携帯端末および無線品質報告方法
【課題】上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を無線基地局に送信することができる携帯端末および無線品質報告方法を提供することを目的とする。
【解決手段】下り無線品質測定部20は、アンテナ111〜11Nが受信した下り無線信号の無線品質を測定する。上り無線品質推定部30は、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する。端末送信部15は、上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局2に対して無線品質報告を送信する。これにより、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を無線基地局に送信することができる。
【解決手段】下り無線品質測定部20は、アンテナ111〜11Nが受信した下り無線信号の無線品質を測定する。上り無線品質推定部30は、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する。端末送信部15は、上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局2に対して無線品質報告を送信する。これにより、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を無線基地局に送信することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末の在圏エリアおよび周辺エリアにおける無線品質の報告を行う携帯端末および無線品質報告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LTE(Long Term Evolution)およびW−CDMA(Wideband CodeDivision Multiple Access)方式の携帯端末において、在圏エリアや周辺エリアの無線品質の報告を基地局に対して送信する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、測定された無線品質が所定の報告条件を満たす場合に、測定報告を無線基地局に対して一定周期で送信する移動局が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、特定周波数セルにおける無線品質が報告条件を満たすときにタイマを起動し、タイマが満了した場合に特定周波数セルにおける無線品質を含む測定報告を無線基地局に対して送信する移動局が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−147910号公報
【特許文献2】特開2009−232293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には、次のような問題点がある。すなわち、測定報告は無線基地局に対して一定周期で、あるいはタイマが満了した場合に送信される。また、上記従来技術においては、測定される無線品質は、無線基地局から移動局へ向かう下り方向の無線品質のみであり、無線品質報告を送信するタイミングは、下り方向の無線品質に基づいて決定される。したがって、送信タイミングによっては、移動局から無線基地局へ向かう上り方向の無線品質が悪く、無線品質報告が無線基地局に届かない場合が生じるという問題がある。例えば、図21に示すように、一定周期Tで、時刻t11、t12、t13、t14に測定報告が送信される場合を考える。この場合、時刻t13においては無線品質が高く、無線品質報告は無線基地局に届くが、時刻t11、t12、t14においては無線品質が低く、無線品質報告は無線基地局に届かない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を効率的に無線基地局に送信することができる携帯端末および無線品質報告方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の携帯端末は、下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定手段と、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定手段と、上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信手段と、を備える。
【0009】
また、本発明の無線品質報告方法は、下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定ステップと、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定ステップと、上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信ステップと、を備える。
【0010】
この発明によれば、下り無線品質を測定し、測定した結果に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果が所定値以上である場合に基地局に対して無線品質報告を送信する。したがって、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告が送信され、測定報告の成功率を向上させることができ、無線品質報告を効率的に無線基地局に送信することができる。
【0011】
また、本発明の携帯端末は、下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定する報告条件判定手段をさらに備え、送信手段は、下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいと報告条件判定手段が判定した場合にのみ、基地局に対して無線品質報告を送信してもよい。
【0012】
この発明によれば、下り無線品質測定値が所定の閾値より小さい場合に限って無線品質報告を送信する。そのため、下り無線品質測定値が十分に良好で、無線品質報告の必要がない場合の無線品質報告を省略することができる。
【0013】
また、本発明の携帯端末において、送信手段は、予め区切られた時間間隔において、無線品質報告を送信する回数を1回以下としてもよい。
【0014】
この発明によれば、予め区切られた時間間隔において、無線品質報告を送信する回数を1回以下とするため、不要な無線品質報告が短時間に何度も送信されることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の携帯端末は、複数のアンテナをさらに備え、下り無線品質測定手段は、複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、上り無線品質推定手段は、アンテナ無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質の平均値を計算して上り無線品質推定値として出力する平均値計算手段を有してもよい。
【0016】
この発明によれば、下り無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質の平均値を計算して上り無線品質推定値とする。そのため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時変動の影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0017】
また、本発明の携帯端末は、複数のアンテナをさらに備え、下り無線品質測定手段は、複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、上り無線品質推定手段は、アンテナ無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質のうち最も無線品質の良い値を選択して上り無線品質推定値として出力する最良値選択手段を有してもよい。
【0018】
この発明によれば、下り無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質のうち最も無線品質の良い値を選択して上り無線品質推定値とする。そのため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0019】
また、本発明の携帯端末において、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値の時間変動を平滑化するフィルタと、フィルタにより平滑化された下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定して上り無線品質推定値として出力する演算手段と、を有してもよい。
【0020】
この発明によれば、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値の時間変動をフィルタにより平滑化し、平滑化された下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する。したがって、下り無線品質測定値の急激な変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0021】
また、本発明の携帯端末において、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する演算を行う演算手段と、演算手段により演算された演算結果の時間変動を平滑化して上り無線品質推定値として出力するフィルタと、を有してもよい。
【0022】
この発明によれば、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する演算を演算手段において行った後、演算結果の時間変動をフィルタにより平滑化して上り無線品質推定値として出力する。したがって、演算手段の演算結果に含まれる短区間フェージングによる瞬時変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を携帯端末から無線基地局に送信することができる。したがって、無線品質報告の成功率を向上させることができ、無線品質報告を効率的に無線基地局に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る携帯端末の機能構成の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る携帯端末における報告送信の全体のフローを示す図である。
【図5】第1実施形態に係る携帯端末における報告送信基本フローを示す図である。
【図6】第1実施形態に係る携帯端末における報告送信タイミングを示す図である。
