説明

携帯端末装置、プログラムおよび通知制御方法。

【課題】横断歩道を横断するユーザを良好にガイドすることができる携帯端末装置、プログラムおよび通知制御方法を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、指向性を有する赤外線ポート23と、バイブレータ14およびスピーカ13と、CPU100と、を備える。CPU100は、赤外線ポート23が、横断歩道の一端側に配された赤外線送信ポート44から他端側へ送信された赤外線の無線信号を受信したとき、横断歩道における進行方向を通知するようバイブレータ14およびスピーカ13を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等の携帯端末装置、および当該携帯端末装置に用いて好適なプログラムと通知制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行者用信号機(以下、単に「信号機」と言う。)の状態を視認することが困難な歩行者を補助する機能を備えた端末装置が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、信号機の点灯状態に係るメッセージを、携帯端末装置を介して歩行者に通知する構成が提案されている。この構成では、携帯端末装置の他に、メッセージを送信するための送信機と、メッセージを提供するエリアを指定するためのループアンテナが用いられる。横断歩道の手前にある点字ブロックを囲むようにループアンテナが敷設される。当該携帯端末装置を持つ歩行者がループアンテナの上に立つと、携帯端末装置は、送信機からの信号を受信し、メッセージを再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−109680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の携帯端末装置では、歩行者が横断歩道を横断している際に、進行方向を歩行者へ通知することができない。よって、周辺環境の視認が困難な歩行者を、良好にガイドすることが難しい。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、横断歩道を横断するユーザを良好にガイドすることができる携帯端末装置、プログラムおよび通知制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は携帯端末装置に関する。本態様に係る携帯端末装置は、指向性を有し、無線信号を受信する受信部と、通知部と、前記受信部が、横断歩道の一端側に配された送信部から他端側へ送信された無線信号を受信したとき、前記横断歩道における進行方向を通知するよう前記通知部を制御する通知制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係る携帯端末装置において、前記無線信号は、歩行者が前記横断歩道を前記他端側から前記一端側へ横断するために設置された信号機の点灯状態を通知するための情報を含み得る。この場合、前記通知制御部は、前記受信部が前記無線信号を受信したときに、前記点灯状態を通知するよう前記通知部を制御する。
【0009】
また、本態様に係る携帯端末装置は、目的地の入力を受付ける受付部と、前記送信部への方位を取得する方位取得部と、前記送信部への方位が前記目的地への進行方向であるか否かを判定する判定部と、をさらに備え得る。この場合、前記通知制御部は、前記送信部への方位が前記進行方向でない場合、前記通知部による前記通知を中止する。
【0010】
また、本態様に係る携帯端末装置は、目的地の入力を受付ける受付部と、前記送信部へ
の方位を取得する方位取得部と、前記送信部への方位が前記目的地への進行方向であるか否かを判定する判定部と、をさらに備え得る。この場合、前記通知制御部は、前記受信部が前記無線信号を受信した場合、前記送信部への方位が前記進行方向でないとき、前記送信部への方位が前記目的地への前記進行方向でないことを通知するよう前記通知部を制御する。
【0011】
また、本態様に係る携帯端末装置は、現在位置を検出する位置検出部をさらに備え得る。この場合、前記判定部は、前記現在位置と前記目的地とに基づき前記目的地への方向を取得し、さらに、前記目的地への方向に基づき前記送信部への方位が前記進行方向であるか否かを判定する。
【0012】
また、本態様に係る携帯端末装置において、前記無線信号は、前記信号機が所定の点灯状態から次の点灯状態へ遷移するまでの間、前記信号機の位置、前記横断歩道の位置、前記横断歩道を横断する方位、前記横断歩道が構成する交差点の位置および前記横断歩道が構成する交差点の名称のうち、少なくとも1つの通知事項を通知するための情報を含み得る。この場合、前記通知制御部は、前記受信部が前記無線信号を受信したときに、前記通知事項を通知するよう前記通知部を制御する。
【0013】
さらに、本態様に係る携帯端末装置において、前記通知部は、振動発生部と音声出力部のうち少なくとも一方を含み得る。
【0014】
本発明の第2の態様は、プログラムに関する。本態様に係るプログラムは、指向性を有し、無線信号を受信する受信部と、通知部と、を備える携帯端末装置のコンピュータに、横断歩道の一端側に配された送信部から他端側へ送信された無線信号を、前記受信部が受信したとき、前記横断歩道における進行方向を通知するよう前記通知部を制御する機能を付与する。
【0015】
本発明の第3の態様は、指向性を有し、無線信号を受信する受信部と、通知部と、を備える携帯端末装置の通知制御方法に関する。本態様に係る通知制御方法は、前記受信部が、横断歩道の一端側に配された送信部から他端側へ送信された無線信号を受信したとき、前記横断歩道における進行方向を通知するよう前記通知部を制御するステップを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、横断歩道を横断するユーザを良好にガイドすることができる携帯端末装置、プログラムおよび通知制御方法を提供することができる。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る、携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、赤外線ポートの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る、信号機および赤外線信号送信装置の構成を示す図である。
【図5】実施例1に係る、赤外線信号の送信のための処理を示すフローチャートと、信号機の点灯状態を説明するためのテーブルである。
【図6】実施例1に係る、信号機および横断歩道を含む交差点周辺の環境を説明するための模式図である。
【図7】実施例1に係る、携帯電話機が赤外線信号を受信できる受信可能範囲を説明するための図である。
【図8】実施例1に係る、適切な進行方向を通知するための処理を示すフローチャートである。
【図9】実施例1に係る、交差点をユーザが歩行する際に実行される適切な進行方向を通知するための処理について説明するための図である。
【図10】実施例1に係る、交差点をユーザが歩行する際に実行される、適切な進行方向を通知するための処理について説明するための図である。
【図11】実施例1に係る、交差点をユーザが歩行する際に実行される適切な進行方向を通知するための処理について説明するための図である。
【図12】実施例1に係る、交差点をユーザが歩行する際に実行される適切な進行方向を通知するための処理について説明するための図である。
【図13】実施例1に係る、交差点をユーザが歩行する際に実行される適切な進行方向を通知するための処理について説明するための図である。
【図14】実施例1に係る、信号機の点灯状態を通知するための処理について説明するためのテーブルとグラフである。
【図15】実施例2に係る、ユーザの移動開始時から目的地へ到達するまでの間に実行される処理を示すフローチャートである。
【図16】実施例2に係る、適切な進行方向を通知するための処理を示すフローチャートである。
【図17】実施例2に係る、交差点をユーザが歩行する際に実行される、適切な進行方向を通知するための処理について説明するための図である。
【図18】変更例1に係る、赤外線信号の送信のための処理を示すフローチャートと、赤外線信号に含まれる情報を説明するためのテーブルと、赤外線信号に含まれる信号機情報に応じて生成される音声データを説明するためのテーブルである。
