説明

携帯端末、位置測定方法及びプログラム

【課題】GPS衛星から発信された電波が届かない場所であっても、周囲の通信環境に応じて自位置を適切に測定することができる携帯端末、位置測定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信部101は、通信規格が異なる2以上の通信装置(CDMA)1011等を介して、周辺装置20に、周辺装置20の位置情報と位置情報を発信するための準備時間である応答期間とを含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を送信するとともに、周辺装置から位置関連情報を受信する。時間測定部1092は、位置関連情報取得要求を送信してから位置関連情報を受信するまでの応答待ち期間を測定する。距離測定部1093は、応答待ち期間と応答期間とに基づいて周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、自位置測定部1094は、測定した距離と受信した周辺装置位置情報が示す位置とに基づいて自位置を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、位置測定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)衛星等から発信された電波を受信して自位置を示す位置情報を取得し利用することができる携帯端末が増えてきている。しかし、地下などでは、GPS衛星等から発信された電波が届かないため、携帯端末は自位置の位置情報を利用することができない。
【0003】
一方、位置が判明している周辺装置からその位置を示す位置情報を無線通信により取得して位置が判明していない携帯端末の位置を推定する位置判定方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。これらの位置判定方法によれば、近くに位置が判明している周辺装置があれば、地下などでも自位置を推定することができ、携帯端末は推定した自位置の位置情報を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−506930号公報
【特許文献2】特表2004−516463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、無線通信には各種の規格があり、異なる通信規格を有する装置間では通信ができない。携帯端末の周囲に位置する周辺装置は、相互に異なる通信規格のものが存在することがある。その場合、周辺装置の通信環境はそれぞれに異なることになる。そのため、携帯端末は、特許文献1及び2で開示された方法では、様々な通信環境に対応することができず、周囲の、すなわち自位置を測定するための情報源である周辺装置の通信環境に応じて自位置を適切に測定することができないことがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、GPS衛星から発信された電波が届かない場所であっても、周囲の通信環境に応じて自位置を適切に測定することができる携帯端末、位置測定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る携帯端末は、
時間測定部、距離測定部、及び自位置測定部を有するとともに、全体制御を行う制御部と、
通信規格が異なる2以上の通信装置から構成され前記制御部の制御により前記各通信装置を介して外部との情報の送受信を行う通信部と、
を備え、
前記通信部は、周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、前記各通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信し、
前記時間測定部は、前記通信部により前記位置関連情報取得要求が送信されてから、前記通信部により前記位置関連情報が受信されるまでの期間である応答待ち期間を測定し、
前記距離測定部は、前記応答待ち期間及び前記通信部により受信された前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得し、
前記自位置測定部は、前記通信部により受信された3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する、
ことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る位置測定方法は、
周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、通信規格が異なる2以上の通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信する通信工程と、
前記位置関連情報取得要求を送信してから、前記位置関連情報を受信するまでの期間を示す応答待ち期間を測定する時間測定工程と、
前記応答待ち期間及び受信した前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得する距離測定工程と、
受信した3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する自位置測定工程と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、通信規格が異なる2以上の通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信する通信手順と、
前記位置関連情報取得要求を送信してから、前記位置関連情報を受信するまでの期間を示す応答待ち期間を測定する時間測定手順と、
前記応答待ち期間及び受信した前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得する距離測定手順と、
受信した3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する自位置測定手順と、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、GPS衛星から発信された電波が届かない場所であっても、周囲の通信環境に応じて自位置を適切に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る位置測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す周辺装置ファイルの構成を示す図である。
