説明

携帯端末機を用いたタクシーメータ装置

【課題】タクシーメータの操作性を向上させることが可能な携帯端末機を用いたタクシーメータ装置を提供する。
【解決手段】タクシーメータ11、及び該タクシーメータ11と通信可能なタブレット端末12を備えたタクシーメータ装置100であり、タクシーメータ11とタブレット端末12を通信により接続することにより、タブレット端末12の表示部31にタクシーメータ11の表示部21に表示される画像と同様の画像が表示される。そして、運転者はタブレット端末12のタッチパネル32にて入力操作を行うことにより、例えば、「空車」「実車」「支払」等の選択操作を行うことができる。このため、タクシーメータ11が運転席から離れた位置に設置されている場合であっても、タブレット端末12を用いることにより容易に操作することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末機を用いてタクシーメータを操作するタクシーメータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にタクシーに搭載されるタクシーメータは、車両インパネ付近の運転者が容易に手の届く位置に設けられている。しかし、昨今においてはタクシー専用車両以外の車両についてタクシーメータを取り付けることが多くなっており、運転席から離れた位置にタクシーメータを取り付けざるを得ない場合が増えている。この場合には、運転者は「空車」ボタンや「支払」ボタン等の操作を行う際に、身を乗り出し且つ手を伸ばす等して操作する必要があり、操作性が悪いという問題がある。
【0003】
一方、タクシーメータと携帯電話機との間の通信を行う従来例として、例えば、特開2002−334354号公報(特許文献1)に記載されたものが知られているが、該特許文献1は、タクシーメータの蓄積情報を携帯電話機に送信することにより、別の場所でタクシーの情報を閲覧することを目的としており、操作性を向上させることを目的としていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−334354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来におけるタクシーメータは、運転者から容易に手が届く位置に取り付けられるとは限らず、運転者から離れた位置に取り付けられる場合には、操作性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、タクシーメータの操作性を向上させることが可能な携帯端末機を用いたタクシーメータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、タクシーメータ(11)、及び該タクシーメータと通信可能な携帯端末機(例えば、タブレット端末12)とを備えたタクシーメータ装置であって、前記タクシーメータは、前記携帯端末機との間でデータの送受信を行うメータ側通信手段(例えば、無線モジュール27)を備え、前記携帯端末機は、外部機器との間でデータを送受信する端末側通信手段(例えば、通信部36)と、前記タクシーメータで実行されるプログラムを記憶する記憶手段(例えば、RAM33)と、前記タクシーメータとの間での通信が行われている際に、前記タクシーメータの操作に関連する操作アイコンを表示する端末側表示手段(例えば、表示部31)と、操作者が前記操作アイコンに触れたことを検出する端末側接触センサ(例えば、タッチパネル32)と、を備え、前記携帯端末機は、前記端末側接触センサの操作入力に対応する操作信号を前記タクシーメータに送信すると共に、前記タクシーメータは、前記携帯端末機より送信される操作信号に応じた処理を実行することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記タクシーメータは、メータ側表示手段(例えば、表示部21)、及び該メータ側表示手段上での操作を検出するメータ側接触センサ(例えば、操作部22)を有し、前記タクシーメータと前記携帯端末機との間で通信が行われている場合には、前記端末側接触センサ、及び前記メータ側接触センサの双方において、操作入力を可能とすることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記端末側表示手段は、前記メータ側表示手段に表示される操作アイコンとは異なる少なくとも1つの操作アイコンを表示することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記端末側表示手段は、前記メータ側接触センサ、または前記端末側接触センサにて、タクシー料金の支払いに関する操作アイコンが操作された際に、前記端末側表示手段にて決済種別を示す少なくとも一つの操作アイコンを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1の発明では、タクシーメータと携帯端末機とが通信により接続され、タクシーメータでの操作と同等の操作を携帯端末機により行うことができるので、タクシーメータが運転席から離れている場所に設置されている場合であっても、運転者は携帯端末機を操作することにより、容易にタクシーメータの操作が可能となる。
