説明

携帯端末装置、充電装置、充電制御方法及びプログラム

【課題】緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を充電できるようにし、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用可能にする。
【解決手段】携帯端末装置1において、通信制御部3を介して緊急地震速報を受信すると、緊急充電判断部4は、緊急速報解析部41にて解析した緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、GPS制御部11にて取得した自装置の現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算し、到達予測時間が所定値以上である場合、充電制御部17により自装置に接続される電池30に対し緊急充電を開始する。その後、緊急充電判断部4の充電停止判断部43は、タイマ管理部9にて設定した充電終了予定時刻に達するか、あるいは地震検出部42にて規定値以上の揺れを検出した場合、緊急充電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急地震速報等の緊急速報を受信等により取得可能な携帯端末装置、充電装置、充電制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信端末装置または放送受信装置、あるいは携帯端末装置等のユーザに対し、地震の到達前に、緊急地震速報を知らせる緊急地震速報システムが普及してきている。この緊急地震速報は、受信直後にいち早くユーザに災害の準備を行わせることを意図したものである。このような緊急速報は、地震だけでなく、津波、洪水などに利用されることもある。
【0003】
この種の従来技術として、特許文献1に記載の携帯端末装置が知られている。この携帯端末装置は、緊急通報を受信すると、緊急通報から特定される時刻情報を抽出し、特定された時刻になると安否確認メッセージを表示する。そして、ユーザから応答入力が無かった場合、携帯端末装置は、強制的に省電力モードによる電力制御を行う。
【0004】
また、緊急情報を受信する際に、電池残量が所定量未満である場合、消費電力が異なる複数の放送から消費電力の少ない放送をバッグランド受信用として選択する放送受信装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−89091号公報
【特許文献2】特開2010−171477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、携帯端末装置を使用して緊急地震速報等の緊急速報を受信する場合を想定する。上記のような従来の装置では、携帯端末装置にて緊急速報を受信しても、ユーザが、緊急速報を確認できない場所、あるいは災害に備えた他の対応を行っている時には、携帯端末装置に対して準備を行うことができない。すなわち、携帯端末装置の電池残量が不十分であり、ユーザの初動が遅れた場合、災害による停電前に携帯端末装置の電池を十分に充電できない状況が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を充電できるようにし、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末装置は、緊急状況に関する緊急速報を取得可能な携帯端末装置であって、自装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記位置情報取得部で取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報解析部と、前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、自装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電制御部と、を備える。
【0009】
本発明の充電装置は、携帯端末装置に接続される電池の充電を行う充電装置であって、前記携帯端末装置から、あるいは自装置において、緊急状況に関する緊急速報を含む情報を取得する情報取得部と、前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記携帯端末装置または自装置において取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報解析部と、前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、前記携帯端末装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を充電できるようにし、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯端末装置を備える充電制御システムの構成を示すブロック図
【図2】携帯端末装置における緊急速報解析手順を示すフローチャート
【図3】携帯端末装置における充電制御手順を示すフローチャート
【図4】携帯端末装置における充電制御手順を示すフローチャート
【図5】充電時の電池容量の変化の一例を示すグラフ
【図6】地震発生からの充電制御の流れを示す動作説明図
【図7】本発明の第2の実施形態における非接触充電装置を備える充電制御システムの外観図
【図8】第2の実施形態における充電装置の構成を示すブロック図
【図9】第2の実施形態における携帯端末装置の構成を示すブロック図
【図10】携帯端末装置における緊急速報解析手順を示すフローチャート
【図11】充電装置における充電制御手順を示すフローチャート
【図12】複数の携帯端末装置に対する充電制御方法を説明する図
【図13】他の電力供給方式を用いた充電装置の第1変形例を示す図
【図14】他の電力供給方式を用いた充電装置の第2変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、携帯端末装置の充電制御システムの構成例を用いて、本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態の携帯端末装置は、緊急速報を取得可能であり、充電装置とともに充電制御システムを構成する。充電装置は、充電器、充電台などとして構成されるもので、電池への充電時の電力を携帯端末装置に供給する。充電制御システムは、充電制御機能を携帯端末装置に持つもの、充電装置側に持つもの、双方に持つものなど、種々の形態が考えられる。ここでは、緊急速報を取得する例として、緊急状況の一つである地震発生に関する速報情報として配信される緊急地震速報を受信する場合を例示する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における携帯端末装置を備える充電制御システムの構成を示すブロック図である。第1の実施形態は、充電制御システムにおいて携帯端末装置が主体的に動作する例である。
