説明

携帯端末装置、データ管理システム、及びプログラム

【課題】携帯端末装置の姿勢に応じて当該携帯端末装置の様々な動作内容を制御することにより、ユーザの利便性を向上することが可能な携帯端末装置を得る。
【解決手段】携帯端末装置5は、記録担体に対してデータの読み取り及び/又は書き込みを行う携帯端末装置であって、電源投入状態を維持したまま実行される携帯端末装置5の動作内容が、角度及び/又は方向に対応付けられて記憶された記憶部17と、所定の基準姿勢からの携帯端末装置5の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する姿勢検出部19と、姿勢検出部19によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を記憶部17から読み出して、当該動作内容で携帯端末装置5を動作させる制御部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディターミナル等の携帯端末装置に関し、さらに、当該携帯端末装置を備えるデータ管理システム、及び、当該携帯端末装置に搭載されるコンピュータを動作させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗での商品管理、倉庫での在庫管理、又は特定施設での来場者管理等においては、バーコード等の記録担体からデータを非接触で読み取るために、又は、ICタグ等の記録担体に対してデータの読み取り及び書き込みを非接触で行うために、ハンディターミナル等の携帯端末装置が広く使用されている。
【0003】
下記特許文献1には、加速度センサ等の傾き検出部を備えたハンディターミナルが開示されている。このハンディターミナルは、一定時間以上継続して操作が行われなかった場合に電源を自動的にオフする機能(オートパワーオフ機能)を備えている。そして、電源スイッチの押下ではなくオートパワーオフ機能によって電源がオフされた場合において、傾き検出部が情報端末の傾きの変化を検出したときには、ハンディターミナルが電源オフの状態から電源オンの状態に復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−275867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたハンディターミナルによると、傾き検出部を備えているにも拘わらず、傾き検出部による傾きの検出結果は電源オンの制御にしか利用されない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、携帯端末装置の姿勢に応じて当該携帯端末装置の様々な動作内容を制御することにより、ユーザの利便性を向上し得る、携帯端末装置、データ管理システム、及びプログラムを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る携帯端末装置は、記録担体に対してデータの読み取り及び/又は書き込みを行う携帯端末装置であって、電源投入状態を維持したまま実行される前記携帯端末装置の動作内容が、角度及び/又は方向に対応付けられて記憶された記憶手段と、所定の基準姿勢からの前記携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を前記記憶手段から読み出して、当該動作内容で前記携帯端末装置を動作させる制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る携帯端末装置によれば、検出手段は、基準姿勢からの携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する。そして、制御手段は、検出手段によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を記憶手段から読み出して、その動作内容で携帯端末装置を動作させる。このように、傾斜姿勢に応じて携帯端末装置の動作内容を制御することにより、スイッチ操作が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0009】
なお、本発明に係る携帯端末装置が備える制御手段によって制御される動作内容は、電源投入状態を維持したまま実行される携帯端末装置の動作である。従って、電源オフの状態から電源オンの状態に復帰させる動作は、当該動作内容の範囲には含まれない。
【0010】
