説明

携帯端末、文字入力方式、プログラム、及び、入力装置、入力方法

【課題】文字などの入力操作時の手や指への負担を軽減すると共に、素早い入力操作を行うことを可能とする携帯端末を提供する。
【解決手段】操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)を搭載する携帯端末であって、前記操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する入力手段を備える。前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向、圧力、或いは、前記操作ノブを押下した際の押下時間などである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、文字入力方式、プログラム、及び、入力装置、入力方法に関し、特に、アナログポインティングデバイスの傾け方向と押圧力に応じて文字入力を行うことを可能とする、携帯端末、文字入力方式、プログラム、及び、入力装置、入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機においては、通話のみならず、電子メールの送受信や、インターネット接続によるホームページの閲覧等が一般化してきている。
【0003】
電子メールの作成、或いは、インターネット接続のためのURL(Uniform Resource Locator:ユーアールエル)の入力のためには、数字だけでなく、かな文字やアルファベット、記号などの文字も入力できることが必要である。
【0004】
一般の携帯電話機においては、0から9までの数字を入力するための、所謂テンキーを用いて、文字も入力出来るようになっている。
【0005】
一般の携帯電話機で用いられている文字入力の方法には、「かな方式」と「2タッチ方式」の2種類のものがある。
【0006】
以下、アルファベットを入力する場合を例として、上述の2種類の文字入力の方法について説明する。
【0007】
「かな方式」では、テンキーのうちの2〜9の数字キーを使用するようになっている。まず、数字「2」のキーには、アルファベット26文字のうちの「A」、「B」、「C」の3文字を割当てておき、当該キーの押下回数によって3文字のうちの何れかを選択出来るようになっている。すなわち、当該キーを1回押下すれば「A」が入力され、2回押下すると「B」が入力され、3回押下すれば「C」が入力される。同様に、数字「3」のキーには、アルファベットの「D」、「E」、「F」を割り当て、数字「4」のキーには「G」、「H」、「I」を割り当てている。以下同様であり、数字「9」のキーには「W」、「X」、「Y」、「Z」を割り当てておき、各数字キーの押下回数によって1文字の入力が行えるようになっている。
【0008】
「2タッチ方式」では、テンキーの1〜9、0の全ての数字キーを使用するようになっている。数字「1」のキーには、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」の5文字が割り当てられている。そして、当該キー押下後に、別の6〜9、0キーの何れかを押下することにより、5文字中の何れかを選択できるようになっている。例えば、「6」キーを押下すれば「A」が入力され、「7」キーを押下すれば「B」が入力される。同様に、数字「2」のキーには、「F」、「G」、「H」、「I」、「J」の5文字が割り当てられ、以下、アルファベット順に5文字ずつ割当て、最後の数字「6」のキーには「Z」が割り当てられている。そして、1回目のキー入力である1〜6キーの押下と、2回目のキー入力である6〜9、0キーの押下によって文字入力を行うようになっている。
【0009】
上述した2種類の文字入力の方法において、1つの文字を入力する為に必要なキー押下回数という点を考察すると、「かな方式」では1つのキーに約3種類の文字を割当てる為、平均して約2回のキー押下が必要である。「2タッチ方式」では、全ての文字につき2回のキー押下が必要となっており、1つの文字入力を1回のキー押下で行えないという問題がある。また、これらの方式では、1つの文字入力後に別の文字を入力する場合、別のキーを押下する必要がある為、指を当該キーまで移動しなければならないという問題もある。
【0010】
上述した文字入力の方法は、所謂テンキーだけを用いて文字を入力するものである。テンキーから携帯電話機に対して入力される信号は、デジタル信号として入力されるものであるため、更に、アナログ情報を入力する手段を設けて、携帯電話機の文字入力などの多様化に対応しようとしているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
この特許文献1に記載の「携帯端末装置」においては、携帯端末装置本体の側部に、板状の操作子であるところのエモーショナルグリップを設けている。さらに、エモーショナルグリップに加えられた圧力を検出する圧力センサを設けている。そして、圧力センサの出力レベルに応じた速度で表示画面の文字をスクロールし、ユーザが操作部のプッシュボタンを押すと、表示画面のスクロールしている文字の内の特定位置の文字がメモリに書き込まれるようになっている。このように、アナログ情報を入力する手段を設けたので、従来できなかった種々の新しい機能を実現した携帯端末装置を提供できるようになる、としている。
【0012】
また、2つのアナログスティックを有するゲーム装置で、容易に文字を入力することができる文字入力制御方法を提案するものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
この特許文献2に記載の「文字入力制御方法、プログラム、記録媒体及び文字入力装置」においては、以下のような方法が提案されている。
【0014】
すなわち、予め50音を各行頭文字毎にグループ化しておき、第1の円の中心から放射状に区分した複数の扇形領域に各行頭文字を割り当てて表示する。そして、プレイヤが傾けた第1のアナログスティックの方向を検出すると共に、該方向に対応した前記扇形領域から行頭文字を特定する。また、第2の円の中心から放射状に区分した複数の扇形領域に、前記選択中の行頭文字のグループに属する各母音を割り当てて表示する。そして、プレイヤが傾けた第2のアナログスティックの方向を検出すると共に、該方向に対応した前記扇形領域から特定される母音を入力する。このことにより、容易に文字を入力することができるようになる、としている。
【0015】
【特許文献1】特開2003−186597号公報(第2−3頁、図1−5)
【特許文献2】特開2002−268818号公報(第4−7頁、図1−25)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来の文字入力の方法は、何れも、複数回の操作を行うことにより1文字が入力できるようになっている。従って、文字入力時の手や指への負担が大きく、また、素早い入力ができない、という欠点を有している。
【0017】
本発明は上述した事情を改善するために成されたものであり、従って本発明の目的は、文字などの入力操作時の手や指への負担を軽減すると共に、素早い入力操作を行うことを可能とする、携帯端末、文字入力方式、プログラム、及び、入力装置、入力方法、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の携帯端末は、操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)を搭載する携帯端末であって、前記操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する入力手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向であることを特徴とする。
