説明

携帯端末、電子キーシステム及びアンサーバック方法

【課題】車両のアンサーバックの課題のひとつに、車両の位置や時間帯によって、騒音や照明で近隣に迷惑がかかってしまうことがある。
【解決手段】ユーザが、携帯電話の電子キー操作部で解錠要求を入力すると(S10a)、キー制御部は、解錠要求信号を車両に送信する(S12a)。車両の要求取得部は、解除要求信号を受信すると(S14b)、受信内容をロック制御部に通知し、ロック制御部はその通知を取得する(S16b)。そしてロック制御部は、認証コードが一致した場合(S18bのY)、ロック制御部は、ロック機構を駆動させて解錠し(S20b)、解錠完了信号が携帯電話へ送信される(S22b)。一方、携帯電話は、解錠完了信号を受信すると(S24a)、認証後(S26aのY)、携帯電話でアンサーバックが出力される(S28a)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、電子キーシステム及びアンサーバック方法に係り、車両のロック/アンロック機構のワイヤレスによる施錠及び解錠機能を備える携帯端末、その様な携帯端末を備えた電子キーシステム、及びその様な携帯端末を用いたアンサーバック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のドアを施錠及び解錠する手段として、従来の機械式のキーから、ワイヤレスキーに移行しつつある。従来は、比較的高級な一部の車種のみで採用されていたが、近年では多くの車両に採用されるようになっている。
【0003】
ワイヤレスキーの特徴から、ユーザは、車両から離れた位置から車両の施錠及び解錠が可能である。しかし、車両から離れているために、ユーザは、車両の施錠及び解錠を直接確認できない。そこで、車両のハザードランプを点灯させたりホーンを鳴らして施錠及び解錠を通知するアンサーバックと呼ばれる技術が搭載されている。
【0004】
そして、アンサーバックの技術のひとつに、ユーザが車両を施錠するときに、車両の状態に応じてアンサーバックの態様を変更する技術がある(特許文献1参照)。この技術では、車両の駐車ブレーキレバー操作の有無やシフトレバーのポジション、盗難防止装置の作動状況に応じて、サイドミラーに取り付けられたライトの点灯時間を変更している。
【0005】
また、深夜の住宅地においてアンサーバックがなされたときに、騒音や照明で近隣に迷惑がかかってしまうことを避けるために、昼夜を検出して、検出結果に応じてアンサーバックの方法を変更する技術もある(特許文献2参照)。
【0006】
また、ドアロック機構と携帯電話を連携させ、車両の施錠及び解錠を遠隔操作する技術もある(特許文献3参照)。この技術では、車両に搭載された携帯電話と、ドアロック機構と無線接続した携帯電話とにより通信がなされ、ドアロック機構に対する操作が、携帯電話の回線を通じて車両に通知される。
【特許文献1】特開2001−82011号公報
【特許文献2】特開2006−121651号公報
【特許文献3】特開2005−299119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように、車両のアンサーバックの課題のひとつに、車両の位置や時間帯によって、騒音や照明で近隣に迷惑がかかってしまうことがある。特許文献2に開示の技術では、近隣に配慮したが故にユーザによる確認が難しくなってしまうことがあった。また、特許文献3に開示の技術では、携帯電話の回線の電波状況に影響され、地下駐車場などではアンサーバックが機能しないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、携帯端末に関する。この携帯端末は、車両に設けられたロック/アンロック機構をワイヤレスで施錠又は解錠可能な電子キー機能と、携帯端末機能とが一体で構成された携帯端末であって、前記電子キー機能が、前記車両に対して、前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求を、認証コードとともに無線で直接送信するキー側送信部と、前記車両から、施錠又は解錠の動作結果の通知を無線で直接受信するキー側受信部と、前記通知が当該携帯端末に対する通知であると判断した場合に、前記通知の受信結果をもとにアンサーバックとして報知情報を出力する出力部とを備える。
前記出力部において出力するアンサーバックの態様を決定するアンサーバック選択部を備えてもよい。