【0014】
携帯端末装置1は、通信アンテナ2、通信制御部3、緊急充電判断部4、加速度センサ6、加速度センサ制御部7、GPSアンテナ10、GPS制御部11、タイマ管理部9、省電力検出部13、充電制御部17、表示制御部15、表示部16、及びキー操作部14を備える。また、携帯端末装置1には、充電装置20が接続されるとともに、この充電装置20によって充電され各部に電力を供給する内蔵または外付けの電池30が接続される。電池30としては、例えばリチウムイオン二次電池等が用いられる。第1の実施形態では、携帯端末装置1と充電装置20とが電気的接点を介して接続される場合を想定する。
【0015】
通信制御部3は、通信アンテナ2を介して無線基地局と通信を行い、通信事業者が配信する緊急速報メール、ショートメッセージサービス(SMS)、電子メール等で緊急地震速報を受信可能である。また、通信制御部3は、通信アンテナ2を介して放送局からラジオ放送、公共テレビ放送等の放送を受信可能である。緊急地震速報は、ラジオ放送または公共テレビ放送における音声、公共テレビ放送における映像、あるいはメール等によるテキスト情報として受信される。このような緊急地震速報等の緊急速報としては、インターネットを介して配信されるコンテンツ(音声、映像、テキスト)も含まれる。
【0016】
加速度センサ制御部7は、加速度センサ6を制御し、加速度の検出、オンまたはオフの切替等の制御を行う。加速度センサ6には、ピエゾ抵抗方式、静電容量検出方式、熱探知方式などのセンサが用いられる。GPS制御部11は、位置情報取得部の機能を有するもので、GPSアンテナ10を介して複数のGPS衛星からの電波を受信し、現在位置の測位を行う。表示制御部15は、緊急充電判断部4及びキー操作部14の指示に応じて表示部16の表示を制御する。
【0017】
充電制御部17は、充電装置20からの電力供給を受け、電池30に対する充電開始、充電終了を制御する。省電力検出部13は、携帯端末装置1の省電力モード状態を検出する。タイマ管理部9は、タイマにより時間を計時し、後述するように充電終了時間を充電制御部17に通知する。
【0018】
緊急充電判断部4は、緊急速報解析部41、地震検出部42、及び充電停止判断部43を備える。この緊急充電判断部4は、緊急充電制御部の機能を実現するものである。緊急速報解析部41は、通信制御部3から通知される地震発生緊急速報を解析し、地震が到達するまでの到達予測時間を計算する。地震検出部42は、緊急状況検出部の機能を実現するもので、加速度センサ制御部7から通知される加速度検出信号から地震波による揺れを検出する。充電停止判断部43は、充電制御部17による充電動作の停止を判断する。
【0019】
ここで、緊急充電判断部4、タイマ管理部9、省電力検出部13、充電制御部17は、携帯端末装置1を制御する各種情報処理を行うCPU(コンピュータ)が、メモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0020】
上記構成を有する携帯端末装置1の動作を説明する。図2は携帯端末装置1における緊急速報解析手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、携帯端末装置1内のメモリに格納されており、緊急地震速報を検出すると、CPUによって実行される。この動作は緊急充電判断部4の緊急速報解析部41で行われる動作である。緊急地震速報の検出は、例えば、無線基地局を経由して送られてくるメールが、緊急地震速報を表すものである場合に行われる。
【0021】
緊急地震速報が検出されると、まず、携帯端末装置1の緊急充電判断部4は、緊急速報解析部41において、通信制御部3を介して入力された情報の種別を判別する(ステップS1)。入力された情報がラジオ放送、公共テレビ放送等における音声である場合、緊急速報解析部41は、音声解析処理を行う(ステップS2)。また、入力された情報が公共テレビ放送等における映像である場合、緊急速報解析部41は、映像解析処理を行う(ステップS3)。また、入力された情報がメール等によるテキスト情報である場合、緊急速報解析部41は、テキスト情報解析処理を行う(ステップS4)。
【0022】
ステップS2、S3あるいはS4の解析結果から、緊急速報解析部41は、入力情報から発生場所を特定するための情報に変換する発生場所情報変換処理を行う(ステップS5)。さらに、特定された発生場所をもとに、緊急速報解析部41は、緊急状況の発生位置情報を取得する(ステップS6)。このステップS6の処理では、例えば、発生地が広範囲(静岡県沖など)のような大まかな情報の場合、緊急速報解析部41は、最近の災害情報履歴から詳細な位置情報(緯度、経度)を取得する。このように、種々のメディアを通じて地震発生位置(緊急状況発生位置)を確実に取得することができる。
【0023】
さらに、緊急速報解析部41は、発生時間解析処理を行い、発生時間情報として緊急地震速報の送信時刻または受信時刻を取得する(ステップS7)。この送信時刻または受信時刻は、例えば緊急地震速報を表すメールのヘッダ内容から取得可能である。この解析処理の結果、緊急速報解析部41は、地震の発生時間を取得する(ステップS8)。この後、緊急速報解析部41は本処理を終了する。
【0024】
図3及び図4は携帯端末装置1における充電制御手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、携帯端末装置1内のメモリに格納されており、緊急地震速報が解析された後、CPUによって実行される。この動作は、主に、緊急充電判断部4(地震検出部42、充電停止判断部43)、タイマ管理部9、省電力検出部13、充電制御部17で行われる動作である。
【0025】
携帯端末装置1の緊急充電判断部4は、上記緊急速報解析手順により緊急速報解析部41において緊急地震速報を解析した後、GPS制御部11によって受信されるGPS信号から現在位置の測位が可能であるか否かを判別する(ステップS11)。GPSによる現在位置の測位が可能である場合、緊急充電判断部4は、GPS制御部11で現在位置の測位を行い、現在位置情報を取得する(ステップS12)。
【0026】
一方、ステップS11でGPSによる現在位置の測位が不可能である場合、緊急充電判断部4は、位置情報取得部の機能を実現するために、通信制御部3で送受信が行われる無線基地局から携帯端末装置1の現在位置情報を取得する(ステップS13)。なお、GPSによる現在位置の測位が可能である場合は、ステップS13の無線基地局からの現在位置情報取得をスキップしてもよいし、双方合わせて行ってもよい。
【0027】