本発明の第2の態様に係る携帯端末装置は、第1の態様に係る携帯端末装置において特に、前記動作内容には、前記記録担体からの前記データの読み取り、前記記録担体への前記データの書き込み、前記携帯端末装置の外部ネットワークへの前記データの送信、前記携帯端末装置の外部ネットワークからの前記データの受信、及び、前記携帯端末装置の内部に蓄積されている前記データの消去のうちの少なくとも一つが含まれることを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係る携帯端末装置によれば、記録担体からのデータの読み取り、記録担体へのデータの書き込み、携帯端末装置の外部へのデータの送信、携帯端末装置の外部からのデータの受信、及び、携帯端末装置の内部に蓄積されているデータの消去のうちの少なくとも一つの動作を、携帯端末装置の傾斜姿勢に応じて制御することができる。従って、これらの動作を実行するにあたってスイッチ操作が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る携帯端末装置は、第1又は第2の態様に係る携帯端末装置において特に、前記制御手段は、前記検出手段が前記携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を所定時間以上継続して検出したことを条件として、当該傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容で前記携帯端末装置を動作させることを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係る携帯端末装置によれば、制御手段は、検出手段が携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を所定時間以上継続して検出したことを条件として、当該傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容で携帯端末装置を動作させる。このように、検出手段が所定時間以上継続して検出したことを条件とすることにより、携帯端末装置の誤動作を防止することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る携帯端末装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る携帯端末装置において特に、所望の動作内容が指定された後、前記携帯端末装置の姿勢を所望の傾斜姿勢で所定時間以上継続して維持することにより、当該動作内容が当該傾斜姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応付けられて前記記憶手段に記憶されることを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係る携帯端末装置によれば、所望の動作内容が指定された後、携帯端末装置の姿勢を所望の傾斜姿勢で所定時間以上継続して維持することにより、当該動作内容が当該傾斜姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応付けられて記憶手段に記憶される。従って、追加又は変更したい動作内容をメニューからの選択等によって指定した後に、携帯端末装置を所望の姿勢で所定時間以上継続して傾斜させることにより、その動作内容をその傾斜姿勢に対応付けて簡易に記憶手段に記憶することができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係るデータ管理システムは、第1〜第4のいずれか一つの態様に係る携帯端末装置と、前記携帯端末装置によって記録担体に対して読み取り及び/又は書き込みが行われるデータを管理するデータ管理装置とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
第5の態様に係るデータ管理システムによれば、当該データ管理システムは第1〜第4のいずれか一つの態様に係る携帯端末装置を備える。当該携帯端末装置において、検出手
段は、基準姿勢からの携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する。そして、制御手段は、検出手段によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を記憶手段から読み出して、その動作内容で携帯端末装置を動作させる。このように、傾斜姿勢に応じて携帯端末装置の動作内容を制御することにより、スイッチ操作が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係るプログラムは、所定の基準姿勢からの携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する検出手段を備え、記録担体に対してデータの読み取り及び/又は書き込みを行う当該携帯端末装置に搭載されるコンピュータを動作させるプログラムであって、前記コンピュータを、電源投入状態を維持したまま実行される前記携帯端末装置の動作内容が、角度及び/又は方向に対応付けられて記憶された記憶手段と、前記検出手段によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を前記記憶手段から読み出して、当該動作内容で前記携帯端末装置を動作させる制御手段ととして機能させることを特徴とするものである。
