説明

携帯端末装置、当該携帯端末装置を用いた対話式診察システム及び診察用データ通信方法

【課題】 医師および受診者双方の、時間的、地理的な条件からくる困難を軽減し、医師と受診者が向き合い、対話をしながら行う本格的な診察をより容易に実施できるようにする。
【解決手段】 受診者400と医師500は、携帯電話端末440a,440bを介して、互いの顔が見える状態で対峙する。そして、携帯電話端末440a,440bがもつ、画像通信、音声通信、データ通信、機器制御機能等を、同時かつ総合的に使用し、所定のネットワークを介して、必要な情報のやり取りをリアルタイムで行い、医師500による本格的な、対面、対話式の診察を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診察行為に使用される携帯端末装置、それを用いた対話式診察システム及び診察用データ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末を多機能化し、健康管理用途あるいは診療関連の用途に利用する提案がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献5)。
【0003】
特許文献1には、血圧、脈拍、体温、心電図等を計測するセンサを備え、かつ、計測結果を処理し、定期的に計測情報を報告する機能をもつ携帯電話端末が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、体脂肪率等を計測した結果、計測値が正常範囲を逸脱した場合に、医師に通報する健康管理システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、ネット上にて、医師によって作成された問診に応答すると、考えられる病名や、対処方法、地域別の専門医等を一覧表示する、オンライン問診支援システムが開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、ネットを介して、診療時間の予約を行うことができる、診療サービスシステムが開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、医師が、ネットを介して、要在宅医療患者の診療記録を閲覧できるようにする、在宅医療専用ソフトウエアが開示されている。
【特許文献1】特開2002−102179号公報
【特許文献2】特開2002−288347号公報
【特許文献3】特開2002−197198号公報
【特許文献4】特開2002−083043号公報
【特許文献5】特開2003−022321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術は、要するに、携帯電話端末を補助的に用いて、健康管理や診療の効率化、あるいは関係者の負担軽減を達成しようとする点で共通する。
【0009】
しかし、携帯電話端末の補助的なサポートにより、健康管理や診療の効率化や関係者の負担軽減が実現したとしても、医師の診察(診療)を受けるためには、結局、病院や診療所に出向く必要があり、この点での受診者の負担はいっこうに軽減されない。
【0010】
医師との直接の診察を受けることは、本格的な医療の第一歩であり、早期診断かつ的確な対処は、患者にとって、非常に重要なことである。
【0011】
従来技術は、携帯電話端末を補助的に利用することにより、本格的診察に至るまでの周辺行為を効率化するという効果はあるが、本格的な医療行為、すなわち、医療の根幹をなす、医師が受診者に直に向き合い、対話をしながら診察を行うという、本格的な初期医療の観点からは、みるべき改善効果がない。
【0012】
例えば、足腰が弱く、出歩くのに困難を伴うお年寄りが、医師の直接の診察を受けるためには、非常な労力を要し、お年寄りの負担が大きい。
【0013】
また、日々の仕事に追われる働き盛りのサラリーマンが、平日の、ちょっとした空き時間を利用して、医師の診察を受けるといったことは、現実には非常に困難である。
【0014】
また、医師不足の僻地、離島等の住人が、医師の診察を受けることは困難である。
【0015】
したがって、このような、本格的な初期医療の実施上の困難を軽減することが望まれている。
【0016】
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、医師および受診者双方の、時間的、地理的な条件からくる困難を軽減し、医師と受診者が向き合い、対話をしながら行う本格的な診察(診療)を、より容易に実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の携帯端末装置は、受診者の画像情報を取得する画像情報取得部と、医師による診察の基礎となる受診者の基礎データを取得する基礎データ取得部と、画像情報に基礎データを重畳して送信用画像データを作成する送信用画像データ作成部と、送信用画像データを送信する送信部とを備える。ここで、前記基礎データは、受信者の生体情報の測定により得られる生体情報測定データであることが望ましい。
【0018】
この構成により、基礎データ取得部により取得された受診者の基礎データ(血圧等の如きバイタルデータ等)を、画像情報取得部により取得された受診者の画像に重畳して、医師側の携帯端末装置に送信するための送信用画像データを準備することができる。したがって、医師は、携帯端末を介して受診者と向き合い、受診者の表情を観察しつつ、同時に、受診者の基礎データを確認することができる。よって、本格的な診察を実施することができる。
【0019】
上述の基礎データ(生体情報測定データ)は、受診者の体温データ及び脈拍数データの少なくとも一つを含むことが望ましい。
【0020】
これにより、脈拍数、体温という基本的なバイタルデータを取得し、リアルタイムで医師側に送信することが可能となる。つまり、受診者が、体温または脈拍を測る測定部位に体温センサならびに脈拍センサを当てることにより、医師側の携帯端末の表示部で、その測定データを確認でき、同時に医師は、受診者の表情を読み取ったり、問診に対する受診者の応答の様子を細かく観察することもできる。
【0021】
