説明

携帯端末およびチャンネル設定プログラム

【課題】ワンセグ放送のCH設定を自動的に調整する際に、携帯端末の現在位置を把握するためのGPSを起動させず、消費電力を抑えた携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末10は、ワンセグ放送を受信するデジタルチューナ48、および自動改札機106等に設けられるリーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触IC50を備える。携帯端末10のプロセサ30は、非接触IC50がリーダ/ライタとの間で非接触通信を行うときに受信する駅名情報や店舗名情報などを利用して、現在のCHエリアを特定する。そして、特定した現在のCHエリアと設定中のCHエリアが異なる場合には、現在のCHエリアに応じたCH設定に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末およびチャンネル設定プログラムに関し、特に地上デジタル放送を受信する受信部を備える、携帯端末およびチャンネル設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送で行われる移動体向けのテレビ放送(ワンセグ放送)に対応する携帯端末の普及が進んでいる。ワンセグ放送では、CH構成(CH:チャンネル)がそれぞれの地域(CHエリア)ごとに異なる。このため、移動によって受信するCHエリアが変わる場合には、そのCHエリアに合わせたCH設定が必要となる。CH設定の調整方法としては、たとえば、ユーザが手動でCHエリアを選択することが考えられる。しかし、手動でのCH設定は、ユーザの手間となる上、テレビ機能を起動させてからワンセグ放送を視聴できるようになるまでに時間がかかるという問題がある。そこで、CHエリアの移動を検知して、自動的にCH設定を調整できる技術が求められる。
【0003】
たとえば、特許文献1には、自動車や携帯端末などの移動体に搭載される受信装置において、自動的にCH設定を調整する技術が開示されている。特許文献1の技術では、GPSを用いて移動体の現在位置を取得し、移動体の現在位置が予め区分された一の地域から他の地域に変わったか否かを判別し、一の地域から他の地域に変わったと判別された場合に、他の地域に対応するCHに切り替え設定する。
【0004】
また、非接触ICカードを用いて経路探索を行う技術として、特許文献2があり、適切な出力制御を行う技術として、特許文献3がある。
【特許文献1】特開2007−311987号公報[H04N 5/44]
【特許文献2】特開2002−298169号公報[G07B 15/00]
【特許文献3】特開2008−219299号公報[H04N 7/173]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、CHエリアの移動を検知してCH設定を自動的に調整するためには、GPSを常時または定期的に起動させる必要があるので、携帯端末の消費電力が大きくなってしまう。また、特許文献2の技術は、単に経路のみを取得するものであるし、特許文献3の技術では、GPSにより位置情報を取得するのみである。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯端末およびチャンネル設定プログラムを提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、消費電力を抑えつつ、地上デジタル放送のCH設定を自動的に調整できる、携帯端末およびチャンネル設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、地上デジタル放送を受信する受信部を備える携帯端末であって、外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触IC、非接触ICが外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行ったときに非接触ICが当該外部リーダ/ライタから受信する通信場所の情報を取得する情報取得部、情報取得部が取得した通信場所の情報に基づいて現在のチャンネルエリアを特定するエリア特定部、および現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に変更するチャンネル設定部を備える、携帯端末である。
【0010】