また、前記アンサーバック選択部は、当該携帯端末における前記アンサーバックとともに前記車両におけるアンサーバックの態様を決定し、前記キー側送信部は、前記車両に対して、車両側における前記アンサーバックの態様の指示を前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求とともに送信してもよい。
また、当該携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記アンサーバック選択部は、前記位置情報をもとに、前記アンサーバックの態様を決定してもよい。
また、時刻を特定する時計機能を備え、前記アンサーバック選択部は、時刻に応じて前記アンサーバックの態様を決定してもよい。
本発明の別の態様は、電子キーシステムに関する。この電子キーシステムは、上記の携帯端末と、車両に搭載され当該車両のロック/アンロック機構を前記携帯端末によりワイヤレスで施錠又か解錠可能なワイヤレスロック/アンロック装置とを備えた。
本発明のさらに別の態様は、電子キーシステムに関する。この電子キーシステムは、車両に搭載され当該車両のロック/アンロック機構をワイヤレスで施錠又か解錠可能なワイヤレスロック装置と、前記ロック/アンロック機構を施錠又か解錠するための電子キー機能を備えた携帯端末とからなる電子キーシステムであって、前記携帯端末の電子キー機能は、前記車両に対して、前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求を、認証コードとともに無線で直接送信するキー側送信部と、前記車両から、施錠又は解錠の動作結果の通知と、アンサーバックの態様と、認証コードとを無線で直接受信するキー側受信部と、前記通知が当該携帯端末に対する通知であると認証した場合に、受信結果をもとにアンサーバックとして報知情報を出力する出力部とを備え、前記ワイヤレスロック装置は、前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求を、無線で直接取得する要求取得部と、前記要求とともに送られてきた認証コードを認証する車両側認証部と、前記要求が認証された場合、前記要求にもとづき前記ロック/アンロック機構の施錠及び解錠を行うロック/アンロック部と、前記アンサーバックの態様を決定するアンサーバック選択部と、前記ロック/アンロック機構の施錠及び解錠の動作結果と、前記決定したアンサーバックの態様と、前記携帯端末における認証に使用される認証コードと、前記携帯端末へ送信する車両側送信部とを備える。
また、前記ワイヤレスロック/アンロック装置は、車両の位置情報を取得する車両側位置情報取得部を備え、前記アンサーバック選択部は、前記位置情報にもとづき前記アンサーバックの態様を選択してもよい。
本発明のさらに別の態様は、車両の電子キーを備える携帯端末を用いた、施錠及び解錠のアンサーバック方法に関する。このアンサーバック方法は、車両の電子キーを備える携帯端末を用いた、施錠及び解錠のアンサーバック方法であって、車両のロック/アンロック機構の解錠又は施錠の要求を無線で直接車両に送信する施錠/解錠要求送信工程と、前記車両から前記要求に対する返信を直接無線で取得してユーザに報知する報知工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の施錠及び解錠機能を携帯端末に搭載したことで、施錠及び解錠をユーザが直接的に、また、携帯端末を使用するユーザのみが施錠及び解錠を確認できるアンサーバックの技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態における説明では、主に本発明に特徴的な構成について説明し、それ以外の構成については図示及び説明を省略している。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る、ワイヤレスロック/アンロック装置20(以下及び図中にて「ワイヤレスロック装置20」と略する)を備えた車両10及び、ワイヤレスロック装置20を操作する携帯電話70を模式的に示した図である。なお、以下の実施形態では、ワイヤレスロック装置20を車両10のドアの施錠及び解錠に適用した態様について説明するが、ドア以外の施錠及び解錠、例えばトランク(図示せず)や燃料タンクの蓋(図示せず)等に設けられたロック/アンロック機構の施錠及び解錠にも適用することができる。
【0013】
