説明

携帯端末及びプログラム

【課題】RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減することである。
【解決手段】携帯端末10は、バッジ30Aに付されたRFIDタグ31から電波又は電磁界を介して情報を読み取るRFIDリーダライタ部18と、前記読み取り対象物までの距離を取得するイメージスキャナ19と、取得されたバッジ30Aまでの距離が情報を読み取り可能な距離であるか否かを判別し、読み取り可能な距離でない場合に、RFIDリーダライタ部18から電波又は電磁界を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、RFIDリーダライタ部18から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせるCPU11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元のイメージスキャナを備え、当該イメージスキャナによるシンボルの情報読み取り機能を有するハンディターミナルやPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末が知られている。この携帯端末は、倉庫や、小売店の店舗等で、商品等に付されたシンボルに含まれる識別情報を読み取り各種処理を行う。シンボルとは、1次元バーコードや2次元コードである。また、オートフォーカス機能付きの2次元のイメージスキャナも知られている。
【0003】
また、シンボル読み取り以外の個体識別技術として、RFID(Radio Frequency IDentification)がある。RFIDのリーダライタ部を備え、当該リーダライタ部によるRFIDタグの情報読み取り機能を有する携帯端末が知られている。この携帯端末は、電磁界又は電波を用いた近距離無線通信により、商品等に付されたRFIDタグに記憶されている情報を読み取り各種処理を行う。
【0004】
さらに、2次元コードの情報読み取り機能と、RFIDタグの情報読み取り機能と、を有する携帯端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、読み取り対象の商品に、2次元コード及びRFIDタグが付されているものとする。この携帯端末は、2次元コードからUID(Unique IDentification)を読み取り、そのUIDを含むコマンドでRFIDタグの情報を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−117071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のRFIDタグの情報読み取り機能を有する携帯端末は、読み取りのトリガキーが押下されると、常に読み取り用の電磁界又は電波を出力するため、RFIDタグが携帯端末から適切な距離にない場合に、無駄な電力が消費されていた。
【0007】
本発明の課題は、RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の携帯端末は、
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部と、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部と、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が前記読取部による情報を読み取り可能な距離であるか否かを判別し、読み取り可能な距離でない場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の情報読み取り処理を示すフローチャートである。
【図3】第2の情報読み取り処理を示すフローチャートである。
【図4】第2の変形例の携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図5】第3の情報読み取り処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び第1〜第3の変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態)
図1及び図2を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1に、本実施の形態の携帯端末10の構成を示す。
【0013】
本実施の形態の携帯端末10は、読み取り対象物としてのバッジ30Aに記憶された情報を読み取り管理するハンディターミナルである。バッジ30Aは、例えば、ある企業の社員がそれぞれ所有する社員証バッジであるものとする。
【0014】
図1に示すように、バッジ30Aには、RFIDタグ31と、2次元コード32と、が付されているものとする。RFIDタグ31及び2次元コード32は、携帯端末10からの情報の読み取り方向が同じになるバッジ30Aの位置に配置されているものとする。また、携帯端末10からの情報の読み取り時に、携帯端末10からRFIDタグ31及び2次元コード32までの距離が略同じ長さになるバッジ30Aの位置に、RFIDタグ31及び2次元コード32が配置されているものとする。例えば、RFIDタグ31及び2次元コード32は、バッジ30Aの同じ表面で且つ互いに近傍の位置に配置されている。但し、読み取り対象物は、バッジ30Aに限定されるものではない。