【図7】第1実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図8】第1実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図11】第3実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図12】第3実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図13】第3実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【図14】第4実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図15】第4実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図16】第5実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図17】第5実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図18】第5実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【図19】第6実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図20】第6実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図21】従来の携帯端末における報告送信タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る携帯端末の機能構成の概略を示す図である。第1実施形態において、携帯端末1は、基地局2から下り無線信号を受信するとともに、基地局2へ上り無線信号を送信する。また、携帯端末1は、複数のアンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13(報告条件判定手段)、送信タイミング決定部14、端末送信部15(送信手段)、下り無線品質測定部20(下り無線品質測定手段)および上り無線品質推定部30(上り無線品質推定手段)を含んで構成されている。
【0027】
また、図2は、携帯端末1のハードブロック図である。携帯端末1は、物理的には、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、無線通信網を介してデータの送受信を行なうためのデバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107等を含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。以下、図1を用いて、携帯端末1の各機能要素について説明する。
【0028】
アンテナ111〜11Nは、基地局2からの下り無線信号を受信し、電気信号に変換して端末受信部12に出力するための部分である。また、アンテナ111〜11Nは、端末送信部15から出力される電気信号を電波に変換して、上り無線信号として基地局2に送信するための部分でもある。
【0029】
端末受信部12は、アンテナ111〜11Nを介して基地局2からの下り無線信号を受信し、受信された無線信号を下り無線品質測定部20に出力する部分である。
【0030】
下り無線品質測定部20は、下り無線品質を測定し、測定結果を下り無線品質測定値として出力する部分である。下り無線品質測定部20の詳細な構成については後述する。
【0031】
上り無線品質推定部30は、下り無線品質測定部20の出力する下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する部分である。上り無線品質推定部30の詳細な構成については後述する。
【0032】
報告条件判定部13は、携帯端末1から基地局2に無線品質報告を送信する条件を下り無線品質測定結果が満たしているか否かを判定する部分である。無線品質報告を送信する条件としては、例えば下り無線品質測定部20の出力する下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいことを条件とすることができる。ここで、無線品質報告は、携帯端末1の属するセルにおける無線品質が悪い場合に、携帯端末1が他のセルにハンドオーバを行うために行われるものである。このため、携帯端末1の属するセルにおける無線品質が十分に良好であれば、無線品質報告は不要である。したがって、下り無線品質測定値の所定の閾値は、下り無線品質測定値がその閾値を上回れば無線品質報告が不要となるような値に定められる。
【0033】
送信タイミング決定部14は、無線品質報告を送信する条件が満たされていると報告条件判定部13が判定し、かつ、上り無線品質推定値が一定の値以上であると判定された場合に、無線品質報告を送信することの指示を端末送信部15に対して送出するための部分である。また、送信タイミング決定部14は、タイマを有している。このタイマは、一定時間を計測し、一定時間ごとに時間間隔を区切るためのものである。このタイマにより予め区切られた時間間隔において、携帯端末1は無線品質報告を送信する回数を1回以下とする。
【0034】
端末送信部15は、送信タイミング決定部14からの指示を受けて、アンテナ111〜11Nを介して基地局2に対して無線品質報告を送信するための部分である。
【0035】
次に、下り無線品質測定部20および上り無線品質推定部30について、図3を用いて、より詳細に説明する。図3は、第1実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【0036】
下り無線品質測定部20は、N個のアンテナ無線品質測定部211〜21N(アンテナ無線品質測定手段)を含んで構成されている。アンテナ無線品質測定部211は、アンテナ111によって受信された信号の下り無線品質を測定する。同様に、アンテナ無線品質測定部212は、アンテナ112によって受信された信号の下り無線品質を測定し、アンテナ無線品質測定部21Nは、アンテナ11Nによって受信された信号の下り無線品質を測定する。そして、アンテナ無線品質測定部211〜21Nは、それぞれアンテナ111〜11Nによって受信された信号の下り無線品質測定値を出力する。
【0037】
上り無線品質推定部30は、平均値計算部36(平均値計算手段)を含んで構成されている。平均値計算部36は、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されたN個の下り無線品質測定値の平均値を計算し、計算された平均値を上り無線品質推定値として出力する部分である。
【0038】
次に、以上のように構成される携帯端末1における無線品質報告方法について、図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態に係る携帯端末における報告送信の全体のフローを示す図である。
【0039】
まず、送信タイミング決定部14は、タイマをスタートさせる(ステップS11)。ここで、タイマがスタートするためのトリガ条件としては、例えば、ネットワークから指示された無線品質報告の条件が満たされたことをトリガ条件とすることができる。無線品質報告の条件としては、具体的には、下り無線品質が所定の閾値を下回った場合などが考えられる。次に、携帯端末1は、報告送信基本フローを実行して、下り無線品質測定値から上り無線品質を推定する。(ステップS12)。この報告送信基本フローについての詳細は後述する。そして、送信タイミング決定部14は、無線品質報告の送信が終了しているか否かを判定する(ステップS13)。無線品質報告の送信が終了していると判定された場合には、携帯端末1は、一定時間が経過してタイマが満了するまで待機する(ステップS14)。一方、無線品質報告の送信が終了していないと判定された場合には、送信タイミング決定部14は、一定時間が経過してタイマが満了しているか否かを判定する(ステップS15)。タイマが満了していないと判定された場合には、再びステップS12に戻り、携帯端末1は報告送信基本フローを実行する。一方、タイマが満了していると判定された場合には、フローが終了する。以上で説明した報告送信フローは、一定の時間間隔をおいて、繰り返し実行される。
【0040】
次に、報告送信基本フローについて、図5を用いてより詳細に説明する。図5は、第1実施形態に係る携帯端末における報告送信基本フローを示す図である。
【0041】
まず、下り無線品質測定部20がアンテナ111〜11Nにおける下り無線品質を測定し、下り無線品質測定値を出力する(ステップS21:下り無線品質測定ステップ)。次に、報告条件判定部13が、ネットワークから指示された無線品質報告の条件が満たされているか否かを判定する(ステップS22)。ここでは、下り無線品質が閾値1を下回っていることを無線品質報告の条件としている。無線品質報告の条件が満たされていない場合には、携帯端末1は、そのまま処理を終了する。一方、無線品質報告の条件が満たされている場合には、上り無線品質推定部30が、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、上り無線品質推定値を出力する(ステップS23:上り無線品質推定ステップ)。
【0042】
次に、送信タイミング決定部14が、上り無線品質推定値が一定の値を上回っているか否かを判定する(ステップS24)。ここでは、上記の一定の値を閾値2としている。上り無線品質推定値が閾値2を上回っていない場合には、携帯端末1は、そのまま処理を終了する。一方、上り無線品質推定値が閾値2を上回っている場合には、送信タイミング決定部14が無線品質報告を送信することの指示を端末送信部15に送出し、端末送信部15は無線品質報告を基地局2に対して送信する(ステップS25:送信ステップ)。以上で説明した報告送信基本フローは、一定の時間間隔をおいて、繰り返し実行される。
【0043】
以上説明した報告送信フローによって無線品質報告が送信される場合の送信タイミングを、図6を用いて説明する。図6は、第1実施形態に係る携帯端末における報告送信タイミングを示す図である。曲線Q1は、上り無線品質推定値の時間変動を示す。点線Lは、上り無線品質の閾値を表す。
【0044】
一定の時間間隔Tごとに区分された時間帯T1においては、上り無線品質推定値は、時刻t1で初めて閾値を越える。この時刻t1において、端末送信部15は無線品質報告を送信する。また、時間帯T1においては、端末送信部15は、時刻t1に1回だけ無線品質報告を送信し、2回以上無線品質報告を送信することはない。同様に、時間帯T2においては、上り無線品質推定値が初めて閾値を越える時刻t2において、端末送信部15は1回だけ無線品質報告を送信する。なお、時間帯T3においては、上り無線品質推定値が閾値を越えることがないため、端末送信部15は無線品質報告を送信しない。
【0045】
次に、報告送信基本フローにおける、上り無線品質の推定処理について、図7を用いて説明する。図7は、第1実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【0046】
平均値計算部36が、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の平均値を計算し、計算結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS31)。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態に係る携帯端末によれば、下り無線品質を測定し、測定した結果に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果が所定値以上である場合に基地局2に対して無線品質報告が送信されるため、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告が送信され、測定報告の成功確率を向上させることができる。