【0019】
第6の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、検出手段によって検出された基準姿勢からの携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を取得する。そして、制御手段は、取得手段によって取得された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を記憶手段から読み出して、その動作内容で携帯端末装置を動作させる。このように、傾斜姿勢に応じて携帯端末装置の動作内容を制御することにより、スイッチ操作が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、携帯端末装置の姿勢に応じて当該携帯端末装置の様々な動作内容を制御することにより、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ管理システムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】携帯端末装置の機能構成の一部を示すブロック図である。
【図3】携帯端末装置の外観構成を模式的に示す平面図である。
【図4】携帯端末装置の外観構成を模式的に示す平面図である。
【図5】携帯端末装置の様々な姿勢を示す図である。
【図6】携帯端末装置の様々な姿勢を示す図である。
【図7】データテーブルの一例を示す図である。
【図8】通常動作モードのキー入力待ち時において制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図9】データテーブルへの項目の追加処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るデータ管理システム1の全体構成を概略的に示す図である。図1に示すようにデータ管理システム1は、データ管理装置としてのパソコン2と、通信ネットワーク3を介してパソコン2に接続された複数の無線アクセスポイント4と、無線アクセスポイント4との間で無線によるデータの送受信が可能な携帯端末装置5とを備えて構成されている。
【0024】
携帯端末装置5はハンディターミナル等であり、店舗での商品管理、倉庫での在庫管理、又は特定施設での来場者管理等において、バーコード等の記録担体からデータを非接触で読み取るために、又は、ICタグ等の記録担体に対してデータの読み取り及び書き込みを非接触で行うために用いられる。データ管理システム1においては、携帯端末装置5によって収集されたデータが、いずれかの無線アクセスポイント4及び通信ネットワーク3を介してパソコン2に送信され、パソコン2によってデータが管理される。
【0025】
図2は、携帯端末装置5の機能構成の一部を示すブロック図である。図2に示すように携帯端末装置5は、電源部10、CPU等の制御部11、タイムカウンタ等の計時部12、バーコードリーダ(二次元コードリーダを含む)13、RFIDリーダライタ14、液晶表示装置等の表示部15、操作キー群等の操作部16、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部17、通信部18、姿勢検出部19、及び、姿勢検出部19との入力インタフェースである取得部20を備えて構成されている。
【0026】
姿勢検出部19は、2個の2軸ジャイロセンサ、又は1個の3軸ジャイロセンサ等を用いて携帯端末装置5の姿勢を検出し、検出した姿勢データを出力する。ジャイロセンサの代わりに、加速度センサを用いることもできる。通信部18は、無線LANによって無線アクセスポイント4との間でデータの送受信が可能であり、また、Bluetooth(登録商標)によってプリンタ等の外部機器との間でデータの送受信が可能である。記憶部17には、制御部11を動作させるためのプログラム30と、後述するデータテーブル31と、記録担体から読み出した又は記録担体に書き込むデータ32とが記憶されている。
【0027】
図3,4は、携帯端末装置5の外観構成を模式的に示す平面図である。図3は表示部15が配置されている面を眺めたものであり、図4はバーコードリーダ13が配置されている面を眺めたものである。図2に示した電源部10、制御部11、計時部12、RFIDリーダライタ14、記憶部17、通信部18、姿勢検出部19、及び取得部20は、携帯端末装置5の筐体の内部に配置されている。なお、以下の説明では、バーコードリーダ13が配置されている面(つまり図4に示した面)を、携帯端末装置5の正面とする。
【0028】