【0015】
RFIDタグ31は、電波方式のRFIDタグであるものとする。RFIDタグ31は、アンテナを含む通信部と、制御部と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)と、を備える。RFIDタグ31において、制御部は、通信部により電波を介して携帯端末10と無線通信を行い、受信した携帯端末10からの読み取り要求に応じてEEPROMに記憶されているデータを読み出して携帯端末10に送信する。また、RFIDタグ31の制御部は、携帯端末10から受信したデータをEEPROMに書き込み又は書き換える。
【0016】
RFIDタグ31のEEPROMには、RFIDタグ31の個体識別情報が記憶されているものとする。また、RFIDタグ31は、携帯端末10からの電波により電力を得るパッシブ型のRFIDタグ(パッシブタグ)とする。しかし、RFIDタグ31が、電源部を有し、電源部の電力により電波を出力するアクティブ型のRFIDタグ(アクティブタグ)としてもよい。
【0017】
2次元コード32は、2次元のマトリクスコード又はスタックコードのシンボルである。2次元コード32のイメージには、RFIDタグ31の個体識別情報がコード化されて含まれているものとする。
【0018】
つまり、RFIDタグ31及び2次元コード32に、同じ個体識別情報が含まれており、いずれか一方が壊れて情報読み取りができなくても、もう一方から個体識別情報を読み取ることができる。例えば、RFIDタグ31が壊れている場合に、2次元コード32から個体識別情報を読み取ればよい。また、2次元コード32が、その表面の黒部分が削れていたり、その表面に汚れがついて読み取りができない場合に、RFIDタグ31から個体識別情報を読み取ればよい。
【0019】
携帯端末10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、ROM15と、無線通信部16と、フラッシュメモリ17と、読取部としてのRFIDリーダライタ部18と、測距部としてのイメージスキャナ19と、電源部20と、を備える。電源部20を除く携帯端末10の各部は、バス21を介して互いに接続されている。
【0020】
CPU11は、携帯端末10の各部を制御する。CPU11は、各種プログラムのうち指定されたプログラムをROM15から読み出してRAM13に展開し、展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0021】
CPU11は、第1の情報読み取りプログラム151に従い、イメージスキャナ19で合焦による読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの焦点距離dを取得し、取得した焦点距離dがRFIDリーダライタ部18による情報を読み取り可能な距離(d<D)であるか否かを判別する。CPU11は、読み取り可能な距離でない場合に、RFIDリーダライタ部18から電波を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、RFIDリーダライタ部18から電波を出力して情報を読み取らせる。
【0022】
操作部12は、文字入力キー等の各種キーからなるキー群を備え、ユーザからの各キーの押下入力に応じた操作情報をCPU11に出力する。操作部12は、少なくとも、RFIDリーダライタ部18及びイメージスキャナ19による共通の情報読み取りのトリガキーを含む。
【0023】
RAM13は、揮発性の半導体メモリであり、各種データ及び各種プログラムを格納するワークエリアを有する。
【0024】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示パネルを備える表示部であり、CPU11から入力される表示情報に応じて表示パネルに各種表示を行う。
【0025】
ROM15は、各種データ及び各種プログラムを記憶する読み出し専用の半導体メモリである。ROM15には、第1の情報読み取りプログラム151が記憶されている。
【0026】
無線通信部16は、携帯電話通信方式の無線通信部である。無線通信部16は、アンテナ、変調部、復調部、信号処理部等を備え、基地局と無線通信を行う。無線通信部16は、送信する情報の信号を、信号処理部で信号処理し、変調部により変調してアンテナから無線電波として基地局に送信する。この基地局は、通信先の機器と通信ネットワークを介して接続されている。また、無線通信部16は、アンテナにより基地局から受信した無線電波の受信信号を復調部により復調し、信号処理部で信号処理して受信情報を得る。このようにして、無線通信部16は、基地局を介して、通信先の機器と通信を行う。また、無線通信部16は、無線LAN(Local Area Network)方式の無線通信部とし、アクセスポイントを介して、通信先の機器と通信を行うこととしてもよい。
【0027】
フラッシュメモリ17は、情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ17には、RFIDタグ31の個体識別情報と、このRFIDタグ31を所有する社員のユーザIDと、が対応付られたテーブルが記憶されているものとする。
【0028】