【0048】
また、第1実施形態に係る携帯端末によれば、下り無線品質測定値が所定の閾値より小さい場合に限って無線品質報告が送信されるため、下り無線品質測定値が十分に良好で、無線品質報告の必要がない場合の無線品質報告を省略することができる。
【0049】
また、予め区切られた時間間隔において、無線品質報告を送信する回数を1回以下とするため、不要な無線品質報告が短時間に何度も送信されることを防止することができる。
【0050】
さらに、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の平均値を計算することにより、上り無線品質をより精度よく推定することができる。この効果について、図8を用いて説明する。図8は、第1実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。ここでは、携帯端末1がアンテナ111およびアンテナ112の2本のアンテナを備える場合を例にとって説明を行う。
【0051】
図8(a)の曲線Q11およびQ12は、それぞれアンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値を示す。図8(b)の曲線Q13は、アンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値の平均値を示す。このように、2本のアンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値の平均値を計算することにより、短区間フェージングによる無線品質の瞬時変動の影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る携帯端末は、図1に示される第1実施形態に係る携帯端末1と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第2実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部30に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部31を備える点で、第1実施形態に係る携帯端末1と異なっている。
【0053】
上り無線品質推定部31について、図9を用いて説明する。図9は、第2実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部31は、最良値選択部37(最良値選択手段)を含んで構成されている。最良値選択部37は、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されたN個の下り無線品質測定値の最良値を選択し、選択された最良値を上り無線品質推定値として出力する部分である。
【0054】
次に、第2実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第2実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第2実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0055】
第2実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図10を用いて説明する。図10は、第2実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【0056】
最良値選択部37が、アンテナ111〜11Nの下り無線品質測定値の最良値を選択し、選択結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS41)。
【0057】
以上で説明したように、第2実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0058】
さらに、第2実施形態に係る携帯端末によれば、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の最良値を選択して上り無線品質推定値とすることにより、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る携帯端末は、図1に示される第1実施形態に係る携帯端末1と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第3実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部30に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部32を備える点で、第1実施形態に係る携帯端末1と異なっている。
【0060】
上り無線品質推定部32について、図11を用いて説明する。図11は、第3実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部32は、フィルタ38と平均値計算部36(演算手段)とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部32においては、フィルタ38は、N個のアンテナ無線品質測定部211〜21Nのそれぞれに対応して1個ずつ、合計N個設けられている。また、N個のフィルタ38の出力値は平均値計算部36に入力される。
【0061】
フィルタ38は、入力値の時間変動を平滑化するための部分である。ここで、平滑化を行うための計算方法としては、例えば次の式(1)を用いて計算する方法がある。
y(t)=(1−α)y(t−1)+αx(t) ・・・(1)
上記の式(1)において、x(t)は時刻tにおけるフィルタ38の入力値であり、y(t)は時刻tにおけるフィルタ38の出力値である。また、αは、0<α<0.5を満たす係数である。
【0062】
次に、第3実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第3実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第3実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0063】
第3実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図12を用いて説明する。図12は、第3実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、フィルタ38が、アンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値を平滑化する(ステップS51)。次に、平均値計算部36が、平滑化されたアンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値の平均値を計算し、計算結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS52)。
【0064】
以上で説明したように、第3実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0065】
さらに、第3実施形態に係る携帯端末によれば、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。この効果について図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。ここでは、携帯端末がアンテナ111およびアンテナ112の2本のアンテナを備える場合を例にとって説明を行う。
【0066】
図13(a)の曲線Q21およびQ22は、それぞれアンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値の時間変動をフィルタ38で平滑化した後の値を示す。図13(b)の曲線Q23は、上記の平滑化された後の2つの値の平均値を示す。このように、上り無線品質推定部32は下り無線品質測定値の時間変動をフィルタ38により平滑化し、平滑化された下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する。したがって、下り無線品質測定値の急激な変動の影響がフィルタ38により緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0067】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る携帯端末は、第3実施形態に係る携帯端末と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第4実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部32に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部33を備える点で、第3実施形態に係る携帯端末と異なっている。
【0068】
上り無線品質推定部33について、図14を用いて説明する。図14は、第4実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部31は、フィルタ38と最良値選択部37(演算手段)とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部33においては、フィルタ38は、N個のアンテナ無線品質測定部211〜21Nのそれぞれに対応して1個ずつ、合計N個設けられている。また、N個のフィルタ38の出力値は最良値選択部37に入力される。
【0069】
次に、第4実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第4実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第4実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0070】
第4実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図15を用いて説明する。図15は、第4実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、フィルタ38が、アンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値を平滑化する(ステップS61)。次に、最良値選択部37が、平滑化されたアンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値の最良値を選択し、選択結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS62)。
