説明

携帯端末およびそれによる運転支援方法

【課題】携帯端末の利点およびそのサービスを活用しつつ、運転者に対して事故の発生を防止し、または、事故を引き起こす原因を除去する統合的な解決策を提供する。
【解決手段】携帯端末100内に保存されたスケジュール情報と、携帯端末100に備えられた各種のセンサの出力に基づいて、各種の状態やイベントを検出する。携帯端末100が車両に接続された状態で、スケジュール情報または各種センサの出力に基づき、車両の始動の抑止、走行速度の抑止、等により運転を支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジュール情報を保存した携帯端末およびそれによる運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末は、通話だけでなく、スケジュール設定、アラーム設定、ビデオ撮影・再生、写真撮影・再生、音楽再生、データ保存、メール送受信、等の種々の機能を有しており、人々の生活に欠かせない必需品となってきている。また、新たな技術によれば、人の血圧や心拍数を確認できるセンサを備えたものも提供される可能性がある。
【0003】
一方、携帯電話端末は、自動車のような車両の中での利用が事故の原因となりうる。列車運転中のメール操作に起因した例もあるように列車事故の原因にもなりうる。
【0004】
しかし、人はときに無責任にも、飲酒の後や、睡眠不足や長時間労働後の過度の疲労時に車両の運転を行うことがある。速度を落とすべきところで、あるいは子供を乗せているときに、速度違反をしたり、保険がカバーできる搭乗人員数を超えた人員を載せたりすることもありうる。
【0005】
車両の運転中に通話をしたり、メール操作をしたりする運転者によって引き起こされる事故の数は増加してきている。BLUETOOTH(登録商標)ハンズフリー技術や携帯電話端末の車内利用を検出するシステムのように、種々の問題対処方法があるが、これらの技術はそのような問題を部分的にしか解決できない。
【0006】
現状、携帯電話およびそのサービスの利点をフルに活用しつつ、運転者に対して事故の発生を防止したり、事故を招く原因を除去したりする統合的な解決策をもたらすシステムは存在しない。
【0007】
特許文献1には、携帯電話端末から収集された情報を用いて運転者を乗車前に識別してその運転環境を設定する技術が提案されている。すなわち、携帯電話端末は車両に対して認証され、車両は運転者を認識したあと、適宜、運転環境を設定する。
【0008】
特許文献2は、冷却システムはブレーキに問題がある場合に車両が自身に関する情報を報知する技術を開示している。すなわち、車両は、運転者に対してその携帯電話端末に異常状態を報知し、または、インターネットを介してその情報を送信する。
【0009】
特許文献3は、携帯電話端末を利用して、事故を含む車両の状況を記録する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−195219号公報
【特許文献2】特開2002−197214号公報
【特許文献3】特開2002−166803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載の従来技術は運転環境を受動的に設定するのみであり、運転者が飲酒していたり、病気や疲労の状態にある場合に事故の発生を防止することはできない。
【0012】
特許文献2に記載の方法は、事故の原因となることが多い、運転者の行動については何ら考慮していない。
【0013】
特許文献3に記載の従来技術における携帯電話端末の役割は単に車両との間で認証を行うことにすぎない。
【0014】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、携帯端末の利点およびそのサービスを活用しつつ、運転者に対して事故の発生を防止し、または、事故を引き起こす原因を除去する統合的な解決策を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による携帯端末は、スケジュール情報を保存する手段と、車両に接続されて車両を制御するためのインタフェース手段と、時計機能およびタイマー機能を有する時計手段と、車両に接続された状態で、前記スケジュール情報に基づき、前記インタフェース手段を介して車両の運転を支援する支援手段とを備えたものである。
【0016】
携帯端末にはそのユーザのスケジュール情報が蓄積されている。通常、スケジュール情報には時間要素が含まれており、その情報に基づいて当該ユーザの状況が認識できる場合がある。したがって、そのユーザが車両を運転する際に、当該状況に応じて運転支援を行うことができる。例えば、スケジュール情報から認識される現在時点から過去の所定時間以内のイベントもしくは状態に基づき、前記支援を行うことができる。
【0017】
また、各種の状態を検出する検出手段をさらに備え、前記支援手段は前記スケジュール情報とともに前記検出手段の検出出力に基づき、車両の運転を支援することも可能である。
【0018】
