説明

携帯端末、及びカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法

【課題】基板の強度、シールド性、接続信頼性を両立することができるカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法を提供する。
【解決手段】マザーボード10には、カード型デバイス用スロットコネクタ11を含むカードFPCユニット13が搭載される場所に、カード型デバイス用スロットコネクタ11よりも一回り大きい穴部14が形成される。板金を折り曲げ加工し、または絞り出し加工した箱状のカードスロットフォルダ15が、マザーボード10の穴部14の周囲に設けた半田付けパッドに半田付け20で固定される。そして、カード型デバイス用スロットコネクタ11が搭載されたカードFPCユニット13が、カードスロットフォルダ15内にバッテリ搭載面10a側から収納され、カードスロットフォルダ15の底面に両面テープ等で貼り付け固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、及びカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末で、MicroSDカードや、SIM(Subscriber
Identity Module:シム)カード等のカード型デバイス用スロットコネクタを電池下に搭載する場合、本体の薄型化、小型化を図るためにマザーボードに穴を開け、その穴に沈め込む形で、別のFPC(Flexible Printed
Circuit:フレキシブルプリント基板)等に実装したカードスロットコネクタを装着する場合がある(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
図4は、従来技術によるカード型デバイス用スロットコネクタの搭載状態を示す模式図である。また、図5は、従来技術によるカード型デバイス用スロットコネクタの搭載状態を示す断面図である。従来技術では、例えば、図2、図3示すように、樹脂成形した枠状のケース1を、部品搭載側から、マザーボード2に開けた穴部3の縁に沿って接着し、更に、そこにカードスロットコネクタ4が実装された基板(FPC等)5を貼り付けていた。このように実装することで、カードスロットコネクタ4を、マザーボード2より沈み込んだ状態にすることで、本体の薄型化、小型化を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実案第3097787号
【特許文献2】特開2010−109761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、その構造上、大きな穴部3が開くことによるマザーボード2の強度低下、穴部3のシールド性低下、コネクタ搭載面の不安定性によるカードの接続信頼性低下といった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、端末の小型薄型化と、基板の強度、シールド性、接続信頼性とを両立することができる携帯端末、及びカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、カード型デバイス用スロットコネクタを有する携帯端末であって、前記カード型デバイス用スロットコネクタより大である穴部を有する回路基板と、凹形状の金属板からなり、前記回路基板に形成された穴部の位置に、前記回路基板の部品搭載面側から固定されるカードスロットフォルダとを備え、前記カード型デバイス用スロットコネクタは、前記カードスロットフォルダ内に収納され、前記カードスロットフォルダの底面に固定されていることを特徴とする携帯端末である。
【0008】
この発明は、携帯端末の回路基板上にカード型デバイス用スロットコネクタを搭載するカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法であって、前記カード型デバイス用スロットコネクタより大である穴部を回路基板の所定の位置に形成する過程と、凹形状の金属板からなるカードスロットフォルダを、前記回路基板に形成された穴部の位置に、前記回路基板の部品搭載面側から固定する過程と、前記カードスロットフォルダ内に前記カード型デバイス用スロットコネクタを収納し、前記カードスロットフォルダの底面に固定する過程とを含むことを特徴とするカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、端末の小型薄型化と、基板の強度、シールド性、接続信頼性とを両立することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態によるカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法により搭載されたカード型デバイス用スロットコネクタを示す斜視図である。
【図2】本実施形態によるカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法を説明するための概念図である。
【図3】本実施形態によるカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法を説明するための断面図である。
【図4】従来技術によるカード型デバイス用スロットコネクタの搭載状態を示す模式図である。