【図4】図1に示す周辺装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図2に示す携帯電話の制御部が実行する位置測定処理のフローチャートである。
【図6】図4に示す通信部が送信する位置関連情報の構成を示す図である。
【図7】実施形態1に係る携帯電話と周辺装置との間の距離を測定する方法の一例を説明するための図である。
【図8】実施形態1に係る携帯端末の最小限の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示す通信規格DB(データベース)の構成を示す図である。
【図11】実施形態2に係る自位置を算出する方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る位置測定システム100を、図面を参照して説明する。
【0013】
実施形態1に係る位置測定システム100は、図1に示すように、携帯電話10と、複数の周辺装置20(20〜20)と、複数のGPS衛星30(30〜30)を備えている。携帯電話10は、一般的な通話機能の他、GPS衛星30から受信した電波又は周辺装置20から受信した電波に基づいて自位置を算出(測定)するという機能を有する。
【0014】
携帯電話10は、図2に示すように、通信部101と、GPS受信機102と、操作部103と、表示部104と、コーデック部105と、スピーカ106と、マイク(マイクロフォン)107と、記憶部108と、制御部109と、を備えている。
【0015】
通信部101は、通信規格が異なる2以上の通信装置を備えている。実施形態1では、理解を容易にするため、通信部101は、CDMA(Code Division Multiple Access)の通信規格に適応した通信装置(CDMA)1011、Bluetooth(登録商標)の通信規格に適応した通信装置(Bluetooth(登録商標))1012、無線LAN(Local Area Network)の通信規格(IEEE802.11a等)に適応した通信装置(無線LAN)1013、無線USB(Universal Serial Bus)の通信規格に適応した通信装置(無線USB)1014、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の通信規格に適応した通信装置(WiMAX)1015を備えているものとする。
【0016】
通信装置(CDMA)1011は、近傍の基地局を介して他の携帯電話10と無線通信する。通信装置(CDMA)1011は、他の携帯電話10が送信した音声信号を受信して復調した後、復調した音声信号をコーデック部105を介してスピーカ106に供給し、音声を出力させる。また、通信装置(CDMA)1011は、マイク107からコーデック部105を介して供給された音声信号を変調した後、変調した音声信号を近傍の基地局を介して他の携帯電話10に送信する。
【0017】
通信装置(Bluetooth(登録商標))1012は、制御部109の制御下、Bluetooth(登録商標)の通信規格に適応した周辺装置20と無線通信する。
【0018】
通信装置(無線LAN)1013は、制御部109の制御下、無線LANの通信規格に適応した周辺装置20と無線通信する。
【0019】
通信装置(無線USB)1014は、制御部109の制御下、無線USBの通信規格に適応した周辺装置20と無線通信する。
【0020】
通信装置(WiMAX)1015は、制御部109の制御下、WiMAXの通信規格に適応した周辺装置20と無線通信する。
【0021】
GPS受信機102は、制御部109の要求に応答して、GPS衛星30から受信した電波に基づいて自位置を算出し、算出した自位置を示す自位置情報を制御部109に供給する。
【0022】
操作部103は、ダイヤルボタン等を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部109に供給する。
【0023】
表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、制御部109の制御下、待ち受け画面等の画像や各種メッセージを表示する。
【0024】
コーデック部105は、コーデック、DAC(Digital to Analog Converter)、ADC(Analog to Digital Converter)、アンプなどから構成され、通信装置(CDMA)1011から供給されたデジタルの音声信号を復号し、アナログ信号に変換した後、変換したアナログ信号を増幅してスピーカ106に供給し、音声を出力させる。また、コーデック部105は、マイク107から供給されたアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換し、符号化した後、符号化したデジタル信号を通信装置(CDMA)1011に供給する。
【0025】
スピーカ106は、コーデック部105から供給されるアナログの音声信号により駆動され、放音する。スピーカ106は、イヤホン、ヘッドホン等を含む。
【0026】
マイク107は、ユーザの発する音声などの周囲の音に基づいて、アナログの音声信号を生成し、生成した音声信号をコーデック部105に供給する。
【0027】
記憶部108は、ROM(Read Only Memory)1081、RAM(Random Access Memory)1082などから構成される。ROM1081は、制御部109が実行するプログラム等を記憶している。一方、RAM1082は、作業領域として、制御部109が実行するプログラムやデータ等を一時的に記憶する。なお、制御部109は、図3に示すように、周辺装置20から取得した周辺装置位置情報と所定の方法で算出(測定)した周辺装置20と自位置との間の距離(距離測定値)とを対応付けて格納する周辺装置ファイル1082aを所定のタイミングで作成し、RAM1082に記憶する。詳細については後述する。
【0028】
制御部109は、CPU(Central Processing Unit)などから構成され、ROM1081に記憶された所定のプログラムをCPUが実行することにより、図2に示す各部を制御し、一般的な通話機能の他、GPS衛星30から受信した電波又は周辺装置20から受信した電波に基づいて自位置を算出するという機能を有する。また、制御部109は、タイマ1091を備え、自位置を算出するための機能構成要素として時間測定部1092と、距離測定部1093と、自位置測定部1094とを備える。時間測定部1092、距離測定部1093、及び自位置測定部1094を含めた制御部109の機能と制御の詳細については後述する。
