説明

携帯端末システム

【課題】携帯端末の所有者以外の第三者が、携帯端末の状態に応じた携帯端末の所有者の状態を知ることは不可能であった。例えば、携帯端末の所有者が電車などに乗車中であるにもかかわらず、第三者が携帯端末の所有者に通信を試みてしまう場合などがあった。
【解決手段】携帯端末システムは、携帯端末と自動改札機との間で無線通信を行う携帯端末システムであって、携帯端末は、自動改札機と無線通信を行う近接通信部と、近接通信部の通信結果に基づいて、携帯端末の動作モードを設定する制御部とを有し、自動改札機は、携帯端末と無線通信を行うリーダ・ライタを有し、携帯端末システムは、携帯端末の動作モードが変更された場合に、通知対象装置に対してモード変更通知を送信するメール送信部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末システムに関し、特に無線通信を行う通信端末システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末では、外部の通信装置との通信内容に応じて、種々の設定を行うことが可能となっている。また、近年の携帯電話では駅の改札に設けられた自動改札装置などと通信を行い、携帯電話の利用者の乗降記録などを保持する機能を有する携帯電話も実用されている。
【0003】
特許文献1には、自動改札機に内蔵されているリーダ/ライタ装置と携帯電話に内蔵されている非接触IC部とが近距離の通信を行い、携帯電話の状態を設定する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、「改札を通過し、駅構内に入った」という情報が非接触IC部から携帯電話用制御部に通知される。そして、この通知を受けた携帯電話用制御部が、利用者によって予め設定された設定内容に基づき、マナーモードをON状態に自動的に切り替えることが開示されている。
【特許文献1】特開2005−12354
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯端末システムでは、携帯端末側の設定を変更するのみであるため、携帯端末の所有者以外の第三者が、携帯端末の状態に応じた携帯端末の所有者の状態を知ることは不可能であった。例えば、携帯端末の所有者が電車などに乗車中であるにもかかわらず、第三者が携帯端末の所有者に通信を試みてしまう場合などがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施の態様に基づいた携帯端末システムは、携帯端末と自動改札機との間で無線通信を行う携帯端末システムであって、携帯端末は、自動改札機と無線通信を行う近接通信部と、近接通信部の通信結果に基づいて、携帯端末の動作モードを設定する制御部とを有し、自動改札機は、携帯端末と無線通信を行うリーダ・ライタを有し、携帯端末システムは、携帯端末の動作モードが変更された場合に、通知対象装置に対してモード変更通知を送信するメール送信部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、携帯端末の状態を第三者に通知することが可能となり、それに付随する携帯端末の所有者の状態を第三者が把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の携帯端末システム100の概要を示すブロック図である。実施の形態の携帯端末システム100は、自動改札機1、サーバ2、携帯端末3、通知対象装置4、GPSシステム5、通信網6を有している。
【0008】
自動改札機1は、携帯端末3の固有情報を識別する。携帯端末システム100において、自動改札機1と携帯端末3は、近距離無線を介して相互に通信可能である。近距離無線方式としては、RFID(Radio Frequency IDentification)などが利用可能である。自動改札機1は、自動改札機1の設置された場所を通過した(自動改札機1自体に接近した)携帯端末3と無線通信を行う。また、自動改札機1は、通信網6を介して、他の自動改札機、サーバ2、通知対象装置4などと有線、無線、又はその組み合わせのいずれかの回線を用いて通信を行う。
