説明

携帯端末、キー表示プログラムおよびキー表示方法

【構成】携帯電話機10は、タッチパネル38が設けられたディスプレイ30およびタッチパネル38に対するタッチ操作を検出するタッチパネル制御回路36を備える。そして、ディスプレイ30には、QWERTY配列のソフトキー68が表示され、ソフトキー68に対してタッチ操作がされると文字が入力される。また、携帯電話機10は、入力された文字に基づいて次に入力される文字を予測する予測機能を有している。そして、プロセッサ24は、タッチ操作によって文字が入力されると、次に入力される文字を予測し、その文字に対応するキーのタッチ領域を拡大する。
【効果】キーのタッチ領域が拡大され、キーの操作性が良くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末、キー表示プログラムおよびキー表示方法に関し、特にタッチ操作によって文字を入力できる、携帯端末、キー表示プログラムおよびキー表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチ操作によって文字を入力できる携帯端末は広く知られており、この種の装置の一例が特許文献1に開示されている。この背景技術の携帯情報端末装置は、ソフトウェアキーボード表示方法を持っており、ソフトウェアキーボードを表示する表示装置および文字入力の操作を行う入力用ペンを備える。たとえば、ソフトウェアキーボードに対して、入力用ペンによって任意のキーがタッチされると、文字が入力される。そして、文字が入力されると、ローマ字変換規則表に基づいて、次入力に相当するキー表示が拡大表示される。
【0003】
特許文献2に開示される携帯端末装置では、複数のアイコンを表示するメイン表示部の表示面にタッチパネルが設けられる共に、メイン表示部の近傍に2つの近接検出用カメラ部が設けられる。また、携帯端末装置の制御部は、近接検出用カメラによる撮影画像に基づいてユーザの指が名表示部の表示面に対して近接したことを検出すると、ユーザの指が近接しているアイコンを拡大表示する。
【特許文献1】特開平9−160910号公報[G06F 17/22, G06F 3/023, H03M 11/04, G06F 15/78, G09G 5/00]
【特許文献2】特開2006−236143号公報[G06F 3/048]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の携帯情報端末装置では、キー表示が拡大表示されるため、拡大表示されたキーの周囲において、拡大表示されていないキーのキー表示が隠れてしまう。そのため、使用者は、拡大されていないキーのキー表示が読み辛くなる。
【0005】
また、特許文献2の携帯端末装置では、指の近接が検出されたアイコンが拡大されると、他のアイコンの表示位置が変化するため、使用者が表示位置の変化に対応しきれなくなることが考えられる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯端末、輝度制御プログラムおよび輝度制御方法を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、キーの操作性を良くすることができる、携帯端末、キー表示プログラムおよびキー表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、タッチパネルを有し、複数の文字入力キーを表示する表示部と、タッチ操作を検出するタッチ検出部とを含み、複数の文字入力キーに対応するタッチ検出部のタッチ領域内でタッチ操作が検出されたときに文字が入力される、携帯端末であって、タッチ操作によって文字が入力されたとき、次に入力される可能性が高い文字を予測する予測部、および予測部によって予測された文字の文字入力キーに対応するタッチ領域を拡大するタッチ領域拡大部を備える、携帯端末である。
【0010】
第1の発明では、携帯端末(10:実施例において対応する部分を例示する参照符号。以下、同じ。)は、タッチパネル(38)を有し、文字入力キーを表示する表示部(30)と、文字入力のためのタッチ操作を検出するタッチ検出部(36)とを含む。そして、携帯端末は、文字入力キーに対応するタッチ領域内でタッチ操作が検出されると、文字が入力される。そのため、ここで言う、文字入力キーの「タッチ領域」とは、その領域に対してタッチすることで、文字入力キーに対応する文字を入力するための領域を意味する。予測部(24,S35)は、タッチ操作によって文字が入力されたとき、文字入力の規則や、入力の履歴などに基づいて、次に入力される可能性が高い文字を予測する。タッチ領域拡大部(24,S39)は、予測された文字の文字入力キーに対応するタッチ領域を拡大する。
【0011】
第1の発明によれば、文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大され、文字入力キーの操作性が良くなり、文字入力キーの視認性も保たれる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、複数の文字入力キーを、タッチ検出部のタッチ領域の大きさに合わせて表示部に表示させる第1表示制御部を備える。
【0013】
第2の発明では、第1表示制御部(24,S41,S47)は、複数の文字入力キーを、タッチ検出部のタッチ領域の大きさに合わせて表示部に表示させる。そして、文字入力キーを表示するための「表示領域」は、先に説明した「タッチ領域」と異なる領域ではあるが、タッチ領域の拡大と合わせて拡大される。
【0014】
第2の発明によれば、文字入力キーの表示も併せて拡大されるため、文字入力キーの視認性も向上する。
【0015】
第3の発明は、第1の発明に従属し、タッチ検出部のタッチ領域が拡大された場合であっても、複数の文字入力キーの表示部上の大きさを変更しないで、表示部に表示させる第2表示制御部をさらに備える。
【0016】
第3の発明では、第2表示制御部(24)は、タッチ検出部のタッチ領域が拡大された場合であっても、複数の文字入力キーの表示部上の大きさを変更しないで、表示部に表示させる。そして、第3の発明では、第2の発明と異なり、タッチ領域が拡大されたとしても、文字入力キーの表示領域は変化しない。
【0017】
第3の発明によれば、文字入力キーの表示が変化しないため、使用者に対して表示の違和感を与えることなく、文字入力キーの操作性を良くすることができる。
【0018】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかに従属し、タッチ領域拡大部は、予測部によって予測された文字の文字入力キーに対応するタッチ領域を、他の文字入力キーに対応するタッチ領域と重複しないように拡大する。
【0019】
第4の発明によれば、タッチ領域が拡大されたとしても、他のタッチ領域に影響を与えることが無いため、タッチ領域が拡大されていない文字入力キーの操作性を維持する事ができる。
【0020】