【0071】
以上で説明したように、第4実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0072】
また、第4実施形態に係る携帯端末によれば、第2実施形態に係る携帯端末と同様に、全アンテナの下り無線品質の最良値が選択されるため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減され、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0073】
さらに、第4実施形態に係る携帯端末によれば、第3実施形態に係る携帯端末と同様に、下り無線品質測定値の急激な変動の影響がフィルタ38により緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0074】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る携帯端末は、図1に示される第1実施形態に係る携帯端末1と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第5実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部30に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部34を備える点で、第1実施形態に係る携帯端末1と異なっている。
【0075】
上り無線品質推定部34について、図16を用いて説明する。図16は、第5実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部34は、平均値計算部36(演算手段)と1個のフィルタ38とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部34においては、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されるN個の下り無線品質測定値が平均値計算部36に入力され、平均値計算部36の出力する平均値がフィルタ38に入力される。
【0076】
次に、第5実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第5実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第5実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0077】
第5実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図17を用いて説明する。図17は、第5実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、平均値計算部36が、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の平均値を計算し、演算結果を出力する(ステップS71)。次に、フィルタ38が、平均値計算部36の出力する演算結果の時間変動を平滑化し、平滑化された結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS72)。
【0078】
以上で説明したように、第5実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0079】
さらに、第5実施形態に係る携帯端末によれば、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。この効果について図18を用いて説明する。図18は、第3実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【0080】
図18(a)の曲線Q31は、携帯端末の有する全てのアンテナ111〜11Nにおける下り無線品質測定値の平均値を示す。図18(b)の曲線Q32は、上記の平均値をフィルタ38により平滑化した後の値を示す。このように、上り無線品質推定部32は、下り無線品質測定値の平均値を計算した後、平均値の時間変動をフィルタにより平滑化して上り無線品質推定値として出力するため、演算手段の演算結果に含まれる短区間フェージングによる瞬時変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0081】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る携帯端末は、第5実施形態に係る携帯端末と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第6実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部34に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部35を備える点で、第5実施形態に係る携帯端末と異なっている。
【0082】
上り無線品質推定部35について、図19を用いて説明する。図19は、第6実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部35は、最良値選択部37(演算手段)と1個のフィルタ38とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部35においては、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されるN個の下り無線品質測定値が最良値選択部37に入力され、最良値選択部37の出力する最良値がフィルタ38に入力される。
【0083】
次に、第6実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第6実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第6実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0084】
第6実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図20を用いて説明する。図20は、第6実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、最良値選択部37が、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の最良値を選択し、演算結果を出力する(ステップS81)。次に、フィルタ38が、最良値選択部37の出力する演算結果の時間変動を平滑化し、平滑化された結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS82)。
【0085】
以上で説明したように、第6実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0086】
また、第6実施形態に係る携帯端末によれば、第2実施形態に係る携帯端末と同様に、全アンテナの下り無線品質の最良値が選択されるため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減され、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0087】
さらに、第6実施形態に係る携帯端末によれば、第5実施形態に係る携帯端末と同様に、演算手段の演算結果に含まれる短区間フェージングによる瞬時変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1…携帯端末、2…基地局、111〜11N…アンテナ、12…端末受信部、13…報告条件判定部、14…送信タイミング決定部、15…端末送信部15、20…下り無線品質測定部、211〜21N…アンテナ無線品質測定部、30,31,32,33,34,35…上り無線品質推定部、36…平均値計算部、37…最良値選択部、38…フィルタ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末の在圏エリアおよび周辺エリアにおける無線品質の報告を行う携帯端末および無線品質報告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LTE(Long Term Evolution)およびW−CDMA(Wideband CodeDivision Multiple Access)方式の携帯端末において、在圏エリアや周辺エリアの無線品質の報告を基地局に対して送信する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、測定された無線品質が所定の報告条件を満たす場合に、測定報告を無線基地局に対して一定周期で送信する移動局が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、特定周波数セルにおける無線品質が報告条件を満たすときにタイマを起動し、タイマが満了した場合に特定周波数セルにおける無線品質を含む測定報告を無線基地局に対して送信する移動局が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−147910号公報
【特許文献2】特開2009−232293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には、次のような問題点がある。すなわち、測定報告は無線基地局に対して一定周期で、あるいはタイマが満了した場合に送信される。また、上記従来技術においては、測定される無線品質は、無線基地局から移動局へ向かう下り方向の無線品質のみであり、無線品質報告を送信するタイミングは、下り方向の無線品質に基づいて決定される。したがって、送信タイミングによっては、移動局から無線基地局へ向かう上り方向の無線品質が悪く、無線品質報告が無線基地局に届かない場合が生じるという問題がある。例えば、図21に示すように、一定周期Tで、時刻t11、t12、t13、t14に測定報告が送信される場合を考える。この場合、時刻t13においては無線品質が高く、無線品質報告は無線基地局に届くが、時刻t11、t12、t14においては無線品質が低く、無線品質報告は無線基地局に届かない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を効率的に無線基地局に送信することができる携帯端末および無線品質報告方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の携帯端末は、下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定手段と、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定手段と、上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信手段と、を備える。
【0009】