第1の発明では、携帯端末(10)は、地上デジタル放送を受信する受信部(48,54)、および非接触IC(50)を備える。非接触ICは、乗車券機能や電子決済機能などを有しており、自動改札機等の外部装置(106,112)に設けられるリーダ/ライタ(108,114)との間で非接触通信を行い(S1)、非接触通信を実行した通信場所の情報をリーダ/ライタから受信する。情報取得部(30,44,681,S3)は、非接触ICがリーダ/ライタから受信した通信場所の情報を取得して記憶する。エリア特定部(30,662,S5)は、チャンネルエリア特定プログラム(662)を実行するプロセサ(30)であり、情報取得部が取得した通信場所の情報に基づいて、現在のチャンネルエリアを特定する。チャンネル設定部(30,663,S9)は、チャンネル設定プログラム(663)を実行するプロセサ(30)であり、現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に調整する。
【0011】
第1の発明によれば、地上デジタル放送のチャンネル設定を自動的に調整するに際して、非接触ICが外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行うときに受信する通信場所の情報を利用して現在のチャンネルエリアを特定する。このため、携帯端末の現在位置を把握するためにGPSを起動させる必要がなく、携帯端末の消費電力を抑えることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、エリア特定部によって特定されたチャンネルエリアが、設定中のチャンネルエリアと異なるか否かを判定する判定部を備え、チャンネル設定部は、判定部によってチャンネルエリアが異なると判断されたとき、現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に変更する。
【0013】
第2の発明では、判定部(30,663,S7)をさらに備える。判定部は、チャンネル設定プログラム(663)を実行するプロセサ(30)であり、判定部が現在のチャンネルエリアと設定中のチャンネルエリアとを比較して、これらが異なると判断した場合に、チャンネル設定部が(30,663,S9)が現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に調整する。したがって、より効率的にチャンネル設定を調整できる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、外部リーダ/ライタは、交通機関の自動改札機に設けられるリーダ/ライタを含み、通信場所の情報は、自動改札機が設置された駅の駅名情報を含む。
【0015】
第3の発明によれは、非接触IC(50)の乗車券機能を利用するときに受信する通信場所の情報、つまり自動改札機(106)が設置された駅の駅名情報を用いて、現在のチャンネルエリアを特定し、チャンネル設定を調整することができる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明に従属し、情報取得部は、入駅または出駅についての情報をさらに取得し、エリア特定部は、ユーザが出駅するときのみに現在のチャンネルエリアを特定する処理を実行する。
【0017】
第4の発明では、情報取得部(30,44,681,S3)は、非接触IC(50)が自動改札機(106)のリーダ/ライタ(108)から受信した入駅情報または出駅情報を取得して記憶する。そして、エリア特定部(30,662,S5)は、入駅情報または出駅情報に基づいてユーザが出駅すると判断されたときのみに、現在のチャンネルエリアを特定する処理を実行する。
【0018】
第4の発明によれば、受信するチャンネルエリアが変わっている可能性が高い出駅時のみに、現在のチャンネルエリアを特定する処理を実行する。したがって、効率的にチャンネル設定を調整でき、携帯端末10の消費電力をより抑えることができる。
【0019】
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれかに従属し、外部リーダ/ライタは、電子決済機に設けられるリーダ/ライタを含み、通信場所の情報は、電子決済機が設置された店舗の店舗名情報を含む。
【0020】
第5の発明によれば、非接触IC(50)の電子決済機能を利用するときに受信する通信場所の情報、つまり電子決済機(112)が設置された店舗の店舗名情報を用いて、現在のチャンネルエリアを特定し、チャンネル設定を調整することができる。
【0021】
第6の発明は、地上デジタル放送を受信する受信部、および外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触ICを備える携帯端末のプロセサによって実行されるチャンネル設定プログラムであって、チャンネル設定プログラムは、プロセサを、非接触ICが外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行ったときに非接触ICが当該外部リーダ/ライタから受信する通信場所の情報を取得する情報取得部、情報取得部が取得した通信場所の情報に基づいて現在のチャンネルエリアを特定するエリア特定部、および現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に変更するチャンネル設定部として機能させる、チャンネル設定プログラムである。
