説明

携帯端末、ユーザ認証方法およびプログラム

【課題】正規ユーザが目的とする機能を利用できるまでの時間を短縮するとともに、不正ユーザに撮影を察知されにくくする。
【解決手段】携帯端末は、ユーザにより操作が開始されると、カメラ部を起動するとともに、認証結果が得られるまでの操作を許容する制御部と、前記カメラ部により所定のタイミングで撮影された被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なう認証部と、前記カメラ部の起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する位置誘導部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、ユーザ認証方法およびプログラムに関し、特に、カメラを用いてユーザ認証を行う携帯端末、ユーザ認証方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、数字の入力を検知したときにバックグラウンドで認証処理を開始し、認証処理が完了するまでの間ダミー発呼画面を表示部に表示させることにより、顔認証を実行していることが操作者に察知されないようにした携帯端末装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、取引画面を第1の領域と第2の領域に分け、第1の領域は取引操作案内及び入力を行わせ、第2の領域は生体認証のガイダンスを行い、第1の領域に表示される取引操作と第2の領域に表示される生体認証とを並列して動作出来るようにした自動取引装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135705号公報
【特許文献2】特開2007−109075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、操作者に察知されない態様で顔認証を行う場合、正規のユーザもまた顔認証を実施中であることに気付きにくくなってしまう。このため、適切な位置で撮影できず、ユーザ認証に失敗しまたは時間が掛かってしまい、正規ユーザにとっては利便性が低下してしまうという問題点がある。
【0006】
また、特許文献1の携帯端末装置では、ユーザ認証が完了するまでの間ダミー発呼画面を表示させるため、ユーザが目的とした機能を利用できるまでの時間が長くなってしまうという問題点もある。
【0007】
他方、携帯端末において、特許文献2のようにユーザに対し生体認証のガイダンスを行ってしまうと、特許文献1にも記載されているように、不正ユーザによる携帯端末の破棄、破壊が懸念される。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、正規ユーザの利便性を考慮するとともに、不正ユーザによる撮影の察知可能性を低減できる態様でユーザ認証を行う携帯端末、ユーザ認証方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点によれば、ユーザにより操作が開始されると、カメラ部を起動するとともに、認証結果が得られるまでの操作を許容する制御部と、前記カメラ部により所定のタイミングで撮影された被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なう認証部と、前記カメラ部の起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する位置誘導部と、を備えた携帯端末が提供される。
【0010】
本発明の第2の視点によれば、ユーザにより操作が開始されると、カメラを起動するステップと、前記カメラにより所定のタイミングで撮影した被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なうステップと、前記カメラ起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示するステップと、を含み、前記ユーザ認証による認証結果が得られるまでの操作を許容するユーザ認証方法が提供される。本方法は、カメラによるユーザ認証を行なう携帯端末という、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
