説明

携帯端末機器の電源切断システム、方法及びプログラム

【課題】 航空機の離陸中、着陸中に確実に電源を自動的に切断する。
【解決手段】携帯端末機器100の電源切断システムに、高度を一定時間間隔で測定する高度センサ105と、高度センサから報告された高度データを記録する高度データ記録部107Aと、携帯端末機器の各部への電源供給を行う電源制御部108と、高度データの時間変化の閾値を記録する閾値記録部107Bと、高度センサから今回報告された高度データと高度データ記録部から読み出した前回の高度データとの差をとり、差を一定時間間隔で割り、高度変化速度を演算する高度変化速度演算部109Aと、演算された高速度変化速度の大きさが閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中と判定する離陸・着陸判定部109Bと、離陸/着陸判定部により離陸中又は着陸中と判定された場合には電源制御部に対して携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を行う制御部109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末機器の電源切断システムに関する。特に、本発明は、航空機を利用する場合に自動的に電源を切断する携帯端末機器の電源切断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機器の出す電波が、航空機の離陸中又は着陸中に計器に影響を及ぼすことが言われており、離陸中又は着陸中には電源を切るようにアナウンスがされる。所定の飛行高度に達すると携帯端末機器の使用が可能になる。
しかしながら、離陸中又は着陸中に電源を切るようにとのアナウンスを聞き漏らしたり、鞄の奥にしまってしまい取り出せない状況にあるなどのため、確実に携帯端末機器の電源を切ることができるとは限らないという問題がある。
【0003】
このような問題に関連して以下の従来技術がある。
従来、携帯型電子機器から放射される電磁雑音により、航空機の操縦計器や医療機器などに悪影響を及ぼす事故を、簡単な構成にて確実に防止することができる携帯型電子機器を提供するため、自己位置における現在高度を検出する高度検出手段22と、該高度検出手段22により検出された現在高度と、予め設定された所定値とを比較する比較手段23と、自己の現在速度を検出する速度検出手段24と、該速度検出手段24により検出された現在速度と、予め設定された所定値とを比較する比較手段25と、該比較手段23,25によって現在高度が所定値以上であると判定された場合、且つ現在速度が所定値以上であると判定された場合、機器主電源27を切断する電源制御手段26とを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記特許文献では、所定高度、所定速度で飛行する航空機での携帯型電子機器の電源を切断するものであるが、航空機の離陸中又は着陸中に携帯端末機器の電源を切断できないという問題を解決するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−298947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、航空機の離陸中又は着陸中に確実に電源を自動的に切断する携帯端末機器の電源切断システム、方法及びコンピュータで実行するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記問題点を解決するために、携帯端末機器の電源切断システムにおいて、高度を一定時間間隔で測定する高度センサと、前記高度センサから報告された高度データを記録する高度データ記録部と、前記携帯端末機器の各部への電源供給を行う電源制御部と、高度データの時間変化の閾値を記録する閾値記録部と、前記高度センサから今回報告された高度データと前記高度データ記録部から読み出した前回の高度データとの差をとり、前記差を前記一定時間間隔で割り、高度変化速度を演算する高度変化速度演算部と、前記高度変化速度演算部で演算された高度変化速度の大きさと前記閾値記録部から読み出した閾値を比較し、前記高速度変化速度の大きさが前記閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中と判定する離陸・着陸判定部と、前記離陸/着陸判定部により離陸中又は着陸中と判定された場合には前記電源制御部に対して前記携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を行う制御部とを備えることを特徴とする携帯端末機器の電源切断システムを提供する。
【0008】
好ましくは、前記高度センサは圧力センサ又はGPSである。
好ましくは、前記高度を測定するための一定時間間隔は1秒間隔である。
好ましくは、前記閾値は15m/秒である。