第5の発明は、第1の発明ないし第4の発明のいずれかに従属し、予測部によって次に入力される可能性が高い文字が予測できず、タッチ領域拡大部によってタッチ領域が拡大されているとき、拡大されたタッチ領域を元のタッチ領域に再設定する再設定部をさらに備える。
【0021】
第5の発明では、たとえば、携帯端末は、次に入力される可能性が高い文字を予測するための辞書を有している。そして、予測部は、入力された文字がその辞書に登録されていなければ、次に入力される可能性が高い文字が予測する事ができない。そのため、再設定部(24,S45)は、入力された文字が予測のための辞書に登録されておらず、文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大されているとき、拡大されたタッチ領域を元のタッチ領域に再設定する。
【0022】
第5の発明によれば、次に入力される可能性が高い文字を予測できない場合に、一部の文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大されていると、使用者が混乱する可能性がある。そのため、タッチ領域の拡大が不要な場合は、文字入力キーに対応するタッチ領域の大きさは元に戻される。
【0023】
第6の発明は、第1の発明ないし第5の発明のいずれかに従属し、文字入力キーに対応するタッチ領域を示すキーテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、キーテーブルは、拡大されたタッチ領域を示す拡大キーテーブルおよび通常のタッチ領域を示す通常キーテーブルを含み、表示部は、拡大キーテーブルおよび通常キーテーブルに基づいて文字入力キーを表示する。
【0024】
第6の発明では、記憶部(34)には、文字入力キーに対応するタッチ領域を示すキーテーブルが記憶される。また、このキーテーブルには、拡大されたタッチ領域を示す拡大キーテーブルおよび通常のタッチ領域を示す通常キーテーブルが含まれる。そして、表示部は、拡大キーテーブルおよび通常キーテーブルから読み出されたタッチ領域に基づいて、文字入力キーを表示する。
【0025】
第6の発明によれば、事前に設定したタッチ領域から構成される、キーテーブルを利用することで、文字入力キーに対応するタッチ領域を設定する処理速度を早くすることができる。
【0026】
第7の発明は、第1の発明ないし第6の発明のいずれかに従属し、予測部は、日本語のローマ字入力の規則に基づいて、次に入力される可能性が高い文字を予測する。
【0027】
第7の発明によれば、日本語の入力において一般的に利用されている、ローマ字入力の規則に基づいて次に入力される文字を予測する事ができる。
【0028】
第8の発明は、第1の発明ないし第6の発明のいずれかに従属し、予測部は、単語の使用頻度に基づいて、次に入力される可能性が高い文字を予測する。
【0029】
第8の発明によれば、使用者が入力した単語や文章に基づいて次に入力される文字が予測されるため、文字入力キーに対応するタッチ領域が的確に拡大される。
【0030】
第9の発明は、タッチパネル(38)を有し、複数の文字入力キー(68)を表示する表示部(30)と、タッチ操作を検出するタッチ検出部(36)とを含み、複数の文字入力キーに対応するタッチ検出部のタッチ領域内でタッチ操作が検出されたときに文字が入力される、携帯端末(10)のプロセッサ(24)を、タッチ操作によって文字が入力されたとき、次に入力される可能性が高い文字を予測する予測部(S35)、および予測部によって予測された文字の文字入力キーに対応するタッチ領域を拡大するタッチ領域拡大部(S39)として機能させる、キー表示プログラムである。
【0031】
第9の発明でも、第1の発明と同様に、文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大され、文字入力キーの操作性が良くなる。
【0032】
第10の発明は、タッチパネル(38)を有し、複数の文字入力キー(68)を表示する表示部(30)と、タッチ操作を検出するタッチ検出部(36)とを含み、複数の文字入力キーに対応するタッチ検出部のタッチ領域内でタッチ操作が検出されたときに文字が入力される、携帯端末(10)のキー表示方法であって、タッチ操作によって文字が入力されたとき、次に入力される可能性が高い文字を予測し(S35)、そして予測された文字の文字入力キーに対応するタッチ領域を拡大する(S39)、キー表示方法である。
【0033】
第10の発明でも、第1の発明と同様に、文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大され、文字入力キーの操作性が良くなる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、キーに対応するタッチ領域が拡大されるため、キーの操作性が良くなる。
【0035】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1はこの発明の一実施例の携帯電話機の電気的な構成を示す図解図である。
【図2】図2は図1に示す携帯電話機の外観を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示す携帯電話機の姿勢の変化を示す図解図である。
【図4】図4は図1に示すディスプレイに表示されるソフトキーの一例を示す図解図である。
【図5】図5は図1に示すディスプレイに表示されるソフトキーの他の一例を示す図解図である。
【図6】図6は図1に示すRAMに記憶されるローマ字辞書の構成の一例を示す図解図である。
【図7】図7は図1に示すRAMに記憶される拡大テーブルの構成の一例を示す図解図である。
【図8】図8は図1に示すRAMに記憶される通常キーテーブルの構成の一例を示す図解図である。
【図9】図9は図1に示すRAMに記憶される拡大キーテーブルの構成の一例を示す図解図である。
【図10】図10は図1に示すRAMに記憶される表示キーテーブルの構成の一例を示す図解図である。
【図11】図11は図4に示す通常キーの構成の一例を示す図解図である。
【図12】図12は図5に示す拡大キーの構成の一例を示す図解図である。
【図13】図13は図5に示す拡大キーの構成の他の一例を示す図解図である。
【図14】図14は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図15】図15は図14に示すデータ記憶領域の一例を示す図解図である。
【図16】図16は図1に示すプロセッサのキー表示処理を示すフロー図である。
【図17】図17は図1に示すプロセッサのタッチ領域変更処理を示すフロー図である。
【図18】図18は図1に示すプロセッサの他の実施例のタッチ領域変更処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<第1実施例>