本発明による運転支援方法は、携帯端末を用いて車両の運転を支援する方法であって、携帯端末内に保存されたスケジュール情報を確認するステップと、前記スケジュール情報に基づいて各種の状態やイベントを検出するステップと、携帯端末が車両に接続された状態で、前記スケジュール情報に基づき、車両の運転を支援するステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現在多くの人々が所持する携帯端末を利用し、携帯端末と車両とを有機的に結合することにより、車両の事故の発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における携帯端末と車両との関係を概念的に示した図である。
【図2】図1に示した携帯端末と車両のそれぞれの内部の主要な機能部と両者の相互関係を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態における携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるスケジュール情報の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における携帯端末の実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本実施の形態における携帯端末100と車両200との関係を概念的に示したものである。本実施の形態において、携帯端末100と車両200とは互いに連携し、安全でかつ快適な運転のために両者間の情報の交換を行う。携帯端末100は典型的には携帯電話端末であるが、必ずしも電話端末に限るものではない。以下、単に端末ともいう。
【0023】
携帯端末100は、車両200内に配置されている場合、逐次、内部に保存されたそのユーザのスケジュールや各種のセンサ出力に基づいて、そのユーザに関する現在および過去の状況、そのユーザの身体的および精神的な状態等を分析し、その分析結果に基づいて、必要に応じて自端末を運転モードに設定したり、インタフェース手段を介して車両へ制御コマンドを送り、当該ユーザによる車両200の運転を支援する。運転支援には、始動抑止、走行速度抑止、警報出力、等を含む。警報出力は、携帯端末100側と車両200側のいずれか一方、または両方で行うことが可能である。「走行速度抑止」には、その設定された速度を超えないように走行速度を抑止すること、および、すでにその速度を超えている場合にはその走行速度まで減速させることを含む。
【0024】
より具体的には、携帯端末100は、スケジューラおよびセンサデータからの情報を利用し、予め定められた走行速度の上限値を参照して、車両の走行速度を制御し、事故の可能性の最小化を図る。上限値は抑止の要因によって異ならせてもよい。
【0025】
携帯端末100と車両200との接続は、充電が必要な機器を接続するように、または、携帯音楽プレーヤ対応の車両に携帯音楽プレーヤを接続するように、携帯端末を車両に接続することができる。あるいは、簡便に情報を交換するための短距離無線通信方式、例えばNFC(Near Field Communication)を利用することができる。
【0026】
図2は、携帯端末100と車両200のそれぞれの内部の主要な機能部と両者の相互関係を示している。
【0027】
携帯端末100は、内部に保存されたスケジュール情報121および取得されたセンサデータ122を分析し、その分析結果に基いて運転支援のための制御コマンドを生成するデータ分析・運転支援部125(運転支援手段)およびその制御コマンド等の情報を車両へ出力する車両インタフェース部116(インタフェース手段)を有する。本実施の形態では、データ分析・運転支援部125は、スケジュール情報121から認識される現在時点から過去の所定時間以内のイベントもしくは状態、または、現在時点から過去の所定時間以内のセンサデータ(センサ検出出力)に基づいて、運転支援を行う。
【0028】
スケジュール情報としては、会議、打ち合わせ、宴会(飲み会)などの各種の予定されたイベントの記載や、アラームなどの設定がある。センサデータとしては、移動センサ、加速度センサのような種々の型のセンサ、および近年のナノテクノロジーにより、アルコール、人間の発熱等を検出するセンサも考えられる。
【0029】
車両200は、携帯端末100から受信したコマンド等の情報を受ける携帯端末インタフェース部211、このコマンド等に基づいて車両200の制御を行う車両制御部213、カーナビゲーション装置215および警報出力装置217を有する。警報出力装置217は、車両に備えられた音声出力部による音声(音声メッセージの他、警報音も含みうる)、および車両200に備えられた表示部の表示画面上での表示による警報を含む。その他、特に図示しないが、車両は、始動/走行のための装置(エンジン、トランスミッション、ブレーキ、等)を備えている。車両はさらに、全地球測位システム(GPS)を備えてもよい。これにより、目的地へ迅速かつ低燃費でユーザを導くことができる。
【0030】