【図19】変更例1に係る、適切な進行方向を通知するための処理を示すフローチャートである。
【図20】変更例2に係る、適切な進行方向を通知するための処理を示すフローチャートである。
【図21】変更例2に係る、信号機の点灯状態を通知するための処理について説明するためのテーブルとグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1(a)は、第1キャビネット10と第2キャビネット20が並べられ、開いた状態の携帯電話機1の外観構成を示す図である。図1(b)は、第1キャビネット10と第2キャビネット20が重ねられ、閉じた状態の携帯電話機1の外観構成を示す図である。図1(c)は、第1キャビネット10の背面図である。
【0020】
携帯電話機1は、第1キャビネット10と第2キャビネット20を有する。第2キャビネット20は、ヒンジ部30によって、第1キャビネット10に対し回転可能に連結されている。
【0021】
第1キャビネット10の正面には、複数のキーからなるキー操作部11と、マイク12とが設けられている。第1キャビネット10の背面には、スピーカ13が配されている。
【0022】
スピーカ13は、音声を出力する。たとえば、ユーザが携帯電話機1をユーザの胸の高さあたりに持っているときに、スピーカ13から音声が出力されることにより、当該ユーザは、携帯電話機1をユーザの顔へ近付けることなく、出力された音声を聞くことができる。
【0023】
第1キャビネット10には、バイブレータ14が内蔵されている。バイブレータ14は、たとえば、偏心重り付きの小型モータを含む構成が採られる。バイブレータ14が振動を発生することにより、電子メールの着信、音声通話の着信等、各種の通知がなされる。
【0024】
第2キャビネット20の正面には、ディスプレイ21を構成する液晶パネル21a、およびスピーカ22が設けられている。液晶パネル21aの表面が、ディスプレイ21の表示面21bである。液晶パネル21aの背後には、ディスプレイ21を構成するパネルバックライト21cが配されている。パネルバックライト21cは、光源となるLEDを備え、液晶パネル21aに光を供給する。
【0025】
CPU100(図3)による制御に基づき液晶パネル21aとパネルバックライト21cが駆動されることにより、ディスプレイ21は、表示面21bに画面を表示する。
【0026】
スピーカ22は、音を出力する。たとえば、通話時など、第2キャビネット20の前面上部がユーザの耳に当てられた状態で携帯電話機1が使用されているときに、当該ユーザは、スピーカ22より出力された音声を聞くことができる。
【0027】
ヒンジ部30は、一対の回転軸31および一対の軸受部32を含む。回転軸31は、第2キャビネット20の連結側端部から左右に延びる。軸受部32は、第1キャビネット10の連結側端部に形成され、回転軸31を受ける。
【0028】
図2(a)は、第2キャビネット20の上面図である。第2キャビネット20の上面側には、外部の通信装置との間で、赤外線による無線通信を行うための赤外線ポート23が配されている。赤外線ポート23の上部には、赤外線による無線信号(以下、「赤外線信号」と言う。)を、赤外線ポート23へ入射または赤外線ポート23から携帯電話機1の外部へ出射するための窓部24が設けられている。
【0029】
なお、赤外線ポート23には、発光素子と受光素子が内蔵されている。発光素子は、赤外線を出射する素子であり、デジタルの赤外線信号が赤外線ポート23から送信される。発光素子は、たとえば、赤外線LED、赤外線レーザ等で構成される。受光素子は、フォトダイオード等の、赤外線を受光する素子である。
【0030】
赤外線ポート23は、赤外線信号の受信に関して指向性を有するよう、即ち、赤外線信号をなす赤外線が携帯電話機1の外部から赤外線ポート23へ入射できる角度を所定の範囲内に制限するよう構成されている。たとえば、受光素子が、赤外線ポート23において、第2キャビネット20の上方に向けて開口するよう設けられた凹部の底面に配置される。
【0031】
赤外線ポート23は、窓部24から第2キャビネット20の上方向(Y軸正方向)を向く軸A1を中心とした所定の角度θ(たとえば10度〜80度程度)に収まる受信可能範囲B内から入射する赤外線信号(白矢印参照)を受信する。受信可能範囲Bは、上記の受光素子の位置を頂点とした、第2キャビネット20の上方向に向けて放射状に広がる領域である。図2(b)において、受信可能範囲Bの境界が2本の補助線A2により模式的に示されている。受信可能範囲Bの断面の形状は、円形、楕円形または長方形状等、各種の形状であってよい。
【0032】
なお、上記所定の角度θは、横断歩道を横断するための信号機に配され赤外線送信ポート(後述)からの赤外線信号を受信し進行方向を容易に略特定できる程度の値に、且つ、交差点における他の信号機等に配された他の赤外線送信ポートからの赤外線信号等の不要な赤外線信号を受信しない程度の値に設定される。
【0033】
図3は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。
【0034】
携帯電話機1は、上述の各構成要素の他、CPU100、メモリ101、通信モジュール102、キー入力回路103、音声エンコーダ104、バックライト駆動回路105、映像デコーダ106、音声デコーダ107、バイブレータ駆動回路108、GPSモジュール109、方位センサ110、加速度センサ111を備える。
【0035】
通信モジュール102は、CPU100による制御に基づき、通話のための信号、アプリケーション・プログラム(以下、「アプリケーション」と言う。)の実行に係るデータを含む信号等を、内蔵するアンテナを介して、基地局との間で送受信する。
【0036】
キー入力回路103は、キー操作部11の各キーが操作されたときに、各キーに応じた入力信号をCPU100へ出力する。
【0037】
音声エンコーダ104は、集音した音声に基づいてマイク12が生成した電気信号をデジタルの音声信号に変換し、CPU100へ出力する。
【0038】
バックライト駆動回路105は、CPU100からの制御信号に応じて、パネルバックライト21cに電圧信号を供給する。パネルバックライト21cは、バックライト駆動回路105からの電圧信号に基づいて点灯および消灯する。
【0039】
映像デコーダ106は、CPU100からの映像信号を、液晶パネル21aで表示できるアナログ若しくはデジタルの映像信号に変換し、液晶パネル21aに出力する。液晶パネル21aは、映像信号に応じた画像を表示面21b上に表示する。
【0040】
音声デコーダ107は、CPU100からの音声信号にデコード処理を施し、さらにアナログの音声信号に変換してスピーカ13、22の一方または両方に出力する。スピーカ13、22は、音声デコーダ107からの音声信号に基づいて、音声を携帯電話機1の外部へ出力する。
【0041】
バイブレータ駆動回路108は、CPU100からの制御信号に基づき、バイブレータ14を駆動するための電力をバイブレータ14へ供給する。バイブレータ14は、バイブレータ駆動回路108から電力を受給すると、振動を発生する。
【0042】
なお、バイブレータ14は、複数の振動パターンに従った振動を発生する(図14(b)参照)。バイブレータ駆動回路108は、所定の振動パターンに基づく制御信号をCPU100から受信することにより、当該振動パターンに従ったタイミングで、バイブレータ14を駆動(ON)および駆動停止(OFF)する。ユーザは、振動により通知の有無を認識できるのみならず、振動パターンによって、通知の種類を識別できる。
【0043】
GPSモジュール109は、GPS衛星から受信する信号等に基づき、携帯電話機1の現在位置を検出し、現在位置に応じた信号をCPU100へ出力する。なお、現在位置は、基地局の位置情報等を補助情報として用いることなどによって、適宜補正されてもよい。
【0044】
方位センサ110は、地磁気の方向を検出する磁気センサを備える。方位センサ110は、磁気センサが検出した地磁気の方向に基づき、現在の方位、即ち、北方向と携帯電話機1が向く方向(Y軸正方向)とがなす角度を検出する。方位センサ110は、現在の方位に対応した方位信号をCPU100へ出力する。
【0045】
なお、方位は、後述の加速度センサ111または角速度を検出するジャイロセンサが用いられることにより、適宜補正される構成が採られてもよい。
【0046】
