説明

携帯端末、動作制御方法及びプログラム

【課題】 ユーザの利便性を低下させることなく容易に長さ測定を可能とする携帯端末を得る。
【解決手段】 本発明による携帯端末は、紐状体または帯状体のメジャーテープ5と、携帯端末内に回転可能に取り付けられメジャーテープ5を巻き取り巻き出し自在に保持するリール6とを有するメジャーを内蔵する。また、該携帯端末は、リール6の回転軸に接続されリール6の回転量に応じた信号を出力するエンコーダ7と、エンコーダ7からの該信号を基にメジャーから巻き出したメジャーテープ5の長さを算出する演算部11とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末、動作制御方法及びプログラムに関し、特に長さ測定機能付き携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、引き出し型メジャーとカメラを内蔵した携帯端末において、携帯端末から引き出されたメジャーの目盛りをカメラによって読み取ることにより、長さを算出することが記載されている。特許文献1記載の携帯端末には、引き出されたメジャーがカメラの真上を通過するようにメジャーをガイドするメジャーガイドが設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−233893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上説明したように、特許文献1では、カメラによってメジャーの目盛りを読み取るようにしているので、カメラレンズの汚れやキズ、周囲環境(暑いところから寒いところに移動した場合など)によって生じるカメラレンズの曇り等によって、取得画像の精度低下や画像処理自体ができなくなることがある。
【0005】
また、特許文献1記載の携帯端末には、引き出されたメジャーの目盛りをカメラが読み取ることができるようにメジャーガイドが設けられている。しかしながら、小型化が求められる携帯端末の筐体にこのようなガイドを設けることはユーザの利便性を損なう。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、ユーザの利便性を低下させることなく容易に長さ測定を可能とする携帯端末、動作制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による携帯端末は、紐状体または帯状体のメジャーテープと、携帯端末内に回転可能に取り付けられ前記メジャーテープを巻き取り巻き出し自在に保持するリールとを有し、携帯端末に内蔵されたメジャーと、前記リールの回転軸に接続され前記リールの回転量に応じた信号を出力するエンコーダと、前記エンコーダからの前記信号を基に前記メジャーから巻き出した前記メジャーテープの長さを算出する演算手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明による動作制御方法は、紐状体または帯状体のメジャーテープと、携帯端末内に回転可能に取り付けられ前記メジャーテープを巻き取り巻き出し自在に保持するリールとを有するメジャーを内蔵した携帯端末の動作制御方法であって、前記リールの回転軸に接続され前記リールの回転量に応じた信号を出力するエンコーダからの前記信号を基に前記メジャーから巻き出した前記メジャーテープの長さを算出する演算ステップを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によるプログラムは、紐状体または帯状体のメジャーテープと、携帯端末内に回転可能に取り付けられ前記メジャーテープを巻き取り巻き出し自在に保持するリールとを有するメジャーを内蔵した携帯端末の動作制御方法をコンピュータに実行せしめるプログラムであって、前記リールの回転軸に接続され前記リールの回転量に応じた信号を出力するエンコーダからの前記信号を基に前記メジャーから巻き出した前記メジャーテープの長さを算出する演算処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの利便性を低下させることなく容易に長さ測定を可能とするという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明の理解を助けるために、本発明の原理について図面を参照して説明する。図1は本発明の原理を説明するための携帯端末の概略構成を示す図である。
【0012】
図1に示した携帯端末は、紐状体または帯状体のメジャーテープ5と、携帯端末内に回転可能に取り付けられメジャーテープ5を巻き取り巻き出し自在に保持するリール6とを有するメジャーを内蔵した携帯端末である。また、図1に示した携帯端末は、リール6の回転軸に接続されリール6の回転量に応じた信号を出力するエンコーダ7と、エンコーダ7からの該信号を基にメジャーから巻き出したメジャーテープ5の長さを算出する演算部11とを含む。
【0013】
