携帯端末印刷システムで用いられるサーバ
【課題】通信端末から送信された内容を、携帯端末を使用して、外出先でいつでも簡単に印刷することが可能な携帯端末印刷システムを提供する。
【解決手段】サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有する携帯端末印刷システムが提供される。本システムにおけるサーバは、通信端末から受信した画像データを印刷データに変換し、携帯端末からの要求に応じて印刷データを携帯端末に送信する。また、携帯端末は印刷データをプリンタに転送して、プリンタは印刷データに基づいて印刷を行なう。通信端末からサーバへの画像データの送信は、携帯端末に対応する専用メールアドレスを宛先とした、画像データ添付メールの送信によって行なわれる。サーバは専用メールアドレスに基づいて印刷データを送信する携帯端末を特定する。
【解決手段】サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有する携帯端末印刷システムが提供される。本システムにおけるサーバは、通信端末から受信した画像データを印刷データに変換し、携帯端末からの要求に応じて印刷データを携帯端末に送信する。また、携帯端末は印刷データをプリンタに転送して、プリンタは印刷データに基づいて印刷を行なう。通信端末からサーバへの画像データの送信は、携帯端末に対応する専用メールアドレスを宛先とした、画像データ添付メールの送信によって行なわれる。サーバは専用メールアドレスに基づいて印刷データを送信する携帯端末を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末から送信される画像データを携帯端末に接続されたプリンタを用いて印刷する印刷システムに関連する。特に、通信端末から送信された画像データを中継し、プリンタが利用可能な印刷データに変換して携帯端末に送信する中継サーバを有する印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及に伴い、コンピュータネットワークを利用した様々な通信手段が開発されているが、今なお電話回線を利用したファクシミリ通信が一般事業者における主要な通信手段として利用されている。特に、手書きのメモや、捺印あるいはサインがなされたハードコピー等、紙媒体に記録された情報を送信する場合には、ファクシミリ送信では極めて簡便な操作によって情報を送信することができる。この操作の容易性が今日においてもファクシミリが一般事業者における主たる通信手段として利用される理由の一つと考えられる。
【0003】
通常、ファクシミリ通信はオフィス等に設置されるファクシミリ装置間で行なわれるが、営業員や販売員、あるいは運送会社の配送車等の移動する相手先にファクシミリ送信を行ないたいというニーズも多い。実際に、かつては携帯電話網を利用した携帯ファクシミリサービスが携帯電話事業者によって提供されていた。
【0004】
ところで、近年、ノートパソコンやPDA等の携帯端末の普及に伴い、これら携帯端末で作成した文書等を移動先で印刷したいというニーズが増えている。このようなニーズに対応して、電池内蔵型で、携帯端末と無線接続可能な、小型軽量の携帯型プリンタが実用化されている。携帯型プリンタは、例えば営業の出先で報告書や見積書を作成して印刷したり、出張修理や保守点検サービスの報告書を現地で作成して印刷したり、出張介護サービスにおいて出張先で患者の介護記録報告書を作成して印刷する等、様々な場面で活用されている。
【0005】
また、最近は携帯電話端末の高機能化が進み、携帯電話端末によって取得または作成した情報を携帯型プリンタで印刷したいというニーズも増えている。このように携帯電話端末において作成した文書等を携帯型プリンタで印刷するためのシステムが、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、携帯電話端末においてユーザが入力した内容を、ネットワーク上のサーバにおいて携帯型プリンタに適合したデータ形式(すなわち、プリンタにおいてラスタライズをする必要のない形式)へ変換処理を行い、変換されたデータを携帯電話端末が受信してプリンタへ送信し、プリンタにて印刷を行っている。このシステムでは、サーバを利用することで携帯電話端末およびプリンタにおけるデータ変換処理の負担を軽減させることができる。
【0006】
また、近年、ファクシミリ機能に加えて、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能等の様々な機能を複合したデジタル複合機が普及している。デジタル複合機の多くは、ネットワーク接続が可能であり、例えばスキャナ機能によって取り込んだ画像データをTIFF形式等の汎用フォーマットの画像ファイルに変換し、電子メールの添付ファイルとしてネットワーク経由で指定のアドレスに送信する、スキャナ画像メール送信機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−328391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ファクシミリ通信は送信側端末と受信側端末が直接通信を行なうため、送受信側が共に通信可能な状態になければファクシミリを送信することができない。受信先が携帯端末の場合、電波状態の良くない場所にいるため受信不能であることも少なくない。従って、送信エラーが頻繁に発生し、その都度再送信しなければならないため、使い勝手が悪い。
【0009】
また、最近の携帯電話システムでは、高い圧縮率で音声信号(すなわちファクシミリ信号)の圧縮処理が行われている。このような携帯電話システムによって伝送されたファクシミリ信号は、高周波数成分がカットされる等により信号波形が大きく変化するため、正常に復号することができない。このため、携帯電話システムの更新に伴って携帯ファクシミリサービスが廃止され、移動する相手先にファクシミリ送信したいというニーズに対する有効な解決手段が途絶えてしまっている。
【0010】
また、上述のデジタル複合機のスキャナ画像メール送信機能を利用して原稿のスキャナ画像ファイルを添付した電子メールを携帯電話端末に送信し、携帯電話端末のユーザが受信した電子メールに添付されたスキャナ画像ファイルを一旦携帯電話端末内に保存し、特許文献1に記載の印刷システムを利用して保存したスキャナ画像ファイルを印刷することにより、携帯ファクシミリサービスと同様の処理を実現することができる。しかし、この方法では、送信側では通常のファクシミリ送信と同等の簡単な操作によってスキャナ画像ファイルを送信することができるが、受信側ではスキャナ画像ファイルを一旦保存し、更に印刷したいスキャナ画像ファイルを選択するという面倒な処理を行わなければならない。また、容量の大きい画像データを携帯電話網を介して何度も送信することになるため、通信コストが高くつき、通信に長時間を要するといった問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、通信端末から送信された画像データを、携帯端末を使用して、外出先でいつでも簡単に取得して印刷することが可能な携帯端末印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明により、サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有する携帯端末印刷システムが提供される。本システムの通信端末は、プリンタで印刷するための画像データを添付した電子メールをサーバへ送信する画像添付メール送信手段を備える。また、本システムのサーバは、電子メールを送受信するメール送受信手段と、携帯端末と通信を行なう通信手段と、通信端末から受信した電子メールに添付された画像データをプリンタが使用可能な印刷データに変換するための画像データ変換手段と、通信手段を介して、携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて変換した印刷データを携帯端末へ送信する、印刷データ送信手段とを備える。また、本システムの携帯端末は、無線リンクを介してサーバと通信するための無線通信手段と、外部機器と通信するための外部機器通信手段と、印刷データをサーバに要求する要求手段と、サーバから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、外部機器通信手段を介して、受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示をプリンタへ送信する印刷指示手段とを備えている。また、本システムのプリンタは、携帯端末から印刷データ及び印刷指示を受信し、受信した印刷データ及び印刷指示に基づき印刷を行う印刷手段を備えている。
【0013】
この構成によれば、通信端末から送信された画像データを添付したメールがサーバで中継され、サーバにて該画像データがプリンタでの印刷に適した形式へ変換された後、携帯端末に転送され、更に携帯端末を経由してプリンタで印刷される。このため、通信端末において単にプリンタで印刷したい画像データを添付したメールを送信するだけで、外出先でも携帯端末を用いて簡単な操作で印刷を行うことができる。また、比較的に処理能力の低い携帯端末や携帯プリンタにて計算量の多い画像データの変換処理を行ったり、携帯端末から、サーバへ画像データを送信して変換処理を行うなどの無駄な処理を省くことができる。さらに、本システムによれば、ファクシミリ通信とは異なり、通信端末が画像データを送信すると同時に携帯端末が印刷データを受信する必要がない。このため、携帯端末が受信不可能な状態にあっても、通信端末から画像データを確実に送信することができる。また、携帯端末側でも印刷データをいつでも受信することができる。従って、受信状態が不安定な従来の携帯ファクシミリと比べて、確実な画像送信が可能であり、かつ利便性がよい。
【0014】
また、本発明のプリンタが使用可能な印刷データとは、ラスタ形式の印刷データであってもよい。このように、画像データがサーバにてラスタ形式の印刷データに変換された上で、携帯端末およびプリンタに送信されることにより、携帯端末やプリンタの内部でラスタライズ等の処理を行う必要がなくなり、計算量の多いデータ変換処理を行うことなく印刷を実行可能となる。
【0015】
また、本発明の携帯端末印刷システムにおいて、サーバはプリンタで印刷するための画像データを受信したことを携帯端末に通知する通知手段を更に備えていてもよい。
【0016】
この構成により、携帯端末のユーザは印刷すべき画像データをサーバが受信していることを知ることができる。このため、サーバに印刷すべきデータが無いときに不要な印刷データの要求をサーバに送ることがなくなり、通信コストや手間を削減することができる。
【0017】
また、本発明の携帯端末印刷システムでは、サーバは、携帯端末の識別情報と、該サーバを示すものであって該携帯端末に対応する専用メールアドレスとが関連付けて保持されたテーブルを記憶するデータ記憶手段と、該テーブルを参照して、通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに基づいて、該電子メールに添付された画像データから変換される印刷データの送信先とすべき携帯端末を特定するアドレス特定手段とを更に備えていてもよい。この場合において、画像添付メール送信手段は、印刷データの送信先とすべき携帯端末に対応する専用メールアドレスを宛先アドレスとして、画像データを添付した電子メールをサーバへ送信し、印刷データ送信手段は、要求のあった携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末を送信先とすべき印刷データを送信するようにしてもよい。
【0018】
このように各携帯端末に対応した専用メールアドレスを宛先アドレスとすることによって印刷データの送信先となる携帯端末を指定する構成により、既存のデジタル複合機の多くに採用されているスキャナ画像メール送信機能を利用して印刷用データを送信することが可能となる。また、PCから送信する場合でも、アドレス帳から対応する専用メールアドレスを指定して送信するだけの簡単な操作で送信処理を行うことができる。また、サーバが専用メールアドレスと携帯端末とを関連付けたテーブルを保持する構成により、上記の機能を容易に実現することができる。
【0019】
また、テーブルには、更に携帯端末を示す携帯メールアドレスが関連付けて保持されていてもよい。この場合、アドレス特定手段は、テーブルを参照して、通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに対応する携帯メールアドレスを特定することができる。また、通知手段による通知は、携帯端末への通知メールの送信であってもよい。この場合、該通知メールは特定された携帯メールアドレスを宛先アドレスとして送信されるようにすることができる。
【0020】
このように任意のタイミングで略リアルタイムに通知を行なう手段として、電子メールは好適である。テーブルに携帯メールアドレスも関連付けて保持させることにより、印刷データを送付すべき携帯端末に電子メールで通知することが容易に実現される。
【0021】
また、サーバは、携帯端末からのアクセスが正当であるか否かを判断する認証手段を更に備えていてもよい。この場合、印刷データ送信手段は、認証手段において携帯端末からのアクセスが正当であると判断された場合にのみ、印刷データを当該携帯端末に送信するようにすることができる。
【0022】
この構成により、サーバに登録されていない携帯端末による不正なデータ取得を防ぐことができる。
【0023】
また、テーブルには、更に携帯端末ごとのパスワードが関連付けて保持されていてもよい。この場合、認証手段は、識別情報とパスワードに基づいて認証を行なうようにしてもよい。
【0024】
すなわち、テーブルに認証情報も保持させることにより、パスワード認証も容易に行なうことができる。
【0025】
