説明

携帯端末および携帯端末の操作方法

【課題】高いセキュリティを維持して遠隔操作を行うことができる携帯端末を提供する。
【解決手段】本発明における携帯端末は、正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データを記憶する記憶部と、画像データが添付された電子メールの受信を行うメール受信部と、受信した画像データと、記憶部が記憶する認証データとの照合を行う画像照合部と、画像データが認証データと一致した場合に、電子メールが備える情報に基づいて動作コマンドを実行する制御部とを備え、制御部は、必要に応じて認証データを変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に対し、他の端末から操作される携帯端末、および携帯端末の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の高機能化・普及に伴い、携帯電話が紛失・盗難にあった場合のリスクが非常に大きくなっており、紛失・盗難時の対応方法を考える必要がある。そこで遠隔操作が可能な携帯端末の需要が高まってきている。
【0003】
特許文献1には、操作端末が被操作端末に対して遠隔操作の指示を行う際、認証情報としてIDコードを利用している。被操作端末がメールを受信すると自己が記憶しているIDコードと認証情報とを比較し、一致すると認証成功となり、受信したメール内容に基づいて操作を行う。
【0004】
特許文献2には、認証方法としてメールに添付された写真と被操作端末に保存されている写真を比較した顔認証方式が用いられている。被操作端末に自分の顔認証情報を登録しておき、自分の顔写真を添付してメールを送信することで遠隔操作の認証を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−008270
【特許文献2】特開2006−324800
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の遠隔操作は、IDコードをメールに記載するため、総当り法などによって、推測される可能性があり、セキュリティ面で問題があった。また特許文献2に記載の遠隔操作についても、写真データが漏洩した場合、本人の顔認証情報を変更することは難しいため、同様にセキュリティ面で問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決する携帯端末、および携帯端末の操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における携帯端末は、正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データを記憶する記憶部と、画像データが添付された電子メールの受信を行うメール受信部と、受信した画像データと、記憶部が記憶する認証データとの照合を行う画像照合部と、画像データが認証データと一致した場合に、電子メールが備える情報に基づいて動作コマンドを実行する制御部とを備え、制御部は、必要に応じて認証データを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明における携帯端末は、高いセキュリティを維持して操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態における携帯端末のブロック図である。
【図2】第1の実施形態における遠隔操作のシーケンス図である。
【図3】第1の実施形態における遠隔操作のシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態における遠隔操作を行うフローチャートである。
【図5】第2の実施形態における携帯端末のブロック図である。
【図6】第2の実施形態における遠隔操作のシーケンス図である。
【図7】第2の実施形態における遠隔操作のシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態における遠隔操作を行うフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
【0012】
〔第1の実施形態〕次に、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態における携帯端末1(および携帯端末101)のブロック図を示している。
【0013】
〔構成の説明〕本実施形態における携帯端末1は、図1に示すように、記憶部2と、メール送受信部3と、画像照合部4と制御部5を備えている。
【0014】