また、本発明の無線品質報告方法は、下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定ステップと、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定ステップと、上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信ステップと、を備える。
【0010】
この発明によれば、下り無線品質を測定し、測定した結果に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果が所定値以上である場合に基地局に対して無線品質報告を送信する。したがって、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告が送信され、測定報告の成功率を向上させることができ、無線品質報告を効率的に無線基地局に送信することができる。
【0011】
また、本発明の携帯端末は、下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定する報告条件判定手段をさらに備え、送信手段は、下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいと報告条件判定手段が判定した場合にのみ、基地局に対して無線品質報告を送信してもよい。
【0012】
この発明によれば、下り無線品質測定値が所定の閾値より小さい場合に限って無線品質報告を送信する。そのため、下り無線品質測定値が十分に良好で、無線品質報告の必要がない場合の無線品質報告を省略することができる。
【0013】
また、本発明の携帯端末において、送信手段は、予め区切られた時間間隔において、無線品質報告を送信する回数を1回以下としてもよい。
【0014】
この発明によれば、予め区切られた時間間隔において、無線品質報告を送信する回数を1回以下とするため、不要な無線品質報告が短時間に何度も送信されることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の携帯端末は、複数のアンテナをさらに備え、下り無線品質測定手段は、複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、上り無線品質推定手段は、アンテナ無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質の平均値を計算して上り無線品質推定値として出力する平均値計算手段を有してもよい。
【0016】
この発明によれば、下り無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質の平均値を計算して上り無線品質推定値とする。そのため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時変動の影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0017】
また、本発明の携帯端末は、複数のアンテナをさらに備え、下り無線品質測定手段は、複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、上り無線品質推定手段は、アンテナ無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質のうち最も無線品質の良い値を選択して上り無線品質推定値として出力する最良値選択手段を有してもよい。
【0018】
この発明によれば、下り無線品質測定手段によって測定された複数のアンテナ各々の下り無線品質のうち最も無線品質の良い値を選択して上り無線品質推定値とする。そのため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0019】
また、本発明の携帯端末において、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値の時間変動を平滑化するフィルタと、フィルタにより平滑化された下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定して上り無線品質推定値として出力する演算手段と、を有してもよい。
【0020】
この発明によれば、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値の時間変動をフィルタにより平滑化し、平滑化された下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する。したがって、下り無線品質測定値の急激な変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0021】
また、本発明の携帯端末において、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する演算を行う演算手段と、演算手段により演算された演算結果の時間変動を平滑化して上り無線品質推定値として出力するフィルタと、を有してもよい。
【0022】
この発明によれば、上り無線品質推定手段は、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する演算を演算手段において行った後、演算結果の時間変動をフィルタにより平滑化して上り無線品質推定値として出力する。したがって、演算手段の演算結果に含まれる短区間フェージングによる瞬時変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告を携帯端末から無線基地局に送信することができる。したがって、無線品質報告の成功率を向上させることができ、無線品質報告を効率的に無線基地局に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る携帯端末の機能構成の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る携帯端末における報告送信の全体のフローを示す図である。
【図5】第1実施形態に係る携帯端末における報告送信基本フローを示す図である。
【図6】第1実施形態に係る携帯端末における報告送信タイミングを示す図である。
【図7】第1実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図8】第1実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図11】第3実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図12】第3実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図13】第3実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【図14】第4実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図15】第4実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図16】第5実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図17】第5実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図18】第5実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【図19】第6実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【図20】第6実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【図21】従来の携帯端末における報告送信タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る携帯端末の機能構成の概略を示す図である。第1実施形態において、携帯端末1は、基地局2から下り無線信号を受信するとともに、基地局2へ上り無線信号を送信する。また、携帯端末1は、複数のアンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13(報告条件判定手段)、送信タイミング決定部14、端末送信部15(送信手段)、下り無線品質測定部20(下り無線品質測定手段)および上り無線品質推定部30(上り無線品質推定手段)を含んで構成されている。
【0027】
また、図2は、携帯端末1のハードブロック図である。携帯端末1は、物理的には、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、無線通信網を介してデータの送受信を行なうためのデバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107等を含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。以下、図1を用いて、携帯端末1の各機能要素について説明する。
【0028】
アンテナ111〜11Nは、基地局2からの下り無線信号を受信し、電気信号に変換して端末受信部12に出力するための部分である。また、アンテナ111〜11Nは、端末送信部15から出力される電気信号を電波に変換して、上り無線信号として基地局2に送信するための部分でもある。
【0029】
端末受信部12は、アンテナ111〜11Nを介して基地局2からの下り無線信号を受信し、受信された無線信号を下り無線品質測定部20に出力する部分である。
【0030】
下り無線品質測定部20は、下り無線品質を測定し、測定結果を下り無線品質測定値として出力する部分である。下り無線品質測定部20の詳細な構成については後述する。
【0031】
上り無線品質推定部30は、下り無線品質測定部20の出力する下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する部分である。上り無線品質推定部30の詳細な構成については後述する。
【0032】
報告条件判定部13は、携帯端末1から基地局2に無線品質報告を送信する条件を下り無線品質測定結果が満たしているか否かを判定する部分である。無線品質報告を送信する条件としては、例えば下り無線品質測定部20の出力する下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいことを条件とすることができる。ここで、無線品質報告は、携帯端末1の属するセルにおける無線品質が悪い場合に、携帯端末1が他のセルにハンドオーバを行うために行われるものである。このため、携帯端末1の属するセルにおける無線品質が十分に良好であれば、無線品質報告は不要である。したがって、下り無線品質測定値の所定の閾値は、下り無線品質測定値がその閾値を上回れば無線品質報告が不要となるような値に定められる。
【0033】