加速度センサ111は、携帯電話機1に印加される加速度を検出する。加速度センサ111は3軸加速度センサで構成され、図1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ111は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。CPU100は、加速度センサ111からの加速度信号に基づき、携帯電話機1が、地面に対して横向きおよび縦向きの何れの姿勢にあるかを検出する。加速度センサ111は、2軸加速度センサ等、各種の加速度センサが用いられてよい。
【0047】
メモリ101は、ROMおよびRAMを含む記憶部である。メモリ101には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラム、経路案内、音声再生等、各種のアプリケーション等が記憶されている。
【0048】
また、メモリ101は、CPU100のワーキングメモリとしても利用される。即ち、メモリ101は、各種のアプリケーション・プログラムが実行される際、一時的に利用または生成されるデータを記憶する。
【0049】
また、メモリ101には、ユーザが横断歩道を渡ることを補助するアプリケーションが記憶されている。
【0050】
また、メモリ101には、テキストの読み上げのためのアプリケーションとこれに用いられる音声データが記憶されている(後述の図14(a)、図18(c)参照)。CPU100は、当該アプリケーションに基づき、メモリ101に記憶されている音声データを用いて、与えられたテキストに対応する音声データを生成する。これにより、上述の横断歩道を渡ることを補助するアプリケーションの実行時に、各種の音声通知がなされる。
【0051】
CPU100は、制御プログラムやアプリケーションに従って、通信モジュール102、音声エンコーダ104、バックライト駆動回路105、映像デコーダ106、音声デコーダ107、バイブレータ駆動回路108等、携帯電話機1の各部を制御する。
【0052】
図4(a)は、信号機40の模式的な外観図である。図4(b)は、信号機40と信号機40に配された赤外線信号送信装置400の構成を示すブロック図である。信号機40は、横断歩道の端の近傍の道路わきに、その横断歩道へ向けて設置される。
【0053】
信号機40は、信号灯器41と、支柱42と、信号灯43と、赤外線送信ポート44と、信号灯制御回路45と、送信制御回路46とを備える。赤外線送信ポート44と送信制御回路46は、赤外線信号送信装置400を構成する。
【0054】
信号灯器41は、支柱42に取り付けられている。信号灯器41の前面には、赤色の光を点灯する赤信号灯43Rと青色の光を点灯する青信号灯43Bとからなる信号灯43が設けられている。赤信号灯43Rは、青信号灯43Bの上側に配されている。信号灯器41の下側には、赤外線信号を信号機40の前方へ送信するための赤外線送信ポート44が配されている。
【0055】
信号機40の点灯状態が「赤」とは、赤信号灯43Rのみが点灯した状態をいい、歩行者が道路を横断することの禁止を表す。点灯状態が「青」とは、青信号灯43Bのみが点灯した状態をいい、歩行者が道路を横断できることを表す。また、点灯状態が「点滅」と
は、青信号灯43Bが点滅し、且つ、赤信号灯43Rが消灯した状態をいい、歩行者が道路の横断を始めてはいけないことを表す。
【0056】
信号灯制御回路45は、所定の時間間隔で、点灯状態を「赤」、「青」、「点滅」の順番で巡回して遷移させるよう、信号灯43を制御する。また、信号灯制御回路45は、現在の点灯状態を示す信号を、送信制御回路46へ送信する。信号灯制御回路45は、支柱42下部に設けられた制御盤47内に納められる。
【0057】
赤外線送信ポート44には、赤外線LED、赤外線レーザ等の、赤外線を出射する発光素子が内蔵されている。赤外線素子は、赤外線信号の送信に用いられることができる素子であれば、これらに限られる必要はない。
【0058】
送信制御回路46は、信号灯制御回路45から受信した現在の点灯状態を示す信号に基づき、当該点灯状態を通知するための情報を含む赤外線信号を送信するよう、赤外線送信ポート44を制御する。
【0059】
<実施例1>
図5(a)は、送信制御回路46により実行される、赤外線信号を送信するための処理を示すフローチャートである。図5(b)は、赤外線信号に含まれる情報を説明するためのテーブルである。図5(b)に示す如く、赤外線信号には、点灯状態の情報が含まれる。
【0060】
たとえば、送信制御回路46は、点灯状態である青、点滅および赤を、それぞれ変数sの値1、2および3に対応させる。
【0061】
図5(a)の処理では、送信制御回路46は、まず、上述の如く信号灯制御回路45から、現在の信号機40の点灯状態(変数sの値)を取得する(S101)。そして、送信制御回路46は、当該点灯状態の情報を含む赤外線信号を赤外線送信ポート44から送信させる(S102)。以後、信号機40の動作中、ステップS101、S102の処理が繰り返し実行される。
【0062】
図6は、携帯電話機1と信号機40とが使用される際の周辺の環境を模式的に表す図である。図6では、交差点50の周辺が図示されている。交差点50において、南北方向に走る道路51と東西方向に走る道路52とが交差する。交差点の北側、東側、南側、西側には、それぞれ、横断歩道53N、53E、53S、53Wが設けられている。道路51、52のわき、即ち交差点の南西側、北西側、北東側、南東側には、それぞれ、歩道54a〜54dが設けられている。
【0063】
歩行者は、歩道54a〜54dのうち1つの歩道から他の歩道へ移動するため、道路51または52を横断歩道53N、53E、53S、53Wに沿って横断できる。
【0064】
歩道54a〜54dには、4つの横断歩道53N、53E、53S、53Wのそれぞれにおいて双方向へ歩行者を横断させるため、信号機が合計8台配置される。なお、当該信号機は上述の信号機40と同型のものである。また、図6においては、便宜上、歩行者が西側の横断歩道53Wを北方へ横断するための信号機40aのみが模式的に示され、図6において他の信号機の図は省略されている(図9に示される信号機40b〜40d参照)。
【0065】
信号機40aの赤外線送信ポート44aは、図5の処理に基づき、横断歩道53Wへ向けて赤外線信号を送信する。図6において、補助線C1に囲まれた領域D1は、携帯電話
機1が、信号機40aから送信された赤外線信号を受信可能は領域を模式的に示す。
【0066】
赤外線送信ポート44aからの赤外線信号の出力と携帯電話機1の赤外線ポート23の受信感度は、領域D1が、横幅(東西方向の幅)と奥行き(南北方向の幅)が、たとえば数メートル〜十数メートル程度となるよう構成されている。
【0067】
なお、歩道54a〜54dには、視覚障害者の歩行補助のための点字ブロック55が配されている。なお、簡単のため、歩道54a上の点字ブロック55のみが図示され、他の歩道54b〜54d上の点字ブロック55は省略されている。領域D1は、横断歩道53Wの南端の近傍において点字ブロック55を覆う。
【0068】
携帯電話機1は、領域D1内において、赤外線送信ポート44aからの赤外線信号を受信可能である。しかしながら、図2(b)で説明されたように赤外線ポート23が指向性を有する受信部であるため、赤外線信号を実際に受信可能であるか否かは携帯話機1の向きに依存する。
【0069】
以下、信号機40a〜40dの構成について説明する場合、各信号機40a〜40dに共通する構成について説明する場合には、簡単のため、信号機40を用いて説明することがあるものとする。たとえば、図7では、携帯電話機1の向きと赤外線信号の受信状態との関係が、信号機40およびその赤外線送信ポート44を用いて説明される。この場合、携帯電話機1と各信号機40a〜40dの赤外線送信ポート44a〜44dからの赤外線信号の受信状態との関係は、図7の場合と同様である。
【0070】
図7(a)〜(c)は、信号機40に配された赤外線送信ポート44に対する携帯電話機1の向きと、携帯電話機1による赤外線信号の受信の状態との関係を説明するための図である。
【0071】
図7(a)に示す如く、携帯電話機1が赤外線送信ポート44よりも左側を向けられ、赤外線送信ポート44が受信可能範囲Bよりも右側にある場合、携帯電話機1の赤外線ポート23は、赤外線送信ポート44から送信された赤外線信号を受信しない。図7(a)の場合、携帯電話機1は、赤外線信号を受信できず、信号機40の点灯状態(図7(b)の場合、点灯状態は「青」(s=1))を取得できない。
【0072】