RFIDリーダライタ部18は、RFIDタグ31に記憶されている情報を読み取り及び書き込みする電波方式のリーダライタ部であるものとする。RFIDリーダライタ部18は、CPU11から入力された送信データの電気信号を変調等してアンテナから電波として送信する。RFIDタグ31は、RFIDリーダライタ部18から出力された電波を受信し、またRFIDリーダライタ部18に送信するデータを電波として送信する。RFIDリーダライタ部18は、RFIDタグ31から送信された電波をアンテナで受信し、得られた電気信号を復調等してデータを受信する。
【0029】
イメージスキャナ19は、2次元コード32の画像情報を読み取るイメージスキャナである。イメージスキャナ19は、2次元コード32までの焦点距離を調整するオートフォーカス機能を有するものとする。イメージスキャナ19は、焦点レンズ等の光学系、焦点レンズの光軸位置の調整部、撮像素子等を備える。イメージスキャナ19は、CPU11の制御により、撮像素子により撮像した画像情報のコントラスト等を用いて光学系の焦点レンズの位置を調整して読み取り対象の2次元コード32に合焦して撮像素子で撮像し、撮像された2次元コード32の画像情報を取得する。また、イメージスキャナ19は、2次元コード以外のシンボル(1次元バーコード)を読み取ることもできる。
【0030】
また、イメージスキャナ19は、合焦の際の焦点レンズの位置に応じた2次元コード32までの距離の情報を焦点距離dとしてCPU11に出力する。なお、イメージスキャナ19が、焦点レンズの位置を調整して合焦する構成に代えて、印加電圧に応じた形状の変化により焦点位置の調整が可能な液体レンズ等を用いて合焦する構成としてもよい。
【0031】
また、RFIDリーダライタ部18の通信方向と、イメージスキャナ19の光軸方向とが、略同じ方向になるように、RFIDリーダライタ部18及びイメージスキャナ19が、携帯端末10の筐体に配置されている構成とする。しかし、この構成に限定されるものではなく、同じ位置及び姿勢の携帯端末10が、RFIDリーダライタ部18によるRFIDタグ31の読み取りと、イメージスキャナ19による2次元コード32の読み取りと、が行えるように、RFIDリーダライタ部18及びイメージスキャナ19が、携帯端末10の筐体に配置されている構成とすればよい。
【0032】
電源部20は、リチウム電池等の二次電池であり、携帯端末10の各部に電源供給を行う。なお、電源部20は、アルカリ電池等の一次電池でもよい。
【0033】
次に、図2を参照して、携帯端末10の動作を説明する。図2に、第1のRFIDタグ読み取り処理を示す。
【0034】
携帯端末10により実行される第1の情報読み取り処理は、バッジ30Aに付された2次元コード32から情報を読み取るとともに、読み取り可能な位置にあるRFIDタグ31に電波を出力して情報を読み取る処理である。携帯端末10において、例えば、操作部12におけるRFIDリーダライタ部18及びイメージスキャナ19による情報読み取りのトリガキーが押下されたことをトリガとして、CPU11は、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開された第1の情報読み取りプログラム151との協働で第1の情報読み取り処理を実行する。
【0035】
先ず、CPU11は、イメージスキャナ19を起動する(ステップS11)。そして、CPU11は、RFIDリーダライタ部18を起動する(ステップS12)。そして、CPU11は、イメージスキャナ19の光学系(焦点レンズ)を2次元コード32に合焦させ、合焦した焦点レンズの位置情報を取得し、当該位置情報に対応する焦点距離dを算出して取得する(ステップS13)。
【0036】
そして、CPU11は、イメージスキャナ19に2次元コードを撮像させ、撮像画像情報を取得してデコードを行う(ステップS14)。そして、CPU11は、ステップS14のデコードが成功したか否かを判別する(ステップS15)。デコードが成功した場合(ステップS15;YES)、CPU11は、デコード結果であるイメージスキャナ19の読み取り結果を表示部14に表示する(ステップS16)。
【0037】
そして、CPU11は、ステップS13で取得した焦点距離dが、予め設定された所定値Dより小さいか否かを判別する(ステップS17)。所定値Dは、RFIDリーダライタ部18によるRFIDタグ31の読み取りが可能な距離の閾値である。デコードが失敗した場合(ステップS15;NO)、ステップS17に移行される。
【0038】
d<Dである場合(ステップS17;YES)、RFIDタグ31がRFIDリーダライタ部18から読み取り可能な範囲(距離)にあり、CPU11は、RFIDリーダライタ部18から、RFIDタグ31読み取り要求の電波を出力させる(ステップS18)。そして、CPU11は、RFIDリーダライタ部18によりRFIDタグ31に記憶されている読み取り要求に応じた情報(個体識別情報)を読み取る(ステップS19)。そして、CPU11は、ステップS19のRFIDタグ31の情報読み取りが成功したか否かを判別する(ステップS20)。
【0039】
RFIDタグ31の情報読み取りが成功した場合(ステップS20;YES)、CPU11は、ステップS19でのRFIDタグ31の読み取り結果を表示部14に表示する(ステップS21)。そして、CPU11は、ステップS15,S20において、RFIDタグ31及びRFIDリーダライタ部18の少なくとも一方の情報読み取りが成功したか否かを判別する(ステップS22)。RFIDタグ31及びRFIDリーダライタ部18の少なくとも一方の読み取りが成功した場合(ステップS22;YES)、第1の情報読み取り処理が終了する。
【0040】