【0029】
図1に示す周辺装置20は、携帯電話10の周辺に存在する装置であって、携帯電話10からの要求に応答して、その位置を示す位置情報(周辺装置位置情報)と後述する応答期間とを含む位置関連情報を無線で送信する。周辺装置20は、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、プリンタ、コピー機、アクセスポイント等を含む。
【0030】
周辺装置20は、図4に示すように、通信部201と、操作部202と、表示部203と、記憶部204と、制御部205と、を備えている。
【0031】
通信部201は、任意の通信規格に適応した通信装置を備え、携帯電話10と無線通信する。実施形態1では、理解を容易にするため、通信部201は、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線USB、WiMAXのうち、いずれか1つの通信規格に適応した通信装置から構成されるものとする。
【0032】
操作部202は、操作ボタン等を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部205に供給する。
【0033】
表示部203は、LCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、制御部205の制御下、様々な画像を表示する。
【0034】
記憶部204は、図示を省略したROMやRAM等のメモリで構成され、ROMは制御部205が実行するプログラムを記憶し、RAMは制御部205の作業領域としてのメモリを含む。また、記憶部204は周辺装置20の位置を示す周辺装置位置情報を記憶する位置情報記憶部2041を備えている。本実施形態では、周辺装置位置情報に、周辺装置20が存在する位置における緯度、経度、及び高度(例えば海抜)を含めている。
【0035】
制御部205は、CPUなどから構成され、記憶部204に記憶された所定のプログラムを実行することにより、携帯電話10の要求に応答して、周辺装置位置情報と後述する応答期間とを含む位置関連情報を、通信部201を介して無線で送信する。また、制御部205は、タイマ2051を備える。
【0036】
図1に示すGPS衛星30は、時刻を示す時刻情報及びGPS衛星30の軌道を示す軌道情報を含む電波を発信する。
【0037】
次に、上記構成を有する位置測定システム100の動作を、携帯電話10の動作を中心に説明する。
【0038】
携帯電話10は、一般的な通話機能の他、GPS衛星30から受信した電波又は周辺装置20から受信した電波に基づいて自位置を算出(測定)するという機能を有する。以下、ユーザからの指示に応答して、携帯電話10が自位置を算出する場合を例にして携帯電話10の動作を説明する。
【0039】
ユーザは、携帯電話10の位置を測定したい場合、操作部103を操作してその旨を指示する。制御部109は、ユーザからの位置測定指示に応答して、図5に示す位置測定処理を開始し、まず、自位置を示す自位置情報を取得したい旨の要求(自位置情報取得要求)をGPS受信機102に送信する(ステップS11)。
【0040】
GPS受信機102は、自位置情報取得要求に応答して、3以上のGPS衛星30から電波を受信可能であるか否か、即ち、GPS衛星30から受信した電波に基づいて携帯電話10の自位置を算出することができるかを判別する。GPS受信機102は、GPS衛星30から受信した電波に基づいて携帯電話10の自位置を算出することができると判別した場合、GPS衛星30から受信した電波に含まれる時刻情報と軌道情報とに基づいて、三角測量の原理に従って自位置を算出し、算出した自位置を示す自位置情報を制御部109に送信する。一方、GPS受信機102は、GPS衛星30から受信した電波に基づいて携帯電話10の自位置を算出することができないと判別した場合、自位置を取得できない旨のメッセージ(取得不可メッセージ)を制御部109に送信する。
【0041】
制御部109は、GPS受信機102から自位置情報又は取得不可メッセージを受信する(ステップS12)。制御部109は、GPS受信機102から自位置情報を受信したか否かを判別する(ステップS13)。GPS受信機102から自位置情報を受信していれば(ステップS13;Yes)、制御部109は、自位置を表示部104に表示する(ステップS17)。GPS受信機102から自位置情報を受信しない場合(ステップS13;No)、制御部109は、周辺装置20の周辺装置位置情報と後述する応答期間とを含む位置関連情報を取得したい旨の要求(位置関連情報取得要求)を、通信部101を介して携帯電話10の周辺に存在する周辺装置20に無線で送信する(ステップS14)。
【0042】
制御部109は、3以上の周辺装置20から位置関連情報を受信したか否かを判別する(ステップS15)。3以上の周辺装置20から位置関連情報を受信していないと判別した場合(ステップS15;No)、制御部109は、自位置を測定することができない旨のメッセージ(位置測定不可メッセージ)を表示部104に表示し(ステップS18)、位置測定処理を終了する。
【0043】
一方、3以上の周辺装置20から位置関連情報を受信したと判別した場合(ステップS15;Yes)、周辺装置20から受信した位置関連情報と後述する応答待ち期間とに基づいて、自位置を算出する(ステップS16)。制御部109は、算出した自位置を表示部104に表示し(ステップS17)、位置測定処理を終了する。
【0044】
具体的には、制御部109は、ステップS14で、位置関連情報取得要求を送信する旨の送信指示信号を、通信装置(Bluetooth(登録商標))1012、通信装置(無線LAN)1013、通信装置(無線USB)1014、及び通信装置(WiMAX)1015に供給する。
【0045】
通信装置(Bluetooth(登録商標))1012、通信装置(無線LAN)1013、通信装置(無線USB)1014、及び通信装置(WiMAX)1015は、送信指示信号に応答して、位置関連情報取得要求をそれぞれの通信規格に従って無線で送信する。
【0046】
