説明

携帯端末装置、及び携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法

【課題】 周囲環境検出専用の部品の追加する手間を省略しても携帯端末装置の周囲環境検出ができ、かつ検出された周囲環境情報による携帯端末装置に備わる各機能の状況に応じた制御の実行可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】 撮像手段108とこの撮像手段で撮像の際に使用する補助照明手段110を具備する携帯端末装置100において、補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方における輝度情報を数段階の閾値情報として予め格納する記憶手段118と、補助照明手段の点灯時及び消灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報を記憶手段に格納された閾値情報を参照して比較する制御部116と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に係り、特にカメラ付き携帯電話機等の携帯端末装置の使用による周囲環境の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機を携行する場合には、通常では鞄や衣服のポケットなどの閉塞空間に収納している場合が多い。このような閉塞空間での収納状態では、机上等の開放空間に置かれる状態や使用者が携帯電話機を操作している状態に対して、より環境に好適な制御が設定されることが多い。
【0003】
上記の制御を施す一例として、電話着信時の着信報知手段が挙げられる。携帯電話機が鞄等の閉塞空間に収納されると、着信報知を使用者が感知しづらくなる。この場合、携帯電話機の周囲環境を検出して着信音の音圧を制御するなどの提案が可能である。
【0004】
このように、状況に応じた制御を実施するために、周囲環境の検出手段を具備する携帯電話機として、発振波を発生する発振部と、この発振部からの発振波の入力レベルを検出する検出部を具備する携帯電話機が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。かかる携帯電話機は、前述の検出部により検出された発振波の入力レベルを基準値と比較することにより周囲環境を検出することができる。
【0005】
また、周囲環境の検出可能な携帯電話機として、携帯電話機に具備する撮像手段であるイメージセンサを用いて周辺の画像を撮像し、この画像に基づいて周辺環境の照度を検出する制御回路を具備するものが開示されている(例えば、特許文献2を参照)。この特許文献2に開示された携帯電話機によれば、上述の制御回路によって、検出照度が所定レベルよりも高い場合は、スイッチを非導通にして液晶バックライトを消灯させ、低い場合はスイッチを導通させて液晶バックライトの点灯を継続させることにより、消費電力の低減化を図ることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2002−152370号公報
【特許文献2】特開2001−223792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された携帯電話機では、発振部及び検出部といった検出専用の部品の追加等必要となり、基板実装面、コスト面における負荷が大きくなり、実現には課題が残っているのが現状である。
【0008】
また、特許文献2に開示された携帯電話機では、不要な場合での液晶バックライトの点灯の防止により消費電力の低減化が可能となるが、携帯電話機が置かれている周囲環境が閉塞空間か否かを判定するには至らない。このため、携帯電話機が置かれている周囲環境の判定の情報を元に、携帯電話機に備わる着信音発信等の各機能の動作制御をすることが出来ない。
【0009】
そこで、本発明は、従来の携帯電話機を始めとする携帯端末装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、周囲環境検出専用の部品の追加する手間を省略しても携帯端末装置の周囲環境検出ができ、かつ検出された周囲環境情報による携帯端末装置に備わる各機能の状況に応じた制御の実行可能な、新規かつ改良された携帯端末装置、及びかかる携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、撮像手段とこの撮像手段で撮像の際に使用する補助照明手段を具備する携帯端末装置において、補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方における輝度情報を数段階の閾値情報として予め格納する記憶手段と、補助照明手段の点灯時及び消灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報を記憶手段に格納された閾値情報を参照して比較する制御部と、を備えることを特徴とする、携帯端末装置が提供される。
【0011】