このように、演算部11は、リール6の回転軸に接続されリール6の回転量に応じた信号を出力するエンコーダ7からの信号を基にメジャーから巻き出したメジャーテープ5の長さを算出するようにしているので、特許文献1に記載のように周囲環境等が長さ測定に影響を与えることなく、また携帯端末の筐体にメジャーガイドを設ける必要がなく、したがって、ユーザの利便性を低下させることなく容易に長さ測定が可能となる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図2は本発明の実施の形態による携帯端末の構成を示す図であり、(a)は携帯端末の外観を示す図であり、(b)はメジャーユニット1の構成を示す図である。図3は本発明の実施の形態による携帯端末の構成を示すブロック図であり、図3においてエンコーダ7に接続された図2のリール6及びメジャーテープ5の図示は省略されている。なお、図2及び図3において、図1と同等部分は同一符号にて示している。
【0016】
図2に示すように、本発明の実施の形態による携帯端末の本体内部にはメジャーユニット1が内蔵されている。リール6は携帯端末内に回転可能に取り付けられており、リール周面に巻き付けられた紐状または帯状のメジャーテープ5は携帯端末筐体の引出部(引出口)2から引き出し可能であり、また巻取ボタン3が押下されると、引き出されたメジャーテープ5がリール6の回転によって自動的に巻き取られる構造となっている。エンコーダ7は、リール6の回転軸に接続され、リール6の回転量に応じた電気信号を出力する。
【0017】
また、図3に示すように、本発明の実施の形態による携帯端末は、制御部8と、表示部4と、図2の巻取ボタン3を含むキー入力部9と、記憶部10とを更に含む。制御部8は、エンコーダ7からの信号を基にメジャーユニット1から引き出されたメジャーテープ5の長さを算出する。記憶部10は、予め演算条件(長さの単位、縮尺など)を記憶しており、制御部8は、算出された長さに対して演算条件に応じた演算を行い、表示部4に演算結果を表示する。
【0018】
演算条件として単位が指定されている場合には、制御部8は、算出された長さに対して該単位に単位換算を行う。また、演算条件として縮尺が指定されている場合には、制御部8は、算出された長さに対して該縮尺に応じた演算を行う。例えば地図上のある地点間の長さが測定対象であり、地図の縮尺が1/2000である場合、算出された長さに2000を乗算する。
【0019】
図4は本発明の実施の形態による携帯端末の動作を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態による携帯端末の動作について図2〜図4を参照して説明する。例えば、メジャーユニット1からメジャーテープ5が引き出されると、制御部8はエンコーダ7を介してこれを検知し、これにより測定モードに移行する。なお、メジャーテープ5の引き出しではなく、キー入力部9を用いた所定のユーザ操作に応答して制御部8は測定モードに移行するようにしてもよい。
【0020】
測定モードに移行すると、図4において、制御部8は演算条件(長さの単位、縮尺など)の入力を受け付け、ユーザはキー入力部9を用いて所望の演算条件を入力し設定する(ステップS1)。記憶部10に予め複数の演算条件が格納されており、複数の演算条件の中からユーザがキー入力部9を用いて所望の演算条件を選択するようにしてもよい。
【0021】
そして、制御部8は、エンコーダ7からの信号を基にメジャーユニット1から引き出されたメジャーテープ5の長さを算出する(ステップS2)。このとき、制御部8は、算出された長さに対しステップS1にて入力された演算条件に応じた演算を行う。そして、制御部8は、表示部4に演算結果を表示する(ステップS3)。巻取ボタン3が押下されると(ステップS4)、制御部8は測定モードを解除し、長さ測定を終了する。
【0022】
演算条件は測定モード中にいつでも変更できるようにしてもよい。この場合、測定モード中に演算条件変更のためのキー入力部9を用いた所定のユーザ操作がなされると、図4のステップS1と同様に制御部8は演算条件の変更を受け付け、この変更された演算条件に応じた演算を行って演算結果を表示する(ステップS2及びS3)。
【0023】
また、演算結果が記憶部10に保存されるようにしてもよい。この場合、測定モード中に演算結果保存のためのキー入力部9を用いた所定のユーザ操作がなされると、制御部8は演算結果を記憶部10に保存する。あるいは、図4のステップS4の巻取ボタン3の押下に応答して、制御部8は演算結果を記憶部10に保存するようにしてもよい。また、演算結果の保存の際に、制御部8はユーザに保存ファイル名の入力を求めるようにしてもよい。
【0024】
以上説明したように、本発明の実施の形態では、エンコーダ7からのリール6の回転量に応じた信号を基にメジャーユニット1から引き出されたメジャーテープ5の長さを求めるようにしている。したがって、特許文献1に記載のように周囲環境等が長さ測定に影響を与えることなく、また携帯端末の筐体にメジャーガイドを設ける必要がないので、ユーザの利便性を低下させることなく容易に長さ測定が可能となる。
【0025】