その後、緊急充電判断部4は、緊急速報解析部41において、緊急地震速報の解析結果をもとに、緊急状況の到達予測時間として、地震到達予想時間を計算する(ステップS14)。この地震到達予想時間は、自装置の現在位置と地震発生位置とから、大きな揺れが生じる地震波(S波)が到達するまでのおおよその時間を算出する。そして、緊急充電判断部4は、地震到達予想時間が、緊急時の充電(緊急充電)に適した時間、つまり充電可能な時間である所定値以上であるか否かを判別する(ステップS15)。所定値以上である場合のみ、充電を可能にすることで、所定値未満の極めて短時間で効果の少ない充電を避けることができる。ステップS15で地震到達予想時間が所定値未満である場合、緊急充電判断部4は後述するステップS31の処理に進む。
【0028】
ステップS15で地震到達予想時間が所定値以上である場合、緊急充電判断部4は、充電装置20に接続中であるか否かを判別する(ステップS16)。充電装置20に接続されていない場合、充電が不可能なので、緊急充電判断部4は後述するステップS31の処理に進む。一方、充電装置20に接続中である場合、緊急充電判断部4は、充電制御部17により充電開始処理を行い、電池30への充電を開始する(ステップS17)。これにより、標準充電が行われる。
【0029】
ここで、充電制御部17による電池の充電制御について説明する。図5は充電時の電池容量(電池残量)の変化を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は電池の総容量に対する電池残量を%で表す。充電制御部17は、電池容量0%から所定量まで電池30に急速充電を行う。その後、急速充電から標準充電に切り替わり、通常の充電停止となる電池容量(この例では、96%)に達するまで標準充電を行う。
【0030】
途中、電池容量が充電再開となる電池容量(ここでは、90%)に達すると、つまり、図中、充電再開ラインiに達すると、表示制御部15により充電中であることを示す表示(ここではLED)を消灯し、ユーザには充電が完了していることが示される。このLED消灯後も充電制御部17は標準充電を継続する。そして、電池容量が図中、通常の充電停止ラインhに達すると、充電制御部17は標準充電を停止し、電池30の放電が開始される。その後、充電再開となる充電再開ラインiまで電池容量が下がると、充電制御部17は標準充電を再開する。
【0031】
このように、携帯端末装置1が充電装置20に接続され、ほぼ満充電状態である場合は、LEDが消灯状態となり、電池容量は、充電停止ラインhと充電再開ラインiとの間で変動する。なお、エコモードの充電停止ラインjは、通常の充電停止ラインhより低く(例えば80%)設定されている。消費電力の少ないエコモード(省電力モード)で動作している場合、省電力検出部13により省電力モード状態を検出し、充電制御部17は、このエコモードの充電停止ラインjに達すると充電動作を停止する。
【0032】
一方、緊急地震速報の受信時における充電制御では、充電制御部17は通常の充電停止となる電池容量を越え、さらに実際の満充電(100%)を目指して充電を行う。すなわち、緊急時は、図中の矢印kに示す電池容量90%〜100%の範囲でも充電を行い、可能な限り電池容量を確保する。
【0033】
緊急地震速報を受信した場合、前述したように、本実施形態では、充電制御部17は標準充電を行う。ただし、通常の充電停止ラインhの電池容量を超えて、満充電を目指して電池容量100%までの充電を行う。なお、標準充電の代わりに、同様に、満充電を目指して急速充電を行ってもよい。
【0034】
表1、表2は、それぞれ標準充電、急速充電における充電時間と充電可能量の対応関係を示すテーブルである。このテーブルにおいて、太い枠線で示される充電時間と充電可能量が、実際に緊急地震通報を受信した際に目安とされる充電である。表2の急速充電は、表1の標準充電の5倍の速度(充電時間は1/5)の充電である。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
なお、上記例では、急速充電として、標準充電に比べて5倍速度の急速充電の例を示したが、3倍あるいは7倍速度の急速充電を行うこともできる。
【0038】
この後、緊急充電判断部4は、地震検出部42において、加速度センサ制御部7及び加速度センサ6がオン(ON)状態にあるか否かを判別する(ステップS18)。オン状態にある場合、緊急充電判断部4はステップS20の処理に進む。一方、加速度センサ6がオフ状態にある場合、地震検出部42は、加速度センサ制御部7により加速度センサ6を起動してオン状態にする(ステップS19)。そして、地震検出部42は、加速度センサ6及び加速度センサ制御部7の出力に基づき、地震波を測定する準備を行う(ステップS20)。
【0039】
続いて、地震検出部42は、地震波であるP波(第一波)を検出したか否かを判別する(ステップS21)。地震検出部42でP波を検出すると、緊急充電判断部4は、P波検出時刻を確認し(ステップS22)、次のS波(第二波)の到達予想時刻を計算する(ステップS23)。S波の到達予想時刻は、前述の緊急地震速報解析結果による発生時間情報(緊急地震速報の送信時刻または受信時刻)及び発生位置情報と、自装置の現在位置でのP波検出時刻とから、計算によって求める。なお、ステップS21でP波を検出できなかった場合、緊急充電判断部4は、ステップS14で計算された地震到達予想時間から想定される時間をS波の到達予想時間と推定する。
【0040】
緊急充電判断部4は、電池30の残量(端子電圧)などの電池情報を取得し(ステップS24)、この電池情報をもとに、充電完了(緊急時の満充電状態)になるまでの充電時間を計算する(ステップS25)。続いて、緊急充電判断部4は、この充電時間の計算結果に基づき、タイマ管理部9において充電終了時間を設定する(ステップS26)。ここで、タイマ管理部9は、上記表1、表2の充電時間と充電可能量の対応関係から、充電完了までの充電終了時間を設定する。このように、電池の残量から充電時間を計算することで、充電完了までの正確な時間を設定する。そして、緊急充電判断部4は、設定した充電終了時間が経過するまで、充電制御部17による充電動作を継続する。
【0041】
次に、緊急充電判断部4は、充電停止判断部43において、地震検出部42により地震波(S波)を検出したか否かを判別する(ステップS27)。S波を検出していない場合、携帯端末装置1は後述するステップS29の処理に進む。
【0042】
一方、S波を検出すると、充電停止判断部43は、検出された地震波(S波)の揺れが規定値(例えば震度5)未満であるか否かを判別する(ステップS28)。規定値以上の大きな揺れを検出した場合、充電停止判断部43は、充電制御部17により充電終了処理を行い、電池30への充電を終了する(ステップS30)。特に、携帯端末装置1が電気的接点を介して充電装置20に接続される場合、充電中に大きな揺れが発生すると、突入電流などで装置内部の回路が壊れるなど、装置本体に支障が生じるおそれがある。そこで、大きな地震の揺れが発生した場合に充電を停止することで、このような不具合を防止できる。なお、充電停止判断部43は、実際の地震検出とは別に、地震到達予想時間が所定値未満になった場合(地震到達予想時間が0で到達予想時刻に達した場合を含む)、充電を終了するようにしてもよい。
【0043】