図2に示すように、携帯端末1は、ユーザがあらかじめカメラ機能などで写真を撮影し、画像データとして記憶部2に保存する。そして携帯端末1は、画像データを電子メール(以下、メールと記載)の添付ファイルとして遠隔操作対象となる携帯端末101に送信する。そして、遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101は、上記の画像データを遠隔操作における正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データとして記憶部2に保存し、お互いに共有している。
【0015】
本実施形態では、認証データが漏洩した、あるいは漏洩したと思われる場合、カメラ機能など撮影した別の写真や記憶部2に設けている別の画像データを容易に認証データとして変更できる。
【0016】
例えばユーザが認証データに用いる画像データを変更したい場合、現在の認証データである画像データと認証データとは異なる画像データとを共にメールに添付し、タイトルに「認証データ変更」を示す記載したメールを送信する。するとメールを受信した携帯端末101は、メールのタイトルの記載から認証データ変更の指示と認識し、受け取った認証データとは異なる画像データを認証データとして設定し、記憶部2に保存する。
【0017】
その結果、上記のメールを送信した携帯端末1と上記のメールを受信した携帯端末101の制御部5は、互いに変更後の画像データを認証データとして共有し、記憶部2に保存する。なお、認証データの変更を示すメールのタイトルの記載や、認証データの変更方法については、上記に限定されず、両者が認証データの変更を確認できればよい。
【0018】
なお図2では、認証データとなる画像データを遠隔操作側の携帯端末1で撮影して、被遠隔操作側の携帯端末101に送信することで認証データの設定を行っているがこれに限定されない。つまり被遠隔操作側の携帯端末101が画像データを撮影して、遠隔操作側の携帯端末1に送信し、両者で認証データとしてお互いに共有してもよい。また画像データの送付はメールに添付するだけでなく赤外線通信などを用いてお互いに共有してもよい。
【0019】
次に、図1に記載の携帯端末1(および携帯端末101)の構成部について、図3のシーケンス図を用いて詳細に説明を行う。
【0020】
遠隔操作を行う携帯端末1のメール送受信部3は、記憶部2から認証データである画像データを記憶部2から抽出し、メールに添付して遠隔操作対象の携帯端末101に送信を行う。ここで遠隔操作用にメールと通常のメールとを区別するために、メールの題名には所定の「遠隔操作用タイトル」を記載する。なお遠隔操作用タイトルは、遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101とのあいだで共有されていれば特に限定されず、例えば「remote control」などでもよい。また「遠隔操作用タイトル」は、普段使用しないようなタイトルであることが望ましい。
【0021】
上記メールの本文には遠隔操作を行う動作コマンドが記載されている。動作コマンドは、例えばダイヤルロックや、データ消去などである。例えば携帯端末101を紛失した場合などに、ダイヤルロックやデータ消去を遠隔操作できることで携帯端末101からの情報漏えいを防ぐことができる。なおメール本文に記載される動作コマンドについても、遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101で共有されていれば、ダイヤルロックをDLとして省略して記載してもよい。
【0022】
被遠隔操作側の携帯端末101のメール送受信部3は、メールを受信すると題名から通常のメールであるか、遠隔操作用のメールであるか判別を行う。そしてメールの題名に所定の「遠隔操作用タイトル」が記載されている場合、遠隔操作用メールとして判別する。なお、メールの題名に「遠隔操作用タイトル」が記載されていない場合は、このメールでの遠隔操作は行わず通常のメールとして処理を行う。
【0023】
画像照合部4は、メール送受信部3が遠隔操作用メールと判断した場合、メールに添付された画像データが記憶部2に保存されている認証データと同一であるか照合を行う。なおメールに添付された画像データと、記憶部に保存されている認証データとが同一でない場合、このメールでの遠隔操作は行わず通常のメールとして処理を行う。
【0024】
制御部5は、メール送受信部3が受信した画像データと、記憶部2が保存している認証データとが同一である場合、メールの本文に記載されている動作コマンドの実行を行う。例えば、メール本文にダイヤルロックと記載されている場合、被操作側の携帯端末101は本文に記載されたダイヤルロックの動作コマンドを実行する。
【0025】