本実施形態では、携帯電話70が車両10の施錠及び解錠を可能な電子キーを内蔵し、ユーザは携帯電話70を操作することで車両10の施錠及び解錠を行う。また、携帯電話70の操作により施錠又は解錠がなされたときには、車両10は、携帯電話70に施錠又は解錠の結果を通知する。通知を受けた携帯電話70は、ディスプレイ表示や音声出力、振動によりユーザに通知(報知)する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る、ワイヤレスロック装置20の概略構成を示す機能ブロック図である。ワイヤレスロック装置20は、以下に示す各構成要素を統括的に制御するロック制御部30と、施錠及び解錠に関して携帯電話70と通信するロック通信部34と、アンサーバックの態様を制御するアンサーバック制御部40と、施錠及び解錠用の認証コードを記憶する認証記憶部50とを備える。上記及び以下に説明する各種制御部は、いわゆるECUであって、MPU(Micro Processing Unit)やROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、それらにより演算実行される所定のプログラム等により実現される。
【0015】
ロック通信部34は、要求取得部36と通知部38を備える。要求取得部36は、携帯電話70からの施錠又は解錠要求を受信し、受信内容をロック制御部30に通知する。また、通知部38は、認証コードを含んだデータとして施錠又は解錠結果を携帯電話70に送信して通知する。
【0016】
アンサーバック制御部40は、アンサーバックの態様を決定する。つまり、アンサーバック制御部40は、施錠又は解錠がなされたときに、どのような態様でアンサーバックを行うかを記憶しており、その記憶に応じてアンサーバックがなされる。具体的には、アンサーバック制御部40は、方向指示灯23を点灯させるか、ホーン25を鳴らすか、携帯電話70に通知するか、または、それらを組合せたアンサーバックを行うか等を決定する。そして、アンサーバック制御部40は、決定に応じてハザード制御部24、ホーン制御部26、通知部38に指示する。
【0017】
例えば、アンサーバック制御部40が方向指示灯23を所定回数点灯するようにハザード制御部24に指示すると、ハザード制御部24は通知された回数だけ方向指示灯23を点灯させる。また、アンサーバック制御部40が、ホーン制御部26に所定回数ホーン25をならすように指示すると、ホーン制御部26は所定回数だけホーン25を鳴らす。さらに、アンサーバック制御部40が、通知部38に携帯電話70に通知するように指示すると、通知部38は、携帯電話70に無線でその旨を出力する。なお、アンサーバックの態様は、予め設定されたものでもよいし、ユーザから設定されたものでもよいし、さらには、所定の条件に応じて変更されてもよい。所定の条件とは、例えば、時間帯や車両10の現在位置などである。本実施形態では、予め設定されている携帯電話70への通知を例示し、車両の位置に応じて変更する態様については後述する。
【0018】
図3は、本実施形態に係る、携帯電話70の機能ブロック図である。携帯電話70は、一般的な携帯電話機能を実現するモジュールとして携帯電話機能部72と、出力部74と、ユーザインタフェース73と、時計90とを備える。また、携帯電話70はさらに、車両10の電子キーとしての機能を実現する電子キー機能部80とを備える。さらに、携帯電話70の主制御部71は、携帯電話機能部72、ユーザインタフェース73、出力部74、電子キー機能部80とを統括的に制御する。
【0019】
ユーザインタフェース73は、例えば、ユーザからの操作を受け付けるボタンであり、テンキーや所定の動作に関連づけられたボタンなどである。また、ユーザインタフェース73は、タッチパネル式でもよく、ユーザからの操作を取得する機能を有していればよい。出力部74は、液晶パネル等の表示部75と、スピーカ76と、振動発生部77とを備える。振動発生部77は、いわゆるバイブレータで、着信等を様々な種類の振動で通知できる。
【0020】
電子キー機能部80は、キー制御部81と、ID記憶部82と、電子キー通信部83と、電子キー操作部84とを備える。
【0021】
キー制御部81は、ID記憶部82や、電子キー通信部83、及び電子キー操作部84を統括的に制御して、車両10の電子キーの機能を実行する。
【0022】
ID記憶部82は、ワイヤレスロック装置20の施錠及び解錠の際に認証コードを記憶する。
【0023】
電子キー通信部83は、施錠又は解錠の要求を所定の周波数及び送信出力の無線によって行う。この施錠又は解錠の要求には、ID記憶部82に記憶されている認証コードが含まれる。そして、携帯電話70から送信した施錠又は解除要求に含まれる認証コードが認証記憶部50に記憶されている認証コードと一致する場合に、ワイヤレスロック装置20は施錠又は解錠を行う。また、車両10のワイヤレスロック装置20の通知部38から通知された施錠又は解錠結果とともに含まれる認証コードとID記憶部82に一致する場合に、携帯電話70に対する通知と判断して、その施錠又は解錠結果を出力部74から出力する。
