説明

携帯端末を用いた表示機器操作システム

【課題】可視光による画像表示を妨げずに、当該可視光による画像表示を操作するためのボタンを携帯端末を介してユーザに提示することができるだけでなく、その携帯端末を用いて可視光による画像表示を操作可能にする。
【解決手段】可視光による第1画像M1及び不可視光による第2画像M2を表示する表示機器2と、第2画像M2を撮像するカメラ31及び画面32を有する携帯端末3とを備え、第2画像M2が、表示機器2により表示されている第1画像M1を操作するための操作内容を特定する識別子を示すものであり、携帯端末3が、第2画像M2を撮像し、その第2画像M2により示される識別子に基づいて所定のアプリケーションを起動して操作内容を画面32に表示するとともに、ユーザがその操作内容に基づいて操作すると表示機器2に操作指令信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ等の表示機器を携帯端末により操作するための表示機器操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビに表示される映像の表示をユーザが操作するためには、専用のリモコンを用いて操作している。そして、近年、1つのリモコンに種々の機能を持たせることによりユーザの使い勝手を良くすることが考えられている。
【0003】
しかしながら、ボタン数が増加すると、現在の表示を操作するためのボタン(電源ボタン、チャンネルボタン、音量ボタンの他、録画ボタン、巻戻しボタン、早送りボタン、一時停止ボタン、再生ボタン等)を瞬時に見つけ出すことが難しくなり、またその見つけ出す作業が煩雑になり、逆にユーザの使い勝手を阻害する結果となっている。この問題は、特許文献1に示すような、液晶テレビに接続されたDVDレコーダ等の周辺機器も共通のリモコンで操作可能に構成されたものにおいて一層顕著になる。
【0004】
また、1つのリモコンにおいてボタン数が増加すると、それにともない、ボタンのサイズも小さくなる傾向がある。そうするとユーザにとって操作しにくくなるという問題もある。
【0005】
なお、近年では、例えば特許文献2や特許文献3に示すように、現実環境にコンピュータを用いて情報を付加提示する技術(拡張現実(AR)技術)を用いて、通常の可視光による画像表示を妨げることなく、不可視光による画像表示を行うことによって別の情報表示を可能にするものが考えられている。具体的にこれらは、プロジェクタからスクリーン上に投影することによって、可視光による画像表示を行うと共に不可視光により画像表示を行い、目視により可視光による画像を認識するとともに、携帯端末により不可視光による画像を認識するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−225396号公報
【特許文献2】特開2005−62748号公報
【特許文献3】特開2005−17985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、AR技術を用いた従来にはない全く新しい表示機器の操作システムを提供するものであり、可視光による画像表示を妨げずに、当該可視光による画像表示を操作するためのボタンを携帯端末を介してユーザに提示することができるだけでなく、その携帯端末を用いて可視光による画像表示を操作可能にすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る携帯端末を用いた表示機器操作システムは、可視光による第1画像及び不可視光による第2画像を表示する表示機器と、前記第2の画像を撮像するカメラ及び画面を有する携帯端末とを備え、前記第2画像が、前記表示機器による前記第1画像の表示を操作するための操作内容を特定する識別子を示すものであり、前記携帯端末が、前記第2画像を撮像し、その第2画像により示される識別子に基づいて所定のアプリケーションを起動して前記操作内容を画面に表示するとともに、ユーザがその操作内容に基づいて操作すると前記表示機器に操作指令信号を送信するものであることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、可視光による画像表示を操作するためのボタンを携帯端末を介してユーザに提示することができるだけでなく、その携帯端末を用いて可視光による画像表示を操作可能にすることができる。これにより、操作可能なボタンの識別を極めて簡単に行うことができ、可視光による画像表示の操作性を向上させることができる。また、操作内容を特定する識別子を示す第2画像を不可視光により表示しているので、可視光による画像表示を妨げることもない。