携帯端末3は、自動改札機1を通過する移動端末装置の一例である。携帯端末3は、通信網6を介して、他の携帯端末、サーバ2、通知対象装置4、GPSシステム5などと通信を行う。携帯端末3は、例えば、子供などの被保護者が所持する携帯電話などである。そのため、携帯端末3が利用する通信網6は、主に無線を利用した通信網である。
【0009】
携帯端末システム100においては、被保護者が保持する携帯端末3がそれぞれ、個々の所有者(被保護者)が日常的に通過する(利用する)な場所や電車などを記憶することが可能である。例えば、携帯端末3が定期券などを兼ねる場合には、定期に設定された駅などが日常的に通過する場所に相当する。あるいは、携帯端末3内に特定の記憶領域を用意しておき、自動改札機に対する入退場の履歴などを保持することによって、日常的に通過する場所を特定しても良い。また、携帯端末3は、GPSシステム6と無線通信を行うことにより、携帯端末3が存在する位置の確認をすることが可能である。また、携帯端末3は、通知対象装置4を一つ以上記憶することが可能である。
なお、各実施の形態の説明においては、被保護者と携帯端末3を同一視するため、被保護者と携帯端末3は密着しているか、あるいは、必ず近傍にあることを前提としている。したがって、実施の形態では携帯端末3の状態を知ることにより、所有者である被保護者の状態を保護者などが知ることが可能となる。
【0010】
サーバ2は、通信網6を介して自動改札1および携帯端末3と通信を行うサーバ装置の一例である。サーバ2は、通信網6を介して、自動改札機1、携帯端末3、通知対象装置4などと通信を行う。サーバ2は、自動改札機1と通信を行うことにより、個々の携帯端末3の、入場記録(入場駅、入場時刻など)および退場記録などの情報を記憶することが可能である。また、路線地図情報を保持し、路線近郊の地図に対応する情報を保持することも可能である。さらに、必要に応じて、電車運行状況などを記憶し、電車遅延情報などを更新していくことも可能である。
通知対象装置4は、携帯端末3に係る情報の連絡先の一例である。通知対象装置4は、例えば、親などの保護者が使用する電話機、FAX機、携帯電話、PC(パーソナルコンピュータ)などである。実施の形態では、通知対象装置4は携帯電話などの携帯端末であるものとし、通知対象者と通知対象装置4を同一視して説明する。
通信網6は、ネットワークの一例である。通信網6は、例えば、IP(インターネットプロトコル)ネットワーク、電話網、移動通信ネットワーク、MAN(メトロポリタンエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、インターネットなどである。
【0011】
GPSシステム6は、無線によって携帯端末3と通信を行い、携帯端末4(被保護者)の位置を特定するシステムである。
このように構成された携帯端末システム100の、携帯端末3および自動改札機1について、より詳細に説明する。図2は、実施の形態に関わる携帯端末3および自動改札機1の構成概略を示すブロック図である。携帯端末3は、端末側近接通信部31、制御部32、モード設定部33及び記憶部34、メール送信部35、GPS通信部(位置認識部)36を備えている。
端末側近接通信部31は、近接通信により自動改札機1と情報の送受信を行うICチップである。この端末側近接通信部31は、不図示の近接通信用アンテナ、送受信部などを備えている。
【0012】
制御部32は、端末側近接通信部が行った通信に基づいて携帯端末3の種々の動作を制御する。各実施の形態では、
・改札入場時に、端末側近接通信部の通信内容に基づいて、携帯端末3のモードをマナーモード、電源オフモードなどに変更する機能、
・改札入場後に、予め設定された第三者(例えば保護者など)に、自動的にメール送信などの通知を行う機能、
・改札入場後、所定の時間を越えても改札退場に対応する通信が行われない場合に、予め設定された保護者などに自動的に警告メッセージを送信する機能
・改札入場後、一定時間ごとにGPSシステム6と通信を行い、携帯端末3の位置情報をサーバ2へ送信する機能、
・改札退場時に、携帯端末3の動作モードを通常動作モードとする機能、
・改札退場後に、予め設定された第三者(例えば保護者など)に、自動的にメール送信などの通知を行う機能、
などを備えている。これらの機能に関しては、各実施の形態において詳細に説明する。なお、実際には通常の携帯端末3として行う様々な制御もこの制御部によって行われるが、本発明とは直接関係がないため、説明を省略する。