また、テーブルには、更に通信端末のリストが関連付けて保持されていてもよい。この場合、印刷データ送信手段は、画像データを添付した電子メールを送信した通信端末が通信端末のリストに含まれている場合にのみ、印刷データを当該携帯端末に送信するように構成することもできる。
【0026】
この構成により、送信者を限定することができ、迷惑メール等の被害を防止することができる。
【0027】
また、サーバは、印刷データをアドレス特定手段によって特定された携帯端末と関連づけて記憶する印刷データ記憶手段を更に備えていてもよい。この構成により、画像データの送信者が指定した携帯端末のみに印刷データを送信する機能を容易に実現することができる。
【0028】
また、携帯端末は、さらに、サーバから受信した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、プリンタによる印刷が終了した後で該印刷データを記憶手段から削除する印刷データ削除手段とを備えていてもよい。また、携帯端末は、さらに、印刷が正常に終了したことをサーバに通知する印刷終了通知手段を備え、サーバは、さらに、携帯端末からの印刷終了通知を受けて、印刷データ記憶手段に記憶された印刷データを削除するように構成されていてもよい。
【0029】
この構成により、印刷データが蓄積され、サーバおよび携帯端末の記憶容量がなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0030】
また、外部機器通信手段は、BluetoothやIrDA等の無線通信によって外部機器との通信を行なうものであってもよい。無線通信を用いることにより、プリンタと携帯端末との接続が容易であり、使い勝手が向上する。特に、Bluetooth等の電波を使用した通信は指向性が低いため、携帯端末とプリンタとの配置や配向に気を遣う必要がなく扱い易い。
【発明の効果】
【0031】
したがって、本発明によれば、デジタル複合機等から送信された画像データを、携帯電話端末を使用して、移動先でいつでも簡単に印刷することが可能な携帯端末印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る携帯端末印刷システムを示す図である。
【図2】デジタル複合機100の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るサーバ装置200の構成を示すブロック図である。
【図4】データベースに登録される利用者テーブルを示す図である。
【図5】携帯電話端末300の構成を示すブロック図である。
【図6】携帯プリンタ500の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る携帯端末印刷システムを構成する装置間の通信手順の概要を説明する図である。
【図8】サーバ装置200において実行される通知メール送信処理を説明するフローチャートである。
【図9】携帯電話端末300において実行される処理を説明するフローチャートである。
【図10】サーバ装置200において実行される処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係る携帯端末印刷システムについて説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る携帯端末印刷システム1の構成を示す図である。携帯端末印刷システム1は、インターネット10、携帯電話網20、デジタル複合機100、サーバ装置200、携帯電話端末300、及び携帯プリンタ500から構成される。デジタル複合機100及びサーバ装置200はインターネット10に接続されている。携帯電話端末300は、基地局21との間の無線リンク22を介して携帯電話網20に接続可能となっている。また、携帯電話網20もインターネット10に接続されており、携帯電話端末300は携帯電話網20を介してインターネット10上の各装置と通信を行なうことができる。また、携帯プリンタ500はBluetooth(登録商標)によって携帯電話端末300と通信可能である。
【0035】
まず、デジタル複合機100の具体的な構成について図2を参照して説明する。図2はデジタル複合機100の構成を示す図である。デジタル複合機100は、装置全体を統括制御する制御部110、各種データやプログラムを記憶する記憶部120、ユーザからの入力を受け付けるための各種キーやタッチパネルからなる入力部130、原稿を光学的に読み取り画像データに変換するスキャナ部140、乾式電子写真方式により用紙への印刷を行なうプリンタ部150、電話回線に接続してファクシミリ信号の送受信を行なうファクシミリ送受信部160、メールの送受信を行なうメール送受信部170、インターネットに接続して通信を行なうためのネットワーク・インタフェース180等から構成される。制御部110は、バス102を介して上記の他の構成要素と接続している。
【0036】
デジタル複合機100は、オフィス等に設置されており、通常のファクシミリ送受信機能の他に、スキャナ画像メール送信機能を備えている。スキャナ画像メール送信機能とは、送信したい原稿の画像データをスキャナ機能によって読み取り、読み取った画像データをTIFF形式などの汎用のファイル形式の画像ファイルに変換して、電子メールに添付してインターネット10(またはイントラネット)上の端末に送信する機能である。また、デジタル複合機100は、スキャナ画像メール送信において宛先に使用するアドレスを予め登録するためのアドレス帳を記憶部120内に保持している。
【0037】
ところで、本実施形態においては、携帯端末印刷システムの利用者として登録されたユーザ(携帯端末の使用者)には、各携帯端末に対応するシステム専用メールアドレスが例えば本システムの管理会社から割り当てられる。このシステム専用メールアドレスは、携帯電話事業者によって各携帯電話端末に割り当てられるメールアドレスではなく、本携帯端末印刷システム1の管理者によって本携帯端末印刷システムにユーザ登録された各携帯端末に対して割り当てられる本携帯端末印刷システム専用のメールアドレスである。すなわち、システム専用メールアドレスを宛先とする電子メールは、各携帯端末にではなく、例えば本携帯端末印刷システムの管理会社が運営するサーバ装置200に届けられる。利用者が本携帯端末印刷システム1を利用するにあたっては、後述するように画像ファイルを添付した電子メールを送付する際には、このシステム専用メールアドレスが宛先アドレスとして使用される。そのため、デジタル複合機100のアドレス帳には、ユーザ名と共にシステム専用メールアドレスが予め登録されている。この登録は、デジタル複合機100のユーザによって、当該複合機のマニュアルに従って例えば入力部130を操作して行なわれる。本携帯端末印刷システム1のシステム専用メールアドレスの詳細については、後述する。
【0038】
上記の構成により、デジタル複合機100のスキャナ画像メール送信機能を用いて、携帯プリンタ500で印刷したい原稿のスキャナ画像を添付した電子メールをサーバ装置200へ送信することができる。
【0039】
次に本発明の携帯端末印刷システム1におけるサーバ装置200について説明する。図3は、サーバ装置200の主な構成を示す図である。サーバ装置200は、装置全体を統括制御する制御部210、各種データやプログラムを記憶する記憶部220、後述する利用者テーブル232、234やプリントファイル等の本携帯端末印刷システム1のユーザ情報を記憶するためのデータベース230、複合機100等から受信した電子メールに添付された画像ファイルを携帯プリンタ500が印刷用データとして利用可能なプリンタファイル形式(拡張子prn)のプリントファイルに変換する画像データ変換部240、HTTP等のプロトコルによって外部端末のWebアプリケーション(例えば、PCや携帯電話端末のWebブラウザや、後述する携帯電話端末の専用アプリケーション等)との通信を行なうWebサーバ部250、メールの送受信を行なうメール送受信部260、インターネットに接続して通信を行なうためのネットワーク・インタフェース270等から構成される。制御部210は、バス202を介して上記の他の構成要素と接続している。
【0040】
図4は、データベース230が保持する利用者テーブル232及び234を示す。利用者テーブル232、234は、例えば本携帯端末印刷システム1の管理会社と契約する企業や団体等の利用者グループ毎に作成される。図4(a)の利用者テーブル232はX社用のテーブルであり、図4(b)の利用者テーブル234はY社用のテーブルである。各利用者テーブル232、234には、ユーザ登録した利用者の氏名、システム専用メールアドレス、携帯電話端末メールアドレス、本携帯端末印刷システム1においてユーザ認証に使用するID及びパスワード等が、それぞれ利用者(具体的にはID)に対応して記録されている。利用者テーブル232、234に記録されるこれらの情報は、ユーザ登録時にシステム管理者によってサーバ装置200に直接入力される。また、利用者テーブル232、234に記録される情報は、PCや各利用者の携帯端末から、HTTP等のプロトコルを用いてインターネット10を介してサーバ装置200にアクセスして、Webサーバ部250が提供するWebページのフォームを使ってユーザ自身によって入力や変更等を行なうこともできる。
【0041】
本実施形態では、システム専用メールアドレスの一部(ドメイン名)が利用者グループ毎に異なったものに設定されているため、システム専用メールアドレスの一部から当該ユーザの所属する利用者グループを特定することができる。また、システム専用メールアドレスと携帯電話端末メールアドレスとは1対1で対応しており、システム専用メールアドレスから対応する携帯端末を特定することができる。従って、サーバ装置200は、デジタル複合機100から受信したメールの宛先アドレス(システム専用メールアドレス)によって当該宛先アドレスに対応する利用者グループを特定して、その利用者グループ用の利用者テーブルを参照することにより、当該宛先アドレスに対応する携帯電話端末メールアドレスを取得することができる。
【0042】
次に、図5を参照して携帯電話端末300の具体的構成について説明する。図5は携帯電話端末300の構成を示す図である。携帯電話端末300は、装置全体を統括制御する制御部310、各種データやアプリケーション等のプログラムを記憶する記憶部320、ユーザ入力を受け付けるための数字キーや方向キー等からなる入力部330、液晶や有機ELディスプレイ等からなる表示部340、メールの送受信を行なうメール送受信部350、CDMA2000等の通信方式に基づいて携帯電話網20と接続して通信を行なうための携帯電話網接続部360、Bluetooth規格に基づく短距離無線通信(以下「Bluetooth通信50」という。)を行うためのBluetooth通信部370等から構成される。制御部310は、バス302を介して上記の他の構成要素と接続している。
【0043】
また、携帯電話端末300の記憶部320には本携帯端末印刷システム1専用の携帯印刷アプリケーションがインストールされている。携帯印刷アプリケーションは、HTTPを用いてサーバ装置200にアクセスして、データベース230に記憶されたプリントファイルをダウンロードし、次いでBluetooth通信50によってプリントファイルを携帯プリンタ500に転送して当該プリントファイルの印刷を行なう、という一連の印刷処理を実行するためのアプリケーションである。記憶部320には、他にも例えばメールクライアントやWebブラウザ等のアプリケーションがインストールされている。
【0044】
次に、図6を参照して携帯プリンタ500の具体的構成について説明する。図6は携帯プリンタ500の構成を示す図である。携帯プリンタ500は、装置全体を統括制御する制御部510、印刷データ(プリントファイル)やプログラムを記憶する記憶部520、プリントファイルに基づいて感熱用紙に感熱方式で印刷を行なう印刷処理部530、Bluetooth規格に基づく短距離無線通信を行うためのBluetooth通信部540等から構成される。制御部510は、バス502を介して上記の他の構成要素と接続している。携帯プリンタ500は、Bluetooth通信50によって携帯端末からプリントファイル及び各種命令コードを受信し、受信したプリントファイル等に基づいて印刷処理を実行することができる。また、携帯プリンタ500は、図示しない電源装置を有しており、内蔵バッテリの他に家庭用電源や自動車のシガーソケットからの給電によって動作することができる。
【0045】
ここで、図7を参照して、本携帯端末印刷システム1において、デジタル複合機100、サーバ装置200、携帯電話端末300及び携帯プリンタ500の間で行なわれる通信の概要を説明する。図7は、本携帯端末印刷システム1において、デジタル複合機100で取り込まれた画像データが携帯プリンタ500で印刷されるまでに、本システム1を構成する各装置間で行なわれる通信手順の概要を示した図である。
【0046】
まず、デジタル複合機100で取り込まれた原稿の画像ファイルが、電子メールの添付ファイルとして、インターネット10を経由してサーバ装置200に送信される(S1)。次いで、サーバ装置200において添付ファイルに基づいて携帯プリンタ500が利用可能なプリントファイルを生成するとともに、印刷すべき画像ファイルが着信したことを知らせる通知メールをインターネット10及び携帯電話網20を介して携帯電話端末300に送信する(S2)。通知メールの受信を確認した携帯電話端末300のユーザが本システム専用の携帯印刷アプリケーションを起動すると、携帯電話端末300は、プリントファイルの送信をサーバ装置200に要求する(S3)。要求を受けたサーバ装置200は、生成したプリントファイルを携帯電話端末300に送信する(S4)。なお、本実施形態におけるS3及びS4の通信は、サーバ装置200のWebサーバ部と携帯電話端末300で起動される携帯印刷アプリケーションとの間でHTTPによって行なわれる。次に、携帯電話端末300は、受信したプリントファイルを携帯プリンタ500に転送するとともに、当該プリントファイルの印刷実行を指示する命令コードを携帯プリンタ500に送信し(S5)、携帯プリンタ500は受信したプリントファイル及び命令コードに基づいて印刷を実行する。