【0024】
電子キー操作部84は、電子キーとして操作するための専用のユーザインタフェースであって、施錠用ボタン、解除用ボタンからなる。なお、この電子キー操作部84は、ユーザインタフェース73と共用されてもよい。また、施錠及び解錠の指示の操作を受けるボタンがトグル式のボタンで施錠及び解錠のボタンが共用されてもよい。携帯電話70で施錠又は解錠の結果を通知する構成であれば、車両10の方向指示灯23等で結果を通知する場合と比べて、ユーザはより明確に施錠又は解錠のいずれの動作がなされたかを確認できる。
【0025】
以上の構成による、車両10の施錠及び解錠の動作について、図4のシーケンス図にもとづいて説明する。なお、施錠及び解錠の動作はほぼ同じ制御によりなされるので、ここでは解錠の動作について説明し、施錠の動作については省略する。なお、各ステップを示す符号の表記に、携帯電話70の動作には「a」を車両10の動作には「b」を付している。
【0026】
まず、ユーザが、携帯電話70の電子キー操作部84を操作して、車両10のワイヤレスロック装置20に対して解錠要求を入力すると(S10a)、キー制御部81は、ID記憶部82に記憶されている認証コードと解錠要求とを重畳させた解錠要求信号を、所定の無線信号として車両10(ワイヤレスロック装置20)に送信する(S12a)。
【0027】
車両10のワイヤレスロック装置20において、ロック通信部34の要求取得部36は、携帯電話70からの無線信号を常時監視している。そして、要求取得部36は、解除要求信号を検知して受信すると(S14b)、受信内容である認証コードと解除要求をロック制御部30に通知し、ロック制御部30はその通知を取得する(S16b)。
【0028】
つづいて、ロック制御部30は、認証記憶部50に記憶されている認証コードと、受信した認証コードとを比較して、一致しているか否かを判定する(S18b)。二つの認証コードが一致していない場合は(S18bのN)、ロック制御部30は、別の車両に対する解錠要求と判断して、再び待機状態となる。
【0029】
二つの認証コードが一致している場合(S18bのY)、ロック制御部30は、ロック機構22を駆動させて解錠する(S20b)。
【0030】
S20bの処理で解錠が完了すると、ロック制御部30は、アンサーバック制御部40に対して所定のアンサーバックを行うように指示する。ここでは、アンサーバック制御部40は、通知部38に対して携帯電話70に解錠が完了した旨を通知するように指示し、通知部38はその指示を受け、認証記憶部50の認証コードと解錠完了とを重畳させた解錠完了信号を携帯電話70へ出力する(S22b)。
【0031】
一方、携帯電話70の電子キー通信部83は、車両10から送信された解錠完了信号を受信すると(S24a)、解錠完了信号に含まれる認証コードとID記憶部82の認証コードとを比較して、それら認証コードが一致するか否かを判定する(S26a)。
【0032】
認証コードが一致しない場合(S26aのN)、携帯電話70(電子キー機能部80)が対象とする車両の解除完了信号ではないと判断し、特別な動作をせずに待機状態となる。
【0033】
認証コードが一致した場合(S26aのY)、キー制御部81は車両10から解錠完了通知があったと判断し、出力部74の表示部75、スピーカ76、振動発生部77のいずれか、又は組合せて、アンサーバックとして出力する(S28a)。例えば、表示部75に、「解除完了」と表示されてもよいし、スピーカ76から音声又はメロディで通知されてもよいし、振動発生部77が所定の種類の振動を発生させてもよい。アンサーバックが終了すると、待機状態となり解錠動作は終了する。また、S12aの処理で解除要求信号が送信された後、車両から所定時間待っても返信がない場合、エラーが通知されてもよい。
【0034】
以上、本実施形態によれば、車両10の施錠又は解錠の完了通知を知らせるアンサーバックの動作を、携帯電話70で行うようにしたため、ランプ点灯やホーンの音声で近隣に迷惑をかけてしまうことを防止できる。また、携帯電話70の表示部75やスピーカ76によりアンサーバックを行う場合であれば、ユーザは施錠又は解錠のいずれがなされたかを明確に確認できる。さらに、振動発生部77によるアンサーバックであれば、携帯電話70をポケットなどに収納している場合でも、ユーザは的確に確認できる。
【0035】