制御部5は、動作コマンドの実行が完了すると、遠隔操作の履歴を記憶部2に保存する。そして、メール送受信部3は、遠隔操作の動作コマンドが完了したことを、遠隔操作側の携帯端末1にメールにて連絡を行う。なお順番は上記に限らず、制御部5は遠隔操作側の携帯端末1にメールにて連絡を行った後に、記憶部2に実行が完了した動作コマンドを保存してもよい。
【0026】
また制御部5は、カメラ機能など撮影した別の写真や記憶部2に設けている別の画像データを認証データとして変更することができる。例えば認証データである画像データと、認証データとは異なる画像データとが添付され、タイトルに「認証データ変更」と記載されたメールを受信すると、制御部5は認証データとは異なる画像データを、認証データとして設定し、記憶部2に保存する。なおタイトルの「認証データ変更」という記載は、上記に限定されず、遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101で共有されていれば、任意のタイトルでよい。
【0027】
また上記のメールを送信した携帯端末1の制御部5についても同様に、認証データと異なる画像データを認証データとして設定する。そして携帯端末1と携帯端末2の制御部5はともに、認証データを変更した履歴を記憶部2に保存する。
【0028】
〔動作の説明〕次に本実施形態における遠隔操作対象の携帯端末101の動作について図4のフローチャートに基づいて説明を行う。
【0029】
まずS1において、メール送受信部3はメールを受信すると、S2に処理を進める。
【0030】
次にS2において、メール送受信部3はメールを受信すると、題名に所定の遠隔操作用タイトルが記載されているか照合を行う。メールの題名に所定の「遠隔操作用タイトル」が記載されている場合、YESとしてS3に進む。なおメールの題名に「遠隔操作用タイトル」が記載されていない場合、NOとしてS10に進み、今回のメールでは遠隔操作は行わず終了する。
【0031】
次にS3において、画像照合部4は、メールに添付された画像データと、記憶部2に保存している認証データとの照合を行う。メールに添付された画像データと、記憶部2に保存されている認証データとが一致した場合、YESとしてS4に進む。なお画像データと認証データとが不一致である場合はNOとしてS10に進み、今回のメールでの遠隔操作は行われずに終了する。
【0032】
次にS4において、制御部5は本文に記載されているコマンドを実行する。そしてS5に処理を進める。
【0033】
次にS5において、遠隔操作を行った動作コマンドを履歴として記憶部2に保存する。そしてS6に処理を進める。
【0034】
次にS6において、携帯端末101は、遠隔操作を行った携帯端末1に対して遠隔操作のコマンドが完了したと、メールで通知を行い操作を終了する。
【0035】
〔効果の説明〕次に、本実施形態の効果について説明を行う。
【0036】
ここで特許文献1に記載されているように、メール題名や本文に記載されたIDコードや、またメールアドレスを認証データとした場合を考える。IDコードは、総当りなどにより推測されてしまう可能性がありセキュリティ面で問題がある。
【0037】
またメールアドレスは容易に変更することができない各携帯端末の固有のものである。そのためメールアドレスが異なる第3者の携帯端末からは、遠隔操作対象の携帯端末101に対して遠隔操作を行うことができない。その結果、メールアドレスを認証データとして用いると、遠隔操作の汎用性が低くなってしまうという問題があった。
【0038】
本実施形態では、携帯端末1と携帯端末101とのあいだで、カメラ機能で撮影した画像データを遠隔操作の認証データとして利用している。そのためユーザは、携帯端末のカメラ機能を用いて自由に撮影した写真データを利用することができる。画像データは、天候・周囲の環境などの影響により、1度撮影した画像と全く同一の画像を再度撮影することは困難である。そのため、認証データを画像データとする本実施形態は、IDコードを認証データとする特許文献1と比べて高いセキュリティを維持することができる。また画像データは、メールアドレスのような個人情報ではないので、仮に認証データを変更しても影響はない。
【0039】
またメールアドレスに比べて画像データは、複数の携帯端末間で画像を共有することができる。そのため画像データを共有している複数の携帯端末間において遠隔操作が必要な携帯端末101が発生した場合、画像データを有していればどの携帯端末1からでも遠隔操作を実行することができる。
【0040】
なお記憶部3は、画像照合部4が認証に使用する写真データを1つ保持すれば良いため、携帯端末101の保存領域への負荷を抑えることができる。また本実施形態では、認証データが漏洩した、あるいは漏洩したと思われる場合、カメラで撮影した別の写真や、記憶部2に備えている別の画像データを認証データに変更できるため、セキュアな環境を容易に維持することができる。