図1を参照して、この実施例の携帯電話機10は、携帯端末の一種であり、CPUまたはコンピュータと呼ばれるプロセッサ24を含む。また、このプロセッサ24には、無線通信回路14、A/D16、D/A20、キー入力装置26、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32、RAM34、タッチパネル制御回路36および加速度センサ38が接続される。無線通信回路14にはアンテナ12が接続され、A/D16にはマイク18が接続され、D/A20にはアンプ(図示せず)を介してスピーカ22が接続される。表示ドライバ28には、表示部として機能するディスプレイ30が接続される。そして、タッチパネル制御回路36にはタッチパネル38が接続される。
【0038】
記憶部と呼ばれるRAM34は、プロセッサ24の作業領域(描画領域を含む)ないしバッファ領域として用いられる。フラッシュメモリ32には、携帯電話機10の文字、画像、音声、音および映像のようなコンテンツのデータが記録される。
【0039】
A/D16は、当該A/D16に接続されたマイク18を通して入力される音声ないし音についてのアナログ音声信号を、デジタル音声信号に変換する。D/A20は、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換(復号)して、アンプを介してスピーカ22に与える。したがって、アナログ音声信号に対応する音声ないし音がスピーカ22から出力される。
【0040】
キー入力装置26は、通話キーおよび終話キーなどを備える。そして、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサ24に入力される。なお、キー入力装置26に含まれる各キーが操作されると、クリック音が鳴る。そして、使用者は、クリック音を聞くことで、キー操作に対する操作感を得ることができる。
【0041】
表示ドライバ28は、プロセッサ24の指示の下、当該表示ドライバ28に接続されたディスプレイ30の表示を制御する。なお、表示ドライバ28は表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリ(図示せず)を含む。
【0042】
タッチパネル38は、指などの物体が表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式で、たとえば1本または複数本の指がタッチパネル38に触れたことを検出する。また、タッチパネル38は、ディスプレイ30の画面内で、任意の位置を指示するためのポインティングデバイスである。たとえば、タッチパネル38は、その上面を指で、押したり、撫でたり、触られたりすることにより操作されると、その操作を検出する。そして、タッチ検出部とも呼ばれる、タッチパネル制御回路36は、タッチパネル38に指が触れると、その指の位置を特定し、操作された位置を示す座標のデータをプロセッサ24に出力する。つまり、使用者は、タッチパネル38の上面を指で、押したり、撫でたり、触れたりすることによって、操作の方向や図形などを携帯電話機10に入力することができる。
【0043】
ここで、使用者がタッチパネル38の上面を指で触れる操作を「タッチ」と言うことにする。一方、タッチパネル38から指を離す操作を「リリース」と言うことにする。また、使用者がタッチパネル38の上面をタッチして、続けてリリースする操作を「タッチアンドリリース」と言うことにする。そして、本実施例では、タッチ、リリースおよびタッチアンドリリースなど、タッチパネル38に対して行う操作をまとめて「タッチ操作」と言う。
【0044】
なお、タッチ操作は指だけに限らず、導電体が先端に取り付けられたタッチペンなど、その他の物体によって行われてもよい。また、タッチパネル38の検出方式には、表面型の静電容量方式が採用されてもよいし、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式および電磁誘導方式などであってもよい。
【0045】
加速度センサ40は、半導体式の3軸の加速度センサであり、各軸の加速度データをプロセッサ24に出力する。また、プロセッサ24は、各軸の加速度の値に対して逆三角関数を用いて、携帯電話機10の傾き、つまり角度を算出する。
【0046】
無線通信回路14は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、使用者がキー入力装置26を用いて音声発信を指示すると、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、音声発信処理を実行し、アンテナ12を介して音声発信信号を出力する。音声発信信号は、基地局および通信網(図示せず)を経て相手の電話機に送信される。そして、相手の電話機において着信処理が行われると、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は通話処理を実行する。
【0047】
通常の通話処理について具体的に説明すると、相手の電話機から送られてきた変調音声信号はアンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号には、無線通信回路14によって復調処理および復号処理が施される。そして、これらの処理によって得られた受話音声信号は、D/A20によってアナログ音声信号に変換された後、スピーカ22から出力される。一方、マイク18を通して取り込まれた送話音声信号は、A/D16によってデジタル音声信号に変換された後、プロセッサ24に与えられる。デジタル音声信号に変換された送話信号には、プロセッサ24の指示の下、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理が施され、アンテナ12を介して出力される。したがって、変調音声信号は、基地局および通信網を介して相手の電話機に送信される。
【0048】
また、相手の電話機からの発呼信号がアンテナ12によって受信されると、無線通信回路14は、音声着信(着呼と言うこともある。)をプロセッサ24に通知する。これに応じて、プロセッサ24は、表示ドライバ28を制御して、着信通知に記述された発信元情報(電話番号)をディスプレイ30に表示する。また、これとほぼ同時に、プロセッサ24は、図示しないスピーカから着信音(着信メロディ、着信音声と言うこともある。)を出力させる。
【0049】
そして、使用者が、通話キーを用いて応答操作を行うと、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、音声着信処理を実行し、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は上述した通常の通話処理を実行する。
【0050】
また、通話可能状態に移行した後に終話キーによって通話終了操作が行われると、プロセッサ24は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。通話終了信号の送信後、プロセッサ24は通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。
【0051】
なお、携帯電話機10は文章を作成するためのメモ帳機能を有している。そして、メモ帳機能が実行されると、ディスプレイ30には文字入力キー(図4(A)参照)が表示される。