本発明の第3の視点によれば、カメラ付き携帯端末に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムであって、ユーザにより操作の開始に応じて、カメラを起動するとともに、ユーザ認証による認証結果が得られるまでの操作を許容する処理と、前記カメラにより所定のタイミングで撮影した被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なう処理と、前記カメラ起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する処理と、を実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正規ユーザが目的とする機能を利用できるまでの時間を短縮するとともに、不正ユーザに撮影を察知されにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の概要を説明するための別の図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の携帯端末の構成を表したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第4の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の携帯端末の構成を表したブロック図である。
【図9】本発明の変形実施形態を説明するための図である。
【図10】本発明の変形実施形態を説明するための図である。
【図11】本発明の変形実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、本発明の概要を説明する。本発明に係るカメラ付き携帯端末は、ユーザにより操作が開始されるとカメラを起動し、ユーザからの操作受付処理と並行して予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なう。本発明に係るカメラ付き携帯端末は、前記カメラ起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が反映されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する。
【0015】
図1は、ユーザ認証に顔画像を用いる場合の被写体(顔)の位置を適正位置に誘導する表示の例である。図1の例では、同図右側に示されたように、携帯端末のカメラの撮像範囲θに、ユーザの顔が収まっていない。このとき、本発明に係るカメラ付き携帯端末は、、入力中の通話相手の電話番号とともに、被写体と、適正位置とのズレ量を表わす図形M1(適正)、M2(被写体)を表示する。なお、前記図形の位置は、撮影された顔画像の目、鼻、輪郭中心線などを基準に算出することができる。
【0016】
その後、上記図形M1(適正)、M2(被写体)を見たユーザが、カメラの撮像範囲θに、ユーザの顔が収まるように携帯端末を傾け、あるいは、顔を適正位置に移動させると、図2に示すように、被写体と、適正位置とのズレ量を表わす図形M1(適正)、M2(被写体)は重なって表示される。
【0017】
上記図2のような状態を検出した時点、あるいは、カメラ起動後一定時間経過後に顔画像の撮影を行ない、速やかに認証処理に移行し、正当なユーザであることが確認されれば、カメラ起動後、認証結果が得られるまでの操作は許容されているので、ユーザはそのまま所望の操作(例えば、通話相手の残りの電話番号と発信ボタンの押下)を継続することができる。他方、上記適正位置への案内にも拘らず、正当なユーザでないと判定された場合には、ユーザが発信ボタンの押下は拒否され、「ロック中です。」などといった表示が行われる。
【0018】
以上のように、本発明によれば、特定操作の開始とともに開始されるカメラによるユーザ認証において、被写体の位置の適正位置への誘導が行われるので、正規ユーザであるか
否かの判定に要する時間を短縮することが可能となる。
【0019】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図3は、本発明の第1の実施形態の携帯端末の構成を表したブロック図である。図3を参照すると、制御部11と、表示部12と、キー操作部13と、カメラ部14と、認証用画像記憶部15と、撮影画像記憶部16と、認証部17とを備えた携帯端末10の構成が示されている。なお、携帯端末10には、カメラを備えた携帯電話端末、スマートフォン、業務用携帯端末などの各種の小型端末のほか、カメラが主機能であるデジタルカメラなども含まれる。
【0020】
制御部11は、ユーザにより操作が開始されると、カメラ部14を起動し、撮像を開始させる。また、制御部11は、前記撮影開始後の所定の期間、前記ユーザによる特定の操作中の画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する位置誘導部として機能する。また、制御部11は、認証部17における判定結果に基づいて、前記特定の操作によって開始されようとしている機能の利用を許可または制限する。
【0021】
表示部12は、キー操作部13から入力された内容を表示する液晶ディスプレイ等により構成される。
【0022】
キー操作部13は、ユーザの各種操作を受け付けるボタンやポインティングデバイス等によって構成される。なお、キー操作部13として、タッチパネルを採用することも可能である。
【0023】
カメラ部14は、上記ユーザ認証時の被写体の撮影のほか、ユーザ認証用の画像(認証用画像)を撮影するために用いられ、撮影した画像は、認証用画像記憶部15または撮影画像記憶部16に格納される。
【0024】