図7(b)に示す如く、赤外線送信ポート44が受信可能範囲Bに収まるよう携帯電話機1が赤外線送信ポート44の方向を向く場合、携帯電話機1の赤外線ポート23は、赤外線送信ポート44から送信された赤外線信号を受信する。図7(b)の場合、携帯電話機1は、赤外線信号から信号機40の点灯状態「青」(s=1)を取得できる。
【0073】
図7(c)に示す如く、携帯電話機1が赤外線送信ポート44よりも右側に向けられる場合には、図7(a)と同様、携帯電話機1は、信号機40の点灯状態を取得できない。
【0074】
図8は、赤外線送信ポート44から送信される赤外線信号を利用して、進むべき方向(赤外線送信ポート44の方向)を通知するための処理を示すフローチャートである。
【0075】
図9〜図13は、ユーザが交差点50を横断する際における、図8の処理によりなされる進行方向の通知について説明するための図である。図9〜図13では、ユーザが、図9の白矢印の如く、歩道54aから、横断歩道53W、歩道54b、そして横断歩道53Nを経由して歩道54cへ到達するよう移動する際の例が示されている。
【0076】
図8の処理は、たとえば、携帯電話機1を持つユーザが、横断歩道を横断することを望
む道路の横断歩道の手前等において、所定の開始操作(たとえば、キー操作部11に対する操作)を行うことにより開始される。また、図8の処理は、ユーザが、横断歩道を渡り終えたとき等に、所定の終了操作(たとえば、キー操作部11に対する操作)を行うことにより終了される(S202参照)。なお、CPU100は、図8の処理の実行開始に応じて赤外線ポート23を動作開始させる。
【0077】
図8の処理が実行開始されると、携帯電話機1のCPU100は、赤外線ポート23が、現在赤外線信号を受信しているか否かを判定する(S201)。以後、ユーザにより図8の処理を終了するための操作がなされない間(S202:NO)、CPU100は、赤外線信号の受信の有無を判定する処理(S201)を繰り返し、赤外線信号が受信された場合には次のステップS203の処理へ進む。
【0078】
図9を参照して、図8の処理は、たとえば図9に示すごとく携帯電話機1が歩道54aにあるときに、ユーザの開始操作により開始される。交差点50の周囲に配置される上述の8機の信号機のうち、4機の信号機40a〜40dが携帯電話機1の方を向き(つまり、携帯電話機1の位置から信号機40a〜40dの信号灯43を視認可能)、残りの4機の信号機(図示せず)が携帯電話機1の方を向かない。信号機40aと同様、信号機40b〜40dは、上述の信号機40と同様の構成が採られている。
【0079】
なお、信号機40b、40c、40dは、それぞれ、横断歩道53N、53E、53Sを向くよう歩道54c、54dに設置されている。
【0080】
図9に示されている領域D2〜D4は、それぞれ、携帯電話機1が、信号機40b〜40dから送信された赤外線信号を受信可能な領域を示す。領域D2〜D4は、信号機40aの領域D1に対応する領域である。
【0081】
図9において、携帯電話機1は、領域D1と領域D4の中にあるため、信号機40aと信号機40dからの赤外線信号を受信し得る。しかしながら、信号機40a、40dの赤外線送信ポート44a、44dは、携帯電話機1の受信可能範囲Bの外側にある。このため、携帯電話機1の赤外線ポート23は、赤外線送信ポート44a、44dからの赤外線信号を受信しない。
【0082】
ここで、たとえば、ユーザが手に持った携帯電話機1の向きを変えることにより、図10に示す如く、信号機40aの赤外線送信ポート44aが携帯電話機1の受信可能範囲Bに収まり得る。この場合、CPU100は、赤外線ポート23が赤外線信号を受信したと判定する(S201:YES)。
【0083】
図8のフローチャートに戻り、ステップS203において、CPU100は、上記の如く受信した赤外線信号から、現在の点灯状態(変数sの値。図5(b)参照)を取得する(S203)。
【0084】
さらに、CPU100は、取得した点灯状態に応じて(S204)、ステップS205〜S207の処理の何れかを実行する。CPU100は、点灯状態が「青」(s=1)であるとき、「通知処理(青)」を実行し(S205)、点灯状態が「点滅」(s=2)であるとき、「通知処理(点滅)」を実行し(S206)、点灯状態が「赤」(s=3)であるとき、「通知処理(赤)」を実行する(S207)。
【0085】
図14(a)は、通知処理(青)、通知処理(点滅)および通知処理(赤)の内容を説明するためのテーブルである。図14(b)は、通知処理(青)、通知処理(点滅)および通知処理(赤)の実行の際にバイブレータ14が発生させる振動パターン(パターン1
〜3)を示すグラフである。図14(b)に示されるグラフにおいて、横軸が時間軸であり、縦軸がバイブレータ14の駆動のONおよびOFFを表す。
【0086】
通知処理(青)(S205)は、バイブレータ14からパターン1の振動を発生するとともに、スピーカ13から現在の点灯状態を通知するための音声「青です。」を再生するための処理である。通知処理(点滅)(S206)は、バイブレータ14からパターン2の振動を発生するとともに、スピーカ13から現在の点灯状態を通知するための音声「もうすぐ赤になります。」を再生するための処理である。通知処理(赤)(S207)は、バイブレータ14からパターン3の振動を発生するとともに、スピーカ13から現在の点灯状態を通知するための音声「赤です。」を再生するための処理である。
【0087】
図14(b)のグラフに示される3つの振動パターン(パターン1〜3)は、振動によりユーザが点灯状態を認識できるよう、互いに異なる。震動パターン1〜3は、互いに同じ周期を有するが、グラフに示す如く、ONの状態とOFFの状態の時間の長さの比率が互いに異なる。
【0088】
なお、上記音声の再生に用いられる音声データは、上述した音声のテキストを読み上げるためのアプリケーションの実行により生成される。なお、音声データは、当該アプリケーションの実行により生成されるものである必要は特になく、たとえば、予めメモリ101に記憶された音声データが必要に応じて読み込まれて再生される構成が採られてもよい。
【0089】
ステップS205〜S207の何れかの処理が実行された後、終了のための操作がなされた場合(S202:YES)、図8の処理が終了する。終了のための操作がなされない場合(S202:NO)、上述の通りステップS201の処理へ戻る。
【0090】
したがって、図10に示されるように無線信号(点灯状態「赤」(s=3))が継続して受信された場合(S204:3)、ステップS205の通知処理(赤)が繰り返し実行される。
【0091】
かかる後、図11に示す如く、信号機40aの点灯状態は赤から青へと遷移すること、これに伴い点灯状態が「青」であると判定され(S204:1)、そして通知処理(青)(S205)が実行される。ユーザは、現在横断歩道40aを横断できることと信号機40aの方向とを認識しながら、横断歩道53Wを横断できる(図11の白矢印参照)。つまり、ユーザは、振動により通知される方向へ歩行することにより、道路51を横断できる。
【0092】
道路51の横断の途中、たとえば図12に示す位置に携帯電話機1があるとき、信号機40aの点灯時状態が「青」から「点滅」へ遷移し得る。これに伴い点灯状態が「点滅」であると判定され(S204:2)、そして通知処理(点滅)(S206)が実行される。ユーザは、もうすぐ点灯状態が「赤」へ遷移することと信号機40aの方向とを認識しながら、横断歩道53Wを横断できる(図11の白矢印参照)。
【0093】
歩道54bにおいて、図13に示す如く、携帯電話機1の向きが略西を向くよう変更されると、交差点50の北東側の信号機40bの赤外線送信ポート44bは携帯電話機1の受信可能範囲Bに含まれる。これにより、携帯電話機1の赤外線ポート23は、信号機40bの赤外線送信ポート44bからの赤外線信号を受信できる。
【0094】
上述の横断歩道53Wの横断の時と同様にして、ユーザは、現在の点灯状態が「青」であることが通知(S205)されているときに、横断歩道53Nを横断できる(図13の
白矢印参照)。
【0095】
このようにして、ユーザは、歩道54aから目的の歩道54cへの移動を完了する。この後、ユーザにより終了のための所定の操作がなされると(S102:YES)、図8の処理が終了する。
【0096】