このとき、記憶手段に格納される閾値情報は、補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方に検出される輝度の閾値を数段階設定した検出輝度閾値テーブルと、補助照明手段の点灯時及び消灯時に検出される輝度との差分値を比較判定するための閾値となる検出輝度差判定閾値と、を含むこととしてもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、近年普及しているカメラ付き携帯電話機に周囲環境検出専用の部品の追加する手間を省略しても、被写体の撮像手段であるカメラ及び暗闇での撮像の補助照明手段となるライトを検出手段として使用することにより、携帯電話機の周囲環境検出ができる。また、検出された周囲環境情報による携帯電話機に備わる各機能の状況に応じた制御の実行可能となる。換言すると、実装・コスト条件を変えずに、周囲環境の判定が実行でき、またこの判定結果を用いて、着信音制御やバックライト制御など、環境に適した動作制御を実現できる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像手段とこの撮像手段で撮像の際に使用する補助照明手段を具備する携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法において、補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方における輝度情報を数段階の閾値情報として予め携帯端末装置に備わる記憶手段に格納する第1工程と、補助照明手段の点灯時及び消灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報を記憶手段に格納された閾値情報を参照して比較する第2工程と、を含むことを特徴とする、携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法が提供される。
【0014】
このとき、記憶手段に格納される閾値情報は、補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方に検出される輝度の閾値を数段階設定した検出輝度閾値テーブルと、補助照明手段の点灯時及び消灯時に検出される輝度との差分値を比較判定するための閾値となる検出輝度差判定閾値と、を含むこととしてもよい。
【0015】
また、上記の第1工程では、補助照明手段の消灯時の輝度情報を閾値情報として記憶手段に格納し、上記の第2工程では、補助照明手段の消灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である消灯時輝度値を記憶手段に格納された検出輝度閾値テーブルを参照して比較する輝度情報判定工程と、輝度情報判定工程後の補助照明手段の点灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である点灯時輝度値と消灯時輝度値との差分値を検出輝度差判定閾値と比較判定する輝度情報比較工程と、が含まれることとしてもよい。
【0016】
このような構成とすることにより、補助照明手段であるライト消灯状態でカメラによって撮像した画像から輝度情報を抽出することで、携帯電話機の周囲照度を検出し、この時点で周囲環境の第一の判定が実行される。そして、ライト点灯状態でカメラによって撮像した画像から輝度情報を抽出することで、障害物などの周囲環境に反射したライトの光量が検出される。その後、携帯電話機に備わる制御部が検出した輝度とライト反射光量を予め記憶手段であるメモリに格納した閾値情報を元に比較判断し、周囲環境検出が実行される。すなわち、被写体を撮像するためのカメラと、暗闇での撮像を補助する目的で備えられたライトとを有する携帯電話機において、専用の部品を追加することなく周囲環境を検出することが実行可能となる。
【0017】
また、このとき、上記の第1工程では、補助照明手段の点灯時の輝度情報を閾値情報として記憶手段に格納し、上記の第2工程では、補助照明手段の点灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である点灯時輝度値を記憶手段に格納された検出輝度閾値テーブルを参照して比較する輝度情報判定工程と、輝度情報判定工程後の補助照明手段の消灯時に撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である消灯時輝度値と点灯時輝度値との差分値を検出輝度差判定閾値と比較判定する輝度情報比較工程と、が含まれることとしてもよい。
【0018】
このような構成とすることにより、上記効果に加え、更に輝度情報判定工程後にライトを消灯してから消灯時の輝度情報を得るためのカメラによる撮像を実行するから、撮像後のライト停止工程を省略でき、携帯電話機の周囲環境検出における時間短縮が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、被写体を撮像するためのカメラと、暗闇での撮像を補助する目的で備えられたライトとを有する携帯電話機において、カメラ及びライトを利用して開放空間・閉塞空間といった周囲環境を検出可能となる。これにより、専用の部品の追加を行わずに、実装・コスト条件を変えずに周囲環境の判定が実行でき、またこの判定結果を用いて、着信音制御やバックライト制御など、環境に適した動作制御を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の携帯端末装置の構成について図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の携帯端末装置における第1の実施の形態となるカメラ付き携帯電話機100の外観構成図であり、携帯電話機本体100を開いたときの背面側から見た外観構成図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態における携帯電話機100は、表示部側筐体102と操作部側筐体104がヒンジ部106で回動可能に結合され、このヒンジ部106を中心に折り畳み開閉が可能な構成となっている。