【0022】
第6の発明によれば、第1の発明と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、地上デジタル放送のチャンネル設定を自動的に調整するに際して、非接触ICが外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行うときに受信する通信場所の情報を利用して現在のチャンネルエリアを特定する。このため、携帯端末の現在位置を把握するためにGPSを起動させる必要がなく、携帯端末の消費電力を抑えることができる。
【0024】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】携帯端末システムの一例の概略的構成を示す図解図である。
【図2】この発明の一実施例の携帯端末を示す外観図であり、(A)は表面側から見た斜視図であり、(B)は裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2に示す携帯端末の電気的な構成を示す図解図である。
【図4】図1に示すサーバに記憶される対応テーブルの一例を示す図解図である。
【図5】図3に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図6】図3に示すプロセサによるチャンネル設定処理の動作の一例を示すフロー図である。
【図7】携帯端末システムの他の一例の概略的構成を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照して、この発明の一実施例の携帯端末10は、詳細は後述するように、ワンセグ放送のCH設定(CH:チャンネル,以下同様)を自動的に調整する機能を有するものであり、サーバ104および自動改札機106に設けられるリーダ/ライタ108とデータ通信可能に接続されて、携帯端末システム100を構成する。
【0027】
図2に示すように、携帯端末10は、一例としてスマートフォン(smartphone)であり、縦長の扁平矩形のハウジング12を含む。ただし、この発明は、従来のフィーチャフォン(feature phone)、タブレット端末およびPDA等の任意の携帯端末に適用できることを予め指摘しておく。
【0028】
ハウジング12の一方主面(表面)には、液晶や有機ELなどのディスプレイ14が設けられる。ディスプレイ14の上には、タッチパネル16が設けられる。この実施例では、タッチパネル16は、指などの物体が表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式であり、たとえば1本または複数本の指がタッチパネル16に触れたことを検出する。また、タッチパネル16は、ディスプレイ14の画面内で、任意の位置を指示するためのポインティングデバイスである。つまり、ユーザは、タッチパネル16の表面を押したり、撫でたり、触ったりするタッチ操作を行うことによって、操作位置や操作方向などを携帯端末10に入力することができる。
【0029】
ハウジング12の縦方向一端側には、スピーカ18(図3参照)が内蔵され、そのスピーカ18に通じる開口OP1がハウジング12の表面に設けられる。また、ハウジング12の縦方向他端側には、マイク20(図3参照)が内蔵され、そのマイク20に通じる開口OP2がハウジング12の端面に設けられる。
【0030】
また、ハウジング12の縦方向他端側の表面には、タッチパネル16と共に入力操作手段を構成するハードキーとして、通話キー22、終話キー24およびメニューキー26が設けられる。
【0031】
たとえば、ユーザは、ディスプレイ14に表示されたダイヤルキー(図示せず)に対して、タッチパネル16によってタッチ操作を行うことで電話番号を入力でき、通話キー22を操作して音声通話を開始することができる。終話キー24を操作すれば、音声通話を終了することができる。なお、この終話キー24を長押しすることによって、携帯端末10の電源をオン/オフすることができる。
【0032】
また、メニューキー26を操作すれば、ディスプレイ14にメニュー画面が表示され、その状態でディスプレイ14に表示されているソフトキーやメニューアイコンなどに対して、タッチパネル16によるタッチ操作を行うことによってメニューを選択し、その選択を確定させることができる。
【0033】
