基地局から無線部12に報知される呼接続等に係わる制御情報とを示す。
【0025】
無線部12は、この制御情報を制御部24に出力する。具体的には、無線部12は、図2に示すように、発呼先と回線接続中であることを示す回線接続中信号S1(期間T1〜T2/第1期間信号)、発呼先を呼び出し中であることを示す呼出中信号S2(期間T2〜T3/第2期間信号)、相手と通話中であることを示す通話中信号S3(期間T3〜T4)を制御部24に出力する。制御部24は、これらの信号S1〜S3に基づいて、携帯端末10を制御する。
【0026】
尚、前記移動通信ネットワークは、図1から諒解されるように、他の移動通信ネットワーク、あるいは固定電話ネットワークと接続されている。
【0027】
操作部14は、発呼時または着呼応答時に押され、通話を開始する開始ボタン40と、携帯端末10の電源切断時や通話終了時に押される電源/終了ボタン42と、各種メニュー項目の選択や決定を行うマルチダイヤルキー44、数字や文字を入力するためのテンキー46とを備える。操作部14は、これらキーの押下結果を示す信号を制御部24に出力する。
【0028】
記憶部16は、制御部24を構成する後述のCPU(Central Processing Unit)がランダムにアクセスすることが可能な半導体メモリデバイス等で構成され、プログラム領域とデータ領域とを備える。プログラム領域には、制御部24によって実行されるプログラムが格納される。データ領域には、電話帳データ50と音声関連データベース52とが格納される。
【0029】
電話帳データ50は、図3に示すように、発呼先毎の情報群からなる。該情報群は、発呼先名60と、読み仮名62と、電話番号64と、パーソナルデータ66とから構成される。この場合、読み仮名62には、発呼先名60のカタカナ読みに対応するテキストデータ列(以下、単にカタカナ列とも言う。)が格納される。また、パーソナルデータ66には、発呼先毎の個人情報、例えば、Eメールアドレス、住所、勤務先等が格納される。
【0030】
音声関連データベース52は、図4に示すように、音節データ70と文章音データ72と数字音データ74とから構成される。
【0031】
音節データ70は、図5に示すように、所定の言語、この場合は日本語において、一つのまとまった音として意識され、発音される最小単位の音データの集合体であり、50音データ80、濁音データ82、半濁音データ84、拗音データ86、長音符データ88、促音符データ90で構成される。
【0032】
文章音データ72は、図6に示すように、例えば、「〜さんへ発信中です」等の一つのまとまった文章に対応する音データである。
【0033】
数字音データ74は、図7に示すように、数字0〜9各々に対応する音データである。
【0034】
再び、図1の説明に戻り、表示部18は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示デバイスであり、制御部24の指令に基づいて、文字、図形あるいは画像等の視覚的情報を表示する。
【0035】
マイク音声処理部22は、マイク32から入力したアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換し、変換したデジタル音声信号を無線部12に出力する。無線部12は、このデジタル音声信号を変調し、変調した信号をアンテナ30から前記情報チャネルを介して基地局に送信する。
【0036】
制御部24は、CPUを基本的に備え、記憶部16に記憶されたプログラムを実行し、端末10全体を制御する。制御部24が実行する主な処理について以下説明する。
【0037】
(1)電話帳データ表示/登録制御
電話帳データ50の一覧を表示部18に表示した後、利用者が操作部14を操作することにより選択された所望の発呼先の情報を表示部18に表示する。また、電話帳データ50に登録されていない発呼先に関する情報を操作部14から入力し、電話帳データ50に新規に登録する。
【0038】
(2)発呼先情報の音声データ作成
制御部24は、電話帳データ50の読み仮名62に格納されているカタカナ列を読み出し、図5に示す音節データ70に基づいてカタカナ毎に対応する音節データを各々選択し、それらを順番に連結することにより音節データ列を作成する。制御部24は、作成した音節データ列の末尾に、文章音データ72に格納されている所望の文章音データを付加することで最終的に発呼先情報音声データを作成する。あるいは、制御部24は、電話帳データ50に格納されている電話番号64、または電話帳データ50に未登録であって、発呼時において操作部14から直接入力された電話番号の数字列を取得する。制御部24は、図7に示す数字音データ74に基づいて数字毎に対応する数字音データを各々選択し、それらを順番に連結することにより数字音データ列を作成する。制御部24は、作成した数字音データ列の末尾に、文章音データ72に格納されている所望の文章音データを付加することで最終的に発呼先情報音声データを作成する。