一方、ステップS28で揺れが規定値未満である場合、充電停止判断部43は、充電が完了する充電終了予定時刻(充電終了時間)であるか否か判別する(ステップS29)。まだ充電終了予定時刻に達していない場合、緊急充電判断部4はステップS27の処理に戻る。一方、充電終了予定時刻に達すると、充電停止判断部43は、充電制御部17により充電終了処理を行い、電池30への充電を終了する(ステップS30)。充電が終了すると、携帯端末装置1は消費電力の少ない省電力モードに移行し(ステップS31)、本処理を終了する。省電力検出部13により省電力モード状態を検出すると、表示制御部15、表示部16等への電力の供給が停止される。このように、通常モードから省電力モードに切り替えることで、充電後の電力消費を抑えることができる。
【0044】
図6は本実施形態における地震発生からの充電制御の流れを示す図である。地震が発生し、P波が気象庁の観測点に到達すると、気象庁から緊急地震速報が配信される。携帯端末装置は、通信事業者等を介して、緊急地震速報を受信すると、電池に対する緊急時の充電(緊急充電)を開始する。そして、携帯端末装置は、自装置の現在位置でのS波の到達予想時刻を算出し、S波到達前の充電停止時刻(充電終了予定時刻)を計算してタイマ管理部にて設定する。これとともに、携帯端末装置は、加速度センサによって地震による揺れの測定を開始する。その後、携帯端末装置は、S波の到達予測時刻前である充電停止時刻に達するか、あるいは規定値以上の揺れが発生した場合、充電を停止する。
【0045】
このように、第1の実施形態によれば、緊急地震速報を受信した場合、自動的に緊急時の電池の充電が行われるので、大きな揺れが生じる緊急状況の到達前に電池を充電でき、ユーザは災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を確保し使用することができる。
【0046】
なお、緊急地震速報受信時に充電を行う際に、充電装置20に接続された携帯端末装置1が充電中である場合(電池残量が少ない場合など)、標準充電から急速充電へ切り替えて充電を行うようにしてもよい。また、終了時の充電量が少ないエコモード(省電力モード)である場合には、エコモードを解除して標準充電または急速充電への切り替えを行うようにしてもよい。これにより、短時間であっても、充電量を増やすことができる。また、実際に強い揺れを検出した場合に、急速充電に切り替えるようにしてもよい。
【0047】
なお、第1の実施形態では、携帯端末装置が電気的接点を介して充電装置に接続される構成の場合を示したが、後述する第2の実施形態で示すように、携帯端末装置は非接触充電装置によって充電可能な構成とすることもできる。
【0048】
(第2の実施形態)
図7は第2の実施形態における充電制御システムにおいて携帯端末装置91が載置された非接触充電装置である充電装置80の外観を示す図である。非接触充電を行う充電装置80は、充電パッド80aに載置された携帯端末装置91を充電する。ここでは、複数(4つ)の携帯端末装置91を順に非接触充電制御により充電可能とした例を示している。この非接触充電制御は周知の技術であるので、その詳細については省略し、ここでは簡単に説明する。
【0049】
充電装置80は、複数の送電用コイルが内蔵された充電パッド80aを有している。充電装置80は、充電パッド80aに置かれた複数の携帯端末装置91の中から1つの携帯端末装置91を選択し、これに対応する送電用コイルに高周波電流を流して磁束を発生することで、非接触充電用の電力を送出する。一方、各携帯端末装置91は、受電用コイルを内蔵しており、送電用コイルに対向した受電用コイルにおいて誘導起電力を発生させて非接触充電用の電力を受電する。携帯端末装置91は、受電用コイルから出力される高周波電流を整流、平滑化し、装置に接続された(内蔵した)電池に電力供給して充電する。
【0050】
図8は第2の実施形態における充電装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態は、充電制御システムにおいて充電装置が主体的に動作する例である。
【0051】
充電装置80は、通信アンテナ82、通信制御部83、緊急充電判断部84、加速度センサ87、加速度センサ制御部88、及び充電制御部81を備える。また、充電装置80は、非接触充電用の磁束を発生する発振回路811と送電用コイル812とを有する。
【0052】
通信制御部83は、通信アンテナ82を介して無線通信を行い、携帯端末装置91との間で情報の送受信が可能である。加速度センサ制御部88は、加速度センサ87を制御し、加速度の検出、オンまたはオフの切替等の制御を行う。
【0053】
緊急充電判断部84は、充電対象選択部85、地震検出部89、及び充電停止判断部86を有する。この緊急充電判断部84は、情報取得部、緊急速報判断部、緊急充電制御部の機能を実現するものである。充電対象選択部85は、充電対象となる携帯端末装置91を特定し、充電制御部81に通知する。地震検出部89は、加速度センサ制御部88から通知される信号から地震波による揺れを検出する。充電停止判断部86は、充電の停止を判断する。
【0054】
充電制御部81は、電源90からの電力供給を受け、携帯端末装置91に対する充電開始、充電終了を制御する。充電制御部81は、充電対象選択部85からの通知に従って、発振回路811に充電用電力を出力し、複数の送電用コイル812のいずれかに高周波電流を選択的に供給して磁束を発生させる。これにより、充電パッド80aに載置された複数台の携帯端末装置91のうち、1台が選択され、高周波電流が供給される送電用コイルと対向する受電用コイルを内蔵する1台の携帯端末装置91だけが充電可能となる。なお、本実施形態では、送電用コイルを複数設けた例を示したが、1つだけであってもよい。この場合、送電用コイルは、複数の携帯端末装置のそれぞれの受電用コイルと対向できるように、移動自在なものとする。
【0055】
ここで、緊急充電判断部84、充電制御部81は、充電装置80を制御する各種情報処理を行うCPU(コンピュータ)が、メモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0056】
図9は第2の実施形態における携帯端末装置の構成を示すブロック図である。携帯端末装置91は、通信アンテナ92、通信制御部93、GPSアンテナ97、GPS制御部98、緊急速報解析部99、表示制御部95、表示部96、及びキー操作部94を備える。また、携帯端末装置91は、受電用コイル105、整流平滑化回路102を有し、電池101と接続される。充電装置80より発生する非接触充電用の磁束に対して、受電用コイル105において起電力が誘導され、高周波電流が出力される。受電用コイル105より出力される高周波電流は、整流平滑化回路102によって整流、平滑化され、電池(二次電池)101に充電用の電力が供給される。
【0057】