【0047】
次に、図8から図10のフローチャートを参照しながら、本発明の実施形態おけるサーバ装置200と携帯電話端末300において行なわれる具体的な処理について説明する。
【0048】
図8は、サーバ装置200において実行される通知メールの送信処理を説明するフローチャートである。この処理は、図7におけるS1からS2の処理に対応するものである。
【0049】
まず、サーバ装置200のメール送受信部260において、デジタル複合機100から画像ファイルが添付された電子メールを受信したか否かが判定される(S101)。デジタル複合機100から画像ファイルが添付された電子メールが受信されていれば(S101:YES)、本処理はS102へ進む。一方、デジタル複合機100から画像ファイルが添付された電子メールを受信していない場合は(S101:NO)、所定時間待機した後に再度S101の判断を行う。
【0050】
次に、S102では、受信した電子メールから、宛先アドレス(すなわち本印刷システムの専用メールアドレス)と、添付の画像ファイルとがそれぞれ抽出される。抽出された画像ファイルは、画像データ変換部240へ送られる。画像データ変換部では、抽出された画像ファイルがラスタライズされ、ラスタ形式の画像データに変換される(S103)。更に携帯プリンタにて利用可能なファイル形式のプリントファイルへ変換される(S104)。S103からS104において実行される処理は、例えば、一般的なPC用のプリンタドライバソフトウエアにおいて「ファイルへ出力」を選択した場合に実行される処理に相当する。また、上記のようにラスタ形式の中間画像データを生成せずに、画像ファイルから直接プリントファイルを生成してもよい。
【0051】
次に、S102において抽出された宛先アドレス(システム専用のメールアドレス)に基づいて、宛先アドレスの利用者が属する利用者グループ(例としてX社)を特定する。そして、データベース230に保持されたX社用の利用者テーブル232を参照して、宛先アドレスに対応する利用者(ID)を特定し、対応する携帯電話端末のメールアドレスを取得する(S105)。
【0052】
上記ステップS104で生成されたプリントファイルは、ステップS105で特定された利用者に割り当てられた、データベース230内のディスク領域に保存される(S106)。最後に、メール送受信部260が、S105で取得した携帯電話端末300のメールアドレスへ、印刷すべき画像ファイルが着信した旨を通知する通知メールを送信して(S107)、通知メールの送信処理が終了する。
【0053】
次に、図9の処理について説明する。図9は、サーバ装置200のデータベース230に保存されたプリントファイルをダウンロードして、携帯プリンタ500に転送する際に、携帯電話端末において実行される処理を説明するフローチャートである。この処理は、図7におけるS3からS5の処理に対応する。また、この処理は、通知メールの受信を確認したユーザが起動する携帯印刷アプリケーションによって行なわれる。
【0054】
携帯印刷アプリケーションが起動すると、まず、携帯電話網接続部360から、携帯電話網20及びインターネット10を介してサーバ装置200へ印刷データ要求コマンドが送信される(S201)。この時、本携帯端末印刷システム用のIDとパスワードも要求コマンドと共にサーバ装置200へ送信される。なお、本実施形態においては、IDとパスワードは、携帯印刷アプリケーションを用いて予め記憶部320に記憶されており、携帯印刷アプリケーションが自動的に記憶部320から読み出して送信するようになっている。
【0055】
そして、送信した印刷データ要求コマンドに対する応答をサーバ装置200から受信すると(S202)、その応答メッセージにプリントファイルが含まれているか否かが判定される(S203)。サーバからの応答メッセージにプリントファイルが含まれている場合は(S203:YES)、該プリントファイルを記憶部320へ保存する(S204)。一方、サーバからの応答メッセージにプリントファイルが含まれていない場合は(S203:NO)、表示部340にその旨を通知するメッセージが表示され(S209)、本処理はS212へ進む。
【0056】
また、S204にてプリントファイルが保存されると、続くS205にて、該プリントファイルを印刷するか否かが判定される。具体的には、表示部340に印刷を行うか否かをユーザに問うためのダイアログが表示され、利用者による入力部330へのキー入力操作によって印刷を行うか否かの指示が入力される。利用者によりプリントファイルの印刷が選択された場合(S205:YES)、プリントファイルを記憶部320から呼び出し、Bluetooth通信50によって、印刷を指示する命令コードとともにプリントファイルをプリンタ500へ送信する(S206)。
【0057】
次に、S207において、携帯プリンタ500による印刷処理が正常に終了したか否かが判定される。例えば、携帯プリンタ500からエラーメッセージを受信したり、プリントファイル送信後に一定時間にわたって携帯プリンタ500から応答が無い場合には、印刷処理が正常に終了されなかったと判断される。ここで、印刷処理が正常に終了したと判断されると、S208に進み、再度印刷を行うか否かが判定される。具体的には、同じプリントファイルのデータをもう一部印刷するか否かを利用者に問うダイアログが表示部340に表示され、利用者による入力部330へのキー入力操作によって再度印刷を行うか否かの指示が入力される。そして、利用者により再度印刷を行うことが指示された場合は(S208:YES)、ステップS206へ戻り、再度携帯プリンタ500へプリントファイルを送信して、印刷処理を行う。また、再度印刷を行わないことが指示された場合は(S208:NO)、記憶部320に保存されているプリントファイルを削除する(S210)。この処理により、プリントファイルの蓄積によって携帯電話端末300の記憶部320の容量が不足することを防ぐことができる。その後、サーバ装置200に対し、印刷が終了した旨の通知を行い(S211)、S212へ進む。また、S207において正常に終了していないと判定された場合(S207:NO)にも、本処理はS212へ進む。
【0058】
S212では、携帯印刷アプリケーションを終了するか否かが判断される。ここでは、携帯印刷アプリケーションを終了するか否かをユーザに問うダイアログを表示部340に表示させ、利用者による入力部330のキー入力操作によってアプリケーションを終了するか否かの指示が入力される。ここで、携帯印刷アプリケーションの終了が指示されると(S212:YES)、本処理は終了する。一方、携帯印刷アプリケーションを終了しないと指示された場合(S212:NO)、本処理はステップS201に戻り、サーバ装置200に対して印刷データ要求コマンドの送信を行う。
【0059】
携帯プリンタ500では、受信したプリントファイル及び命令コードに基づいて印刷処理が行われる。本発明の携帯端末印刷システムでは、プリンタファイル形式のプリントファイルが携帯プリンタ500に提供されるため、携帯プリンタ500が例えばベクタ形式からラスタ形式へ変換するラスタライズ等の処理を行わなくても印刷を行なうことができる。したがって、携帯プリンタ500では、計算量の多いデータ変換処理を行うことなく印刷を実行可能である。
【0060】
次に、携帯電話端末300の携帯印刷アプリケーションが上記の図9の処理を行っている間にサーバ装置200において実行される、図10のフローチャートに示される処理について説明する。まず、S301において、携帯電話端末300からWebサーバ部240へのHTTPによるアクセスがあったか否か、すなわちHTTPメッセージを受信したか否かが判定される。携帯電話端末300からアクセスがあった場合(S301:YES)、処理はS302へ進む。一方、携帯電話端末300からHTTPメッセージを受信していない場合は(S301:NO)、HTTPメッセージを受信するまで待機する。
【0061】
続くS302では、携帯電話端末300から受信したHTTPメッセージに含まれるIDおよびパスワードが、データベース部230の利用者テーブル232に登録されている情報と一致するか否かが判定される。このようにIDとパスワードを用いて携帯電話端末300の認証を行うことにより、登録ユーザ以外の携帯端末による不正なアクセスを防ぐことができる。
【0062】
そして、S302にて、受信したIDおよびパスワードが利用者テーブル232に登録されている情報と一致した場合(S302:YES)、携帯電話端末300から受信したメッセージが、印刷データ要求コマンドを含んでいるか否かが判定される(S303)。一方、ID又はパスワードが利用者テーブル232に登録されている情報と異なる場合は(S302:NO)、Webサーバ部250より、ID又はパスワードが異なる旨を携帯電話端末300に通知し(S306)、本処理はS310へ進む。
【0063】
S303にて、受信メッセージが印刷データ要求コマンドを含んでいると判定された場合(S303:YES)、本処理はステップS304へ進み、要求コマンドの送信元である携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域にプリントファイルが存在するか否かが判定される。また、受信メッセージが印刷データ要求コマンドを含んでいない場合(S303:NO)、本処理は、S307へ進む。
【0064】
次に、要求コマンドを送信した携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域にプリントファイルが存在すると判定された場合(S304:YES)、Webサーバ部250によって、当該プリントファイルがインターネット10及び携帯電話網20を介して携帯電話端末300へ送信される(S305)。一方、携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域にプリントファイルが存在しない場合は(S304:NO)、Webサーバ部250により、送信すべきプリントファイルがない旨を携帯電話端末300へ通知する(S309)。S309の通知をした後、本処理はS310へ進む。
【0065】
ここで、携帯電話端末300から受信したHTTPメッセージが、印刷データ要求コマンドを含んでいない場合(S303:NO)、S307において当該HTTPメッセージに印刷終了の通知が含まれているか否かが判定される。
【0066】
携帯電話端末300からのHTTPメッセージに、印刷終了の通知が含まれている場合(S307:YES)、データベース230の携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域に記憶されているプリントファイルが削除される(S308)。
【0067】
また、携帯電話端末300からのメッセージが、印刷終了の通知ではない場合(S307:NO)、本処理はS310へ進む。
【0068】
S310においては、システム管理者によるサーバ装置200への入力操作等によって、本印刷システムのサービス停止が指示されているか否かが判断される。サービス停止が指示されている場合には(S310:YES)、本処理は終了する。サービス停止が指示されていない場合には(S310:NO)、本処理はS301へ戻り、携帯電話端末300からのHTTPメッセージを受信するまで待機する。
【0069】
以上に説明したように、本発明によれば、オフィス等に設置されたデジタル複合機等から送信された画像ファイルが、ネットワーク上のサーバにおいて携帯プリンタに適合したデータ形式(例えば、プリンタファイル形式)へ変換され、携帯端末へ送信される。そして、携帯端末は、その変換されたデータを取得して、そのまま携帯プリンタへ転送し、プリンタにて印刷を行う。これにより、携帯端末の種類を問わず、従来のファクシミリ送信のようにデジタル複合機を用いて書類の画像データを取り込んで送信するだけで、その携帯端末に接続されたプリンタを用いて、いつでも簡単に送信された画像ファイルを印刷することができる。また、サーバにてプリンタに適合したデータ形式に画像データが変換されるため、携帯端末や携帯プリンタの内部でラスタライズ等の処理を行う必要がない。携帯端末や携帯プリンタは、小型軽量化を実現するために、一般に極めて限定的な処理能力しか備えていない。また、ラスタライズ等の画像処理は計算量が多いため、携帯端末等の非力な装置において処理を行うと非常に長い処理時間が必要となり、実用に適さない。本発明の印刷システムでは、上記のように計算量の多い画像処理を非力な携帯端末や携帯プリンタでは行わず、処理速度の速いサーバで行うことにより、全体として大幅に処理時間を削減することができる。また、本発明では、携帯電話端末は、通信圏内であればどこででもインターネット10への接続が可能であるため、ユーザは、携帯型のプリンタと共に、どこででも本システムを利用してプリントデータを受信して印刷することができる。さらに、本発明の印刷システムでは、デジタル複合機等で画像データをサーバに送信してアップロードした後であれば、いつでも携帯端末でプリントデータをサーバからダウンロードして印刷することができる。従って、従来の携帯ファクシミリのように、送信するタイミングに合わせて携帯端末側で受信/印刷の準備を行なう必要がなく、また、受信側の携帯端末が通信圏外にあるときに送信しても送信エラーとなることがない。すなわち、送信側も受信側も都合のよいときに確実に送受信できるため使い勝手が良い。
【0070】
また、本実施形態では、サーバにおいて、プリンタファイル形式のプリントファイルが生成される。例えばポストスクリプト(登録商標)形式のようなベクタ形式のプリントファイルがサーバから供給される構成にすると、ラスタライズ等の処理を行うために比較的高性能なプリンタを必要とする。しかし、汎用性の高いラスタ形式であるプリンタファイル形式でプリントファイルが供給されれば、使用できるプリンタの選択の幅が広がり、非力な携帯型の小型のプリンタを採用することができる。