位置関連情報取得要求を受信することができた周辺装置20の制御部205は、位置関連情報取得要求に応答して、図6に示すように、位置情報記憶部2041に記憶している周辺装置位置情報、及び位置関連情報取得要求を受信してから周辺装置位置情報を送信するまでの期間、すなわち周辺装置位置情報を送信する準備時間(準備期間)を示す応答期間を含む位置関連情報を通信部201を介して携帯電話10に送信する。なお、制御部205は、タイマ2051により応答期間を測定する。
【0047】
通信装置(Bluetooth(登録商標))1012、通信装置(無線LAN)1013、通信装置(無線USB)1014、及び通信装置(WiMAX)1015は、位置関連情報取得要求を送信してから所定の期間Tout内に周辺装置20から位置関連情報を受信したときに、受信した位置関連情報を制御部109に供給する。なお、所定の期間Toutは処理を開始してから中止(タイムアウト)するまでの期間に相当し、この期間内に3以上の位置関連情報を受信しなかったときは自位置測定に関する処理を中止する。
【0048】
制御部109の時間測定部1092は、位置関連情報取得要求を送信したときから位置関連情報を受信したときまでの時間である応答待ち期間を測定する。具体的には、時間測定部1092は、タイマ1091により、位置関連情報取得要求を送信したときからの経過時間の計測を開始する。時間測定部1092は、通信装置(Bluetooth(登録商標))1012〜通信装置(WiMAX)1015を介して周辺装置20から、位置関連情報を受信する毎に、その時点のタイマ1091の計測値から応答待ち期間を測定する。時間測定部1092は、通信部101で受信した少なくとも3の位置関連情報のそれぞれに対して応答待ち期間を測定する。制御部109の距離測定部1093は、3以上の位置関連情報に含まれる応答期間と各位置関連情報に対応する応答待ち期間とに基づいて、各位置関連情報に含まれる周辺装置位置情報が示す位置から携帯電話10の自位置までの距離を算出し距離測定値として取得する。
【0049】
例えば、図7に示すように、携帯電話10が位置関連情報取得要求を周辺装置20に送信し、周辺装置20が、位置関連情報取得要求に応答して、周辺装置位置情報及び応答期間を含む位置関連情報を携帯電話10に送信したとする。この場合、制御部109の距離測定部1093は、応答待ち期間と受信した位置関連情報に含まれる応答期間とに基づき携帯電話10と周辺装置20との間の距離を算出し、距離測定値とする。算出方法は、例えば、距離=光速×(応答待ち期間−応答期間)/2という関係式による。なお、図7において、携帯電話10、及び周辺装置20の位置にある下向きの矢印を有する線は時間の経過を示し、携帯電話10と周辺装置20との間の間隔は両者間の距離を示す。
【0050】
制御部109は、新規ファイルとして周辺装置ファイル1082aをRAM1082に作成し、周辺装置20から受信した位置関連情報のそれぞれについて、位置関連情報に含まれる周辺装置位置情報と距離測定値とを対応付けて周辺装置ファイル1082aに格納する。
【0051】
制御部109の自位置測定部1094は、周辺装置ファイル1082aに格納した周辺装置位置情報と距離測定値とに基づいて、自位置を算出する。具体的には、自位置測定部1094は、3以上の周辺装置20のそれぞれの周辺装置位置情報が示す位置を中心とし、3以上の周辺装置20のそれぞれに対して距離測定値を半径とする球を生成し、得られた3以上の球の交点を求めることにより、自位置を算出する。なお、距離測定値に誤差がある場合は3以上の球は1点で交わらない。1点で交わらない場合は、自位置測定部1094は、例えば、各球の表面で囲まれた領域の重心を求めて、この重心の位置を自位置とする。このようにして、制御部109は、3以上の周辺装置20から受信した位置関連情報と応答待ち期間とに基づいて自位置を算出する。
【0052】
これまで携帯電話10を例にして説明したが、携帯電話10は携帯端末としてもよい。 実施形態1に係る携帯端末の最小限の構成を図8に示す。最小限の構成とは本願発明に必須の機能のみを達成するために必要な構成のことである。図8に示すように実施形態1に係る携帯端末は必須の構成要素として、時間測定部1092、距離測定部1093、及び自位置測定部1094を有する制御部109と、通信規格が異なる2以上の通信装置で構成され、制御部109の制御により外部との情報の送受信を行う通信部101とを備える。図8では、通信部101は、外部との通信用に、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信規格に適応した通信装置(Bluetooth(登録商標))1012と、無線LANの通信規格に適応した通信装置(無線LAN)1013とを備えているとする。
【0053】
通信部101は、上記の位置関連情報取得要求を、通信装置(Bluetooth(登録商標))1092及び通信装置(無線LAN)1093を介して送信する。
【0054】
この携帯端末の周辺に存在する周辺装置20とこの携帯端末との間で情報の送受信に使用される電波が、携帯端末及び周辺装置20の双方において受信に必要な強度で得られる周辺装置20が例えば4台存在し、その内2台はBluetooth(登録商標)の通信規格に適応した通信装置(Bluetooth(登録商標))を備え、他の2台は無線LANの通信規格に適応した通信装置(無線LAN)を備えているとする。このときはこの4台の周辺装置20はそれぞれの通信装置で携帯端末から送信された位置関連情報取得要求を受信することができ、位置関連情報を携帯端末に送信することができる。携帯端末は装備している通信装置(Bluetooth(登録商標))1012及び通信装置(無線LAN)1013を介して、これらの周辺装置から送信される位置関連情報を受信することができる。
【0055】
この場合、携帯端末が受信した位置関連情報の数は4となり、既に説明したように、携帯端末は、時間測定部1092、距離測定部1093、及び自位置測定部1094を介して自位置を測定できる。
【0056】
三角測量の原理で自位置を測定するためには、位置関連情報は3以上でなければならない。もし、携帯端末が通信部101としてBluetooth(登録商標)又は無線LANのいずれかの通信規格に適用した通信装置のみしか備えていない場合は、受信できる位置関連情報の数は2となり、自位置を測定することができなくなる。通信規格が異なる2以上の通信装置を備えることで3以上の位置関連情報を取得する確率が増加し、自位置を測定できる可能性もその分高くなる。
【0057】