【0052】
図2(A)は、携帯電話機10の表面の外観を示す外観図であり、図2(B)は携帯電話機10の裏面の外観を示す外観図である。図2(A)を参照して、携帯電話機10は、ストレート型の形状をしており、平面矩形の筐体Cを有する。図示しないマイク18は、筐体Cに内蔵され、内蔵されたマイク18に通じる開口OP2は筐体Cの長さ方向一方の表面に設けられる。同じく、図示しないスピーカ22は、筐体Cに内蔵され、内蔵されたスピーカ22に通じる開口OP1は、筐体Cの長さ方向他方の表面に設けられる。ディスプレイ30は、モニタ画面が筐体Cの表面側から見えるように取り付けられる。そして、ディスプレイ30にはタッチパネル38が設けられる。
【0053】
キー入力装置26が備える各種キーは、通話キー26a、機能キー26bおよび終話キー26cを備える。そして、これらのキーは筐体Cの表面に設けられる。
【0054】
たとえば、使用者は、ディスプレイ30に表示されたダイヤルキーに対して、タッチ操作を行うことで電話番号を入力し、通話キー26aによって音声発信操作を行う。そして、使用者は、通話が終了すると、終話キー26cによって通話終了操作を行う。また、使用者は、ディスプレイ30に表示されたソフトキーおよびメニューに対してタッチ操作を行うことで、メニューの選択や確定を行う。そして、使用者は、終話キー26cを長押しすることで携帯電話機10の電源をオン/オフする。
【0055】
なお、図2(A),(B)において、加速度センサ40は、携帯電話機10の縦方向(Y軸方向)、横方向(X軸方向)および厚み方向(Z軸方向)の3軸で各々の加速度を検出する。また、アンテナ12、無線通信回路14、A/D16、D/A20、プロセッサ24、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32、RAM34、タッチパネル制御回路36および加速度センサ40は筐体Cに内蔵されているため、図2(A),(B)では図示されない。
【0056】
図3(A)は携帯電話機10が縦向きで保持されている状態を示す図解図であり、図3(B)は携帯電話機が横向きで保持されている状態を示す図解図である。図3(A)を参照して、この状態は縦向き状態と呼ばれる。そして、使用者が通話を行う場合、携帯電話機10は縦向き状態で保持される。また、縦向き状態では、プロセッサ24は加速度センサ40が出力する加速度データから0度を算出する。なお、図示は省略するが、プロセッサ24が算出した角度が180度の場合も、携帯電話機10は縦向き状態となる。
【0057】
図3(B)を参照して、横向き状態は縦向き状態から右方向に90度回転すると、横向き状態にとなる。そして、使用者が文字を入力する場合、携帯電話機10は横向き状態で保持されることがある。また、横向き状態では、プロセッサ24は加速度センサ40が出力する加速度データから90度を算出する。なお、図示は省略するが、プロセッサ24が270度を算出した場合も、携帯電話機10は横向き状態となる。
【0058】
図4(A)は横向き状態で表示される横モードのソフトキー68を示す図解図であり、図4(B)は縦向き状態で表示される縦モードのソフトキー68を示す図解図である。図4(A)を参照して、メモ帳機能が実行された状態のディスプレイ30の表示領域は、状態表示領域60および機能表示領域62から構成される。状態表示領域60には、アンテナ12による電波受信状態を示すアイコン(ピクトと言うこともある。)、二次電池の残電池容量を示すアイコン、現在日時が表示される。なお、現在時刻は、図示しないRTCが出力する時刻情報に基づく。
【0059】
機能表示領域62は、入力文字表示領域64およびソフトキー表示領域66に分かれる。入力文字表示領域64には、現在の入力位置(編集位置)を示すカーソルCUが表示される。また、ソフトキー表示領域66には、QWERTY配列の文字入力キーから構成されている、ソフトキー68が表示されている。また、これらの文字入力キーは、文字入力キー毎に設定されたタッチ領域に基づいて表示される。そして、プロセッサ24は、文字入力キーに対応するタッチ領域内でタッチ操作が検出されると、そのキーに対応する文字をカーソルCUの位置に基づいて表示する。ここで、本実施例で言う、文字入力キーの「タッチ領域」とは、その領域に対してタッチすることで、文字入力キーに対応する文字を入力するための領域を意味する。そして、文字入力キーを表示するための「表示領域」と、「タッチ領域」とは異なる領域ある。
【0060】
また、メモ帳機能は、記号、英数字、日本語(ひらがな、カタカナおよび漢字)の文字を入力する事ができる。また、日本語の入力には、カナ入力モードおよび日本語のローマ字入力モードが対応している。たとえば、文字入力モードがローマ字入力である場合、状態表示領域60には、「ローマ字」と書かれた入力モードアイコン70が表示される。そして、使用者が日本語のローマ字入力の規則に基づいて、「A」キーに対応するタッチ領域に対してタッチ操作を行うと、カーソルCUの位置に応じて「あ」が表示される。なお、「SYS」キーが操作され入力モードが変化すると、入力モードアイコン70に表示される文字列も変化する。
【0061】
また、図4(B)に示すように、携帯電話機10が縦向き状態にされ場合でも、縦モードのソフトキー68が表示される。この場合、入力文字表示領域64表示できる行数は多くなる。したがって、使用者は、文章を作成する状況に応じて、携帯電話機10の姿勢を変化させることができる。
【0062】
さらに、メモ帳機能は、入力された文字に基づいて、次に入力される文字を予測する予測機能を有する。たとえば、ローマ字入力の規則に基づいて次に入力される文字を予測する場合、入力された子音(Kなど)の文字に基づいて、母音(Aなど)の文字、ヘボン式(S,H)の文字および拗音(Y)の文字が予測される。なお、入力が予測された文字は、「予測文字」と言うことがある。
【0063】
ここで、第1実施例では、予測された文字に対応する文字入力キーの表示領域と、その文字入力キーに対応するタッチ領域とが合わせて拡大される。以下、文字入力の流れに沿って、タッチ領域の拡大について説明する。
【0064】
図5(A)は横モードのソフトキー68において、一部の文字入力キーの表示領域と、対応するタッチ領域とが拡大された状態を示す図解図である。図5(B)は縦モードのソフトキーにおいて、一部の文字入力キーの表示領域と、対応するタッチ領域とが拡大された状態を示す図解図である。図5(A)および図5(B)を参照して、たとえば、「T」のキーに対してタッチ操作が行われると、ローマ字入力の規則に基づいて、母音の「A」,「I」,「U」,「E」,「O」キーと、ヘボン式の「H」,「S」キーと、拗音の「Y」キーとのタッチ領域が拡大される。つまり、タッチ領域の拡大に合わせて文字入力キーの表示も一緒に拡大されるため、文字入力キーの視認性も向上する。
【0065】