【0023】
本実施の形態では、表示部側筐体102の背面側に撮像手段となるカメラ108と、暗闇等で撮像する際に被写体に光を照射する補助照明手段となるライト110が配設されている。なお、このライト110は、撮影補助用として使用されるため、ライト光が直接カメラ108に写り込まない位置にライト110が設置することが構造的に好ましい。また、表示部側筐体102の背面側の端部には、信号等を受信するアンテナ112が配設されている。
【0024】
次に、本実施の形態の携帯電話機100の内部構成について図面を使用しながら説明する。図2は、本実施の形態のカメラ付き携帯電話機100の内部回路構成図である。
【0025】
本実施の形態の携帯電話機100は、図2に示すように、アンテナ112、無線部114、制御部116、メモリ部118、操作部120、表示部122、操作部用バックライト124、カメラ108、ライト110、音声コーデック部126、表示部用バックライト128、スピーカ130、及びマイク132を具備する。
【0026】
携帯電話機100は、制御部116の制御により無線部114、アンテナ112を介して不図示の基地局と通信を行う。このとき、無線部114は、アンテナ112にて受信した信号を、受信したい信号周波数を選択し周波数変換を実行して増幅し、復調して、受信データを制御部116に出力する。
【0027】
制御部116は、上記の受信データを処理して音声信号を音声コーデック部126に出力し、この音声コーデック部126は、音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ130より音声を出力する。
【0028】
また、マイク132より入力された音声は、音声コーデック部126にてPCM信号にA/D変換される。そして、制御部116は、前述の変換されたPCM信号を送信データに処理して、無線部114において変調し、その後、規定の周波数の搬送波として増幅して、アンテナ112より送信を行う。
【0029】
操作部120は、携帯電話機100におけるユーザインタフェース部のうち、数字や文字を入力する際に使用する複数の入力キーから構成され、表示部122は、携帯電話機100の各種情報をLCD等で形成される画面から構成される。
【0030】
操作部用バックライト124及び表示部用バックライト128は、制御部116での制御により、使用者に対し操作部120及び表示部122の視認性を向上するために点灯する。
【0031】
ライト110は、制御部116の制御により、暗がりなどで周囲を照らすことで撮像を補助する目的に用いられ、制御部116は、操作者の操作のもとにライト110を点灯・消灯する。また、ライト110は、周囲環境検出動作時にカメラ撮像に同期して制御部116により点灯・消灯制御が行われる。
【0032】
カメラ108は、被写体の撮像手段であり、撮像した画像情報を信号として制御部116に対して出力する。
【0033】
メモリ部118は、ユーザが設定を行ったユーザ設定データ等を記憶する記憶手段であり、制御部116に接続されている。
【0034】
上述したように、制御部116は、操作部用バックライト124、表示部用バックライト128、及びライト110の点灯制御、カメラ108にて撮像した画像のメモリ部118への登録及び画像情報からの輝度情報の抽出、メモリ部118への情報の書き込み・読み出し、表示部122の表示制御、操作部120の操作検出処理を行う。
【0035】
また、本実施の形態では、制御部116は、カメラ108より取得した撮像画像データに対し、通常のカメラ撮影において画像処理を行い、メモリ部118に画像データを保存し、周囲環境検出動作において画像データから輝度情報を抽出し、後述するメモリ部118に予め登録する検出輝度閾値テーブル及び検出輝度差判定閾値と比較判断することで周囲環境の判定を行う。
【0036】
次に、以下に記載した具体的な各実施例を用いて本発明を実施するための最良の形態の動作について、図面を使用しながら説明する。
【実施例1】
【0037】
図3は、本実施の形態における携帯電話機100の周囲環境を検出する動作の実施例(以下、実施例1とする。)を説明するためのフローチャートである。
【0038】
まず、制御部116は、本実施の形態の携帯電話機100における周囲環境検出の条件発生下において、カメラ108を起動する(S101)。このとき、ライト110は、消灯状態とする(S102)。
【0039】
カメラ108から出力される画像データの受信を確認後、任意のタイミングで画像データを取得し(S103)、取得画像から輝度情報を抽出して記憶する(S104)。このときの輝度情報の抽出方法としては、一画像の平均値や全画素中の最大輝度値を用いる方法などが考えられるが、カメラ・ライトの配置等の条件から最適な方法を採用するものとする。
【0040】
次に、抽出した輝度情報の輝度値判定を行うため、抽出した輝度情報を予めメモリ部118に格納したライト消灯時の検出輝度閾値テーブル(以下、単に閾値テーブルと記載する。)の各閾値と比較する。
【0041】