さらに、ハウジング12の中央部には、ハウジング12の裏面側において良好な受信感度が確保されるように、非接触通信アンテナ56が内蔵される。なお、後述するプロセサ30等のように、その他ハウジング12内に内蔵されるものについては、図2では図示されない。
【0034】
図3は、携帯端末10の電気的な構成を示すブロック図である。図3を参照して、携帯端末10は、コンピュータまたはCPUと呼ばれるプロセサ30を含む。プロセサ30には、無線通信回路32、A/D変換器34、D/A変換器36、入力装置38、表示ドライバ40、フラッシュメモリ42、RAM44、タッチパネル制御回路46、デジタルチューナ48および非接触IC50などが接続される。
【0035】
プロセサ30は、携帯端末10の全体制御を司る。RAM44には、フラッシュメモリ42に予め設定されているプログラムの全部または一部が使用に際して展開され、このRAM44上のプログラムに従ってプロセサ30は動作する。なお、RAM44は、プロセサ30のワーキング領域ないしバッファ領域としても用いられる。
【0036】
入力装置38は、図2に示すハードキー22,24,26を含むものであり、タッチパネル16と共に操作部または入力部を構成する。ユーザが操作した入力装置38の情報(キーデータ)は、プロセサ30に入力される。
【0037】
無線通信回路32は、アンテナ52を介して、音声通信用やデータ通信用の無線信号の送受信処理を行うための回路である。この実施例では、無線通信回路32は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、ユーザが入力装置38を操作して電話発信(発呼)を指示すると、無線通信回路32は、プロセサ30の指示の下、電話発信処理を実行し、アンテナ52を介して電話発信信号を出力する。電話発信信号は、基地局および通信網(図示せず)を経て相手の電話機に送信される。そして、相手の電話機において着信処理が行われると、通信可能状態が確立され、プロセサ30は通話処理を実行する。
【0038】
また、携帯端末10は、ネットワーク102を介してサーバ104と接続され(図1参照)、無線通信回路32およびアンテナ52は、サーバ104との間でデータ通信を実行するための通信部として機能する。
【0039】
A/D変換器34には、マイク20が接続され、マイク20からの音声信号はこのA/D変換器34を通してデジタルの音声データとしてプロセサ30に入力される。D/A変換器36には、スピーカ18が接続される。D/A変換器36は、デジタルの音声データを音声信号に変換して、アンプ(図示せず)を介してスピーカ18に与える。したがって、音声データの音声がスピーカ22から出力される。
【0040】
なお、プロセサ30は、たとえばユーザによるボリューム(図示せず)の操作に応答して、D/A変換器36に接続されるアンプの増幅率を制御することによって、スピーカ18から出力される音声の音量を調整することができる。また、無線通信回路32、A/D変換機34およびD/A変換機36は、プロセサ30に含まれていてもよい。
【0041】
表示ドライバ40には、図2に示すディスプレイ14が接続される。ディスプレイ14は、プロセサ30から出力される映像または画像データに従って映像または画像を表示する。つまり、表示ドライバ40は、プロセサ30の指示の下、当該表示ドライバ40に接続されたディスプレイ14の表示を制御する。また、表示ドライバ40は、表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリ(図示せず)を含む。ディスプレイ14には、たとえばLEDなどを光源とするバックライトが設けられており、表示ドライバ40は、プロセサ30の指示に従って、そのバックライトの明るさや、点灯/消灯を制御する。
【0042】
タッチパネル制御回路46には、図2に示すタッチパネル16が接続される。タッチパネル制御回路46は、タッチパネル16に必要な電圧などを付与するとともに、タッチ検出部として機能し、タッチパネル16の入力有効エリア内でのタッチ操作を検出して、そのタッチ操作の位置を示す座標データをプロセサ30に出力する。プロセサ30は、この座標データに基づいて、そのときユーザがどのアイコンやキーにタッチしたかを判断する。なお、タッチ操作はユーザの指だけに限らず、スタイラスペンなどによって行われてもよい。また、タッチパネル16の検出方式には、表面型の静電容量方式が採用されてもよいし、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式および電磁誘導方式などであってもよい。
【0043】