【0071】
以上が本発明の実施形態であるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば、本実施形態では、通信端末としてデジタル複合機が使用されるが、通信端末はデジタル複合機に限定されるものではなく、インターネット10を通じてサーバにデータを送信可能な通信端末、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等であっても良い。また、送信する画像データはスキャナ機能によって原稿から読み取ったものに限らず、例えばPC等で作成した画像データであってもよい。また、通信端末から電子メールに添付して送信される画像ファイルの形式はTIFF形式に限らず、PDF形式、GIF形式、JPEG形式、ビットマップ形式等、他のフォーマットであってもよい。また、本実施形態においては携帯端末として携帯電話端末を例に挙げて説明したが、これも携帯電話端末に限定されるものではなく、インターネット10および携帯プリンタ500と通信可能な端末機器、例えば、ノート型PCやPDA等であってもよい。この場合、携帯電話網以外の無線リンク、例えば無線LAN(ホットスポット等)等の別の種類の無線リンクであってもよい。また、本実施形態においては、デジタル複合機等の送信側端末とサーバ、あるいはサーバと携帯電話網はインターネットで接続されているが、このネットワークはインターネットに限定されず、イントラネットや専用線等の他の種類のネットワークで接続されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、携帯電話端末300における図9の処理のS212において、携帯印刷アプリケーションを終了するか否かを判定しているが、別の実施の形態では、利用者によって携帯電話端末300の入力部330の所定の入力キーを操作することにより、処理中のどの段階においても該アプリケーションを終了することができるようにしても良い。
【0073】
また、本実施形態では、S205にて印刷を行うか否かをユーザに確認した上で印刷を行うように構成されているが、別の実施の形態においては、ユーザへの確認は行わずに、サーバからプリントファイルを受信した時点で、自動的にプリンタへ印刷データと印刷命令を送信するように構成しても良い。
【0074】
また、サーバ装置200が、特定の差出人アドレスから送信された画像ファイルのみを処理するように構成されてもよい。例えば、利用者テーブル232、234に、各ユーザの携帯端末を宛先とする画像データの送信が許可された差出人アドレスのリストをIDと関連づけて保持させ、画像ファイル添付メールの差出人アドレスが当該リストに含まれている場合にのみ図8の処理を行うようにすることができる。このような構成にすると、例えば迷惑メール等の被害を防ぐことができる。
【0075】
なお、本明細書又は図面に記載される「EZweb」はKDDI株式会社の登録商標である。
【符号の説明】
【0076】
10 インターネット
20 携帯電話網
50 Bluetooth通信
100 デジタル複合機
200 サーバ
230 データベース
232、234 利用者テーブル
240 画像データ変換部
300 携帯電話端末
360 携帯電話網接続部
370 Bluetooth通信部
500 携帯プリンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末から送信される画像データを携帯端末に接続されたプリンタを用いて印刷する印刷システムに関連する。特に、通信端末から送信された画像データを中継し、プリンタが利用可能な印刷データに変換して携帯端末に送信する中継サーバを有する印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及に伴い、コンピュータネットワークを利用した様々な通信手段が開発されているが、今なお電話回線を利用したファクシミリ通信が一般事業者における主要な通信手段として利用されている。特に、手書きのメモや、捺印あるいはサインがなされたハードコピー等、紙媒体に記録された情報を送信する場合には、ファクシミリ送信では極めて簡便な操作によって情報を送信することができる。この操作の容易性が今日においてもファクシミリが一般事業者における主たる通信手段として利用される理由の一つと考えられる。
【0003】
通常、ファクシミリ通信はオフィス等に設置されるファクシミリ装置間で行なわれるが、営業員や販売員、あるいは運送会社の配送車等の移動する相手先にファクシミリ送信を行ないたいというニーズも多い。実際に、かつては携帯電話網を利用した携帯ファクシミリサービスが携帯電話事業者によって提供されていた。
【0004】
ところで、近年、ノートパソコンやPDA等の携帯端末の普及に伴い、これら携帯端末で作成した文書等を移動先で印刷したいというニーズが増えている。このようなニーズに対応して、電池内蔵型で、携帯端末と無線接続可能な、小型軽量の携帯型プリンタが実用化されている。携帯型プリンタは、例えば営業の出先で報告書や見積書を作成して印刷したり、出張修理や保守点検サービスの報告書を現地で作成して印刷したり、出張介護サービスにおいて出張先で患者の介護記録報告書を作成して印刷する等、様々な場面で活用されている。
【0005】
また、最近は携帯電話端末の高機能化が進み、携帯電話端末によって取得または作成した情報を携帯型プリンタで印刷したいというニーズも増えている。このように携帯電話端末において作成した文書等を携帯型プリンタで印刷するためのシステムが、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、携帯電話端末においてユーザが入力した内容を、ネットワーク上のサーバにおいて携帯型プリンタに適合したデータ形式(すなわち、プリンタにおいてラスタライズをする必要のない形式)へ変換処理を行い、変換されたデータを携帯電話端末が受信してプリンタへ送信し、プリンタにて印刷を行っている。このシステムでは、サーバを利用することで携帯電話端末およびプリンタにおけるデータ変換処理の負担を軽減させることができる。
【0006】
また、近年、ファクシミリ機能に加えて、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能等の様々な機能を複合したデジタル複合機が普及している。デジタル複合機の多くは、ネットワーク接続が可能であり、例えばスキャナ機能によって取り込んだ画像データをTIFF形式等の汎用フォーマットの画像ファイルに変換し、電子メールの添付ファイルとしてネットワーク経由で指定のアドレスに送信する、スキャナ画像メール送信機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−328391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ファクシミリ通信は送信側端末と受信側端末が直接通信を行なうため、送受信側が共に通信可能な状態になければファクシミリを送信することができない。受信先が携帯端末の場合、電波状態の良くない場所にいるため受信不能であることも少なくない。従って、送信エラーが頻繁に発生し、その都度再送信しなければならないため、使い勝手が悪い。
【0009】
また、最近の携帯電話システムでは、高い圧縮率で音声信号(すなわちファクシミリ信号)の圧縮処理が行われている。このような携帯電話システムによって伝送されたファクシミリ信号は、高周波数成分がカットされる等により信号波形が大きく変化するため、正常に復号することができない。このため、携帯電話システムの更新に伴って携帯ファクシミリサービスが廃止され、移動する相手先にファクシミリ送信したいというニーズに対する有効な解決手段が途絶えてしまっている。
【0010】
また、上述のデジタル複合機のスキャナ画像メール送信機能を利用して原稿のスキャナ画像ファイルを添付した電子メールを携帯電話端末に送信し、携帯電話端末のユーザが受信した電子メールに添付されたスキャナ画像ファイルを一旦携帯電話端末内に保存し、特許文献1に記載の印刷システムを利用して保存したスキャナ画像ファイルを印刷することにより、携帯ファクシミリサービスと同様の処理を実現することができる。しかし、この方法では、送信側では通常のファクシミリ送信と同等の簡単な操作によってスキャナ画像ファイルを送信することができるが、受信側ではスキャナ画像ファイルを一旦保存し、更に印刷したいスキャナ画像ファイルを選択するという面倒な処理を行わなければならない。また、容量の大きい画像データを携帯電話網を介して何度も送信することになるため、通信コストが高くつき、通信に長時間を要するといった問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、通信端末から送信された画像データを、携帯端末を使用して、外出先でいつでも簡単に取得して印刷することが可能な携帯端末印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明により、サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有する携帯端末印刷システムが提供される。本システムの通信端末は、プリンタで印刷するための画像データを添付した電子メールをサーバへ送信する画像添付メール送信手段を備える。また、本システムのサーバは、電子メールを送受信するメール送受信手段と、携帯端末と通信を行なう通信手段と、通信端末から受信した電子メールに添付された画像データをプリンタが使用可能な印刷データに変換するための画像データ変換手段と、通信手段を介して、携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて変換した印刷データを携帯端末へ送信する、印刷データ送信手段とを備える。また、本システムの携帯端末は、無線リンクを介してサーバと通信するための無線通信手段と、外部機器と通信するための外部機器通信手段と、印刷データをサーバに要求する要求手段と、サーバから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、外部機器通信手段を介して、受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示をプリンタへ送信する印刷指示手段とを備えている。また、本システムのプリンタは、携帯端末から印刷データ及び印刷指示を受信し、受信した印刷データ及び印刷指示に基づき印刷を行う印刷手段を備えている。
【0013】
この構成によれば、通信端末から送信された画像データを添付したメールがサーバで中継され、サーバにて該画像データがプリンタでの印刷に適した形式へ変換された後、携帯端末に転送され、更に携帯端末を経由してプリンタで印刷される。このため、通信端末において単にプリンタで印刷したい画像データを添付したメールを送信するだけで、外出先でも携帯端末を用いて簡単な操作で印刷を行うことができる。また、比較的に処理能力の低い携帯端末や携帯プリンタにて計算量の多い画像データの変換処理を行ったり、携帯端末から、サーバへ画像データを送信して変換処理を行うなどの無駄な処理を省くことができる。さらに、本システムによれば、ファクシミリ通信とは異なり、通信端末が画像データを送信すると同時に携帯端末が印刷データを受信する必要がない。このため、携帯端末が受信不可能な状態にあっても、通信端末から画像データを確実に送信することができる。また、携帯端末側でも印刷データをいつでも受信することができる。従って、受信状態が不安定な従来の携帯ファクシミリと比べて、確実な画像送信が可能であり、かつ利便性がよい。
【0014】
また、本発明のプリンタが使用可能な印刷データとは、ラスタ形式の印刷データであってもよい。このように、画像データがサーバにてラスタ形式の印刷データに変換された上で、携帯端末およびプリンタに送信されることにより、携帯端末やプリンタの内部でラスタライズ等の処理を行う必要がなくなり、計算量の多いデータ変換処理を行うことなく印刷を実行可能となる。
【0015】
また、本発明の携帯端末印刷システムにおいて、サーバはプリンタで印刷するための画像データを受信したことを携帯端末に通知する通知手段を更に備えていてもよい。
【0016】
この構成により、携帯端末のユーザは印刷すべき画像データをサーバが受信していることを知ることができる。このため、サーバに印刷すべきデータが無いときに不要な印刷データの要求をサーバに送ることがなくなり、通信コストや手間を削減することができる。
【0017】
また、本発明の携帯端末印刷システムでは、サーバは、携帯端末の識別情報と、該サーバを示すものであって該携帯端末に対応する専用メールアドレスとが関連付けて保持されたテーブルを記憶するデータ記憶手段と、該テーブルを参照して、通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに基づいて、該電子メールに添付された画像データから変換される印刷データの送信先とすべき携帯端末を特定するアドレス特定手段とを更に備えていてもよい。この場合において、画像添付メール送信手段は、印刷データの送信先とすべき携帯端末に対応する専用メールアドレスを宛先アドレスとして、画像データを添付した電子メールをサーバへ送信し、印刷データ送信手段は、要求のあった携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末を送信先とすべき印刷データを送信するようにしてもよい。
【0018】
このように各携帯端末に対応した専用メールアドレスを宛先アドレスとすることによって印刷データの送信先となる携帯端末を指定する構成により、既存のデジタル複合機の多くに採用されているスキャナ画像メール送信機能を利用して印刷用データを送信することが可能となる。また、PCから送信する場合でも、アドレス帳から対応する専用メールアドレスを指定して送信するだけの簡単な操作で送信処理を行うことができる。また、サーバが専用メールアドレスと携帯端末とを関連付けたテーブルを保持する構成により、上記の機能を容易に実現することができる。