【0012】
請求項2の発明では、メータ側接触センサ、及び端末側接触センサの双方での操作入力が可能となるので、運転者は操作し易い方の接触センサを用いてタクシーメータへの入力操作を行うことが可能となり、操作性を向上させることが可能となる。
【0013】
請求項3の発明では、メータ側表示手段に表示される操作アイコンと、端末側表示手段に表示される操作アイコンの少なくとも一部が異なるので、タクシーメータ側、及び携帯端末機側の双方でそれぞれ異なる操作を行うことができ、操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項4の発明では、運転者がタクシー料金の支払いに関する操作を行った場合には、端末側表示手段に決済種別を示す少なくとも一つの操作アイコンが表示されるので、決済種別の選択を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るタクシーメータ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るタクシーメータ装置の、処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るタクシーメータ装置の、第1の表示例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るタクシーメータ装置の、第2の表示例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るタクシーメータ装置の、第3の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る携帯端末機を用いたタクシーメータ装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、このタクシーメータ装置100は、タクシーに搭載されるタクシーメータ11と、該タクシーメータ11と通信によりデータの送受信が可能なタブレット端末(携帯端末機)12を備えている。なお、タブレット端末12は「スマートフォン」と称することもある。
【0017】
タクシーメータ11は、カラー液晶パネルで構成され各種の画像を表示する表示部(メータ側表示手段)21と、操作者によるタッチ操作により操作信号を入力するタッチパネル式の操作部(メータ側接触センサ)22と、営業データ格納部23と、設定データ格納部24と、外部機器との接続を行う外部I/F25と、メモリカードへのデータの書き込み、及び読み取りを行うメモリカードホルダ26と、タブレット端末12との間でデータの送受信を行う無線モジュール(メータ側通信手段)27と、演算部20と、を備えている。
【0018】
営業データ格納部23は、例えばRAMで構成され、タクシー料金や乗車時間等のタクシー営業に関する各種のデータを記憶する。また、設定データ格納部24は、例えばROMで構成され、タクシーメータ11の制御プログラム等の各種の設定データを記憶する。
【0019】
演算部20は、タクシーメータ11全体を総括的に制御する。特に、該演算部20は、タブレット端末12より接続要求があった場合には、無線モジュール27によりタブレット端末12との間で通信を行い、表示部21に表示されている画像データをタブレット端末12に送信する制御を行う。また、タブレット端末12で操作された操作データを受信して、この操作データに応じた処理を実行する。
【0020】
タブレット端末12は、操作者が携行可能な携帯端末機であり、各種のデータを表示する表示部(端末側表示手段)31と、表示部31に表示された操作画面上での操作入力を検出するタッチパネル(端末側接触センサ)32と、通信に関する各種のプログラム及びタクシーメータ11との間のデータの送受信プログラムを記憶するROM34と、RAM33と、タブレット端末12の現在位置を検出するGPS35と、外部機器との間で通信を行う通信部(端末側通信手段)36と、当該タブレット端末12に駆動用の電力を供給するバッテリ37と、CPU30と、を備えている。
【0021】
RAM33は、表示部31に表示する画像データやその他の処理に必要な各種のデータを記憶すると共に、タクシーメータで実行されるアプリケーションを記憶する。即ち、RAM33は、タクシーメータ11で実行されるプログラムを記憶する記憶手段としての機能を有する。
【0022】
CPU30は、タブレット端末12全体を総括的に制御する機能を備え、特にタクシーメータ11との間で無線通信が開始された場合に、タクシーメータ11より送信される画像データを取得して、この画像データを表示部31に表示する処理を行い、また、タッチパネル32で操作された操作データを通信部36を介してタクシーメータ11に送信する処理を実行する。
【0023】
次に、上述のように構成された本実施形態に係るタクシーメータ装置100の、タブレット端末12の作用について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0024】
タブレット端末12とタクシーメータ11との通信が開始され、タクシーメータ11の操作アプリケーションが開始されると、該タブレット端末12が入力待ち状態となる(ステップS11)。
