説明

携帯端末及びその充電制御方法

【課題】充電器から供給される電力が動作に必要な電力に満たない場合であっても動作不能な状態に陥ることを回避できながらも、二次電池の不要な消費を抑える。
【解決手段】二次電池2に対する充電完了後において、外部電源アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯端末機1の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、外部電源アダプタ3から供給される電力によって動作し、外部電源アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯端末機1の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、二次電池2に充電された電力によって動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末及びその充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の高機能化に伴い、携帯電話機の消費電流は増加する傾向が進んでいるが、携帯電話機に装着される二次電池の電力容量は、携帯電話機の大きさや重量を鑑みた場合、大容量化が困難な状況にある。このため、使用者は、電池残量の低下に伴って充電を多用し、例えば、毎晩就寝前に携帯電話機を充電器に接続して充電を開始し、明朝まで携帯電話機を充電器に接続しておき、外出時等に携帯電話機を充電器から取り外して持ち運ぶといった使用方法をとることも多くなっている。
【0003】
一方、携帯電話機の充電動作においては、二次電池に実際に充電が行われているのは、携帯電話機が充電器に接続されてから1〜2時間程度であり、その後は、携帯電話機が充電器に接続されている状態であっても二次電池に対する充電動作は行われていない。
【0004】
図4は、携帯電話機に対する充電動作における電池容量及び電池電圧の変化の一例を示す図である。
【0005】
図4に示すように、携帯電話機に対する充電動作においては、二次電池に対する充電開始後、電池容量が所定の値となると充電が停止し、その後、二次電池の電圧が充電再開電圧まで低下すると、二次電池に対する充電が再開される。この動作が、携帯電話機内部の充電制御回路により自律的に繰り返し行われることになる。
【0006】
そのため、二次電池に対する充電が停止してから再開されるまでの間は、充電器が取り外されていないにも関わらず、携帯電話機が二次電池の電力で動作することになり、それにより、二次電池の電池容量が低下し、使用者が携帯電話機を充電器から取り外した時点で既に電池容量が若干でも低下していることに違和感をもつ可能性があった。
【0007】
ここで、AC電源アダプタによって充電されるバッテリーを内蔵したデジタルカメラにおいて、AC電源アダプタが接続されている状態においては、AC電源アダプタからデジタルカメラ本体に電力を供給する技術が特許文献1に開示されている。そこで、上述した携帯電話機等の携帯端末においても、この技術を用いれば、二次電池に対する充電完了後、携帯端末が充電器に接続されている状態においては、充電器から電力が供給されることになり、上記のような現象が生じることがなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−221470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したように、携帯端末が充電器に接続されている状態において携帯端末に充電器から電力が供給されるものは、充電完了後の携帯端末の動作電力が充電器から供給されることにより、二次電池の不要な消費を抑えることが可能となるが、充電器から供給される電力が携帯端末の動作に必要な電力に満たない場合、携帯端末が動作不能な状態に陥る虞れがある。
【0010】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、充電器から供給される電力が動作に必要な電力に満たない場合であっても動作不能な状態に陥ることを回避できながらも、二次電池の不要な消費を抑えることができる携帯端末及びその充電制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
二次電池が装着され、外部電源に接続された充電器から供給される電力によって前記二次電池が充電され、該二次電池に充電された電力または前記充電器から供給される電力によって動作する携帯端末であって、
前記携帯端末の動作を制御する内部回路部と、
前記充電器から供給される電力における電流値を測定する電流測定部と、
前記充電器から供給される電力の前記二次電池への充電を制御する充電制御部と、
前記二次電池に充電された電力と前記充電器から供給される電力とのいずれか一方を前記内部回路部に供給する電源切換え部とを有し、
前記内部回路部は、前記二次電池に対する充電完了後において、前記電流測定部にて測定された電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、前記充電制御部及び前記電源切換え部によって、前記充電器から供給される電力を前記内部回路部に供給するように制御し、前記電流測定部にて測定された電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、前記充電制御部及び前記電源切換え部によって、前記二次電池に充電された電力を前記内部回路部に供給するように制御する。
【0012】
また、二次電池が装着され、外部電源に接続された充電器から供給される電力によって前記二次電池が充電され、該二次電池に充電された電力または前記充電器から供給される電力によって動作する携帯端末の充電制御方法であって、
