説明

携帯端末、携帯端末発信方法およびプログラム

【課題】通信先を複数記憶した携帯端末110であって、緊急事態が発生したことを携帯端末110の所持者の判断、操作に頼ることなく通信先に確実に知らせることが可能な携帯端末110、携帯端末発信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる携帯端末装置は、通信先を複数記憶する通信先記憶部212と、所定の事象が発生した際に、通信先記憶部212に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能な通信部220と、所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する応答判定部240と、応答信号を受信しなかったと応答判定部240が判定した場合、通信先記憶部212に記憶された他の通信先へ、通信部220に新たに緊急発信させる通信先切替部250と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信先に緊急発信をする携帯端末と、通信先に新たに緊急発信を行う携帯端末発信方法と、かかる判定を行うコンピュータ読み取り可能なプログラムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、GPS(Global Positioning System)等を搭載し、それ自体の現在位置を取得可能な携帯端末が普及している。かかる機能を利用し、携帯端末の所持者である子供や老人が迷子になった場合に対処する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、子供が迷子になったと判定された際(規定された行動範囲を出た場合)には、子供が所持している携帯端末に予め登録されている相手に、当該携帯端末から自動的に発信して、迷子の旨を伝える技術が開示されている。この技術によれば、電話がつながらない、すなわち、相手が応答を返さなかった場合には、次の登録されている相手に切り替えて再び発信を行う。
【特許文献1】特開2007−129378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような技術では、発信した相手が不在であった場合は、次に優先順位の高い登録された相手に発信を切り替えるものの、通信接続の成否を判定しているため、例えば留守番電話と通話した場合に発信成功として発信が終了してしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、通信先を複数記憶した携帯端末であって、緊急事態が発生したことを通信先に確実に知らせることが可能な携帯端末、携帯端末発信方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末の代表的な構成は、通信先を複数記憶する通信先記憶部と、所定の事象が発生した際に、通信先記憶部に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能な通信部と、所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する応答判定部と、応答信号を受信しなかったと応答判定部が判定した場合、通信先記憶部に記憶された他の通信先へ、通信部に新たに緊急発信させる通信先切替部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、1の通信先である相手は、通常発信と異なる緊急発信を受信することとなるため、発信元である携帯端末の所持者に異変が発生していることを着信があった段階で知ることができる。また、1の通信先と通信が接続したものの、通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信しなかった場合、例えば留守番電話と通話した場合には、1の通信先には緊急情報を通知できなかったとして、登録された次の通信先に自動的に切り替えて緊急発信を行うことができる。これにより、通信先である保護者等に携帯端末の所持者である子供等に緊急事態が発生していることを確実に連絡することができる。
【0008】
上記の通信先記憶部は、携帯端末の所持者に対する保護者等が任意に複数の通信先を登録してよい。また、登録された複数の通信先には、緊急発信が発信される優先順位を任意に設定してよい。これにより、近親者や関係者等の複数の人物を通信先として登録し、さらに、対応のとり易い者を予め選び、優先的な通信先として設定することで、緊急発信に対する対応が可能な人物に迅速な緊急連絡を行うことができる。なお、登録したすべての通信先に発信したが、対応が可能な人物が見つからなかった場合の動作は、任意に設定してよく、例えば、再度、優先順位に従って緊急発信を発信してもよいし、あるいは警察に通報してもよい。
【0009】
上記の緊急発信は、その通信先で受信された際に、通常発信とは異なる緊急発信であることを、音声や表示等により案内してもよい。これにより、携帯端末の所持者に緊急事態が発生していることを、通信先である保護者に確実に知らせることができる。
【0010】
上記の緊急発信に対する所定の操作に伴う応答信号は、オフフックやキー操作等、相手の動作に伴い発信される信号としてよい。これにより、携帯端末の所持者が留守番電話等の自動音声案内と通話したとしても、応答信号を受信しなかったと応答判定部が判定するため、保護者等と連絡がとれたか否かを確実に判定することができる。
【0011】
上記の通信先切替部は、応答判定部が通信先から応答信号を受信しなかったと判定した場合に、現在の通信先から次の通信先に緊急発信を切り替えてよい。これにより、緊急事態が発生していても、携帯端末の所持者の判断や操作を伴うことなく確実に次の通信先に緊急発信をすることができる。