【0025】
そして、CPU30は、該タブレット端末12に入力が発生したか否かを判断し、入力が発生したと判断した場合には(ステップS12でYES)、この入力値がタクシーメータ11から送信されたステートの受信であるか否かが判断される(ステップS13)。そして、タクシーメータ11から送信されたステートの受信である場合には(ステップS13でYES)、このステートに応じた画面を表示部31に表示する。更に、このステートに応じたデータ処理を実行する(ステップS14)。
【0026】
その結果、例えば、タクシーが空車状態で、図3(a)に示すようにタクシーメータ11の表示部21に「空車」の文字が大きく表示され、更に、「実車」、「迎車」の操作アイコンが表示され、加えて「休憩」、「貸切」の操作アイコンが表示されている場合には、図3(b)に示すように、表示部21に表示された画像と同様の画像がタブレット端末12の表示部31に表示される。その結果、運転者はタブレット端末12を用いたタクシーメータ11の操作が可能となる。
【0027】
その後、タブレット端末12の表示部31に画像が表示されたことがタクシーメータ11に通知される(ステップS15)。その後、処理をステップS11に戻す。
【0028】
一方、ステップS13の処理で、入力値がタクシーメータ11から送信されたステートの受信でないと判断された場合には(ステップS13でNO)、CPU30は、入力値がタッチパネル32上での操作入力であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0029】
そして、タッチパネル32上での操作入力であると判断された場合には(ステップS16でYES)、CPU30は、この操作入力に応じた画面を表示部31に表示し、更に、この操作入力に応じたデータ処理を実行する(ステップS17)。更に、この操作入力データをタクシーメータ11に送信する(ステップS18)。
【0030】
その結果、例えば図3(b)に示した画面上で、運転者が「実車」のアイコンを操作した場合には、タブレット端末12の表示部31にて、図4(b)に示すように「実車」の文字が表示され、更に、「支払」、「高速」、「障割」(障害者割引の意味)、「迎車」の操作アイコンが表示される。即ち、現在「実車」の状態であり、「支払い」、「高速」、「障割」、「迎車」の操作が選択可能であることが示されている。更に、これと連動して、図4(a)に示すように、タクシーメータ11の表示部21には「実車」の文字が大きく表示され、現在の運賃が「710円」であることが表示される。また、「支払」、「高速」の操作アイコンが表示され、且つ、「障割」、「迎車」の操作アイコンが表示される。その結果、タクシーメータ11の操作部22において、「支払い」、「高速」、「障割」、「迎車」の操作が選択可能であることが示される。
【0031】
更に、図4(a),(b)に示した実車状態から、運転者がタブレット端末12の表示部31上で「支払」の操作アイコンを操作した場合には、タクシーメータ11の表示部21に、図5(a)に示す画像が表示される。即ち、タクシーメータ11の表示部21に、運賃が790円、割引が80円、支払料金が710円であることが示され、タクシーメータ11にて「空車」、「実車」、「高速」、「障割」、「迎車」の操作アイコンが表示される。一方、タブレット端末12の表示部31には、図5(b)に示すように、「決済種別を選択してください」という文字が表示され、更に、「IC」「チケット」「未収」「クレジット」「置換」「割引」「固定料金」「高速代」の操作アイコンが表示される。
【0032】
即ち、タクシーメータ11の表示部21に表示される操作アイコンと、タブレット端末12の表示部31に表示される操作アイコンが相違する。また、タブレット端末12の表示部31には、決済種別を示す複数の操作アイコンが表示される。
【0033】
従って、運転者は、タクシーメータ11を操作することにより料金の決済処理を行うことが可能となり、その一方で、タブレット端末12を操作することにより、ICカード、クレジットカード、チケット等による決済種別の選択が可能となる。
【0034】
その後、タクシーメータ11の表示部21に表示された「空車」の操作アイコンが操作されると、表示部21の画面を空車画面に切り替えることができる。
【0035】
その後、CPU30は、入力値の状態を保持し(ステップS19)、ステップS11に処理を戻す。
【0036】
また、ステップS16の処理で、入力値がタブレット端末12のタッチパネル32上での操作入力でないと判断された場合には(ステップS16でNO)、CPU30は、終了コマンドの受信であるか否かを判断する(ステップS20)。
【0037】
そして、終了コマンドを受信した場合には(ステップS20でYES)、タクシーメータ11の操作アプリケーションを終了する(ステップS21)。一方、終了コマンドを受信していない場合には(ステップS20でNO)、ステップS11に処理を戻す。
【0038】
こうして、タブレット端末12を用いて、実質的にタクシーメータ11の操作と同様の操作を行うことができるのである。
【0039】