【0010】
種々の第1画像に合わせて自動的に特有の操作内容を表示できるようにするためには、前記表示機器が、前記第1画像の種類に応じて操作内容を判断し、当該操作内容を特定する識別子を示す第2画像を表示するものであることが望ましい。その他、現在表示されている第1画像の種類をユーザが入力することによって、前記表示機器が、当該画像に合わせた操作内容を特定する識別子を示す第2画像を表示するようにしても良い。
【0011】
従来の液晶テレビにおけるリモコン信号受信部を兼用可能とするためには、前記操作指令信号が赤外線信号であることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る表示機器操作方法は、可視光による第1画像及び不可視光による第2画像を表示する表示機器と、前記第2の画像を撮像するカメラ及び画面を有する携帯端末とを用いた表示機器操作方法であって、前記第2画像が、前記表示機器による前記第1画像の表示を操作するための操作内容を特定する識別子を示すものであり、前記携帯端末により前記第2画像を撮像し、その第2画像により示される識別子に基づいて所定のアプリケーションを起動して前記操作内容を画面に表示するとともに、ユーザがその操作内容に基づいて前記携帯端末を操作すると、前記携帯端末が前記表示機器に操作指令信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、可視光による画像表示を妨げずに、当該可視光による画像表示を操作するためのボタンを携帯端末を介してユーザに提示することができるだけでなく、その携帯端末を用いて可視光による画像表示を操作可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の表示機器操作システムの一実施形態を示す模式図である。
【図2】同実施形態の液晶テレビのバックライトの構成を示す図である。
【図3】変形例に係る液晶テレビのバックライトを示す図である。
【図4】変形例に係る液晶テレビの模式的断面図を示す図である。
【図5】同実施形態の携帯端末の機器構成図である。
【図6】同実施形態の携帯端末の機能構成図である。
【図7】同実施形態の携帯端末画面の表示内容を示す一例である。
【図8】同実施形態の携帯端末画面の表示内容を示す一例である。
【図9】変形実施形態に係る携帯端末画面の表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る表示機器操作システム100は、可視光による第1画像M1及び不可視光による第2画像M2を表示可能な表示機器2と、前記第2画像M2を撮像可能なカメラ31及び画面32を有する携帯端末3とを具備している。
【0017】
表示機器2は、テレビ放送信号を選択的に受信するチューナと、当該テレビ放送信号が示す映像出力を行う液晶パネルを有する液晶パネルと、当該液晶パネルに光を照射するバックライトと、これら各部を制御等する制御部とを備える液晶テレビである。なお、表示機器2は液晶テレビに限られず、その他のディスプレイ装置を用いて構成しても良い。
【0018】
そして、液晶テレビ2は、可視光による第1画像M1及び不可視光による第2画像M2を表示可能に構成されている。不可視光とは、不可視である波長帯域の光であり、本実施形態では赤外線である。
【0019】
また、液晶テレビ2の制御部は、現在表示している第1画像M1の種類に応じて表示の操作内容を判断して、当該操作内容を特定する識別子を示す第2画像M2を画面上に表示させる。本実施形態の第2画像M2は、二次元バーコードである。なお、識別子を示す第2画像M2は、後述するアプリケーションデータと対応付けられて予め制御部内に入力されている。
【0020】
なお、バックライトが直下型方式のものであれば、図2に示すように、赤色LED(R)、緑色LED(G)及び青色LED(B)の他、赤外線LED(Ir)を液晶パネルの裏面に均一に配置して構成される。また、バックライトがエッジライト方式のものであれば、図3に示すように、赤色LED(R)、緑色LED(G)及び青色LED(B)の他、赤外線LED(Ir)を線上に均一に配置し、それらLEDからの光を導光板により面状の光に変換して液晶パネルに照射する。また、このとき、図4に示すように、液晶パネルの前面に設けられるカラーフィルタには、赤色フィルタ部、緑色フィルタ部、青色フィルタ部の他、赤外線フィルタ部を均一に配置している。
【0021】