また、タッチ領域を拡大する場合には、隣接する他のキーに対応するタッチ領域と重複しないよう拡大される。たとえば、「Y」キーに対応するタッチ領域は、拡大されていない「T」キーに対応するタッチ領域はもちろんのこと、拡大された左側の「U」キーおよび下側の「H」キーに対応するタッチ領域とも重複しないように拡大される。つまり、タッチ領域が拡大されたとしても、他の文字入力キーに対応するタッチ領域に影響を与えることが無いため、他の文字入力キーの操作性を維持する事ができる。
【0066】
さらに、ローマ字入力の規則に基づいて、次に入力される文字が予測できない場合は、拡大されたタッチ領域は元の大きさに戻される。たとえば、「A」などの母音が入力された場合には、ローマ字入力の規則だけでは、次に入力される文字を予測する事は難しい。そのため、拡大されたタッチ領域は元の大きさに戻される。つまり、次に入力される可能性が高い文字を予測できない状態で、一部の文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大されていると、使用者が混乱する可能性がある。そのため、タッチ領域の拡大が不要な場合は、文字入力キーに対応するタッチ領域は元の大きさに戻される。
【0067】
次に、タッチ領域を拡大する処理について具体的に説明する。まず、文字が入力されると、その文字を図6に示すローマ字辞書から検索し、予測文字がローマ字辞書から読み出される。図6を参照して、たとえば、1文字目入力された文字が「T」であれば、読み出される予測文字は、「A」,「I」,「U」,「E」,「O」,「H」,「S」および「Y」である。そして、予測文字が特定されると、図7に示す拡大テーブルに取得された予測文字の結果が設定される。なお、入力文字が2文字目であれば、2文字目のローマ字辞書から予測文字が読み出される。
【0068】
図7を参照して、拡大テーブルは、「対象文字」と「拡大」との列から構成されている。また、「対象文字」の列には1行毎に26文字のアルファベットが設定されている。そして、「拡大」の列には、初期状態では全ての行に「0」が記録されている。そして、予測文字が設定されると、予測文字に対応する欄については「1」が設定される。たとえば、入力された文字が「T」であれば、予測文字の「A」および「S」などに対応する「拡大」の欄には、「1」が記録される。また、予測文字ではない「B」,「R」,「T」および「Z」などに対応する「拡大」の欄には「0」のままとなる。
【0069】
また、拡大テーブルが設定されると、拡大テーブルに設定された「0」、「1」に基づいて、タッチ領域が設定される。また、このタッチ領域は、2か所(左上および右下)の座標で示される。図8(A)に示す横用通常キーテーブルを参照して、たとえば、「A」キーに対応するタッチ領域は、左上の座標(15,330)と右下の座標(70,365)とで示される。
【0070】
そして、携帯電話機10が横向き状態であれば、拡大テーブルで「0」が設定された文字のタッチ領域は、図8(A)に示す横用通常キーテーブルから読み出される。また、拡大テーブルで「1」が設定された文字のタッチ領域は、図9(A)に示す横用拡大キーテーブルから読み出される。
【0071】
つまり、タッチ領域が拡大されていないキー(以下、通常キーと言う。)のタッチ領域は横用通常キーテーブルから読み出され、タッチ領域が拡大されたキー(以下、拡大キーと言う。)のタッチ領域は横用拡大キーテーブルから読み出される。
【0072】
続いて、携帯電話機10が横向き状態の場合、読み出されたタッチ領域は、図10(A)に示す表示キーテーブルに設定される。図10(A)を参照して、たとえば、拡大キーである、「A」キーに対応するタッチ領域(5,315),(80,365)および「S」キーに対応するタッチ領域(90,385),(165,365)は、図9(A)に示す横用拡大キーテーブルから読み出される。また、通常キーである、「B」キーに対応するタッチ領域(490,385),(545,420)、「R」キーに対応するタッチ領域(275,275),(330,310)、「T」キーに対応するタッチ領域(360,275),(415,310)および「Z」キーに対応するタッチ領域(150,385),(205,420)は、図8(A)に示す横用通常キーテーブルから読み出される。
【0073】
また、縦向き状態であれば、図7の拡大テーブルに基づいて、図8(B)に示す縦用通常キーテーブルおよび図9(B)に示す縦用拡大キーテーブルから、タッチ領域が読み出される。そして、読み出された通常キーおよび拡大キーに対応するタッチ領域は、図10(B)に示す表示キーテーブルに設定される。
【0074】
このように、事前に設定したタッチ領域から構成される、キーテーブルを利用することで、文字入力キーに対応するタッチ領域を設定するプロセッサ24の処理速度を早くすることができる。
【0075】
次に、設定されたタッチ領域に応じて描画されるキー表示について説明する。図11(A)を参照して、たとえば、通常キーである「A」キーのキー画像は、図11(B)に示す背景画像に対して、図11(C)に示す「A」の文字画像が重ねられた状態で、ディスプレイ30に描画されている。つまり、「A」キーのキー画像は、背景画像および文字画像から構成されている。そして、他の通常キーにおいても、「A」キーと同様、図11(B)に示す背景画像と、その文字入力キーに対応する文字画像とから構成されている。
【0076】
また、図11(C)を参照して、「A」を囲む点線はこのキーに対応するタッチ領域を示している。そして、点線で示されるタッチ領域と、図11(B)に示す背景画像との大きさは一致している。
【0077】
続いて、図12(A)を参照して、横向き状態でタッチ領域が拡大された「A」キーは、図12(B)に示す背景画像と図11(C)に示す文字画像とから構成される。さらに、図13(A)を参照して、縦向き状態でタッチ領域が拡大された「A」キーは、図8(B)に示す背景画像と図11(C)に示す文字画像とから構成される。
【0078】
このように、拡大キーおよび通常キーのどちらであっても、キーの中に描画される文字は、共通の画像データが利用される。さらに、ディスプレイ30に描画される拡大キーについては、図12(B)または図13(B)に示す背景画像も共通の画像データとして利用される。そして、文字入力キーを描画する場合、これらの共通の画像データが利用されるため、RAM34に記憶させる画像データが少なくなる。したがって、RAM34のメモリ容量を節約する事ができる。
【0079】
図14は、RAM34のメモリマップ300を示す図解図である。RAM34のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。また、プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ32から一度に全部または必要に応じて部分的かつ順次的に読み出され、RAM34に記憶されてからプロセッサ24によって処理される。
【0080】
プログラム記憶領域302には、携帯電話機10を動作させるためのプログラムが記憶されている。たとえば、携帯電話機10を動作させるためのプログラムは、キー表示プログラム310およびタッチ領域変更プログラム312などから構成されている。
【0081】