【0041】
また本実施形態における携帯端末101は、実行が完了した動作コマンドを、記憶部2に保存する。そのため記憶部2に、遠隔操作を行った履歴を作成することで、ユーザは不正な遠隔操作が行われていないか確認することができる。
【0042】
つまり万が一、認証情報である画像データなどが気付かないあいだに漏洩した場合、不正に遠隔操作が行われてしまう可能性がある。ユーザは、記憶部2に保存されている履歴を確認することで、知らないメールアドレスから遠隔操作が行われている場合、不正な遠隔操作が行われた可能性があると認識することができる。その結果、ユーザは即座に認証データである画像データを変更するなどの情報漏洩に対する対応を行うことができる。
【0043】
〔第2の実施形態〕次に、本実施形態について図4を用いて説明する。図5は、本実施形態のブロック図である。
【0044】
〔構成の説明〕本実施形態における携帯端末1は、図5に示すように、第1の実施形態と異なる点は、動作照合部6を備えている点である。それ以外の構成・接続関係は、第1の実施形態と同様である。つまり、第2の実施形態の携帯端末1は、記憶部2と、メール送受信部3と、画像照合部4と、制御部5を備えている。
【0045】
本実施形態では、遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101との間で、画像データを認証データとして保存しているたけでなく、動作コマンドも対応づけている。つまり遠隔操作を行う動作コマンドが例えば「ダイヤルロック」、「データ消去」、「GPS機能」など3種類ある場合は、各動作コマンドに対応した3種類の画像データをそれぞれ記憶部2に保存している。
【0046】
図6に示すように、あらかじめ携帯端末1は各動作コマンドと対応した複数の画像データをメールに添付して遠隔操作対象の携帯端末101に送信する。そして遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101は、各動作コマンドと対応した複数の画像データを、認証用データだけでなく動作用データとして共有して、記憶部2にお互いに保存している。
【0047】
次に、図5に記載の本実施形態の携帯端末1(および携帯端末101)の各構成部について、図7のシーケンス図を用いて詳細に説明を行う。
【0048】
遠隔操作を行う携帯端末1のメール送受信部3は、認証データと所望の動作コマンドに対応した画像データを記憶部2から抽出し、メールに添付して遠隔操作対象の携帯端末101に送信を行う。なお第1の実施形態と異なり、本実施形態ではメール本文に遠隔操作の動作コマンドに関連する記載を行う必要はない。なお遠隔操作用にメールと通常のメールとを区別するために、メールの題名には所定の「遠隔操作用タイトル」を記載する。
【0049】
非遠隔操作側の携帯端末101のメール送受信部3は、メールを受信すると題名から通常のメールであるか、遠隔操作用のメールであるか判別を行う。そしてメールの題名に所定の「遠隔操作用タイトル」が記載されている場合、遠隔操作用メールとして判別する。なお、メールの題名に「遠隔操作用タイトル」が記載されていない場合は、このメールでの遠隔操作は行わず通常のメールとして処理を行う。
【0050】
画像照合部4は、メールに添付された画像データが記憶部2に保存されている認証データと同一であるか照合を行う。なおメールに添付された画像データと、記憶部2に保存されている認証データとが同一でない場合、今回のメールでの遠隔操作は行われない。
【0051】
動作照合部6は、メールに添付された画像データと対応した動作コマンドを記憶部2から照合する。なお本実施形態では、メールに添付された画像データには「ダイヤルロック」の動作コマンドが関連付けられているが、これに限定されない。
【0052】
制御部5は、画像データと対応した動作コマンドの実行を行う。なお図6では、画像データがダイヤルロックと対応づけられているため、被操作側の携帯端末101はダイヤルロックの動作コマンドを実行する。
【0053】
制御部5は、動作コマンドの実行が完了すると、遠隔操作の履歴を記憶部2に保存する。そして、メール送受信部3は、遠隔操作のコマンドが完了したことを、遠隔操作側の携帯端末1にメールにて連絡を行う。
【0054】
〔動作の説明〕次に本実施形態における遠隔操作対象の携帯端末101の動作について図8のフローチャートに基づいて説明を行う。
【0055】
まずS11において、メール送受信部3はメールを受信すると、S12に処理を進める。
【0056】