【0039】
(3)音声情報出力制御
前記情報チャネルを介して基地局から放射され、アンテナ30によって電波として受信された後、無線部12で復調された通話音声に関するデジタル音声データと、前記(2)において作成された各種発呼先情報音声データのいずれか一方をアナログ音声信号に変換し、レシーバ20に出力する。
【0040】
本実施の形態の携帯端末10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、この携帯端末10の動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。尚、図8のフローチャートに示す動作は、制御部24が実行可能なプログラムで具現化される。該プログラムは、記憶部16のプログラム領域に格納され、制御部12によって読み出されたのち実行される。また、以下に説明する手順に先だって、電話帳データ50には、所定のデータが利用者によって予め入力されているものとする。
【0041】
先ず、制御部24は、記憶部に格納された電話帳データ50の一覧を表示部18に表示する(ステップS1)。ここで、利用者は、操作部14を操作することにより、電話帳データ50の中から所望の発呼先を選択する(ステップS2)。制御部24は、選択された発呼先の情報を表示部18に表示する(ステップS3)。ここで、図3において、電話帳No=1の「田中」が選択されたとする。この場合、表示部18には、図9のような内容が表示される。
【0042】
制御部24は、電話帳データ50の読み仮名62の内の電話帳No=1に相当するカタカナ列、すなわち、この場合「タナカ」を読み出し、各音節「タ」、「ナ」、「カ」に対応する音節データを図5に示す音節データ70に基づいて各々割り付け、読み仮名62に対応する音節データ列を作成する。さらに、制御部24は、この音節データ列の末尾に、文章音データ72の適当な音データ、例えば、「〜さんへ発信中です」を示す文章音データを付加して、発呼先情報音声データ100(図10参照)を作成する(ステップS4)。
【0043】
ここで、制御部24は、操作部14を構成する開始ボタン40の押下状態のチェック、すなわち、発呼が開始されたか否かのチェックを行う(ステップS5)。
【0044】
開始ボタン40が押されたと判断した制御部24は、ステップS4において作成したデジタル信号である発呼先情報音声データ100をアナログ信号に変換し、レシーバ20へ出力し、音声報知を行う(ステップS6)。
【0045】
ここで、制御部24は、無線部12から制御チャネルの制御情報(制御信号)を取得し(ステップS7)、取得した制御信号が、回線接続中信号S1および呼出中信号S2でなくなるまでの間、前記ステップS6の音声報知を繰り返す(ステップS8)。これによって、利用者は、レシーバ20から「田中さんへ発信中です」という音声情報を得る。尚、この場合、制御部24による前記発呼先情報音声データ100の報知は、1回に限らず繰り返し行ってもよい。
【0046】
尚、音声報知期間中、すなわち、図2に示す回線接続期間中(期間T1〜T2)および呼出期間中(期間T2〜T3)は、通常、図2において破線で示すように、回線接続中および呼出中各々の発信音がレシーバ20から出力されるが、本実施の形態では、ステップS6の音声報知、すなわち発呼先情報の音声報知を優先するため、期間中T1〜T3は、前記各発信音の出力を停止する。
【0047】
無線部12から取得した制御信号が、回線接続信号S1および呼出中信号S2でない場合(ステップS8のNo判定の場合)、制御部24は、発呼先情報の音声報知を停止する(ステップS9)。
【0048】
次いで、制御部24は、無線部12から制御信号を取得し(ステップS10)、この制御信号を監視し(ステップS11)、これが通話中信号S3でなくなるまでの間、相手と通話を行う(ステップS12)。具体的には、情報チャネルを介して基地局から放射され、アンテナ30によって電波として受信された後に無線部12によって復調された通話音声に関するデジタル音声データを制御部24がアナログ音声信号に変換し、レシーバ20に出力する。一方、マイク音声処理部22は、マイク32から入力したアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換し、変換したデジタル音声信号を無線部12に出力する。無線部12は、このデジタル音声信号を変調し、変調した信号をアンテナ30から前記情報チャネルを介して基地局に送信する。以上の処理によって、相手の声を聞くと同時に、自分の声を相手に伝えることができるようになる。
【0049】