通信制御部93は、通信アンテナ92を介して無線基地局と通信を行い、通信事業者が配信する緊急速報メール、ショートメッセージサービス(SMS)、電子メール等で緊急地震速報を受信可能である。また、通信制御部93は、通信アンテナ92を介して放送局からラジオ放送、公共テレビ放送等の放送を受信可能である。緊急地震速報は、ラジオ放送または公共テレビ放送における音声、公共テレビ放送における映像、あるいはメール等によるテキスト情報として受信される。また、通信制御部93は、通信アンテナ92を介して無線通信を行い、充電装置80との間で情報の送受信が可能である。
【0058】
緊急速報解析部99は、通信制御部93から通知される地震発生緊急速報を解析し、充電装置80に送信する。GPS制御部98は、GPSアンテナ97を介して複数のGPS衛星からの電波を受信し、現在位置の測位を行う。表示制御部95は、緊急速報解析部99及びキー操作部94の指示に応じて表示部96の表示を制御する。
【0059】
ここで、緊急速報解析部99は、携帯端末装置91を制御する各種情報処理を行うCPU(コンピュータ)が、メモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0060】
上記構成を有する充電制御システムの動作を説明する。図10は携帯端末装置91における緊急速報解析手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、携帯端末装置91内のメモリに格納されており、緊急地震速報を検出すると、CPUによって実行される。この動作は緊急速報解析部99で行われる動作である。なお、図10のステップS51〜S58の処理は、前述した第1の実施形態における図2のステップS1〜S8の処理と同じであるので、その説明を省略する。
【0061】
携帯端末装置91は、緊急速報解析部99において、ステップS56で発生位置情報を取得し、ステップS58で発生時間として緊急地震速報の送信時刻または受信時刻を取得すると、これらの解析結果を充電装置80に送信し(ステップS59)、本処理を終了する。
【0062】
図11は充電装置80における充電制御手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、充電装置80内のメモリに格納されており、CPUによって実行される。この動作は、主に、緊急充電判断部84及び充電制御部81で行われる動作である。
【0063】
充電装置80は、緊急充電判断部84において、携帯端末装置91から緊急地震速報の解析結果を受信したか否かを判別する(ステップS61)。受信していない場合、緊急充電判断部84は本処理を終了する。一方、緊急地震速報の解析結果を受信した場合、緊急充電判断部84は、充電パッド80aに置かれた複数台(ここでは4台)の携帯端末装置91からそれぞれ情報を取得する(ステップS62)。各携帯端末装置の情報として、例えば電池残量、ユーザが設定した充電優先度などが挙げられる。
【0064】
その後、緊急充電判断部84は、加速度センサ制御部88により加速度センサ87がオン(ON)状態にあるか否かを判別する(ステップS63)。オン状態にある場合、緊急充電判断部84はステップS65の処理に進む。一方、加速度センサ87がオフ状態にある場合、緊急充電判断部84は、加速度センサ制御部88により加速度センサ87を起動してオン状態にする(ステップS64)。そして、緊急充電判断部84は、加速度センサ87及び加速度センサ制御部88の出力に基づき、地震検出部89によって地震波を測定する準備を行う(ステップS65)。
【0065】
続いて、緊急充電判断部84は、ステップS62で取得した複数の携帯端末装置91の情報をもとに、各携帯端末装置に対し、充電優先順位を決定する(ステップS66)。例えば、電池残量の多い携帯端末装置ほど、充電優先順位を上位に決定することが挙げられる。この場合、充電量が十分な1台の携帯端末装置(スーパー端末)を最初に確保することができる。あるいは、電池残量の少ない携帯端末装置ほど、充電優先順位を上位に決定することが挙げられる。この場合、充電量が少ない携帯端末装置から充電することで、複数の携帯端末装置における総電池残量を多くすることができる。あるいは、ユーザが任意の携帯端末装置を選択して予め充電優先順位を設定してもよい。なお、充電優先順位は、充電装置または携帯端末装置が任意の規則に従って自由に決定してもよいことは勿論である。
【0066】
緊急充電判断部84は、決定された充電優先順位に従って、今回の順番の携帯端末装置91に対して、充電制御部81により充電開始処理を行い、選択された携帯端末装置91の電池への充電を開始する(ステップS67)。この際、緊急充電判断部84は、電池残量から充電完了までの充電終了時間を計算し、充電終了時間まで携帯端末装置91を充電するように、充電制御部81による充電動作を継続する。充電制御部81により現在の対象の携帯端末装置91の充電が完了すると、緊急充電判断部84は、省電力モード切替処理を行い、通信制御部83を介して対象の携帯端末装置91に対し、通常モードから省電力モードに切り替えるように指示する(ステップS68)。
【0067】
この後、充電装置80は、充電停止判断部86において、全ての携帯端末装置91の充電が完了したか否かを判別する(ステップS69)。全ての携帯端末装置91の充電が完了していない場合、さらに充電停止判断部86は、地震到着を検出したか否かを判別する(ステップS70)。この際、地震検出部42で地震波(S波)を検出したか否かによって地震の到着を判断する。ここで、まだ地震を検出していない場合、緊急充電判断部84は、充電対象の装置を、次に充電優先順位の高い携帯端末装置91に変更する(ステップS71)。そして、緊急充電判断部84は、ステップS67の処理に戻り、同様に充電動作を行う。
【0068】
一方、ステップS70で地震を検出した場合、充電停止判断部86は、検出された地震の震度(観測震度)が規定値以下であるか否かを判別する(ステップS72)。地震の震度が規定値以下である場合、緊急充電判断部84はステップS71の処理に進み、前記と同様に充電対象の装置を切り替える。
【0069】
一方、ステップS72において、検出された地震の震度が規定値を越える場合、または、ステップS69において、全ての携帯端末装置91の充電が完了した場合、緊急充電判断部84は、充電制御部81により充電終了処理を行い、携帯端末装置91への充電を終了し(ステップS73)。本処理を終了する。なお、非接触充電を行う場合、必ずしも、規定値以上の地震到達時に充電動作を停止しなくてもよい。また、地震の検出は、携帯端末装置にて行い、携帯端末装置から地震検出情報を取得してもよい。
【0070】
このように、第2の実施形態によれば、緊急充電機能を充電装置に持たせることで、第1の実施形態と同様に、緊急地震速報受信時において自動的に携帯端末装置に接続された電池を充電することができる。この場合、各携帯端末装置の構成を簡単にすることができる。また、複数の携帯端末装置を所定の順序で選択的に充電し、ユーザが災害発生時に携帯端末装置を使用することが可能になる。この際、複数台の携帯端末装置のうち、1台の携帯端末装置が緊急速報を受信、解析するために電源オンにしてあればよく、その他の携帯端末装置については電源がオフ状態であっても充電可能である。