以上、説明したように、携帯電話10は、通信規格が異なる2以上の通信装置(Bluetooth(登録商標))1012〜通信装置(WiMAX)1015を介して3以上の周辺装置20から位置関連情報を受信し、受信した位置関連情報と応答待ち期間とに基づいて自位置を算出する。このため、GPS衛星から発信された電波が届かない場所であっても、周囲の、すなわち自位置を測定するための情報源である周辺装置20の通信環境に応じて自位置を適切に測定することができる。
【0058】
また、携帯電話10は、3以上のGPS衛星30から電波を受信することができる場合、GPS衛星30から受信した電波に基づいて自位置を算出し、3以上のGPS衛星30から電波を受信することはできないが、3以上の周辺装置20から位置関連情報を受信することができる場合、周辺装置20から受信した位置関連情報と応答待ち期間とに基づいて自位置を算出する。このため、GPS衛星30から発信された電波の受信状態に応じて、自位置を適切に測定することができる。
【0059】
(実施形態2)
実施形態1では、携帯電話10は、周辺装置20から受信した位置関連情報と応答待ち期間とに基づいて自位置を算出する。実施形態2では、携帯電話10は、周辺装置20から受信した位置関連情報と、応答待ち期間と、周辺装置位置情報を受信した通信装置の通信規格に基づいて自位置を算出する。この場合の携帯電話10Aの構成を図9に示す。なお、図2と同一部分には同一符号を付す。
【0060】
実施形態2に係る携帯電話10Aは、実施形態1に係る携帯電話10を構成する要素の他、RAM1082に通信規格DB1082bを備えている。通信規格DB1082bは、図10に示すように、通信規格と、この通信規格に適応した通信装置で送受信される電波に基づいて通信装置間の距離を測定するときの誤差を示す測定誤差情報とを対応付けて記憶している。図10に示す例では、測定誤差情報は、所定の通信規格を適用した通信装置が発信する電波の到達距離に対する割合(a〜d%)として示されている。所定の通信規格とは、距離測定値の算出に利用した位置関連情報を受信した通信装置に適用されている通信規格であり、電波の到達距離とはその位置関連情報を発信した周辺装置20と携帯電話10Aとの間の距離を意味し、距離測定値で代用される。
【0061】
実施形態2では、距離測定部1093は、図10に示す通信規格DB1082bから、所定の通信規格に対応付けられた測定誤差情報を読み出す。所定の通信規格とは距離測定値の算出に利用した位置関連情報を受信した通信装置に適用されている通信規格のことである。距離測定部1093は、距離測定値にこの測定誤差情報の値を乗じて距離測定誤差を算出する。自位置測定部1094は、この距離測定誤差を利用して自位置を算出する。
【0062】
例えば、図10に示されている測定誤差情報a〜d%がそれぞれ10%であり、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線USB、WiMAXの通信規格に適応する通信装置が発信する電波の到達距離、すなわち距離測定値がそれぞれ、100m、30m、10m、48kmであるとすると、10m、3m、1m、4800mがそれぞれ、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線USB、WiMAXの通信規格に対応する距離測定誤差となる。
【0063】
以下、理解を容易にするため、携帯電話10Aが送信する位置関連情報取得要求を受信することができる位置に、Bluetooth(登録商標)の通信規格に適応した通信装置を備えた周辺装置20、無線LANの通信規格に適応した通信装置を備えた周辺装置20、及び無線USBの通信規格に適応した通信装置を備えた周辺装置20が存在する場合を例にして、携帯電話10が周辺装置20〜20から受信した位置関連情報に基づいて自位置を算出する処理(図5に示す位置測定処理のステップ16)を中心に説明する。なお、受信できる位置とは、受信に必要な電波強度が得られる位置のことである。
【0064】
制御部109が、図5に示す位置測定処理のステップS15でYesと判別した場合、距離測定部1093は、時間測定部1092がタイマ1091によって測定した応答待ち期間と、周辺装置20から受信した位置関連情報に含まれる応答期間とに基づいて、周辺装置20と自位置との距離L1「100m」を算出する。次に、距離測定部1093は、通信規格DB1082bから、周辺装置20が送信した位置関連情報を受信した通信装置(Bluetooth(登録商標))1012の通信規格「Bluetooth(登録商標)」に対応する測定誤差情報の値a%、この例では10%、を読み出して、距離L1に乗じることにより距離測定誤差「10m」を求める。
【0065】
また、制御部109の距離測定部1093は、時間測定部1092がタイマ1091によって測定した応答待ち期間と、周辺装置20から受信した位置関連情報に含まれる応答期間とに基づいて、周辺装置20と自位置との距離L2「30m」を算出する。次に、距離測定部1093は、通信規格DB1082bから、周辺装置20が送信した位置関連情報を受信した通信装置(無線LAN)1013の通信規格「無線LAN」に対応する測定誤差情報の値b%、この例では10%、を読み出して、距離L2に乗じることにより距離測定誤差「3m」を求める。
【0066】
続いて、制御部109の距離測定部1093は、時間測定部1092がタイマ1091によって測定した応答待ち期間と、周辺装置20から受信した位置関連情報に含まれる応答期間とに基づいて、周辺装置20と自位置との距離L3「10m」を算出する。また、距離測定部1093は、通信規格DB1082bから、周辺装置20が送信した位置関連情報を受信した通信装置(無線USB)1014の通信規格「無線USB」に対応する測定誤差情報の値c%、この例では10%、を読み出して、距離L3に乗じることにより距離測定誤差「1m」を求める。
【0067】
図11は、実施形態2に係る自位置を算出する方法の一例を説明する図で、見やすくするために球を円に置き換えている。制御部109の自位置測定部1094は、周辺装置20の位置を中心とする半径L1の球C1の表面(図11では円C1の円周)からの距離が10m以内である領域と、周辺装置20の位置を中心とする半径L2の球C2の表面(図11では円C2の円周)からの距離が3m以内である領域と、周辺装置20の位置を中心とする半径L3の球C3の表面(図11では円C3の円周)からの距離が1m以内である領域との重複する部分に基づいて、自位置を算出する。半径Lの球の表面(図11では円周)からの距離がD以内である領域とは、半径L+Dの同心の球の表面(図11では円周)と、半径L−Dの同心の球の表面(図11では円周)とで囲まれた領域のことを言う。自位置算出に使用する位置関連情報が3よりも多い場合の重複する部分についても同様にして求められる。実施形態2では、自位置測定部1094は、例えば、重複する部分の重心を算出することにより、自位置を算出する。