【0020】
さらに、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の押圧力であることを特徴とする。
【0021】
また、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを押下した際の押下時間であることを特徴とする。
【0022】
本発明の携帯端末は、操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)を搭載する携帯端末であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の文字の中から1文字を選択する入力文字判定手段を備える、ことを特徴とする。
【0023】
また、前記入力文字判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の文字を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の文字の中の1文字を選択するための入力文字対応表を備える、ことを特徴とする。
【0024】
さらに、前記入力文字判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の文字の中から1文字を選択する、ことを特徴とする。
【0025】
また、前記入力文字判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる文字を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた文字の何れかを選択するための第2の入力文字対応表を備える、ことを特徴とする。
【0026】
さらに、操作ノブを有するAPDを搭載する携帯端末であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の項目の中から1つの項目を選択する項目判定手段を備える、ことを特徴とする。
【0027】
また、前記項目判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の項目を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の項目の中の1つの項目を選択するための項目対応表を備える、ことを特徴とする。
【0028】
さらに、前記項目判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の項目の中から1つの項目を選択する、ことを特徴とする。
【0029】
また、前記項目判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる項目を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた項目の何れかを選択するための第2の項目対応表を備える、ことを特徴とする。
【0030】
さらに、前記項目はメニュー項目である、ことを特徴とする。
【0031】
本発明の文字入力方式は、操作ノブを有するAPDを搭載する装置における文字入力方式であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の文字の中から1文字を選択する入力文字判定手段を備える、ことを特徴とする。
【0032】
また、前記入力文字判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の文字を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の文字の中の1文字を選択するための入力文字対応表を備える、ことを特徴とする。
【0033】
さらに、前記入力文字判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の文字の中から1文字を選択する、ことを特徴とする。
【0034】
また、前記入力文字判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる文字を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた文字の何れかを選択するための第2の入力文字対応表を備える、ことを特徴とする。
【0035】
さらに、操作ノブを有するAPDを搭載する装置における文字入力方式であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の項目の中から1つの項目を選択する項目判定手段を備える、ことを特徴とする。
【0036】
また、前記項目判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の項目を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の項目の中の1つの項目を選択するための項目対応表を備える、ことを特徴とする。
【0037】
さらに、前記項目判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の項目の中から1つの項目を選択する、ことを特徴とする。
【0038】
また、前記項目判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる項目を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた項目の何れかを選択するための第2の項目対応表を備える、ことを特徴とする。
【0039】
さらに、前記項目はメニュー項目である、ことを特徴とする。
【0040】
本発明のプログラムは、操作ノブを有するAPDを搭載する携帯端末のコンピュータに、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の文字の中から1文字を選択する入力文字判定処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0041】
また、前記入力文字判定処理においては、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の文字の中から1文字を選択する処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0042】
さらに、操作ノブを有するAPDを搭載する携帯端末のコンピュータに、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の項目の中から1つの項目を選択する項目判定処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0043】
また、前記項目判定処理においては、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の項目の中から1つの項目を選択する処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0044】
さらに、前記項目はメニュー項目である、ことを特徴とする。
【0045】