さらに、前記携帯端末機器が携帯電話機の場合、前記制御部は、電源供給の切断命令を行う場合、電波を出力する無線部への電源供給だけを切断し、その他の部分には電源供給を継続する。
【0009】
さらに、前記携帯端末機器が携帯電話機の場合、前記制御部は、電源供給の切断命令を行う場合、タイマへの電源供給の切断を除き、電源供給の切断命令後タイマをスタートさせ、所定時間経過後に、電源供給の切断命令を解除する。
さらに、前記所定時間は10分から15分の範囲の時間とする。
さらに、前記無線部への電源供給の切断命令後、前記離陸/着陸判定部は離陸中又は着陸中を監視し、離陸終了又は着陸終了後に前記制御部は前記無線部への電源供給の切断命令を解除することを特徴とする、請求項2に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【0010】
さらに、本発明は、携帯端末機器の電源切断方法において、高度を一定時間間隔で測定する工程と、測定された高度データを記録する工程と、前記携帯端末機器の各部への電源供給を行う工程と、高度データの時間変化の閾値を記録する工程と、測定された今回の高度データと記録された前回の高度データとの差をとり、前記差を前記一定時間間隔で割り、高度変化速度を演算する工程と、前記高度変化速度の大きさと記録された前記閾値を比較し、前記高速度変化速度の大きさが前記閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中と判定する工程と、離陸中又は着陸中と判定された場合には前記携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を行う工程とを備えることを特徴とする携帯端末機器の電源切断方法を提供する。
【0011】
さらに、携帯端末機器の電源切断をコンピュータで実行するプログラムにおいて、一定時間間隔で高度の測定を実行する手順と、測定された高度データの記録を実行する手順と、前記携帯端末機器の各部への電源供給を実行する手順と、高度データの時間変化の閾値の記録を実行する手順と、測定された今回の高度データと記録された前回の高度データとの差をとり、前記差を前記一定時間間隔で割り、高度変化速度の演算を実行する手順と、前記高度変化速度の大きさと記録された前記閾値を比較し、前記高速度変化速度の大きさが前記閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中との判定を実行する手順と、離陸中又は着陸中と判定された場合には前記携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を実行する手順とを備えることを特徴とする携帯端末機器の電源切断をコンピュータで実行するプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、高度を一定時間間隔で測定し、測定された高度データを記録し、携帯端末機器の各部への電源供給を行い、高度データの時間変化の閾値を記録し、測定された今回の高度データと記録された前回の高度データとの差をとり、差を一定時間間隔で割り、高度変化速度を演算し、高度変化速度の大きさと記録された閾値を比較し、高速度変化速度の大きさが閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中と判定し、離陸中又は着陸中と判定された場合には携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を行うようにしたので、航空機の離陸中、着陸中に確実に電源を自動的に切断することが可能になった。
【0013】
さらに、携帯端末機器が携帯電話機である場合、電波の発生源となる無線部の回路の電源のみを自動的にOFFにし、他の部分は電源ONにしたままにするようにしたので、メールの作成、過去のメールの閲覧、ゲーム、音楽、映像の鑑賞を行うことが可能になる
さらに、離陸終了後又は着陸終了後には携帯電話機の電源の自動OFFを解除し、電源ONにするようにしたので携帯電話機の着信を可能にし、着信停止期間を短くし、相手への応答不能状態を短くすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る携帯端末機器の概略外観を示す斜視図である。本図に示すように、携帯端末機器の一例として、携帯電話機100を用いて説明を行う。
携帯電話機100は、一例として、折り畳み型であり、表示部101、キー入力部102、ヒンジ部103、アンテナ104、高度センサ(内蔵)105を有する。キー入力部102には電源ON(接続)/OFF(切断)キーを含む。携帯電話機100では主として送信時に電波が放出される。
【0015】
ここに、表示部101はLCD(液晶表示部)で構成され、メニュー表示、各種機能表示を行う機能を有する。
キー入力部102は文字入力キー、機能キー、電源ON/OFFキーを有し、データ入力、各種機能を実行し、携帯電話機100の操作を行う機能を有する。
