説明

携帯端末機器

【課題】データの送信時間又は/及び受信時間を短縮することができる携帯端末機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、データが記憶される不揮発性メモリ36と、不揮発性メモリ36に記憶されているデータを暗号化して暗号化データを得る第1の暗号化処理、暗号化データを不揮発性メモリ36に一時的に記憶させる第1の記憶処理、不揮発性メモリ36に一時的に記憶させた暗号化データを分割して複数の分割暗号化データを得る第1の分割処理、及び複数の分割暗号化データをそれぞれ無線送信する第1の送信処理の実行を制御する制御部33と、分割暗号化データを無線送信するデータ通信部31と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの送信又は受信を行う携帯端末機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末機器を含む電子機器とサーバとの間におけるデータの送受信に関する技術については、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1には、クライアントとしての電子機器が行うべきセキュリティ処理のうち、サーバ認証、クライアント認証、暗号化又は/及び復号化処理等を中継装置で代行する技術が開示されている。特許文献2には、受信装置からの配信要求で指定された順序に従って、分割されたコンテンツデータを受信装置へ配信する技術が開示されている。
【0003】
また、携帯端末機器とサーバとの間で、暗号化されたデータを携帯端末機器がサーバへ送信するときには、例えば、以下の処理が行われる。携帯端末機器は、送信の対象となるデータを複数の分割データに分割する。次に、分割された分割データの一つを暗号化する。そして、暗号化された分割暗号化データをサーバに送信する。サーバは、受け取った分割暗号化データを連結し、連結した暗号化データを復号化する。このような処理を全ての分割暗号化データが送信されるまで繰り返している。
【特許文献1】特開2002−82907号公報
【特許文献2】特開2006−285533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した処理では、分割データを個別に暗号化しては送信する、という処理を繰り返すために、全てのデータを送信するまでの所要時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0005】
また、暗号化されたデータを受信するときにも、暗号化され且つ分割されたデータを個別に受信しては復号化する、という処理を繰り返すために、全てのデータを受信するまでの所要時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0006】
したがって、本発明は、データの送信時間又は/及び受信時間を短縮することができる携帯端末機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯端末機器は、上記課題を解決するために、データが記憶される第1の記憶部と、該第1の記憶部に記憶されているデータを暗号化して暗号化データを得る第1の暗号化処理、前記暗号化データを前記第1の記憶部に一時的に記憶させる第1の記憶処理、前記第1の記憶部に一時的に記憶させた前記暗号化データを分割して複数の分割暗号化データを得る第1の分割処理、及び前記複数の分割暗号化データをそれぞれ無線送信する第1の送信処理の実行を制御する第1の制御部と、前記分割暗号化データを無線送信する第1の送信部と、を備えた。
【0008】
本発明の携帯端末機器は、上記課題を解決するために、データが記憶される第2の記憶部と、該第2の記憶部に記憶されているデータを暗号化して暗号化データを得る第2の暗号化処理、前記暗号化データを前記第2の記憶部に一時的に記憶させる第2の記憶処理、前記第2の記憶部に一時的に記憶させた前記暗号化データを圧縮して圧縮暗号化データを得る圧縮処理、前記圧縮暗号化データを分割して複数の分割圧縮暗号化データを得る第2の分割処理、及び前記複数の分割圧縮暗号化データをそれぞれ無線送信する第2の送信処理の実行を制御する第2の制御部と、前記分割圧縮暗号化データを無線送信する第2の送信部と、を備えた。
【0009】
また、前記第1の制御部は、前記第1の送信処理が終了したことを条件に、前記暗号化データを前記第1の記憶部から削除する第1の削除処理の実行を制御することが好ましい。
【0010】
また、前記第2の制御部は、前記第2の送信処理が終了したことを条件に、前記圧縮暗号化データを前記第2の記憶部から削除する第2の削除処理の実行を制御することが好ましい。
【0011】
本発明の携帯端末機器は、上記課題を解決するために、データが暗号化され且つ分割されることにより得られた複数の分割暗号化データを無線通信によって受信する第1の受信部と、前記第1の受信部が受信した前記複数の分割暗号化データを連結させて暗号化データを得る第1の連結処理及び前記暗号化データを復号化して前記データに復元させる第1の復号化処理の実行を制御する第3の制御部と、前記暗号化データを一時的に記憶するとともに、前記暗号化データを復号化して得られた前記データを記憶する第3の記憶部と、を備えた。