また、基礎データ取得部は、携帯端末装置の筐体の側面に直接配置され得る。携帯端末装置の筐体の厚みを利用し、その側面に基礎データ取得部を設けることにより、携帯端末の大型化を抑制しつつ、脈拍数や体温等を測定する機器を携帯端末に付加することができる。
【0022】
一方、基礎データ取得部を、別の外部測定機器との接続に適用され、当該外部測定機器により取得された基礎データを入力するインターフェースより構成してもよい。このインターフェースを介して、外部測定機器から音声データをも携帯端末装置に入力され得る。これにより、聴診器等の外部測定機器により測定された測定データを基礎データとして、インターフェースを介して取得することができる。
【0023】
また、上述の外部測定機器は、受診者の血圧及び心音の少なくとも一つを測定する測定機器であり得る。これにより、血圧や心音等の、受診者の重要な生体情報(基礎データ)を外部測定機器にて測定し、そのデータを、携帯端末装置を介して医師側に送信することができる。したがって、医師はより本格的な診察を行える。
【0024】
さらに、送信用画像データ作成部が、基礎データを画像情報と合成可能な画像データに変換した上で、当該画像データを画像情報と合成して送信用画像データを作成する構成としてもよい。
【0025】
この構成下では、生体情報測定データの如き基礎データが、画像データ化されて受診者の画像情報と合成される。そしてこの合成された一つの画像が送信用画像データとして、医師等の受信者側の携帯端末装置に送られる。従って、たとえ受診者側の携帯端末装置が、基礎データを画像化するための特別のハードウェア、ソフトウェア等を有していない一般的なものであっても、画像さえ再生できれば受診者の画像と同時に画像化された受診者の基礎データを確認することができ、本格的な診察を可能とする。
【0026】
一方、送信用画像データ作成部が、基礎データを秘匿化されたデータに変換した後、画像情報に重畳することにより、送信用画像データを作成する構成としてもよい。この構成下では、万が一医師以外の他の第三者に誤って送信用画像データが送られても、基礎データが秘匿化されているため、第三者は基礎データを認識することができず、受診者のプライバシーを保護することが可能となる。
【0027】
さらに本発明は、上述の任意の携帯端末装置と、医師により操作される医師側携帯端末装置と、受診者側携帯端末装置と前記医師側携帯端末装置を結ぶネットワークより構築された対面対話式診察システムをも提供する。
【0028】
携帯端末装置(携帯電話端末、PDA、ラップトップパーソナルコンピュータ等)が備えている、音声通信機能、画像通信機能ならびにデータ通信機能等の各機能を(個別に使用するのではなく)、同時に、総合的に使用することによって、医師と受診者との間に、携帯端末装置を介した情報ハイウエイ(双方向の情報ルート)を構築し、医師と受診者間で、リアルタイムで総合的な情報のやり取りを行い、対面、対話式のリアルタイム診察を実現するものである。医師による診療行為は、問診、視診、触診等を同時に実施し、そこから得られる情報を統合し、総合的に判断して診察結果を導き出すという多面性をもつ高度な行為であり、また、医師が一方的に診断を下すのではなく、受診者の対応をみながら、適応的に対応すべき行為でもある。本発明では、携帯端末装置がもつ各能力を総合的に、同時に使用することで、医師の診察に必要な情報(受診者の顔の表情、肌の色や状態、問診に対する受診者の応答、受診者の血圧や脈拍とったバイタルデータ等)を、同時に、リアルタイムで取得し、医師が受診者の目前に居るような感覚で、本格的な診察を実施することを可能とする。これにより、医師と受診者の距離的、時間的な障壁が取り払われ、より容易に、医師による、対面、対話式の診察を受けることができる。また、受診者は、その場で、医師による指示を受けることができ、的確な措置を早期にとることが可能となる。
【0029】
さらに本発明は、受診者側携帯端末装置にて受診者の画像情報を取得し、受診者側携帯端末装置にて医師による診察の基礎となる受診者の基礎データを取得し、画像情報に基礎データを重畳して送信用画像データを作成し、送信用画像データを、ネットワークを介して医師側の携帯端末装置に送信する工程とを備えた診察用データ通信方法としても把握され得る。上述した通り、基礎データを画像情報と合成可能な画像データに変換した上で、当該画像データを画像情報と合成して送信用画像データを作成するようにしてもよい。上述の携帯端末装置としては、携帯テレビ電話を用いるのが便利である。
【0030】
また、本発明の対話式診察システムにおいては、携帯端末装置に別の外部機器の動作を制御するための機能をもたせ、診察に基づき、医師がその携帯端末装置を介して受診者側の携帯端末装置に、外部機器の動作を制御するための制御情報を送信するようにしてもよい。
【0031】
携帯端末装置を介した遠隔診察では、医師が受診者に直接、触れることができないため、触診ができない。本態様では、この点を改善すべく、携帯端末装置がもつ外部機器の動作制御機能に着目し、医師が、携帯端末を介して受診者側の外部機器(例えば、小型のマッサージ器)を制御し、受診者の特定の部位(脇腹や背中等)を適切な力で押圧する等して受診者の反応を観察することができるようにする。これにより、触診に準じる診察も、行えるようになる。また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者に対して、より多様な観点からの診察を実施することもできる。
【0032】
上述に鑑み、本発明の携帯端末装置に、上述の外部機器の動作を制御するための外部機器制御インタフェースを設けてもよい。
【0033】
これにより、医師が携帯端末を介して受診者側の外部機器を制御し、触診に準じる診察も実施することができる。また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者に対してより多様な観点からの診察、診療を実施することもできる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、携帯端末装置が備える、音声通信機能、画像通信機能ならびにデータ通信機能等の各機能を同時かつ総合的に使用することによって、医師と受診者との間に、携帯端末装置を介した双方向の情報ルートを構築し、医師と受診者間で、リアルタイムで、総合的な情報のやり取りを行い、対面、対話式のリアルタイム診察を実現することができる。したがって、医師と受診者の間の、距離的、時間的な障壁が取り払われ、より容易に、医師による対面対話式の診察を受けることができる。