【0013】
モード設定部33は、制御部32からの制御信号に基づいて携帯端末の動作モードを切り替える部分である。実施の形態では、動作モードとして、通常の呼び出し音を鳴らす通常モード、呼び出し音を無音状態としてバイブレーションなどによって呼び出しを知らせるマナーモード、電源をオフ状態とする電源オフモードを少なくとも持っているとする。
【0014】
記憶部34は、自動改札機1と送受信する情報を記憶するメモリであり、記憶部34には定期券情報やプリペイド料金情報、携帯端末ID情報、改札通過時刻情報、乗降駅情報などが保持されている。この記憶部34が保持する情報などについても携帯端末システム100の動作説明において詳述する。
【0015】
メール送信部35は、制御部32からの制御に基づいて予め設定された第三者に対してのメールを送信する部分である。メール送信する通知対象者(通知対象装置4)は、記憶部34に記憶されている電話帳情報などから予め所有者が設定することが可能である。
【0016】
GPS通信部36は、GPSシステムと無線通信を行い、携帯端末3の所在位置を認識する位置認識部である。この位置認識部としては、GPS通信部6に限らず、携帯端末3の基地局から位置を認識する位置認識部などであっても良い。
【0017】
自動改札機1は、リーダ・ライタ11、制御部12、表示部13、ゲート開閉制御部14、サーバ通信部15および磁気切符読取部16とを備えている。
リーダ・ライタ11は、携帯端末3の端末側近接通信部31を介して、携帯端末3に対して情報の書き込み、携帯端末3からの情報の読み出しを行う。つまり、無線を利用して、自動改札機1の上方にかざされた携帯端末3との間で近接通信を行う。磁気切符読取部16は、切符自動販売機等から購入された磁気切符(磁気記録媒体付き切符)や磁気定期券(磁気記録媒体付き定期券カード)等が挿入されたときに、磁気記録を読み取る機能を備えている。
【0018】
制御部12はCPU等の制御装置であり、プログラムにより自動改札機1の動作を制御する。この制御部12は、
・改札入場時に、携帯端末3の動作モードをマナーモード、あるいは電源オフモードに変更するように要求する機能、
・改札入場時に改札入場時間を携帯端末3に対して書き込む機能、あるいは改札入場した携帯端末の固有識別情報(端末ID)と入場時刻に関する情報をリンクさせて、サーバ通信部を介してサーバ2に送信する機能、
・改札退場時に、携帯端末3の動作モードを通常モードに変更するように要求する機能、
・改札退場時に改札退場時間を携帯端末3に対して書き込む機能、あるいは改札退場した携帯端末の固有識別情報(端末ID)と退場時刻に関する情報をリンクさせて、サーバ通信部15を介してサーバ2に送信する機能、
などを備えている。なお、制御部24は、携帯端末3の記憶部34にされた定期券情報の正当性チェックに基づいてゲート開閉制御部14への信号の出力、プリペイド料金の精算処理を行って、表示部13への残高表示指示等も行うが、これらの処理は本発明とは直接関係がないので詳細な説明は省略する。
【0019】
実施の形態1
以上のように構成された携帯端末システム100の実施の形態1に基づいた動作について以下に説明する。図3は、携帯端末システム100の動作を示す図である。図3に示す動作では、携帯端末3が定期券情報を記憶しており、定期券情報に基づいた移動時間情報も記憶部14に保持されている場合を例に説明する。つまり、携帯端末3は、A駅−B駅間の定期券情報と、A駅からB駅(あるいはB駅からA駅)に電車で移動した場合に通常、何分かかるのかという移動時間情報を携帯端末3の記憶部34に保持している。また、図3に示す動作では、サーバ2を介さずに、自動改札機1と携帯端末3のみで通知対象装置4に対して、アラームなどの警告を送信する場合について説明する。サーバ2を介して警告メッセージを通知する動作に関しては後述する。
【0020】
例えば、図1で示すA駅改札の入場時に、携帯端末3は、自身の保持する定期券情報を自動改札機1に送信する(図3、S1参照)。
【0021】
定期券情報を受信したA駅自動改札機1では、制御部12において正当性のチェックが行われ、正当な定期券情報であればゲート開閉制御部14によってゲートを開く動作が行われる。この時、自動改札機1は、携帯端末に対してモードを変更する要求信号及び入場時刻情報を出力する(図3、S2参照)。