キー表示プログラム310は、たとえば、メモ帳機能が実行されたときに、図4(A),(B)に示すソフトキー68を表示するためのプログラムである。タッチ領域変更プログラム312は、文字入力キーに対応するタッチ領域を拡大したり、元に戻したりするためのプログラムである。
【0082】
なお、図示は省略するが、携帯電話機10を動作させるためのプログラムには、音声着信状態を通知するためのプログラム、通話状態を確立するためのプログラム、メモ帳機能を実行するためのプログラムなどが含まれる。
【0083】
図15を参照して、データ記憶領域304には、タッチバッファ330、入力文字バッファ332および姿勢バッファ334などが設けられる。また、データ記憶領域304には、タッチ座標マップデータ336、キー画像データ338、表示キーテーブルデータ340、拡大テーブルデータ342、ローマ字辞書データ344、横用通常キーテーブルデータ346、縦用通常キーテーブルデータ348、横用拡大キーテーブルデータ350および縦用拡大キーテーブルデータ352などが記憶される。さらに、データ記憶領域304には、タッチフラグ354および姿勢フラグ356などが設けられる。
【0084】
タッチバッファ330には、タッチパネル制御回路36から出力される座標が一時的に記憶される。入力文字バッファ332は、タッチ操作によって入力された文字が一時的に記憶される。たとえば、図5(A)に示す状態では、「T」が入力文字バッファ332に記憶される。姿勢バッファ334は、加速度センサ40から出力される3軸の加速度データが一時的に記憶される。
【0085】
タッチ座標マップデータ336は、タッチ操作におけるタッチ座標と、ディスプレイ30の表示座標とを対応付けるためのデータである。つまり、プロセッサ24は、タッチ座標マップデータ336に基づいて、タッチパネル38に対して行われたタッチ操作の結果を、ディスプレイ30の表示に対応づける。
【0086】
キー画像データ338は、図11(A)、図12(A)および図13(A)に示すキー画像を表示するためのデータである。そのため、キー画像データ338は、図11(B)に示す横用通常キー背景画像データ338a、図示しない縦用通常キー背景画像データ338b、図12(B)に示す横用拡大キー背景画像データ338c、図13(B)に示す縦用拡大キー背景画像データ338dおよび図11(C)に示す文字を含む文字画像データ338eから構成される。表示キーテーブルデータ340は、たとえば図10(A),(B)に示すように構成されたデータである。拡大テーブルデータ342は、たとえば、図7に示すように構成されたデータである。ローマ字辞書データ344は、たとえば、図6に示すように構成された辞書のデータである。
【0087】
横用通常キーテーブルデータ346は、図8(A)に示すように構成されたデータである。縦用通常キーテーブルデータ348は、図8(B)に示すように構成されたデータである。横用拡大キーテーブルデータ350は、図9(A)に示すように構成されたデータである。横用拡大キーテーブルデータ352は、図9(B)に示すように構成されたデータである。
【0088】
タッチフラグ354は、タッチパネル38に対してタッチ操作がされているか否かを判断するためのフラグである。たとえば、タッチフラグ354は、1ビットのレジスタで構成される。タッチフラグ354がオン(成立)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、タッチフラグ354がオフ(不成立)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
【0089】
姿勢フラグ356は、携帯電話機10の姿勢を判断するためのフラグである。姿勢フラグ356がオンであれば、携帯電話機10は横向き状態である。一方、姿勢フラグ356がオフであれば、携帯電話機10は縦向き状態である。そして、姿勢フラグ356は、姿勢バッファ334に記憶される加速度データに基づいて、オン/オフが切り替えられる。
【0090】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、アイコンをディスプレイ30に表示するための画像データなどが記憶されると共に、携帯電話機10の動作に必要なカウンタや、フラグも設けられる。
【0091】
プロセッサ24は、Android(登録商標)およびREXなどのLinux(登録商標)ベースのOSや、その他のOSの制御下で、図16に示すキー表示処理および図17に示す座標範囲変更処理などを含む、複数のタスクを並列的に処理する。
【0092】
図16はキー表示処理のフロー図である。たとえば、携帯電話機10のメモ帳機能を実行する操作がされると、プロセッサ24は、ステップS1で姿勢が横か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、携帯電話機10が図3(B)に示すように横向き状態であるかを判断するために、姿勢フラグ356がオンであるか否かを判断する。
【0093】
ステップS1で“YES”であれば、つまり携帯電話機10が横向き状態であれば、プロセッサ24はステップS3で、横用のキー画像を読み出す。つまり、ステップS3では、拡大テーブルデータ342に基づいて、横用通常キー背景画像データ338a、横用拡大キー背景画像データ338cおよび文字画像データ338eが読み出される。続いて、プロセッサ24は、ステップS5で、横モードのソフトキー68を表示する。たとえば、図4(A)に示すように、横モードのソフトキー68がディスプレイ30に表示される。また、ステップS1で“NO”であれば、つまり携帯電話機10が縦向き状態であれば、プロセッサ24はステップS7で、縦用のキー画像を読み出す。つまり、ステップS7では、拡大テーブルデータ342に基づいて、縦用通常キー背景画像データ338b、縦用拡大キー背景画像データ338dおよび文字画像データ338eが読み出される。続いて、プロセッサ24は、ステップS9で、縦モードのソフトキー68を表示する。たとえば、図4(B)に示すように、縦モードのソフトキー68がディスプレイ30に表示される。
【0094】
続いて、プロセッサ24は、ステップS11で、姿勢が変化したか否かを判断する。たとえば、携帯電話機10が横向き状態から縦向き状態に変化したかを判断するために、プロセッサ24は、姿勢フラグ356のオン/オフが切り替わったか否かを判断する。ステップS11で“YES”であれば、たとえば携帯電話機10が縦向き状態から横向き状態に変化すれば、プロセッサ24はステップS1の処理に戻る。
【0095】
また、ステップS11で“NO”であれば、つまり携帯電話機10の姿勢が変化していなければ、プロセッサ24はステップS13で、タッチ操作が検出されたか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、文字を入力するためのタッチ操作がされたかを判断するために、タッチフラグ352がオンであるか否かを判断する。ステップS13で“YES”であれば、つまり文字入力のためのタッチ操作が検出されれば、プロセッサ24はステップS15で、タッチ領域変更処理を実行し、ステップS11の処理に戻る。このタッチ領域変更処理については、図17に示すフロー図を用いて後述するため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0096】