本発明の入力装置は、前記入力装置に操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)と、前記操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する入力手段と、を備えることを特徴とする。
【0046】
また、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向であることを特徴とする。
【0047】
さらに、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の押圧力であることを特徴とする。
【0048】
また、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを押下した際の押下時間であることを特徴とする。
【0049】
さらに、前記パラメータに対応する事項は、文字であることを特徴とする。
【0050】
また、前記パラメータに対応する事項は、メニュー項目であることを特徴とする。
【0051】
さらに、前記パラメータに対応する事項は、文字列であることを特徴とする。
【0052】
本発明の入力方法は、APDの操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する、ことを特徴とする。
【0053】
また、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向であることを特徴とする。
【0054】
さらに、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の押圧力であることを特徴とする。
【0055】
また、前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを押下した際の押下時間であることを特徴とする。
【0056】
さらに、前記パラメータに対応する事項は、文字であることを特徴とする。
【0057】
また、前記パラメータに対応する事項は、メニュー項目であることを特徴とする。
【0058】
さらに、前記パラメータに対応する事項は、文字列であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0059】
本発明の携帯端末は、APDを1回操作するだけで、例えば、操作ノブを傾けるだけで、1つの事項が入力できる。従って、事項の入力を素早く行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0061】
図1は、本発明の携帯電話の一実施形態を示す外観図である。
【0062】
図1に示す携帯電話100は、音声通信やデータ通信を行う際に無線電波の送受信を行う無線装置1と、音声通信時にユーザの音声を入力する送話装置6と、音声通信時に相手の音声を出力する受話装置2を備えている。
【0063】
また、ユーザのキー入力時の操作支援情報や、携帯電話100からの出力情報などを表示する表示装置3を備えている。さらに、表示装置3に表示されるメニュー画面等で、選択対象箇所の移動や決定を行うと共に、文字入力を行うためのAPD(Analog Pointing Device:アナログポインティングデバイス)装置4を備えている。またさらに、ユーザからのキー入力を行うためのキー装置5を備えている。キー装置5は、テンキーとファンクションキーとから構成されている。
【0064】
次に、図2を参照して、APD装置4について説明する。
【0065】
図2は、APD(アナログポインティングデバイス)の一般的形状を示す図である。
【0066】
本実施形態の携帯電話100では、APD装置4を使用して文字入力を行うようにしている。
【0067】
APDは既知の入力装置であるが、以下、簡単に説明しておくものとする。
【0068】
まず、ポインティングデバイスとは、画面上での入力位置や座標を指定する為の入力機器の総称であり、マウスやトラックパッド、トラックボールなどが代表的なデバイスである。
【0069】
そして、APDとは、ポインティングデバイスの一種であるが、さらに、圧力センサを備えており、操作した時の圧力を検出することができるようになっている。この圧力はアナログ値で出力されるものあり、そのためにアナログのポインティングデバイスと称されているものである。APDを入力デバイスとして利用する装置では、このアナログ値のA/D(Analog to Digital)変換値を使用し、圧力に応じた制御を行うようになっている。
【0070】
図2(a)に示すAPD装置4は、操作ノブ41を備えている。そして、図2(b)に示すように、操作ノブ41は360°の任意の方向に傾けることが可能で、その傾け方向と押圧力を検出することができ、また、操作ノブ41の押下も検出できる装置である。一般的なパーソナルコンピュータなどにおいては、この検出された方向と圧力により、画面上のマウスカーソルの移動などを行っている。例えば、APDを傾けた方向によってマウスカーソルの移動方向を決定し、傾けた際に生ずる圧力によってマウスカーソルの移動速度を決定するといったような利用がなされている。
【0071】
図1に示した携帯電話100においては、図2に示すAPD装置4の操作ノブ41の傾ける方向に入力文字を数個ずつ割当て、傾ける圧力により割当てている数個の文字の中から入力する文字を判定し、文字入力を行うようにしている。また、操作ノブ41の押下を検出し、操作ノブ41の押下時間の長短に対応する文字を複数割当て、押下時間の長短により入力する文字を判定するようにもしている。このようにして、本実施形態の携帯電話100では、APD装置4による1回の操作、つまり、ある方向にある圧力で傾けることにより、或いは、押下した時間の長短により、1つの文字を入力することができるようになっている。
【0072】
次に、図3を参照して、図1に示した携帯電話100の内部構成について説明する。
【0073】
図3は、図1に示した携帯電話の内部構成の一例を示すブロック図である。なお、図3において図1に示す構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図3における携帯電話100のAPD装置4は、方向検出部7と圧力検出部8と押下検出部9を内蔵している。そして、ユーザがAPD装置4を操作した時の方向と圧力を、方向検出部7と圧力検出部8でそれぞれ検出するようになっている。また、APD装置4を押下したときの押下と押下時間を押下検出部9で検出するようになっている。
【0075】
そして、図3の携帯電話100は、無線装置1、送話装置6、受話装置2、表示装置3、APD装置4、キー装置5、などの動作制御を行うことにより、携帯電話100全体の制御を行う制御回路部10を備えている。制御回路部10は、入力文字判定部11を内蔵している。
【0076】
入力文字判定部11は、APD装置4に内蔵されている方向検出部7から出力される方向、圧力検出部8から出力される圧力、及び、押下検出部9から出力される押下と押下時間の情報を元に、入力文字を判定し決定する制御を行うものである。そして、入力文字判定部11は、APD装置4から出力される方向、圧力、押下と押下時間の情報から入力文字を判定するための入力文字対応表12を、入力文字判定部11の有する記憶部内に備えている。
【0077】
次に、図4、図5を参照して、入力文字判定部11が備える入力文字対応表12について説明する。
【0078】
本実施形態の、図3に示した携帯電話100においては、入力文字として日本語(平仮名、片仮名)、アルファベット、数字、記号等を入力可能とするものであるが、説明の容易化のため、以下の説明においては、アルファベットを入力する場合を一例として説明を行うものとする。