【0022】
モード変更要求に基づいて、制御部32がモード設定部33を動作させ、携帯端末3は、マナーモードあるいは電源オフモードに設定される。ここで、マナーモードに移行するか電源オフモードに移行するかは、所有者によって予め設定することが可能である。また、本実施の形態の携帯端末3では、このモード変更に基づいて、予め設定された対象者(例えば保護者)に対して自動的にメールを送信する。このメールは、例えばモード変更信号によって、携帯端末3がマナーモードと設定された場合に、予め設定された対象者に、電車乗車中であることを通知する為に、制御部32によって自動的に送信される。
【0023】
さらに、モード変更時に携帯端末3は、受信した入場時刻情報に基づいて、入場時刻を記憶部34に記憶させる(図3、S3参照)。
【0024】
改札入場後、携帯端末3では、制御部32が入場時刻からの経過時間(入場後時間)Tと、記憶部34に保持された移動時間情報の比較が開始される(図3、S4参照)。ここで、記憶部34が保持する移動時間情報は、平均的な乗車時間に多少余裕を持たせた情報である。例えばA駅―B駅間が通常30分程度の移動時間であれば、移動時間情報としては40分という値を保持している。ここで、制御部32は、入場後時間Tが移動時間情報の示す時間より大きくなった場合にメール送信部35に対してメール送信の指示を出力する。つまり、通常30分で移動されるA駅―B駅間の移動において、40分を超えても退場時刻が記録されない場合は、予め記憶部に保持された通知対象装置4に対して警告メッセージの送信が行われる。この警告メッセージは通信網6を介して通知対象装置4によって受信される(図3、S5参照)。
【0025】
ここで、入場後の時間が、移動時間情報の示す時間よりも短い場合は、退場が記録されているかどうかを確認し退場が記録されていない場合は、S4の時間比較動作を継続する。
【0026】
その後、所有者がB駅に到着し、B駅の自動改札機1を通過する時には、まず、携帯端末3が、B駅自動改札機1に対して、定期券情報、入場駅、入場時刻などの入場情報を送信する。定期券情報を受信した自動改札機1では、制御部12において正当性のチェックが行われ、正当な定期券情報であればゲート開閉制御部14によってゲートを開く動作が行われる。この時、自動改札機1は、携帯端末3に対してモードを変更する要求信号及び退場時刻情報を出力する(図3、S7参照)。
【0027】
モード変更要求に基づいて、制御部32がモード設定部33を動作させ、携帯端末3は、通常モードに設定される。また、入場時と同様に携帯端末3は、通知対象者(例えば保護者)に対して自動的にメールを送信する。このメールは、通知対象者に、電車から降車したことを通知する為に、制御部32によって自動的に送信される。
【0028】
さらに、携帯端末3は、受信した退場時刻情報に基づいて、退場時刻を記憶部34に記憶させる(図3、S8参照)。
【0029】
このように、実施の形態1では、予め記憶部34に保持された移動時間情報に基づいて、自動改札を入場した後の経過時間が標準的な時間を超えた場合に、何らかの異常が発生したと判断する。そして、その旨を携帯端末3の記憶部34に予め設定された通知対象装置4、例えば保護者の携帯電話などに通知する。また、乗車、降車に伴い乗車中、降車後である旨のモード変更通知も送信される。この動作により、携帯端末3の所有者の状態を、第三者、例えば保護者などが常に把握することが可能となる。
【0030】
また、上記の説明では、携帯端末3が定期券情報を保持しており、その平均的な移動時間情報も、記憶部34に予め保持されている例に基づいて説明している。しかしながら、移動時間情報や、乗降する駅情報などは必ずしも定期券情報などに限ったものではない。
【0031】
図3に示したフローでは、入場時に入場時刻が、退場時に退場時刻が記録される構成となっている。この乗降の履歴を記憶部34に蓄積していくことで、移動時間情報を構成しても良い。例えば、所定頻度以上(週3回以上など)乗降する区間(例えばA駅―B駅間)を入退場の記録から抽出し、その入場時刻、退場時刻から移動時間情報を算出しても良い。この場合、例えば被保護者である子供などが、学習塾等で週3回以上電車を利用する場合などに、この通塾にかかる区間を乗降履歴から作成することが可能となる。