送信タイミング決定部14は、無線品質報告を送信する条件が満たされていると報告条件判定部13が判定し、かつ、上り無線品質推定値が一定の値以上であると判定された場合に、無線品質報告を送信することの指示を端末送信部15に対して送出するための部分である。また、送信タイミング決定部14は、タイマを有している。このタイマは、一定時間を計測し、一定時間ごとに時間間隔を区切るためのものである。このタイマにより予め区切られた時間間隔において、携帯端末1は無線品質報告を送信する回数を1回以下とする。
【0034】
端末送信部15は、送信タイミング決定部14からの指示を受けて、アンテナ111〜11Nを介して基地局2に対して無線品質報告を送信するための部分である。
【0035】
次に、下り無線品質測定部20および上り無線品質推定部30について、図3を用いて、より詳細に説明する。図3は、第1実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。
【0036】
下り無線品質測定部20は、N個のアンテナ無線品質測定部211〜21N(アンテナ無線品質測定手段)を含んで構成されている。アンテナ無線品質測定部211は、アンテナ111によって受信された信号の下り無線品質を測定する。同様に、アンテナ無線品質測定部212は、アンテナ112によって受信された信号の下り無線品質を測定し、アンテナ無線品質測定部21Nは、アンテナ11Nによって受信された信号の下り無線品質を測定する。そして、アンテナ無線品質測定部211〜21Nは、それぞれアンテナ111〜11Nによって受信された信号の下り無線品質測定値を出力する。
【0037】
上り無線品質推定部30は、平均値計算部36(平均値計算手段)を含んで構成されている。平均値計算部36は、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されたN個の下り無線品質測定値の平均値を計算し、計算された平均値を上り無線品質推定値として出力する部分である。
【0038】
次に、以上のように構成される携帯端末1における無線品質報告方法について、図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態に係る携帯端末における報告送信の全体のフローを示す図である。
【0039】
まず、送信タイミング決定部14は、タイマをスタートさせる(ステップS11)。ここで、タイマがスタートするためのトリガ条件としては、例えば、ネットワークから指示された無線品質報告の条件が満たされたことをトリガ条件とすることができる。無線品質報告の条件としては、具体的には、下り無線品質が所定の閾値を下回った場合などが考えられる。次に、携帯端末1は、報告送信基本フローを実行して、下り無線品質測定値から上り無線品質を推定する。(ステップS12)。この報告送信基本フローについての詳細は後述する。そして、送信タイミング決定部14は、無線品質報告の送信が終了しているか否かを判定する(ステップS13)。無線品質報告の送信が終了していると判定された場合には、携帯端末1は、一定時間が経過してタイマが満了するまで待機する(ステップS14)。一方、無線品質報告の送信が終了していないと判定された場合には、送信タイミング決定部14は、一定時間が経過してタイマが満了しているか否かを判定する(ステップS15)。タイマが満了していないと判定された場合には、再びステップS12に戻り、携帯端末1は報告送信基本フローを実行する。一方、タイマが満了していると判定された場合には、フローが終了する。以上で説明した報告送信フローは、一定の時間間隔をおいて、繰り返し実行される。
【0040】
次に、報告送信基本フローについて、図5を用いてより詳細に説明する。図5は、第1実施形態に係る携帯端末における報告送信基本フローを示す図である。
【0041】
まず、下り無線品質測定部20がアンテナ111〜11Nにおける下り無線品質を測定し、下り無線品質測定値を出力する(ステップS21:下り無線品質測定ステップ)。次に、報告条件判定部13が、ネットワークから指示された無線品質報告の条件が満たされているか否かを判定する(ステップS22)。ここでは、下り無線品質が閾値1を下回っていることを無線品質報告の条件としている。無線品質報告の条件が満たされていない場合には、携帯端末1は、そのまま処理を終了する。一方、無線品質報告の条件が満たされている場合には、上り無線品質推定部30が、下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、上り無線品質推定値を出力する(ステップS23:上り無線品質推定ステップ)。
【0042】
次に、送信タイミング決定部14が、上り無線品質推定値が一定の値を上回っているか否かを判定する(ステップS24)。ここでは、上記の一定の値を閾値2としている。上り無線品質推定値が閾値2を上回っていない場合には、携帯端末1は、そのまま処理を終了する。一方、上り無線品質推定値が閾値2を上回っている場合には、送信タイミング決定部14が無線品質報告を送信することの指示を端末送信部15に送出し、端末送信部15は無線品質報告を基地局2に対して送信する(ステップS25:送信ステップ)。以上で説明した報告送信基本フローは、一定の時間間隔をおいて、繰り返し実行される。
【0043】
以上説明した報告送信フローによって無線品質報告が送信される場合の送信タイミングを、図6を用いて説明する。図6は、第1実施形態に係る携帯端末における報告送信タイミングを示す図である。曲線Q1は、上り無線品質推定値の時間変動を示す。点線Lは、上り無線品質の閾値を表す。
【0044】
一定の時間間隔Tごとに区分された時間帯T1においては、上り無線品質推定値は、時刻t1で初めて閾値を越える。この時刻t1において、端末送信部15は無線品質報告を送信する。また、時間帯T1においては、端末送信部15は、時刻t1に1回だけ無線品質報告を送信し、2回以上無線品質報告を送信することはない。同様に、時間帯T2においては、上り無線品質推定値が初めて閾値を越える時刻t2において、端末送信部15は1回だけ無線品質報告を送信する。なお、時間帯T3においては、上り無線品質推定値が閾値を越えることがないため、端末送信部15は無線品質報告を送信しない。
【0045】
次に、報告送信基本フローにおける、上り無線品質の推定処理について、図7を用いて説明する。図7は、第1実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【0046】
平均値計算部36が、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の平均値を計算し、計算結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS31)。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態に係る携帯端末によれば、下り無線品質を測定し、測定した結果に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果が所定値以上である場合に基地局2に対して無線品質報告が送信されるため、上り無線品質が良好なタイミングで無線品質報告が送信され、測定報告の成功確率を向上させることができる。
【0048】
また、第1実施形態に係る携帯端末によれば、下り無線品質測定値が所定の閾値より小さい場合に限って無線品質報告が送信されるため、下り無線品質測定値が十分に良好で、無線品質報告の必要がない場合の無線品質報告を省略することができる。
【0049】
また、予め区切られた時間間隔において、無線品質報告を送信する回数を1回以下とするため、不要な無線品質報告が短時間に何度も送信されることを防止することができる。
【0050】
さらに、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の平均値を計算することにより、上り無線品質をより精度よく推定することができる。この効果について、図8を用いて説明する。図8は、第1実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。ここでは、携帯端末1がアンテナ111およびアンテナ112の2本のアンテナを備える場合を例にとって説明を行う。
【0051】
図8(a)の曲線Q11およびQ12は、それぞれアンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値を示す。図8(b)の曲線Q13は、アンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値の平均値を示す。このように、2本のアンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値の平均値を計算することにより、短区間フェージングによる無線品質の瞬時変動の影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る携帯端末は、図1に示される第1実施形態に係る携帯端末1と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第2実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部30に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部31を備える点で、第1実施形態に係る携帯端末1と異なっている。
【0053】
上り無線品質推定部31について、図9を用いて説明する。図9は、第2実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部31は、最良値選択部37(最良値選択手段)を含んで構成されている。最良値選択部37は、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されたN個の下り無線品質測定値の最良値を選択し、選択された最良値を上り無線品質推定値として出力する部分である。
【0054】
次に、第2実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第2実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第2実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0055】
第2実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図10を用いて説明する。図10は、第2実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。
【0056】
最良値選択部37が、アンテナ111〜11Nの下り無線品質測定値の最良値を選択し、選択結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS41)。
【0057】
以上で説明したように、第2実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0058】