また、携帯電話70は、一般には充電型バッテリを搭載しており、容量も大きいため、比較的遠方に出力することができる。さらに、ユーザは、頻繁に充電を行うので、従来タイプのスマートキーと異なり、比較的高出力で施錠及び解錠を行える。なお、携帯電話70の充電バッテリが消費されてしまった場合に備えて、一般的なスマートキー(電子キー)に搭載されている小型のバッテリを予備的に搭載し、充電型バッテリの出力が低下した場合に、小型のバッテリで、一般的なスマートキーとしての機能の実行のみを行うように制御すれば、ユーザが、バッテリ切れで施錠及び解錠できなくなることを回避できる。
【0036】
<第2の実施形態>
本実施形態では、第1の実施形態をベースにして、車両10が搭載するナビゲーションシステムの機能を併用することで、車両10が停車している位置に応じて、施錠及び解錠のときのアンサーバックの方法を変更する。ここでは、車両10の停車位置が病院の周辺、例えば、病院から50m以内である場合に、携帯電話70でアンサーバックがなされ、50mを超えている場合には、車両10でアンサーバックがなされる。
【0037】
図5は、本実施形態に係るワイヤレスロック装置120の概略構成を示す機能ブロック図である。この構成は、第1の実施形態のワイヤレスロック装置20の構成と類似しているので、同一機能の構成には同一符号を付し説明を省略し、主に異なる点について説明する。また、携帯電話70は第1の実施形態と同一構成で実現できるので図示及び説明は省略する。
【0038】
本実施形態のワイヤレスロック装置120のアンサーバック制御部40は、図示のように、位置情報特定部42を備える。そして車両10が停車したときに、位置情報特定部42は、ナビゲーションシステム60から停車した位置と、その位置の周辺に特定の施設、ここでは50m以内に病院が存在するか否かを取得する。車両10から50m以内に病院が存在している場合、車両10の方向指示灯23やホーン25を使用したアンサーバックは行わず、携帯電話70への通知のみとする。その場合の携帯電話70の通知に、「近隣に病院が存在する」旨があわせて通知されてもよい。その通知を受けた携帯電話70は、表示部75にその旨を表示する。
【0039】
本実施形態の変形例として、DSRC(Dedicated Short Range Communication)システムの位置情報(施設情報)を利用してもよい。DSRCシステムを用いたサービスに、ETC(Electronic Toll Collection System)や、駐車場サービス、運送業における構内管理などがある。例えば、車両が荷物の積み降ろしのために構内に入場している場合には、構内が騒がしく車両側でアンサーバックを行っても、ユーザが把握できないときがある。そこで、DSRCシステムにおいて所定の構内に車両が入場しているときには、ユーザの携帯電話に施錠及び解錠の結果を通知することで、ユーザは確実に把握できる。
【0040】
以上、本実施形態によると、車両10が停車している位置に応じて、施錠及び解錠のアンサーバックを、車両10側で行うか携帯電話70側で行うかを選択できる。これによって、停車している位置に適切なアンサーバックの方法を選択することができる。
【0041】
<第3の実施形態>
本実施形態では、第1の実施形態をベースにして、携帯電話70が利用する位置情報をもとに、携帯電話70の場所に応じてアンサーバックの方法を変更する。
【0042】
図6は、本実施形態に係る携帯電話170の概略構成を示す機能ブロック図である。この携帯電話170の構成は、第1の実施形態と同じような構成であるので、同一機能の構成については同一符号を付して説明を省略する。また、車両10のワイヤレスロック装置20の構成は、第1の実施形態の構成で実現できるので図示及び説明を省略する。
【0043】
携帯電話170の構成において、第1の実施形態の携帯電話70の構成と異なる構成について説明する。まず、携帯電話機能部72は、携帯位置情報特定部78と施設判定部79とを備える。
【0044】
携帯位置情報特定部78は、例えば、携帯電話70が備えるGPS(Global Positioning System)によるGPS測位方式、接続する複数の基地局情報(同期信号)から算出する複数基地局測位方式により、携帯電話70の位置を算出する。この算出には、例えば緊急通報位置通知システム等に適用されている公知の技術を利用できる。
【0045】
施設判定部79は、携帯位置情報特定部78が算出した携帯電話70の位置と地図情報とから、携帯電話70の近隣(ここでは、50m以内)に所定の施設(ここでは病院)が存在するか否かを判定する。なお、地図情報は、予め施設判定部79が記憶しておき、必要に応じて携帯電話通信網を通じて所定のサーバからダウンロードすればよい。また、ユーザが登録可能な構成であってもよい。さらに、上記の判定は、車両10への施錠及び解錠操作がなされないタイミングであっても所定の時間間隔で予めなされてもよい。以下では、施錠及び解錠操作がなされないタイミングで行う前提で説明し、施錠及び解錠操作時の処理時間を短縮する。