前記二次電池に対する充電完了後において、前記充電器から供給される電力における電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、前記充電器から供給される電力によって前記携帯端末を動作させ、前記充電器から供給される電力における電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、前記二次電池に充電された電力によって前記携帯端末を動作させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明においては、二次電池に対する充電完了後において、充電器から供給される電力における電流値が、携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、充電器から供給される電力によって動作し、充電器から供給される電力における電流値が、携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、二次電池に充電された電力によって動作する構成としたため、充電器から供給される電力が動作に必要な電力に満たない場合であっても動作不能な状態に陥ることを回避できながらも、二次電池の不要な消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の携帯端末の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した携帯電話機の充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示した携帯電話機における供給電力の切換え制御について説明するための図である。
【図4】携帯電話機に対する充電動作における電池容量及び電池電圧の変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の携帯端末の実施の一形態を示す図である。
【0017】
本形態は図1に示すように、携帯電話内部回路10と、充電制御部20と、電源切換え部30と、電流測定部40とを有し、二次電池2が装着される携帯電話機1であって、二次電池2の充電時には充電器となる外部充電アダプタ3が接続される。
【0018】
携帯電話内部回路10は、携帯電話機1の動作を制御するものであって、制御部11や無線部12を含んでいる。
【0019】
充電制御部20は、外部電源(不図示)に接続された外部充電アダプタ3から供給された電力を用いた二次電池2の充電及び充電制御を行い、二次電池2の充電状態を監視する。また、携帯電話内部回路10内の制御部11の制御により、携帯電話内部回路10への電力を行うべく定電圧電源から電力供給を行う。
【0020】
電源切換え部30は、携帯電話内部回路10内の制御部11もしくは充電制御部20からの制御により、携帯電話内部回路10に供給する電力を、二次電池2または外部充電アダプタ3から充電制御部20を経由したものとのいずれかに切り換える。
【0021】
電流測定部40は、外部充電アダプタ3から供給された電力における電流値を測定する。
【0022】
上記のように構成された携帯電話機1においては、外部電源に接続された外部充電アダプタ3から電力が供給されると、充電制御部20内の定電圧源や定電流源によって、二次電池2に対する充電が行われたり、携帯電話内部回路10に電力が供給されたりする。
【0023】
以下に、上述した携帯電話機1の充電制御方法について説明する。
【0024】
図2は、図1に示した携帯電話機1の充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0025】
図1に示した携帯電話機1が、外部電源に接続された外部充電アダプタ3に接続されると(ステップS1)、充電制御部20の制御によって、外部充電アダプタ3から供給される電力を用いて二次電池2の充電制御が開始されるとともに(ステップS2)、電流測定部40において、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値が測定される(ステップS3)。
【0026】
二次電池2の充電が開始されると、充電制御部20において二次電池2の充電状態が監視され(ステップS4)、二次電池2が満充電になったことが検出されると(ステップS5)、充電制御部20の制御によって、外部充電アダプタ3から供給される電力を用いての二次電池2の充電動作が停止する(ステップS6)。
【0027】
携帯電話内部回路10の制御部11において、二次電池2の充電動作が停止したことが検出されると(ステップS7)、携帯電話機1の動作状態が確認される(ステップS8)。
【0028】
そして、携帯電話内部回路10の制御部11において、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値と、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値とが比較され(ステップS9)、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は(ステップS10)、充電制御部20に対して、充電制御部20内の定電圧源から電力供給を開始する制御が行われるとともに(ステップS11)、電源切換え部30に対して、携帯電話内部回路10への電力供給を、充電制御部20内の定電圧源からに切り換える制御が行われる(ステップS12)。なお、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値は、携帯電話機1の動作状態毎の消費電流として事前に測定して携帯電話機1に搭載されるメモリに予め格納しておくことで容易に取得可能となる。また、この制御が行われる前の状態においては、二次電池2に充電された電力が携帯電話内部回路10に供給されている。
【0029】
一方、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、携帯電話内部回路10の制御部11において、電源切換え部30に対して、携帯電話内部回路10への電力供給を切り換える制御が行われず、二次電池2に充電された電力の携帯電話内部回路10への供給が継続される。
【0030】
ここで、上述した供給電力の切換え制御及びその動作において、携帯電話内部回路10の動作状態は継続されるべきであり、そのための電源切換え部30の構成が必要となる。
【0031】
図3は、図1に示した携帯電話機1における供給電力の切換え制御について説明するための図である。
【0032】
図1に示した携帯電話機1における供給電力の切換え制御においては、例えば、図3に示すように、電源切換え部30における供給電源のスイッチングの条件を、外部充電アダプタ3の接続状態検出信号と、携帯電話内部回路10における電源切換え部30に対するステップS12における制御信号と、二次電池2と充電制御部20内の定電圧源からの出力電圧との電圧差検出信号との3信号の論理積(AND)で構成することが考えられる。
【0033】
このような構成を用いることにより、携帯電話機1が外部充電アダプタ3に接続された後、供給電力の切換えを指示する制御信号が入力されても、充電制御部20の定電圧源からの出力レベルが充電完了後の二次電池2の出力電圧と同等に出力されるまで定電圧源への切り換えが行われずに携帯電話内部回路10への供給電力における電圧レベルがドロップしてしまうことを防ぐことが可能になる。