【0032】
また、移動時間情報を記憶部34に記憶することで、降車前に降車駅を所有者に知らせることも可能となる。例えば、上記したように通常30分の移動時間の場合の移動時間情報で40分を保持していた場合、入場時刻から25分経過した時点で、携帯端末を振動させる、あるいは携帯端末3に発光ダイオードなどを設けて、25分経過時に発光ダイオードを発光させることなどが可能である。この場合、携帯端末3の所有者が車内放送などを聴くことが出来ない状況であっても、降車駅が近づいたことを、所有者に知らせることも可能である。
【0033】
以上の説明では、携帯端末3の記憶部34が移動時間情報を保持し、入場時刻から所定時間以上経過した場合に、保護者などの通知対象者に警告を促すメッセージを送信する例について説明している。本実施の形態は、携帯端末3に移動時間情報を保持するのではなく、サーバ2を利用して通知対象者に警告メッセージなどを送信することも可能である。
【0034】
この場合、まず、図3に示したステップS1において、携帯端末3は、定期券情報などと共に、携帯端末3固有の識別情報、つまり端末IDなどを自動改札機1に対して送信する。自動改札機1では、通常の入場処理を行うと共に、端末IDとその端末IDに対応する携帯端末3が入場した時刻、及び自動改札機1自身の位置を特定する為の自動改札機IDなどをセットにして入場者情報とし、サーバ通信部15から、サーバ2に対して入場者情報を送信する。サーバ2では、例えば端末IDごとに、移動時間情報、乗車駅、降車駅などに関する情報(端末移動関連情報)が保持されている。サーバ2では、自動改札機1から送られてきた入場者情報を元に、どの携帯端末3が現在乗車中の状態であるのかを把握する。その後、サーバ2内に保持した移動時間情報と、携帯端末3が入場した後の時間を比較し、移動時間情報に設定された時間を経過しても、どの自動改札機1からも入場した携帯端末3が退場したという情報が送られてこない場合、サーバ内に予め設定された通知対象者に対して、警告のメッセージなどを送信する。このように、サーバ2でなんらかの異常が発生したと判断する場合は、サーバ2に移動時間情報を記憶する記憶部、メール送信部、入場後時間と移動時間情報を比較する制御部が設けられる。なお、このようにサーバ2から警告メッセージを送信する場合でも、乗降履歴をサーバ2に保持し、乗降履歴から移動時間情報を作成することは可能である。
【0035】
実施の形態2
以上の説明では、携帯端末3あるいはサーバが移動時間情報を保持し、被保護者の携帯端末3が自動改札を入場してから一定時間以上退場しない場合に何らかの異常があると判断する場合について説明したが、以下の説明では、時間情報のみに基づく警告メッセージではなく、携帯端末の位置情報も考慮してなんらかの異常を判断する場合について説明する。なお、実施の形態2では、携帯端末3の位置情報を利用する為、携帯端末3は、GPSや、移動体通信における基地局を利用した位置認識部36を搭載したものとして説明する。
【0036】
本実施の形態では、携帯端末3が、改札入場後、一定時間ごとに、GPSなどを利用して、携帯端末3の位置情報を取得するものとして説明する。図4は、本実施の形態の動作を示す図である。実施の形態2では、携帯端末3を所有する所有者が自動改札機1を通過した際に、定期券情報、端末IDなどを自動改札機1に対して送信する点、自動改札機1から入場時刻情報が送信され、携帯端末3が入場時刻を記憶する点は実施の形態1と同様である。また、自動改札機1からのモード変更要求に基づいてマナーモード(あるいは電源オフモード)に設定され、モード変更に伴う自動のメール送信なども同様である(図4、S41、S42参照)。
【0037】
携帯端末3に入場時刻が記憶されると、本実施の形態の携帯端末3は、一定時間ごとに位置認識部36を起動させる。この機能は、例えば入場後に10分に1回などのフラグを生成するタイマなどを携帯端末3に内蔵することで実現可能である。ここで、位置認識部36は、入場と同時に最初の携帯端末の位置をGPSなどを用いて把握し、初期位置を座標(X0,Y0)として記憶部134に記憶させる。
【0038】