さらに、第2実施形態に係る携帯端末によれば、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の最良値を選択して上り無線品質推定値とすることにより、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減されるので、下り方向と上り方向の間で比較的に相関の高い中区間フェージング特性を得ることができ、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る携帯端末は、図1に示される第1実施形態に係る携帯端末1と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第3実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部30に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部32を備える点で、第1実施形態に係る携帯端末1と異なっている。
【0060】
上り無線品質推定部32について、図11を用いて説明する。図11は、第3実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部32は、フィルタ38と平均値計算部36(演算手段)とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部32においては、フィルタ38は、N個のアンテナ無線品質測定部211〜21Nのそれぞれに対応して1個ずつ、合計N個設けられている。また、N個のフィルタ38の出力値は平均値計算部36に入力される。
【0061】
フィルタ38は、入力値の時間変動を平滑化するための部分である。ここで、平滑化を行うための計算方法としては、例えば次の式(1)を用いて計算する方法がある。
y(t)=(1−α)y(t−1)+αx(t) ・・・(1)
上記の式(1)において、x(t)は時刻tにおけるフィルタ38の入力値であり、y(t)は時刻tにおけるフィルタ38の出力値である。また、αは、0<α<0.5を満たす係数である。
【0062】
次に、第3実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第3実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第3実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0063】
第3実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図12を用いて説明する。図12は、第3実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、フィルタ38が、アンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値を平滑化する(ステップS51)。次に、平均値計算部36が、平滑化されたアンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値の平均値を計算し、計算結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS52)。
【0064】
以上で説明したように、第3実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0065】
さらに、第3実施形態に係る携帯端末によれば、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。この効果について図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。ここでは、携帯端末がアンテナ111およびアンテナ112の2本のアンテナを備える場合を例にとって説明を行う。
【0066】
図13(a)の曲線Q21およびQ22は、それぞれアンテナ111およびアンテナ112における下り無線品質測定値の時間変動をフィルタ38で平滑化した後の値を示す。図13(b)の曲線Q23は、上記の平滑化された後の2つの値の平均値を示す。このように、上り無線品質推定部32は下り無線品質測定値の時間変動をフィルタ38により平滑化し、平滑化された下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する。したがって、下り無線品質測定値の急激な変動の影響がフィルタ38により緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0067】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る携帯端末は、第3実施形態に係る携帯端末と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第4実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部32に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部33を備える点で、第3実施形態に係る携帯端末と異なっている。
【0068】
上り無線品質推定部33について、図14を用いて説明する。図14は、第4実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部31は、フィルタ38と最良値選択部37(演算手段)とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部33においては、フィルタ38は、N個のアンテナ無線品質測定部211〜21Nのそれぞれに対応して1個ずつ、合計N個設けられている。また、N個のフィルタ38の出力値は最良値選択部37に入力される。
【0069】
次に、第4実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第4実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第4実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0070】
第4実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図15を用いて説明する。図15は、第4実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、フィルタ38が、アンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値を平滑化する(ステップS61)。次に、最良値選択部37が、平滑化されたアンテナ111〜11N各々の下り無線品質測定値の最良値を選択し、選択結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS62)。
【0071】
以上で説明したように、第4実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0072】
また、第4実施形態に係る携帯端末によれば、第2実施形態に係る携帯端末と同様に、全アンテナの下り無線品質の最良値が選択されるため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減され、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0073】
さらに、第4実施形態に係る携帯端末によれば、第3実施形態に係る携帯端末と同様に、下り無線品質測定値の急激な変動の影響がフィルタ38により緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0074】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る携帯端末は、図1に示される第1実施形態に係る携帯端末1と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第5実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部30に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部34を備える点で、第1実施形態に係る携帯端末1と異なっている。
【0075】
上り無線品質推定部34について、図16を用いて説明する。図16は、第5実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部34は、平均値計算部36(演算手段)と1個のフィルタ38とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部34においては、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されるN個の下り無線品質測定値が平均値計算部36に入力され、平均値計算部36の出力する平均値がフィルタ38に入力される。
【0076】
次に、第5実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第5実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第5実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0077】
第5実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図17を用いて説明する。図17は、第5実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、平均値計算部36が、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の平均値を計算し、演算結果を出力する(ステップS71)。次に、フィルタ38が、平均値計算部36の出力する演算結果の時間変動を平滑化し、平滑化された結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS72)。
【0078】
以上で説明したように、第5実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0079】
さらに、第5実施形態に係る携帯端末によれば、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。この効果について図18を用いて説明する。図18は、第3実施形態に係る携帯端末において推定される無線品質を示す図である。
【0080】
図18(a)の曲線Q31は、携帯端末の有する全てのアンテナ111〜11Nにおける下り無線品質測定値の平均値を示す。図18(b)の曲線Q32は、上記の平均値をフィルタ38により平滑化した後の値を示す。このように、上り無線品質推定部32は、下り無線品質測定値の平均値を計算した後、平均値の時間変動をフィルタにより平滑化して上り無線品質推定値として出力するため、演算手段の演算結果に含まれる短区間フェージングによる瞬時変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【0081】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る携帯端末は、第5実施形態に係る携帯端末と同様に、アンテナ111〜11N、端末受信部12、報告条件判定部13、送信タイミング決定部14、端末送信部15、および下り無線品質測定部20を含んで構成される。また、第6実施形態に係る携帯端末は、上り無線品質推定部34に代えて、以下で説明する上り無線品質推定部35を備える点で、第5実施形態に係る携帯端末と異なっている。