【0035】
例えば、脈拍数、体温という、基本的なバイタルデータを取得し、リアルタイムで医師側に送信することが可能となる。つまり、受診者が体温または脈拍を測る測定部位に体温センサならびに脈拍センサを当てることにより、医師側の携帯端末装置の表示部で、その測定データを確認でき、同時に、医師は、受診者の表情を読み取ったり、問診に対する受診者の応答の様子を細かく観察することもできる。
【0036】
また、受診者はその場で医師による指示を受けることができ、的確な措置を早期にとることが可能となる。
【0037】
また、携帯端末装置がもつ外部機器の動作制御機能を活用し、医師が、携帯端末装置を介して受診者側の外部機器を遠隔制御することにより、触診に準じる診察も行えるようになる。
【0038】
また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者に対してより多様な観点からの診察を実施することもできる。
【0039】
また、携帯端末装置の筐体の厚みを利用し、その側面に基礎データ取得部を設けることにより、携帯端末装置の大型化を抑制しつつ、脈拍数や体温等を測定する機能を、携帯端末装置に付加することができる。
【0040】
また、血圧、心音、心電図等の、受診者の重要な生体情報を外部測定機器にて測定し、その測定データを、携帯端末装置を介して医師側に送信することにより、医師はより本格的な診察を行える。
【0041】
また、聴診器等からの測定データを音声データに変換し、映像と同時に送信することにより、画面により相手の聴診器等の操作状況を確認しながら心音等の確認ができる効果が得られる。
【0042】
本発明によれば、携帯端末装置を利用して、誰もがより容易に医師による本格的な診察を受けることができるようになる。
【0043】
したがって、病院や診療所に出向くのが困難なお年寄りや、多忙なビジネスマン、あるいは僻地、離島の住民等に関し、医師による診察を受ける機会を効果的に増やすことができ、地域医療を充実させる効果も得られる。
【0044】
また、基礎データを画像データに変換した上で受診者の画像と合成し、他の端末に送信することも可能である。この場合、合成された一つの画像が送信用画像データとして、他の装置に送られるため、たとえ他の端末が、基礎データを画像化するための特別のハードウェア、ソフトウェア等を有していない一般的なものであっても、送られた画像さえ再生できれば受診者の画像と同時に画像化された受診者の基礎データを確認することができ、本格的な診察を可能とする。しかも、既存の通信ネットワーク、通信インフラを特に変更することなく、本格的な診察を行うことが可能になる。
【0045】
一方、基礎データを秘匿にした上で受診者の画像情報に重畳し(埋め込み)、送信用画像データを作成することも可能である。この場合、万が一医師以外の他の第三者に誤って送信用画像データが送られても、基礎データが秘匿化されているため、第三者は基礎データを認識することができず、受診者のプライバシーを保護することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0047】
図6は、本発明の携帯端末装置を用いた対面、対話式の診察方法を実施するための対面対話式診察システム(通信システム)の概要、ならびにその診察方法の概要を示す図である。
【0048】
図示されるように、受診400と医師500は、受診者側及び医師側携帯端末装置を構成する携帯電話端末440a,440bを介して、互いの顔が見える状態(対面状態)で対峙する。携帯電話端末440a,440bには携帯テレビ電話が使用され得る。
【0049】
そして、携帯電話端末440a,440bがもつ、画像通信、音声通信、データ通信、機器制御機能等を、同時に、総合的に活用し、携帯電話を介した情報ルート(携帯電話端末440a、基地局(BS)410、通信ネットワーク420、基地局(BS)430、携帯電話端末440bにより構築される)を介して、必要な情報のやり取りをリアルタイムで行い、医師500による、本格的な診察を実施する。本実施形態では、基地局410、通信ネットワーク420、基地局430が、受診者側及び医師側携帯端末装置を結ぶいわゆるネットワークとして機能する。
【0050】
受診者400側の携帯電話端末440a、医師側の携帯電話端末440bには、各々、通信相手の顔画像450a,450bが表示される。
【0051】
また、この顔画像の表示領域の上側には、文字による基礎データ(受診者のバイタルデータ等)や医師の指示等を、文字で表示することができる領域(460a,460b)が設けられている。
【0052】
図6の下側に示されるように、携帯電話端末440a,440bを介してやり取りされる情報は、画像情報、音声情報、医療データ(基礎データ)、外部機器制御情報に大別される。
【0053】
画像情報には、受診者の顔の表情や、肌や患部の色や状態等を示す情報が含まれるが、特に限定はされない。
【0054】
また、音声情報には、医師が行う問診、これに対する受診者の応答、医師が受診者に与える指示等が含まれる。
【0055】
また、基礎データ(医療データ)には、受診者の体温、脈拍、心音、血圧値、心電図等の各データが含まれるが、特に限定はされない。医師による受診者の診察の基礎となり得るものであればよい。受診者の生体情報を検知、測定してデータ化したものということもできる。
【0056】
また、制御情報には、外部機器を操作するための信号や、コンピュータ等の処理を制御するための制御信号等が含まれる。
【0057】
図6の、携帯電話端末を介して構築される対面対話式の診察システムを用いると、いつでも、どこででも、手軽に、医師の診察を受けることが可能となる。
【0058】
診察の基本的な手順は以下のとおりである。
【0059】