ステップS11において、制御信号が通話中信号S3でなくなった場合、制御部24は、本プログラムを終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態の携帯端末10は、無線部12から入力した信号が、回線接続中信号S1および/または呼出中信号S2であった場合、すなわち、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、制御部24が発呼先に関する情報をレシーバ20から音声情報として出力している。これによって、利用者には発呼先の最終確認機会が与えられる。従って、単なる入力ミスによる誤発呼を防ぐことができるばかりでなく、発呼するか否かを悩んでいる発呼についても、相手が出る以前に再度考える機会を与え、場合によっては、発呼を思いとどまらせることができる。
【0051】
また、本実施の形態の携帯端末10によれば、前記信号S1および/またはS2期間中における発呼先情報の視覚的報知、すなわち、表示部18への表示を省略することもできる。これにより、携帯端末10の消費電力を抑制し、しかも、その制御を簡略化させることもできる。
【0052】
さらに、前記音声報知は、表示手段そのものを持たない携帯端末にとっては、発呼先を確認するための唯一の確認手段であって、好適に誤発呼を防ぐことができる。
【0053】
尚、上記説明では、電話帳データ50に予め登録されている発呼先情報(上記例では、発呼先名60)を音声報知する場合を例に挙げたが、音声報知する情報は、必ずしも電話帳データ50に登録されている情報に限定されるものではない。例えば、利用者が、発呼時に操作部14から直接入力した発呼先の電話番号を音声報知することもできる。以下、図11のフローチャートを用いて、この手順について具体的に説明する。
【0054】
利用者は、発呼に先立ち、操作部14のテンキー46を操作することにより、発呼先の電話番号を入力する。制御部24は、入力した電話番号を記憶部16の所定領域に記憶する(ステップS20)。制御部24は、入力した前記電話番号を表示部18に表示する(ステップS21)。図12には、例えば、「03−1234−5678」という電話番号が入力された場合の表示例を示す。
【0055】
次いで、制御部24は記憶部16から前記電話番号を読み出し、図7に示す数字音データ74に基づいて数字毎に対応する数字音データを各々選択し、それらを順番に連結することにより数字音データ列を作成する(図13参照)。さらに、制御部24は、この数字音データ列の末尾に、文章音データ72の適当な音データ、例えば、「〜へ発信中」を示す文章音データを付加して、発呼先情報音声データ200を作成する(ステップS22)。
【0056】
以下、図8のステップS5以降の処理を実行することで、発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、発呼先情報、この場合は、操作部14から直接入力された発呼先の電話番号を音声で報知する。もちろん、この電話番号音声報知も、前述した発呼先名音声報知と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0057】
もちろん、上記の如き発呼時に直接入力した電話番号に限らず、電話帳データ50に予め登録されている電話番号64を音声報知しても上記と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、上記実施の形態では、読み仮名62をカタカナで入力しているが、ひらがなで入力することもできる。但し、その場合、音節データ70をひらがなに対応させる必要がある。
【0059】
また、文章音データ72は図6に示す3パターンに限定されることはなく、様々な文章パターンを設定することができる。
【0060】
また、上記の例では日本語で音声報知を行う場合を例に挙げたが、日本語に限定されることなく他の国の言語でもよい。
【0061】
また、読み仮名62へのカタカナ列入力は、利用者の手入力に限定されるものではなく、例えば、発呼先名60に入力した漢字読みをカタカナ読みに自動変換する構成を採用することもできる。
【0062】
さらに、音声関連データベース52の各データは任意に設定することができる。すなわち、話者の種類(男/女等)、話速、抑揚、音量、音質等を任意に設定することができる。
【0063】
また、以上説明した本実施の形態では、発呼先に関する情報(名前や電話番号)をレシーバ20に出力しているが、これに限定されることはなく他の音声情報出力手段、例えば、スピーカに出力することもできる。これによって、発呼先情報を大音量で報知することができ、例えば、通話する本人の周囲にいる人にも同時に発呼先情報を報知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施の形態の携帯端末の構成ブロック図である。
【図2】無線部における各チャネルの出力とレシーバの出力との関係を説明するタイミングチャートである。