その後、一定時間ごとに発生する位置認識要求に基づいて、位置認識部36は携帯端末3の所在位置情報を取得する(図4、S44参照)。位置情報を取得すると制御部32は、前回取得した位置情報(第1の所在位置情報)と、最新の位置情報(第2の所在位置情報)の比較を行う(図4、S45参照)。例えば、乗車後1回目の位置認識要求であれば、入場時に取得した初期位置(X0,Y0)と、今回取得した位置(X1,Y1)の比較が行われる。ここで、初期位置(X0,Y0)と1回目確認時の位置(X1,Y1)の差が予め設定されているしきい値よりも小さい場合は、被保護者が入場後、電車への乗車が行えず移動していない場合が考えられる。そのため、制御部32は、被保護者などに何らかの異常があったと判断し、通知対象者に警告メッセージなどの送信を行う(図4、S46参照)。
【0039】
位置認識時に、予め設定されたしきい値以上の移動が確認された場合は、警告メッセージなどの送信は行わず、定期的に位置認識動作を行うことを継続する。
【0040】
その後の退場時のモード変更、メール送信などは実施の形態1と同様である為、割愛する。
【0041】
このように、実施の形態2では、一定期間ごとに携帯端末3の位置情報を認識することで、被保護者になんらかの異常があった場合に警告メッセージを通知対象者である保護者等に早急に知らせることが可能となる。
【0042】
実施の形態3
上記した実施の形態2では、携帯端末3が一定の場所にとどまっていた場合に、携帯端末が警告メッセージなどを送信する場合について説明している。しかし、実際の電車などでは、路線は直線ではなく、蛇行し、前回の確認時の位置と、最新の確認時の位置が常にある値以上離間しているとは限らない。その場合、警告メッセージを送信する要件として、平面的な座標の差のみを用いることは妥当ではない場合がある。そこで、本実施の形態では、乗降駅情報、路線地図情報、位置認識部36によって認識した位置情報を用いて警告メッセージを送信する場合について説明する。図5は、実施の形態3の動作を説明する図である。図5では、図4で説明した動作に関しては同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施の形態において、携帯端末3が一定時間ごとに位置認識部36を起動させ、携帯端末3(被保護者)の位置を認識する点までは、実施の形態2と同様である。
【0044】
実施の形態2では、前回測定した位置(例えば(X0,Y0))と最新の位置(例えば(X1,Y1))の差が予め設定されているしきい値よりも小さい場合は、直ちに警告メッセージを送信している。本実施の形態では、この移動距離が予め設定されたしきい値よりも小さい場合には、携帯端末3は、自分の位置情報をサーバ2へと送信する。
【0045】
ここで、本実施の形態のサーバ2には、携帯IDごとに乗降駅情報および乗降駅間の路線に対応する路線地図情報などが保持されている。この路線地図情報は、例えば図6に示したような路線の経路に合わせた地図情報であり、メッシュ状に分割された地図情報に対応するテーブル状のデータである。ここで、図6に示すハッチングされた座標は、電車路線に対応する座標として、乗降駅、路線時地図情報から端末IDと関連付けてサーバに記憶されている。
【0046】
本実施の形態では、移動距離が予め定めたしきい値よりも低い場合に、携帯端末3が、端末IDおよび位置情報をサーバ2に対して送信する。ここで、端末IDと位置情報を受信したサーバは、自身が保持している端末IDに対する路線地図情報上の路線対応領域の座標と、受信した位置情報の座標を比較する(図5、S51参照)。ここで、携帯端末3から受信した位置情報の座標が、サーバ2の保持する路線地図情報上の路線対応領域領域(図6のハッチングされた領域)外の場合、サーバ2は、被保護者などに対してなんらかの異常が発生したと判断し、サーバ2内のメール送信部などから通知対象者に対して、警告メッセージの送信を行う。ここで、携帯端末3から受信した位置情報が路線地図情報上の領域(図6のハッチングされた領域)内の場合、サーバ2は、被保護者が乗車中であり、路線内にいるものとして警告メッセージの送信は行わない。したがって、再び一定期間が経過した後の位置確認のフローが繰り返される。
【0047】
このように、実施の形態3によれば一定期間の座標上の移動距離のみではなく、電車の路線に対応した地図情報から、被保護者の異常などを判断することが可能となる。
【0048】
実施の形態4