【0046】
一方、電子キー機能部80は、車両10(ワイヤレスロック装置20)に要求するアンサーバックの種類を選択する要求アンサーバック選択部85を備える。これは、ユーザが携帯電話70を用いて車両10の施錠及び解錠の操作をするときに、施設判定部79から取得した所定の施設の有無に応じて、要求するアンサーバックの種類を変更する。
【0047】
以上の構成による車両10の施錠及び解錠の動作について、図7のシーケンス図にもとづいて説明する。なお、本実施形態においても第1の実施形態同様に、施錠及び解錠の動作はほぼ同じ制御によりなされるので、ここでは解錠の動作について説明し、施錠の動作については省略する。なお、各ステップを示す符号の表記に、携帯電話170の動作には「a」を車両10の動作には「b」を付している。
【0048】
まず、ユーザが、携帯電話170の電子キー操作部84を操作して、車両10のワイヤレスロック装置20に対して解錠要求をすると(S110a)、キー制御部81は、施設判定部79に対して、近隣に所定の施設(病院)があるかの判定結果を、要求アンサーバック選択部85に通知するように要求する(S112a)。
【0049】
すると、施設判定部79は、要求アンサーバック選択部85へ判定結果を通知し、施設判定部79は、その判定結果に応じたアンサーバックの種類を特定する(S114a)。例えば、近隣に病院がある場合、アンサーバックは携帯電話70で行い、病院がない場合は、車両10のホーンが鳴らされる。
【0050】
つぎに、キー制御部81は、特定したアンサーバックの種類と、ID記憶部82に記憶されている認証コードと、解錠要求とを重畳させた解錠要求信号を、所定の無線信号としてワイヤレスロック装置20に送信する(S116a)。
【0051】
ワイヤレスロック装置20において、ロック通信部34の要求取得部36は、携帯電話70からの無線信号を常時監視している。そして、要求取得部36は、解除要求信号を検知して受信すると(S118b)、受信内容であるアンサーバックの種類と、認証コードと解除要求とをロック制御部30に通知する(S120b)。
【0052】
つづいて、ロック制御部30は、認証記憶部50に記憶されている認証コードと、受信した認証コードとを比較して、一致しているか否かを判定する(S122b)。二つの認証コードが一致していない場合は(S122bのN)、ロック制御部30は、別の車両に対する解錠要求であると判断して、再び待機状態となる。
【0053】
二つの認証コードが一致している場合(S122bのY)、ロック制御部30は携帯電話70から取得した情報よりアンサーバックの種類を特定し(S124b)、つづいてロック機構22を駆動させて解錠する(S126b)。
【0054】
S126bの処理で解錠が完了すると、アンサーバックを車両10が行う場合(S128bのY)、アンサーバック制御部40は、ハザード制御部24やホーン制御部26に対して方向指示灯23の点灯やホーン25をならすように指示し、方向指示灯23やホーン25はその指示にもとづき、アンサーバックとして方向指示灯23やホーン25を作動させる(S130b)。また、アンサーバックが携帯電話170でなされる場合(S128bのN)、アンサーバック制御部40は、通知部38に対して携帯電話170に解錠が完了した旨を通知するように指示し、通知部38はその指示を受け、認証記憶部50の認証コードと解錠完了を重畳させた解錠完了信号を携帯電話170へ出力する(S132b)。
【0055】
一方、携帯電話70の電子キー通信部83は、S116aの処理で解錠要求信号を出力すると、アンサーバックが携帯電話170で行われない場合、つまり、車両10で行われる場合は(S134aのN)、解錠のための処理を終了させ待機状態になる。
【0056】
アンサーバックが携帯電話170で行われる場合(S134aのY)、キー制御部81は、車両10から解錠完了信号が送信されるのを待機し、電子キー通信部83が解錠完了信号を受信すると(S136a)、解錠完了信号に含まれる認証コードとID記憶部82の認証コードとを比較して、それら認証コードが一致するか否かを判定する(S138a)。
【0057】
認証コードが一致しない場合(S138aのN)、携帯電話170(電子キー機能部80)が対象とする車両の解除完了信号ではないと判断し、この携帯電話170に向けた解除完了信号の受信を待つ。なお、一定期間解除信号がない場合は、キー制御部81は例えば、その旨を表示部75に表示させてもよい。
【0058】