【0019】
また、テーブルには、更に携帯端末を示す携帯メールアドレスが関連付けて保持されていてもよい。この場合、アドレス特定手段は、テーブルを参照して、通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに対応する携帯メールアドレスを特定することができる。また、通知手段による通知は、携帯端末への通知メールの送信であってもよい。この場合、該通知メールは特定された携帯メールアドレスを宛先アドレスとして送信されるようにすることができる。
【0020】
このように任意のタイミングで略リアルタイムに通知を行なう手段として、電子メールは好適である。テーブルに携帯メールアドレスも関連付けて保持させることにより、印刷データを送付すべき携帯端末に電子メールで通知することが容易に実現される。
【0021】
また、サーバは、携帯端末からのアクセスが正当であるか否かを判断する認証手段を更に備えていてもよい。この場合、印刷データ送信手段は、認証手段において携帯端末からのアクセスが正当であると判断された場合にのみ、印刷データを当該携帯端末に送信するようにすることができる。
【0022】
この構成により、サーバに登録されていない携帯端末による不正なデータ取得を防ぐことができる。
【0023】
また、テーブルには、更に携帯端末ごとのパスワードが関連付けて保持されていてもよい。この場合、認証手段は、識別情報とパスワードに基づいて認証を行なうようにしてもよい。
【0024】
すなわち、テーブルに認証情報も保持させることにより、パスワード認証も容易に行なうことができる。
【0025】
また、テーブルには、更に通信端末のリストが関連付けて保持されていてもよい。この場合、印刷データ送信手段は、画像データを添付した電子メールを送信した通信端末が通信端末のリストに含まれている場合にのみ、印刷データを当該携帯端末に送信するように構成することもできる。
【0026】
この構成により、送信者を限定することができ、迷惑メール等の被害を防止することができる。
【0027】
また、サーバは、印刷データをアドレス特定手段によって特定された携帯端末と関連づけて記憶する印刷データ記憶手段を更に備えていてもよい。この構成により、画像データの送信者が指定した携帯端末のみに印刷データを送信する機能を容易に実現することができる。
【0028】
また、携帯端末は、さらに、サーバから受信した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、プリンタによる印刷が終了した後で該印刷データを記憶手段から削除する印刷データ削除手段とを備えていてもよい。また、携帯端末は、さらに、印刷が正常に終了したことをサーバに通知する印刷終了通知手段を備え、サーバは、さらに、携帯端末からの印刷終了通知を受けて、印刷データ記憶手段に記憶された印刷データを削除するように構成されていてもよい。
【0029】
この構成により、印刷データが蓄積され、サーバおよび携帯端末の記憶容量がなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0030】
また、外部機器通信手段は、BluetoothやIrDA等の無線通信によって外部機器との通信を行なうものであってもよい。無線通信を用いることにより、プリンタと携帯端末との接続が容易であり、使い勝手が向上する。特に、Bluetooth等の電波を使用した通信は指向性が低いため、携帯端末とプリンタとの配置や配向に気を遣う必要がなく扱い易い。
【発明の効果】
【0031】
したがって、本発明によれば、デジタル複合機等から送信された画像データを、携帯電話端末を使用して、移動先でいつでも簡単に印刷することが可能な携帯端末印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る携帯端末印刷システムを示す図である。
【図2】デジタル複合機100の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るサーバ装置200の構成を示すブロック図である。
【図4】データベースに登録される利用者テーブルを示す図である。
【図5】携帯電話端末300の構成を示すブロック図である。
【図6】携帯プリンタ500の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る携帯端末印刷システムを構成する装置間の通信手順の概要を説明する図である。
【図8】サーバ装置200において実行される通知メール送信処理を説明するフローチャートである。
【図9】携帯電話端末300において実行される処理を説明するフローチャートである。
【図10】サーバ装置200において実行される処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係る携帯端末印刷システムについて説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る携帯端末印刷システム1の構成を示す図である。携帯端末印刷システム1は、インターネット10、携帯電話網20、デジタル複合機100、サーバ装置200、携帯電話端末300、及び携帯プリンタ500から構成される。デジタル複合機100及びサーバ装置200はインターネット10に接続されている。携帯電話端末300は、基地局21との間の無線リンク22を介して携帯電話網20に接続可能となっている。また、携帯電話網20もインターネット10に接続されており、携帯電話端末300は携帯電話網20を介してインターネット10上の各装置と通信を行なうことができる。また、携帯プリンタ500はBluetooth(登録商標)によって携帯電話端末300と通信可能である。
【0035】
まず、デジタル複合機100の具体的な構成について図2を参照して説明する。図2はデジタル複合機100の構成を示す図である。デジタル複合機100は、装置全体を統括制御する制御部110、各種データやプログラムを記憶する記憶部120、ユーザからの入力を受け付けるための各種キーやタッチパネルからなる入力部130、原稿を光学的に読み取り画像データに変換するスキャナ部140、乾式電子写真方式により用紙への印刷を行なうプリンタ部150、電話回線に接続してファクシミリ信号の送受信を行なうファクシミリ送受信部160、メールの送受信を行なうメール送受信部170、インターネットに接続して通信を行なうためのネットワーク・インタフェース180等から構成される。制御部110は、バス102を介して上記の他の構成要素と接続している。
【0036】
デジタル複合機100は、オフィス等に設置されており、通常のファクシミリ送受信機能の他に、スキャナ画像メール送信機能を備えている。スキャナ画像メール送信機能とは、送信したい原稿の画像データをスキャナ機能によって読み取り、読み取った画像データをTIFF形式などの汎用のファイル形式の画像ファイルに変換して、電子メールに添付してインターネット10(またはイントラネット)上の端末に送信する機能である。また、デジタル複合機100は、スキャナ画像メール送信において宛先に使用するアドレスを予め登録するためのアドレス帳を記憶部120内に保持している。
【0037】
ところで、本実施形態においては、携帯端末印刷システムの利用者として登録されたユーザ(携帯端末の使用者)には、各携帯端末に対応するシステム専用メールアドレスが例えば本システムの管理会社から割り当てられる。このシステム専用メールアドレスは、携帯電話事業者によって各携帯電話端末に割り当てられるメールアドレスではなく、本携帯端末印刷システム1の管理者によって本携帯端末印刷システムにユーザ登録された各携帯端末に対して割り当てられる本携帯端末印刷システム専用のメールアドレスである。すなわち、システム専用メールアドレスを宛先とする電子メールは、各携帯端末にではなく、例えば本携帯端末印刷システムの管理会社が運営するサーバ装置200に届けられる。利用者が本携帯端末印刷システム1を利用するにあたっては、後述するように画像ファイルを添付した電子メールを送付する際には、このシステム専用メールアドレスが宛先アドレスとして使用される。そのため、デジタル複合機100のアドレス帳には、ユーザ名と共にシステム専用メールアドレスが予め登録されている。この登録は、デジタル複合機100のユーザによって、当該複合機のマニュアルに従って例えば入力部130を操作して行なわれる。本携帯端末印刷システム1のシステム専用メールアドレスの詳細については、後述する。
【0038】
上記の構成により、デジタル複合機100のスキャナ画像メール送信機能を用いて、携帯プリンタ500で印刷したい原稿のスキャナ画像を添付した電子メールをサーバ装置200へ送信することができる。
【0039】
次に本発明の携帯端末印刷システム1におけるサーバ装置200について説明する。図3は、サーバ装置200の主な構成を示す図である。サーバ装置200は、装置全体を統括制御する制御部210、各種データやプログラムを記憶する記憶部220、後述する利用者テーブル232、234やプリントファイル等の本携帯端末印刷システム1のユーザ情報を記憶するためのデータベース230、複合機100等から受信した電子メールに添付された画像ファイルを携帯プリンタ500が印刷用データとして利用可能なプリンタファイル形式(拡張子prn)のプリントファイルに変換する画像データ変換部240、HTTP等のプロトコルによって外部端末のWebアプリケーション(例えば、PCや携帯電話端末のWebブラウザや、後述する携帯電話端末の専用アプリケーション等)との通信を行なうWebサーバ部250、メールの送受信を行なうメール送受信部260、インターネットに接続して通信を行なうためのネットワーク・インタフェース270等から構成される。制御部210は、バス202を介して上記の他の構成要素と接続している。
【0040】
図4は、データベース230が保持する利用者テーブル232及び234を示す。利用者テーブル232、234は、例えば本携帯端末印刷システム1の管理会社と契約する企業や団体等の利用者グループ毎に作成される。図4(a)の利用者テーブル232はX社用のテーブルであり、図4(b)の利用者テーブル234はY社用のテーブルである。各利用者テーブル232、234には、ユーザ登録した利用者の氏名、システム専用メールアドレス、携帯電話端末メールアドレス、本携帯端末印刷システム1においてユーザ認証に使用するID及びパスワード等が、それぞれ利用者(具体的にはID)に対応して記録されている。利用者テーブル232、234に記録されるこれらの情報は、ユーザ登録時にシステム管理者によってサーバ装置200に直接入力される。また、利用者テーブル232、234に記録される情報は、PCや各利用者の携帯端末から、HTTP等のプロトコルを用いてインターネット10を介してサーバ装置200にアクセスして、Webサーバ部250が提供するWebページのフォームを使ってユーザ自身によって入力や変更等を行なうこともできる。
【0041】
本実施形態では、システム専用メールアドレスの一部(ドメイン名)が利用者グループ毎に異なったものに設定されているため、システム専用メールアドレスの一部から当該ユーザの所属する利用者グループを特定することができる。また、システム専用メールアドレスと携帯電話端末メールアドレスとは1対1で対応しており、システム専用メールアドレスから対応する携帯端末を特定することができる。従って、サーバ装置200は、デジタル複合機100から受信したメールの宛先アドレス(システム専用メールアドレス)によって当該宛先アドレスに対応する利用者グループを特定して、その利用者グループ用の利用者テーブルを参照することにより、当該宛先アドレスに対応する携帯電話端末メールアドレスを取得することができる。
【0042】
次に、図5を参照して携帯電話端末300の具体的構成について説明する。図5は携帯電話端末300の構成を示す図である。携帯電話端末300は、装置全体を統括制御する制御部310、各種データやアプリケーション等のプログラムを記憶する記憶部320、ユーザ入力を受け付けるための数字キーや方向キー等からなる入力部330、液晶や有機ELディスプレイ等からなる表示部340、メールの送受信を行なうメール送受信部350、CDMA2000等の通信方式に基づいて携帯電話網20と接続して通信を行なうための携帯電話網接続部360、Bluetooth規格に基づく短距離無線通信(以下「Bluetooth通信50」という。)を行うためのBluetooth通信部370等から構成される。制御部310は、バス302を介して上記の他の構成要素と接続している。
【0043】
また、携帯電話端末300の記憶部320には本携帯端末印刷システム1専用の携帯印刷アプリケーションがインストールされている。携帯印刷アプリケーションは、HTTPを用いてサーバ装置200にアクセスして、データベース230に記憶されたプリントファイルをダウンロードし、次いでBluetooth通信50によってプリントファイルを携帯プリンタ500に転送して当該プリントファイルの印刷を行なう、という一連の印刷処理を実行するためのアプリケーションである。記憶部320には、他にも例えばメールクライアントやWebブラウザ等のアプリケーションがインストールされている。
【0044】
次に、図6を参照して携帯プリンタ500の具体的構成について説明する。図6は携帯プリンタ500の構成を示す図である。携帯プリンタ500は、装置全体を統括制御する制御部510、印刷データ(プリントファイル)やプログラムを記憶する記憶部520、プリントファイルに基づいて感熱用紙に感熱方式で印刷を行なう印刷処理部530、Bluetooth規格に基づく短距離無線通信を行うためのBluetooth通信部540等から構成される。制御部510は、バス502を介して上記の他の構成要素と接続している。携帯プリンタ500は、Bluetooth通信50によって携帯端末からプリントファイル及び各種命令コードを受信し、受信したプリントファイル等に基づいて印刷処理を実行することができる。また、携帯プリンタ500は、図示しない電源装置を有しており、内蔵バッテリの他に家庭用電源や自動車のシガーソケットからの給電によって動作することができる。