ヒンジ部103は携帯電話機100の開閉を行う機能を有する。
【0016】
アンテナ104は図示しない基地局と電波の送受信を行い、外部との通信を行う機能を有する。
高度センサ105は小型圧力センサ又はGPS(全地球測位システム)であり、携帯電話機の高度を一定時間間隔で測定する機能を有する。小型圧力センサは腕時計などに使用されており、GPSも採用されている携帯電話機の機種もあり、近年高度センサは非常に小さくなっており、携帯電話機100に高度計機能を搭載することが可能となっている。なお、これら高度センサ自体はよく知られているので詳細な説明を省略する。
【0017】
図2は図1における携帯電話機100の電源切断システムの概略構成を示すブロック図である。携帯電話機100の電源切断システムは、本図に示すように、携帯電話機100の制御部109、表示部101、キー入力部102、高度センサ105、無線部106、メモリ107、電源制御部108を有し、プログラム制御で動作を実行する。
ここに、制御部109はCPU(中央演算装置)で構成され、携帯電話機100全体の制御を行う機能を有する。
【0018】
無線部106にはアンテナ104が接続され、無線部106はアンテナ104への送信信号の変調を行い、アンテナ104からの受信信号の復調を行う機能を有する。
メモリ107は制御部109が実行するプログラムを格納し、各種データを保存する機能を有する。
電源制御部108は携帯電話機100の各部、例えば、表示部101、高度センサ105、無線部106、メモリ107への電源供給を行い、制御部109からの信号により電源供給を停止することが可能である。
【0019】
高度センサ105は測定した高度情報のデータを一定時間間隔で制御部109に報告する。
メモリ107には高度データ記録部107A、閾値記録部107Bが設けられる。
ここに、高度データ記録部107Aは高度センサ105から制御部109に報告された高度情報データを記録する。
【0020】
閾値記録部107Bは航空機の離陸中又は着陸中を判定する高度変化速度の閾値を記録する。
制御部109には高度変化速度演算部109A及び離陸・着陸判定部109Bが設けられる。
ここに、高度変化速度演算部109Aは高度センサ105から報告される高度情報の時間変化から高度変化速度を演算する。
【0021】
離陸・着陸判定部109Bは離陸・着陸判定部109Bから得た高度変化速度が閾値記録部107Bの閾値と比較して大きい場合には離陸中又は着陸中と判定する。
図3は航空機の離陸状態、着陸状態を説明する図である。本図(a)に示すように、航空機301が離陸する場合、一般的には300km/h程度の速度で離陸を開始する。このときの上昇角度は滑走路302に対して12度から20度程度である。仮に12度で上昇した場合、1分当たり、約1,000mの上昇となり、1秒当たりでは約16.7mの上昇となる。
【0022】
航空機301の離陸状態を考慮してメモリ107の閾値記録部107Bには航空機301の離陸か否かを高度の変化速度が閾値を超えているかで判断するため、閾値Vh0として、例えば、Vh0=15m/秒を予め記録させる。
制御部109では、高度センサ105から一定時間間隔で報告される高度hをメモリ107の高度データ記録部107Aに記録する。
【0023】
制御部109の高度変化速度演算部109Aは高度センサ105から一定時間間隔(Δt[秒])で報告された高度h[m]から、今回の高度データと前回の高度データの差を求め、以下のようにして高度変化速度Vh[m/秒]を演算する。
時刻t[秒]に報告があった前回の高度データをh(t)[m]とし、
時刻t+Δt[秒]に報告があった今回の高度データをh(t+Δt)[m]とすると、
高度変化速度Vh[m/秒]は以下のように定義される。
【0024】
Vh={h(t+1)−h(t)}/Δt[m/秒]
ここで、好ましくは、一定時間間隔をΔt=1秒とする。
制御部109の離陸・着陸判定部109Bでは、高度変化速度演算部109Aからの高度変化速度Vhとメモリ107の閾値記録部107Bから読み出した閾値Vh0を比較し、高度変化速度Vhが閾値Vh0を超えたか否かを判定し、超えた場合には航空機301が離陸中で急激な高度変化があると判定する。
【0025】
したがって、本発明の携帯電話機100を離陸する航空機301内に持ち込んでいた場合、高度センサ105により、1分当たり1,000m(1秒当たり16.7m)の急激な上昇のデータが得られ、これを航空機301の離陸の状態であると判定し、制御部109は電源制御部108に対して自動的に携帯電話機100の電源OFFを行うように命令する。この場合、航空機301への影響を考慮し、最低限のデータのみを保存して、最低時間で電源OFFを行うことになる。
【0026】
本図(b)に示すように、航空機301の着陸中についても同様である。