【0071】
図12は複数の携帯端末装置に対する充電制御方法を示す図である。第2の実施形態では、図12(A)に示すように、充電装置が主体的に動作を行う例を説明した。この場合、充電装置は、複数の携帯端末装置とそれぞれ通信を行って、各携帯端末装置の情報を収集し、これら収集した情報をもとに充電優先順位を決定し、緊急時の充電動作を行う。充電制御は、これに限らず、図12(B)に示すように、複数の携帯端末装置が自律的に動作を行ってもよい。この場合、携帯端末装置同士が情報交換を行って充電優先順位を決定し、充電装置に通知する。充電装置は、携帯端末装置から取得した情報に従い、緊急時の充電動作を行う。
【0072】
なお、第2の実施形態の充電装置80では、第1の実施形態の携帯端末装置1に設けた緊急速報解析部、GPS制御部等の機能が設けられていなかったが、これらの機能を設けてもよい。この場合、緊急地震速報受信時における充電制御の開始に際し、必ずしも携帯端末装置と通信して情報を取得しなくても実行することが可能となる。
【0073】
また、第2の実施形態の充電装置80では、非接触充電装置として、送電用コイルと受電用コイルを対向させて電磁誘導により電力を供給する場合を示したが、電力供給方式としては、これに限られず、種々の方式を用いることが可能である。
【0074】
図13及び図14は他の電力供給方式を用いた充電装置の変形例を示す図である。図13に示す第1変形例は、マイクロ波充電装置の例である。マイクロ波充電装置201は、マイクロ波を用いて携帯端末装置251に電力供給を行うものである。マイクロ波充電では、マイクロ波の受信感度(受信距離)により充電効率は変わるので、マイクロ波充電装置201と携帯端末装置251の距離を算出し、最も充電効率の高いもの(受信感度が強いもの)から優先して充電を行うことが望ましい。
【0075】
図14に示す第2変形例は、接触充電と非接触充電の両方が可能なハイブリッド充電装置の例である。ハイブリッド充電装置301は、非接触充電用コイル302と、接触充電用の接触端子303とを有している。このハイブリッド充電装置301は、接触充電または非接触充電のいずれで充電可能であるかを判定し、最適な充電方法に切り替えて充電を行うことが可能である。また、緊急地震速報受信時において、地震検出前及び弱い揺れの間は接触充電を行い、強い揺れを検出すると非接触充電に切り替えるようにしてもよい。さらに、揺れが収まったら接触充電に戻すようにしてもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、緊急地震速報等の緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を充電できるようにし、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用できるようになる。この際、緊急速報を受信したときに自動的に携帯端末装置に接続された電池の充電を開始し、地震等の緊急状況の到達前に電池を充電可能にできる。これにより、災害発生時に充電された携帯端末装置をユーザが確保し使用することができる。
【0077】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
緊急状況に関する緊急速報を取得可能な携帯端末装置であって、自装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記位置情報取得部で取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報解析部と、前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、自装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電制御部と、を備える携帯端末装置。
上記構成により、緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、電池の充電を開始させることで、緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を緊急充電し、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用できるようにすることが可能になる。
【0078】
上記の携帯端末装置であって、前記電池の残量に基づいて充電終了時間を算出し、前記充電終了時間に達した場合、前記緊急充電の停止を判断する充電停止判断部を、さらに備える携帯端末装置。
上記構成により、電池の残量に基づいて算出した充電終了時間に達した場合、充電を停止することで、適切に緊急充電を停止することが可能である。
【0079】
上記の携帯端末装置であって、前記緊急状況の到達を検出する緊急状況検出部を備え、前記充電停止判断部は、前記緊急状況検出部によって前記緊急状況の到達が検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する、携帯端末装置。
上記構成により、緊急状況の到達が検出された場合、充電を停止することで、災害発生時に適切に緊急充電を停止することが可能である。
【0080】
上記の携帯端末装置であって、前記緊急速報解析部は、前記緊急速報として地震発生に関する緊急地震速報を受信して解析し、前記緊急状況検出部は、前記緊急状況として地震による規定値以上の揺れを検出する地震検出部を有し、前記充電停止判断部は、前記地震検出部によって前記規定値以上の揺れが検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する、携帯端末装置。
上記構成により、緊急地震速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を緊急充電し、規定値以上の揺れが検出された場合は、緊急充電を停止することで、地震発生時の適切な緊急充電の開始、停止を実行可能である。
【0081】
上記の携帯端末装置であって、前記充電停止判断部は、前記緊急状況の到達予測時間が所定値未満となった場合、前記緊急充電の停止を判断する、携帯端末装置。
上記構成により、緊急状況の到達予測時間が所定値未満となった場合、例えば到達予測時刻に達する前に、充電を停止することで、災害発生時に適切に緊急充電を停止することが可能である。
【0082】
上記の携帯端末装置であって、前記緊急充電制御部は、前記緊急速報を取得したときに、標準充電による充電中である場合、充電時間がより短い急速充電に切り替える、携帯端末装置。
上記構成により、さらに短い時間で早めに多くの充電量を確保することが可能となる。
【0083】