認証コードが一致すると(S138aのY)、キー制御部81は車両10から解錠完了通知があったと判断し、出力部74の表示部75、スピーカ76、振動発生部77のいずれか、又はそれらの組合せをアンサーバックとして出力する(S140a)。アンサーバックが終了すると、待機状態となり解錠動作は終了する。S116aの処理で解除要求信号が送信された後、車両10から所定時間待っても返信がない場合、出力部74からエラーが通知されるようにしてもよい。
【0059】
以上、本実施形態によると、第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、車両10のナビゲーションシステム60がアンサーバックの選択処理と連動できない場合であっても、携帯電話170側の構成で、アンサーバックの選択処理を実施できる。
【0060】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
例えば、第2及び3の実施形態では位置情報に応じてアンサーバックの態様が変更されたが、時間帯に応じて変更されてもよい。第3の実施形態でいえば、携帯電話170のキー制御部81が時計90を参照して時刻を特定し、時間帯に応じて、車両10側でアンサーバックを行うか、携帯電話70側でアンサーバックを行うかを決定してもよい。
【0062】
さらに、携帯電話70,170における認証コードを、例えば赤外線通信によって別の携帯電話に転送してもよい。このとき、転送された認証コードに有効期限を設けたり、使用回数の制限を設けたり、施錠及び解錠のみの使用に用途を限定したりしてもよい。つまり、オリジナルの認証コードは、電子キーとしての全機能を許可し、複製された認証コードは、機能や使用期限等を制限してもよい。また、携帯電話70,170の認証コードの別の携帯電話への移し替えは、正規の販売店等の適切に認証コードが管理されている施設のみに限定することで、セキュリティを確保することができる。
【0063】
また、電子キー機能部80は、携帯電話70、170に搭載されたがこれに限る趣旨ではなく、液晶パネル等の表示手段や、スピーカ等の音声出力手段、バイブレータなどの振動発生手段等の出力装置を備えた携帯端末であればPDAや、ゲーム機、ポータブルオーディオプレーヤなどに搭載されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施形態に係る、ワイヤレスロック装置を備えた車両及びワイヤレスロック装置を操作する携帯電話を模式的に示した図である。
【図2】第1の実施形態に係る、ワイヤレスロック装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る、携帯電話の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る、車両の施錠及び解錠について、車両及び携帯電話の動作を示したシーケンス図(タイミングチャート)である。
【図5】第2の実施形態に係る、ワイヤレスロック装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る、携帯電話の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図7】第3の実施形態に係る、車両の施錠及び解錠について、車両及び携帯電話の動作を示したシーケンス図(タイミングチャート)である。
【符号の説明】
【0065】
10 車両
20、120 ワイヤレスロック装置
22 ロック機構
23 方向指示灯
24 ハザード制御部
25 ホーン
26 ホーン制御部
30 ロック制御部
34 ロック通信部
36 要求取得部
38 通知部
40 アンサーバック制御部
42 位置情報特定部
50 認証記憶部
60 ナビゲーションシステム
70、170 携帯電話
71 主制御部
72 携帯電話機能部
73 ユーザインタフェース
74 出力部
75 表示部
76 スピーカ
77 振動発生部
78 携帯位置情報特定部
79 施設判定部
80 電子キー機能部
81 キー制御部
82 ID記憶部
83 電子キー通信部
84 電子キー操作部
85 要求アンサーバック選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたロック/アンロック機構をワイヤレスで施錠又は解錠可能な電子キー機能と、携帯端末機能とが一体で構成された携帯端末であって、
前記電子キー機能が、
前記車両に対して、前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求を、認証コードとともに無線で直接送信するキー側送信部と、