図5,6は、携帯端末装置5の様々な姿勢を示す図である。図5の(A)には、携帯端末装置5の直立姿勢を示している。図5の(B)には、携帯端末装置5を前方に30度傾斜させた傾斜姿勢を示している。ここで本明細書では、ユーザが正面を前に向けて携帯端末装置5を保持した際にその正面の法線がユーザから遠ざかって延びる方向(図3に示した矢印Cが示す方向)を「前方」と定義する。図5の(C)には、携帯端末装置5を後方に30度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図5の(D)には、携帯端末装置5を右方に90度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図5の(E)には、携帯端末装置5を左方に60度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図6の(F)には、携帯端末装置5を後方に60度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図6の(G)には、携帯端末装置5を右方に30度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図6の(H)には、携帯端末装置5を右方に60度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図6の(I)には、携帯端末装置5を左方に30度傾斜させた傾斜姿勢を示している。図6の(J)には、携帯端末装置5を前方に60度傾斜させた傾斜姿勢を示している。
【0029】
図7は、データテーブル31の一例を示す図である。データテーブル31には、処理ナンバーで区別された複数個(図7に示した例では12個)の項目が規定されている。また、各項目には、傾斜角度、傾斜方向、及び動作内容が対応付けられている。
【0030】
処理ナンバーN1の項目に関しては、ハイバーネートモードへ移行するという動作内容が、傾斜角度A1及び傾斜方向D1に対応付けられている。ここでハイバーネートモードは、いわゆる省電力モードを意味する。ハイバーネートモードにおいては、電源部10か
ら制御部11(特にCPUのコア部分)及び計時部12への給電は行われるが、その他への給電は停止されており、これによって消費電力の低減が図られる。傾斜角度A1は、例えば、直立姿勢(図5の(A)参照)を基準姿勢として「約90度」に設定されている。傾斜方向D1は、例えば、「左方又は右方」に設定されている。なお、右方に90度傾斜した傾斜姿勢は、図5の(D)に示されている。
【0031】
処理ナンバーN2の項目に関しては、ハイバーネートモードから通常動作モード(電源オンモード)に復帰するという動作内容が、傾斜角度A2及び傾斜方向D2に対応付けられている。通常動作モードにおいては、電源部10から図2に示した各部への給電が行われ、これによって携帯端末装置5の全ての機能は通常に動作可能である。傾斜角度A2は、例えば、ハイバーネートモードの姿勢を基準姿勢として「20度以上」に設定されている。傾斜方向D2は、例えば、前方、後方、右方、及び左方の全てを含む「全方向」に設定されている。
【0032】
処理ナンバーN3の項目に関しては、バーコードを読み取るという動作内容が、傾斜角度A3及び傾斜方向D3に対応付けられている。バーコードリーダ13を動作させるためのアプリケーションが起動されることにより、バーコードリーダ13がバーコードの読み取り処理を実行する。傾斜角度A3は、例えば、直立姿勢を基準姿勢として「約30度」に設定されている。傾斜方向D3は、例えば、「前方」に設定されている。なお、前方に30度傾斜した傾斜姿勢は、図5の(B)に示されている。
【0033】
処理ナンバーN4の項目に関しては、無線LANによってデータを送信するという動作内容が、傾斜角度A4及び傾斜方向D4に対応付けられている。無線LANの送信に関するアプリケーションが起動されることにより、通信部18から無線アクセスポイント4に向けてデータが送信される。傾斜角度A4は、例えば、直立姿勢を基準姿勢として「約30度」に設定されている。傾斜方向D4は、例えば、「右方」に設定されている。なお、右方に30度傾斜した傾斜姿勢は、図6の(G)に示されている。
【0034】
処理ナンバーN5の項目に関しては、無線LANによってデータを受信するという動作内容が、傾斜角度A5及び傾斜方向D5に対応付けられている。無線LANの受信に関するアプリケーションが起動されることにより、通信部18は無線アクセスポイント4からデータを受信する。傾斜角度A5は、例えば、直立姿勢を基準姿勢として「約30度」に設定されている。傾斜方向D5は、例えば、「左方」に設定されている。なお、左方に30度傾斜した傾斜姿勢は、図6の(I)に示されている。
【0035】
処理ナンバーN6の項目に関しては、蓄積データを消去するという動作内容が、傾斜角度A6及び傾斜方向D6に対応付けられている。記憶部17の動作を制御するアプリケーションが起動されることにより、記憶部17内に蓄積されているデータ32が消去される。傾斜角度A6は、例えば、直立姿勢を基準姿勢として「約60度」に設定されている。傾斜方向D6は、例えば、「後方」に設定されている。なお、後方に60度傾斜した傾斜姿勢は、図6の(F)に示されている。