【0012】
上記の応答判定部は、1の通信先への発信から、所定の時間が経過しても応答信号を受信できなかった場合、応答信号を受信しなかったと判定してよく、さらに、通信先との通信接続の成否の判定も行ってよい。これらにより、通信先が呼び出しに応じず通信接続ができなかった場合や、留守電話と接続した場合など、通信接続は成功したものの応答信号を受信しなかった場合には、上記の通信先切替部によって次の通信先に緊急発信を切り替えることができる。よって、携帯端末の所持者の判断に頼ることなく、保護者等と接続したか否かの判定を正確に行うことができる。
【0013】
上記の所定の時間は、任意に設定できるとよい。これにより、通信先である保護者等の都合に合わせた呼び出しが可能となる。
【0014】
上記の応答判定部は、上記1の通信先から対応不可信号を受信した場合、応答信号を受信しなかったと判定してよい。かかる構成によれば、通信先である保護者等は、呼び出しに応じることはできるものの直ちには携帯端末の所持者への対応をとることができない場合に、対応不可信号を発信することができる。すると、上記の通信先切替部は、次の通信先に緊急発信を切り替えることができる。よって、携帯端末の所持者の判断や操作を伴うことなく確実に次の通信先に緊急発信をすることができる。
【0015】
上記の対応不可信号は、通信先である相手によるキー操作等により行われるとよい。また、通信先は、対応不可信号を、緊急発信との接続直後だけでなく、接続中や、接続終了後でも発信できるとしてよい。これにより、通信先である保護者等の判断を緊急発信処理により反映させることができる。
【0016】
本発明にかかる携帯端末の他の構成は、所定の行動範囲を記憶する行動範囲記憶部と、自体の現在位置を取得する位置取得部と、行動範囲と、現在位置とに基づき、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱しているか否かを判定する逸脱判定部と、を備え、所定の事象は、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱していると判定したことであることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、所定の行動範囲から携帯端末の所持者である子供等が逸脱した場合、自動的に通信先記憶部に記憶した通信先である保護者等に緊急発信を行うことができる。これにより、例えば迷子や連れ去りが発生した恐れがあるとき、緊急発信を受けた保護者等が迅速な対応をとることができ、事故や犯罪等による被害を未然に防ぐことができる。
【0018】
上記の行動範囲記憶部は、保護者等が携帯端末の所持者である子供等の行動範囲を任意に記録してよい。これにより、学校や施設等、携帯端末の所持者である子供等が普段から行動している等、安全であると保護者が認識している範囲から逸脱した場合を緊急事態として設定することができる。
【0019】
上記の位置取得部は、GPS等を利用して自体の現在位置を取得するとしてよい。これにより、携帯端末の所持者である子供等の位置情報を取得することができる。
【0020】
上記の逸脱判定部は、GPS等を利用して得られた携帯端末の現在位置と、上記の行動範囲記憶部に記録した任意の行動範囲とを照らし合わせ、現在位置が行動範囲から逸脱しているか否かを判定してよい。これにより、前述した対応不可通知を所定の行動範囲に戻るまで受信を待つことと設定することができる。
【0021】
上記の通信部は、逸脱判定部による現在位置が、行動範囲を逸脱しているとの判定により、最も優先順位の高い通信先に緊急発信を開始してよい。よって、通信先である保護者等は、携帯端末の所持者である子供等に緊急事態が発生したことを迅速に知ることができる。
【0022】
本発明にかかる携帯端末の他の構成は、所持者が行動範囲外から行動範囲内に戻った際に、通信先に、緊急発信を取り消す用済み通知を通報する通知部をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
上記の用済み通知は、上記の逸脱判定部による、行動範囲を逸脱しているとの判定が、行動範囲内であるとの判定に覆った場合に、すでに緊急発信を発信した通信先に対し通知部から通報されるものとしてよい。また、用済み通知は、通信先が受信した際に、音声や表示等により案内を出してもよい。これらにより、携帯端末の所持者が所定の行動範囲から偶然に逸脱し、緊急の対応は不必要であるにも関わらず緊急発信が行われてしまった場合、携帯端末の所持者が自ら行動範囲に戻ることで、対応が不必要であることを自動的に知らせることができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末発信方法の代表的な構成は、通信先を予め携帯端末に複数記憶させ、所定の事象が発生した際に、複数記憶させた通信先の1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、1の通信先からの、所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定し、応答信号を受信しなかったと判定した場合、複数記憶させた通信先の他の通信先へ、新たに緊急発信することを特徴とする。
【0025】
本発明にかかる携帯端末発信方法の他の構成は、所定の行動範囲を予め携帯端末に記憶させ、携帯端末自体の現在位置を取得し、行動範囲と、現在位置とに基づき、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱しているか否かを判定し、所定の事象は、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱していると判定したことであることを特徴とする。