d≧Dである場合(ステップS17;NO)、RFIDタグ31がRFIDリーダライタ部18から読み取り可能な範囲(距離)になく、ステップS22に移行される。
即ち、RFIDタグ31とRFIDリーダライタ部18との距離が離れており、読み取り可能な距離ではない場合は、RFIDリーダライタ部18から電波を出力しない。従って、RFIDリーダライタ部18が読み取り不可能な距離では無駄に電波を出力することがないため、RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減できる。
RFIDタグ31の情報読み取りが失敗した場合(ステップS20;NO)、ステップS22に移行される。
【0041】
RFIDタグ31及びRFIDリーダライタ部18の読み取りが失敗した場合(ステップS22;NO)、CPU11は、操作部12のトリガキーの押下中であるか否かを判別する(ステップS23)。トリガキーの押下中である場合(ステップS23;YES)、ステップS13に移行される。トリガキーの押下中でない場合(ステップS23;NO)、第1の情報読み取り処理を終了する。
【0042】
また、第1の情報読み取り処理の終了後、CPU11は、フラッシュメモリ17に記憶されているテーブルを参照し、ステップS14,S19で取得されたRFIDタグ31の個体識別情報に対応するユーザIDを取得し、表示部14に表示する。ステップS16,S21でユーザIDの取得及び表示を行ってもよい。
【0043】
以上、本実施の形態によれば、携帯端末10は、イメージスキャナ19で合焦による読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの焦点距離dを取得し、取得した焦点距離dがRFIDリーダライタ部18による情報を読み取り可能な距離(d<D)であるか否かを判別する。携帯端末10は、読み取り可能な距離でない場合に、RFIDリーダライタ部18から電波を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、RFIDリーダライタ部18から電波を出力して情報を読み取らせる。このため、RFIDリーダライタ部18による情報読み取りができない距離で電波を出力しないので、RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減できる。
【0044】
また、イメージスキャナ19が、合焦により読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの距離を取得する。このため、イメージスキャナ19及びその合焦動作を有効に利用できる。
【0045】
また、携帯端末10は、イメージスキャナ19及びRFIDリーダライタ部18で共通の読み取りの実行指示入力を受け付ける1つのトリガキーを操作部12に備え、このトリガキー押下に応じて、イメージスキャナ19に2次元コード32を読み取らせるとともに、イメージスキャナ19により取得された距離に応じて、RFIDリーダライタ部18から電波を出力して情報を読み取らせる。このため、RFIDタグ31、2次元コード32の読み取りにおいて、ユーザにとって利便性を高くできるとともに携帯端末10の操作性を向上できる。
【0046】
(第1の変形例)
図3を参照して、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。図3に、第2の情報読み取り処理を示す。
【0047】
本変形例では、上記実施の形態の携帯端末10を用いる。但し、ROM15には、第1の情報読み取りプログラム151に代えて、第2の情報読み取りプログラムが記憶されているものとする。
【0048】
次に、図3を参照して、本変形例における携帯端末10の動作を説明する。携帯端末10により実行される第2の情報読み取り処理は、バッジ30Aに付された2次元コード32から情報を読み取るとともに、RFIDタグ31までの距離に応じた電波を出力してRFIDタグ31から情報を読み取る処理である。
【0049】
携帯端末10において、例えば、操作部12におけるRFIDリーダライタ部18及びイメージスキャナ19による情報読み取りのトリガキーが押下されたことをトリガとして、CPU11は、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開された第2の情報読み取りプログラムとの協働で第2の情報読み取り処理を実行する。
【0050】
ステップS31〜S36は、図2の第1の情報読み取り処理のステップS11〜S16と同様である。そして、CPU11は、ステップS33で取得した焦点距離dに応じた送信出力レベルで電波をRFIDリーダライタ部18から出力させる(ステップS37)。ステップS37では、焦点距離dが短ければ、弱い電波でも通信が可能であるため、焦点距離dに応じて通信が可能な小さい送信出力レベルでRFIDリーダライタ部18に弱い電波を出力させる。逆に、焦点距離dが長ければ、強い電波でなければ通信ができないため、焦点距離dに応じて通信が可能な大きい送信出力レベルでRFIDリーダライタ部18に強い電波を出力させる。
【0051】
つまり、焦点距離dが短い場合に、RFIDリーダライタ部18に弱い電波を出力させて消費電力を低減する。ステップS38〜S42は、図2の第1の情報読み取り処理のステップS19〜S23と同様である。
【0052】