前記車両から、施錠又は解錠の動作結果の通知を無線で直接受信するキー側受信部と、
前記通知が当該携帯端末に対する通知であると判断した場合に、前記通知の受信結果をもとにアンサーバックとして報知情報を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記出力部において出力するアンサーバックの態様を決定するアンサーバック選択部を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記アンサーバック選択部は、当該携帯端末における前記アンサーバックとともに前記車両におけるアンサーバックの態様を決定し、
前記キー側送信部は、前記車両に対して、車両側における前記アンサーバックの態様の指示を前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求とともに送信することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
当該携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記アンサーバック選択部は、前記位置情報をもとに、前記アンサーバックの態様を決定することを特徴とする請求項2または3に記載の携帯端末。
【請求項5】
時刻を特定する時計機能を備え、
前記アンサーバック選択部は、時刻に応じて前記アンサーバックの態様を決定することを特徴とする請求項2または3に記載の携帯端末。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれかに記載の携帯端末と、
車両に搭載され当該車両のロック/アンロック機構を前記携帯端末によりワイヤレスで施錠又か解錠可能なワイヤレスロック/アンロック装置と
を備えたことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項7】
車両に搭載され当該車両のロック/アンロック機構をワイヤレスで施錠又か解錠可能なワイヤレスロック/アンロック装置と、前記ロック/アンロック機構を施錠又か解錠するための電子キー機能を備えた携帯端末とからなる電子キーシステムであって、
前記携帯端末の電子キー機能は、
前記車両に対して、前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求を、認証コードとともに無線で直接送信するキー側送信部と、
前記車両から、施錠又は解錠の動作結果の通知と、アンサーバックの態様と、認証コードとを無線で直接受信するキー側受信部と、
前記通知が当該携帯端末に対する通知であると認証した場合に、受信結果をもとにアンサーバックとして報知情報を出力する出力部と、
を備え、
前記ワイヤレスロック/アンロック装置は、
前記ロック/アンロック機構の施錠又は解錠の要求を、無線で直接取得する要求取得部と、
前記要求とともに送られてきた認証コードを認証する車両側認証部と、
前記要求が認証された場合、前記要求にもとづき前記ロック/アンロック機構の施錠及び解錠を行うロック/アンロック部と、
前記アンサーバックの態様を決定するアンサーバック選択部と、
前記ロック/アンロック機構の施錠及び解錠の動作結果と、前記決定したアンサーバックの態様と、前記携帯端末における認証に使用される認証コードとを、前記携帯端末へ送信する車両側送信部と
を備えたことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項8】
前記ワイヤレスロック/アンロック装置は、車両の位置情報を取得する車両側位置情報取得部を備え、
前記アンサーバック選択部は、前記位置情報にもとづき前記アンサーバックの態様を選択することを特徴とする請求項7に記載の電子キーシステム。
【請求項9】
車両の電子キーを備える携帯端末を用いた、施錠及び解錠のアンサーバック方法であって、
車両のロック/アンロック機構の解錠又は施錠の要求を無線で直接車両に送信する施錠/解錠要求送信工程と、
前記車両から前記要求に対する返信を直接無線で取得してユーザに報知する報知工程と、
を備えたことを特徴とするアンサーバック方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−256908(P2009−256908A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104909(P2008−104909)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】