すなわち、受診者側の携帯電話端末440aの、基礎データの取得機能を用いて取得された受診者の基礎データ、または、入力インタフェース機能を利用して外部測定機器から入力された受診者の基礎データを、受診者の画像と共に、医師側の携帯電話端末440bに送信する。
【0060】
次に、医師500が、送られてきた受診者400の画像および基礎データを用いて、かつ、受診者400と対話しつつ、視診、問診によるデータの取得、問診結果による診断、各種のデータに基づく分析等(本格的な診察)を実施する。
【0061】
そして、その診察に基づき、医師500が、医師側の携帯電話端末440bを介して受診者側の携帯電話端末440aに、注意事項、考えられる病名の提示、対処方法等の、必要な指示を送る。
【0062】
これより、受診者400は、リアルタイムで、医師500による的確な指示を受けることができ、適切かつ早期の対処が可能となる。
【0063】
また、携帯端末装置を介した遠隔診察では、医師が受診者に直接、触れることができないため、触診ができないが、携帯端末がもつ外部機器の動作制御機能に着目し、医師500が、携帯電話端末440bを介して受診者側の外部機器(不図示:例えば、小型のマッサージ器)を制御し、受診者400の特定の部位(脇腹や背中等)を適切な力で押圧する等して受診者400の反応を観察することができるようにする。これにより、触診に準じる診察も、行えるようになる。また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者400に対して、より多様な観点からの診察を実施することもできる。
【0064】
このように、携帯端末装置が備える、音声通信機能、画像通信機能ならびにデータ通信機能、外部機器制御機能等の各機能を同時かつ総合的に使用することによって、医師と受診者との間に携帯端末を介した双方向の情報ルートを構築し、医師と受診者間で、リアルタイムで、総合的な情報のやり取りを行うことで、対面、対話式のリアルタイム診察を実現することが可能となる。
【0065】
したがって、医師と受診者の間の、距離的、時間的な障壁が取り払われ、より容易に、医師による、対面、対話式の診察を受けることができる。
【0066】
また、受診者は、その場で、医師による指示を受けることができ、的確な措置を早期にとることが可能となる。
【0067】
また、携帯端末がもつ外部機器の動作制御機能を活用し、医師が、携帯端末を介して受診者側の外部機器を遠隔制御することにより、触診に準じる診察も行えるようになる。
【0068】
また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者に対して、より多様な観点からの診察を実施することも可能となる。
【0069】
図1は、上述の対面対話式診察システム、診察方法において使用される携帯電話端末の外観構成を示す図である。
【0070】
図2は、携帯電話端末の主要な内部構成を示すブロック図である。
【0071】
図1ならびに図2において、携帯電話端末(携帯テレビ電話)100は、受信電波を受信電気信号(以下受信信号と称す)ならびに送信電気信号(以下送信信号と称す)を送信電波に変換するアンテナ101a,101bと、アンテナ101aまたはアンテナ101bのいずれか一方のアンテナから受信信号を受信回路103へ伝達、または送信回路106から送信信号をアンテナ101aまたは101bへ伝達させるための共用器102と、受信信号を増幅し、所望の周波数チャネルを選択する受信回路103と、を備える。共用器102は、電波の受信状態に基づき、マイクロプロセッサ160によって生成されたアンテナ切り替え信号161に基づき、使用すべきアンテナ101a,101bの切替えを行う。
【0072】
さらに、携帯電話端末100は、受信回路103で選択された周波数チャネルの受信信号をデジタル信号に復調し、受信音声データと受信TV電話データ、受信制御情報に変換する復調器104と、送信TV電話データ、送信制御情報、送信音声データを変調し、送信信号に変換する変調器105と、送信信号を所望の周波数チャネルの搬送波に重畳し、送信信号を増幅する送信回路106と、携帯電話端末100の各部を制御するマイクロプロセッサ160と、受信音声データを復号化し受信音声信号に変換する通話音声デコーダ111と、送信音声信号を符号化し、送信音声データに変換する通話音声エンコーダ120と、を備える。
【0073】
さらに、携帯電話端末100は、受信TV電話データを復号化し受信映像信号と受信映像信号に同期した受信オーディオ信号に変換するTV電話デコーダ130と、送信映像信号と送信オーディオ信号を符号化し同期、多重化し、送信TV電話データに変換するTV電話エンコーダ131と、マイクロプロセッサ160からの指令により着信音、着信メロディを生成し出力する着信音音源110と、を備える。
【0074】
また、携帯電話端末100は、着信音音源110と、通話音声デコーダ111またはTV電話デコーダ130からの着信音信号、受信音声信号、受信オーディオ信号に対しそれぞれの再生帯域における通過帯域制限処理を行うデジタルフィルタ112と、着信音信号、受信音声信号または受信オーディオ信号をアナログ信号に変換するD/A変換器113と、着信音信号、受信音声信号をまたは受信オーディオ信号を所定の音量に設定する音量設定器114と、着信音信号、受信音声信号または受信オーディオ信号を増幅しスピーカ116を駆動するスピーカアンプ115と、着信音、受信音声または受信オーディオ信号を再生するスピーカ116と、送話音声を電気信号に変換するマイク123と、マイク123からの送話音声信号または送信オーディオ信号を増幅するマイクアンプ122と、送話音声信号または送信オーディオ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器121と、を備える。
【0075】