なお、横断歩道の横断中において携帯電話機1の向きが変化することによって、目的の信号機(40a、40b)の赤外線送信ポート(44a、44b)が受信可能範囲Bから外れる場合が起こり得る。このとき、携帯電話機1の向きを変更することによって、ユーザは目的の赤外線送信ポート(44a、44b)の方向を再び特定できる。
【0097】
以上、本実施例の構成によれば、携帯電話機1の赤外線ポート23は、横断歩道を略覆う領域(D1、D2)において、赤外線送信ポート(44a、44b)からの赤外線信号を受信する。ここで、携帯電話機1の赤外線ポート23は指向性を持ち(図2(b)参照)、受信可能領域Bに赤外線送信ポート44が収まるように携帯電話機1の向きが定められたときに、赤外線ポート23が赤外線信号を受信できる。そして、赤外線信号を赤外線ポート23が受信したとき、携帯電話機1が向けられている方向が適切な進行方向であることを通知させるよう、通知処理(S205〜S207)が実行される。ユーザは、横断しようとする横断歩道(53W、53N)、またはその近傍(横断歩道の手前等)において、上記通知がなされるときに携帯電話機1が向けられている方向が、横断歩道(53W、53N)を横断する進行方向であることを認識できる。このように、本実施例によれば、横断歩道の横断の際に進行方向が、ユーザへ通知されるので、横断歩道を歩行するユーザを良好に補助することができる。
【0098】
<実施例2>
図15は、目的地の設定および方向通知を行うための処理を示すフローチャートである。図15の処理は、ユーザが、ある地点から目的地への移動を開始する際に実行されるものであ。図15の処理は、たとえばスタート地点(P0)において、所定の開始操作に基づき実行が開始される。
【0099】
図16は、本実施例に係る図15のステップS213の方向通知処理ルーチンを具体的に示すフローチャートである。図16のフローチャートは、図8のステップS201の処理の前段にステップS221〜S227の処理を挿入し、図8のステップS203の処理の前段にステップS228、S229の処理を挿入し、図8のステップS202の処理を削除したものである。
【0100】
図17(a)、(b)は、ユーザがスタート地点(P0)から目的地(P7)へ移動する際に、各交差点において実行される方向通知処理を説明するための図である。
【0101】
図17(a)、(b)には、図9の交差点50と同様の交差点50a〜50cが示されている。図17(a)、(b)において便宜上図示されていないが、各交差点50a〜50cに配されている各横断歩道(北側、南側、東側、西側)の両端の各近傍に、当該横断歩道へ向けて無線信号を送信する赤外線送信ポート44が配された信号機40が設置されているものとする。
【0102】
図17(a)において、地点P0〜P7は、ユーザがスタート地点(P0)から目的地(P7)へ移動する際の通過地点を表す。実線矢印は、目的地(P7)へ到達するための進行方向を模式的に表す(後述)。当該進行方向は、横断歩道の横断の際に、図16の処理に基づきユーザへ通知される。
【0103】
また、破線矢印(たとえば地点P0から地点P1への破線矢印)は、道路わきの歩道に沿った歩行による移動経路を表す。
【0104】
図17(b)において、記号「×」付きの矢印は、図16の処理に基づき振動によりユーザへ通知されない方向を模式的に表す。当該矢印の方向は、目的地(P7)へ到達するためには望ましくない進行方向である(後述)。
【0105】
図15の処理が開始されると、CPU100は、まず、ユーザによる目的地の設定入力を受付ける(S211)。目的地の設定入力は、たとえば、目的地の名称の入力、地理座標の入力、表示面21bに表示された地図を用いて目的地を指定する入力等である。CPU100は、設定入力に指定された目的地(P7)を、図15と図16の処理において目的地として利用できるよう設定する(S212)。この後、CPU100は、ステップS213の処理即ち図16の処理を、設定された目的地へ到達するまで(S214:YES)、繰り返し実行する。
【0106】
ここで、目的地へ到達したか否かの判定処理(S226)は、検出される現在位置(後述。S213および図16のS221参照)と目的地の位置との距離が所定値未満(たとえば数メートル未満)であるか否かに基づきなされる。
【0107】
図16の処理において、CPU100は、まず、GPSモジュール109により現在位置を検出する(S221)。次に、CPU100は、現在位置と目的地の位置とに基づき、現在位置から目的地への方向を算出する(S222)。目的地への方向は、北方向と目的地への方向とのなす角度として算出される。
【0108】
次に、CPU100は、現在位置を中心とする所定の範囲(たとえば数メートル〜数百メートル程度の範囲)内に設置されている信号機の位置を特定するための位置情報を取得する(S223)。当該位置情報は、通信モジュール102を介して接続されたサーバ等から取得され、メモリ101に適宜記憶される。
【0109】
なお、取得された位置情報は、後述される現在位置近くの信号機の存否の判定処理(S224)に用いられる。ステップS224の判定処理に必要な位置情報がメモリ101に記憶されていない場合、本ステップS223の処理は実行される。しかし、ステップS224の判定処理に必要な位置情報が以前に実行されたステップS223の処理の実行によりメモリ101に記憶されている場合には、本ステップS223の処理は不要であるためスキップされる。
【0110】
なお、信号機40の位置情報は上記の如くサーバから取得される構成限られる必要はない。たとえば、信号機40の位置情報は、あらかじめメモリ101に記憶されていてもよい。
【0111】
図16と図17(a)を参照し、CPU100は、現在位置(P0)を中心として所定の距離(たとえば数メートル〜数十メートル)の範囲内における信号機の存否を判定する。当該範囲内に信号機がない場合(S224:NO)、CPU100は、赤外線ポート23が動作しているときにはこれを停止させ(S225)、図16の処理を終了する。図16の処理(S213)が終了されると、CPU100は、図15のステップS214の処理へ進む。
【0112】
さて、図17(a)に示す如く、ユーザがスタート地点P0から地点P1へ移動すると、CPU100は、交差点50aに設置された信号機40が上記所定の距離内にあると判定する(S224:YES)。この場合、CPU100は、ユーザ、即ち携帯電話機1が
目的地へ到達したかを上述のステップS214の処理と同様にして判定し(S226)、目的地へ到達していない場合には(S226:NO)、次のステップS227の処理へ進む。
【0113】
ステップS227において、CPU100は、現在赤外線ポート23が停止されているなら、赤外線ポート23を動作開始させる(S227)。地点P0に携帯電話機1があったときには赤外線ポート23は停止されていたため、地点P1に進むことによりステップS227の処理が実行される場合には、停止していた赤外線ポート23の動作が開始される。
【0114】
なお、地点P1にある携帯電話機1は、地点P2において西向きに設置された信号機40に配された赤外線送信ポート44から送信される赤外線信号と、地点Q1において南向きに設置された信号機40に配された赤外線送信ポート44から送信される赤外線信号とを受信し得る(図9の領域D1、D4参照)。図9で説明された通り、携帯電話機1の赤外線ポート23が実際に赤外線信号を受信するか否かは、携帯電話機1の向きに依存する。
【0115】
ステップS201において、CPU100は、現在赤外線信号を受信しているか否かを判定する(S201)。CPU100は、赤外線信号が検出されない場合(S201:NO)、ステップS221の処理へ戻る。
【0116】
赤外線信号が検出された場合(S201:YES)、CPU100は、方位センサ110により携帯電話機1が向けられている現在の方位、すなわち赤外線送信ポート44への方位を取得する(S228)。なお、現在の方位は、赤外線信号が受信された(S201:YES)ときに検出されるため、携帯電話機1が地点P1から地点P2への方向へ横断歩道を横断する方向と看做すことができる。
【0117】
CPU100は、さらに、現在の方位が目的地へ到達するために適切な進行方向であるか否かを判定する(S229)。具体的には、CPU100は、現在の方位と目的地への方位とが鋭角(90度未満)をなす場合、現在の方位が目的地へ到達するために適切な進行方向であると判定する(S229:YES)。一方、CPU100は、現在の方位と目的地への方位とが直角または鈍角(90度以上)をなす場合、現在の方位が目的地へ到達するために適切な進行方向でないと判定する(S229:NO)。