認証部17は、認証用画像記憶部15および撮影画像記憶部16に格納された画像を照合することによりユーザ認証を行ない、その結果を制御部11に通知する。
【0025】
なお、図3では省略しているが、携帯端末10が、携帯電話端末、スマートフォン、業務用携帯端末などの通信機能を備える装置である場合には、その他通信部などが追加される(図8の通信部18参照)。
【0026】
以上、図3に示した携帯端末10の認証用画像記憶部15または撮影画像記憶部16は、携帯端末10のフラッシュメモリおよびメモリを用いて構成することができ、制御部11および認証部17は、携帯端末10に搭載されたコンピュータに、そのハードウェアを用いて、上記した処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0027】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。
【0028】
図4に示すように、携帯端末10は、キー操作部13への操作が行われると(図4のA1)、制御部11は、カメラ部14を起動して、撮影を開始させる(図4のC1)。
【0029】
ユーザが引き続きキー操作部13を操作すると、表示部12には、操作の結果が表示される(図4のA5)。
【0030】
同時に、制御部11は、カメラ部14で撮影された画像に基づいて、表示部12に被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する。その後、カメラ部14は、所定のタイミングで撮影した画像を撮影画像記憶部16に格納する(図4のC3)。なお、前記所定のタイミングとしては、図2に示すように、被写体と、適正位置とのズレ量を表わす図形M1(適正)、M2(被写体)が重なったタイミング、一定の距離に近づいたタイミング、あるいは、カメラ部14の起動から一定時間経過後(つまり、正規ユーザであれば十分に被写体を適正位置に移動させることのできる時間が経過した時点)を採用することができる。
【0031】
認証部17は、撮影画像記憶部16に格納された画像と、認証用画像記憶部15に格納された画像とを比較し、キー操作部13を操作したユーザが正規ユーザであるか否かの判定(ユーザ認証)を行って(図4のC4)、その結果を制御部11に出力する(図4のC5)。
【0032】
前記ユーザ認証の結果、正規ユーザであるとの判定結果が得られた場合(図4の判定「正規ユーザ?」のYes)、制御部11は引き続き操作を許容する(図4のA5)。
【0033】
一方、正規ユーザでないとの判定結果が得られた場合(図4の判定「正規ユーザ?」のNo)、制御部11は、以降の操作を制限、使用できないように制御する(図4のB1)。併せて、制御部11は、表示部12に、操作制限中である旨を表示する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、操作開始とともに並行して認証動作が開始され、かつ、被写体を適正位置に誘導する表示が行われるため、正規ユーザの操作を中断させることなく、迅速にユーザ認証を完了することができるという効果を奏する。
【0035】
また、本実施形態では、撮像しているタイミングを察知されにくい態様としているため、不正ユーザが対策を取ってしまう可能性を低減することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
続いて、上記第1の実施形態に変更を加えた本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0037】
上記した第1の実施形態では、正規ユーザであっても、撮影した環境が暗かったり、ユーザの顔の向きが正面でなかったり、条件により照合に失敗することが考えられる。操作開始後、一回目の撮影で正規ユーザであることを確認できなかった場合、再度の撮影と照合を繰り返すことも可能である。
【0038】
しかしながら、上述のとおり、ユーザの操作開始と並行してユーザ認証を行なう本発明では、認証期間の長期化は、本来使用を制限すべきユーザに対して、必要以上の時間、操作を許容することになってしまう。
【0039】
そこで、本発明の第2の実施形態では、タイマにより認証時間を制限することでセキュリティを高めている。なお、正規ユーザ、例えば、携帯端末10の所有者であれば、照合しやすい状態を意識して作り出せるため、利便性を大きく損なうことは無い。
【0040】
上記本発明の第2の実施形態は、上記第1の実施形態と同等の構成にて実現できるので、以下、動作上の相違点を中心に説明する。
【0041】
図5は、本発明の第2の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。図4に表わされた第1の実施形態の動作との相違点は、ユーザの操作開始とともにカメラ部14だけでなく、タイマも動作させ(図5のT1)、一定時間内(図5のT3の「計測」期間中)に、認証処理が完了しない場合、タイムアウトと判定し(図5のT5)、正規ユーザでないとの結果を返す点である。
【0042】
これにより、第1の実施形態の効果に加えて、よりセキュリティを向上させることが可能となる。