【0036】
処理ナンバーN7の項目に関しては、Bluetooth(登録商標)によってデータを送信するという動作内容が、傾斜角度A7及び傾斜方向D7に対応付けられている。Bluetooth(登録商標)の送信に関するアプリケーションが起動されることにより、通信部18からプリンタ等の外部機器に向けてデータが送信される。傾斜角度A7は、例えば、直立姿勢を基準姿勢として「約60度」に設定されている。傾斜方向D7は、例えば、「右方」に設定されている。なお、右方に60度傾斜した傾斜姿勢は、図6の(H)に示されている。
【0037】
処理ナンバーN8の項目に関しては、Bluetooth(登録商標)によってデータを受信するという動作内容が、傾斜角度A8及び傾斜方向D8に対応付けられている。Bluetooth(登録商標)の受信に関するアプリケーションが起動されることにより、通信部18は外部機器からデータを受信する。傾斜角度A8は、例えば、直立姿勢を基準姿勢として「約60度」に設定されている。傾斜方向D8は、例えば、「左方」に設定されている。なお、左方に60度傾斜した傾斜姿勢は、図5の(E)に示されている。
【0038】
図8は、通常動作モードのキー入力待ち時において制御部11が実行する処理を示すフローチャートである。ここでキー入力待ち時とは、バーコードリーダ13、RFIDリーダライタ14、操作部16、及び通信部18等の各機能が実行されていないアイドル状態を意味する。
【0039】
まずステップSP11において制御部11は、姿勢検出部19によって検出された携帯端末装置5の現在の姿勢(以下「現姿勢」と称す)に関する姿勢データを、取得部20を介して取得する。姿勢データの取得は、例えば100msec毎に周期的に実行される。
【0040】
次にステップSP12において制御部11は、ステップSP11で取得した姿勢データに基づいて、現姿勢が直立姿勢から変化しているか否かを判定する。
【0041】
現姿勢が直立姿勢から変化していない場合(つまりステップSP12における判定の結果が「NO」である場合)は、リターンする。すなわち、今回取得された姿勢データに基づく処理を終了する。
【0042】
一方、現姿勢が直立姿勢から変化している場合(つまりステップSP12における判定の結果が「YES」である場合)は、次にステップSP13において制御部11は、略同一の傾斜姿勢が所定時間(例えば2sec)以上継続しているか否かを判定する。具体的には、計時部12によって経過時間をカウントしながら、略同一傾斜角度かつ略同一傾斜方向を示す姿勢データを所定時間以上継続して取得部20から取得しているか否かを判定する。
【0043】
略同一の傾斜姿勢が所定時間以上継続していない場合(つまりステップSP13における判定の結果が「NO」である場合)は、リターンする。すなわち、今回取得された姿勢データに基づく処理を終了する。
【0044】
一方、略同一の傾斜姿勢が所定時間以上継続している場合(つまりステップSP13における判定の結果が「YES」である場合)は、次にステップSP14において制御部11は、データテーブル31を検索し、その傾斜姿勢に対応する動作内容をデータテーブル31から読み出す。例えば、前方30度の傾斜姿勢が2sec以上継続している場合には、バーコードの読み取りを示す動作内容をデータテーブル31から読み出す。
【0045】
次にステップSP15において制御部11は、ステップSP14で読み出した動作内容を実行するためのアプリケーションを起動することにより、その動作内容を実行させる。例えばバーコードの読み取りを示す動作内容をステップSP14で読み出した場合には、バーコードリーダ13を動作させるためのアプリケーションを起動し、これによってバーコードリーダ13はバーコードの読み取り処理を実行する。
【0046】
バーコードの読み取り以外の動作内容についても同様に、特定の傾斜姿勢が所定時間以上継続されたことを制御部11が検出した場合に、制御部11は、その傾斜姿勢に対応する動作内容をデータテーブル31から読み出し、その動作内容を実行するためのアプリケーションを起動する。
【0047】
なお、ハイバーネートモードにおいては電源部10から記憶部17及び姿勢検出部19等への給電が停止されているため、ハイバーネートモードから通常動作モードへの復帰動作(データテーブル31の処理ナンバーN2)に関しては、他の処理とは処理内容が若干異なる。例えば、制御部11は、計時部12によって経過時間をカウントすることにより、所定時間(例えば5sec)毎に記憶部17及び姿勢検出部19等への給電を行う必要がある。また、ステップSP12では、直立姿勢からの変化の有無を判定するのではなく、ハイバーネートモードの姿勢(左方又は右方に90度傾斜した傾斜姿勢)からの変化の有無が判定される。
【0048】