【0045】
ここで、図7を参照して、本携帯端末印刷システム1において、デジタル複合機100、サーバ装置200、携帯電話端末300及び携帯プリンタ500の間で行なわれる通信の概要を説明する。図7は、本携帯端末印刷システム1において、デジタル複合機100で取り込まれた画像データが携帯プリンタ500で印刷されるまでに、本システム1を構成する各装置間で行なわれる通信手順の概要を示した図である。
【0046】
まず、デジタル複合機100で取り込まれた原稿の画像ファイルが、電子メールの添付ファイルとして、インターネット10を経由してサーバ装置200に送信される(S1)。次いで、サーバ装置200において添付ファイルに基づいて携帯プリンタ500が利用可能なプリントファイルを生成するとともに、印刷すべき画像ファイルが着信したことを知らせる通知メールをインターネット10及び携帯電話網20を介して携帯電話端末300に送信する(S2)。通知メールの受信を確認した携帯電話端末300のユーザが本システム専用の携帯印刷アプリケーションを起動すると、携帯電話端末300は、プリントファイルの送信をサーバ装置200に要求する(S3)。要求を受けたサーバ装置200は、生成したプリントファイルを携帯電話端末300に送信する(S4)。なお、本実施形態におけるS3及びS4の通信は、サーバ装置200のWebサーバ部と携帯電話端末300で起動される携帯印刷アプリケーションとの間でHTTPによって行なわれる。次に、携帯電話端末300は、受信したプリントファイルを携帯プリンタ500に転送するとともに、当該プリントファイルの印刷実行を指示する命令コードを携帯プリンタ500に送信し(S5)、携帯プリンタ500は受信したプリントファイル及び命令コードに基づいて印刷を実行する。
【0047】
次に、図8から図10のフローチャートを参照しながら、本発明の実施形態おけるサーバ装置200と携帯電話端末300において行なわれる具体的な処理について説明する。
【0048】
図8は、サーバ装置200において実行される通知メールの送信処理を説明するフローチャートである。この処理は、図7におけるS1からS2の処理に対応するものである。
【0049】
まず、サーバ装置200のメール送受信部260において、デジタル複合機100から画像ファイルが添付された電子メールを受信したか否かが判定される(S101)。デジタル複合機100から画像ファイルが添付された電子メールが受信されていれば(S101:YES)、本処理はS102へ進む。一方、デジタル複合機100から画像ファイルが添付された電子メールを受信していない場合は(S101:NO)、所定時間待機した後に再度S101の判断を行う。
【0050】
次に、S102では、受信した電子メールから、宛先アドレス(すなわち本印刷システムの専用メールアドレス)と、添付の画像ファイルとがそれぞれ抽出される。抽出された画像ファイルは、画像データ変換部240へ送られる。画像データ変換部では、抽出された画像ファイルがラスタライズされ、ラスタ形式の画像データに変換される(S103)。更に携帯プリンタにて利用可能なファイル形式のプリントファイルへ変換される(S104)。S103からS104において実行される処理は、例えば、一般的なPC用のプリンタドライバソフトウエアにおいて「ファイルへ出力」を選択した場合に実行される処理に相当する。また、上記のようにラスタ形式の中間画像データを生成せずに、画像ファイルから直接プリントファイルを生成してもよい。
【0051】
次に、S102において抽出された宛先アドレス(システム専用のメールアドレス)に基づいて、宛先アドレスの利用者が属する利用者グループ(例としてX社)を特定する。そして、データベース230に保持されたX社用の利用者テーブル232を参照して、宛先アドレスに対応する利用者(ID)を特定し、対応する携帯電話端末のメールアドレスを取得する(S105)。
【0052】
上記ステップS104で生成されたプリントファイルは、ステップS105で特定された利用者に割り当てられた、データベース230内のディスク領域に保存される(S106)。最後に、メール送受信部260が、S105で取得した携帯電話端末300のメールアドレスへ、印刷すべき画像ファイルが着信した旨を通知する通知メールを送信して(S107)、通知メールの送信処理が終了する。
【0053】
次に、図9の処理について説明する。図9は、サーバ装置200のデータベース230に保存されたプリントファイルをダウンロードして、携帯プリンタ500に転送する際に、携帯電話端末において実行される処理を説明するフローチャートである。この処理は、図7におけるS3からS5の処理に対応する。また、この処理は、通知メールの受信を確認したユーザが起動する携帯印刷アプリケーションによって行なわれる。
【0054】
携帯印刷アプリケーションが起動すると、まず、携帯電話網接続部360から、携帯電話網20及びインターネット10を介してサーバ装置200へ印刷データ要求コマンドが送信される(S201)。この時、本携帯端末印刷システム用のIDとパスワードも要求コマンドと共にサーバ装置200へ送信される。なお、本実施形態においては、IDとパスワードは、携帯印刷アプリケーションを用いて予め記憶部320に記憶されており、携帯印刷アプリケーションが自動的に記憶部320から読み出して送信するようになっている。
【0055】
そして、送信した印刷データ要求コマンドに対する応答をサーバ装置200から受信すると(S202)、その応答メッセージにプリントファイルが含まれているか否かが判定される(S203)。サーバからの応答メッセージにプリントファイルが含まれている場合は(S203:YES)、該プリントファイルを記憶部320へ保存する(S204)。一方、サーバからの応答メッセージにプリントファイルが含まれていない場合は(S203:NO)、表示部340にその旨を通知するメッセージが表示され(S209)、本処理はS212へ進む。
【0056】
また、S204にてプリントファイルが保存されると、続くS205にて、該プリントファイルを印刷するか否かが判定される。具体的には、表示部340に印刷を行うか否かをユーザに問うためのダイアログが表示され、利用者による入力部330へのキー入力操作によって印刷を行うか否かの指示が入力される。利用者によりプリントファイルの印刷が選択された場合(S205:YES)、プリントファイルを記憶部320から呼び出し、Bluetooth通信50によって、印刷を指示する命令コードとともにプリントファイルをプリンタ500へ送信する(S206)。
【0057】
次に、S207において、携帯プリンタ500による印刷処理が正常に終了したか否かが判定される。例えば、携帯プリンタ500からエラーメッセージを受信したり、プリントファイル送信後に一定時間にわたって携帯プリンタ500から応答が無い場合には、印刷処理が正常に終了されなかったと判断される。ここで、印刷処理が正常に終了したと判断されると、S208に進み、再度印刷を行うか否かが判定される。具体的には、同じプリントファイルのデータをもう一部印刷するか否かを利用者に問うダイアログが表示部340に表示され、利用者による入力部330へのキー入力操作によって再度印刷を行うか否かの指示が入力される。そして、利用者により再度印刷を行うことが指示された場合は(S208:YES)、ステップS206へ戻り、再度携帯プリンタ500へプリントファイルを送信して、印刷処理を行う。また、再度印刷を行わないことが指示された場合は(S208:NO)、記憶部320に保存されているプリントファイルを削除する(S210)。この処理により、プリントファイルの蓄積によって携帯電話端末300の記憶部320の容量が不足することを防ぐことができる。その後、サーバ装置200に対し、印刷が終了した旨の通知を行い(S211)、S212へ進む。また、S207において正常に終了していないと判定された場合(S207:NO)にも、本処理はS212へ進む。
【0058】
S212では、携帯印刷アプリケーションを終了するか否かが判断される。ここでは、携帯印刷アプリケーションを終了するか否かをユーザに問うダイアログを表示部340に表示させ、利用者による入力部330のキー入力操作によってアプリケーションを終了するか否かの指示が入力される。ここで、携帯印刷アプリケーションの終了が指示されると(S212:YES)、本処理は終了する。一方、携帯印刷アプリケーションを終了しないと指示された場合(S212:NO)、本処理はステップS201に戻り、サーバ装置200に対して印刷データ要求コマンドの送信を行う。
【0059】
携帯プリンタ500では、受信したプリントファイル及び命令コードに基づいて印刷処理が行われる。本発明の携帯端末印刷システムでは、プリンタファイル形式のプリントファイルが携帯プリンタ500に提供されるため、携帯プリンタ500が例えばベクタ形式からラスタ形式へ変換するラスタライズ等の処理を行わなくても印刷を行なうことができる。したがって、携帯プリンタ500では、計算量の多いデータ変換処理を行うことなく印刷を実行可能である。
【0060】
次に、携帯電話端末300の携帯印刷アプリケーションが上記の図9の処理を行っている間にサーバ装置200において実行される、図10のフローチャートに示される処理について説明する。まず、S301において、携帯電話端末300からWebサーバ部240へのHTTPによるアクセスがあったか否か、すなわちHTTPメッセージを受信したか否かが判定される。携帯電話端末300からアクセスがあった場合(S301:YES)、処理はS302へ進む。一方、携帯電話端末300からHTTPメッセージを受信していない場合は(S301:NO)、HTTPメッセージを受信するまで待機する。
【0061】
続くS302では、携帯電話端末300から受信したHTTPメッセージに含まれるIDおよびパスワードが、データベース部230の利用者テーブル232に登録されている情報と一致するか否かが判定される。このようにIDとパスワードを用いて携帯電話端末300の認証を行うことにより、登録ユーザ以外の携帯端末による不正なアクセスを防ぐことができる。
【0062】
そして、S302にて、受信したIDおよびパスワードが利用者テーブル232に登録されている情報と一致した場合(S302:YES)、携帯電話端末300から受信したメッセージが、印刷データ要求コマンドを含んでいるか否かが判定される(S303)。一方、ID又はパスワードが利用者テーブル232に登録されている情報と異なる場合は(S302:NO)、Webサーバ部250より、ID又はパスワードが異なる旨を携帯電話端末300に通知し(S306)、本処理はS310へ進む。
【0063】
S303にて、受信メッセージが印刷データ要求コマンドを含んでいると判定された場合(S303:YES)、本処理はステップS304へ進み、要求コマンドの送信元である携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域にプリントファイルが存在するか否かが判定される。また、受信メッセージが印刷データ要求コマンドを含んでいない場合(S303:NO)、本処理は、S307へ進む。
【0064】
次に、要求コマンドを送信した携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域にプリントファイルが存在すると判定された場合(S304:YES)、Webサーバ部250によって、当該プリントファイルがインターネット10及び携帯電話網20を介して携帯電話端末300へ送信される(S305)。一方、携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域にプリントファイルが存在しない場合は(S304:NO)、Webサーバ部250により、送信すべきプリントファイルがない旨を携帯電話端末300へ通知する(S309)。S309の通知をした後、本処理はS310へ進む。
【0065】
ここで、携帯電話端末300から受信したHTTPメッセージが、印刷データ要求コマンドを含んでいない場合(S303:NO)、S307において当該HTTPメッセージに印刷終了の通知が含まれているか否かが判定される。
【0066】
携帯電話端末300からのHTTPメッセージに、印刷終了の通知が含まれている場合(S307:YES)、データベース230の携帯電話端末300の利用者に割り当てられたディスク領域に記憶されているプリントファイルが削除される(S308)。
【0067】
また、携帯電話端末300からのメッセージが、印刷終了の通知ではない場合(S307:NO)、本処理はS310へ進む。
【0068】
S310においては、システム管理者によるサーバ装置200への入力操作等によって、本印刷システムのサービス停止が指示されているか否かが判断される。サービス停止が指示されている場合には(S310:YES)、本処理は終了する。サービス停止が指示されていない場合には(S310:NO)、本処理はS301へ戻り、携帯電話端末300からのHTTPメッセージを受信するまで待機する。
【0069】