【0068】
以上、説明したように、携帯電話10Aは、周辺装置20から受信した位置関連情報、応答待ち期間、及び周辺装置位置情報を受信した通信装置の通信規格に対応する測定誤差情報に基づいて、自位置を算出する。このため、GPS衛星から発信された電波が届かない場所であっても、周囲の、すなわち自位置を測定するための情報源である周辺装置20の通信環境に応じて自位置を適切に測定することができる。また、携帯電話10Aは、通信規格に対応する測定誤差情報に基づき取得した距離測定誤差を反映して自位置を適切に測定することができる。
【0069】
この発明は実施形態1及び2に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記説明において示したハードウェアの構成及び動作は一例でありこれらに限定されるものではなく、適宜変更及び応用が可能である。
【0070】
実施形態1及び2では、それぞれ携帯端末としての携帯電話10、10Aを例にして説明したが、携帯端末はこれに限定されず、例えば、スマートフォン、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPCであってもよい。
【0071】
実施形態1及び2では、携帯電話10、10Aと周辺装置20とは、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線USB、WiMAXのうち、いずれか1つの通信規格に適応する通信装置を介して無線通信しているが、通信規格はこれらに限定されない。また、周辺装置20は携帯電話などの携帯端末を含んでもよい。通信可能な周辺装置20の範囲が拡大することにより携帯電話10、10Aは自位置を測定できる可能性が増加する。
【0072】
実施形態1及び2では、理解を容易にするため、ユーザからの操作指示に応答して、制御部109が位置測定処理を実行する場合を例にして説明したが、これに限定されず、例えば、他のプロセス(サービス)が前述した位置測定処理を呼び出して実行してもよい。これにより、実施形態1及び2に係る発明の適用範囲が拡大する。
【0073】
実施形態1及び2では、周辺装置20は、その位置を示す周辺装置位置情報を位置情報記憶部2041に予め記憶しているが、これに限定されず、周辺装置20がGPS受信機をさらに備え、GPS衛星30から受信した電波に基づいて、周辺装置位置情報を逐次生成し、生成した周辺装置位置情報を位置情報記憶部2041に記憶してもよい。これにより、周辺装置20が携帯端末であった場合の周辺装置位置情報の誤差が低減され、その結果、自位置の測定誤差が低減する。
【0074】
実施形態2では、通信規格に対応して設定されている測定誤差情報の値は、割合又は百分率であるとしたが、これに限定されず、通信規格に対応して設定された数値であればどの様なものであってもよい。
【0075】
実施形態2では、理解を容易にするため、携帯電話10Aが、Bluetooth(登録商標)の通信規格に適応した通信装置を備えた周辺装置20、無線LANの通信規格に適応した通信装置を備えた周辺装置20、及び無線USBの通信規格に適応した通信装置を備えた周辺装置20からそれぞれ位置関連情報を受信する場合を例にして説明したが、4以上の周辺装置20から位置関連情報を受信することができた場合、受信した位置関連情報から最適なもの、例えば距離測定誤差が小さいものから順に少なくとも3選んで、自位置を算出してもよい。この場合、自位置測定部1094は、例えば、周辺装置20から受信した位置関連情報の中から、位置関連情報を受信した通信装置の通信規格に対応する距離測定誤差が小さい順に少なくとも3の位置関連情報を選択し、選択した位置関連情報と、選択した位置関連情報のそれぞれに対応する応答待ち期間と、選択した位置関連情報を受信した各通信装置に適用される通信規格に基づき取得された距離測定誤差とに基づいて自位置を算出する。これにより、自位置の測定誤差が低減する。
【0076】
実施形態2では、理解を容易にするため、周辺装置20の通信部201は、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線USB、WiMAXのうち、いずれか1つの通信規格に適応した通信装置を備えているが、これに限定されず、通信規格が異なる2つ以上の通信装置を備えてもよい。この場合、記憶部204は、例えば、通信規格DB1082bを備え、制御部205は、携帯電話10Aから受信した位置関連情報取得要求のうち、位置関連情報取得要求を受信した通信装置の中から、該当する通信装置に適用された通信規格に対応する測定誤差情報の値が最も小さい通信装置を介して位置関連情報を送信する。これにより、この周辺装置20から受信した位置関連情報に基づき得られる距離測定誤差が低減し、その結果、自位置の測定誤差が低減する。
【0077】
実施形態1及び2では、周辺装置位置情報に、周辺装置20が存在する位置における緯度、経度、及び高度(例えば海抜)を含めているが、これに限定されず、任意の座標系における座標値を含めてもよい。この場合、制御部109は変換部を備えてもよい。変換部は、周辺装置20から受信した周辺装置位置情報に含まれる座標値を所定の座標系における座標値に変換する。また、このとき、制御部109は、座標値の有効数字の桁数を所定の値に揃えるようにしてもよい。これにより、希望する座標系での自位置の情報を得ることができる。
【0078】
実施形態1及び2では、自位置情報取得要求に応答して、まず始めに、GPS受信機102がGPS衛星30から受信した電波に基づいて自位置を算出するが、これに限定されない。GPS受信機102に代えて、例えば、制御部109が、通信装置(CDMA)1011を介して基地局から受信した電波に基づいて自位置を算出してもよい。
【0079】
実施形態2では、図11に示すように、所定の領域どうしが重複する部分の重心を算出することにより、自位置を算出しているが、これに限定されない。重複する部分に基づき自位置を算出するのであればどの様な手法であってもよい。
【0080】