図3は、携帯電話端末としての携帯端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。この携帯端末100は、バス117で相互に接続された制御部101、通信部102、表示部104、操作部105、記憶部106、音声処理部108、撮像制御部111、GPS制御部113、時計部115、車両インタフェース部116を備える。音声処理部108にはスピーカ109およびマイク110が接続される。撮像制御部111にはカメラ112が接続される。
【0031】
制御部101は、CPUを含み、携帯端末100の各部の制御および必要なデータ処理を行う。通信部102は、アンテナ103を介して基地局との間で無線通信を行う。表示部104は、LCD,有機EL等の表示デバイスを含み、その表示画面上に情報を表示する。操作部105は、テンキーや各種制御キーを有し、ユーザからの指示やデータの入力を受け付ける。記憶部106は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の記憶手段を備え、OS、各種アプリケーションプログラム等のコンピュータプログラム、各種データを記憶する。音声処理部108は、受話音声、警報、動画ファイルの音声、音楽データの音声等を出力するスピーカ109と、送話音声等を集音するマイク110とに接続され、音声信号の符号化、復号化を含む所定の音声処理を行う。位置検出手段であるGPS(Global Positioning System)制御部113は、GPSアンテナ114により複数の衛星からの信号を受信し、それらの受信信号に基づいて現在位置情報を生成する。時計部115は、本発明の時計手段を構成し、RTC(Real Time Clock)等を含み、日時情報を生成する時計機能およびタイマー設定を行うタイマー機能を提供する。車両インタフェース部116は車両200との間の情報のやりとりを行うインタフェースを司る。携帯端末100は、車両200から情報を受信することも可能である。
【0032】
図4は、スケジュール情報121の一例を示している。このようなスケジュール機能は、携帯端末100に備えられた機能の一つである。スケジュール機能は、通常、カレンダーと連携しており、カレンダーの日時に対応して、各種の予定やイベント等を記入したり、アラームを設定したりすることができるように構成されている。
【0033】
このようなスケジュール情報に基づいて、安全運転に影響を及ぼしうる所定のパラメータ(例えば、飲酒の有無、睡眠時間、労働時間など)の判定を行うことができる。そのようなパラメータとそれの判定結果に対する運転支援の例を以下に挙げる。
【0034】
(1)飲酒の有無について
一般的に飲酒を伴うイベント(宴会、飲み会、送別会、歓送迎会、来客、接待、出張、等)をデフォルトのデータとして記憶しておき、そのデータに該当するイベントについて飲酒を伴うものと判断することができる。より精度よい判断のために、どのようなイベントが飲酒を伴うものかを予めユーザが選択してリストを作成しておき、そのリストに該当するイベントがスケジュールに記載されている場合に、飲酒の機会があったと判断するようにしてもよい。なお、飲酒の有無の判定には時間の要素も考慮する必要がある。例えば、現在時点から過去の所定の時間(例えば6時間)の間に飲酒の機会があった場合に、飲酒有りと判定する。飲酒有りと判定された場合には、車両の始動を抑止する。
【0035】
(2)睡眠時間について
現在時点において最近の過去に取った連続的な睡眠時間が推定できる場合に、その推定を行う。例えば、今朝に起床のアラームが設定されていて、その前日の夜に何らかのイベントが設定されていたとき、そのイベントの予定の時刻(好ましくは終了時刻、但し、終了時刻が非設定の場合、開始時刻)から当該起床のアラーム時刻までの時間を算出する。この時間を所定の閾値と比較して、それより短い場合に睡眠時間が所定時間未満であると判断して、警報発生または走行速度抑止等を行う。睡眠時間が所定の時間(例えば3時間)に満たない場合に、走行速度を所定の速度に制限するように音声および/または表示等により警報を発する。これに代えて、またはこれに加えて、車両の走行速度を自動制御により所定の上限値(時速80Km)に抑止することも可能である。当該「所定の時間」はユーザが設定できるようにしてもよい。
【0036】
(3)労働時間について
現在時点から過去の所定時間(例えば24時間)以内にした労働の時間がスケジュール情報から推定できる場合に、その推定を行う。例えば同日の早朝や深夜に労働関連のイベントがある場合、その間の期間を労働の時間と推定することができる。この時間を所定の閾値と比較して、それより長い場合に労働時間が長過ぎると判断して、警報発生または走行速度抑止等を行うことができる。労働時間が所定時間(例えば12時間)を超える場合に、上記と同様の車両の走行速度に関する警報発生や自動制御を行う。当該「所定の時間」はユーザが設定できるようにしてもよい。
【0037】
なお、どのパラメータを運転支援に利用するかをユーザが初期設定できるようにしてもよい。これにより、例えば飲酒を行わないユーザについては「飲酒の有無」のパラメータを判定対象から除外することができる。
【0038】
(4)移動予定地について