さらに、携帯電話端末100は、A/D変換器121からの送信オーディオ信号と外部機器インターフェイス150からの心音信号152を切り替えて、TV電話エンコーダ131に送出する切り替え回路132と、表示部と同一面に取り付けられた自分撮り用カメラ140とを有する。カメラ140は受診者の画像情報を取得する画像情報取得部を構成するが、その機能、構成、端末上の配置位置、個数等は特に限定されず、種々のものを用いることができる。さらに携帯電話端末100は、カメラ140からの映像信号とTV電話デコーダ130からの受信映像信号を重畳又は合成、またはカメラ140からの映像信号とマイクロプロセッサ160から送出される体温情報、脈拍情報を重畳又は合成、または、カメラ140からの映像信号と外部機器インターフェイス150からの血圧情報、心電図情報等の外部情報(基礎データを含む)151を重畳又は合成し、表示部142に表示するとともに、重畳又は合成した表示映像信号をTV電話エンコーダ131に送出する映像処理部141と、を備える。映像処理部141、TV電話エンコーダ131は、受診者の画像情報に基礎データが重畳された送信用画像データを作成する送信用画像データ作成部を構成するが、その種類、方式は特に限定されず、種々の回路、デバイス、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーション等を用いることができる。
【0076】
また、携帯電話端末100は、血圧測定器、心電図測定器、心音測定器等の外部機器と接続される外部機器インターフェイス150と、操作部170の側面に配置された体温センサ171ならびに脈拍センサ172と、を備える。体温センサ171と脈拍センサ172は携帯電話端末100の筐体側面に直接配置された基礎データ取得部であり、各々、基礎データとして受診者400の体温、脈拍数を取得する。
【0077】
さらに、携帯電話端末100は、着信状態を光で携帯電話端末100の受診者に報知せしめる着信LED180と、着信状態を振動で携帯電話端末100の受診者に報知せしめるバイブレータ181と、キー入力によって所定の操作情報をマイクロプロセッサ160に送出する操作部170と、を備える。
【0078】
また、マイクロプロセッサ160は、映像処理部141との通信をおこなうシリアル通信回路163と、外部機器インターフェイス150を介して外部機器と通信をおこなうシリアル通信回路162と、を有する。
【0079】
脈拍センサ172は、光電脈波方式のセンサであり、LEDから発する赤外線の反射光をフォトデテクタで検出し、血管を流れる血流の変化を検出する。
【0080】
マイクロプロセッサ160は、脈拍センサ172からの血流の変化の信号をカウントすることで脈伯数を検出する。
【0081】
また、マイクロプロセッサ160は、体温センサ171から温度情報を読み取り、温度上昇が一定になったとき体温としてメモリ(不図示)に記憶する。
【0082】
次に、携帯電話端末のユーザが、携帯電話端末100を用いて、体温ならびに脈拍を測定する使用形態を図3(a),(b)(ならびに、図2)を用いて説明する。
【0083】
図3(a),(b)はそれぞれ、携帯電話端末の使用形態を説明するための図である。
【0084】
図6で説明したように、受診者(図6の400)は、自己の携帯電話端末100を、かかり付けの医師や医療機関の専門医等(図6の500)の携帯電話端末と結び、TV電話が可能な通信状態とする。
【0085】
また、受診者は、操作部170から、脈拍データ、体温データを画面合成する設定を入力する。
【0086】
また、受診者は、脈拍を正確に測定するため、手首等の脈拍を測定し易い部位を脈拍センサ172にあてがいながら通話を行う。
【0087】
携帯電話端末100のマイクロプロセッサ160は、脈拍センサ172ならびに体温センサ171から血流変化情報、温度情報を読み取り、血流変化情報から脈拍数データを、温度情報から体温データを算出し映像処理部141へ送出する。
【0088】
また、マイクロプロセッサ160は血流変化情報を時系列上の血流変化を波形データに変換し、映像処理部141へ送出する。
【0089】
映像処理部141は、カメラ140からの映像信号に、前記脈拍数データ、体温データ、血流変化の波形データを重畳合成し、表示部142に、合成した映像データ(合成画像)を転送することで、図3(b)の表示画面302aのように、受診者の表情と合わせて脈拍データ302c、体温データ302b、脈拍波形302dを表示部142に表示せしめる。すなわち、映像処理部141は、カメラ140からの画像情報たる映像信号に、脈拍数データの如き基礎データを重畳して得られる送信用画像データの作成部として機能し、かつ表示部142上に、重畳により得られた合成画像を表示する。より具体的には、映像処理部141は、脈拍数データの如き基礎データを、画像情報たる映像信号と合成可能な画像データに変換した上で、映像信号と合成し、合成により得られた合成画像たる表示画面302aを表示部142上に表示する。従って、実施形態での合成画像は、受診者の表情と同時に受診者の基礎データが画面上で同時に確認できるものとなっている。画像情報と基礎データの重畳又は合成には、種々の画像処理、画像加工方法を用いることができる。
【0090】
また、映像処理部141は、合成した映像データ(合成画像)を、TV電話エンコーダ131に送出する。
【0091】
TV電話エンコーダ131は、合成した映像データと、マイク123、マイクアンプ122、A/D変換器121、切り替え回路132を介してTV電話エンコーダ131に入力される送信オーディオ信号とを符号化し同期多重化し、送信用画像データとしての送信TV電話データに変換する。TV電話エンコーダ131は、映像処理部141と協調して送信用画像データ作成部を構成する。
【0092】
送信TV電話データは、送信部を構成する変調器105、送信回路106、共用器102、アンテナ(101aまたは101b)を介し基地局に送信され、図示せぬ携帯電話網、基地局を介し通信相手のTV電話機能付きの携帯電話に伝達され、通信相手の携帯電話の表示画面上に、合成した映像データが再生される。
【0093】
このように、携帯電話装置100がもつ、画像通信、音声通信、データ通信機能を同時に、総合的に使用することにより、医師が、受診者の健康状態等を、的確に診察することができる。
【0094】
図4は、外部の測定機器を用いて、受診者の血圧測定や心電図測定を行い、測定データを医師側の携帯電話端末に送信する態様を説明するための図である。
【0095】
図4では、血圧計を用いた使用例について記載する。
【0096】