以下、データテーブル31への項目の追加処理について説明する。図9は、項目の追加処理の流れを示すフローチャートである。以下の例では、データテーブル31の処理ナンバーN9の項目にRFIDによるデータの読み取り動作を追加し、処理ナンバーN10の項目にRFIDによるデータの書き込み動作を追加する例について説明する。
【0049】
まずステップSP21においてユーザは、操作部16を操作することによって、項目を追加する処理ナンバーを選択する。この例では処理ナンバーN9が選択される。処理ナンバーN9が選択された旨の情報は、操作部16から制御部11に入力される。
【0050】
次にステップSP22においてユーザは、操作部16を操作することによって動作内容の候補一覧のメニューを表示部15に表示させ、そのメニューの中から、ステップSP21で選択された処理ナンバーに対応付けるべき動作内容を選択する。この例ではRFIDの読み取り動作が選択される。RFIDの読み取り動作が選択された旨の情報は、操作部16から制御部11に入力される。
【0051】
次にステップSP23においてユーザは、携帯端末装置5を直立姿勢で保持する。制御部11は、その状態で姿勢検出部19によって検出された姿勢データ(角度及び方向)を基準値として記憶する。
【0052】
次にステップSP24においてユーザは、データテーブル31にすでに登録されている傾斜姿勢に重複しない傾斜姿勢で、携帯端末装置5を保持する。例えば、直立姿勢から前方に60度傾斜させた傾斜姿勢で携帯端末装置5を保持する。なお、前方に60度傾斜した傾斜姿勢は、図6の(J)に示されている。
【0053】
次にステップSP25において制御部11は、略同一の傾斜姿勢が所定時間(例えば2sec)以上継続しているか否かを判定する。具体的には、計時部12によって経過時間をカウントしながら、略同一傾斜角度かつ略同一傾斜方向を示す姿勢データを所定時間以上継続して取得部20から取得しているか否かを判定する。
【0054】
略同一の傾斜姿勢が所定時間以上継続していない場合(つまりステップSP25における判定の結果が「NO」である場合)は、ステップSP24にリターンする。
【0055】
一方、略同一の傾斜姿勢が所定時間以上継続している場合(つまりステップSP25における判定の結果が「YES」である場合)は、次にステップSP26において制御部11は、ステップSP23で取得した基準値(つまり直立姿勢における角度及び方向)に対する、その傾斜姿勢における角度及び方向の変化量を求め、その変化量を傾斜角度及び傾斜方向として確定する。この例では傾斜角度として「60度」が確定され、傾斜方向として「前方」が確定される。そして、制御部11は、ステップSP22で選択された動作内容(RFIDの読み取り動作)と、ステップSP25で確定した傾斜角度(「60度」)及び傾斜方向(「前方」)とを相互に対応付けて、ステップSP21で選択された処理ナ
ンバー(処理ナンバーN9)の項目に追加する。以上の動作により、処理ナンバーN9の項目の追加が完了する。また、上記と同様の動作を行うことにより、処理ナンバーN10の項目へRFIDの書き込み動作を追加することができる。また、すでに登録されている項目の変更も、上記と同様の動作によって行うことができる。
【0056】
このように本実施の形態に係る携帯端末装置5によれば、姿勢検出部19は、基準姿勢(上記の例では直立姿勢)からの携帯端末装置5の姿勢の傾斜角度及び傾斜方向を検出する。そして、制御部11は、姿勢検出部19によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を記憶部17から読み出して、その動作内容で携帯端末装置5を動作させる。このように、傾斜姿勢に応じて携帯端末装置5の動作内容を制御することにより、操作部16のスイッチ操作が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態に係る携帯端末装置5によれば、記録担体からのデータの読み取り、記録担体へのデータの書き込み、携帯端末装置5の外部(無線アクセスポイント4又は外部機器)へのデータの送信、携帯端末装置5の外部からのデータの受信、及び、記憶部17に蓄積されているデータ32の消去のうちの少なくとも一つの動作を、携帯端末装置5の傾斜姿勢に応じて制御することができる。従って、これらの動作を実行するにあたって操作部16のスイッチ操作が不要となるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係る携帯端末装置5によれば、制御部11は、姿勢検出部19が携帯端末装置5の姿勢の傾斜角度及び傾斜方向を所定時間以上継続して検出したことを条件として、当該傾斜角度及び傾斜方向に対応する動作内容で携帯端末装置5を動作させる。このように、姿勢検出部19が所定時間以上継続して検出したことを条件とすることにより、携帯端末装置5の誤動作を防止することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態に係る携帯端末装置5によれば、所望の動作内容が指定された後、携帯端末装置5の姿勢を所望の傾斜姿勢で所定時間以上継続して維持することにより、当該動作内容が当該傾斜姿勢の傾斜角度及び傾斜方向に対応付けられてデータテーブル31に登録される。従って、追加又は変更したい動作内容をメニューからの選択等によって指定した後に、携帯端末装置5を所望の姿勢で所定時間以上継続して傾斜させることにより、その動作内容をその傾斜姿勢に対応付けて簡易にデータテーブル31に登録することができる。