【0118】
たとえば、地点P1にある携帯電話機1が地点P2へ向けられると、地点P2が受信可能範囲Bに収まる。この状態において、赤外線ポート23は、地点P2において西向きに設置された信号機40に配された赤外線送信ポート44からの赤外線信号を受信する(S201:YES)。このときの目的地への方位(S222において算出)は略北東方向(約45度。図17(a)の一点鎖線の矢印参照)であり、現在の方位は略東方向(約90度。P1からP2への矢印参照)となる。したがって、目的地への方位と現在の方位とは、約45度の角度であり所定の角度90度未満であるため、ステップS229においてYESと判定される(S229:YES)。これにより、CPU100は、上述のステップS203〜S207の処理を実行し(実施例1参照)、ステップS221の処理へ戻る。
【0119】
つまり、地点P1にある携帯電話機1が、交差点50aの南側の横断歩道を西方へ移動している最中において、地点P2からの赤外線信号を受信する限り(S201:YES、S229:YES)、信号機40の点灯状態に応じた通知処理(たとえば通知処理(青)S205)が実行される。ユーザは、通知される方向へ進行することにより、地点P1から地点P2へ到達できる。
【0120】
なお、地点P1にある携帯電話機1が地点Q1へ向けられた場合には、目的地への方位は略北東方向(約45度)であり、現在の方位は略北方向(約90度。P1からQ1への矢印参照)となる。この場合も、目的地への方位と現在の方位とは鋭角(約45度)をなすため、ステップS229においてYESと判定され(S229:YES)、信号機40の点灯状態に応じた通知処理が実行される。
【0121】
さて、地点P2にある携帯電話機1が地点P3へ向けられると、現在の方位が略北方(約0度)となり、目的地への方位(約40度)と現在の方位とは鋭角(約40度)をなすため(S229:YES)、上述と同様に、通知処理(S205〜S207の何れか)が実行される。
【0122】
これに対し、地点P2にある携帯電話機1が地点P1へ向けられると(図17(b)のP2からP1への矢印参照)、現在の方位(約−90度)と目的地への方位(約40度)とは鈍角(約130度)をなす(S229:NO)。このため、赤外線ポート23は赤外線信号を受信するものの(S201:YES)、現在の方位が目的地へ到達するために適切な進行方向でないと判定されるため(S229:NO)、通知処理(S205〜S207)は実行されない。
【0123】
つまり、ユーザは、地点P2において、横断歩道の横断のために進行し得る2つの方向(北方、西方)のうち、目的地に円滑に向かうためには、北方へ進行すると良いことを認識できる。
【0124】
同様に、携帯電話1が地点P3に到達した後、携帯電話機1が南方(地点P2への方向)または西方(地点Q1への方向)へ向けられた場合、これら2つの方向は、目的地への方位とは鈍角(約135度)をなすため、通知処理(S205〜S207)は実行されない。
【0125】
地点P3へ到達後、目的地への到達のためにユーザが地点P3から地点P4へ移動する途中においては、現在位置を中心として上述の所定の距離内に信号機が無いと判定され得る(S224:NO)。この場合、動作中であった赤外線ポート23が停止され(S225)、図16の処理が一旦終了される。
【0126】
かかる後、ユーザがさらに地点P4に接近した場合、CPU100は、ステップS224の判定処理において再びYESと判定する。
【0127】
以後同様に、ユーザが地点P4〜P7へ移動する間、上で説明したように、図15と図16の処理が実行される。
【0128】
即ち、携帯電話機1が、地点P4において東方(地点P5を向く方向)を向く場合と、地点P6において北方(地点P7を向く方向)を向く場合、即ち目的地に近付く方向を向く場合には、ステップS229において適切な進行方向であると判定され、ステップS205〜S207の何れかの通知処理が実行される(図17(a)の矢印参照)。
【0129】
また、携帯電話機1が、地点P4において南方(地点Q2を向く方向)を向く場合と、地点P5において南方(地点Q3を向く方向)または西方(地点P4を向く方向)を向く場合と、地点P6において西方(地点Q4を向く方向)を向く場合、即ち目的地から離れる方向を向く場合には、ステップS229において適切な進行方向でないと判定され、通知処理(S205〜S207)は実行されない(図17(b)の記号「×」付きの矢印参照)。
【0130】
こうして、携帯電話機1が目的地(P7)に接近すると、図15と図16の処理は終了する。たとえ信号機40の近傍に携帯電話機1があろうとも(S224:YES)、ステップS226の判定処理において目的地へ到達したとして(S226:YES)、図16の処理は、赤外線ポート23の停止(S225)の後に終了する。さらに続けて実行される図15の判定処理S214においても目的地へ到達したとして(S214:YES)、図15の処理が終了する。
【0131】
なお、図15の処理が終了される前に、目的地へ到達した旨を、振動、音声等によりユーザへ通知するための処理が実行されてもよい。
【0132】
以上、本実施例の構成によれば、赤外線送信ポート44からの赤外線信号が受信された場合に、現在の方位が目的地へ到達するために適切な進行方向であるか否かが判定される。そして、現在の方位が目的地へ到達するために適切な進行方向である場合には、信号機40の点滅状態に応じた通知処理が実行され、適切な進行方向でない場合には、通知処理が実行されない。
【0133】
よって、ユーザは、通知処理が実行されたときの現在の方位(即ち、携帯電話機1が向く方向)が、目的地へ到達するための適切な進行方向であると認識できる。
【0134】
なお、本実施例では、現在の方位は、方位センサ110により検出される。しかしながら、方位センサ110を利用した構成に限られる必要はなく、たとえば、赤外線信号が現在の方位に関する情報を含み、当該情報から現在の方位が取得される構成が採られてもよい。
【0135】
また、進行方向が適切であるか否かの判定処理(S229)がGPSモジュール109により検出される現在位置を利用せず実行されるよう構成が採られてもよい。たとえば、赤外線送信ポート44が送信する赤外線信号が、交差点または信号機40の位置情報(たとえば地理座標)をさらに含み、携帯電話機1が赤外線信号を受信する構成が可能である。この場合、当該位置情報を基点とした目的地への方位に基づき、ステップS229の判定処理が実行される。
【0136】
<変更例1>
上記実施例1において音声または振動により通知される内容は、信号機40の点灯状態であるが(S205〜S207)、変更例1では、交差点名、信号機の配置や向きがさらに通知される構成が採られる。
【0137】
図18(a)は、本変更例に係る、信号機40の送信制御回路46により実行される、赤外線信号を送信するための処理を示すフローチャートである。図18(b)は、赤外線信号に含まれる情報を説明するためのテーブルである。
【0138】
図18(a)のフローチャートは、図5のステップS102の処理がステップS111の処理へ置換されたものである。ステップS111において、送信制御回路46は、信号機40の点灯状態の他、さらに信号機情報を含む赤外線信号を赤外線送信ポート44から送信させる。
【0139】
図18(b)のテーブルは、図5(b)のテーブルに示された信号機40の点灯状態に加え、信号機情報を含む。信号機情報は、交差点名と、配置情報と、向き情報とからなる。
【0140】
ここで、交差点名Mは、その信号機40が設置されている交差点の名前を表す文字列(
たとえば、「ABC交差点」)である。配置情報(変数u)は、この信号機40に対応する横断歩道の位置、即ち当該横断歩道が交差点に対して何れの方位にあるかを表す情報である。向き情報(変数v)は、この信号機40に対応する横断歩道を横断する方位、即ち当該横断歩道上においてどの方向へ歩行するためのものであるかを表す情報である。配置情報uと向き情報vは、それぞれ、四方(北、東、南、西)に対応する整数1〜4の何れかに設定される。
【0141】
図19は、本変更例に係る、赤外線送信ポート44から送信される赤外線信号を利用して、進むべき方向(赤外線送信ポート44の方向)を通知するための処理を示すフローチャートである。
【0142】
図19のフローチャートは、図8のフローチャートのステップS203の前段にステップS231とS232の処理が追加されたものである。
【0143】