次にS12において、メール送受信部3はメールの題名に所定の「遠隔操作用タイトル」が記載されているか照合を行う。メールの題名に遠隔操作用タイトルが記載されている場合、YESとしてS13に進む。なおメールの題名に遠隔操作用タイトルが記載されていない場合、NOとしてS10に進み、今回のメールでは遠隔操作は行われず終了する。
【0057】
次にS13において、画像照合部4は、メールに添付された画像データと、記憶部2に保存している認証データとの照合を行う。メールに添付された画像データと、記憶部2に保存されている認証データとが一致した場合、YESとしてS14に進む。なお画像データと認証データとが不一致である場合、NOとしてS10に進み、今回のメールでの遠隔操作は行われずに終了する。
【0058】
次にS14において、動作照合部6は、メールに添付された画像データがどの動作コマンドに対応した画像であるか照合を行う。そして画像データと対応した動作コマンドを照合すると、S15に処理をすすめる。
【0059】
次にS15において、制御部5は画像データと対応した動作コマンドの実行を行う。そして次にS16に処理をすすめる
なお、例えば記憶部2においてダイヤルロックと関連づけられた画像データがメールに添付されていた場合、非遠隔操作側の携帯端末101にダイヤルロックを実行する。またデータ消去、GPS機能に対応した画像がメールに添付されている場合は、それぞれデータ消去や、GPS機能などを実行する。
【0060】
次にS16において、制御部5は遠隔操作を行った動作コマンドを履歴として記憶部2に保存する。そしてS17に処理を進める。
【0061】
次にS17において、携帯端末101は、遠隔操作を行った携帯端末1に対して遠隔操作のコマンドが完了したと、メールで通知を行い操作を終了する。
【0062】
〔効果の説明〕次に本実施形態における効果の説明を行う。
【0063】
遠隔操作側の携帯端末1と被遠隔操作側の携帯端末101との間で、認証用データとして画像データを共有していたとしても、実行するコマンドを本文に記載すると第3者に見られてしまう可能性があった。
【0064】
つまり被遠隔操作側の携帯端末101を紛失し、第3者に拾われてしまった場合、遠隔操作用のメールの本文の記載からどのようなコマンドが行われるか、知られてしまう。その結果、第3者にメール本文を見られた場合、データ消去を完了する前に、遠隔操作を妨害されてデータが漏洩してしまう可能性があった。
【0065】
そこで本実施形態では、本文にコマンドは記載せず、認証データに加えて、動作コマンドを対応づけた画像データをメールに添付する。そのため第3者が紛失した携帯端末101を拾って遠隔操作のメールを見たとしても、メール本文には具体的な記載がないので、実際にはどのような遠隔操作が行われるかを知ることはできない。その結果、よりセキュリティの高い環境を実現することができる。
【0066】
なお本実施形態では、それぞれの画像データに対して、認証用と各動作コマンドの2つの機能を対応づけていた。そのため、遠隔操作を許可される認証用データとして扱われる画像データは、動作コマンドの数だけ複数存在していた。
【0067】
そこで認証データとしての画像データを1つに固定し、別に各動作コマンドに対応した画像データを記憶部2に保存してもよい。つまり認証用の画像データと、動作コマンド用の画像データとを別々に設け、それぞれの画像データをメールに添付して遠隔操作を行ってもよい。そのためメールには、少なくとも2つの画像データをメールに添付する必要はあるが、遠隔操作の実行を許可する認証用データを1つに固定することができるため、より高いセキュリティ環境を維持することができる。
【0068】
また認証が正常に行われ、動作コマンド用の画像データと一致する画像データが記憶部2に存在した場合、動作照合部6は対応する動作コマンドを記憶部2から照合する。そして制御部5は、照合された動作コマンドに従って遠隔操作を行う。
【0069】
一方、認証データを複数の画像データで構成してもよい。例えば、認証データである画像データを1枚添付したときはGPS機能、2枚添付したときはダイヤルロック、3枚添付したときはデータ消去を行うなど設定してもよい。この場合、認証データである複数の画像データは、同じ画像データでも、全て互いに異なる画像データでもよい。
【0070】
なお動作コマンドの送信を行う端末1は、携帯端末に限らずパーソナルコンピューターなどの通信端末でもよい。
【0071】
上記の実施形態の一部、または全部は以下の付記のように記載されるが、以下に限らない。
【0072】
〔付記1〕
正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データを記憶する記憶部と、
画像データが添付された電子メールの受信を行うメール受信部と、