デジタルチューナ48は、地上デジタル放送で行われる移動体向けのテレビ放送(ワンセグ放送)の受信を行うものである。たとえば、テレビ機能を実行するためのキーが操作されると、デジタルチューナ48は起動する。起動したデジタルチューナ48は、放送アンテナ54によって受信したテレビの地上デジタル放送の放送波から、選局されたチャンネルに対応するテレビ放送信号を抽出する。また、その抽出したテレビ放送信号に対して復調等の処理を行い、復調信号(MPEG2トランスポートストリームとも言う。)を生成する。そして、MPEG−TSデコーダ、ビデオデコーダ、字幕デコーダおよびオーディオデコーダを含むデコーダ(図示せず)に復調信号を出力する。
【0044】
デコーダに入力された復調信号は、MEPG−TSデコーダによってMPEG方式に基づいた復号処理が行われ、映像信号、字幕信号および音声信号が形成される。また、映像信号はビデオデコーダでデコードされ、字幕信号は字幕デコーダでデコードされ、音声信号は音声デコーダでデコードされる。さらに、デコードされた各データはプロセサ30に入力される。プロセサ30は、デコードされた映像データをビデオメモリに格納し、デコードされた音声データ(デジタル音声信号)をD/A変換機36に出力する。したがって、受信したテレビ放送に従う映像がディスプレイ14に表示されるとともに、放送の音声(放送音声)がスピーカ18から出力される。なお、番組を視聴しているときに、タッチパネル16または入力装置38によってチャンネルを選局する操作がされると、プロセサ30は選局命令をデジタルチューナ48に出力する。
【0045】
非接触IC50は、メモリ50aや、図示しないマイコン、暗号回路および非接触通信回路などから構成される。この実施例では、非接触IC50は、「FeLiCa(登録商標)」と呼ばれる非接触ICカードの技術に基づいて構成されたICである。非接触IC50は、非接触通信アンテナ56を介して、自動改札機106が備えるリーダ/ライタ108(図1参照)との間で非接触通信を行うことができ、駅に入場または駅から退場するための乗車券機能を有する。なお、非接触IC50は、リーダ/ライタ108に近づけられると、電磁誘導の原理で電力を得て起動され、携帯端末10の電源のオン/オフに関係なく、リーダ/ライタ108との間で非接触通信を行うことができる。なお、非接触IC50とリーダ/ライタ108との通信内容は、記憶装置であるRAM44に送信されて一時記憶される。
【0046】
次に、この実施例の動作の概要を説明する。携帯端末10が備える非接触IC50の乗車券機能を利用して、ユーザが自動改札機106を通過して電車の駅構内へ入場する際(入駅時)には、非接触IC50と自動改札機106のリーダ/ライタ108との間で非接触通信が行われる。この際、自動改札機106によって非接触IC50の正当性がチェックされると共に、非接触IC50に対しては、リーダ/ライタ108から駅名情報と入駅情報とが送信される。
【0047】
プロセサ30は、非接触IC50とリーダ/ライタ108との間で非接触通信が行われたことを検出すると、非接触IC50が受信した駅名情報および入駅情報をRAM44に送信させ、受信した時刻と共にRAM44に一時記憶させる。そして、プロセサ30は、RAM44に一時記憶された駅名情報(通信場所の情報)を利用して、ワンセグ放送のCH設定を自動的に調整する処理を実行する。
【0048】
具体的には、プロセサ30は、RAM44に記憶された駅名情報を読み出し、ネットワーク102を介して接続されるサーバ104を参照して、駅名情報から現在のCHエリア(現在エリア)を特定する。特定した現在エリア情報は、たとえば駅名情報を受信した時刻と対応付けて、RAM44に一時記憶される。
【0049】
なお、サーバ104には、図4に示すような対応テーブル110が記憶される。対応テーブル110は、駅名情報のそれぞれと対応付けて、その駅が属するCHエリア情報を記憶するテーブルである。図4を参照すると、たとえば、A駅およびB駅は、XエリアというCHエリアに存在し、C駅は、YエリアというCHエリアに存在していることが分かる。
【0050】
現在エリアが特定されると、プロセサ30は、現在エリアと設定中のCHエリア(設定エリア)とを比較する。そして、現在エリアと設定エリアとが異なる場合には、エリア変更を行い、つまり設定エリアを現在エリアに書き換え、現在エリアに応じたCH設定に調整する。一方、現在エリアと設定エリアとが同じ場合には、エリア変更は行わない。これによって、移動によって受信するCHエリアが変わった場合でも、最適なCH設定に調整されるので、CH設定にユーザの手を煩わせることがなくなり、また、テレビ機能を起動させるとすぐにワンセグ放送を視聴できるようになる。
【0051】
なお、ユーザが自動改札機106を通過して駅構内から退場する際(出駅時)には、非接触IC50に対しては、リーダ/ライタ108から駅名情報と出駅情報とが送信される。プロセサ30は、出駅時においても入駅時と同様に、非接触IC50が受信した駅名情報を利用して、ワンセグ放送のCH設定を自動的に調整する処理を実行する。