【0043】
[第3の実施形態]
続いて、上記第2の実施形態と同様の観点で、第1の実施形態に変更を加えた本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。
【0044】
上記した第2の実施形態では、タイマにより認証時間を制限したが、第3の実施形態では、セキュリティレベルの高い操作、例えば、アドレス帳の閲覧・操作、メールの閲覧・送受信、画像の閲覧・操作、発着信履歴の閲覧・操作、ICカード機能の利用等が行われるまでに、認証処理が完了し、正規ユーザであることが確認されれば、そのまま上記機能を利用することができ、それ以外は操作制限を受けるようにしている。
【0045】
上記本発明の第3の実施形態も、上記第1の実施形態と同等の構成にて実現できるので、以下、動作上の相違点を中心に説明する。
【0046】
図6は、本発明の第3の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。図4に表わされた第1の実施形態の動作との相違点は、ユーザの操作が開始され、特定機能を利用が開始されるまでに(図6のA3)、認証処理が完了しない場合、認証失敗と判定し(図5の「正規ユーザ?」のNo)、操作制限が行われる点である。
【0047】
以上のように、本実施形態も、第2の実施形態と同様に、よりセキュリティを向上させることが可能となる。
【0048】
[第4の実施形態]
上記した第1〜第3の実施形態では、カメラによるユーザ認証ができなかった場合、一律に操作制限を行うようにしているが、被写体の撮影ができない様な環境、例えば、暗くて顔を認識できないような場所での利用も考えられる。
【0049】
そこで、本実施形態では、上記のようにカメラによるユーザ認証に失敗した場合であっても、他のユーザ認証処理を行い、正規ユーザであることを確認できるようにしている。前記他のユーザ認証処理としては、パスワードの入力による認証や、ユーザの音声の照合など、種々の方法を採用することができる。
【0050】
上記本発明の第4の実施形態も、上記第1の実施形態と同等の構成にて実現できるので、以下、動作上の相違点を中心に説明する。
【0051】
図7は、本発明の第4の実施形態の携帯端末の動作を説明するための図である。図4に表わされた第1の実施形態の動作との相違点は、カメラによるユーザ認証で正規ユーザであることが確認できなかった場合(図7の「正規ユーザ?」のNo)に、第2の認証処理(図7のD4)を実行し、正規ユーザであることが確認できた場合は、ユーザの操作の継続を許容する点である。
【0052】
また、このときに、図7のC3で撮影した画像、あるいは、第2の認証処理後に再度撮影した画像を保存(既存の認証用画像と置き換え、または、追加)し、次回の認証用画像として用いてもよい。これにより、次回ユーザ認証時に、正規ユーザの判定率を向上させることができる。もちろん、暗くて顔を認識できないような場所である場合(ユーザに保存するか否かを問い合わせるほか、撮影した画像の輝度値の平均値やヒストグラムで検出可能)は、上記画像の保存を行わないようにしてもよい。
【0053】
[第5の実施形態]
上記した第1〜第4の実施形態では、携帯端末10側に認証部17が備えられているものとして説明したが、外部の認証サーバを利用してユーザ認証を行なう構成も採用可能である。
【0054】
図8は、本発明の第5の実施形態の携帯端末の構成を表したブロック図である。図3に表わした第1の実施形態との相違点は、携帯端末10の認証部17に代えて、通信部18が備えられ、外部の認証サーバ20の認証部27と通信して認証処理を行うように構成されている点である。
【0055】
本実施形態の動作としては、上記した第1〜第4の実施形態と同様の動作を採用できるので説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、より多くの認証用画像を保持したり、高機能な認証エンジンによる照合を行ったりすることが可能となる。また、認証サーバ20へアクセスする時点で、その他のユーザ認証を行なうことも可能である。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、上記した実施形態では、図形M1(適正)、M2(被写体)を用いて、被写体と適正位置の距離を表し、被写体の位置を適正位置に誘導するものして説明したが(図1、図2参照)、矢印記号などの方向を指し示すことのできる図形で、被写体の位置を適正位置に誘導する構成も採用可能である(図9、図11の符号M3、M6参照)。
【0058】
上記した実施形態の図形M1(適正)、M2(被写体)に代えて、被写体と適正位置の距離を示すグラフを表示したり、適正位置を画面中央として被写体の位置を示すポインタを表示する等の手法を用いて、ユーザに被写体の適正位置を知らせる構成も採用可能である。
【0059】