【0012】
本発明の携帯端末機器は、上記課題を解決するために、データが暗号化され且つ圧縮され且つ分割されることにより得られた複数の分割圧縮暗号化データを無線通信によって受信する第2の受信部と、前記第2の受信部が受信した前記複数の分割圧縮暗号化データを連結させて圧縮暗号化データを得る第2の連結処理、前記圧縮暗号化データを展開して暗号化データを得る展開処理及び前記暗号化データを復号化して前記データに復元させる第2の復号化処理の実行を制御する第4の制御部と、前記圧縮暗号化データを一時的に記憶するとともに、前記圧縮暗号化データを展開及び復号化して得られた前記データを記憶する第4の記憶部と、を備えた。
【0013】
また、前記第3の制御部は、前記第1の復号化処理が終了したことを条件に、前記暗号化データを、前記第3の記憶部から削除する第3の削除処理の実行を制御することが好ましい。
【0014】
また、前記第4の制御部は、前記第2の復号化処理が終了したことを条件に、前記圧縮暗号化データを前記第4の記憶部から削除する第4の削除処理の実行を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、データの送信時間又は/及び受信時間を短縮することができる携帯端末機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の携帯端末機器の一実施形態である携帯電話機1の外観斜視図である。
【0017】
図1に示すように、携帯電話機1は、フロントケース2aとリアケース2bとにより外面が形成される操作部側筐体2と、フロントケース3aとリアケース3bとにより外面が形成される表示部側筐体3と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結するヒンジ機構4と、を備える。
【0018】
操作部側筐体2は、フロントケース2aの表面側に露出するように配設される操作ボタン群11と音声入力部12とを有して構成される。操作ボタン群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、数字や文字が割り当てられ、電話番号入力時やメール作成時等における文字入力時に用いられる入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。また、操作部側筐体2の側面には、イヤホンコネクタキャップ16と、外部機器(基地局)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)を覆うキャップ17とが設けられている。さらに、操作部側筐体2の下端部には、充電用コネクタ(図示せず)を覆うキャップ18aと、一対の充電用接点部18bとが設けられている。なお、音声入力部12は、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声を入力するために用いられる。
【0019】
表示部側筐体3は、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22とを有して構成される。また、表示部側筐体3の上端部には、他の端末装置等との間で赤外線通信を行うための通信部23が設けられている。
【0020】
ヒンジ機構4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが相対的に動くようにこれらを連結しており、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた使用状態(開放状態)と、操作部側筐体2の表面と表示部側筐体3の表面とが互いに向き合った格納状態(折畳み状態)とに切り換えることができるように構成されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、携帯端末機器の一例としてヒンジ機構4を介して操作部側筐体2と表示部側筐体3とが相対的に動く、いわゆる折り畳み式の携帯電話機1を挙げているが、本発明は、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを2軸ヒンジを介して連結したもの、さらには、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置されたもの(いわゆる、ストレートタイプ)であっても適用可能である。
【0022】
次に、本実施形態の携帯電話機1を含む通信システム100について説明する。図2は、本実施形態に係る通信システム100の全体構成及び携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
通信システム100は、携帯電話機1と、基地局50と、通信回線60と、サーバ70とを含む。携帯電話機1は、表示部21と、データ通信部(第1の送信部、第2の送信部、第1の受信部、第2の受信部)31と、操作部32と、制御部(第1の制御部、第2の制御部、第3の制御部、第4の制御部)33と、ROM34と、RAM35と、不揮発性メモリ(第1の記憶部、第2の記憶部、第3の記憶部、第4の記憶部)36とを備える。また、携帯電話機1は、基地局50及び通信回線60を介してサーバ70との無線通信が可能である。