図4は図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作例を示すフローチャート図である。本図に示すように、ステップ201において、携帯電話機100の電源をユーザがONにしている。
ステップ202において、制御部109では、前回の電源OFFは高度変化速度が判定基準よりも大で自動電源OFFになったか否かを判断する。自動電源OFFでない場合にはステップ204に進む。
【0027】
ステップ203において、前回の電源OFFは高度変化速度が判定基準よりも大で自動電源OFFになった場合には、携帯電話機100の表示部101に以下のようなメッセージを一定時間表示する。
「急激な高度変化により、航空機の離陸中と判定され、自動電源OFFとなりました。」
【0028】
ステップ204において、高度センサ105による高度の測定間隔を、例えば、1秒間隔とし、高度センサ105からの高度の測定結果が制御部109に1秒間隔で報告される。
ステップ205において、制御部109の高度変化速度演算部109Aで高度の測定結果である高度データを入手した場合、メモリ107の高度データ記録部107Aから前回入手した測定結果である高度データを入手し、今回の高度データと前回の高度データの比較を行う。すなわち、制御部109の高度変化速度演算部109Aでは今回の高度データと1秒前の前回の高度データの差を演算し、離陸・着陸判定部109Bでは、演算した差[m]が閾値記録部107Bから読み出した閾値15[m/秒]×1[秒]=15[m]以上か否かを判定する。15[m]以上でない場合にはステップ208に進む。
【0029】
ステップ206において、演算した差が15[m]以上である場合には制御部109は高度変化速度から航空機301の離陸中と判定し、最低限の情報を記録する。この判定で一般的な離陸中の高度の時間変化は1秒当たり約16.7[m]以上であり、閾値が1秒当たり15[m]であり、この比較では離陸中の高度変化速度は閾値よりも大きいため、離陸直後には離陸・着陸判定部109Bは現在離陸中であると判定可能である。
【0030】
ステップ207において、制御部109は電源制御部108に対して自動電源OFFするように命令し処理を終了する。
ステップ208において、演算した差が15[m]未満である場合には、電源OFFか否かを判定し、電源ONであればステップ204に進みステップ204からステップ205の処理を繰り返し高度変化速度を監視し、電源OFFであれば処理を終了する。この場合の電源OFFは通常の電源OFFである。
【0031】
このようにして、携帯電話機100を航空機301に持ち込む際に何らかの理由により、離陸中に携帯電話機100の電源をOFFにできなくても、離陸中の急激な高度変化から携帯電話機100の自動電源OFFが可能になった。ユーザが意識しなくても、確実に携帯電話機100の電源をOFFにさせることができるため、航空機301の離陸等を安全に行うことが可能になる。
【0032】
例えば、離陸中に携帯電話機100に着信等の要求があった場合も、電源がOFFになっているため、航空機301に影響を与えることはなくなる。
なお、次回、ユーザが携帯電話機100の電源ONにした場合、急激な高度変化による離陸中との判定により、自動電源OFFにした旨のメッセージをユーザに知らせる。ユーザが意識していない場合の動作であり、誤解を与えないためである。
【実施例1】
【0033】
以上の説明では、航空機301の離陸中に携帯電話機100を自動電源OFFにしたが、同様に航空機301の着陸中にも携帯電話機100を自動電源OFFにし、航空機301に影響を与えないようにできる。
【実施例2】
【0034】
図5は図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作の第1の変形例を示すフローチャート図である。本図に示すように、ステップ211において、携帯電話機100の電源をユーザがONにしている。
ステップ212において、制御部109の離陸・着陸判定部109Bは航空機301が離陸中又は着陸中であるか否かを判定する。離陸中でも着陸中でもない場合には処理を終了する。
【0035】
ステップ213において、離陸中又は着陸中である場合、制御部109は電源制御部108に対して、無線部106の電源だけを自動OFFさせ、処理を終了する。
このようにして、携帯電話機100の自動電源OFFでは携帯電話機100全体を電源OFFにせず、必要に応じて、外部と通信を行う無線部106に対する電源だけを自動的にOFFにする。すなわち、携帯電話機100の電波の発生源となる回路の電源のみを自動的にOFFにし、他の部分は電源ONにしたままにする。これにより、メールの作成、過去のメールの閲覧、ゲーム、音楽、映像の鑑賞を行うことが可能になる。
【実施例3】
【0036】
図6は図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作の第2の変形例を示すフローチャート図である。本図に示すように、ステップ221において、携帯電話機100の電源をユーザがONにしている。