現在時点から未来の所定時間(例えば1時間)以内の予定情報から移動地が認識される場合、その行き先情報(例えばホテル名、地名等)を車両のカーナビゲーション装置に転送して後に利用するために記憶させる。行き先情報の車両への転送は自動的に行ってもよいが、端末がユーザの確認を得て行うようにしてもよい。また、行き先について携帯端末から例えばオンラインの地図データベースにアクセスして位置情報を得て、その位置情報をカーナビゲーション装置に転送するようにしてもよい。
【0039】
次に、センサデータの種類およびそれに基づく運転支援についての例を以下に挙げる。
【0040】
(1)アルコールセンサ
ユーザの呼気からアルコールが検出された場合、車両の始動を抑止する。アルコール検出センサは例えばマイクの近傍の所定位置に配置することができる。通常の通話時に検出動作を行うことができる。アルコールの検出レベルが所定のレベル以上であると判定された場合には、上記の飲酒有りと判定された場合と同様、車両の始動を抑止する。
【0041】
(2)体温、血圧、心拍数等のセンサ
現在時点から過去の所定時間(例えば数時間)以内に体温センサによりユーザが発熱(体温が例えば38.0℃以上)または感冒に掛かっていると判定できた場合、血圧センサにより設定範囲を外れる血圧が検出された場合、心拍数センサにより設定範囲から外れる心拍数が検出された場合、上記と同様の車両の走行速度に関する警報発生や自動制御を行う。また、GPSを利用して近隣の医療機関で受診することをユーザに勧めるようにしてもよい。
【0042】
(3)加速度センサ
加速度センサの出力に応じて携帯端末が移動状態にあることを検出することができる。この場合、携帯端末が車両に接続されたとき、携帯端末は自動的に運転モードに切り替わる。運転モードは、いわゆるマナーモードの一種であり、電話の着信時に、「只今運転中なので後でかけ直します」などの録音済のメッセージで自動音声応答する、等の動作を自動的に実行する。また、加速度センサにより車両の不自然な動きやぎこちない動きを検出することも可能である。そのような動きが検出されたとき、携帯端末は運転者に対して走行速度を落とすように警報を発するか、または、自動的に走行速度を所定の速度に抑止する。
【0043】
また、携帯端末が車両に接続され、車両が走行を開始すると、携帯端末は運転者によりタッチされることはないと想定される。もし、走行中に携帯端末の車両に対する接続が解除されたときには、所定の走行速度まで自動的に減速するかまたは所定の警報を発するようにしてもよい。
【0044】
携帯端末は、車両において、航空機内のブラックボックスのような役割をすることもできる。例えば、走行速度が所定速度を超えている場合に、携帯端末は事故が発生に備えて、周囲の音声を記録し、写真を撮り、センサデータを記録することができる。記憶容量の節約のために、音声は、一定時間の長さだけ有効になるように古い方のデータに逐次新しいデータを上書きするようにしてもよい。写真は周期的に撮影して、やはり古い方のデータに逐次新しいデータを上書きするようにしてもよい。写真の代わりに動画の撮影であってもよい。センサデータについても一定のデータ量だけ有効になるように古い方のデータに逐次新しいデータを上書きするようにしてもよい。
【0045】
(4)メールおよび通話の着信センサ
このようなセンサはデバイスとして存在するものではないが、携帯端末は実質的に着信を検出するセンサとして機能するので、本実施の形態では便宜上、センサとして扱う。
【0046】
電話の着信があった場合、携帯端末は自動音声応答するかまたは無視する。これは上記運転モードの設定によって行える。あるいは、その着信の相手や優先度により着信が緊急であることが優先モード等の利用により判明した場合、携帯端末はユーザが操作することなくその旨を表す所定のメッセージを表示し、運転者はハンズフリーモードで通話を行うことができるようにしてもよい。また、発信に関して、緊急の場合には、音声認識機能を利用してダイヤル発信を行うこともできる。
【0047】
メールの着信があった場合、携帯端末はメール音声リーダを利用してそれを読み上げる、または必要であれば、減速してカーナビゲーション装置の表示画面上にそのメールを表示する、等の処理を自動的に実行することができる。
【0048】
(5)マイクロフォン(これは音声センサとして機能する)
携帯端末は、車内に搭乗者が複数存在するかどうかを音声認識機能によりチェックすることができる。もし、搭乗者数が自動車保険で保障される範囲を超える場合、または、子供が搭乗している場合、車両の走行速度を所定の速度(例えば時速80Km)に抑止したり、警報を発したりするような制御を行うことができる。
【0049】
図5は、本実施の形態における携帯端末100の実行する処理のフローチャートを示している。この処理は制御部101(図3)が記憶部106内に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0050】
制御部101は、タイマー機能により所定時間の周期の到来を監視する(S11)。その周期は監視対象のデータやセンサによって異ならせてもよい。例えば加速度センサの出力の監視周期は比較的短く、例えば数百m秒から1秒程度である必要があるが、スケジュールの監視周期は比較的長く、例えば1ないし数分程度でよい。なお、特定のセンサ、例えば加速度センサは車両に接続された後に監視を開始するようにしてもよい。