【0024】
表示部21は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electoro Luminescence)によって構成され、各種情報を表示する。
【0025】
データ通信部31は、基地局50を介してサーバ70から提供される各種データを受信し、基地局50を介して電子メールや各種データを送信する。データ通信部31は、無線通信に必要なアンテナや信号処理回路等を含む。
【0026】
操作部32は、各種設定を行う操作ボタン群11、音声入力部12、機能設定操作ボタン13、入力操作ボタン14、決定操作ボタン15、各種センサ等を含む。操作部32により入力された情報は制御部33の制御下で処理される。
【0027】
制御部33は中央処理装置(CPU)等を用いて構成され、携帯電話機1全体の制御を行う。そして、制御部33は、ROM34に記憶された各種ソフトウェア・プログラムを適宜RAM35へ読み出して実行することにより、上述のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。なお、制御部33によるデータをアップロードする処理又はダウンロードする処理については、後述する。
【0028】
ソフトウェア・プログラムは、例えば、音楽、動画、画像等のデジタル・コンテンツに対し、暗号化処理や復号化処理を行うための処理関数群であるDRM(Digital Rights Management)ライブラリ、ファイル(データ)の操作を行うファイルシステム、ファイルシステムの競合を管理するファイルマネージャライブラリ等を含む。
【0029】
なお、本実施形態では、ソフトウェア・プログラムは、ROM34に記憶されているが、これに限られない。例えば、ソフトウェア・プログラムは、外部メモリからRAM35へ読み込んでもよく、基地局50を介してサーバ70からダウンロードしてもよい。
【0030】
不揮発性メモリ36は、各種データを記憶する。例えば、上述した音楽、動画、画像等のデジタル・コンテンツのデータ、サーバ70へアップロード可能なデータ、サーバ70からダウンロードしたデータ、後述するテンポラリデータ等を記憶する。なお、本実施形態では、不揮発性メモリ36に各種データを記憶させているがこれに限られず、データが記憶可能な他の記憶装置を用いてもよい。
【0031】
ここで、本実施形態の携帯電話機1において、サーバ70へデータをアップロード又はダウンロードするときの制御部33の処理について説明する。なお、以下の処理は、制御部33が、各種ソフトウェアと協働することにより実行される。また、データのアップロードは、制御部33によるデータの送信処理の一例であり、データのダウンロードは、制御部33によるデータの受信処理の一例である。また、「データ」とは、テキスト文書、音楽、画像、動画等の携帯電話機1とサーバ70とで送受信が可能な各種情報を含むものとする。
【0032】
まず、本実施形態の携帯電話機1において、サーバ70へデータをアップロードするときの制御部33の処理について説明する。
【0033】
制御部33は、不揮発性メモリ36に記憶されているデータを暗号化して暗号化データを得る第1の暗号化処理、暗号化データを不揮発性メモリ36にテンポラリデータとして一時的に記憶させる記憶処理(第1の記憶処理、第2の記憶処理)の実行を制御する。ここで、「一時的に記憶させる」とは、少なくとも暗号化データの送信処理が終了するまではテンポラリデータを不揮発性メモリ36に記憶させることをいう。
【0034】
また、制御部33は、暗号化データを圧縮して圧縮暗号化データを得る圧縮処理の実行を制御する。
【0035】
また、制御部33は、暗号化データを分割して複数の分割暗号化データを得る第1の分割処理、又は圧縮暗号化データを分割して複数の分割圧縮暗号化データを得る第2の分割処理の実行を制御する。また、制御部33は、分割暗号化データをサーバ70へそれぞれ無線送信する第1の送信処理、又は分割圧縮暗号化データをサーバ70へそれぞれ無線送信する第2の送信処理の実行を制御する。
【0036】
データ通信部31は、制御部33の制御に従って分割暗号化データを、基地局50を介してサーバ70へ無線送信する。また、データ通信部31は、制御部33の制御に従って分割圧縮暗号化データを、基地局50を介してサーバ70へ無線送信する。
【0037】
このように、制御部33は、アップロードする対象となるデータを一度に暗号化し、暗号化した暗号化データをテンポラリデータとして一時的に記憶する。このため、アップロードする対象のデータを全て送信するまでの処理時間や通信時間を短縮することができる。
【0038】
また、制御部33は、サーバ70への送信処理が終了したことを条件に、暗号化データを不揮発性メモリ36から削除する第1の削除処理、又はサーバ70へ第2の送信処理が終了したことを条件に、圧縮暗号化データを第2の記憶部から削除する第2の削除処理の実行を制御する。