【0026】
本発明にかかるプログラムの代表的な構成は、コンピュータを、通信先を複数記憶する通信先記憶部と、所定の事象が発生した際に、通信先記憶部に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能な通信部と、所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する応答判定部と、
応答信号を受信しなかったと応答判定部が判定した場合、通信先記憶部に記憶された他の通信先へ、通信部に新たに緊急発信させる通信先切替部と、して機能させることを特徴とする。
【0027】
本発明にかかるプログラムの他の構成は、コンピュータを、さらに、携帯端末は、所定の行動範囲を記憶する行動範囲記憶部と、自体の現在位置を取得する位置取得部と、行動範囲と、現在位置とに基づき、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱しているか否かを判定する逸脱判定部と、として機能させ、所定の事象は、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱していると判定したことであることを特徴とする。
【0028】
上述した携帯端末における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該携帯端末発信方法や当該プログラムにも適用可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、通信先である保護者等に携帯端末の所持者である子供等に緊急事態が発生していることを確実に連絡することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0031】
(無線通信システム100)
図1は、無線通信システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。当該無線通信システム100は、携帯端末110と、携帯端末110との無線通信を確立する基地局120と、基地局120に接続されISDN(Integrated Services Digital Network)回線、インターネット、専用回線等で構成される通信網130と、通信網130を通じて各基地局120を中継する中継サーバ140とを含んで構成される。
【0032】
当該無線通信システム100において、携帯端末110は、基地局120との無線通信を通じて他の携帯端末等150との通話や通信を実行することができる。本実施形態では、無線通信システム100を経由した後述する緊急発信や応答信号、対応不可信号などの情報を携帯端末110同士、または携帯端末110と固定電話の間で送受信することができる。以下では、携帯端末110の具体的な構成を述べ、その後、発信者と登録者との通信例、緊急発信処理の流れを詳述する。
【0033】
(携帯端末110)
図2は、本発明の実施形態である携帯端末を示した機能ブロック図である。携帯端末110は、端末メモリ210と、表示部216と、キー入力部218と、音声入力部222と、音声出力部224と、通信部220と、端末制御部230と、位置取得部270と、を含んで構成される。
【0034】
端末メモリ210には、後述する任意の通信先を複数記憶することが可能な通信先記憶部212と、後述する所定の行動範囲を記憶することが可能な行動範囲記憶部260と、プログラム領域部214が含まれているものとする。
【0035】
端末制御部230には、その各機能として、応答判定部240と、通信先切替部250と、逸脱判定部280とが含まれているものとする。
【0036】
上記の応答判定部240は、後述する通信先の相手による所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する。また、応答判定部240は、通信部220による1の通信先への発信から、所定の時間(以下「呼出継続時間」と称する)が経過しても応答信号を受信できなかった場合、応答信号を受信しなかったと判定する。さらに、応答判定部240は、上記1の通信先から対応不可信号を受信した場合、応答信号を受信しなかったと判定する。
【0037】
上記の通信先切替部250は、応答判定部240が応答信号を受信しなかったと判定した場合、通信部220に対し、現在緊急発信を発信している通信先から通信先記憶部212に記憶された他の通信先へ発信先を切り替え、新たに緊急発信させることが可能である。
【0038】
位置取得部270は、GPS等を利用して自体の現在位置を取得することが可能であり、また、上記の逸脱判定部280は、現在位置と、行動範囲記録部260に記憶した後述する行動範囲とに基づき、携帯端末110の所持者が行動範囲を逸脱しているか否かを判定する。
【0039】
通信部220は、所定の事象が発生した際に、通信先記憶部212に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能である。また、通知部290は、通信部220に含まれていて、所持者が行動範囲外から行動範囲内に戻った際に、通信先に、緊急発信を取り消す用済み通知を通報する。
【0040】
なお、上記のプログラム領域214には、本発明の実施形態にかかるプログラムが記憶されている。本実施形態にかかるプログラムの代表的な構成は、携帯端末110を、通信先を複数記憶する通信先記憶部212と、所定の事象が発生した際に、通信先記憶部212に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信を行い、1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能な通信部220と、所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する応答判定部240と、応答信号を受信しなかったと応答判定部240が判定した場合、通信先記憶部212に記憶された他の通信先へ、通信部220に新たに緊急発信させる通信先切替部250と、して機能させるものである。