受信した前記画像データと、前記記憶部が記憶する前記認証データとの照合を行う画像照合部と、
前記画像データが前記認証データと一致した場合に、前記電子メールが備える情報に基づいて動作コマンドを実行する制御部とを備え、
前記制御部は、必要に応じて前記認証データを変更することを特徴とする携帯端末。
【0073】
〔付記2〕
前記制御部は、前記電子メールの本文に記載された情報に基づいて、動作コマンドを実行することを特徴とする付記1に記載の携帯端末。
【0074】
〔付記3〕
前記画像データと対応する動作コマンドを前記記憶部から照合する動作照合部を備え、
前記記憶部は、前記画像データに対応する動作コマンドを記憶しており、
前記制御部は、前記動作照合部が照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする付記1乃至2に記載の携帯端末。
【0075】
〔付記4〕
前記記憶部は、前記認証データと対応する第1の画像データと、前記動作コマンドと対応し前記第1の画像データとは異なる第2の画像データを記憶しており、
受信した複数の画像データが前記第1、第2の画像データと一致した場合、前記動作照合部は、前記第2の画像データに対応する動作コマンドを前記記憶部から照合し、
前記制御部は、前記動作照合部が照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする付記3に記載の携帯端末。
【0076】
〔付記5〕
前記記憶部は、前記認証データと対応し互いに異なる複数の画像データ及び前記画像データの枚数に対応する前記動作コマンドを記憶しており、
受信した画像データが前記画像データと一致した場合、動作照合部は、受信した画像データの枚数に基づいて対応する動作コマンドを前記記憶部から照合し、
前記制御部は、前記動作照合部が照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする付記3に記載の携帯端末。
【0077】
〔付記6〕
前記記憶部には、前記認証データと対応する第1の画像データを記憶し、
受信した複数の画像データの一つが前記第1画像データと一致した場合に、前記電子メールが備える情報に基づいて、前記複数の画像データの残りの画像データを前記第1の画像データに代えて認証データとすることを特徴とする付記1に記載の携帯端末。
【0078】
〔付記7〕
前記メール受信部は、前記電子メールの題名に遠隔操作用タイトルが記載されているか照合を行い、
前記電子メールの題名に前記遠隔操作用タイトルが記載されている場合に、前記画像照合部が前記画像データと前記認証データとの照合を行うことを特徴とする付記1乃至6に記載の携帯端末。
【0079】
〔付記8〕
前記制御部は、前記動作コマンドの実行が完了すると、実行した前記動作コマンドを前記記憶部に保存することを特徴とする付記1乃至7に記載の携帯端末。
【0080】
〔付記9〕
前記制御部は、前記動作コマンドの実行が完了すると、前記動作コマンドが完了したことを電子メールにて、遠隔操作を行った携帯端末に送信することを特徴とする付記1乃至8に記載の携帯端末。
【0081】
〔付記10〕
前記画像データはユーザが撮影した写真であることを特徴とする付記1乃至9に記載の携帯端末。
【0082】
〔付記11〕
前記動作コマンドは、遠隔操作コマンドであることを特徴とする付記1乃至10に記載の携帯端末。
【0083】
〔付記12〕
正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データを記憶し、
画像データが添付された電子メールの受信すると
受信した前記画像データと、前記記憶部が記憶する前記認証データとの照合を行い、
前記画像データが前記認証データと一致した場合に、前記電子メールが備える情報に基づいて動作コマンドを実行し、
必要に応じて認証データを変更することを特徴とする携帯端末の操作方法。
【0084】
〔付記13〕
前記電子メールの本文に記載された情報に基づいて、前記動作コマンドを実行することを特徴とする付記12に記載の携帯端末の操作方法。
【0085】
〔付記14〕
前記画像データと対応する動作コマンドを照合し、
照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする付記12に記載の携帯端末の操作方法。
【0086】
〔付記15〕
前記電子メールの題名に遠隔操作用タイトルが記載されているか照合を行い、
前記電子メールの題名に前記遠隔操作用タイトルが記載れている場合に、前記画像データと前記認証データとの照合を行うことを特徴とする付記11乃至14に記載の携帯端末の操作方法。
【0087】
〔付記16〕