以上に説明したように、本発明によれば、オフィス等に設置されたデジタル複合機等から送信された画像ファイルが、ネットワーク上のサーバにおいて携帯プリンタに適合したデータ形式(例えば、プリンタファイル形式)へ変換され、携帯端末へ送信される。そして、携帯端末は、その変換されたデータを取得して、そのまま携帯プリンタへ転送し、プリンタにて印刷を行う。これにより、携帯端末の種類を問わず、従来のファクシミリ送信のようにデジタル複合機を用いて書類の画像データを取り込んで送信するだけで、その携帯端末に接続されたプリンタを用いて、いつでも簡単に送信された画像ファイルを印刷することができる。また、サーバにてプリンタに適合したデータ形式に画像データが変換されるため、携帯端末や携帯プリンタの内部でラスタライズ等の処理を行う必要がない。携帯端末や携帯プリンタは、小型軽量化を実現するために、一般に極めて限定的な処理能力しか備えていない。また、ラスタライズ等の画像処理は計算量が多いため、携帯端末等の非力な装置において処理を行うと非常に長い処理時間が必要となり、実用に適さない。本発明の印刷システムでは、上記のように計算量の多い画像処理を非力な携帯端末や携帯プリンタでは行わず、処理速度の速いサーバで行うことにより、全体として大幅に処理時間を削減することができる。また、本発明では、携帯電話端末は、通信圏内であればどこででもインターネット10への接続が可能であるため、ユーザは、携帯型のプリンタと共に、どこででも本システムを利用してプリントデータを受信して印刷することができる。さらに、本発明の印刷システムでは、デジタル複合機等で画像データをサーバに送信してアップロードした後であれば、いつでも携帯端末でプリントデータをサーバからダウンロードして印刷することができる。従って、従来の携帯ファクシミリのように、送信するタイミングに合わせて携帯端末側で受信/印刷の準備を行なう必要がなく、また、受信側の携帯端末が通信圏外にあるときに送信しても送信エラーとなることがない。すなわち、送信側も受信側も都合のよいときに確実に送受信できるため使い勝手が良い。
【0070】
また、本実施形態では、サーバにおいて、プリンタファイル形式のプリントファイルが生成される。例えばポストスクリプト(登録商標)形式のようなベクタ形式のプリントファイルがサーバから供給される構成にすると、ラスタライズ等の処理を行うために比較的高性能なプリンタを必要とする。しかし、汎用性の高いラスタ形式であるプリンタファイル形式でプリントファイルが供給されれば、使用できるプリンタの選択の幅が広がり、非力な携帯型の小型のプリンタを採用することができる。
【0071】
以上が本発明の実施形態であるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば、本実施形態では、通信端末としてデジタル複合機が使用されるが、通信端末はデジタル複合機に限定されるものではなく、インターネット10を通じてサーバにデータを送信可能な通信端末、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等であっても良い。また、送信する画像データはスキャナ機能によって原稿から読み取ったものに限らず、例えばPC等で作成した画像データであってもよい。また、通信端末から電子メールに添付して送信される画像ファイルの形式はTIFF形式に限らず、PDF形式、GIF形式、JPEG形式、ビットマップ形式等、他のフォーマットであってもよい。また、本実施形態においては携帯端末として携帯電話端末を例に挙げて説明したが、これも携帯電話端末に限定されるものではなく、インターネット10および携帯プリンタ500と通信可能な端末機器、例えば、ノート型PCやPDA等であってもよい。この場合、携帯電話網以外の無線リンク、例えば無線LAN(ホットスポット等)等の別の種類の無線リンクであってもよい。また、本実施形態においては、デジタル複合機等の送信側端末とサーバ、あるいはサーバと携帯電話網はインターネットで接続されているが、このネットワークはインターネットに限定されず、イントラネットや専用線等の他の種類のネットワークで接続されていてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、携帯電話端末300における図9の処理のS212において、携帯印刷アプリケーションを終了するか否かを判定しているが、別の実施の形態では、利用者によって携帯電話端末300の入力部330の所定の入力キーを操作することにより、処理中のどの段階においても該アプリケーションを終了することができるようにしても良い。
【0073】
また、本実施形態では、S205にて印刷を行うか否かをユーザに確認した上で印刷を行うように構成されているが、別の実施の形態においては、ユーザへの確認は行わずに、サーバからプリントファイルを受信した時点で、自動的にプリンタへ印刷データと印刷命令を送信するように構成しても良い。
【0074】
また、サーバ装置200が、特定の差出人アドレスから送信された画像ファイルのみを処理するように構成されてもよい。例えば、利用者テーブル232、234に、各ユーザの携帯端末を宛先とする画像データの送信が許可された差出人アドレスのリストをIDと関連づけて保持させ、画像ファイル添付メールの差出人アドレスが当該リストに含まれている場合にのみ図8の処理を行うようにすることができる。このような構成にすると、例えば迷惑メール等の被害を防ぐことができる。
【0075】
なお、本明細書又は図面に記載される「EZweb」はKDDI株式会社の登録商標である。
【符号の説明】
【0076】
10 インターネット
20 携帯電話網
50 Bluetooth通信
100 デジタル複合機
200 サーバ
230 データベース
232、234 利用者テーブル
240 画像データ変換部
300 携帯電話端末
360 携帯電話網接続部
370 Bluetooth通信部
500 携帯プリンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有し、
前記通信端末は、前記プリンタで印刷するための画像データを添付した電子メールを前記サーバへ送信する画像添付メール送信手段を備え、
前記サーバは、
電子メールを送受信するメール送受信手段と、
前記携帯端末と通信を行なう通信手段と、
前記通信端末から受信した電子メールに添付された前記画像データを前記プリンタが使用可能な印刷データに変換するための画像データ変換手段と、
前記通信手段を介して、携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて前記変換した印刷データを前記携帯端末へ送信する、印刷データ送信手段とを備え、
前記携帯端末は、
無線リンクを介して前記サーバと通信するための無線通信手段と、
外部機器と通信するための外部機器通信手段と、
前記印刷データを前記サーバに要求する要求手段と、
前記サーバから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記外部機器通信手段を介して、前記プリンタへ前記受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示を送信する印刷指示手段とを備え、
前記プリンタは、
前記携帯端末から印刷データ及び印刷指示を受信し、受信した印刷データ及び印刷指示に基づき印刷を行う印刷手段を備える
ことを特徴とする携帯端末印刷システム。
【請求項2】
前記プリンタが使用可能な印刷データはラスタ形式の印刷データであることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記プリンタで印刷するための画像データを受信したことを前記携帯端末に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記携帯端末の識別情報と、該サーバを示すものであって該携帯端末に対応する専用メールアドレスとが関連付けて保持されたテーブルを記憶するデータ記憶手段と、
前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに基づいて、該電子メールに添付された画像データから変換される印刷データの送信先とすべき携帯端末を特定するアドレス特定手段と、
を更に備え、
前記画像添付メール送信手段は、前記印刷データの送信先とすべき携帯端末に対応する専用メールアドレスを宛先アドレスとして、前記画像データを添付した電子メールを前記サーバへ送信し、
前記印刷データ送信手段は、前記要求のあった携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末を送信先とすべき印刷データを送信することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項5】
前記テーブルには、更に前記携帯端末を示す携帯メールアドレスが関連付けて保持されており、
前記アドレス特定手段は、前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに対応する携帯メールアドレスを特定し、
前記通知手段による通知は、前記携帯端末への通知メールの送信であり、該通知メールは前記特定された携帯メールアドレスを宛先アドレスとして送信されることを特徴とする請求項4に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記携帯端末からのアクセスが正当であるか否かを判断する認証手段を更に備え
前記印刷データ送信手段は、前記認証手段において前記携帯端末からのアクセスが正当であると判断された場合にのみ、前記印刷データを当該携帯端末に送信することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項7】
前記テーブルには、更に携帯端末ごとのパスワードが関連付けて保持されており、
認証手段は、前記識別情報と前記パスワードに基づいて前記認証を行なうことを特徴とする請求項6に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項8】
前記テーブルには、更に通信端末のリストが関連付けて保持されており、
前記印刷データ送信手段は、前記画像データを添付した電子メールを送信した通信端末が前記通信端末のリストに含まれている場合にのみ、前記印刷データを当該携帯端末に送信することを特徴とする請求項4から7の何れかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記印刷データを前記アドレス特定手段によって特定された携帯端末と関連づけて記憶する印刷データ記憶手段を更に備えたことを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項10】
前記携帯端末は、さらに、前記サーバから受信した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、プリンタによる印刷が終了した後で該印刷データを前記記憶手段から削除する印刷データ削除手段とを備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項11】
前記携帯端末は、さらに、印刷が正常に終了したことをサーバに通知する印刷終了通知手段を備え、
前記サーバは、さらに、携帯端末からの印刷終了通知を受けて、印刷データ記憶手段に記憶された印刷データを削除することを特徴とする請求項10に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項12】
前記外部機器通信手段は、無線通信によって外部機器との通信を行なうことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項13】
前記外部機器通信手段は、Bluetooth規格に基づいて通信を行なうことを特徴とする請求項12に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項14】
前記携帯端末が、携帯電話端末であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項15】
通信端末および、プリンタが接続された携帯端末と通信可能なサーバであって、
電子メールを送受信するメール送受信手段と、
前記携帯端末と通信を行なう通信手段と、
前記通信端末から受信した電子メールに添付された前記画像データを前記プリンタが使用可能な印刷データに変換するための画像データ変換手段と、
前記通信手段を介して、携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて前記変換した印刷データを前記携帯端末へ送信する、印刷データ送信手段とを備えることを特徴とするサーバ。
【請求項16】
前記サーバは、前記プリンタで印刷するための画像データを受信したことを前記携帯端末に通知する通知手段と、
前記携帯端末の識別情報と、該サーバを示すものであって該携帯端末に対応する専用メールアドレスとが関連付けて保持されたテーブルを記憶するデータ記憶手段と、
前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに基づいて、該電子メールに添付された画像データから変換される印刷データの送信先とすべき携帯端末を特定するアドレス特定手段と、
を更に備え、
前記印刷データ送信手段は、前記要求のあった携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末を送信先として、印刷データを送信することを特徴とする請求項14に記載のサーバ。
【請求項17】
前記テーブルには、更に前記携帯端末を示す携帯メールアドレスが関連付けて保持されており、
前記アドレス特定手段は、前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに対応する携帯メールアドレスを特定し、
前記通知手段による通知は、前記携帯端末への通知メールの送信であり、該通知メールは前記特定された携帯メールアドレスを宛先アドレスとして送信されることを特徴とする請求項15に記載のサーバ。
【請求項18】
サーバおよびプリンタと通信可能な携帯端末であって、
無線リンクを介して前記サーバと通信するための無線通信手段と、
外部機器と通信するための外部機器通信手段と、
前記プリンタで印刷可能な印刷データを前記サーバに要求する要求手段と、