以上、実施の形態1乃至3では、以下の各場合において、携帯端末3を所有する被保護者などになんらかの異常が発生した可能性を、保護者等に警告メッセージを送信する携帯端末システムについて説明している。
(1)改札入場後、移動時間情報に基づいた移動時間を越えても、退場情報がない場合
(2)改札入場後、一定時間ごとの移動距離が所定のしきい値に届かない場合
(3)改札入場後、一定時間ごとの移動距離が所定のしきい値に届かず、かつ携帯端末の位置が保存されている路線地図情報の所定領域を外れている場合
本発明は、更なる応用が可能である。例えば、以下のような場合に、警告メッセージを送信することも可能である
(4)改札入場後に、移動時間情報で設定された時間を経過しても退場情報がなく、かつ携帯端末の位置が保存されている路線地図情報の領域を外れている場合
【0049】
この場合、移動時間情報に関しては、実施の形態1で説明した場合と同様に端末IDに対応させて、サーバ2が移動時間情報を保持している。実施の形態1では、移動時間情報に対応する時間を経過しても退場情報が記録されない場合に、サーバ2が警告メッセージを示すメールを送信している。本実施の形態では、時間情報にのみ基づいて警告メッセージを送信するのではなく、移動時間情報に対応する時間を経過しても退場情報が記録されない場合に、サーバ2は、携帯端末3に対して、位置確認要求信号を送信する。位置確認要求信号を受信した携帯端末3は、制御部32によって位置認識部36を起動させる。仮に、改札入場により、電源オフモードとされていた場合は、位置情報確認の為の信号のみを受信可能な待機状態とし、この位置情報確認動作時のみ電源オン状態となる構成としても良い。その後、位置認識部36が認識した位置情報を、携帯端末3がサーバ2へと送信する。サーバ2では、実施の形態3と同様に路線地図情報を保持しており、この路線地図情報と携帯端末3から送られてきた位置情報を元に、携帯端末3の位置が保持している路線地図情報の所定領域から外れている場合に警告メッセージを通知対象者に送信する。
【0050】
また、このような構成とした場合、サーバ2に電車運行状況を保持することにより、警告メッセージの送信の必要性の有無、あるいは警告メッセージではなく状況を通知するメッセージを送信することなども可能となる。
【0051】
上記の、所定時間情報に対応する時間を経過しても、サーバ2が退場情報を受信しない場合、サーバ2は、入場者情報に基づいた路線の電車運行情報を確認なする。ここで、仮に入場者(携帯端末3の所有者)が利用する路線が定時運行よりも遅れていた場合、サーバ2は、その遅延状況に応じて警告メッセージ送信の必要性等を判定する。その結果、通知対象者に対して、警告メッセージを送信する必要がないと判定された場合は、警告メッセージの送信を行わない。また、設定によっては警告メッセージの代わりに電車遅延中の旨を示すメッセージを通知対象者に送信することも可能である。この電車運行情報は、時刻表に対する各車両の遅れを示すものであっても良い。時刻表に対する各車両の遅れを電車運行情報としない場合は、所有者の乗車区間に対応する乗車時間が、通常かかる乗車時間に対してどの程度遅延しているかなどの情報でも良い。
【0052】
以上、本発明の実施の形態に基づいて詳細に説明したが本発明は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の携帯端末システムを示す図である。
【図2】携帯端末、自動改札機を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の動作を示す図である。
【図4】実施の形態2の動作を示す図である。
【図5】実施の形態3の動作を示す図である。
【図6】路線地図情報を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 自動改札機
2 サーバ
3 携帯端末
4 通知対象装置
5 GPSシステム
6 通信網
11 リーダ・ライタ
12 制御部
13 表示部
14 ゲート開閉制御部
15 サーバ通信部
16 磁気切符読取部
31 端末側近接通信部
32 制御部
33 モード設定部
34 記憶部
35 メール送信部
36 位置認識部
36 通信部
100 携帯端末システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と自動改札機との間で無線通信を行う携帯端末システムであって、