上記の携帯端末装置であって、前記緊急充電制御部は、前記緊急速報を取得したときに、消費電力が少ない省電力モードである場合、前記省電力モードを解除して標準充電またはこれよりも充電時間が短い急速充電に切り替える、携帯端末装置。
上記構成により、省電力モードである場合に、短い時間で早めに多くの充電量を確保することが可能となる。
【0084】
上記の携帯端末装置であって、前記緊急充電制御部は、前記充電停止判断部によって前記緊急充電の停止が判断された場合、前記緊急充電の動作を停止して消費電力が少ない省電力モードに移行する、携帯端末装置。
上記構成により、緊急状況の発生時に、緊急充電後の電力消費を抑えることが可能となる。
【0085】
上記の携帯端末装置であって、前記緊急速報解析部は、前記緊急速報に含まれる音声、映像、テキストのうちの少なくとも一つの情報を解析し、前記緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報を取得する携帯端末装置。
上記構成により、緊急速報が音声、映像、テキストのいずれであっても、適切に解析して緊急充電の開始が可能になる。
【0086】
携帯端末装置に接続される電池の充電を行う充電装置であって、前記携帯端末装置から、あるいは自装置において、緊急状況に関する緊急速報を含む情報を取得する情報取得部と、前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記携帯端末装置または自装置において取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報判断部と、前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、前記携帯端末装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電制御部と、を備える充電装置。
上記構成により、緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を緊急充電し、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用できるようにすることが可能になる。緊急充電の制御機能を、充電装置に持たせることで、携帯端末装置の構成を簡単にすることができる。
【0087】
上記の充電装置であって、前記携帯端末装置として、複数の携帯端末装置に対して充電可能に構成され、前記携帯端末装置から取得した情報に基づいて充電対象となる前記携帯端末装置を選択する充電対象選択部と、前記緊急充電の停止を判断する充電停止判断部と、前記緊急状況の到達を検出する緊急状況検出部と、をさらに備え、前記充電停止判断部は、前記緊急状況検出部によって前記緊急状況の到達が検出されずに現在の充電対象である携帯端末装置の充電が完了した場合、前記充電対象となる携帯端末装置の切り替えを行い、前記緊急状況の到達が検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する、充電装置。
上記構成により、複数の携帯端末装置に対して充電可能とした場合、充電対象となる携帯端末装置の選択、切り替え、緊急充電の開始及び停止を、携帯端末装置から取得した情報に基づいて適切に制御可能である。
【0088】
携帯端末装置において接続される電池を充電する充電制御方法であって、緊急状況に関する緊急速報を取得する緊急速報取得ステップと、当該携帯端末装置の現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記位置情報取得部で取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報解析ステップと、前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、当該携帯端末装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電開始ステップと、を有する充電制御方法。
上記手順により、緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を緊急充電し、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用できるようにすることが可能になる。
【0089】
上記の充電制御方法であって、前記緊急状況の到達を検出する緊急状況検出ステップと、前記電池の残量に基づいて充電終了時間を算出し、前記充電終了時間に達した場合、または、前記緊急状況の到達が検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する充電停止判断ステップと、をさらに有する充電制御方法。
上記手順により、災害発生時に適切に緊急充電を停止することが可能である。
【0090】
コンピュータに、上記いずれかの充電制御方法の各手順を実行させるためのプログラム。
【0091】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0092】
上記実施形態では、緊急速報として緊急地震速報を受信する場合を示したが、緊急地震速報以外の緊急状況に関する緊急速報においても、本発明は適用可能である。例えば、津波、雷、洪水、竜巻、噴火、暴風、暴風雪などの速報が挙げられる。また、例えばアメリカ合衆国における80種類以上の警報と注意報(津波、地震、台風、雪崩、原子力発電所事故など)の速報が挙げられる。
【0093】
また、上記実施形態における装置の各機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは各種の記憶媒体を介して、携帯端末装置あるいは充電装置に供給し、そのコンピュータ(CPU)がプログラムを読み出して実行する場合、このプログラムも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、緊急速報を受信した場合に、携帯端末装置の電池を充電できるようにし、災害発生時に可能な限り充電された携帯端末装置を使用可能にできるという効果を有し、緊急地震速報等の緊急速報を受信可能な携帯端末装置、充電装置、充電制御方法及びプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 携帯端末装置
2 通信アンテナ
3 通信制御部
4 緊急充電判断部
6 加速度センサ
7 加速度センサ制御部
9 タイマ管理部
10 GPSアンテナ
11 GPS制御部
13 省電力検出部
14 キー操作部
15 表示制御部
16 表示部
17 充電制御部
20 充電装置
30 電池
41 緊急速報解析部
42 地震検出部
43 充電停止判断部
80 充電装置
80a 充電パッド
81 充電制御部
82 通信アンテナ
83 通信制御部
84 緊急充電判断部
85 充電対象選択部
86 充電停止判断部
87 加速度センサ
88 加速度センサ制御部
89 地震検出部
91 携帯端末装置
92 通信アンテナ
93 通信制御部