【0039】
このため、制御部33は、不要となった暗号化データ、又は圧縮暗号化データのテンポラリデータを、データの送信処理が終了したことを条件として削除することができる。
【0040】
次に、本実施形態の携帯電話機1において、サーバ70からデータをダウンロードするときの制御部33の処理について説明する。
【0041】
データ通信部31は、複数の分割暗号化データを、基地局50を介してサーバ70から無線通信によって受信する。分割暗号化データは、データが暗号化され、且つ分割されることにより得られる。また、データ通信部31は、複数の分割圧縮暗号化データを、基地局50を介してサーバ70から無線通信によって受信する。分割圧縮暗号化データは、データが暗号化され、圧縮され、且つ分割されることにより得られる。
【0042】
また、制御部33は、データ通信部31が受信した複数の分割暗号化データを連結させて暗号化データを得る第1の連結処理、及びデータ通信部31が受信した複数の分割圧縮暗号化データを連結させて圧縮暗号化データを得る第2の連結処理の実行を制御する。
【0043】
制御部33は、圧縮暗号化データを展開して暗号化データを得る展開処理の実行を制御する。
【0044】
また、制御部33は、暗号化データを復号化して復号化前のデータに復元させる復号化処理(第1の復号化処理、第2の復号化処理)の実行を制御する。
【0045】
また、制御部33は、暗号化データをテンポラリデータとして一時的に記憶するとともに、暗号化データを復号化して得られたデータを不揮発性メモリ36に記憶するように制御を行う。また、制御部33は、圧縮暗号化データをテンポラリデータとして一時的に記憶するとともに、圧縮暗号化データの展開処理、及び復号化処理により得られたデータを記憶するように制御を行う。ここで、「一時的に記憶する」とは、暗号化データ、又は圧縮暗号化データの復号化処理が終了するまではテンポラリデータを不揮発性メモリ36に記憶させることをいう。
【0046】
このように、制御部33は、分割暗号化データを受信して得られた暗号化データ、又は分割圧縮暗号化データを受信して得られた圧縮暗号化データを一時的に記憶する。このため、ダウンロードする対象となる全てのデータを受信するまでの処理時間や通信時間を短縮することができる。
【0047】
また、制御部33は、第1の復号化処理が終了したことを条件に、暗号化データを、不揮発性メモリ36から削除する第3の削除処理、及び第2の復号化処理が終了したことを条件に、圧縮暗号化データを不揮発性メモリ36から削除する第4の削除処理の実行を制御する。
【0048】
このため、制御部33は、不要となった暗号化データ、又は圧縮暗号化データのテンポラリデータを、データの復号化処理が終了したことを条件として削除することができる。
【0049】
図3及び図4は、本実施形態の携帯電話機1がデータをアップロードする処理の流れを示すフローチャートである。ここで、本フローチャートでは、アップロード対象となるデータを暗号化且つ分割した分割暗号化データを、サーバ70へ無線通信によりアップロードするものとする。
【0050】
ステップS1において、制御部33は、アップロードの対象となるデータが分割暗号化データであるか否かの判定をする。この判定がYesの場合には、ステップS7へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS2へ移る。
【0051】
ステップS2において、制御部33は、アップロードの対象となるデータが暗号化処理の途中であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS4へ移り、この判定がNoの場合、すなわちアップロードの対象となるデータが暗号化処理を実行されていない場合には、ステップS3へ移る。
【0052】
ステップS3において、制御部33は、アップロードの対象となるデータが暗号化処理中であることを不揮発性メモリに記憶する。
【0053】
ステップS4において、制御部33は、アップロードの対象となるデータの暗号化処理を実行し、テンポラリデータとして不揮発性メモリ36に記憶する。
【0054】
このとき、制御部33は、RAM35内に暗号化領域として確保した容量分のデータを読み込み、暗号化を実行して暗号化データを作成する。そして、RAM35内に確保された容量分の暗号化が実行される度に作成される暗号化データを、既に作成された暗号化データに追記して書き込んでいく。
【0055】
ステップS5において、制御部33は、ステップS4において全てのデータが暗号化されたか否かの判定を行う。この判定がYesの場合には、ステップS6へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS4へ戻る。
【0056】
ステップS6において、制御部33は、暗号化処理が実行された暗号化データを分割して複数の分割暗号化データを得る分割処理を実行する。
【0057】
ステップS7において、制御部33は、ステップS6において分割処理されたテンポラリデータの状態フラグをアップロード前として不揮発性メモリ36に設定する。
【0058】