図4に、上述した閾値テーブルの一例を示す。図4に示すように、本実施例では、閾値を数段階設定しておき、このうち最も輝度の高い閾値には、例えば周囲環境検出上限となる輝度値を設定しておく。
【0042】
抽出した輝度情報は、まず閾値テーブルに設定したうち、最も輝度値の高い閾値Aとの比較を行う(S105)。抽出輝度値が閾値Aより大きい場合には、輝度値の判定を中止し、カメラ108の動作を停止して(S115)、携帯電話機100の周囲環境は、閉塞空間ではないと判断して、周囲環境検出処理を完了する(S116)。
【0043】
抽出輝度値が閾値A以下であれば、輝度値の判定を継続し、閾値テーブルの各閾値との比較を順次実施し、輝度範囲を求める(S106)。ここで求めた輝度範囲により、輝度差判定閾値が決定される(S107)。
【0044】
輝度差判定閾値とは、予めメモリ部118に格納し、周囲環境を判断するために使用する判定閾値であり、先に取得したライト消灯条件での輝度情報と、これから取得するライト点灯条件での輝度情報との差分値を比較判定するための閾値である。
【0045】
図5は、輝度差判定閾値の一例である。閉塞空間において、ライト消灯条件での輝度情報、すなわち周囲照度の大小によって、ライト点灯条件での反射光の輝度情報との差分量は大きく変化し、周囲照度が大きいほど、差分量は小さくなることは自明である。
【0046】
従って、輝度差判定閾値は、図5に示すように、数段階の値を持つことが望ましく、また、周囲環境の判定に、どの値を用いるかは、ライト消灯条件にて取得した輝度情報の大きさにより決定するものとする。
【0047】
次に、ライト点灯条件の輝度情報を取得するためライト110を点灯し(S108)、画像データを取得し(S109)、画像データから輝度情報を抽出する(S112)。抽出方法は、上述の通りである。更に、取得した輝度情報から周囲環境の解析を行うが、カメラ108及びライト110は、このとき不要となるため停止する(S110、S111)。なお、停止するタイミングは、任意であるものとする。
【0048】
続いて、取得した輝度情報と輝度差判定閾値を用いて周囲環境の判定を行う。ライト消灯条件で取得した輝度値とライト点灯条件で取得した輝度値との差分を算出し、予め決定した輝度差判定閾値との比較を行う(S113)。算出した輝度差が閾値より小さい場合、周囲環境は閉塞空間ではないと判断して周囲環境検出処理を完了し(S116)、閾値以上であれば、周囲環境は閉塞空間であると判断して周囲環境検出処理を完了する(S114)。
【0049】
なお、通常の携帯電話機で使用するカメラは、一般的に受光量に応じて輝度値を一定に保つように自動ゲインコントロールや自動露出制御を有しているため、通常のカメラ撮影時には、これら機能を有効として使用している。しかしながら、本発明の本実施の形態における携帯電話機100の周囲環境検出する用途の場合、自動ゲインコントロールや自動露出制御の機能により、携帯電話機100の周囲環境検出に必要な情報が得られないことになる。このため、携帯電話機100の周囲環境検出する用途の場合、例えば上述した自動ゲインコントロールや自動露出制御の機能を無効とするなどの調整を行うことが望ましい。
【0050】
以上説明したように、本実施例では、被写体を撮像するためのカメラ108及び暗闇での撮像を補助する目的で配設されたライト110が携帯電話機100の周囲環境を検出する手段として使用される。
【0051】
すなわち、ライト110の消灯状態時にカメラ108で撮像した画像から輝度情報を抽出することで、携帯電話機100の周囲照度を検出し、この時点で周囲環境の第1の判定を行う。次にライト110の点灯状態時にカメラ108で撮像した画像から輝度情報を抽出することで、障害物等の周囲環境に反射したライト110の光量を検出する。そして、制御部116は、検出した輝度とライト反射光量を予めメモリ部118に格納した閾値情報を元に比較判断し、周囲環境検出を行う。
【0052】
また、ライト110は、カメラ撮像の補助として設けられているため、その光は直接カメラ108に写りこむことはなく、また、周囲に障害物などが存在しなければ、反射光としても写り込まないため、ライト点灯状態を切り替えて撮像し、それぞれの輝度情報を取得することによって周囲環境を判断することが可能となる。
【0053】
換言すると、近年普及している、撮影補助ライト及びカメラが配設される携帯電話機に、専用の部品を追加せずに、すなわち、カメラ及びライトを利用することにより実装・コスト条件を変えずに携帯電話機の周囲環境の判定が行えるようになり、また、かかる携帯電話機の周囲環境判定結果を用いて、携帯電話機の着信音制御やバックライト制御など、環境に適した動作制御の実現が可能となる。
【実施例2】
【0054】
次に、本実施の形態の携帯電話機100の使用による携帯電話機100の周囲環境を検出する動作の他の実施例(以下、実施例2と称する。)について、図面を使用しながら説明する。図6は、本実施の形態における携帯電話機100の周囲環境を検出する動作の他の実施例(実施例2)を説明するためのフローチャートである。
【0055】
本実施例は、図3に示す実施例1の動作とは、輝度情報を取得する手順が異なる。換言すると、実施例1では、始めにライト消灯条件における輝度情報を取得後にライト点灯条件での輝度情報を取得しているのに対し、本実施例では、カメラ起動後(S201)、始めにライト点灯条件での輝度情報を取得している(S202)。
【0056】