以上、本変形例によれば、携帯端末10は、イメージスキャナ19で合焦による読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの距離を取得し、取得した距離が短い場合に、RFIDリーダライタ部18から出力する電波を弱くして情報を読み取らせ、前記距離が長い場合に、RFIDリーダライタ部18から出力する電波を強くして情報を読み取らせる。このため、短い距離で弱い電波を出力するので、RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減できるとともに、距離に応じた適切な強さの電波によりRFIDリーダライタ部18で情報を確実に読み取ることができる。
【0053】
(第2の変形例)
図4及び図5を参照して、上記実施の形態の第2の変形例を説明する。図4に、本変形例の携帯端末10Aの構成を示す。図5に、第3の情報読み取り処理を示す。
【0054】
図4を参照して、本変形例の携帯端末10Aの構成を説明する。携帯端末10Aについては、上記実施の形態の携帯端末10と同様の部分に同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分を主として説明する。
【0055】
携帯端末10Aは、RFIDタグ31に記憶されている情報を読み取り管理する携帯端末である。バッジ30Bは、RFIDタグ31のみが付されている社員証バッジとする。
【0056】
携帯端末10Aは、CPU11と、操作部12と、RAM13と、表示部14と、ROM15と、無線通信部16と、フラッシュメモリ17と、RFIDリーダライタ部18と、測距部19Aと、電源部20と、を備える。電源部20を除く携帯端末10の各部は、バス21を介して互いに接続されている。
【0057】
ROM15には、第3の情報読み取りプログラム153が記憶されている。測距部19Aは、赤外線を出射して、読み取り対象物(バッジ30B)で反射された反射光を受光し、赤外線の出射と受光の時間差に応じた、測距部19Aからバッジ30Bまでの距離を算出してCPU11に出力する。測距部19Aは、赤外線以外を用いた測距部としてもよい。
【0058】
次に、図5を参照して、本変形例における携帯端末10Aの動作を説明する。携帯端末10Aにより実行される第3の情報読み取り処理は、バッジ30Bまでの距離を測定し、測定した距離に応じた読み取り可能な位置にあるバッジ30BのRFIDタグ31に電波を出力して情報を読み取る処理である。
【0059】
先ず、CPU11は、測距部19Aを起動する(ステップS51)。そして、CPU11は、RFIDリーダライタ部18を起動する(ステップS52)。そして、CPU11は、測距部19Aにより、測距部19Aから読み取り対象物(バッジ30B)までの距離を測定して取得する(ステップS53)。
【0060】
ステップS54〜S58は、図2の第1の情報読み取り処理のステップS17〜S21と同様である。d≧Dである場合(ステップS54;NO)、又はRFIDタグ31の情報読み取りが失敗した場合(ステップS57;NO)、CPU11は、操作部12のトリガキーの押下中であるか否かを判別する(ステップS59)。トリガキーの押下中である場合(ステップS59;YES)、ステップS53に移行される。トリガキーの押下中でない場合(ステップS59;NO)、第3の情報読み取り処理を終了する。
【0061】
以上、本変形例によれば、携帯端末10Aは、赤外線を用いた測距部19Aにより読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの距離を取得し、取得した距離がRFIDリーダライタ部18による情報を読み取り可能な距離(d<D)であるか否かを判別する。携帯端末10Aは、読み取り可能な距離でない場合に、RFIDリーダライタ部18から電波を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、RFIDリーダライタ部18から電波を出力して情報を読み取らせる。このため、RFIDリーダライタ部18による情報読み取りができない距離で電波を出力しないので、RFIDタグの情報読み取り時の消費電力を低減できる。
【0062】
(第3の変形例)
上記実施の形態の第3の変形例を説明する。本第3の変形例は、図3に示した第1の変形例のように、携帯端末10が、読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの距離を取得し、取得した距離が短い場合に、RFIDリーダライタ部18から出力する電波を弱くして情報を読み取らせ、前記距離が長い場合に、RFIDリーダライタ部18から出力する電波を強くして情報を読み取らせる点は共通する。しかし、読み取り対象物までの距離を測定する方法として、第1の変形例では、イメージスキャナ19の合焦により距離を測定する方法としたが、本第3の変形例では、赤外線を用いた測距部19Aにより読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの距離を取得する方法に代える。
【0063】
即ち、図3のステップS33のように、イメージスキャナ19が合焦により読み取り対象物(バッジ30A、2次元コード32)までの距離を取得するのではなく、図5のステップS53のように、赤外線を用いた測距部19Aにより、測距部19Aから読み取り対象物(バッジ30B)までの距離を測定して取得するようにする。図3のステップS37のように、距離に応じた送信出力レベルで電波をRFIDリーダライタ部18から出力させる点は、本第3の変形例は第1の変形例と同様である。