ステップ222において、制御部109の離陸・着陸判定部109Bは航空機301が離陸中又は着陸中であるか否かを判定する。離陸中でも着陸中でもない場合には処理を終了する。
【0037】
ステップ223において、離陸中又は着陸中である場合、制御部109は電源制御部108に対して、携帯電話機100の電源を自動OFFさせる。この場合、携帯電話機100は図示しないタイマを有するがこのタイマへの電源はONにしておく。
ステップ224において、携帯電話機100の電源の自動OFFでタイマを所定時間に設定し、好ましくは、10分〜15分の範囲に設定し、タイマをスタートさせ、所定時間の経過を待つ。飛行高度を約10,000mとすれば、離陸時には1分当たり、約1,000mの上昇であるため、離陸が終了するためにはこの程度の時間が必要だからである。着陸の場合も同様である。
【0038】
ステップ225において、タイマが所定時間経過した場合には携帯電話機100の電源の自動OFFを解除し電源をONにし携帯電話機100の着信を可能にし、処理を終了する。
このようにして、離陸終了後又は着陸終了後には携帯電話機100の電源をONにし、携帯電話機100の着信を可能にする。着信停止期間を短くし、相手への応答不能状態を短くするためである。
【実施例4】
【0039】
図7は図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作の第3の変形例を示すフローチャート図である。本図に示すように、ステップ231において、携帯電話機100の電源をユーザがONにしている。
ステップ232において、制御部109の離陸・着陸判定部109Bは航空機301が離陸中又は着陸中であるか否かを判定する。離陸中でも着陸中でもない場合にはステップ234に進む。
【0040】
ステップ233において、離陸中又は着陸中である場合、制御部109は電源制御部108に対して、無線部106の電源だけを自動OFFさせ、ステップ232に戻り、離陸・着陸判定部109Bは離陸中又は着陸中であるかを監視する。
ステップ234において、離陸中でも着陸中でもない場合には、制御部109は無線部106の電源を自動OFFにしたか否かを判断する。無線部106の電源を自動OFFにしていない場合には処理を終了する。
【0041】
ステップ235において、無線部106の電源を自動OFFにした場合には無線部106の電源の自動OFFを解除し、無線部106の電源をONにし携帯電話機100の着信を可能にし処理を終了する。
このようにして、離陸終了後又は着陸終了後には無線部106の電源をONにし、携帯電話機100の着信を可能にする。着信停止期間を短くし、相手への応答不能状態を短くするためである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上、携帯電話機について説明を行ったが、これに限らず、PHS(簡易携帯電話機)、PDA(携帯情報端末)、ノート型パーソナルコンピュータを含む携帯端末機器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る携帯端末機器の概略外観を示す斜視図である。
【図2】図1における携帯電話機100の電源切断システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】航空機の離陸状態、着陸状態を説明する図である。
【図4】図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作例を示すフローチャート図である。
【図5】図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作の第1の変形例を示すフローチャート図である。
【図6】図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作の第2の変形例を示すフローチャート図である。
【図7】図2に示す携帯端末機器の電源切断システムの一連の動作の第3の変形例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0044】
100…携帯電話機
101…表示部
102…キー入力部
103…ヒンジ部
104…アンテナ
105…高度センサ
106…無線部
107…メモリ
107A…高度記憶部
107B…判定基準記憶部
108…電源制御部
109…制御部
109A…高度変化速度演算部
109B…離陸・着陸判定部
301…航空機
302…滑走路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末機器の電源切断システムにおいて、
高度を一定時間間隔で測定する高度センサと、
前記高度センサから報告された高度データを記録する高度データ記録部と、