一方、ステップS13で“NO”であれば、つまりタッチ操作が検出されなければ、プロセッサ24はステップS17で終了操作がされたか否かを判断する。たとえば、プロセッサ24は、メモ帳機能を終了させるための終了操作として、終話キー26cが操作されたか否かを判断する。ステップS17で“NO”であれば、つまり終了操作がされていなければ、プロセッサ24はステップS11に戻る。また、ステップS17で“YES”であれば、つまり終了操作がされれば、プロセッサ24はキー表示処理を終了する。
【0097】
図17は座標範囲変更処理のフロー図である。キー表示処理でステップS15が実行されると、プロセッサ24は、ステップS31でタッチ操作がされたキーの文字を取得する。たとえば、「T」キーに対してタッチ操作がされた場合には、「T」が入力文字バッファ332に格納されているため、プロセッサ24は、入力文字バッファ332から「T」データを取得する。
【0098】
続いて、プロセッサ24は、ステップS33で、取得された文字が辞書に登録されているか否かを判断する。たとえば、プロセッサ24は、ステップS31で入力文字バッファ332から取得された文字が、ローマ字辞書データ344に登録されているか否かを判断する。ステップS33で“NO”であれば、つまり入力文字バッファ332に記憶された文字がローマ字辞書データ344に登録されていなければ、プロセッサ24はステップS43に進む。
【0099】
また、ステップS35で“YES”であれば、つまり入力文字バッファ332に記憶された文字がローマ字辞書データ344に登録されていれば、プロセッサ24はステップS35で、取得された文字から次に入力される文字を予測する。たとえば、ローマ字辞書データ344において、取得した文字が「T」が検索され、予測文字(「A」,「I」,「U」,「E」,「O」,「H」,「S」)が読み出される。なお、ステップS35の処理を実行するプロセッサ24は予測部として機能する。
【0100】
続いて、ステップS37で予測された文字に基づいて拡大テーブルを設定する。つまり、図7に示す拡大テーブルにおいて、予測文字に対応する欄には「1」が記録される。つまり、予測文字に「A」および「S」が含まれていれば、図7に示す拡大テーブルのように、予測文字の「A」,「S」に対応する欄には「1」が記録される。
【0101】
続いて、ステップS39では、縦用または横用の通常キーおよび拡大キーに対応するタッチ領域を設定する。つまり、プロセッサ24は、拡大テーブルで「1」が記録された文字については、縦用または横用拡大キーテーブルからタッチ領域を読み出して、表示キーテーブルに設定する。また、プロセッサ24は、「0」が記録された文字については、縦用または横用通常キーテーブルからタッチ領域を読み出して、表示キーテーブルに設定する。つまり、図7に示す拡大テーブルに基づいてタッチ領域が設定された場合には、表示キーテーブルは、図10(A)のように設定される。なお、ステップS39の処理を実行するプロセッサ24はタッチ領域拡大部として機能する。
【0102】
続いて、プロセッサ24は、ステップS41では、設定されたタッチ領域に基づいて、ソフトキー68の一部を拡大する。たとえば、表示キーテーブルが図10(A)に示すように設定された場合には、図5(A)に示すように、「A」,「I」,「U」,「E」,「O」,「H」,「S」キーの表示も拡大される。そして、ステップS41の処理が終了すると、タッチ領域変更処理を終了して、キー表示処理に戻る。
【0103】
また、入力された文字がローマ字辞書に登録されていなければ、プロセッサ24は、ステップS43で、タッチ領域が拡大されたキーがあるか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、拡大テーブルデータ342において、「1」が記録された欄があるか否かを判断する。ステップS43で“NO”であれば、つまり拡大キーがなければ、プロセッサ24はタッチ領域変更処理を終了する。一方、ステップS43で“YES”であれば、つまりタッチ領域が拡大されたキーがあれば、プロセッサ24は、ステップS45で、縦用または横用の通常キーに対応するタッチ領域を設定する。つまり、プロセッサ24は、縦用または横用通常キーテーブルからタッチ領域を読み出して、表示キーテーブルに設定する。そして、拡大テーブルにおいては、全ての欄に「0」を記録する。つまり、ステップS45の処理では、拡大されたタッチ領域が元のタッチ領域に再設定される。なお、ステップS45の処理を実行するプロセッサ24は再設定部として機能する。
【0104】
続いて、ステップS47では、設定されてタッチ領域に基づいて、ソフトキー68を再表示する。たとえば、ソフトキー68が図5(A)のように表示されている場合、ソフトキー68は、図4(A)のように表示される。そして、ステップS47の処理が終了すれば、タッチ領域変更処理を終了する。
【0105】
なお、ステップS41およびステップS47の処理を実行するプロセッサ24は第1表示制御部として機能する。
【0106】
<第2実施例>
第2実施例では、第1実施例とは異なり、タッチ領域が拡大されたとしても、文字入力キーの表示領域は変化しない。なお、第2実施例の携帯電話機10は、第1実施例と同じであるため、携帯電話機10の電気的な構成および外観など、重複した説明は省略する。
【0107】
たとえば、第2実施例では、次に入力される文字が予測され、タッチ領域が拡大されたとしても、ソフトキー68は、図4(A),(B)に示すように表示される。
【0108】
このように、第2実施例では、文字入力キーの表示が変化しないため、使用者に対して表示の違和感を与えることなく、文字入力キーの操作性を良くすることができる。
【0109】
第2実施例のプロセッサ24は、図17に示すフローに代えて、図18に示す座標範囲変更処理を含む、複数のタスクを並列的に処理する。
【0110】
図18は、第2実施例における座標範囲変更処理のフロー図である。図18を参照して、第2実施例における座標範囲変更処理では、文字入力キーの表示領域をタッチ領域に合わせて拡大するステップS41と、拡大された表示領域を元に戻すステップS47とが省略される。
【0111】
そのため、図16のステップS15が実行されると、プロセッサ24はステップS31−S39の処理を実行し、文字入力キーに対応するタッチ領域が拡大される。そして、ステップS39の処理が終了するとタッチ領域拡大処理を終了して、キー表示処理に戻る。
【0112】
一方、ステップS33で“NO”であれば、つまり入力文字バッファ332に記憶された文字がローマ字辞書データ344に登録されておらず、タッチ領域が拡大されていれば、プロセッサ24はステップS43,S45を実行し、拡大されたタッチ領域を元の大きさに戻す。そして、ステップS45の処理が終了すれば、ステップS39の処理が終了したときと同じように、キー表示処理に戻る。
【0113】