94 キー操作部
95 表示制御部
96 表示部
97 GPSアンテナ
98 GPS制御部
99 緊急速報解析部
101 電池
102 整流平滑化回路
105 受電用コイル
811 発振回路
812 送電用コイル
251 携帯端末装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急状況に関する緊急速報を取得可能な携帯端末装置であって、
自装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記位置情報取得部で取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報解析部と、
前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、自装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電制御部と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末装置であって、
前記電池の残量に基づいて充電終了時間を算出し、前記充電終了時間に達した場合、前記緊急充電の停止を判断する充電停止判断部を、さらに備える携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2記載の携帯端末装置であって、
前記緊急状況の到達を検出する緊急状況検出部を備え、
前記充電停止判断部は、前記緊急状況検出部によって前記緊急状況の到達が検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する、携帯端末装置。
【請求項4】
請求項3記載の携帯端末装置であって、
前記緊急速報解析部は、前記緊急速報として地震発生に関する緊急地震速報を受信して解析し、
前記緊急状況検出部は、前記緊急状況として地震による規定値以上の揺れを検出する地震検出部を有し、
前記充電停止判断部は、前記地震検出部によって前記規定値以上の揺れが検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する、携帯端末装置。
【請求項5】
請求項2記載の携帯端末装置であって、
前記充電停止判断部は、前記緊急状況の到達予測時間が所定値未満となった場合、前記緊急充電の停止を判断する、携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1記載の携帯端末装置であって、
前記緊急充電制御部は、前記緊急速報を取得したときに、標準充電による充電中である場合、充電時間がより短い急速充電に切り替える、携帯端末装置。
【請求項7】
請求項1記載の携帯端末装置であって、
前記緊急充電制御部は、前記緊急速報を取得したときに、消費電力が少ない省電力モードである場合、前記省電力モードを解除して標準充電またはこれよりも充電時間が短い急速充電に切り替える、携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1記載の携帯端末装置であって、
前記緊急充電制御部は、前記充電停止判断部によって前記緊急充電の停止が判断された場合、前記緊急充電の動作を停止して消費電力が少ない省電力モードに移行する、携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1記載の携帯端末装置であって、
前記緊急速報解析部は、前記緊急速報に含まれる音声、映像、テキストのうちの少なくとも一つの情報を解析し、前記緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報を取得する携帯端末装置。
【請求項10】
携帯端末装置に接続される電池の充電を行う充電装置であって、
前記携帯端末装置から、あるいは自装置において、緊急状況に関する緊急速報を含む情報を取得する情報取得部と、
前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記携帯端末装置または自装置において取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報判断部と、
前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、前記携帯端末装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電制御部と、
を備える充電装置。
【請求項11】
請求項10記載の充電装置であって、
前記携帯端末装置として、複数の携帯端末装置に対して充電可能に構成され、
前記携帯端末装置から取得した情報に基づいて充電対象となる前記携帯端末装置を選択する充電対象選択部と、
前記緊急充電の停止を判断する充電停止判断部と、
前記緊急状況の到達を検出する緊急状況検出部と、をさらに備え、
前記充電停止判断部は、前記緊急状況検出部によって前記緊急状況の到達が検出されずに現在の充電対象である携帯端末装置の充電が完了した場合、前記充電対象となる携帯端末装置の切り替えを行い、前記緊急状況の到達が検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する、充電装置。
【請求項12】
携帯端末装置において接続される電池を充電する充電制御方法であって、
緊急状況に関する緊急速報を取得する緊急速報取得ステップと、
当該携帯端末装置の現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記緊急速報を取得したときに、前記緊急速報に含まれる緊急状況の発生位置情報及び発生時間情報と、前記位置情報取得部で取得した現在位置情報とに基づき、緊急状況の到達予測時間を計算する緊急速報解析ステップと、
前記緊急状況の到達予測時間が所定値以上である場合、当該携帯端末装置に接続される電池に対し緊急充電を開始する緊急充電開始ステップと、
を有する充電制御方法。
【請求項13】
請求項12記載の充電制御方法であって、
前記緊急状況の到達を検出する緊急状況検出ステップと、
前記電池の残量に基づいて充電終了時間を算出し、前記充電終了時間に達した場合、または、前記緊急状況の到達が検出された場合、前記緊急充電の停止を判断する充電停止判断ステップと、
をさらに有する充電制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、請求項12または13記載の充電制御方法の各手順を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−165137(P2012−165137A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23170(P2011−23170)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】