また、記憶部108に地図データを備え、制御部109が、重複する部分の位置を示す地図を表示部104に表示してもよい。これにより、より認識しやすい形で自位置を表示することが可能となる。
【0081】
なお、実施形態1及び2に記載した携帯電話10、10Aは、携帯電話に限定することはなく、携帯端末としてよい。この携帯端末は、専用の装置を用いる必要はなく、通常のコンピュータにより実現することができるし、携帯端末をコンピュータと見なしてもよい。その場合は、図2、図9に示す携帯電話の構成がコンピュータの構成を示すことになり、例えばコンピュータに上記した各処理を実行させるためのプログラム及びデータを記録媒体(CD−ROM等)に記録して配布し、これをインストールしてコンピュータのOS(Operating System)上で実行することにより、実施形態1又は2に係る携帯端末を実現できる。また、プログラム及びデータの配布は、CD−ROM等に限らず、通信回線等を介して行われてもよい。
【0082】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0083】
(付記1)
時間測定部、距離測定部、及び自位置測定部を有するとともに、全体制御を行う制御部と、
通信規格が異なる2以上の通信装置から構成され前記制御部の制御により前記各通信装置を介して外部との情報の送受信を行う通信部と、
を備え、
前記通信部は、周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、前記各通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信し、
前記時間測定部は、前記通信部により前記位置関連情報取得要求が送信されてから、前記通信部により前記位置関連情報が受信されるまでの期間である応答待ち期間を測定し、
前記距離測定部は、前記応答待ち期間及び前記通信部により受信された前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得し、
前記自位置測定部は、前記通信部により受信された3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する、
ことを特徴とする携帯端末。
【0084】
(付記2)
前記通信規格と前記距離の測定誤差情報とを対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記距離測定部は、更に、
前記距離測定値を取得する際に使用する前記位置関連情報を受信した前記通信装置に適用される前記通信規格に対応付けられた前記測定誤差情報を、前記記憶部から取得し、
前記測定誤差情報に基づき、前記距離測定値の誤差である距離測定誤差を求め、
前記自位置測定部は、
受信した前記3以上の位置関連情報のそれぞれに対応して得られた、前記距離測定値と、前記距離測定誤差と、前記周辺装置位置情報が示す位置と、に基づいて自位置を測定する、
ことを特徴とする付記1に記載の携帯端末。
【0085】
(付記3)
前記自位置測定部は、
受信した前記3以上の位置関連情報のそれぞれについて、該位置関連情報に含まれる前記周辺装置位置情報が示す位置を中心とし、前記位置関連情報に対応して測定した前記距離測定値を半径とする球の表面からの距離が、前記距離測定誤差以内である領域を求め、該領域どうしが重なる部分に基づいて自位置を測定する、
ことを特徴とする付記2に記載の携帯端末。
【0086】
(付記4)
前記測定誤差情報は、割合を示す値であり、
前記距離測定誤差は、前記距離測定値と前記測定誤差情報とに基づき算出される、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の携帯端末。
【0087】
(付記5)
前記周辺装置位置情報が任意の座標系における前記周辺装置の座標値を含むときに、該座標値を所定の座標系における座標値に変換する変換部をさらに備える、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の携帯端末。
【0088】
(付記6)
前記受信部が、4以上の前記位置関連情報を、前記通信装置を介して受信した場合、
前記自位置測定部は、
受信した前記位置関連情報の中から、前記距離測定誤差が小さい順に3以上の前記位置関連情報を選択し、
選択した前記3以上の位置関連情報のそれぞれに対する、前記距離測定値と、前記距離測定誤差と、前記周辺装置位置情報が示す位置とに基づいて自位置を測定する、
ことを特徴とする付記2乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【0089】
(付記7)
周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、通信規格が異なる2以上の通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信する通信工程と、
前記位置関連情報取得要求を送信してから、前記位置関連情報を受信するまでの期間を示す応答待ち期間を測定する時間測定工程と、
前記応答待ち期間及び受信した前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得する距離測定工程と、
受信した3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する自位置測定工程と、
を備えることを特徴とする位置測定方法。
【0090】
(付記8)
コンピュータに、
周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、通信規格が異なる2以上の通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信する通信手順と、
前記位置関連情報取得要求を送信してから、前記位置関連情報を受信するまでの期間を示す応答待ち期間を測定する時間測定手順と、
前記応答待ち期間及び受信した前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得する距離測定手順と、
受信した3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する自位置測定手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0091】
10、10A 携帯電話
20 周辺装置