前記携帯端末機器の各部への電源供給を行う電源制御部と、
高度データの時間変化の閾値を記録する閾値記録部と、
前記高度センサから今回報告された高度データと前記高度データ記録部から読み出した前回の高度データとの差をとり、前記差を前記一定時間間隔で割り、高度変化速度を演算する高度変化速度演算部と、
前記高度変化速度演算部で演算された高度変化速度の大きさと前記閾値記録部から読み出した閾値を比較し、前記高速度変化速度の大きさが前記閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中と判定する離陸・着陸判定部と、
前記離陸/着陸判定部により離陸中又は着陸中と判定された場合には前記電源制御部に対して前記携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を行う制御部とを備えることを特徴とする携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項2】
前記高度センサは圧力センサ又はGPSであることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項3】
前記高度を測定するための一定時間間隔は1秒間隔であることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項4】
前記閾値は15m/秒であることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項5】
前記携帯端末機器が携帯電話機の場合、前記制御部は、電源供給の切断命令を行う場合、電波を出力する無線部への電源供給だけを切断し、その他の部分には電源供給を継続することを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項6】
前記携帯端末機器が携帯電話機の場合、前記制御部は、電源供給の切断命令を行う場合、タイマへの電源供給の切断を除き、電源供給の切断命令後タイマをスタートさせ、所定時間の経過後に、電源供給の切断命令を解除することを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項7】
前記所定時間は10分から15分の範囲の時間とすることを特徴とする、請求項6に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項8】
前記無線部への電源供給の切断命令後、前記離陸/着陸判定部は離陸中又は着陸中を監視し、離陸終了又は着陸終了後に前記制御部は前記無線部への電源供給の切断命令を解除することを特徴とする、請求項2に記載の携帯端末機器の電源切断システム。
【請求項9】
携帯端末機器の電源切断方法において、
高度を一定時間間隔で測定する工程と、
測定された高度データを記録する工程と、
前記携帯端末機器の各部への電源供給を行う工程と、
高度データの時間変化の閾値を記録する工程と、
測定された今回の高度データと記録された前回の高度データとの差をとり、前記差を前記一定時間間隔で割り、高度変化速度を演算する工程と、
前記高度変化速度の大きさと記録された前記閾値を比較し、前記高速度変化速度の大きさが前記閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中と判定する工程と、
離陸中又は着陸中と判定された場合には前記携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を行う工程とを備えることを特徴とする携帯端末機器の電源切断方法。
【請求項10】
携帯端末機器の電源切断をコンピュータで実行するプログラムにおいて、
一定時間間隔で高度の測定を実行する手順と、
測定された高度データの記録を実行する手順と、
前記携帯端末機器の各部への電源供給を実行する手順と、
高度データの時間変化の閾値の記録を実行する手順と、
測定された今回の高度データと記録された前回の高度データとの差をとり、前記差を前記一定時間間隔で割り、高度変化速度の演算を実行する手順と、
前記高度変化速度の大きさと記録された前記閾値を比較し、前記高速度変化速度の大きさが前記閾値よりも大であると判定した場合には航空機の離陸中又は着陸中との判定を実行する手順と、
離陸中又は着陸中と判定された場合には前記携帯端末機器の各部への電源供給の切断命令を実行する手順とを備えることを特徴とする携帯端末機器の電源切断をコンピュータで実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−270457(P2006−270457A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85022(P2005−85022)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】