携帯端末3は、図5にその機器構成の一例を示すように、少なくとも、指などの接触による操作が可能なタッチパネル式の画面31と、不可視光(赤外線)による第2画像M2を撮像可能な例えばCCD又はCMOS等の撮像素子を有するカメラ32と、赤外線送信を行う信号送信部33とを備えるものである。なお、このカメラ32は、通常使用時において可視光による画像M1を撮像可能とし、表示機器2の操作開始時において不可視光による画像M2のみを撮像可能とするように切り替え可能に構成している。また、切り替えることなく、両方の画像を取得できるように構成しても良い。
【0022】
そして、携帯端末3は、メモリに格納されたプログラムによりCPU及びその他の周辺機器が協働することによって、アプリケーション格納部3a、アプリケーション取得部3b、アプリケーション起動部3c等の機能を発揮する制御部34を備えている。
【0023】
アプリケーション格納部3aは、液晶テレビ2に表示される第1画像M1の表示を携帯端末3により操作可能にするためのアプリケーションデータを格納するものである。
【0024】
具体的なアプリケーションとしては、液晶テレビ2がテレビ放送信号を受信して、当該テレビ放送を表示している場合には、図6に示すように、当該テレビ放送の表示を操作するためのボタン機能(電源ボタンP11、チャンネル切替ボタンP12、音量調節ボタンP13等)を携帯端末3に付加するものである。
【0025】
また、液晶テレビ2がDVDレコーダ等の映像再生装置(不図示)に接続され、当該映像再生装置から録画した番組等の映像データを取得して再生している場合には、図7に示すように、当該映像の表示を操作するためのボタン機能(電源ボタンP21、巻戻しボタンP22、早送りボタンP23、一時停止ボタンP24、停止ボタンP25、再生ボタンP26等)を携帯端末3に付加するものである。これらのアプリケーションデータは予めアプリケーション格納部3aに格納されていている。なお、後述するアプリケーション取得部3bが解析した識別子に基づいてインターネットを介してアプリケーションデータを取得できるようにしても良い。
【0026】
アプリケーション取得部3bは、前記カメラ31により得られた画像(第2画像M2)を示す画像データを取得して、当該第2画像M2を解析(デコード)して識別子を認識するものである。そして、アプリケーション取得部3bは、解析した結果得られた識別子に結び付けられたアプリケーションデータをアプリケーション格納部3aから取得して、アプリケーション起動部3cに出力する。
【0027】
アプリケーション起動部3cは、アプリケーション取得部3bにより得られたアプリケーションデータを起動して、タッチパネル式の画面32に、第1画像M1の画像表示を操作するための操作ボタンを表示する。前述のとおり、液晶テレビ2がテレビ放送を表示している場合には、図6に示すように、当該テレビ放送の表示を操作するために必要なボタン(電源ボタンP11、チャンネル切替ボタンP12、音量調節ボタンP13等)のみをタッチパネル式画面32に表示する。そして、アプリケーション起動部3cは、ユーザが当該タッチパネル画面32に表示されたボタンを押下することによって生じる操作信号を取得して、信号送信部33に出力する。
【0028】
そして、操作信号を受信した信号送信部33は、当該操作信号に対応する液晶テレビ2の操作指令信号を赤外線送信する。この操作指令信号は、液晶テレビ2の信号受信部により受信される。その後、操作指令信号を受信した液晶テレビ2は、当該操作指令信号に基づいて画面表示等を制御する。
【0029】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る表示機器操作システム100によれば、可視光による画像表示を操作するために必要なボタンのみを携帯端末3を介してユーザに提示することができるだけでなく、その携帯端末3を用いて可視光による画像表示M1を操作可能にすることができる。これにより、操作可能なボタンの識別を極めて簡単に行うことができ、可視光による画像表示の操作性を向上させることができる。また、操作内容を特定する識別子を示す第2画像M2を不可視光により表示しているので、可視光による画像表示を妨げることもない。
【0030】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0031】