【0064】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM15を使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0065】
なお、上記実施の形態及び各変形例における記述は、本発明に係る携帯端末及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態及び各変形例のうちの少なくとも2つを組み合わせる構成としてもよい。
【0066】
上記実施の形態及び各変形例では、携帯端末10,10Aが、RFIDリーダライタ部18を備えるハンディターミナルである構成としたが、これに限定されるものではない。携帯端末としては、PDA、携帯電話機、携帯パーソナルコンピュータ等、他の携帯端末を用いる構成としてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態及び各変形例では、RFIDタグ31に、RFIDカード(非接触ICカード)を含める。例えば、RFIDタグに、各ユーザが所持する社員証カード、乗車カード、電子マネーカードとしてのRFIDカードを含める。
【0068】
また、上記実施の形態及び第1の変形例では、バッジ30AのRFIDタグ31及び2次元コード32から情報を読み取る例を説明したが、これに限定されるものではない。実施の形態及び第1の変形例の構成及び処理をRFIDタグ及びシンボルのいずれか一方を読み取る構成及び処理に適用できる。例えば、実施の形態及び第1の変形例の携帯端末10が、第2の変形例のバッジ30Bや、商品に付されたシンボルから情報を読み取ることができる。また、上記実施の形態及び第1の変形例では、イメージスキャナ19がシンボルとしての1次元バーコードを読み取る構成としてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態及び各変形例では、読み取り対象物がバッジである例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、店舗に陳列される商品に付加される商品タグ等、他の読み取り対象物に適用する構成としてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態及び各変形例では、RFIDタグ31及びRFIDリーダライタ部18が、電波方式のRFIDタグ及びRFIDリーダライタ部である構成を説明したが、これに限定されるものではない。RFIDタグ31及びRFIDリーダライタ部18が、電磁誘導方式のRFIDタグ及びRFIDリーダライタ部である構成としてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態及び変形例における携帯端末10,10Aの各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0072】
本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態及び変形例に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部と、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部と、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が前記読取部による情報を読み取り可能な距離であるか否かを判別し、読み取り可能な距離でない場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる制御部と、を備える携帯端末。
<請求項2>
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部と、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部と、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が短い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を弱くして情報を読み取らせ、前記距離が長い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を強くして情報を読み取らせる制御部と、を備える携帯端末。
<請求項3>
前記測距部は、オートフォーカス機能を有するイメージスキャナであり、前記読み取り対象物に付されたシンボルに合焦して当該シンボルを読み取り、当該合焦したシンボルの読み取り対象物までの焦点距離を取得する請求項1又は2に記載の携帯端末。
<請求項4>
前記イメージスキャナ及び前記読取部で共通の読み取りの実行指示入力を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部を介する前記イメージスキャナ及び前記読取部の読み取りの実行指示入力に応じて、前記イメージスキャナにシンボルを読み取らせるとともに、当該イメージスキャナにより取得された距離に応じて、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる請求項3に記載の携帯端末。
<請求項5>
前記測距部は、赤外線を出力して前記読み取り対象物までの距離を取得する請求項1又は2に記載の携帯端末。