ステップS231において、CPU100は、信号機40の赤外線送信ポート44から送信される赤外線信号から、信号機情報を取得する。ステップS232において、CPU100は、信号機情報を音声の再生によりユーザへ通知する。
【0144】
図18(c)は、信号機情報をユーザへ通知するための再生音声を説明するための図である。
【0145】
上記音声の再生の際、CPU100は、上述のテキストの読み上げのためのアプリケーションの実行により、「<M>の<u>側の交差点を<v>方向へ進みます。」なる音声データを完成する。ここで、<M>、<u>、<v>は、それぞれ、テキストの読み上げのためのアプリケーションの実行により生成された、交差点名M、配置情報uおよび向き情報vを読み上げる音声を意味する。
【0146】
たとえば、図12に示す信号機40aに配された赤外線送信ポート44が送信する赤外線信号は、交差点名「ABC交差点」、配置情報(u=4(西))および向き情報(v=1(北))を含む。当該赤外線信号を携帯電話機1の赤外線ポート23が受信した場合には、「ABC交差点の西側の交差点を北方向へ進みます。」なる音声が、スピーカ13から再生される。
【0147】
以上、本変更例の構成によれば、赤外線信号は、点灯状態に関する情報に加えて、交差点名、配置情報および向き情報を含む。このような赤外線信号が赤外線ポート23により受信されることに応じて、スピーカ13から音声が再生されることにより、上記の各種情報がユーザへ通知される。よって、ユーザは、現在横断している交差点と横断歩道に関する情報を得ることができる。
【0148】
なお、赤外線信号は、上記の各種情報に限らず、次の点灯状態へ(「赤」から「青」へ等)遷移するまでの時間、信号機、前記横断歩道または交差点の地理座標等の情報を含むものであってもよい。赤外線信号に含まれた多様な情報が音声または振動により通知されることにより、ユーザは、現在の横断歩道に係る情報を容易に取得でき、自身の歩行に関する意思決定等を容易に行うことができる。
【0149】
<変更例2>
上記実施例2では、進行方向が正しくないと判定された場合(S229:NO)、何ら振動または音声による通知(S205〜S207)はなされない。これに対し、変更例2では、進行方向が正しくない旨を通知するための処理が実行される構成が採られる。
【0150】
図20は、本変更例における図15のステップS213の方向通知処理を具体的に示すフローチャートである。図20のフローチャートは、図16のフローチャートのステップS229においてNOと判定された後に実行されるステップS241〜S244の処理が追加されたものである。
【0151】
ステップS229において進行方向が適切でないと判定すると、CPU100は、ステップS203の処理と同様に、受信した赤外線信号から現在の点灯状態(変数sの値。図5(b)参照)を取得する(S241)。
【0152】
そして、CPU100は、点灯状態が「青」(s=1)または「点滅」(s=2)の場合(S242:YES)、逆行通知処理A(S243)を実行し、点灯状態が「赤」(s=3)の場合(S242:NO)、逆行通知処理B(S244)を実行する。
【0153】
図21(a)は、逆行通知処理Aと逆行通知処理Bの内容を説明するためのテーブルである。図21(b)は、逆行通知処理Aと逆行通知処理Bの実行の際にバイブレータ14が発生させる振動パターン(パターン4)を示すグラフである。図21(b)に示されるグラフにおいて、横軸が時間軸であり、縦軸がバイブレータ14の駆動状態(ON、OFF)を表す。
【0154】
ここで、図21(b)に示される振動パターン(パターン4)は、振動によりユーザが進行方向に逆行している状態を認識できるよう、パターン1〜3(図14(b)参照)の振動パターンとは異なるよう定められている。パターン4の振動パターンの周期は、パターン1〜3の振動パターンの周期より短い。
【0155】
逆行通知処理A(S243)は、バイブレータ14からパターン4の振動を発生すると同時に、スピーカ13から現在の進行方向正しくないことを通知するための音声「逆行です。」を再生するための処理である。
【0156】
逆行通知処理B(S244)は、バイブレータ14からパターン4の振動を発生すると同時に、スピーカ13から現在の進行方向正しくないことと、現在の点灯状態が「赤」であることとを通知するための音声「赤!逆行です。」を再生するための処理である。
【0157】
つまり、たとえば図17(a)、図17(b)を用いた例の場合、携帯電話機1が、図17(b)に示される「×」記号付きの矢印に対応する向きへ向けられると、点灯状態に応じて逆行通知処理Aまたは逆行通知処理Bが実行される。たとえば、地点P2に携帯電話機1があるときに、携帯電話機1が地点P3または地点P1へ向けられると、「逆行です。」または「赤!逆行です。」なる音声が再生される。
【0158】
ユーザは、このような通知により、現在の進行方向または進行しようとしている方向が目的地から離れる方向であることを認識できる。
【0159】
以上、本実施例の構成によれば、現在の方位が適切な進行方向でないと判定された場合には、現在の方位が適切な進行方向でないことが振動と音声により通知される。よって、ユーザは、上記通知の内容を認識することにより、目的地へ到達できる方向へ一層容易に進むことができる。
【0160】
<その他>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0161】
上記実施例1、2および変更例1、2では、視覚によらない通知を行うバイブレータ14とスピーカ13が、現在の方向が適切な進行方向であることを通知するために用いられるが、通知手段が視覚的な通知を行う構成を含むことを排除するものではない。たとえば、振動または音声による通知と同時に、携帯電話機1の表示面21bに適宜、横断歩道の横断に係る情報が表示される構成が採られてもよい。あるいは、第1キャビネット10または第2キャビネット20の一部に発光部が配されている場合には、当該発光部が発光することにより、適宜、横断歩道の横断に係る情報が表示される構成が採られてもよい。
【0162】
また、実施例1、2および変更例1、2では、各通知処理(S205〜S207)において、振動と音声による通知がなされるが、振動および音声のうち一方による通知がなされてもよい。また、用途、目的等に応じて、振動および音声の何れが用いられるかが切替可能な構成が採られても良い。
【0163】
上記実施例1、2および変更例1、2では、便宜上、横断歩道の横断の方向は、4方向(北、東、南、西)の何れかであるが、本発明は、横断歩道の横断の方向に制限はない。たとえば、変更例1において、方位を表す配置情報と向き情報によって4方向が通知されたが、8方向、16方向等、より詳細に方向を通知する構成が採られてもよい。
【0164】
上記実施例2および変更例2では、進行方向が正しいか否かの判定処理(S229)に、現在位置から見た目的地への方位が用いられる。しかしながら、上記判定処理(S229)により、目的地へ到達できるために進行方向が定められればよく、たとえば、上記判定処理に、路案内プログラム等が用いられてもよい。この場合、たとえば、横断歩道上またはその近傍において求められた現在の方位が、経路案内プログラムにより提案された経路の進行方向に略一致しているか否かが判定され、略一致している場合に、通知処理(S205〜S207の何れか)が実行される。
【0165】
上記実施例2および変更例2では、携帯電話機1が信号機40に近付いたときに、赤外線ポート23の動作が開始される(S224、S227)。これによって、消費電力の低減が図れる。しかしながら、赤外線ポート23は常時動作させることも可能である。これによって、たとえば、交差点と携帯電話機1とが離れている場合であっても、赤外線信号を受信可能な領域に携帯電話機1がある限り、横断歩道を横断できる方向や点灯状態を認識できる機会が増加し、利便性が向上する。
【0166】
上記実施例1、2および変更例1、2では、信号機の点灯状態等が通知される際に再生される音声の音声データは、携帯電話機1において生成される。しかしながら、音声データは、あらかじめ赤外線信号に含まれる構成がとられてもよい。この場合、たとえば、赤外線信号には、現在の点灯状態を通知するための音声(「青です。」等)の音声データが所定の形式で埋め込まれている。CPU100は、受信した赤外線信号から音声データを抽出し、スピーカ13により音声を再生する。
【0167】
上記実施例1、2および変更例1、2で説明した音声および振動パターンはあくまでも例示である。例示したものに限られず、各種の音声および振動パターンによってユーザへ通知のための処理が実行されてよい。