受診者は、予め携帯電話端末100の外部機器インターフェイス150と血圧測定器303aを接続し、掛かり付けの医師または医療機関の専門医とTV電話が可能な状態とする。また、受診者は、図2の操作部170から、血圧データを画面合成する設定を行う。
【0097】
携帯電話端末100のマイクロプロセッサ160は、シリアル通信回路162により、外部に接続された血圧測定器303aに測定を開始し、測定データを送出するよう指令する。
【0098】
また、同時に映像処理部141に外部機器インターフェイス150から血圧測定データである外部情報151を読み取るよう指令する。すなわち、外部機器インターフェイス150は、血圧測定器303aにより取得された受診者の基礎データとしての血圧測定データを入力する機能を果たす。
【0099】
映像処理部141は、カメラ140からの映像信号と血圧測定データを合成し、表示部142に、合成した映像データを転送することで、図4の表示画面303bのように、受診者の表情と合わせて血圧測定データ303cを表示部142に表示せしめる。
【0100】
また、図2の映像処理部141は、合成した映像データをTV電話エンコーダ131に送出する。
【0101】
TV電話エンコーダ131は、合成した映像データと、マイク123、マイクアンプ122、A/D変換器121、切り替え回路132を介してTV電話エンコーダ131に入力される送信オーディオ信号とを符号化し同期多重化し、送信TV電話データに変換する。
【0102】
送信TV電話データは、変調器105、送信回路106、共用器102、アンテナ(101aまたは101b)を介し基地局に送信され、図示せぬ携帯電話網、基地局を介し通信相手のTV電話機能付きの携帯電話に伝達され、通信相手の携帯電話の表示画面上に、合成した映像データが再生される。
【0103】
これにより、外部測定機器を介して測定した血圧値を、外部機器インタフェース150(図1)を用いて携帯電話端末100に入力し、通信機能(図2の参照符号105,106等)を介して医師側の携帯電話端末に送信することにより、医師は、受診者の重要な生体情報をリアルタイムで確認でき、したがって、より的確な診断を下すことができる。
【0104】
図5は、受診者が心音測定器を用いて、基礎データとしての自己の心音を測定し、測定データを医師側の携帯電話端末に送信する態様を説明するための図である。
【0105】
受診者は、予め、携帯電話端末100の外部機器インターフェイス150(図1)と心音測定器304aを接続し、掛かり付けの医師または医療機関の専門医と、TV電話による通話ができる状態とする。
【0106】
また、受診者は、操作部170から、音声データからなる心音信号とカメラの映像を多重化する設定を入力する。
【0107】
携帯電話端末100のマイクロプロセッサ160は、シリアル通信回路162により、外部に接続された心音測定器304aに測定を開始し、心音信号を送出するよう指令する。
【0108】
また、同時に切り替え回路132を切り替え、外部機器インターフェイス150から心音信号152がTV電話エンコーダ131に入力されるよう設定する。
【0109】
また、マイクロプロセッサ160は映像処理部141に対し、カメラ140からの映像信号を表示部142に表示せしめるとともに、映像信号をTV電話エンコーダ131に送出するよう指令する。
【0110】
TV電話エンコーダ131は、画像情報としての映像信号と、音声データからなる心音信号とを符号化し同期多重化し、送信TV電話データに変換する。ここでは、TV電話エンコーダ131が合成画像を生成する画像合成部として機能するが、この合成画像は、受診者の画像情報と音声データからなる送信TV電話データである。
【0111】
この変換により得られる送信TV電話データは、送信部を構成する変調器105、送信回路106、共用器102、アンテナ(101aまたは101b)を介し基地局に送信され、図示せぬ携帯電話網、基地局を介し医師のTV電話機能付きの携帯電話に伝達され、医師の携帯電話の表示画面上に、映像信号が再生されると同時に、映像信号と同期して心音信号が、携帯電話のレシーバから再生される。
【0112】
このとき、医師は、自己の携帯電話端末の画面上にて、受診者が操作する聴診器304bの位置を確認し、受診者に対し、聴診器304bの操作を適宜、指示することができる。
【0113】
このように、医師は、聴診器による心音を、リアルタイムで聞くことができ、また、受診者が、聴診器を適切な位置に置くことができるように、適宜、指示を出すこともできる。
【0114】
また、上述した実施形態では、カメラ123より取得された受診者の画像と、センサ171, 172又は外部機器インターフェース150から入力された基礎データを画像化したものを合成し、送信用画像データに対応した表示画像302a,303bを得た。すなわち、表示画像302a,303bに対応した送信用画像データを他の端末に送信するため、たとえ医師などが有する他の端末が、基礎データを画像化するための特別のハードウェア、ソフトウェア等を有していない一般的なものであっても、送られてきた送信用画像データさえ再生できれば、表示画像302a,303bと同じ画像を医師が確認することができ、本格的な診察を可能とする。しかも、既存の通信ネットワーク、通信インフラを特に変更することなく、本格的な診察を行うことが可能になる。
【0115】
上述したように、映像処理部141は、脈拍数データの如き基礎データを、画像データに変換した上で、映像信号と合成し、合成により得られた合成画像たる表示画面302a,303bを表示部142上に表示する構成とした。ただし、基礎データを画像データに変換した上で受診者の画像情報と合成することなく、単に画像情報に基礎データを重畳させる構成としてもよい。そして、医師側の携帯端末装置にて重畳された基礎データを画像化することが可能なように、医師側の携帯端末装置に専用のハードウェア、ソフトウェアなどを組み込んでおくことが考えられる。
【0116】