なお、図4に示したフローチャートに従った携帯端末の処理動作は、該端末において、予めROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを、CPU(制御部)となるコンピュータに読み取らせて実行せしめることにより、実現できることは勿論である。
【0026】
また、本発明の実施の形態は、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)を含む携帯端末装置全般に適用可能である。また、本発明の実施の形態による携帯端末は、メタボリック予防などのための身体測定用グッズとして利用することができ、携帯端末の無線通信機能を用いて測定データを主治医などに送信することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の原理を説明するための携帯端末の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による携帯端末の構成を示す図であり、(a)は携帯端末の外観を示す図であり、(b)はメジャーユニット1の構成を示す図である。
【図3】図2の携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図4】図2及び図3の携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 メジャーユニット
2 引出部
3 巻取ボタン
4 表示部
5 メジャーテープ
6 リール
7 エンコーダ
8 制御部
9 キー入力部
10 記憶部
11 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体または帯状体のメジャーテープと、携帯端末内に回転可能に取り付けられ前記メジャーテープを巻き取り巻き出し自在に保持するリールとを有し、携帯端末に内蔵されたメジャーと、
前記リールの回転軸に接続され前記リールの回転量に応じた信号を出力するエンコーダと、
前記エンコーダからの前記信号を基に前記メジャーから巻き出した前記メジャーテープの長さを算出する演算手段とを含むことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記演算手段は、前記長さに対して予め指定された演算条件に応じた演算を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記演算条件は縮尺を含み、前記演算手段は前記長さに対して予め指定された前記縮尺に応じた演算を行うことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記演算条件は単位を含み、前記演算手段は前記長さに対して予め指定された前記単位に単位換算を行うことを特徴とする請求項2または3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記演算手段の演算結果を表示する表示手段を更に含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の携帯端末。
【請求項6】
紐状体または帯状体のメジャーテープと、携帯端末内に回転可能に取り付けられ前記メジャーテープを巻き取り巻き出し自在に保持するリールとを有するメジャーを内蔵した携帯端末の動作制御方法であって、
前記リールの回転軸に接続され前記リールの回転量に応じた信号を出力するエンコーダからの前記信号を基に前記メジャーから巻き出した前記メジャーテープの長さを算出する演算ステップを含むことを特徴とする動作制御方法。
【請求項7】
前記演算ステップは、前記長さに対して予め指定された演算条件に応じた演算を行うことを特徴とする請求項6記載の動作制御方法。
【請求項8】
前記演算条件は縮尺を含み、前記演算ステップは前記長さに対して予め指定された前記縮尺に応じた演算を行うことを特徴とする請求項7記載の動作制御方法。
【請求項9】
前記演算条件は単位を含み、前記演算ステップは前記長さに対して予め指定された前記単位に単位換算を行うことを特徴とする請求項7または8記載の動作制御方法。
【請求項10】
前記演算ステップによる演算結果を前記携帯端末の表示部に表示するステップを更に含むことを特徴とする請求項6〜9いずれか記載の動作制御方法。
【請求項11】
紐状体または帯状体のメジャーテープと、携帯端末内に回転可能に取り付けられ前記メジャーテープを巻き取り巻き出し自在に保持するリールとを有するメジャーを内蔵した携帯端末の動作制御方法をコンピュータに実行せしめるプログラムであって、
前記リールの回転軸に接続され前記リールの回転量に応じた信号を出力するエンコーダからの前記信号を基に前記メジャーから巻き出した前記メジャーテープの長さを算出する演算処理を含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−112770(P2010−112770A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283807(P2008−283807)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】