前記動作コマンドは、遠隔操作コマンドであることを特徴とする付記11乃至15に記載の携帯端末の操作方法。
【符号の説明】
【0088】
1 携帯端末
2 記憶部
3 メール送受信部
4 画像照合部
5 制御部
6 動作照合部
101 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データを記憶する記憶部と、
画像データが添付された電子メールの受信を行うメール受信部と、
受信した前記画像データと、前記記憶部が記憶する前記認証データとの照合を行う画像照合部と、
前記画像データが前記認証データと一致した場合に、前記電子メールが備える情報に基づいて動作コマンドを実行する制御部とを備え、
前記制御部は、必要に応じて前記認証データを変更することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記電子メールの本文に記載された情報に基づいて、動作コマンドを実行することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記画像データと対応する動作コマンドを前記記憶部から照合する動作照合部を備え、
前記記憶部は、前記画像データに対応する動作コマンドを記憶しており、
前記制御部は、前記動作照合部が照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする請求項1乃至2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記記憶部は、前記認証データと対応する第1の画像データと、前記動作コマンドと対応し前記第1の画像データとは異なる第2の画像データを記憶しており、
受信した複数の画像データが前記第1、第2の画像データと一致した場合、
前記動作照合部は、前記第2の画像データに対応する動作コマンドを前記記憶部から照合し、
前記制御部は、前記動作照合部が照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記記憶部は、前記認証データと対応する複数の画像データ、及び前記画像データの枚数に対応する前記動作コマンドを記憶しており、
受信した画像データが前記画像データと一致した場合、
前記動作照合部は、受信した前記画像データの枚数に基づいて対応する動作コマンドを前記記憶部から照合し、
前記制御部は、前記動作照合部が照合した前記動作コマンドを実行することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記記憶部は、前記認証データと対応する第1の画像データを記憶し、
受信した複数の画像データの一つが前記第1画像データと一致した場合、前記電子メールが備える情報に基づいて、前記複数の画像データの残りの画像データを前記第1の画像データに代えて認証データとすることを特徴とする請求項1乃至5に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記メール受信部は、前記電子メールの題名に遠隔操作用タイトルが記載されているか照合を行い、
前記電子メールの題名に前記遠隔操作用タイトルが記載されている場合に、前記画像照合部が前記画像データと前記認証データとの照合を行うことを特徴とする請求項1乃至6に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記制御部は、前記動作コマンドの実行が完了すると、実行した前記動作コマンドを前記記憶部に保存することを特徴とする請求項1乃至7に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記制御部は、前記動作コマンドの実行が完了すると、前記動作コマンドが完了したことを電子メールにて、遠隔操作を行った携帯端末に送信することを特徴とする請求項1乃至8に記載の携帯端末。
【請求項10】
正当な通信相手である他の通信端末を認証するための認証データを記憶し、
画像データが添付された電子メールの受信すると
受信した前記画像データと、前記記憶部が記憶する前記認証データとの照合を行い、
前記画像データが前記認証データと一致した場合に、前記電子メールが備える情報に基づいて動作コマンドを実行し、
必要に応じて認証データを変更することを特徴とする携帯端末の操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−191470(P2012−191470A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53813(P2011−53813)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】