【0034】
また、二次電池2と充電制御部20内の定電圧源からの出力電圧との電圧差検出信号は、比較器(コンパレータ)等で構成して生成可能である。また、電力供給を定電圧源に切り換えた後、上述した3信号のいずれか1つが不成立となれば、携帯電話内部回路10の動作を継続することが不可能になるため、即座に二次電池2からの電力供給に切り換わるような構成にもなっている。なお、携帯電話内部回路10の制御部11から充電制御部20及び電源切換え30への制御については、充電制御部20に予めプログラミングされれば、制御部11を介することなく実現可能となる。
【0035】
その後、携帯電話機1に対する操作等のイベントによって携帯電話機1の動作状態が変化したことが携帯電話内部回路10にて検出されると(ステップS13)、ステップS9における処理と同様に、携帯電話内部回路10の制御部11において、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値と、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値とが比較され(ステップS14)、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は(ステップS15)、充電制御部20に対して、充電制御部20内の定電圧源から電力供給を開始する制御が行われるとともに(ステップS16)、電源切換え部30に対して、携帯電話内部回路10への電力供給を充電制御部20内の定電圧源からとされる制御が行われる(ステップS17)。
【0036】
一方、外部充電アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯電話機1の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、携帯電話内部回路10の制御部11において、電源切換え部30に対して、携帯電話内部回路10への電力供給を二次電池2からとされる制御が行われるとともに(ステップS18)、充電制御部20に対して、定電圧源からの電力供給を停止する制御が行われる(ステップS19)。
【0037】
そして、上述した動作は、携帯電話機1の動作状態が変化する度に行われることになる。
【0038】
上述したように本形態においては、二次電池2に対する充電完了後において、外部電源アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯端末機1の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、外部電源アダプタ3から供給される電力によって動作し、外部電源アダプタ3から供給される電力における電流値が、携帯端末機1の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、二次電池2に充電された電力によって動作する構成としたため、外部電源アダプタ3から供給される電力が動作に必要な電力に満たない場合であっても動作不能な状態に陥ることを回避できながらも、二次電池2の不要な消費を抑えることができる。
【0039】
なお、本形態においては、携帯端末として携帯電話機1を例に挙げて説明したが、二次電池が装着され、この二次電池に充電された電力によって動作可能な携帯端末であれば、様々なものが適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 携帯電話機
2 二次電池
3 外部充電アダプタ
10 携帯電話内部回路
20 充電制御部
30 電源切換え部
40 電流測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池が装着され、外部電源に接続された充電器から供給される電力によって前記二次電池が充電され、該二次電池に充電された電力または前記充電器から供給される電力によって動作する携帯端末であって、
前記携帯端末の動作を制御する内部回路部と、
前記充電器から供給される電力における電流値を測定する電流測定部と、
前記充電器から供給される電力の前記二次電池への充電を制御する充電制御部と、
前記二次電池に充電された電力と前記充電器から供給される電力とのいずれか一方を前記内部回路部に供給する電源切換え部とを有し、
前記内部回路部は、前記二次電池に対する充電完了後において、前記電流測定部にて測定された電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、前記充電制御部及び前記電源切換え部によって、前記充電器から供給される電力を前記内部回路部に供給するように制御し、前記電流測定部にて測定された電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、前記充電制御部及び前記電源切換え部によって、前記二次電池に充電された電力を前記内部回路部に供給するように制御する携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記内部回路部は、前記携帯端末の動作状態が変化する度に、前記電流測定部にて測定された電流値と前記携帯端末の動作にて必要となる電流値とを比較する携帯端末。
【請求項3】
二次電池が装着され、外部電源に接続された充電器から供給される電力によって前記二次電池が充電され、該二次電池に充電された電力または前記充電器から供給される電力によって動作する携帯端末の充電制御方法であって、
前記二次電池に対する充電完了後において、前記充電器から供給される電力における電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも大きな場合は、前記充電器から供給される電力によって前記携帯端末を動作させ、前記充電器から供給される電力における電流値が、前記携帯端末の動作にて必要となる電流値よりも小さな場合は、前記二次電池に充電された電力によって前記携帯端末を動作させる、携帯端末の充電制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末の充電制御方法において、
前記携帯端末の動作状態が変化する度に、前記充電器から供給される電力における電流値と前記携帯端末の動作にて必要となる電流値とを比較する、携帯端末の充電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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