例えば、前記実施形態において第2画像に対応付けられた所定のアプリケーションを起動して携帯端末画面に操作ボタンを表示する期間は、携帯端末のカメラが第2画像を撮像している最中のみとしても良い。また、携帯端末のカメラにより第2画像を撮像してから、ユーザが所定のアプリケーションを終了するための終了ボタンを押下するまでの間であっても良い。また、携帯端末の姿勢をセンサにより認識して所定のアプリケーションの終了を判断するようにしても良い。このとき、例えば携帯端末のカメラが液晶テレビの画面を向いていない姿勢(具体的には携帯端末が水平姿勢である等)となった場合に所定のアプリケーションを終了することが考えられる。
【0032】
また、前記実施形態では、表示機器の操作機能を携帯端末に持たせる態様について説明したが、その他、可視光である第1画像と当該第1画像に関連付けられた不可視光により第2画像を表示して、当該第2画像を携帯端末を介して視認可能に構成しても良い。例えば図9(A)に示すように、液晶テレビがデジタル放送を受信している場合には、受信中の番組に関する情報(EPG情報)を携帯端末に表示するように構成しても良い。このとき、裏番組のEGP情報又は現在録画予約中の番組に関する情報を表示しても良い。
【0033】
さらに、第1画像として表示されている番組又はCMに関する付加情報がWebに存在する場合には、当該WebのURLを第2画像として表示するようにしても良い。このとき、第2画像としてURLを撮像した携帯端末は、図9(B)に示すように、当該URLを携帯端末画面上に表示すると共に、当該URLを選択(タッチパネル式の場合には接触)した場合には、そのURLのWebページを表示する。
【0034】
その上、情報番組や通信販売等の番組であれば、図9(C)に示すように、紹介した商品の情報やその注文のための電話番号を携帯端末に表示するように構成しても良い。
【0035】
さらにその上、図9(D)に示すように、スクリプト言語等によって記述された携帯端末のバグ修正パッチやゲーム等のアプリケーションを携帯端末上で実行できるように構成しても良い。
【0036】
加えて前記不可視光としては、赤外線の他、電波、紫外線、エックス線又はガンマ線を用いても良い。
【0037】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
100・・・表示機器操作システム
2 ・・・表示機器(液晶テレビ)
M1 ・・・第1画像
M2 ・・・第2画像
3 ・・・携帯端末
31 ・・・カメラ
32 ・・・画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光による第1画像及び不可視光による第2画像を表示する表示機器と、
前記第2の画像を撮像するカメラ及び画面を有する携帯端末とを備え、
記第2画像が、前記表示機器による前記第1画像の表示を操作するための操作内容を特定する識別子を示すものであり、
前記携帯端末が、前記第2画像を撮像し、その第2画像により示される識別子に基づいて所定のアプリケーションを起動して前記操作内容を画面に表示するとともに、ユーザがその操作内容に基づいて操作すると前記表示機器に操作指令信号を送信するものである、携帯端末を用いた表示機器操作システム。
【請求項2】
前記表示機器が、前記第1画像の種類に応じて操作内容を判断し、当該操作内容を特定する識別子を示す第2画像を表示するものである請求項1記載の携帯端末を用いた表示機器操作システム。
【請求項3】
前記操作指令信号が赤外線信号である請求項1又は2記載の携帯端末を用いた表示機器操作システム。
【請求項4】
前記携帯端末の画面がタッチパネル式のものである請求項1、2又は3記載の携帯端末を用いた表示機器操作システム。
【請求項5】
可視光による第1画像及び不可視光による第2画像を表示する表示機器と、前記第2の画像を撮像するカメラ及び画面を有する携帯端末とを用いた表示機器操作方法であって、
前記第2画像が、前記表示機器による前記第1画像の表示を操作するための操作内容を特定する識別子を示すものであり、
前記携帯端末により前記第2画像を撮像し、その第2画像により示される識別子に基づいて所定のアプリケーションを起動して前記操作内容を画面に表示するとともに、ユーザがその操作内容に基づいて前記携帯端末を操作すると、前記携帯端末が前記表示機器に操作指令信号を送信する表示機器操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−130025(P2011−130025A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284390(P2009−284390)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】