<請求項6>
コンピュータを、
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が前記読取部による情報を読み取り可能な距離であるか否かを判別し、読み取り可能な距離でない場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる制御部、
として機能させるためのプログラム。
<請求項7>
コンピュータを、
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が短い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を弱くして情報を読み取らせ、前記距離が長い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を強くして情報を読み取らせる制御部、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0073】
10,10A 携帯端末
11 CPU
12 操作部
13 RAM
14 表示部
15 ROM
16 無線通信部
17 フラッシュメモリ
18 RFIDリーダライタ部
19 イメージスキャナ
19A 距離測定部
20 電源部
21 バス
30A,30B バッジ
31 RFIDタグ
32 2次元コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部と、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部と、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が前記読取部による情報を読み取り可能な距離であるか否かを判別し、読み取り可能な距離でない場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる制御部と、を備える携帯端末。
【請求項2】
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部と、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部と、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が短い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を弱くして情報を読み取らせ、前記距離が長い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を強くして情報を読み取らせる制御部と、を備える携帯端末。
【請求項3】
前記測距部は、オートフォーカス機能を有するイメージスキャナであり、前記読み取り対象物に付されたシンボルに合焦して当該シンボルを読み取り、当該合焦したシンボルの読み取り対象物までの焦点距離を取得する請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記イメージスキャナ及び前記読取部で共通の読み取りの実行指示入力を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部を介する前記イメージスキャナ及び前記読取部の読み取りの実行指示入力に応じて、前記イメージスキャナにシンボルを読み取らせるとともに、当該イメージスキャナにより取得された距離に応じて、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記測距部は、赤外線を出力して前記読み取り対象物までの距離を取得する請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項6】
コンピュータを、
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が前記読取部による情報を読み取り可能な距離であるか否かを判別し、読み取り可能な距離でない場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力せず、読み取り可能な距離である場合に、前記読取部から電波又は電磁界を出力して情報を読み取らせる制御部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
読み取り対象物に付されたRFIDタグから電波又は電磁界を介して情報を読み取る読取部、
前記読み取り対象物までの距離を取得する測距部、
前記測距部により取得された前記読み取り対象物までの距離が短い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を弱くして情報を読み取らせ、前記距離が長い場合に、当該距離に応じて前記読取部から出力する電波又は電磁界を強くして情報を読み取らせる制御部、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178076(P2012−178076A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41079(P2011−41079)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】