このようにして、本実施形態に係るタクシーメータ装置100では、タクシーの運転者が所持するタブレット端末12とタクシーメータ11との間の無線通信により、従来タクシーメータ11でのみ操作することが可能とされていた操作をタブレット端末12を用いて操作することができるようになるので、タクシーメータ11の取り付け位置が運転席から離れている場合であっても、運転者は容易にタクシーメータ11を操作することが可能となる。
【0040】
また、タクシーメータ11とタブレット端末12とが通信により接続されている場合であっても、タブレット端末12のみならず、タクシーメータ11の操作部22による操作が可能であるので、運転者はタクシーメータ11及びタブレット端末12のいずれかを用いて操作することができ、操作性を向上させることができる。
【0041】
更に、タクシーメータ11の表示部21に表示される操作アイコンと、タブレット端末12の表示部31に表示される操作アイコンのうちの少なくとも一部が異なるように設定することにより、運転者による操作の汎用性を向上させ、より一層操作性を向上させることができる。
【0042】
また、「支払」の操作アイコンが操作された場合には、図5(a),(b)に示したように、タクシーメータ11の表示部21に表示される操作アイコンと、タブレット端末12の表示部31に表示される操作アイコンが相違し、タブレット端末12の表示部31にのみ決済種別を選択する操作アイコンが表示されるので、運転者はタブレット端末12を操作することにより決済種別の選択を容易に行うことができるようになる。
【0043】
以上、本発明の携帯端末機を用いたタクシーメータ装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、携帯端末機の例としてタブレット端末12を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、タッチパネルを用いて操作可能な他の携帯端末機とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、タクシーメータの操作を容易に実行することに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11 タクシーメータ
12 タブレット端末(携帯端末機)
20 演算部
21 表示部
22 操作部
23 営業データ格納部
24 設定データ格納部
25 外部I/F
26 メモリカードホルダ
27 無線モジュール
30 CPU
31 表示部
32 タッチパネル
33 RAM
34 ROM
35 GPS
36 通信部
37 バッテリ
100 タクシーメータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーメータ、及び該タクシーメータと通信可能な携帯端末機とを備えたタクシーメータ装置であって、
前記タクシーメータは、前記携帯端末機との間でデータの送受信を行うメータ側通信手段を備え、
前記携帯端末機は、
外部機器との間でデータを送受信する端末側通信手段と、
前記タクシーメータで実行されるプログラムを記憶する記憶手段と、
前記タクシーメータとの間での通信が行われている際に、前記タクシーメータの操作に関連する操作アイコンを表示する端末側表示手段と、
操作者が前記操作アイコンに触れたことを検出する端末側接触センサと、を備え、
前記携帯端末機は、前記端末側接触センサの操作入力に対応する操作信号を前記タクシーメータに送信すると共に、
前記タクシーメータは、前記携帯端末機より送信される操作信号に応じた処理を実行することを特徴とする携帯端末機を用いたタクシーメータ装置。
【請求項2】
前記タクシーメータは、メータ側表示手段、及び該メータ側表示手段上での操作を検出するメータ側接触センサを有し、
前記タクシーメータと前記携帯端末機との間で通信が行われている場合には、前記端末側接触センサ、及び前記メータ側接触センサの双方において、操作入力を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機を用いたタクシーメータ装置。
【請求項3】
前記端末側表示手段は、前記メータ側表示手段に表示される操作アイコンとは異なる少なくとも1つの操作アイコンを表示することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末機を用いたタクシーメータ装置。
【請求項4】
前記端末側表示手段は、前記メータ側接触センサ、または前記端末側接触センサにて、タクシー料金の支払いに関する操作アイコンが操作された際に、前記端末側表示手段にて決済種別を示す少なくとも一つの操作アイコンを表示することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の携帯端末機を用いたタクシーメータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−88885(P2013−88885A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226468(P2011−226468)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】