【0079】
前述したように、本実施形態の携帯電話100においては、図2に示すAPD装置4の操作ノブ41を傾ける方向に入力文字を数個ずつ割当て、傾ける圧力により割当てている数個の文字の中から入力する1文字を判定し、文字入力を行うようにしている。また、操作ノブ41の押下を検出し、操作ノブ41の押下時間の長短に対応する文字を複数割当て、押下時間の長短により入力する1文字を判定するようにもしている。
【0080】
このため、操作ノブ41の傾け方向と圧力に対応する入力文字、及び、操作ノブ41の押下時間に対応する入力文字、の対応を入力文字対応表12として予め定義しておくものである。
【0081】
先ず、図4に示すように、操作ノブ41の傾け方向(図4の1201の列)を、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の8段階の方向に分ける(図4の1202の列)。また、その傾け圧力(図4の1211の行)を、弱、中、強の3段階の圧力に分ける(図4の1212の行)。そして、8段階の各方向に対して3文字づつを割り当て、3段階の圧力に対して3文字の内のいずれかの文字を選択するようにする。
【0082】
そのために、例えば、「上」方向に対して文字「A」、「B」、「C」を割り当て(図4の1213の行)、「右上」方向に対して文字「D」、「E」、「F」を割り当てる(図4の1214の行)。「G」以下の文字も同様に、各方向ごとに3文字づつを割り当てる(図4の1215の行から1220の行)。そして、傾け圧力により、割り当てている3文字の中から何れかを選択できるよう、圧力に対応した入力文字を決定できるようにする。例えば、「上」方向に傾けられた操作ノブ41の傾け圧力が「弱」であれば、入力文字は「A」であるものとし(図4の1213の行、かつ、1203の列)、操作ノブ41の傾け圧力が「中」であれば、入力文字は「B」であるものとする(図4の1213の行、かつ、1204の列)ように、各文字を図4に示す操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1として定義しておく。
【0083】
図4においては、アルファベット26文字の内の24文字(A〜X)だけが定義されている。そこで、残り2文字(YとZ)を、図5に示す操作ノブ押下時の入力文字対応表12−2で定義する。
【0084】
すなわち、図5において、操作ノブ41の押下(図5の1231の列)の時間を(図5の1241の行)、短、長の2段階の時間に分ける(図5の1242の行)。そして、押下時間が「短」に文字「Y」を割り当て(図5の1243の行、かつ、1232の列)、押下時間が「長」に文字「Z」を割り当てておく(図5の1243の行、かつ、1233の列)。
【0085】
なお、本実施形態においては、入力文字対応表12を図4、図5の両図に示したように定義しているが、操作ノブ41の傾け方向及び圧力の量、或いは、押下時間の量はアナログ量である為、各々の段階数は、APD装置4の精度によって、ユーザが最も操作しやすい段階数に変更可能である。
【0086】
次に、図6、図7を参照して、本実施形態の動作について説明する。なお、以下の説明において、APD装置4の操作ノブ41を傾けた場合の方向を方向量αと記述し、その際の圧力を圧力量βと記述するものとする。方向量αは、全周を360°としたときの角度の成分として得られるものである。例えば、携帯端末100の上部方向を0°に設定していた際、操作ノブ41が右方向に傾けられれば、角度として90°が得られる。圧力量βは、操作ノブ41を傾けた際、傾け方向に生ずる押圧力として得られるものである。また、操作ノブ41を押下した場合の押下時間を押下時間量γと記述するものとする。なお、図中で使用している「∈」は、「左辺に示す量が右辺に示す値の範囲内に入っている」ことを表わす記号として用いているものである。
【0087】
本実施形態における携帯電話100は以下に記す動作を行う。すなわち、制御回路部10の入力文字判定部11において、APD装置4の圧力検出部8と押下検出部9の出力をモニタしている。そして、圧力検出部8の出力が0以外であれば、操作ノブ41が傾けられたので、図6の操作ノブ傾け時の動作を開始する。また、押下検出部9の出力が0以外であれば、操作ノブ41が押下されたので、図7の操作ノブ押下時の動作を開始する。圧力検出部8、押下検出部9の出力が共に0であれば、圧力検出部8と押下検出部9の出力をモニタする動作に戻り、モニタ動作を継続する。
【0088】
先ず、図6を参照して、APD装置4の操作ノブ41を傾けた場合の動作について説明する。
【0089】
図6は、本実施形態のAPD操作ノブ傾け時の入力文字判定の動作を説明するフローチャートである。
【0090】
先ず、携帯電話100のユーザがAPD装置4を操作して操作ノブ41を傾けた場合、APD装置4の方向検出部7が方向量αを検出し、圧力検出部8が圧力量βを検出する。
【0091】
携帯電話100の制御回路部10の入力文字判定部11は、方向検出部7からの方向量αと圧力検出部8からの圧力量βに基づき、入力文字を判定する動作を行う。
【0092】
方向量αと圧力量βを受け取った入力文字判定部11は、先ず、方向量αが、図4に示した操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1の方向(図4の1201の列)のどの段階の範囲(図4の1202の列)に入るかを調べる。
【0093】
方向量αが「上」の範囲内かを調べ、(図6のステップS1)、「上」の範囲内であれば(ステップS1でYES)、方向識別子に「上」をセットする(ステップS2)。
【0094】
「上」の範囲内でなければ(ステップS1でNO)、次に、方向量αが「右上」の範囲内かを調べる(ステップS3)。「右上」の範囲内であれば(ステップS3でYES)、方向識別子に「右上」をセットする(ステップS4)。
【0095】
「右上」の範囲内でなければ(ステップS3でNO)、図示を省略するが、以降同様にして、「右」、「右下」、「下」、「左下」の順で調べ、その範囲内であれば方向識別子にその方向をセットする。「左下」の範囲内でなければ、最後に「左」の範囲内かを調べる(ステップS13)。「左」の範囲内であれば(ステップS13でYES)、方向識別子に「左」をセットする(ステップS14)。
【0096】
「左」の範囲内でなければ(ステップS13でNO)、方向識別子に残りの「左上」をセットする(ステップS15)。以上の判定動作により、方向を8段階の内の何れかに決定する。
【0097】
続いて、入力文字判定部11は圧力量βが、図4に示した操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1の圧力(図4の1211の行)のどの段階の範囲(図4の1212の行)に入るかを調べる。
【0098】
圧力量βが「弱」の範囲内かを調べ(図6のステップS16)、「弱」の範囲内であれば(ステップS16でYES)、圧力識別子に「弱」をセットする(ステップS17)。
【0099】
「弱」の範囲内でなければ(ステップS16でNO)、同様にして、圧力量βが「中」の範囲内かを調べる(ステップS18)。「中」の範囲内であれば(ステップS18でYES)、圧力識別子に「中」をセットする(ステップS19)。
【0100】
「中」の範囲内でなければ(ステップS18でNO)、圧力識別子に残りの「強」をセットする(ステップS20)。以上の判定動作により、圧力を3段階の内の何れかに決定する。
【0101】