また、上記した各図形に代えて、ユーザが操作中の文字やカーソルの形状(図9の符号M3参照)や表示位置に変化を加えることにより、被写体と適正位置の距離を知らせる構成も採用可能である。例えば、図9の例では、ユーザによって入力されている電話番号のカーソルの位置に適正位置を知らせる矢印M3を表示している。また例えば、図10の例では、被写体の適正位置を図形M4で表わすとともに、被写体の現在位置をユーザによって入力されている電話番号の表示位置M5で表わしている。このほか、入力が済んだ文字に濃淡や傾きをつけたり、遠近感を持たせることにより、被写体の位置を適正位置に誘導するサインとしての役割を持たせることも可能である。
【0060】
もちろん、図11に示すように、携帯端末の画面上部の各種アイコン群と並列に、被写体の位置を適正位置に誘導する矢印M6を表示する構成も採用可能である。
【0061】
また、上記した第1〜第5の実施形態は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、第2の実施形態の一定時間の到来(タイムアウト判定)と、第3の実施形態の特定の機能の利用が開始された時点との双方でユーザ認証を打ち切る構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 携帯端末
11 制御部
12 表示部
13 キー操作部
14 カメラ部
15、25 認証用画像記憶部
16 撮影画像記憶部
17、27 認証部
18 通信部
20 認証サーバ
M1〜4、M6 図形
M5 文字表示位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作が開始されると、カメラ部を起動するとともに、認証結果が得られるまでの操作を許容する制御部と、
前記カメラ部により所定のタイミングで撮影された被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なう認証部と、
前記カメラ部の起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する位置誘導部と、
を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記位置誘導部は、前記カメラ部により撮像された被写体の像を用いて、前記被写体の特徴部分の現在位置と、被写体の特徴部分の目標位置との距離を示す図形を表示する請求項1の携帯端末。
【請求項3】
前記被写体の特徴部分の現在位置と、被写体の特徴部分の目標位置との距離に基づいて、ユーザ認証に用いる画像の撮影タイミングを決定する請求項1または2の携帯端末。
【請求項4】
前記位置誘導部は、前記図形に代えて、前記被写体の特徴部分の現在位置と、被写体の特徴部分の目標位置との距離に応じて、前記ユーザによる特定の操作により入力された文字またはカーソルの、形状または表示位置を変化させる請求項2または3の携帯端末。
【請求項5】
前記認証部によるユーザ認証が、所定時間内または前記ユーザの操作により特定の機能が起動されるまでに完了しない場合には、ユーザ認証に失敗したものと判定する請求項1から4いずれか一の携帯端末。
【請求項6】
前記認証部によるユーザ認証が所定時間内に完了しない場合には、他の認証手段によるユーザ認証を実行し、前記他の認証手段によるユーザ認証に成功した場合、次回のユーザ認証時の認証用画像の更新動作を行う請求項1から5いずれか一の携帯端末。
【請求項7】
前記認証部によるユーザ認証に代えて、ネットワーク上に配置され、予め登録された認証用画像を用いた認証処理を行う認証サーバを利用してユーザ認証を行う請求項1から6いずれか一の携帯端末。
【請求項8】
ユーザにより操作が開始されると、カメラを起動するステップと、
前記カメラにより所定のタイミングで撮影した被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なうステップと、
前記カメラ起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示するステップと、
を含み、
前記ユーザ認証による認証結果が得られるまでの操作を許容するユーザ認証方法。
【請求項9】
カメラ付き携帯端末に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムであって、
ユーザにより操作の開始に応じて、カメラを起動するとともに、ユーザ認証による認証結果が得られるまでの操作を許容する処理と、
前記カメラにより所定のタイミングで撮影した被写体と予め登録した認証用画像との照合によりユーザ認証を行なう処理と、
前記カメラ起動後の所定の期間、前記ユーザによる操作内容が表示されている画面に、前記被写体の位置を適正位置に誘導する図形を表示する処理と、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−73724(P2012−73724A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216710(P2010−216710)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】