例えば、特開2001−251498号公報に開示されたデータ埋め込み法等の如きデータの秘匿化法を本発明に応用することが可能である。この方法を応用した場合、基礎データを秘匿にした上で受診者の画像情報に重畳し(埋め込み)、送信用画像データを作成することができる。そして、医師側の携帯端末装置に、秘匿化された基礎データの解読用のハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション等を設けておけばよい。この方式においては、万が一医師以外の他の第三者に誤って送信用画像データが送られても、基礎データが秘匿化されているため、第三者は基礎データを認識することができず、受診者のプライバシーを保護することが可能となる。秘匿化のアプリケーションは、映像処理部141又はTV電話エンコーダ131に予め組み込んでおけばよい。データの秘匿化法の例は上記公報記載のものに限られないことはもちろんである。
【0117】
また、以上の例では、携帯電話端末100の外部機器インタフェース150(図1)を、専ら、外部測定機器からの測定データの入力用に使用しているが、逆に、外部機器インタフェース150から、操作信号や制御信号を出力して、外部機器を制御することも可能である。
【0118】
例えば、医師が、自己の携帯端末ならびに受診者の携帯端末を介して、受診者側の外部機器(例えば、小型のマッサージ器)を制御し、受診者の特定の部位(脇腹や背中等)を適切な力で押圧する等して受診者の反応を観察する。
【0119】
これにより、触診に準じる診察も、行えるようになる。また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者に対して、より多様な観点からの診察を実施することもできる。
【0120】
以上説明したように、本発明によれば、携帯端末装置が備える、音声通信機能、画像通信機能ならびにデータ通信機能等の各機能を同時かつ総合的に使用することによって、医師と受診者との間に、携帯端末装置を介した双方向の情報ルートを構築し、医師と受診者間で、リアルタイムで、総合的な情報のやり取りを行い、対面、対話式のリアルタイム診察を実現することができる。また、所定の携帯端末装置を用いて、優れた対面対話式診察システム及び診察データ通信方法が提供される。
【0121】
したがって、医師と受診者の間の、距離的、時間的な障壁が取り払われ、より容易に、医師による、対面、対話式の診察を受けることができる。
【0122】
例えば、脈拍数、体温という、基本的なバイタルデータを取得し、リアルタイムで医師側に送信することが可能となる。つまり、受診者が、体温または脈拍を測る測定部位に体温センサならびに脈拍センサを当てることにより、医師側の携帯端末装置の表示部で、その測定データを確認でき、同時に、医師は、受診者の表情を読み取ったり、問診に対する受診者の応答の様子を細かく観察することもできる。
【0123】
また、受診者は、その場で、医師による指示を受けることができ、的確な措置を早期にとることが可能となる。
【0124】
また、携帯端末装置がもつ外部機器の動作制御機能を活用し、医師が、携帯端末装置を介して受診者側の外部機器を遠隔制御することにより、触診に準じる診察も行えるようになる。
【0125】
また、種々の機器の遠隔制御によって、受診者に対して、より多様な観点からの診察を実施することもできる。
【0126】
また、携帯端末装置の筐体の厚みを利用し、その側面に基礎データ取得部を設けることにより、携帯端末の大型化を抑制しつつ、脈拍数や体温等を測定する機能を、携帯端末装置に付加することができる。
【0127】
また、血圧、心音、心電図等の、受診者の重要な生体情報を外部測定機器にて測定し、その測定データを、携帯端末装置を介して医師側に送信することにより、医師は、より本格的な診察を行える。尚、受診者側携帯端末装置と医師側携帯端末装置は同じものを用いることができるが、医師側携帯端末装置には既存の携帯端末装置を用いてもよい。
【0128】
また、聴診器からの測定データを音声データとして取得し、映像と同時に送信することにより、画面により相手の聴診器の操作状況を確認しながら心音等の確認ができる効果が得られる。
【0129】
本発明によれば、携帯端末装置を利用して、誰もが、より容易に、医師による本格的な診察を受けることができるようになる。
【0130】
したがって、病院や診療所に出向くのが困難なお年寄りや、多忙なビジネスマン、あるいは、僻地、離島の住民等に関し、医師による診察を受ける機会を効果的に増やすことができ、地域医療を充実させる効果も得られる。
【0131】
このように、本発明によれば、医師および受診者双方の、時間的、地理的な条件からくる困難を軽減し、医師と受診者が向き合い、対話をしながら行う本格的な診察(診療)を、より容易に実施できるようにすることができる。
【0132】
また、基礎データを画像データに変換した上で受診者の画像と合成し、一つの画像に対応した送信用画像データを作成して他の装置に送る構成とした場合、たとえ他の端末が、基礎データを画像化するための特別のハードウェア、ソフトウェア等を有していない一般的なものであっても、送られた画像さえ再生できれば受診者の画像と同時に画像化された受診者の基礎データを確認することができ、本格的な診察を可能とする。しかも、既存の通信ネットワーク、通信インフラを特に変更することなく、有効に活用した上で、本格的な診察を行うことが可能になる。
【0133】
一方、基礎データを単に画像化することなく、秘匿にした上で受診者の画像情報に重畳し(埋め込み)、送信用画像データを作成することもできる。さらに医師側の携帯端末装置に、秘匿化された基礎データの解読用のハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション等が設けられる。この方式においては、万が一医師以外の他の第三者に誤って送信用画像データが送られても、基礎データが秘匿化されているため、第三者は基礎データを認識することができず、受診者のプライバシーを保護することが可能となる。結果、安全性の高い診察用データ通信方法が得られる。
【0134】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、誰もが対面、対話式の医師による本格的な診察をより容易に受けることができるようになるという効果を相する。診察用に優れた携帯端末装置が提供され、かつ対面対話式の診察方法を実施するための、対面対話式診察システム及び診察データ通信方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の診察方法において使用される携帯電話端末の外観構成の一例を示す図