【0041】
また、本実施形態にかかるプログラムの他の構成は、携帯端末110をさらに、所定の行動範囲を記憶する行動範囲記憶部260と、自体の現在位置を取得する位置取得部270と、行動範囲と、現在位置とに基づき、携帯端末110の所持者が行動範囲を逸脱しているか否かを判定する逸脱判定部280と、として機能させるものであり、所定の事象は、携帯端末110の所持者が行動範囲を逸脱していると判定したことであるとするものである。
【0042】
図3は、本発明の実施形態である携帯端末110の初期設定の流れを示したフローチャートである。
【0043】
初期設定は携帯端末110の所持者である子供等の保護者等が任意に設定できる(S310)。設定する際、保護者等は、複数の通信先、緊急発信を発信する通信先の優先順位(1〜3)、行動範囲、呼出継続時間、対応不可信号の受信が可能な時間(以下「受信待機時間」と称する)の設定や終了設定、全登録者に連絡がつかなかった場合の最終設定、例えば再度優先順位に従って緊急発信をするか、警察に通報するか、などの設定を行うことができる(S340)。
【0044】
設定を端末メモリ210に保存したら初期設定は終了となる(S350)。
【0045】
図4は携帯端末110の所持者である発信者と通信先である登録者との通信例のシーケンス図である。発信者から登録者1に緊急発信がされると、緊急発信時の呼出継続時間のカウントが開始される。呼出継続時間内に登録者1と通信接続ができなかった場合、通信接続失敗として緊急発信の発信先が登録者2に切り替わる。
【0046】
登録者2に緊急発信が行われ、呼出継続時間内に登録先との通信接続したものの、相手が留守番電話であった場合、発信者は相手の動作に伴う応答信号を受信できないため、緊急連絡失敗として緊急発信の発信先が登録者3に切り替わる。
【0047】
登録者3に緊急発信が行われ、呼出継続時間内に登録者からの応答信号により通信接続が開始した場合、通信接続の開始と共に対応不可信号の受信待機時間のカウントが開始される。
【0048】
登録者3が対応をとることができない状態であるときは、登録者3は対応不可信号を発信することで、緊急発信の発信先を登録者4に切り変えることができる。
【0049】
図5は、本発明の実施形態である携帯端末110における緊急発信処理の流れを示したフローチャートである。
【0050】
まず、逸脱判定部280が、携帯端末の所持者が行動範囲を逸脱しているか否かを判定する(S510)。この判定は、位置取得部270により取得した携帯端末110自体の現在位置と、予め携帯端末110の行動範囲記録部260に記憶させた所定の行動範囲とに基いて行われる。
【0051】
上記判定の結果、逸脱(所定の事象)が発生すると、通信部220は、予め通信先記憶部212に複数記憶させた通信先のうち、優先順位が最も高い1の通信先を通信先として設定する。すなわち、変数iを通信先の順位である1に設定する(S520)。
【0052】
次に、通信部220は通信先記憶部212からi番目の通信先(この場合は1番目)を読み出し、緊急発信の発信先に設定し(S530)、通常発信と異なる緊急発信を行う(S540)。
【0053】
緊急発信がなされると、応答判定部240は、緊急発信時の呼出継続時間内に、通信先と通信接続したか否かを判定する(S550)。通信接続したと判定されると、応答判定部240は緊急発信時の呼出継続時間内に通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを、さらに判定する(S560)。ステップS550で通信接続できなかったと判定した場合と、ステップS560で応答信号を受信しなかったと判定した場合は、ステップS590へ移行する。
【0054】
上記の呼出継続時間内に上記の応答信号を受信した場合、さらに応答判定部240は通信先から対応不可信号を受信したか否かを判定する(S570)。
【0055】
応答判定部240が、対応不可信号を受信したと判定した場合はS590へ移行し、対応不可信号を受信しなかったと判定した場合は、応答判定部240は受信待機時間が経過したか否か判定する(S580)。
【0056】
受信待機時間が経過したと判定した場合には緊急発信処理は終了する。なお、受信待機時間は設定しなくてもよく、受信待機時間を設定していない場合は、対応不可信号の受信待機の状態となる(S570)。
【0057】
対応不可信号の受信を所定の行動範囲に戻るまで待つことと設定した場合は、次のようにフローチャートを変更するものとする。すなわち、逸脱判定部280は携帯端末110の所持者が行動範囲に戻ったか否かの判定をする(S582)。行動範囲に戻ったと判定した場合は、通信先に、通知部290により用済み通知を発信して緊急発信処理は終了し(S584)、戻っていないと判定した場合は対応不可信号の受信待機の状態となる(S570)。
【0058】
ステップS590に移行した場合、変数iが最大登録者数か否かを確認し、最大登録者数でなかった場合、i=i+1を設定し(S610)、通信先記憶部212に複数記憶させた通信先からi+1番目の他の1の通信先(優先順位が次の通信先)を読み出し、緊急発信の発信先に設定し(S530)、新たに緊急発信する(S540)。
【0059】
また、S590に移行した場合であって、緊急発信した通信先に設定した上記の変数iが通信先記憶部212に登録した上記の最大登録数であった場合、再度、優先順位に従って緊急発信を発信するか(S520)、警察に通報するか否かは任意に設定することができる(S600)。
【0060】