こうして決定した方向(方向識別子にセットされている)及び圧力(圧力識別子にセットされている)から、図4に示した操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1に基づき、入力文字を判定する(ステップS21)。
【0102】
例えば、ステップS1からステップS20迄の判定動作により、方向識別子に「上」、圧力識別子に「弱」がセットされたものとする。方向識別子の「上」は、図4に示した操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1の1213の行に対応し、圧力識別子の「弱」は、1203の列に対応している。従って、図4に示した操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1の1213の行と1203の列の交点にある文字「A」が入力されたものと判定する。或いはまた、方向識別子に「右上」、圧力識別子に「中」がセットされたものとすると、この方向と圧力は、操作ノブ傾け時の入力文字対応表12−1の1214の行と、1204の列に対応している。従って、1214の行と1204の列の交点にある文字「E」が入力されたものと判定する。
【0103】
次に、図7を参照して、APD装置4の操作ノブ41を押下した場合の動作について説明する。
【0104】
図7は、本実施形態のAPD操作ノブ押下時の入力文字判定の動作を説明するフローチャートである。
【0105】
先ず、携帯電話100のユーザがAPD装置4を操作して操作ノブ41を押下した場合、APD装置4の押下検出部9が押下時間量γを検出する。
【0106】
携帯電話100の制御回路部10の入力文字判定部11は、押下検出部9からの押下時間量γに基づき、入力文字を判定する動作を行う。
【0107】
押下時間量γを受け取った入力文字判定部11は、押下時間量γが、図5に示した操作ノブ押下時の入力文字対応表12−2の時間(図5の1241の行)のどの段階の範囲(図5の1242の行)に入るかを調べる。
【0108】
押下時間量γが「短」の範囲内か調べ(図7のステップS31)、「短」の範囲内であれば(ステップS31でYES)、押下時間識別子に「短」をセットする(ステップS32)。
【0109】
「短」の範囲内でなければ(ステップS31でNO)、押下時間識別子に残りの「長」をセットする(ステップS33)。以上の判定動作により、押下時間を2段階の内の何れかに決定する。
【0110】
こうして決定した押下時間(押下時間識別子にセットされている)から、図5に示した操作ノブ押下時の入力文字対応表12−2に基づき、入力文字を判定する(ステップS34)。
【0111】
例えば、ステップS31からステップS33迄の判定動作により、押下時間識別子に「短」がセットされたものとする。押下時間識別子の「短」は、図5に示した操作ノブ押下時の入力文字対応表12−2の1232の列に対応している。従って、図5に示した操作ノブ押下時の入力文字対応表12−2の1243の行と1232の列の交点にある文字「Y」が入力されたものと判定する。
【0112】
以上、図6、図7を参照して説明したように、入力文字判定部11によって判定された入力文字は、例えば、表示装置3に表示する。
【0113】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話100においては、APD装置4を1回操作するだけで、例えば、操作ノブ41を傾ける、或いは、操作ノブ41を押下する、だけで、1文字が入力できる。従って、文字入力を素早く行うことが可能となる。
【0114】
また、APD装置4を操作するだけで文字入力を行うことができるので、操作する指の移動範囲が小さくて済み、従って、操作する手や指への負担を軽減することが可能となる。
【0115】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0116】
上述した本発明の第1の実施形態においては、APD装置4の操作ノブ41の傾け方向と圧力、或いは、操作ノブ41の押下時間を利用して、入力文字の判定を行うようにした。本発明の第2の実施形態は、APD装置4の操作ノブ41の傾け方向と圧力、或いは、操作ノブ41の押下時間を、メニュー項目の判定の為に利用するようにしたものである。
【0117】
図8は、本発明の携帯電話の第2の実施形態の一例を示すブロック図である。なお、図8において図3に示す構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を省略する。
【0118】
図8に示す携帯電話100は、図3におけると同様に、無線装置1、送話装置6、受話装置2、表示装置3、APD装置4、キー装置5、制御回路部10を備え、APD装置4は、方向検出部7と圧力検出部8と押下検出部9を備えている。
【0119】
そして、制御回路部10はメニュー項目判定部15を内蔵している。メニュー項目判定部15は、APD装置4に内蔵されている方向検出部7から出力される方向、圧力検出部8から出力される圧力、及び/或いは、押下検出部9から出力される押下と押下時間を示す情報を元に、メニュー項目を判定し決定する制御を行うものである。メニュー項目判定部15は、APD装置4から出力される方向、圧力、押下と押下時間の情報からメニュー項目を判定するためのメニュー項目対応表16を、メニュー項目判定部15の有する記憶部内に備えている。
【0120】
次に、図9を参照して、メニュー項目判定部15が備えるメニュー項目対応表16について説明する。
【0121】
図8に示す第2の実施形態の携帯電話100においては、図2に示すAPD装置4の操作ノブ41を傾ける方向にメニュー項目を数個ずつ割当て、傾ける圧力により割当てている数個のメニュー項目の中から入力する1つのメニュー項目を判定するようにしている。加えて、操作ノブ41の押下を検出し、操作ノブ41の押下時間の長短に対応するメニュー項目を複数割当て、押下時間の長短によりメニュー項目を判定するようにしてもよい。
【0122】
先ず、操作ノブ傾け時のメニュー項目対応表について説明する。
【0123】
メニュー項目対応表16は、操作ノブ41の傾け方向と圧力に対応するメニュー項目を予め定義しておくものである。
【0124】
図9は、APDの操作ノブ傾け時のメニュー項目対応表の一例を示す図である。
【0125】
図9に示すように、操作ノブ41の傾け方向(図9の1601の列)を、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の8段階の方向に分ける(図9の1602の列)。また、その傾け圧力(図9の1611の行)を、弱、中、強の3段階の圧力に分ける(図9の1612の行)。そして、8段階の各方向に対して3つのメニュー項目を割り当て、3段階の圧力に対して3つのメニュー項目の内のいずれかの項目を選択するようにする。
【0126】
そのために、例えば、「上」方向に対してメニュー項目「受話音量調節」、「着信音量調節」、「着信音選択」を割り当て(図9の1613の行)、「右上」方向に対してメニュー項目「待受画面設定」、「・・・」、「・・・」を割り当てる(図9の1614の行)。そして、傾け圧力により、割り当てている3つのメニュー項目の中から何れかを選択できるよう、圧力に対応したメニュー項目を決定できるようにする。例えば、「上」方向に傾けられた操作ノブ41の傾け圧力が「弱」であれば、メニュー項目は「受話音量調節」であるものとし(図9の1613の行、かつ、1603の列)、操作ノブ41の傾け圧力が「中」であれば、メニュー項目は「着信音量調節」であるものとする(図9の1613の行、かつ、1604の列)ように、各メニュー項目を図9に示すメニュー項目対応表16として定義しておく。
【0127】