ステップS8において、制御部33は、サーバ70と無線通信を行い、ステップS6において分割処理が実行された分割暗号化データをサーバ70へアップロードする。
【0059】
ステップS9において、制御部33は、分割暗号化データのアップロードが完了した後、テンポラリデータである分割暗号化データの状態フラグをアップロード完了済みとして不揮発性メモリ36に設定する。これにより、制御部33は、全ての分割暗号化データがアップロードされたため、テンポラリデータを削除する削除処理が実行可能となる。
【0060】
ステップS10において、制御部33は、不揮発性メモリ36に記憶されるテンポラリデータの削除処理を実行する。なお、テンポラリデータの削除処理の詳細については、後述する。
【0061】
このように、制御部33は、分割暗号化データを受信して得られた暗号化データをテンポラリデータとして不揮発性メモリ36に一時的に記憶する。このため、アップロードする対象となる全てのデータを送信するまでの処理時間や通信時間を短縮することができる。
【0062】
なお、上述した処理では、テンポラリデータである暗号化データを分割して複数の分割暗号化データを得て、この複数の分割暗号化データをサーバ70へアップロードしたが、これに限られない。例えば、テンポラリデータである暗号化データを圧縮して圧縮暗号化データを得、この圧縮暗号化データを分割して複数の分割圧縮暗号化データを得、得られた複数の分割圧縮暗号化データをサーバ70へアップロードしてもよい。
【0063】
図5は、本実施形態の携帯電話機1がデータをダウンロードする処理の流れを示すフローチャートである。ここで、本フローチャートでは、暗号化され且つ分割された分割暗号化データを、この分割暗号化データが記憶されたサーバ70から無線通信によりダウンロードするものとする。
【0064】
ステップS21において、制御部33は、ダウンロードする対象となるデータが、途中でダウンロードを中断されたデータであるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS22へ移る。一方、この判定がNoの場合、すなわちデータを始めからダウンロードする場合には、ステップS23へ移る。
【0065】
ステップS22において、制御部33は、ダウンロード対象となるデータが、途中でダウンロードを中断されたデータであるため、ダウンロードされていない部分のデータをサーバ70に要求する。
【0066】
ステップS23において、制御部33は、データをダウンロード中であることを不揮発性メモリ36に記憶する。
【0067】
ステップS24において、制御部33は、暗号化され且つ分割化されている分割暗号化データをサーバ70から不揮発性メモリ36へダウンロードする。
【0068】
ステップS25において、制御部33は、分割暗号化データを全てダウンロードしたか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS26へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS24へ戻る。
【0069】
ステップS26において、制御部33は、ステップS24において不揮発性メモリ36へダウンロードした分割暗号化データを連結させて暗号化データを得る連結処理を実行する。
【0070】
ステップS27において、制御部33は、ステップS26において得られた暗号化データをテンポラリデータとして不揮発性メモリ36に記憶する。このとき、制御部33は、テンポラリデータの状態フラグを復号化前として不揮発性メモリ36に設定する。
【0071】
ステップS28において、制御部33は、サーバ70にデータのダウンロードが完了したことを通知する。
【0072】
ステップS29において、制御部33は、ステップS27において記憶した暗号化データを復号化して暗号化前のデータに復元させる復号化処理を実行する。このとき、制御部33は、RAM35内に確保された容量分の暗号化データを読み込み、復号化を実行して復号化データを作成する。そして、RAM35内に確保された容量分の復号化が実行される度に、復号化されたデータを、既に復号化されたデータに追記して書き込んでいく。
【0073】
ステップS30において、制御部33は、ステップS29において全ての暗号化データが復号化されたか否かの判定を行う。この判定がYesの場合には、ステップS31に移り、この判定がNoの場合には、ステップS29に戻る。
【0074】
ステップS31において、制御部33は、復号化された全てのデータを実データとして不揮発性メモリ36に記憶する。このとき、制御部33は、ステップS27において設定したテンポラリデータの状態フラグを復号完了済みとして不揮発性メモリ36に設定する。すなわち、制御部33は、全ての暗号化データが復号化されたため、テンポラリデータを削除する削除処理が実行可能であることを不揮発性メモリ36に記憶させる。
【0075】
ステップS32において、制御部33は、不揮発性メモリ36に記憶されるテンポラリデータの削除処理を実行する。なお、テンポラリデータの削除処理の詳細については、後述する。
【0076】