ライト点灯条件における輝度値を取得することにより、ライトの反射光を検出することになるため、ある一定以下の輝度値が検出された場合には、即座に携帯電話機100の周囲環境が閉塞空間でないと判断できる。このため、本実施例では、図7に示す検出輝度判定閾値テーブルをライト点灯時のテーブルとしてメモリ部118に予め格納しておき、輝度情報判定も、まず閾値テーブルに設定したうち、最も輝度値の低い閾値C'との比較を行う(S205)。抽出輝度値が閾値C'より小さい場合には、輝度値の判定を中止し、カメラ108の動作を停止して(S215)、携帯電話機100の周囲環境は、閉塞空間ではないと判断して、周囲環境検出処理を完了する(S216)。
【0057】
抽出輝度値が閾値C'以上であれば、輝度値の判定を継続し、閾値テーブルの各閾値との比較を順次実施し、輝度範囲を求める(S206)。ここで求めた輝度範囲により、輝度差判定閾値が決定される(S207)。
【0058】
次に、ライト消灯条件の輝度情報を取得するために、ライト110を消灯してから(S208)、カメラ108で撮像することにより画像データを取得し(S209)、カメラ停止後(S211)、画像データから輝度情報を抽出する(S212)。
【0059】
その後、上記輝度情報から算出した輝度差分と図8に示す輝度差判定閾値を用いて携帯電話機100の周囲環境の判定を行う。ライト点灯条件で取得した輝度値(S208)とライト消灯条件で取得した輝度値(S212)との差分を算出し、予め決定した図8に示す輝度差判定閾値との比較を行う(S213)。
【0060】
算出した輝度差が閾値より小さい場合、携帯電話機100の周囲環境が閉塞空間ではないと判断して、周囲環境検出処理を完了し(S216)、閾値以上であれば、携帯電話機100の周囲環境が閉塞空間であると判断して周囲環境検出処理を完了する(S214)。
【0061】
以上説明したように、本実施例も実施例1と同様に、被写体を撮像するためのカメラ108及び暗闇での撮像を補助する目的で配設されたライト110が携帯電話機100の周囲環境を検出する手段として使用される。
【0062】
すなわち、本実施例では、ライト110の点灯状態時にカメラ108で撮像した画像から輝度情報を抽出することで、障害物等の周囲環境に反射したライト110の光量を検出し、この時点で周囲環境の第1の判定を行う。次にライト110の消灯状態時にカメラ108で撮像した画像から輝度情報を抽出することで、携帯電話機100の周囲照度を検出する。そして、制御部116は、検出したライト反射光量と輝度を予めメモリ部118に格納した閾値情報を元に比較判断し、周囲環境検出を行う。
【0063】
また、実施例1と同様に、ライト110は、カメラ撮像の補助として設けられているため、その光は直接カメラ108に写りこむことはなく、また、周囲に障害物などが存在しなければ、反射光としても写り込まないため、ライト点灯状態を切り替えて撮像し、それぞれの輝度情報を取得することによって周囲環境を判断することが可能となる。
【0064】
換言すると、近年普及している、撮影補助ライト及びカメラが配設される携帯電話機に、専用の部品を追加せずに、すなわち、カメラ及びライトを利用することにより実装・コスト条件を変えずに携帯電話機の周囲環境の判定が行えるようになり、また、かかる携帯電話機の周囲環境判定結果を用いて、携帯電話機の着信音制御やバックライト制御など、環境に適した動作制御の実現が可能となる。
【0065】
更に、本実施例では、最も輝度値の低い閾値C'との比較を行う輝度情報判定工程(S205)の後にライト110を消灯してから消灯時の輝度情報を得るためのカメラ108による撮像を実行するから、実施例1と異なり、撮像後のライト停止工程(S111)を省略できるため、携帯電話機100の周囲環境検出における時間短縮が可能となる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
例えば、上述した第1の実施の形態では、携帯電話機に適用した例について説明しているが、本発明は、カメラを具備するものであれば、個人用情報端末装置(PDA)等の他の携帯端末装置にも適用可能である。
【0068】
また、上述した各実施例では、カメラ起動時に携帯電話機の周囲環境を検出しているが、携帯電話機の周囲環境の検出は、カメラでの撮像時に限定されない。すなわち、カメラで撮像しない場合でも、周囲環境検出のための輝度情報を得るためにカメラを一時的に必要最小限動作させ、カメラの受光情報を得る、換言すると、カメラを撮影目的で起動(表示部に画像を出力)する以外でのカメラ付き携帯電話機のカメラの使用法も提案される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、携帯端末装置に適用可能であり、特にカメラ付き携帯電話機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の携帯端末装置における第1の実施の形態となるカメラ付き携帯電話機の本体を開いたときの背面側から見た外観構成図である。
【図2】図2は、同実施の形態のカメラ付き携帯電話機の内部回路構成図である。
【図3】図3は、同実施の形態における携帯電話機の周囲環境を検出する動作の実施例1を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、予めメモリ部に格納したライト消灯時の検出輝度閾値テーブルである。
【図5】図5は、実施例1における輝度差判定閾値と判定閾値採用条件との関係を示す表である。