【図3】図1に示す記憶部に格納される電話帳データのフォーマット図である。
【図4】図1に示す記憶部に格納される音声関連データベースのフォーマット図である。
【図5】図3に示す音声データを構成する音節データのフォーマット図である。
【図6】図3に示す音声データを構成する文書音データのフォーマット図である。
【図7】図3に示す音声データを構成する数字音データのフォーマット図である。
【図8】図1に示す本実施の形態の携帯端末の発呼動作に関する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図2に示す電話帳データの内、電話帳No=1の項目が選択された場合の表示例を示す。
【図10】発呼先名を音声報知するための発呼先情報音声データの一例を示すフォーマット図である。
【図11】発呼時において、操作部から直接入力した発呼先電話番号を音声報知する手順の一部を説明するフローチャートである。
【図12】発呼時において、操作部から直接入力した発呼先電話番号の表示例である。
【図13】電話番号を音声報知するための発呼先情報音声データの一例を示すフォーマット図である。
【図14】従来の携帯端末であって、レシーバとディスプレイとマイクとが狭小なスペースに一体的に形成されたコンパクトな携帯端末の概略構成図である。
【符号の説明】
【0065】
10 携帯端末
12 無線部
14 操作部
16 記憶部
18 表示部
20 レシーバ
24 制御部
40 開始ボタン
42 電源/終了ボタン
46 テンキー
50 電話帳データ
52 音声関連データベース
60 発呼先名
62 読み仮名
64 電話番号
70 音節データ
72 文章音データ
74 数字音データ
100、200 発呼先情報音声データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報を出力する音声情報出力手段と、
発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を前記音声情報出力手段から音声情報として出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
発呼先と回線を接続している期間中を示す信号である第1期間信号と、前記発呼先を呼び出している期間中を示す信号である第2期間信号とを前記制御手段に出力する無線部を備え、前記制御手段は、前記無線部から入力した信号が、前記第1期間信号および/または前記第2期間信号であった場合、前記発呼先に関する情報を前記音声情報出力手段から音声情報として出力することを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
前記発呼先情報は、所定の記憶手段に構築された電子電話帳に登録された発呼先の名称であることを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記発呼先情報は、所定の入力手段から入力された発呼先の電話番号であることを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項5】
前記音声情報出力手段をレシーバとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を音声情報として出力することを特徴とする携帯端末における発呼先情報報知方法。
【請求項7】
前記発呼先情報は、所定の記憶手段に構築された電子電話帳に登録された発呼先の名称であることを特徴とする請求項6記載の携帯端末における発呼先情報報知方法。
【請求項8】
前記発呼先情報は、所定の入力手段から入力された発呼先の電話番号であることを特徴とする請求項6記載の携帯端末における発呼先情報報知方法。
【請求項9】
発呼が開始されてから相手が電話に出るまでの間、前記発呼先に関する情報を音声情報として出力する機能をコンピュータに実現させるための携帯端末における発呼先情報報知プログラム。
【請求項10】
前記発呼先情報は、所定の記憶手段に構築された電子電話帳に登録された発呼先の名称であることを特徴とする請求項9記載の携帯端末における発呼先情報報知プログラム。
【請求項11】
前記発呼先情報は、所定の入力手段から入力された発呼先の電話番号であることを特徴とする請求項9記載の携帯端末における発呼先情報報知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−197465(P2006−197465A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9000(P2005−9000)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】