【図5】従来技術によるカード型デバイス用スロットコネクタの搭載状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態によるカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法により搭載されたカード型デバイス用スロットコネクタを示す斜視図である。図1(a)には、携帯電話の主要電子部品が搭載されるマザーボード10のバッテリ搭載面10aが示されており、同図(b)には、マザーボード10のバッテリ搭載面10aと反対側、すなわち部品搭載面10bが示されている。すなわち、マザーボード10の部品搭載面10bに主要電子部品が搭載されており、該部品搭載面10bが内側になるように、マーボード10が携帯電話の筐体(図示略)に収められる。
【0013】
図1(a)に示すように、バッテリ搭載面10aには、カード型デバイス用スロットコネクタ11がマザーボード10に埋め込めれた形で搭載されている。カード型デバイス用スロットコネクタ11は、予めFPC基板12に実装されており、該FPC基板12に実装されたカード型デバイス用スロットコネクタ11全体をカードFPCユニット13という。マザーボード10には、カード型デバイス用スロットコネクタ11を含むカードFPCユニット13が搭載される場所に、カードFPCユニット13よりも一回り大きい穴部14が形成されている。カードFPCユニット13は、該穴部14に埋め込めれた形で搭載されている。
【0014】
図示しないバッテリは、バッテリ搭載面10aの一部または大部分に密着した状態で設置される。したがって、カードFPCユニット13は、搭載されるバッテリがバッテリ搭載面10aに密着した状態で設置されるように、その上面がマザーボード10のバッテリ搭載面10aと少なくも同レベルか、より低い位置にくるように設計されている。
【0015】
なお、図示していないが、電子部品が搭載された部品搭載面10bのほぼ全面は、マグネシュウム成型品のシールドケースで覆われる。該シールドケースは、数本のネジによりマザーボード10に締め付け固定されている。
【0016】
また、マザーボード19の部品搭載面10bには、主に電子部品が搭載されるようになっており、図1(b)に示すように、上記カードFPCユニット13を搭載するためのカードスロットフォルダ15が設置されている。該カードスロットフォルダ15は、バッテリ搭載面10a側を開放した箱型形状となっており、一部にカードFPCユニット13からのフレキシブル配線を通すための切り欠き部15aが形成されている。
【0017】
カードスロットフォルダ15は、板金を折り曲げ加工、または絞り出し加工され、マザーボード10の穴部14の周囲に設けた半田付けパッド(図示略)に半田付け20で固定されている。なお、半田付けに加えて、いわゆる溶接、あるいは機械的、物理的な固定方法を採用してもよい。カード型デバイス用スロットコネクタ11が搭載されたカードFPCユニット13は、マザーボード10に固定されたカードスロットフォルダ15により形成された受け皿に、バッテリ搭載面10a側から収納され、両面テープなどで貼り付け固定されている。
【0018】
図2、及び図3は、本実施形態によるカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法を説明するための概念図、及び断面図である。マザーボード10には、カード型デバイス用スロットコネクタ11を含むカードFPCユニット13が搭載される場所に、カード型デバイス用スロットコネクタ11よりも一回り大きい穴部14が形成される。次に、板金を折り曲げ加工し、または絞り出し加工した箱状のカードスロットフォルダ15が、マザーボード10の穴部14の周囲に設けた半田付けパッドに半田付け20で固定される。そして、カード型デバイス用スロットコネクタ11が搭載されたカードFPCユニット13が、カードスロットフォルダ15内にバッテリ搭載面10a側から収納され、カードスロットフォルダ15の底面に両面テープ等で貼り付け固定される。
【0019】
本実施形態によれば、マザーボード10に開けたカード型デバイス用スロットコネクタ11用の穴部14に、板金加工のカードスロットフォルダ15を半田付けで固定しているので、穴部14の形成によるマザーボード10の強度低下を抑えることができ、マザーボード(基板)10の剛性を補強することができる。
【0020】
また、マザーボード10の穴部14によりマザーボード10の表裏間での信号干渉が懸念されるが、シールドケース態様のカードスロットフォルダ15を半田付けすることで、穴部分のシールド性低下を抑えることができる。
【0021】
さらに、マザーボード10に半田で固定されたカードスロットフォルダ15を受け皿にすることで、カードFPCユニット13をしっかり固定することができ、カードの接続信頼性を確保することができる。
【0022】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0023】
(付記)