このように、制御部33は、分割暗号化データを受信し、連結処理を行って得られた暗号化データをテンポラリデータとして不揮発性メモリ36に一時的に記憶する。このため、ダウンロードする対象となるデータ全てを受信するまでの処理時間や通信時間を短縮することができる。
【0077】
なお、上述した処理では、データが暗号化され且つ分割された分割暗号化データを、この分割暗号化データが記憶されたサーバ70から無線通信によりダウンロードしたが、これに限られない。例えば、データが暗号化され且つ圧縮され且つ分割されることにより得られる分割圧縮暗号化データを、この分割圧縮暗号化データが記憶されたサーバ70から無線通信によりダウンロードしてもよい。このとき、制御部33は、分割圧縮暗号化データを連結させて圧縮暗号化データを得、得られた圧縮暗号化データを展開して暗号化データを得て、この暗号化データの上述した処理において、復号化処理を行う。
【0078】
図6は、本実施形態の携帯電話機1のテンポラリデータの削除処理の流れを示すフローチャートである。ここで、制御部33は、テンポラリデータの削除処理を実行するタイミングとして、携帯電話機1が節電モードに移行しているとき、携帯電話機1の電源をON又はOFFしたとき、データをアップロードするとき、データをダウンロードするとき、別のデータをダウンロードするとき、携帯電話機1に記憶されているデータを削除するとき、削除タイマがタイムアップしたとき等が挙げられる。
【0079】
ステップS41において、制御部33は、削除処理の対象となるテンポラリデータに削除タイマが設定されているか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS43へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS42へ移る。
【0080】
ステップS42において、制御部33は、削除処理の対象となるテンポラリデータに削除タイマを設定する。ここで、削除タイマには、携帯電話機1の有するアラーム機能を利用する。このため、削除タイマは、携帯電話機1の電源がOFFされていても有効である。
【0081】
ステップS43において、制御部33は、ステップS42において設定した削除タイマがタイムアップしたか、データの状態フラグがアップロード完了済みであるか、データの状態フラグが復号化完了済みであるかのいずれかに該当するか否かを判定する。この判定がYesの場合には、ステップS44へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS45へ移る。
【0082】
ステップS44において、制御部33は、テンポラリデータを削除して、削除タイマを停止させる。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0083】
ステップS45において、制御部33は、データの状態フラグが復号化前であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、図5のステップS29へ移り、この判定がNoの場合には、ステップS46へ移る。
【0084】
ステップS46において、制御部33は、データが暗号化処理中であるか否かを判定する。この判定がYesの場合には、図3のステップS4へ移り、この判定がNoの場合には、本フローチャートの処理を終了する。
【0085】
このように、制御部33は、不要となったテンポラリデータを、データのアップロード、又はダウンロードが終了したことを条件として削除することができる。
【0086】
次に、本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70へアップロードしたときの処理時間及び通信時間について説明する。
【0087】
図7は、本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70へアップロードしたときの処理時間について示すタイムチャートである。図7(a)は、比較例であり、図7(b)は、本発明の実施例である。図7(a)に示す比較例では、サーバ70へアップロードしたときの処理時間は、t11〜t16である。また、図7(b)に示す実施例では、サーバ70へアップロードしたときの処理時間は、t21〜t25である。
【0088】
ここで、図7(a)に示す比較例では、制御部は、t11及びt14において、暗号化可能な容量分のデータを2回に分けて不揮発性メモリ36に読み込んでいる。これに対して図7(b)に示す実施例では、制御部33は、t21において、データを1回で全て不揮発性メモリ36に読み込んでいる。このため、図7(b)に示す実施例では図7(a)に示す比較例と比べて、データを読み込む処理時間を短縮することができる。
【0089】
また、図7(a)に示す比較例では、制御部は、t12及びt15において、読み込んだデータの暗号化処理を2回に分けて行っている。これに対して、図7(b)に示す実施例では、制御部33は、t22において、読み込んだデータを1回で全ての暗号化処理を行っている。このため、図7(b)に示す実施例では図7(a)に示す比較例と比べて、データを暗号化する処理時間を短縮することができる。