30 GPS衛星
100 位置測定システム
101 通信部
102 GPS受信機
103 操作部
104 表示部
105 コーデック部
106 スピーカ
107 マイク
108 記憶部
109 制御部
201 通信部
202 操作部
203 表示部
204 記憶部
205 制御部
1011 通信装置(CDMA)
1012 通信装置(Bluetooth(登録商標))
1013 通信装置(無線LAN)
1014 通信装置(無線USB)
1015 通信装置(WiMAX)
1081 ROM
1082 RAM
1082a 周辺装置ファイル
1082b 通信規格DB
1091 タイマ
1092 時間測定部
1093 距離測定部
1094 自位置測定部
2041 位置関連情報記憶部
2051 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間測定部、距離測定部、及び自位置測定部を有するとともに、全体制御を行う制御部と、
通信規格が異なる2以上の通信装置から構成され前記制御部の制御により前記各通信装置を介して外部との情報の送受信を行う通信部と、
を備え、
前記通信部は、周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、前記各通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信し、
前記時間測定部は、前記通信部により前記位置関連情報取得要求が送信されてから、前記通信部により前記位置関連情報が受信されるまでの期間である応答待ち期間を測定し、
前記距離測定部は、前記応答待ち期間及び前記通信部により受信された前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得し、
前記自位置測定部は、前記通信部により受信された3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する、
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記通信規格と前記距離の測定誤差情報とを対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記距離測定部は、更に、
前記距離測定値を取得する際に使用する前記位置関連情報を受信した前記通信装置に適用される前記通信規格に対応付けられた前記測定誤差情報を、前記記憶部から取得し、
前記測定誤差情報に基づき、前記距離測定値の誤差である距離測定誤差を求め、
前記自位置測定部は、
受信した前記3以上の位置関連情報のそれぞれに対応して得られた、前記距離測定値と、前記距離測定誤差と、前記周辺装置位置情報が示す位置と、に基づいて自位置を測定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記自位置測定部は、
受信した前記3以上の位置関連情報のそれぞれについて、該位置関連情報に含まれる前記周辺装置位置情報が示す位置を中心とし、前記位置関連情報に対応して測定した前記距離測定値を半径とする球の表面からの距離が、前記距離測定誤差以内である領域を求め、該領域どうしが重なる部分に基づいて自位置を測定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記測定誤差情報は、割合を示す値であり、
前記距離測定誤差は、前記距離測定値と前記測定誤差情報とに基づき算出される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記周辺装置位置情報が任意の座標系における前記周辺装置の座標値を含むときに、該座標値を所定の座標系における座標値に変換する変換部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記受信部が、4以上の前記位置関連情報を、前記通信装置を介して受信した場合、
前記自位置測定部は、
受信した前記位置関連情報の中から、前記距離測定誤差が小さい順に3以上の前記位置関連情報を選択し、
選択した前記3以上の位置関連情報のそれぞれに対する、前記距離測定値と、前記距離測定誤差と、前記周辺装置位置情報が示す位置とに基づいて自位置を測定する、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、通信規格が異なる2以上の通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信する通信工程と、
前記位置関連情報取得要求を送信してから、前記位置関連情報を受信するまでの期間を示す応答待ち期間を測定する時間測定工程と、
前記応答待ち期間及び受信した前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得する距離測定工程と、
受信した3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する自位置測定工程と、
を備えることを特徴とする位置測定方法。
【請求項8】
コンピュータに、
周辺に存在する装置である周辺装置に、該周辺装置の位置を示す周辺装置位置情報及び前記周辺装置が前記周辺装置位置情報を送信するための準備時間である応答期間を含む位置関連情報を取得したい旨の位置関連情報取得要求を、通信規格が異なる2以上の通信装置を介して送信するとともに、前記周辺装置から前記位置関連情報を、前記各通信装置を介して受信する通信手順と、
前記位置関連情報取得要求を送信してから、前記位置関連情報を受信するまでの期間を示す応答待ち期間を測定する時間測定手順と、
前記応答待ち期間及び受信した前記位置関連情報に含まれる前記応答期間に基づいて、前記周辺装置位置情報が示す位置から自位置までの距離を測定し、距離測定値として取得する距離測定手順と、
受信した3以上の前記位置関連情報のそれぞれに対応して得られた前記距離測定値及び前記周辺装置位置情報が示す位置に基づいて、自位置を測定する自位置測定手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−36882(P2013−36882A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173794(P2011−173794)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】