請求項1に記載の発明は、カード型デバイス用スロットコネクタを有する携帯端末であって、前記カード型デバイス用スロットコネクタより大である穴部を有する回路基板と、凹形状の金属板からなり、前記回路基板に形成された穴部の位置に、前記回路基板の部品搭載面側から固定されるカードスロットフォルダとを備え、前記カード型デバイス用スロットコネクタは、前記カードスロットフォルダ内に収納され、前記カードスロットフォルダの底面に固定されていることを特徴とする携帯端末である。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記カードスロットフォルダは、折り曲げ加工、または絞り出し加工によって凹形状に加工された金属板からなることを特徴とする携帯端末である。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記カードスロットフォルダは、前記回路基板に形成された穴部の周囲に設けられた半田付けパッドに半田付けで固定されることを特徴とする携帯端末である。
【0026】
請求項4に記載の発明は、携帯端末の回路基板上にカード型デバイス用スロットコネクタを搭載するカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法であって、前記カード型デバイス用スロットコネクタより大である穴部を回路基板の所定の位置に形成する過程と、凹形状の金属板からなるカードスロットフォルダを、前記回路基板に形成された穴部の位置に、前記回路基板の部品搭載面側から固定する過程と、前記カードスロットフォルダ内に前記カード型デバイス用スロットコネクタを収納し、前記カードスロットフォルダの底面に固定する過程とを含むことを特徴とするカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法である。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法において、前記カードスロットフォルダは、折り曲げ加工、または絞り出し加工によって凹形状に加工された金属板からなることを特徴とするカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法である。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法において、前記カードスロットフォルダは、前記回路基板に形成された穴部の周囲に設けられた半田付けパッドに半田付けで固定されることを特徴とするカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法である。
【符号の説明】
【0029】
10 マザーボード
10a バッテリ搭載面
10b 部品搭載面
11 カード型デバイス用スロットコネクタ
12 FPC基板
13 カードFPCユニット
14 穴部
15 カードスロットフォルダ
15a 切り欠き部
20 半田付け


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型デバイス用スロットコネクタを有する携帯端末であって、
前記カード型デバイス用スロットコネクタより大である穴部を有する回路基板と、
凹形状の金属板からなり、前記回路基板に形成された穴部の位置に、前記回路基板の部品搭載面側から固定されるカードスロットフォルダと
を備え、
前記カード型デバイス用スロットコネクタは、
前記カードスロットフォルダ内に収納され、前記カードスロットフォルダの底面に固定されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記カードスロットフォルダは、
折り曲げ加工、または絞り出し加工によって凹形状に加工された金属板からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記カードスロットフォルダは、
前記回路基板に形成された穴部の周囲に設けられた半田付けパッドに半田付けで固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
携帯端末の回路基板上にカード型デバイス用スロットコネクタを搭載するカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法であって、
前記カード型デバイス用スロットコネクタより大である穴部を回路基板の所定の位置に形成する過程と、
凹形状の金属板からなるカードスロットフォルダを、前記回路基板に形成された穴部の位置に、前記回路基板の部品搭載面側から固定する過程と、
前記カードスロットフォルダ内に前記カード型デバイス用スロットコネクタを収納し、前記カードスロットフォルダの底面に固定する過程と
を含むことを特徴とするカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法。
【請求項5】
前記カードスロットフォルダは、
折り曲げ加工、または絞り出し加工によって凹形状に加工された金属板からなることを特徴とする請求項4に記載のカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法。
【請求項6】
前記カードスロットフォルダは、
前記回路基板に形成された穴部の周囲に設けられた半田付けパッドに半田付けで固定されることを特徴とする請求項4に記載のカード型デバイス用スロットコネクタ搭載方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−169106(P2012−169106A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28326(P2011−28326)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】