【0060】
なお、以上ではバーコードリーダ13及びRFIDリーダライタ14の双方が搭載されている携帯端末装置5を例にとって説明したが、バーコードリーダ13及びRFIDリーダライタ14の一方のみが搭載されている携帯端末装置についても同様に、本発明を適用することができる。
【0061】
また、以上では傾斜角度及び傾斜方向の双方に基づいて携帯端末装置5の特定の動作を制御する例について説明したが、傾斜角度及び傾斜方向の一方のみに基づいて携帯端末装置5の動作を制御することもできる。
【0062】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 データ管理システム
2 パソコン
5 携帯端末装置
11 制御部
13 バーコードリーダ
14 RFIDリーダライタ
17 記憶部
18 通信部
19 姿勢検出部
20 取得部
30 プログラム
31 データテーブル
32 データ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録担体に対してデータの読み取り及び/又は書き込みを行う携帯端末装置であって、
電源投入状態を維持したまま実行される前記携帯端末装置の動作内容が、角度及び/又は方向に対応付けられて記憶された記憶手段と、
所定の基準姿勢からの前記携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を前記記憶手段から読み出して、当該動作内容で前記携帯端末装置を動作させる制御手段と
を備える、携帯端末装置。
【請求項2】
前記動作内容には、
前記記録担体からの前記データの読み取り、
前記記録担体への前記データの書き込み、
前記携帯端末装置の外部への前記データの送信、
前記携帯端末装置の外部からの前記データの受信、及び、
前記携帯端末装置の内部に蓄積されている前記データの消去
のうちの少なくとも一つが含まれる、請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段が前記携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を所定時間以上継続して検出したことを条件として、当該傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容で前記携帯端末装置を動作させる、請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
所望の動作内容が指定された後、前記携帯端末装置の姿勢を所望の傾斜姿勢で所定時間以上継続して維持することにより、当該動作内容が当該傾斜姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応付けられて前記記憶手段に記憶される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の携帯端末装置と、
前記携帯端末装置によって記録担体に対して読み取り及び/又は書き込みが行われるデータを管理するデータ管理装置と
を備える、データ管理システム。
【請求項6】
所定の基準姿勢からの携帯端末装置の姿勢の傾斜角度及び/又は傾斜方向を検出する検出手段を備え、記録担体に対してデータの読み取り及び/又は書き込みを行う当該携帯端末装置に搭載されるコンピュータを動作させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
電源投入状態を維持したまま実行される前記携帯端末装置の動作内容が、角度及び/又は方向に対応付けられて記憶された記憶手段と、
前記検出手段によって検出された傾斜角度及び/又は傾斜方向を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された傾斜角度及び/又は傾斜方向に対応する動作内容を前記記憶手段から読み出して、当該動作内容で前記携帯端末装置を動作させる制御手段と
として機能させる、プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−182198(P2010−182198A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26612(P2009−26612)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】