【図2】本発明の携帯電話端末の主要な内部構成の一例を示すブロック図
【図3】(a)、(b)は各々、携帯電話端末の使用形態を説明するための図
【図4】外部の測定機器を用いて受診者の血圧測定や心電図測定を行い、測定データを医師側の携帯電話端末に送信する態様を説明するための図
【図5】受診者が心音測定器を用いて自己の心音を測定し、測定データを医師側の携帯電話端末に送信する態様を説明するための図
【図6】本発明の、携帯電話端末を用いた対面、対話式の診察方法を実施するための通信システムの概要ならびにその診察方法の概要を示す図
【符号の説明】
【0137】
100 携帯電話端末
101a アンテナ
101b アンテナ
102 共用器
103 受信回路
104 復調器
105 変調器
106 送信回路
110 着信音音源
111 通話音声デコーダ
112 デジタルフィルタ
113 D/A変換器
114 音量設定器
115 スピーカ・アンプ
116 スピーカ
120 通話音声エンコーダ
121 A/D変換器
122 マイクアンプ
123 マイク
130 TV電話デコーダ
131 TV電話エンコーダ
132 切り替え回路
140 カメラ
141 映像処理部
142 表示部
150 外部機器インターフェイス
151 外部情報
152 心音信号
160 マイクロプロセッサ
161 アンテナ切り替え信号
162 シリアル通信回路
163 シリアル通信回路
170 操作部
171 体温センサ
172 脈拍センサ
180 着信LED
181 バイブレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受診者の画像情報を取得する画像情報取得部と、
医師による診察の基礎となる前記受診者の基礎データを取得する基礎データ取得部と、
前記画像情報に前記基礎データを重畳して送信用画像データを作成する送信用画像データ作成部と、
前記送信用画像データを送信する送信部と、を備えた携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
前記基礎データが、前記受信者の生体情報の測定により得られる生体情報測定データである携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末装置であって、
前記生体情報測定データが、前記受診者の体温データ及び脈拍数データの少なくとも一つを含む携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記基礎データ取得部が、前記携帯端末装置の筐体の側面に直接配置された携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1に記載の携帯端末装置であって、
前記基礎データ取得部が、外部測定機器との接続に適用され、当該外部測定機器により取得された前記基礎データを入力するインターフェースである携帯端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯端末装置であって、
前記インターフェースを介して前記外部測定機器から更に音声データを取得する携帯端末装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の携帯端末装置であって、
前記外部測定機器は、前記受診者の血圧及び心音の少なくとも一つを測定する測定機器を含む携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記送信用画像データ作成部は、前記基礎データを前記画像情報と合成可能な画像データに変換し、当該画像データを前記画像情報と合成して前記送信用画像データを作成する携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記送信用画像データ作成部は、前記基礎データを秘匿化されたデータに変換した後前記画像情報に重畳することにより、前記送信用画像データを作成する携帯端末装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置が携帯テレビ電話である携帯端末装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載された携帯端末装置より構成される受診者側携帯端末装置と、
前記医師により操作される医師側携帯端末装置と、
前記受診者側携帯端末装置と前記医師側携帯端末装置を結ぶネットワークより構成された対面対話式診察システム。
【請求項12】
受診者側携帯端末装置にて受診者の画像情報を取得し、
前記受診者側携帯端末装置にて医師による診察の基礎となる前記受診者の基礎データを取得し、
前記画像情報に前記基礎データを重畳して送信用画像データを作成し、
前記送信用画像データを、ネットワークを介して医師側の携帯端末装置に送信する工程とを備えた診察用データ通信方法。
【請求項13】
請求項12に記載の診察用データ通信方法であって、
前記基礎データを前記画像情報と合成可能な画像データに変換した上で、当該画像データを前記画像情報と合成して前記送信用画像データを作成する診察用データ通信方法。
【請求項14】
請求項12に記載の診察用データ通信方法であって、
前記基礎データを秘匿化されたデータに変換した後前記画像情報に重畳することにより、前記送信用画像データを作成する診察用データ通信方法。
【請求項15】
請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の診察用データ通信方法であって、
前記受診者側携帯端末装置及び前記医師側携帯端末装置として、携帯テレビ電話を用いる診察用データ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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