次に、操作ノブ押下時のメニュー項目対応表について説明する。
【0128】
第2の実施形態における操作ノブ押下時のメニュー項目対応表は、第1の実施形態の図5に示した操作ノブ押下時の入力文字対応表12−2に記載された文字(YやZ)の欄に、文字に代えてメニュー項目を記載するだけでよい。従って、第2の実施形態における操作ノブ押下時のメニュー項目対応表については、図示を省略すると共に、これ以上の説明を省略するものとする。また、第2の実施形態におけるAPD操作ノブ押下時のメニュー項目判定の動作についても、第1の実施形態の図7に示したフローチャートのステップS34を、「押下時間から、「第2の実施形態における操作ノブ押下時のメニュー項目対応表」に基づき、メニュー項目を判定」と変更するだけでよい。従って、第2の実施形態における操作ノブ押下時メニュー項目判定の動作についても図示を省略し、動作説明も省略するものとする。
【0129】
なお、第2の実施形態においては、メニュー項目対応表16を図9に示したように定義しているが、第1の実施形態と同様に、操作ノブ41の傾け方向及び圧力の量、或いは、押下時間の量はアナログ量である為、各々の段階数は、APD装置4の精度によって、ユーザが最も操作しやすい段階数に変更可能である。
【0130】
次に、図10を参照して、第2の実施形態の動作(操作ノブ傾け時のメニュー項目判定の動作)について説明する。なお、以下の説明において、APD装置4の操作ノブ41を傾けた場合の方向を方向量αと記述し、その際の圧力を圧力量βと記述するものとする。
【0131】
図10は、第2の実施形態のAPD操作ノブ傾け時のメニュー項目判定の動作を説明するフローチャートである。
【0132】
先ず、携帯電話100のユーザがAPD装置4を操作して操作ノブ41を傾けた場合、APD装置4の方向検出部7が方向量αを検出し、圧力検出部8が圧力量βを検出する。
【0133】
携帯電話100の制御回路部10のメニュー項目判定部15は、方向検出部7からの方向量αと圧力検出部8からの圧力量βを受け取り、方向量αと圧力量βに基づき、メニュー項目を判定する動作を行う。
【0134】
方向量αと圧力量βを受け取ったメニュー項目判定部15は、先ず、方向量αが、図9に示したメニュー項目対応表16の方向(図9の1601の列)のどの段階の範囲(図9の1602の列)に入るかを調べる。
【0135】
方向量αが「上」の範囲内かを調べ(図10のステップS41)、「上」の範囲内であれば(ステップS41でYES)、方向識別子に「上」をセットする(ステップS42)。
【0136】
「上」の範囲内でなければ(ステップS41でNO)、次に、方向量αが「右上」の範囲内かを調べる(ステップS43)。「右上」の範囲内であれば(ステップS43でYES)、方向識別子に「右上」をセットする(ステップS44)。
【0137】
「右上」の範囲内でなければ(ステップS43でNO)、図示を省略するが、以降同様にして、「右」、「右下」、「下」、「左下」の順で調べ、その範囲内であれば方向識別子にその方向をセットする。「左下」の範囲内でなければ、最後に「左」の範囲内かを調べる(ステップS53)。「左」の範囲内であれば(ステップS53でYES)、方向識別子に「左」をセットする(ステップS54)。
【0138】
「左」の範囲内でなければ(ステップS53でNO)、方向識別子に残りの「左上」をセットする(ステップS55)。以上の判定動作により、方向を8段階の内の何れかに決定する。
【0139】
続いて、メニュー項目判定部15は圧力量βが、図9に示したメニュー項目対応表16の圧力(図9の1611の行)のどの段階の範囲(図9の1612の行)に入るかを調べる。
【0140】
圧力量βが「弱」の範囲内かを調べ(図10のステップS56)、「弱」の範囲内であれば(ステップS56でYES)、圧力識別子に「弱」をセットする(ステップS57)。
【0141】
「弱」の範囲内でなければ(ステップS56でNO)、同様にして、圧力量βが「中」の範囲内かを調べる(ステップS58)。「中」の範囲内であれば(ステップS58でYES)、圧力識別子に「中」をセットする(ステップS59)。
【0142】
「中」の範囲内でなければ(ステップS58でNO)、圧力識別子に残りの「強」をセットする(ステップS60)。以上の判定動作により、圧力を3段階の内の何れかに決定する。
【0143】
こうして決定した方向(方向識別子にセットされている)及び圧力(圧力識別子にセットされている)から、図9に示したメニュー項目対応表16に基づき、入力されたメニュー項目を判定する(ステップS61)。
【0144】
例えば、ステップS41からステップS60迄の判定動作により、方向識別子に「上」、圧力識別子に「弱」がセットされたものとする。方向識別子の「上」は、図9に示したメニュー項目対応表16の1613の行に対応し、圧力識別子の「弱」は、1603の列に対応している。従って、図9に示したメニュー項目対応表16の1613の行と1603の列の交点にあるメニュー項目「受話音量調節」が入力されたものと判定する。或いはまた、方向識別子に「右上」、圧力識別子に「弱」がセットされたものとすると、この方向と圧力は、メニュー項目対応表16の1614の行と、1603の列に対応している。従って、1614の行と1603の列の交点にあるメニュー項目「待受画面設定」が入力されたものと判定する。
【0145】
以上、図10を参照して説明したように、メニュー項目判定部16によって、入力されたメニュー項目が判定される。従って、該当メニュー項目を制御する機能部に制御を移すことにより、例えば、表示装置3に該当メニュー項目の設定等を行う画面などを表示することができる。
【0146】
なお、図10においては、方向量αがどの方向であるかを調べて方向識別子をセットし、次に圧力量βを調べて圧力識別子をセットするようにしているが、これを、以下に例示するような他の方法でセットすることも可能である。
【0147】
すなわち、図11に示すように、横軸を方向、縦軸を圧力とする座標平面上で、予め(方向,圧力)を対とする点をプロットしておく。例えば、(方向=上,圧力=強)の点(図11の(1)の点)、(方向=上,圧力=中)の点(図11の(2)の点)、・・・、(方向=右,圧力=強)の点(図11の(7)の点)、などを図11の座標平面上にプロットしておく。そして、APD装置4から得た方向量αと圧力量βから(方向=α,圧力=β)の点の座標を得る(例えば、図11の(10)の点である)。ここで、座標平面上の点(α,β)(図11の(10)の点)と、予めプロットしておいた(上,強)(図11の(1)の点)等の点との距離を全ての点について求め、その内の最小距離を与える点の(方向,圧力)を方向識別子と圧力識別子にセットするものである。図11に例示した(α,β)の点(図11の(10)の点)からの距離が最小の点は(上,強)の点(図11の(1)の点)であるので、この場合の方向識別子には「上」がセットされ、圧力識別子には「強」がセットされる。以上に記した方法は、第1の実施形態の図6においても同様に適用することができる。
【0148】
以上説明したように、第2の実施形態の携帯電話100においては、APD装置4を1回操作するだけで、例えば、操作ノブ41を傾ける、或いは、操作ノブを押下する、だけで、1つのメニュー項目が選択できる。従って、メニュー項目の選択を素早く行うことが可能となる。
【0149】
また、APD装置4を操作するだけでメニュー項目の選択を行うことができるので、操作する手や指への負担を軽減することが可能となる。
【0150】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0151】