なお、本明細書の携帯端末発信方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、通信先に緊急発信をする携帯端末と、通信先に新たに緊急発信を行う携帯端末発信方法と、かかる判定を行うコンピュータ読み取り可能なプログラムとに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態における無線通信システムの説明図である。
【図2】本発明の実施形態である携帯端末の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態である携帯端末の初期設定のフローチャートである。
【図4】発信者と登録者との通信例のシーケンス図である。
【図5】緊急発信処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
110 … 携帯端末
210 … 端末メモリ
212 … 通信先記憶部
214 … プログラム領域部
220 … 通信部
230 … 端末制御部
240 … 応答判定部
250 … 通信先切替部
260 … 行動範囲記憶部
270 … 位置取得部
280 … 逸脱判定部
290 … 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信先を複数記憶する通信先記憶部と、
所定の事象が発生した際に、前記通信先記憶部に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、該1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能な通信部と、
前記所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する応答判定部と、
前記応答信号を受信しなかったと前記応答判定部が判定した場合、前記通信先記憶部に記憶された他の通信先へ、前記通信部に新たに緊急発信させる通信先切替部と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記応答判定部は、前記1の通信先への発信から、所定の時間が経過しても前記応答信号を受信できなかった場合、該応答信号を受信しなかったと判定することを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記応答判定部は、前記1の通信先から対応不可信号を受信した場合、前記応答信号を受信しなかったと判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記携帯端末は、所定の行動範囲を記憶する行動範囲記憶部と、
自体の現在位置を取得する位置取得部と、
前記行動範囲と、前記現在位置とに基づき、前記携帯端末の所持者が該行動範囲を逸脱しているか否かを判定する逸脱判定部と、
を備え、
前記所定の事象は、前記携帯端末の所持者が前記行動範囲を逸脱していると判定したことであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末は、前記所持者が行動範囲外から行動範囲内に戻った際に、前記通信先に前記緊急発信を取り消す用済み通知を通報する通知部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
通信先を予め携帯端末に複数記憶させ、
所定の事象が発生した際に、前記複数記憶させた通信先の1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、
前記1の通信先からの、所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定し、
前記応答信号を受信しなかったと判定した場合、前記複数記憶させた通信先の他の通信先へ、新たに緊急発信することを特徴とする携帯端末発信方法。
【請求項7】
所定の行動範囲を予め携帯端末に記憶させ、
前記携帯端末自体の現在位置を取得し、
前記行動範囲と、前記現在位置とに基づき、前記携帯端末の所持者が該行動範囲を逸脱しているか否かを判定し、
前記所定の事象は、前記携帯端末の所持者が前記行動範囲を逸脱していると判定したことであることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末発信方法。
【請求項8】
コンピュータを、
通信先を複数記憶する通信先記憶部と、
所定の事象が発生した際に、前記通信先記憶部に記憶されたいずれか1の通信先に通常発信と異なる緊急発信をし、該1の通信先から所定の操作に伴う応答信号を受信可能な通信部と、
前記所定の操作に伴う応答信号を受信したか否かを判定する応答判定部と、
前記応答信号を受信しなかったと前記応答判定部が判定した場合、前記通信先記憶部に記憶された他の通信先へ、前記通信部に新たに緊急発信させる通信先切替部と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、さらに、
前記携帯端末は、所定の行動範囲を記憶する行動範囲記憶部と、
自体の現在位置を取得する位置取得部と、
前記行動範囲と、前記現在位置とに基づき、前記携帯端末の所持者が該行動範囲を逸脱しているか否かを判定する逸脱判定部と、
として機能させ、
前記所定の事象は、前記携帯端末の所持者が前記行動範囲を逸脱していると判定したことであることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−154125(P2010−154125A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328757(P2008−328757)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】