【0082】
上り無線品質推定部35について、図19を用いて説明する。図19は、第6実施形態に係る携帯端末の詳細な機能構成を示す図である。上り無線品質推定部35は、最良値選択部37(演算手段)と1個のフィルタ38とを含んで構成されている。ここで、上り無線品質推定部35においては、アンテナ無線品質測定部211〜21Nによって出力されるN個の下り無線品質測定値が最良値選択部37に入力され、最良値選択部37の出力する最良値がフィルタ38に入力される。
【0083】
次に、第6実施形態に係る携帯端末における無線品質報告方法について説明する。図5に示されるように、第6実施形態に係る携帯端末においても、下り無線品質を測定し、報告条件が満たされているか否かを判定し、上り無線品質を推定し、上り無線品質が閾値2を上回っているか否かを判定して報告を送信するという点は、第1実施形態に係る携帯端末1の場合と同様である。このうち、第6実施形態では、上り無線品質を推定する処理が、第1実施形態と異なっている。
【0084】
第6実施形態に係る上り無線品質の推定処理について、図20を用いて説明する。図20は、第6実施形態に係る携帯端末における上り無線品質推定フローを示す図である。まず、最良値選択部37が、アンテナ111〜11N各々における下り無線品質測定値の最良値を選択し、演算結果を出力する(ステップS81)。次に、フィルタ38が、最良値選択部37の出力する演算結果の時間変動を平滑化し、平滑化された結果を上り無線品質推定値として出力する(ステップS82)。
【0085】
以上で説明したように、第6実施形態に係る携帯端末によれば、第1実施形態に係る携帯端末と同様に測定報告の成功確率を向上させることができ、不要な無線品質報告を省略することができる。
【0086】
また、第6実施形態に係る携帯端末によれば、第2実施形態に係る携帯端末と同様に、全アンテナの下り無線品質の最良値が選択されるため、短区間フェージングによる無線品質の瞬時の落ち込みによる影響が低減され、上り無線品質をより精度よく推定することができる。
【0087】
さらに、第6実施形態に係る携帯端末によれば、第5実施形態に係る携帯端末と同様に、演算手段の演算結果に含まれる短区間フェージングによる瞬時変動の影響がフィルタにより緩和され、無線品質報告を送信するタイミングの決定をより安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1…携帯端末、2…基地局、111〜11N…アンテナ、12…端末受信部、13…報告条件判定部、14…送信タイミング決定部、15…端末送信部15、20…下り無線品質測定部、211〜21N…アンテナ無線品質測定部、30,31,32,33,34,35…上り無線品質推定部、36…平均値計算部、37…最良値選択部、38…フィルタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定手段と、
前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定手段と、
前記上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信手段と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定する報告条件判定手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記下り無線品質測定値が前記所定の閾値よりも小さいと前記報告条件判定手段が判定した場合にのみ、基地局に対して前記無線品質報告を送信することを決定する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記送信手段は、予め区切られた時間間隔において、前記無線品質報告を送信する回数を1回以下とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
複数のアンテナをさらに備え、
前記下り無線品質測定手段は、前記複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて前記複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、
前記上り無線品質推定手段は、前記アンテナ無線品質測定手段によって測定された前記複数のアンテナ各々の下り無線品質の平均値を計算して上り無線品質推定値として出力する平均値計算手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
複数のアンテナをさらに備え、
前記下り無線品質測定手段は、前記複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて前記複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、
前記上り無線品質推定手段は、前記アンテナ無線品質測定手段によって測定された前記複数のアンテナ各々の下り無線品質のうち最も無線品質の良い値を選択して上り無線品質推定値として出力する最良値選択手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記上り無線品質推定手段は、
前記下り無線品質測定値の時間変動を平滑化するフィルタと、
前記フィルタにより平滑化された前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定して前記上り無線品質推定値として出力する演算手段と、
を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記上り無線品質推定手段は、
前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する演算を行う演算手段と、
前記演算手段により演算された演算結果の時間変動を平滑化して前記上り無線品質推定値として出力するフィルタと、
を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項8】
下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定ステップと、
前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定ステップと、
前記上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信ステップと、
を備える無線品質報告方法。
【請求項1】
下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定手段と、
前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定手段と、
前記上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信手段と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記下り無線品質測定値が所定の閾値よりも小さいか否かを判定する報告条件判定手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記下り無線品質測定値が前記所定の閾値よりも小さいと前記報告条件判定手段が判定した場合にのみ、基地局に対して前記無線品質報告を送信することを決定する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記送信手段は、予め区切られた時間間隔において、前記無線品質報告を送信する回数を1回以下とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
複数のアンテナをさらに備え、
前記下り無線品質測定手段は、前記複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて前記複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、
前記上り無線品質推定手段は、前記アンテナ無線品質測定手段によって測定された前記複数のアンテナ各々の下り無線品質の平均値を計算して上り無線品質推定値として出力する平均値計算手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
複数のアンテナをさらに備え、
前記下り無線品質測定手段は、前記複数のアンテナによって受信された無線信号に基づいて前記複数のアンテナ各々の下り無線品質を測定するアンテナ無線品質測定手段を有し、
前記上り無線品質推定手段は、前記アンテナ無線品質測定手段によって測定された前記複数のアンテナ各々の下り無線品質のうち最も無線品質の良い値を選択して上り無線品質推定値として出力する最良値選択手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記上り無線品質推定手段は、
前記下り無線品質測定値の時間変動を平滑化するフィルタと、
前記フィルタにより平滑化された前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定して前記上り無線品質推定値として出力する演算手段と、
を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記上り無線品質推定手段は、
前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定する演算を行う演算手段と、
前記演算手段により演算された演算結果の時間変動を平滑化して前記上り無線品質推定値として出力するフィルタと、
を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項8】
下り無線品質を測定し、測定した結果を下り無線品質測定値として出力する下り無線品質測定ステップと、
前記下り無線品質測定値に基づいて上り無線品質を推定し、推定した結果を上り無線品質推定値として出力する上り無線品質推定ステップと、
前記上り無線品質推定値が所定の値以上である場合に、基地局に対して無線品質報告を送信する送信ステップと、
を備える無線品質報告方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−98776(P2013−98776A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240324(P2011−240324)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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