【0052】
図5は、図3に示すRAM44のメモリマップの一例を示す図である。図5に示すように、RAM44には、プログラム記憶領域66とデータ記憶領域68が形成される。また、プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ42から一度に全部または必要に応じて部分的かつ順次的に読み出され、RAM44に記憶される。
【0053】
プログラム記憶領域66には、携帯端末10を動作させるためのプログラムが適宜記憶される。たとえば、携帯端末10を動作させるためのプログラムには、通信プログラム661、CHエリア特定プログラム662およびCH設定プログラム663等が含まれる。
【0054】
通信プログラム661は、ネットワーク102上のサーバ104とのデータ通信を行うためのプログラムである。CHエリア特定プログラム662は、非接触IC50が受信した駅名情報に基づいて、現在のCHエリアを特定するためのプログラムである。たとえば、サーバ104に記憶される対応テーブル110を参照して、現在のCHエリアを特定する。CH設定プログラム663は、現在のCHエリアと設定中のCHエリアとを比較して、これらが異なる場合には、エリア変更を行い、現在のCHエリアに応じたCH設定に調整するためのプログラムである。
【0055】
データ記憶領域68には、非接触IC情報バッファ681、CHエリアバッファ682およびCH設定バッファ683が形成される。
【0056】
非接触IC情報バッファ681は、非接触IC50および非接触通信アンテナ56が自動改札機106のリーダ/ライタ108から受信した情報を一時的に記憶する。たとえば、非接触IC情報バッファ681には、駅名情報、入駅情報および出駅情報が記憶される。CHエリアバッファ682は、設定中のCHエリアや、非接触IC50による非接触通信時に特定された現在のCHエリア等のCHエリアの情報を一時的に記憶する。CH設定バッファ683は、設定中のCHエリアに応じて調整されるCH設定の内容を一時的に記憶する。
【0057】
続いて、フロー図を用いてこの実施例の動作の一例について説明する。図6に示すCH設定処理は、非接触IC50が自動改札機106のリーダ/ライタ108との間で非接触通信を行う度に行われるものであり、主としてプロセサ30によって実行されるものである。
【0058】
ステップS1では、非接触IC50の起動があるか否か、つまり、非接触IC50が自動改札機106のリーダ/ライタ108によって起動されて、リーダ/ライタ108との間で非接触通信を行ったか否かを判断する。なお、非接触通信においては、非接触IC50は、リーダ/ライタ108から駅名情報と入駅情報または出駅情報とを受信する。ステップS1で“NO”の場合、すなわち非接触IC50の起動がない場合には、再度この処理を繰り返す。一方、ステップS1で“YES”の場合、すなわち非接触IC50の起動がある場合には、処理はステップS3に進む。
【0059】
ステップS3では、非接触IC50が自動改札機106のリーダ/ライタ108から受信した駅名情報を取得する。つまり、非接触IC50が受信した駅名情報をRAM44に対して送信させ、受信した時刻と共にRAM44に一時記憶させる。この際、入駅情報または出駅情報も同様に、RAM44に一時記憶させるとよい。
【0060】
次のステップS5では、現在のCHエリアを特定する。つまり、RAM44に記憶された駅名情報を読み出し、ネットワーク102上のサーバ104に記憶される対応テーブル110を参照して、駅名情報から現在のCHエリアを特定する。特定した現在のCHエリアは、RAM44に一時記憶される。
【0061】
次のステップS7では、CHエリアに変更があるか否かを判断する。つまり、ステップS5で特定した現在のCHエリアと設定中のCHエリアとを比較し、これらが異なるか否か判断する。ステップS7で“NO”の場合、すなわちCHエリアに変更がない場合には、そのままCH設定処理を終了する。一方、ステップS7で“YES”の場合、すなわちCHエリアに変更がある場合には、ステップS9に進む。
【0062】
次のステップS9では、現在のCHエリアに応じたCH設定に変更する。つまり、設定中のエリアを現在のCHエリアに書き換え、現在のCHエリアに応じたCH設定に調整する。
【0063】
この実施例によれば、ワンセグ放送のCH設定を自動的に調整するに際して、非接触IC50がリーダ/ライタ108との間で非接触通信を行うときに受信する駅名情報(通信場所の情報)を利用して、現在のCHエリアを特定する。このため、携帯端末10の現在位置を把握するためにGPSを起動させる必要がなく、携帯端末10の消費電力を抑えることができる。また、GPS機能を利用することなくワンセグ放送のCH設定を自動的に調整できるので、携帯端末10にGPS機能を備える必要がない。つまりこの発明は、GPS機能を備えない携帯端末に対しても適用できる。