上述した本発明の第2の実施形態においては、APD装置4の操作ノブ41の傾け方向と圧力、或いは、操作ノブ41の押下時間を利用して、メニュー項目の判定を行うようにした。本発明の第3の実施形態は、APD装置4の操作ノブ41の傾け方向と圧力、或いは、操作ノブ41の押下時間を、メニュー項目ではなく他の文字列の判定の為に利用するようにしたものである。
【0152】
第3の実施形態における文字列とは、例えば、メール作成時に使用する定型文字列であってもよいし、或いは、インターネット接続時に使用するURLであってもよい。また、着信音量設定時の「弱弱」、「弱」、「中」、「強」、「強強」などの文字列であっても良い。
【0153】
第3の実施形態は、第2の実施形態で述べたメニュー項目対応表に記述されたメニュー項目を、必要とする文字列に置き換えるだけでよい。
【0154】
従って、第3の実施形態については図示を省略し、これ以上の説明も省略するものとする。
【0155】
なお、上述した実施形態においては、一般的な携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System:パーソナルハンディホンシステム)端末などを携帯電話100として例示している。しかしながら、上述した実施形態におけるAPD装置4及び制御回路部10内の入力文字判定部11、或いは、メニュー項目判定部15を、PDA(Personal Digital Assistance:携帯情報端末)などに搭載することが可能である。こうすることにより、PDAなどにおいても、APD装置の1回の操作で、1文字入力を行うことが可能となり、また、メニュー項目の選択や文字列の選択を行うことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の携帯電話の一実施形態を示す外観図である。
【図2】APD(アナログポインティングデバイス)の一般的形状を示す図である。
【図3】図1に示した携帯電話の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】APDの操作ノブ傾け時の入力文字対応表の一例を示す図である。
【図5】APDの操作ノブ押下時の入力文字対応表の一例を示す図である。
【図6】本実施形態のAPD操作ノブ傾け時の入力文字判定の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態のAPD操作ノブ押下時の入力文字判定の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の携帯電話の第2の実施形態の一例を示すブロック図である。
【図9】APDの操作ノブ傾け時のメニュー項目対応表の一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態のAPD操作ノブ傾け時のメニュー項目判定の動作を説明するフローチャートである。
【図11】第2の実施形態のAPD操作ノブ傾け時のメニュー項目判定の動作の他の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0157】
1 無線装置
2 受話装置
3 表示装置
4 APD装置
41 操作ノブ
5 キー装置
6 送話装置
7 方向検出部
8 圧力検出部
9 押下検出部
10 制御回路部
11 入力文字判定部
12 入力文字対応表
15 メニュー項目判定部
16 メニュー項目対応表
100 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)を搭載する携帯端末であって、前記操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する入力手段を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の押圧力であることを特徴とする請求項1或いは請求項2の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを押下した際の押下時間であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)を搭載する携帯端末であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の文字の中から1文字を選択する入力文字判定手段を備える、ことを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
前記入力文字判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の文字を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の文字の中の1文字を選択するための入力文字対応表を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記入力文字判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の文字の中から1文字を選択する、ことを特徴とする請求項5或いは請求項6の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記入力文字判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる文字を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた文字の何れかを選択するための第2の入力文字対応表を備える、ことを特徴とする請求項7に記載の携帯端末。
【請求項9】
操作ノブを有するAPDを搭載する携帯端末であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の項目の中から1つの項目を選択する項目判定手段を備える、ことを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
前記項目判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の項目を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の項目の中の1つの項目を選択するための項目対応表を備える、ことを特徴とする請求項9に記載の携帯端末。
【請求項11】
前記項目判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の項目の中から1つの項目を選択する、ことを特徴とする請求項9或いは請求項10の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項12】
前記項目判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる項目を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた項目の何れかを選択するための第2の項目対応表を備える、ことを特徴とする請求項11に記載の携帯端末。
【請求項13】
前記項目はメニュー項目である、ことを特徴とする請求項9から請求項12の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項14】
操作ノブを有するAPDを搭載する装置における文字入力方式であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の文字の中から1文字を選択する入力文字判定手段を備える、ことを特徴とする文字入力方式。