【0090】
図8は、本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70へアップロードしたときのサーバ70との通信時間について示すタイムチャートである。図8(a)は、比較例であり、図8(b)は、本発明の実施例である。図8(a)に示す比較例では、サーバ70へデータをアップロードしたときの通信時間は、t31〜t38である。また、図8(b)に示す実施例では、サーバ70へデータをアップロードしたときの通信時間は、t41〜t44である。
【0091】
ここで、図8(a)に示す比較例では、制御部は、t32及びt35において、暗号化可能な容量分のデータを不揮発性メモリ36に読み込む。そして、t33及びt36において、読み込んだデータの暗号化処理を行い、t34及びt37において、データをサーバ70へ送信している。これに対して、図8(b)に示す実施例では、制御部33は、t42において、テンポラリデータを読み込み、t43において、読み込んだデータをサーバ70へ送信している。このように図8(b)に示す実施例では、図8(a)に示す比較例と比べて、サーバ70との通信時間にデータを暗号化する時間が含まれないため、データをサーバ70へアップロードするときの通信時間を短縮することができる。
【0092】
図9は、本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70からダウンロードしたときの処理時間について示すタイムチャートである。図9(a)は、比較例であり、図9(b)は、本発明の実施例である。図9(a)に示す比較例では、サーバ70からダウンロードしたときの処理時間は、t51〜t56である。また、図9(b)に示す実施例では、サーバ70からダウンロードしたときの処理時間は、t61〜t65である。
【0093】
ここで、図9(a)に示す比較例では、制御部は、t51及びt54において、サーバ70からデータを2回に分けて受信している。これに対して図9(b)に示す実施例では、制御部33は、t61において、サーバ70からデータを1回で全て受信している。このため、図9(b)に示す実施例では図9(a)に示す比較例と比べて、サーバ70からデータを受信する処理時間を短縮することができる。
【0094】
また、図9(a)に示す比較例では、制御部は、t52及びt55において、受信したデータの復号化処理を2回に分けて行っている。これに対して、図9(b)に示す実施例では、制御部33は、t22において、受信したデータを1回で全ての復号化処理を行っている。このため、図9(b)に示す実施例では図9(a)に示す比較例と比べて、データを復号化する処理時間を短縮することができる。
【0095】
図10は、本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70からダウンロードしたときのサーバ70との通信時間について示すタイムチャートである。図10(a)は、比較例であり、図10(b)は、本発明の実施例である。図10(a)に示す比較例では、サーバ70からデータをダウンロードしたときの通信時間は、t71〜t78である。また、図10(b)に示す実施例では、サーバ70からデータをダウンロードしたときの通信時間は、t81〜t84である。
【0096】
ここで、図10(a)に示す比較例では、制御部は、t72及びt75において、サーバ70からデータを受信する。そして、t73及びt76において、受信したデータの復号化処理を行い、t74及びt77において、データを不揮発性メモリ36に保存している。これに対して、図10(b)に示す実施例では、制御部33は、t82において、サーバ70から1回で全てのデータを受信し、t83において、受信した全てのデータをテンポラリデータとして不揮発性メモリ36に保存している。このように図10(b)に示す実施例では、図10(a)に示す比較例と比べて、サーバ70との通信時間にデータを復号化する時間が含まれないため、データをサーバ70からダウンロードするときの通信時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の携帯端末機器の一実施形態である携帯電話機1の外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係る通信システム100の全体構成及び携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の携帯電話機1がデータをアップロードする処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の携帯電話機1がデータをアップロードする処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の携帯電話機1がデータをダウンロードする処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態の携帯電話機1のテンポラリデータの削除処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70へアップロードしたときの処理時間について示すタイムチャートである。