【0064】
なお、上述の実施例では、非接触IC50が自動改札機106のリーダ/ライタ108と非接触通信を行うたびに、現在のCHエリアを特定するようにしているが、これに限定されない。
【0065】
たとえば、ユーザが出駅するときのみに、現在のCHエリアを特定する処理を実行して、CH設定を調整するようにしてもよい。この場合には、リーダ/ライタ108から非接触IC50に送信される入駅情報や出駅情報を利用するとよく、たとえば、駅名情報と共に出駅情報が受信されたか否かによって、ユーザが出駅するか入駅するかを判断するとよい。ただし、駅名情報と共に入駅情報が受信されないことによって、ユーザが出駅すると判断することもできる。CHエリアは、電車による移動によって変わる可能性がある、つまり入駅時よりも出駅時の方が、受信するCHエリアが変わっている可能性が高い。したがって、出駅時のみに現在のCHエリアを特定する処理を実行することによって、より効率的にCH設定を調整でき、携帯端末10の消費電力をより抑えることができるようになる。
【0066】
また、たとえば、一定時間ごとに、或いはテレビ機能の起動時に、現在のCHエリアを特定する処理を実行して、CH設定を調整するようにしてもよい。この場合には、たとえば、非接触IC50がリーダ/ライタ108から駅名情報を受信したときに、駅名情報を受信した時刻と共にRAM44に記憶させておく。そして、一定時間ごとに、或いはテレビ機能の起動時に、RAM44から最新の駅名情報を読み出すことによって、現在のCHエリアを特定する処理を実行し、CH設定を調整するようにしてもよい。これによって、非接触IC50による非接触通信が頻繁に利用されるような場合にも対応でき、携帯端末10の消費電力をより抑えることができる。
【0067】
また、上述の実施例では、交通機関の一例として電車(鉄道)を挙げて説明したが、これに限定されず、非接触IC50を利用して航空機やバス等に乗る場合にもこの発明を応用できる。たとえば、空港に設置される自動改札機を通過する際に非接触IC50が受信する空港名情報や、バスの車内に設置される料金装置を通過する際に非接触IC50が受信する停留所名情報を利用して、現在のCHエリアを特定し、CH設定を調整することもできる。
【0068】
さらに、上述の実施例では、非接触IC50の乗車券機能を利用するときに受信する通信場所の情報(駅名情報)を用いて、現在のCHエリアを特定するようにしているが、これに限定されない。たとえば、図7に示すように、買い物などをする際の電子決済機能を利用するときに、非接触IC50が電子決済機112のリーダ/ライタ114から受信する通信場所の情報(店舗名情報)を用いて、現在のCHエリアを特定することもできる。この場合、たとえばサーバ104の対応テーブル110には、店舗名情報のそれぞれと対応付けて、その店舗が属するCHエリア情報が記憶される。なお、店舗名情報を用いて現在のCHエリアを特定し、CH設定を調整する処理については、図6に示すCH設定処理とほぼ同じであるので、説明は省略する。
【0069】
また、上述の実施例では、ネットワーク102上のサーバ104に対応テーブル110を記憶させるようにしているが、これに限定されず、携帯端末10が備える内部メモリに対して、対応テーブル110を記憶させておくこともできる。この場合、携帯端末10の内部メモリには、対応テーブル110の全てを記憶させてもよいし、一部のみを記憶させてもよい。たとえば、比較的変更されることが多い店舗名情報に関する対応テーブル110は、サーバ104に記憶し、駅名情報に関する対応テーブル110は、携帯端末10の内部メモリに記憶させるとよい。携帯端末10の内部メモリの容量にもよるが、内部メモリに対応テーブル110を記憶させることにより、ネットワーク102上のサーバ104にアクセスすることと比較して、現在のCHエリアを特定する処理を短時間で実行できるようになる。
【0070】
また、上述の実施例では、地上デジタル放送で行われる移動体向けのテレビ放送(ワンセグ放送)においてCH設定を調整するようにしているが、この発明は、地上デジタル音声放送(ラジオ放送)にも同様に適用できる。
【0071】
さらに、上述の実施例における非接触IC50は、"FeliCa"に適用される近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)技術の国際規格(ISO/IEC 18092)に基づいて構成されたが、小電力ICによる通信技術の国際規格(ISO/IEC 14443)に基づいて構成されてもよいし、他の通信規格に基づいて構成されてもよい。また、携帯通信端末10の通信方式には、CDMA方式に限らず、W−CDMA方式、TDMA方式、PHS方式およびGSM(登録商標)方式などを採用してもよい。