【0051】
周期の到来時には、該当するセンサ出力データやスケジュールのデータを取得し(S12)、そのデータを分析する(S13)。
【0052】
その後、携帯端末が車両に接続されているか否かを確認する(S14)。
【0053】
車両に接続されたら(S14,Yes)、運転モードを設定する(S17)。その後、始動不可事由が検出されたら(S18,Yes)、車両インタフェース部を介して車両の始動を抑止する指示を車両へ出力する(S19)。始動不可事由とは、上記データ分析結果に基づく上述したアルコールの検出や過去の所定時間以内の飲酒機会の検出、である。
【0054】
また、上述したいずれかの速度制限事由が検出されたら(S20,Yes)、走行速度を抑止する指示を車両へ出力する(S21)。
【0055】
さらに、いずれかの警報事由が検出されたら(S22,Yes)、警報を発生する(S23)。
【0056】
上述した行き先情報などの転送用データが検出されたら(S24,Yes)、当該データを車両へ転送する(S25)。
【0057】
ステップS14において、車両に接続されていない場合、運転モードの設定されていれば(S15,Yes)、そのモードを解除する(S16)。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、スケジュール情報とセンサデータの両方を用いる例を説明したが、いずれか一方のみを利用する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
100…携帯端末、101…制御部、102…通信部、103…アンテナ、104…表示部、105…操作部、106…記憶部、108…音声処理部、109…スピーカ、110…マイク、113…GPS制御部、114…アンテナ、115…時計部、116…車両インタフェース部、121…スケジュール情報、122…各種センサデータ、125…データ分析・運転支援部、200…車両、211…携帯端末インタフェース部、213…車両制御部、215…カーナビゲーション装置、217…警報出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケジュール情報を保存する手段と、
車両に接続されて車両を制御するためのインタフェース手段と、
時計機能およびタイマー機能を有する時計手段と、
車両に接続された状態で、前記スケジュール情報に基づき、前記インタフェース手段を介して車両の運転を支援する支援手段と
を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記支援手段は、前記スケジュール情報から認識される現在時点から過去の所定時間以内のイベントもしくは状態に基づき、前記支援を行う請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記イベントもしくは状態は、飲酒の機会、睡眠時間が所定時間未満、労働時間が所定時間超、の少なくとも一つを含む請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
各種の状態を検出する検出手段をさらに備え、前記支援手段は前記スケジュール情報とともに前記検出手段の検出出力に基づき、車両の運転を支援する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記支援手段は、現在時点から過去の所定時間以内の前記検出手段による検出出力に基づき、前記支援を行う請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記検出手段は、アルコール、発熱、血圧または心拍数、の少なくとも一つを検出する請求項4または5に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記運転の支援は、前記車両の始動の抑止および走行速度の抑止の少なくとも一方を含む請求項1〜6のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項8】
携帯端末を用いて車両の運転を支援する方法であって、
携帯端末内に保存されたスケジュール情報を確認するステップと、
前記スケジュール情報に基づいて各種の状態やイベントを検出するステップと、
携帯端末が車両に接続された状態で、前記スケジュール情報に基づき、車両の運転を支援するステップと
を備えた携帯端末による運転支援方法。
【請求項9】
各種のセンサの出力を検出するステップをさらに備え、
前記車両の運転を支援するステップは、前記各種センサの出力に基づき、車両の運転を支援するステップを含む
請求項8に記載の携帯端末による運転支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−273155(P2010−273155A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123790(P2009−123790)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】