【図8】本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70へアップロードしたときのサーバ70との通信時間について示すタイムチャートである。
【図9】本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70からダウンロードしたときの処理時間について示すタイムチャートである。
【図10】本実施形態の携帯電話機1によりデータをサーバ70からダウンロードしたときのサーバ70との通信時間について示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1 携帯電話機
21 表示部
31 データ通信部(第1の送信部、第2の送信部、第1の受信部、第2の受信部)
32 操作部
33 制御部(第1の制御部、第2の制御部、第3の制御部、第4の制御部)
34 ROM
35 RAM
36 不揮発性メモリ(第1の記憶部、第2の記憶部、第3の記憶部、第4の記憶部)
50 基地局
60 通信回線
70 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが記憶される第1の記憶部と、
該第1の記憶部に記憶されているデータを暗号化して暗号化データを得る第1の暗号化処理、前記暗号化データを前記第1の記憶部に一時的に記憶させる第1の記憶処理、前記第1の記憶部に一時的に記憶させた前記暗号化データを分割して複数の分割暗号化データを得る第1の分割処理、及び前記複数の分割暗号化データをそれぞれ無線送信する第1の送信処理の実行を制御する第1の制御部と、
前記分割暗号化データを無線送信する第1の送信部と、を備えた携帯端末機器。
【請求項2】
データが記憶される第2の記憶部と、
該第2の記憶部に記憶されているデータを暗号化して暗号化データを得る第2の暗号化処理、前記暗号化データを前記第2の記憶部に一時的に記憶させる第2の記憶処理、前記第2の記憶部に一時的に記憶させた前記暗号化データを圧縮して圧縮暗号化データを得る圧縮処理、前記圧縮暗号化データを分割して複数の分割圧縮暗号化データを得る第2の分割処理、及び前記複数の分割圧縮暗号化データをそれぞれ無線送信する第2の送信処理の実行を制御する第2の制御部と、
前記分割圧縮暗号化データを無線送信する第2の送信部と、を備えた携帯端末機器。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記第1の送信処理が終了したことを条件に、前記暗号化データを前記第1の記憶部から削除する第1の削除処理の実行を制御する請求項1に記載の携帯端末機器。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記第2の送信処理が終了したことを条件に、前記圧縮暗号化データを前記第2の記憶部から削除する第2の削除処理の実行を制御する請求項2に記載の携帯端末機器。
【請求項5】
データが暗号化され且つ分割されることにより得られた複数の分割暗号化データを無線通信によって受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部が受信した前記複数の分割暗号化データを連結させて暗号化データを得る第1の連結処理及び前記暗号化データを復号化して前記データに復元させる第1の復号化処理の実行を制御する第3の制御部と、
前記暗号化データを一時的に記憶するとともに、前記暗号化データを復号化して得られた前記データを記憶する第3の記憶部と、を備えた携帯端末機器。
【請求項6】
データが暗号化され且つ圧縮され且つ分割されることにより得られた複数の分割圧縮暗号化データを無線通信によって受信する第2の受信部と、
前記第2の受信部が受信した前記複数の分割圧縮暗号化データを連結させて圧縮暗号化データを得る第2の連結処理、前記圧縮暗号化データを展開して暗号化データを得る展開処理及び前記暗号化データを復号化して前記データに復元させる第2の復号化処理の実行を制御する第4の制御部と、
前記圧縮暗号化データを一時的に記憶するとともに、前記圧縮暗号化データを展開及び復号化して得られた前記データを記憶する第4の記憶部と、を備えた携帯端末機器。
【請求項7】
前記第3の制御部は、前記第1の復号化処理が終了したことを条件に、前記暗号化データを前記第3の記憶部から削除する第3の削除処理の実行を制御する請求項5に記載の携帯端末機器。
【請求項8】
前記第4の制御部は、前記第2の復号化処理が終了したことを条件に、前記圧縮暗号化データを前記第4の記憶部から削除する第4の削除処理の実行を制御する請求項6に記載の携帯端末機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−11101(P2010−11101A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168190(P2008−168190)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】