【請求項15】
前記入力文字判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の文字を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の文字の中の1文字を選択するための入力文字対応表を備える、ことを特徴とする請求項14に記載の文字入力方式。
【請求項16】
前記入力文字判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の文字の中から1文字を選択する、ことを特徴とする請求項14或いは請求項15の何れか1項に記載の文字入力方式。
【請求項17】
前記入力文字判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる文字を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた文字の何れかを選択するための第2の入力文字対応表を備える、ことを特徴とする請求項16に記載の文字入力方式。
【請求項18】
操作ノブを有するAPDを搭載する装置における文字入力方式であって、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の項目の中から1つの項目を選択する項目判定手段を備える、ことを特徴とする文字入力方式。
【請求項19】
前記項目判定手段は、前記方向を複数の方向段階に分割して各方向段階に複数の項目を割り当て、前記該方向に加えられた圧力を複数の圧力段階に分割して該圧力段階に応じて前記複数の項目の中の1つの項目を選択するための項目対応表を備える、ことを特徴とする請求項18に記載の文字入力方式。
【請求項20】
前記項目判定手段は、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の項目の中から1つの項目を選択する、ことを特徴とする請求項18或いは請求項19の何れか1項に記載の文字入力方式。
【請求項21】
前記項目判定手段は、前記押下時間を複数の押下時間段階に分割して各押下時間段階に異なる項目を割り当て、該押下時間段階に応じて前記各押下時間段階に割り当てられた項目の何れかを選択するための第2の項目対応表を備える、ことを特徴とする請求項20に記載の文字入力方式。
【請求項22】
前記項目はメニュー項目である、ことを特徴とする請求項18から請求項21の何れか1項に記載の文字入力方式。
【請求項23】
操作ノブを有するAPDを搭載する携帯端末のコンピュータに、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の文字の中から1文字を選択する入力文字判定処理を実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項24】
前記入力文字判定処理においては、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の文字の中から1文字を選択する処理を実行させる、ことを特徴とする請求項23に記載のプログラム。
【請求項25】
操作ノブを有するAPDを搭載する携帯端末のコンピュータに、前記操作ノブを傾けた際の方向と該方向に加えられた圧力により複数の項目の中から1つの項目を選択する項目判定処理を実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項26】
前記項目判定処理においては、さらに、前記操作ノブを押下した際の押下時間により複数の項目の中から1つの項目を選択する処理を実行させる、ことを特徴とする請求項25に記載のプログラム。
【請求項27】
前記項目はメニュー項目である、ことを特徴とする請求項25或いは請求項26の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項28】
入力装置であって、前記入力装置に操作ノブを有するAPD(アナログポインティングデバイス)と、前記操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する入力手段と、を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項29】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向であることを特徴とする請求項28に記載の入力装置。
【請求項30】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の押圧力であることを特徴とする請求項28或いは請求項29の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項31】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを押下した際の押下時間であることを特徴とする請求項28から請求項30の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項32】
前記パラメータに対応する事項は、文字であることを特徴とする請求項28から請求項31の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項33】
前記パラメータに対応する事項は、メニュー項目であることを特徴とする請求項28から請求項31の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項34】
前記パラメータに対応する事項は、文字列であることを特徴とする請求項28から請求項31の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項35】
APDの操作ノブに印加される操作量に関するパラメータを検出し、前記パラメータに対応する事項を入力する、ことを特徴とする入力方法。
【請求項36】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の方向であることを特徴とする請求項35に記載の入力方法。
【請求項37】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを傾けた際の押圧力であることを特徴とする請求項35或いは請求項36の何れか1項に記載の入力方法。
【請求項38】
前記操作量に関するパラメータは、前記操作ノブを押下した際の押下時間であることを特徴とする請求項35から請求項37の何れか1項に記載の入力方法。
【請求項39】
前記パラメータに対応する事項は、文字であることを特徴とする請求項35から請求項38の何れか1項に記載の入力方法。
【請求項40】
前記パラメータに対応する事項は、メニュー項目であることを特徴とする請求項35から請求項38の何れか1項に記載の入力方法。
【請求項41】
前記パラメータに対応する事項は、文字列であることを特徴とする請求項35から請求項38の何れか1項に記載の入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−235917(P2006−235917A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48742(P2005−48742)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】