なお、第2実施例では、プロセッサ24は、第2表示制御部として機能する。
【0114】
以上の説明から分かるように、携帯電話機10は、タッチパネル38が設けられたディスプレイ30およびタッチパネル38に対するタッチ操作を検出するタッチパネル制御回路36を備える。そして、ディスプレイ30には、QWERTY配列のソフトキー68が表示され、ソフトキー68に対してタッチ操作がされると、文字が入力される。また、携帯電話機10は、入力された文字に基づいて次に入力される文字を予測する予測機能を有している。そして、プロセッサ24は、タッチ操作によって文字が入力されると、次に入力される文字を予測し、その文字のキーに対応するタッチ領域を、他のキーに対応するタッチ領域と重複しないように拡大する。
【0115】
このように、キーに対応するタッチ領域が拡大され、キーの操作性が良くなる。
【0116】
なお、本実施例では、日本語の入力において一般的に利用されている、ローマ字入力の規則に基づいて次に入力される文字を予測する事ができる。
【0117】
また、他の実施例では、入力された文字を予測するための辞書は、「iWnn(登録商標)」などで利用される学習型の予測候補辞書や、「POBox(登録商標) Pro E」などの英語の予測変換に利用される英語用の予測候補辞書および英単語から構成される英単語辞書などが利用されてもよい。そして、これらの辞書を利用してタッチ領域を拡大する場合、予測候補の最上位に単語の先頭文字に対応して、タッチ領域が拡大される。たとえば、「S」が入力されたときに、予測候補の最上位が「summer」であれば、「U」キーに対応するタッチ領域が拡大される。さらに、この場合の次候補が「simple」であれば、「I」キーに対応するタッチ領域も拡大される。つまり、他の実施例では、使用者が入力した単語や文章に基づいて次に入力される文字が予測されるため、文字入力キーに対応するタッチ領域が的確に拡大される。
【0118】
また、ソフトキー68のキー配列は、QWERTY配列だけに限らず、ABC配列や、ドイツ語などに対応するQWERTZ配列、フランス語に対応するAZERTY(ASERTY)配列、中国語に対応する注音字母順の配列、朝鮮語に対応するハングル配列、ひらがなの50音配列、ひらがな/カタカナのJIS配列、数字/記号の入力に対応するキー配列などであってもよい。
【0119】
また、予測機能は、メモ帳機能だけに限らず、電子メールやSMS(Short Message Service)などのメッセージを送信する機能や、アドレス帳機能、ブラウザ機能および画像のタイトル編集機能などと同時に実行されてもよい。
【0120】
また、携帯電話機10の通信方式はCDMA方式であるが、LTE(Long Term Evolution)方式、W-CDMA方式、GSM方式、TDMA方式、FDMA方式およびPHS方式などが採用されてもよい。
【0121】
また、キー表示プログラム310およびタッチ領域変更プログラム312は、データ配信用のサーバのHDDに記憶され、通信を介して携帯電話機10に配信されてもよい。また、CD,DVD,BD(Blu-ray Disc)などの光学ディスク、USBメモリおよびメモリカードなどの記憶媒体にこれらのプログラムを記憶させた状態で、その記憶媒体が販売または配布されてもよい。
【0122】
さらに、本実施例は、携帯電話機10のみに限らず、スマートフォンおよびPDA(Personal Digital Assistant)などに適用されてもよい。
【0123】
そして、本明細書中で挙げた、タッチ領域を示す座標などの具体的な数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 … 携帯電話機
12 … アンテナ
14 … 無線通信回路
24 … プロセッサ
26 … キー入力装置
34 … RAM
36 … タッチパネル制御回路
38 … タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを有し、複数の文字入力キーを表示する表示部と、タッチ操作を検出するタッチ検出部とを含み、前記複数の文字入力キーのタッチ領域内でタッチ操作が検出されたときに文字が入力される、携帯端末であって、
タッチ操作によって文字が入力されたとき、次に入力される可能性が高い文字を予測する予測部、および
前記予測部によって予測された文字に対応する文字入力キーのタッチ領域を、他の文字入力キーのタッチ領域と重複しないように拡大するタッチ領域拡大部を備える、携帯端末。
【請求項2】
前記予測部によって次に入力される可能性が高い文字が予測できず、前記タッチ領域拡大部によってタッチ領域が拡大されているとき、拡大されたタッチ領域を元のタッチ領域に再設定する再設定部をさらに備える、請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記文字入力キーのタッチ領域を示すキーテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記キーテーブルは、拡大されたタッチ領域を示す拡大キーテーブルおよび通常のタッチ領域を示す通常キーテーブルを含み、
前記表示部は、前記拡大キーテーブルおよび前記通常キーテーブルに基づいて前記文字入力キーを表示する、請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記予測部は、日本語のローマ字入力の規則に基づいて、次に入力される可能性が高い文字を予測する、請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項5】
タッチパネルを有し、複数の文字入力キーを表示する表示部と、タッチ操作を検出するタッチ検出部とを含み、前記複数の文字入力キーのタッチ領域内でタッチ操作が検出されたときに文字が入力される、携帯端末のプロセッサを、
タッチ操作によって文字が入力されたとき、次に入力される可能性が高い文字を予測する予測部、および
前記予測部によって予測された文字に対応する文字入力キーのタッチ領域を、他の文字入力キーのタッチ領域と重複しないように拡大するタッチ領域拡大部として機能させる、キー表示プログラム。
【請求項6】
タッチパネルを有し、複数の文字入力キーを表示する表示部と、タッチ操作を検出するタッチ検出部とを含み、前記複数の文字入力キーのタッチ領域内でタッチ操作が検出されたときに文字が入力される、携帯端末のキー表示方法であって、
タッチ操作によって文字が入力されたとき、次に入力される可能性が高い文字を予測し、そして
予測された文字に対応する文字入力キーのタッチ領域を、他の文字入力キーのタッチ領域と重複しないように拡大する、キー表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−8866(P2012−8866A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145205(P2010−145205)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】