【0072】
また、上述の実施例で用いられた複数のプログラムは、データ配信用のサーバのHDDに記憶され、ネットワークを介して携帯端末10に配信されてもよい。また、CD,DVD,BD(Blue-Ray Disk)などの光学ディスク、USBメモリおよびメモリカードなどの記憶媒体に複数のプログラムを記憶させた状態で、その記憶媒体が販売または配布されてもよい。そして、上記したサーバや記憶媒体などを通じてダウンロードされた、複数のプログラムが本実施例と同等の構成の携帯端末にインストールされた場合、本実施例と同等の効果が得られる。
【0073】
なお、本明細書中で挙げた具体的な数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様変更などに応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 …携帯端末
12 …ハウジング
14 …ディスプレイ
30 …プロセサ
32 …無線通信回路
44 …RAM
48 …デジタルチューナ(受信部)
50 …非接触IC
66 …プログラム記憶領域
68 …データ記憶領域
102 …サーバ
106 …自動改札機
108,114 …リーダ/ライタ
112 …電子決済機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送を受信する受信部を備える携帯端末であって、
外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触IC、
前記非接触ICが前記外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行ったときに前記非接触ICが当該外部リーダ/ライタから受信する通信場所の情報を取得する情報取得部、
前記情報取得部が取得した通信場所の情報に基づいて、現在のチャンネルエリアを特定するエリア特定部、および
現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に変更するチャンネル設定部を備える、携帯端末。
【請求項2】
前記エリア特定部によって特定されたチャンネルエリアが、設定中のチャンネルエリアと異なるか否かを判定する判定部を備え、
前記チャンネル設定部は、前記判定部によってチャンネルエリアが異なると判断されたとき、現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に変更する、請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記外部リーダ/ライタは、交通機関の自動改札機に設けられるリーダ/ライタを含み、
前記通信場所の情報は、前記自動改札機が設置された駅の駅名情報を含む、請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記情報取得部は、入駅または出駅についての情報をさらに取得し、
前記エリア特定部は、ユーザが出駅するときのみに現在のチャンネルエリアを特定する処理を実行する、請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記外部リーダ/ライタは、電子決済機に設けられるリーダ/ライタを含み、
前記通信場所の情報は、前記電子決済機が設置された店舗の店舗名情報を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項6】
地上デジタル放送を受信する受信部、および外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行う非接触ICを備える携帯端末のプロセサによって実行されるチャンネル設定プログラムであって、前記チャンネル設定プログラムは、前記プロセサを、
前記非接触ICが前記外部リーダ/ライタとの間で非接触通信を行ったときに前記非接触ICが当該外部リーダ/ライタから受信する通信場所の情報を取得する情報取得部、
前記情報取得部が取得した通信場所の情報に基づいて、現在のチャンネルエリアを特定するエリア特定部、および
現在のチャンネルエリアに応じたチャンネル設定に変更するチャンネル設定部として機能させる、チャンネル設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110545(P2013−110545A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253413(P2011−253413)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】