【0168】
また、たとえば、赤外線信号が、信号機40の点灯状態が次の点灯状態へ(たとえば「赤」から「青」へ)遷移するまでの時間に関する情報を含む構成が採られる場合、「あと○○秒で青に変わります。」等、時間に応じて変化する音声または振動による通知がなされてもよい。
【0169】
上記実施例1、2および変更例1、2では、ステップS201の判定処理において赤外線信号の受信が判定される。受信した無線信号の強度を検出可能な構成を携帯電話機1が有する場合には、所定強度以上の強度を有する赤外線信号が受信された場合にのみステップS201の判定処理においてYESと判定する構成が採られてもよい。
【0170】
上記実施例1、2および変更例1、2では、赤外線信号を赤外線ポート23が受信したとき、現在の方位(携帯電話機1が向けられている方向)が適切な進行方向であることが通知されるが、さらに、赤外線信号を受信したときの現在の方位を所定の形式(たとえば、北方向を基準とした角度を表す数値0〜359のデータ)で一時的にメモリ101に記憶する構成を取ることができる。この場合、携帯電話機1が赤外線送信ポート44へ向けられたとき、障害物があること等の理由により一時的に赤外線信号を受信しなくても、CPU100は、方位センサ110により検出された方位と記憶された方位とが鋭角をなすことに基づき、通知処理(S205〜S207の何れか)を実行する。
【0171】
また、携帯電話機1が受信する赤外線信号の強度を検出可能な構成を有する場合には、所定強度以上の強度を有する赤外線信号が受信された方位をメモリ101に記憶する構成が採られてもよい。
【0172】
上記実施例1、2および変更例1、2は、適宜互いに組み合わされた構成が採られることができる。たとえば、変更例1と変更例2の構成が組み合わされる構成が採られることができる。この場合、図19のフローチャートのステップS231、S232の処理が、図20のフローチャートのステップS201の後段に挿入される構成が可能である。
【0173】
上記実施の上記実施例1、2および変更例1、2では、1つの信号機40に1つの赤外線送信ポート44が配される構成が採られたが、用途や出力等に応じて、信号機40に複数の赤外線送信ポート44が配されてもよい。また、赤外線送信ポート44は必ずしも信号機40に配される必要はなく、赤外線送信ポート44は、信号機40とは異なる位置に配される構成が採られてもよい。
【0174】
また、歩道や屋内の廊下など横断歩道以外の場所において、目的地への案内、経路の案内等のために、上記実施の形態の携帯電話機1が用いられても良い。たとえば、赤外線ポート23が、屋内や室内に配されている送信部から送信された無線信号を受信することにより、無線信号および当該無線信号に含まれる情報に基いて進行方向が通知される構成が採られてもよい。
【0175】
上記実施例1、2および変更例1、2では、無線信号として赤外線による無線信号が使用されるが、可視光周波帯を含む電磁波や超音波の無線信号が使用されても良い。
【0176】
上記実施の形態では、折りたたみ式の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、ストレート式、スライド式、スマートフォン式等、他のタイプの携帯電話機に本発明が適用されてもよい。
【0177】
さらに、本発明は、携帯電話機に限られず、PDA(Personal DigitalAssistant)、タブレットPC(Tablet PC)、電子書籍端末等の携帯端末装置を含む、各種の通信装置に適用可能である。
【0178】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0179】
1 携帯電話機 (携帯端末装置)
13 スピーカ (通知部、音声出力部)
14 バイブレータ (通知部、振動発生部)
23 赤外線ポート (受信部)
40、40a〜40d 信号機
44、44a〜44d 赤外線送信ポート (送信部)
100 CPU (通知制御部、受付部、方位取得部、判定部)
109 GPSモジュール (位置検出部)
110 方位センサ (方位取得部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置において、
指向性を有し、無線信号を受信する受信部と、
通知部と、
前記受信部が、横断歩道の一端側に配された送信部から他端側へ送信された無線信号を受信したとき、前記横断歩道における進行方向を通知するよう前記通知部を制御する通知制御部と、を備える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記無線信号は、歩行者が前記横断歩道を前記他端側から前記一端側へ横断するために設置された信号機の点灯状態を通知するための情報を含み、
前記通知制御部は、前記受信部が前記無線信号を受信したときに、前記点灯状態を通知するよう前記通知部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
目的地の入力を受付ける受付部と、
前記送信部への方位を取得する方位取得部と、
前記送信部への方位が前記目的地への進行方向であるか否かを判定する判定部と、をさらに備え、
前記通知制御部は、前記送信部への方位が前記進行方向でない場合、前記通知部による前記通知を中止する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1また2に記載の携帯端末装置において、
目的地の入力を受付ける受付部と、
前記送信部への方位を取得する方位取得部と、
前記送信部への方位が前記目的地への進行方向であるか否かを判定する判定部と、をさらに備え、
前記通知制御部は、前記受信部が前記無線信号を受信した場合、前記送信部への方位が前記進行方向でないとき、前記送信部への方位が前記目的地への前記進行方向でないことを通知するよう前記通知部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の携帯端末装置において、
現在位置を検出する位置検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記現在位置と前記目的地とに基づき前記目的地への方向を取得し、さらに、前記目的地への方向に基づき前記送信部への方位が前記進行方向であるか否かを判定する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記無線信号は、前記信号機が所定の点灯状態から次の点灯状態へ遷移するまでの間、前記信号機の位置、前記横断歩道の位置、前記横断歩道を横断する方位、前記横断歩道が構成する交差点の位置および前記横断歩道が構成する交差点の名称のうち、少なくとも1つの通知事項を通知するための情報を含み、
前記通知制御部は、前記受信部が前記無線信号を受信したときに、前記通知事項を通知するよう前記通知部を制御する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の携帯端末装置において、
前記通知部は、振動発生部と音声出力部のうち少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
指向性を有し、無線信号を受信する受信部と、
通知部と、を備える携帯端末装置のコンピュータに、
横断歩道の一端側に配された送信部から他端側へ送信された無線信号を、前記受信部が受信したとき、前記横断歩道における進行方向を通知するよう前記通知部を制御する機能を付与する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
指向性を有し、無線信号を受信する受信部と、
通知部と、を備える携帯端末装置の通知制御方法であって、
前記受信部が、横断歩道の一端側に配された送信部から他端側へ送信された無線信号を受信したとき、前記横断歩道における進行方向を通知するよう前記通知部を制御するステップを含む、
ことを特徴とする通知制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−97387(P2013−97387A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236369(P2011−236369)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】