【図6】図6は、同実施の形態における携帯電話機の周囲環境を検出する動作の他の実施例(実施例2)を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、予めメモリ部に格納したライト点灯時の検出輝度閾値テーブルである。
【図8】図8は、実施例2における輝度差判定閾値と判定閾値採用条件との関係を示す表である。
【符号の説明】
【0071】
100 携帯電話機
102 表示部側筐体
104 操作部側筐体
106 ヒンジ部
108 カメラ
110 ライト
112 アンテナ
114 無線部
116 制御部
118 メモリ部
120 操作部
122 表示部
124 操作部用バックライト
126 音声コーデック部
128 表示部用バックライト
130 スピーカ
132 マイク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と該撮像手段で撮像の際に使用する補助照明手段を具備する携帯端末装置において、
前記補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方における輝度情報を数段階の閾値情報として予め格納する記憶手段と、
前記補助照明手段の点灯時及び消灯時に前記撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報を前記記憶手段に格納された前記閾値情報を参照して比較する制御部と、
を備えることを特徴とする、携帯端末装置。
【請求項2】
前記記憶手段に格納される前記閾値情報は、
前記補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方に検出される輝度の閾値を数段階設定した検出輝度閾値テーブルと、
前記補助照明手段の点灯時及び消灯時に検出される輝度との差分値を比較判定するための閾値となる検出輝度差判定閾値と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
撮像手段と該撮像手段で撮像の際に使用する補助照明手段を具備する携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法において、
前記補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方における輝度情報を数段階の閾値情報として予め前記携帯端末装置に備わる記憶手段に格納する第1工程と、
前記補助照明手段の点灯時及び消灯時に前記撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報を前記記憶手段に格納された前記閾値情報を参照して比較する第2工程と、
を含むことを特徴とする、携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法。
【請求項4】
前記記憶手段に格納される前記閾値情報は、
前記補助照明手段の点灯時または消灯時の何れか一方に検出される輝度の閾値を数段階設定した検出輝度閾値テーブルと、
前記補助照明手段の点灯時及び消灯時に検出される輝度との差分値を比較判定するための閾値となる検出輝度差判定閾値と、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法。
【請求項5】
前記第1工程では、前記補助照明手段の消灯時の輝度情報を閾値情報として前記記憶手段に格納し、
前記第2工程では、
前記補助照明手段の消灯時に前記撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である消灯時輝度値を前記記憶手段に格納された前記検出輝度閾値テーブルを参照して比較する輝度情報判定工程と、
前記輝度情報判定工程後の前記補助照明手段の点灯時に前記撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である点灯時輝度値と前記消灯時輝度値との差分値を前記検出輝度差判定閾値と比較判定する輝度情報比較工程と、が含まれることを特徴とする、請求項3または4に記載の携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法。
【請求項6】
前記第1工程では、前記補助照明手段の点灯時の輝度情報を閾値情報として前記記憶手段に格納し、
前記第2工程では、
前記補助照明手段の点灯時に前記撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である点灯時輝度値を前記記憶手段に格納された前記検出輝度閾値テーブルを参照して比較する輝度情報判定工程と、
前記輝度情報判定工程後の前記補助照明手段の消灯時に前記撮像手段が撮像した画像から抽出される輝度情報である消灯時輝度値と前記点灯時輝度値との差分値を前記検出輝度差判定閾値と比較判定する輝度情報比較工程と、が含まれることを特徴とする、請求項3または4に記載の携帯端末装置の使用による周囲環境検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−60733(P2006−60733A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243275(P2004−243275)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】