前記携帯端末は、
前記自動改札機と無線通信を行う近接通信部と、
前記近接通信部の通信結果に基づいて、当該携帯端末の動作モードを設定する制御部とを有し、
前記自動改札機は、前記携帯端末と無線通信を行うリーダ・ライタを有し、
前記携帯端末システムは、前記携帯端末の動作モードが変更された場合に、通知対象装置に対してモード変更通知を送信するメール送信部を有することを特徴とする携帯端末システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記通知対象装置を記憶する記憶部を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末システム。
【請求項3】
前記記憶部には、前記携帯端末の乗車駅、降車駅情報および乗降駅間の移動時間情報が保持され、
前記メール送信部は、前記携帯端末が前記自動改札機を入場した後に経過した時間が、前記移動時間情報の指定する時間を超えた場合に、前記通知対象装置にメッセージを送信することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、当該携帯端末の所在位置を認識する位置認識部を有し、
前記記憶部は、前記位置認識部が認識した第1の所在位置情報を保持し、
前記制御部は、前記第1の位置認識情報を取得してから所定時間後の第2の所在位置情報の示す所在位置と、前記第1の所在位置情報の示す所在位置の距離を測定し、
前記メール送信部は、前記第2の所在位置情報の示す所在位置と前記第1の所在位置情報の示す所在位置の距離が予め設定された距離よりも小さい場合に前記通知対象装置にメッセージを送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末システム。
【請求項5】
前記携帯端末システムは、さらに、
前記携帯端末、前記自動改札機および前記通知対象装置と通信可能なサーバを有し、
前記サーバは、前記携帯端末の固有識別情報と、当該固有識別情報に対応する携帯端末の乗車駅、降車駅情報および乗降駅間の移動時間情報が保持される記憶部と、
前記携帯端末が前記自動改札機を入場した後に経過した時間が、前記移動時間情報の指定する時間を超えた場合に、前記通知対象装置にメッセージを送信するメール送信部とを有することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の携帯端末システム。
【請求項6】
前記携帯端末システムは、さらに
前記携帯端末、前記自動改札機および前記通知対象装置と通信可能なサーバを有し、
前記携帯端末は、当該携帯端末の所在位置を認識する位置認識部をさらに有し、
前記制御部は、第1の位置認識情報を取得してから所定時間後の第2の所在位置情報の示す所在位置と、前記第1の所在位置情報の示す所在位置の距離を測定し、前記第2の所在位置情報の示す所在位置と前記第1の所在位置情報の示す所在位置の距離が予め設定された距離よりも小さい場合に前記サーバに前記第2の所在位置に対応する位置情報の送信を指示し、
前記サーバは、前記携帯端末の固有識別情報、当該固有識別情報に対応する携帯端末の乗車駅、降車駅情報に関連付けられた路線地図情報及び前記第2の所在位置に対応する位置情報に基づいて前記通知対象装置へのメッセージ送信の判定を行うことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の携帯端末システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記通知対象装置へのメッセージ送信の判定を、さらに、電車運行情報に基づいて行うことを特徴とする携帯端末システム。
【請求項8】
前記移動時間情報に基づいて、前記携帯端末に降車駅を通知することを特徴とする請求項3あるいは6に記載の携帯端末システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−228253(P2008−228253A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67876(P2007−67876)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】