前記サーバから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記外部機器通信手段を介して、前記プリンタへ前記受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示を送信する印刷指示手段とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項19】
前記携帯端末は、さらに、前記サーバから受信した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、
プリンタによる印刷が終了した後で該印刷データを前記記憶手段から削除する印刷データ削除手段と、
印刷が正常に終了したことをサーバに通知する印刷終了通知手段を備えることを特徴とする請求項18に記載の携帯端末。
【請求項20】
サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有する携帯印刷システムにおいて、前記通信端末が送信する画像データを前記プリンタで印刷する方法であって、
前記通信端末において実行される、前記プリンタで印刷するための画像データを添付した電子メールを前記サーバへ送信するステップと、
前記サーバにおいて実行される、
前記電子メールを受信するステップと、
前記電子メールを受信した旨を前記携帯端末へ通知するステップと、
前記通信端末から受信した電子メールに添付された画像データを前記プリンタが使用可能な印刷データに変換するステップと、
前記携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて前記変換した印刷データを前記携帯端末へ送信するステップと、
前記携帯端末において実行される、
前記サーバから印刷データを受信するステップと、
前記受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示を前記プリンタへ送信するステップと、
前記プリンタにおいて実行される、
前記携帯端末から印刷データ及び印刷指示を受信し、受信した印刷データ及び印刷指示に基づき印刷を行うステップと
を含む携帯端末印刷方法。
【請求項1】
サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有し、
前記通信端末は、前記プリンタで印刷するための画像データを添付した電子メールを前記サーバへ送信する画像添付メール送信手段を備え、
前記サーバは、
電子メールを送受信するメール送受信手段と、
前記携帯端末と通信を行なう通信手段と、
前記通信端末から受信した電子メールに添付された前記画像データを前記プリンタが使用可能な印刷データに変換するための画像データ変換手段と、
前記通信手段を介して、携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて前記変換した印刷データを前記携帯端末へ送信する、印刷データ送信手段とを備え、
前記携帯端末は、
無線リンクを介して前記サーバと通信するための無線通信手段と、
外部機器と通信するための外部機器通信手段と、
前記印刷データを前記サーバに要求する要求手段と、
前記サーバから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記外部機器通信手段を介して、前記プリンタへ前記受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示を送信する印刷指示手段とを備え、
前記プリンタは、
前記携帯端末から印刷データ及び印刷指示を受信し、受信した印刷データ及び印刷指示に基づき印刷を行う印刷手段を備える
ことを特徴とする携帯端末印刷システム。
【請求項2】
前記プリンタが使用可能な印刷データはラスタ形式の印刷データであることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記プリンタで印刷するための画像データを受信したことを前記携帯端末に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記携帯端末の識別情報と、該サーバを示すものであって該携帯端末に対応する専用メールアドレスとが関連付けて保持されたテーブルを記憶するデータ記憶手段と、
前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに基づいて、該電子メールに添付された画像データから変換される印刷データの送信先とすべき携帯端末を特定するアドレス特定手段と、
を更に備え、
前記画像添付メール送信手段は、前記印刷データの送信先とすべき携帯端末に対応する専用メールアドレスを宛先アドレスとして、前記画像データを添付した電子メールを前記サーバへ送信し、
前記印刷データ送信手段は、前記要求のあった携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末を送信先とすべき印刷データを送信することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項5】
前記テーブルには、更に前記携帯端末を示す携帯メールアドレスが関連付けて保持されており、
前記アドレス特定手段は、前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに対応する携帯メールアドレスを特定し、
前記通知手段による通知は、前記携帯端末への通知メールの送信であり、該通知メールは前記特定された携帯メールアドレスを宛先アドレスとして送信されることを特徴とする請求項4に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記携帯端末からのアクセスが正当であるか否かを判断する認証手段を更に備え
前記印刷データ送信手段は、前記認証手段において前記携帯端末からのアクセスが正当であると判断された場合にのみ、前記印刷データを当該携帯端末に送信することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項7】
前記テーブルには、更に携帯端末ごとのパスワードが関連付けて保持されており、
認証手段は、前記識別情報と前記パスワードに基づいて前記認証を行なうことを特徴とする請求項6に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項8】
前記テーブルには、更に通信端末のリストが関連付けて保持されており、
前記印刷データ送信手段は、前記画像データを添付した電子メールを送信した通信端末が前記通信端末のリストに含まれている場合にのみ、前記印刷データを当該携帯端末に送信することを特徴とする請求項4から7の何れかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記印刷データを前記アドレス特定手段によって特定された携帯端末と関連づけて記憶する印刷データ記憶手段を更に備えたことを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項10】
前記携帯端末は、さらに、前記サーバから受信した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、プリンタによる印刷が終了した後で該印刷データを前記記憶手段から削除する印刷データ削除手段とを備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項11】
前記携帯端末は、さらに、印刷が正常に終了したことをサーバに通知する印刷終了通知手段を備え、
前記サーバは、さらに、携帯端末からの印刷終了通知を受けて、印刷データ記憶手段に記憶された印刷データを削除することを特徴とする請求項10に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項12】
前記外部機器通信手段は、無線通信によって外部機器との通信を行なうことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項13】
前記外部機器通信手段は、Bluetooth規格に基づいて通信を行なうことを特徴とする請求項12に記載の携帯端末印刷システム。
【請求項14】
前記携帯端末が、携帯電話端末であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の携帯端末印刷システム。
【請求項15】
通信端末および、プリンタが接続された携帯端末と通信可能なサーバであって、
電子メールを送受信するメール送受信手段と、
前記携帯端末と通信を行なう通信手段と、
前記通信端末から受信した電子メールに添付された前記画像データを前記プリンタが使用可能な印刷データに変換するための画像データ変換手段と、
前記通信手段を介して、携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて前記変換した印刷データを前記携帯端末へ送信する、印刷データ送信手段とを備えることを特徴とするサーバ。
【請求項16】
前記サーバは、前記プリンタで印刷するための画像データを受信したことを前記携帯端末に通知する通知手段と、
前記携帯端末の識別情報と、該サーバを示すものであって該携帯端末に対応する専用メールアドレスとが関連付けて保持されたテーブルを記憶するデータ記憶手段と、
前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに基づいて、該電子メールに添付された画像データから変換される印刷データの送信先とすべき携帯端末を特定するアドレス特定手段と、
を更に備え、
前記印刷データ送信手段は、前記要求のあった携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末を送信先として、印刷データを送信することを特徴とする請求項14に記載のサーバ。
【請求項17】
前記テーブルには、更に前記携帯端末を示す携帯メールアドレスが関連付けて保持されており、
前記アドレス特定手段は、前記テーブルを参照して、前記通信端末から受信した電子メールの宛先アドレスである専用メールアドレスに対応する携帯メールアドレスを特定し、
前記通知手段による通知は、前記携帯端末への通知メールの送信であり、該通知メールは前記特定された携帯メールアドレスを宛先アドレスとして送信されることを特徴とする請求項15に記載のサーバ。
【請求項18】
サーバおよびプリンタと通信可能な携帯端末であって、
無線リンクを介して前記サーバと通信するための無線通信手段と、
外部機器と通信するための外部機器通信手段と、
前記プリンタで印刷可能な印刷データを前記サーバに要求する要求手段と、
前記サーバから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記外部機器通信手段を介して、前記プリンタへ前記受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示を送信する印刷指示手段とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項19】
前記携帯端末は、さらに、前記サーバから受信した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、
プリンタによる印刷が終了した後で該印刷データを前記記憶手段から削除する印刷データ削除手段と、
印刷が正常に終了したことをサーバに通知する印刷終了通知手段を備えることを特徴とする請求項18に記載の携帯端末。
【請求項20】
サーバと、該サーバとそれぞれ通信可能な通信端末および携帯端末と、該携帯端末と通信可能なプリンタとを有する携帯印刷システムにおいて、前記通信端末が送信する画像データを前記プリンタで印刷する方法であって、
前記通信端末において実行される、前記プリンタで印刷するための画像データを添付した電子メールを前記サーバへ送信するステップと、
前記サーバにおいて実行される、
前記電子メールを受信するステップと、
前記電子メールを受信した旨を前記携帯端末へ通知するステップと、
前記通信端末から受信した電子メールに添付された画像データを前記プリンタが使用可能な印刷データに変換するステップと、
前記携帯端末からの要求を受け付け、該要求に応じて前記変換した印刷データを前記携帯端末へ送信するステップと、
前記携帯端末において実行される、
前記サーバから印刷データを受信するステップと、
前記受信した印刷データ及び該印刷データの印刷指示を前記プリンタへ送信するステップと、
前記プリンタにおいて実行される、
前記携帯端末から印刷データ及び印刷指示を受信し、受信した印刷データ及び印刷指示に基づき印刷を行うステップと
を含む携帯端末印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−239223(P2012−239223A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180363(P2012−180363)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2008−73574(P2008−73574)の分割
【原出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【出願人】(308009967)株式会社鳳情報通信ネットワーク (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2008−73574(P2008−73574)の分割
【原出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【出願人】(308009967)株式会社鳳情報通信ネットワーク (2)
【Fターム(参考)】
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