説明

携帯端末装置、携帯端末装置の機能設定方法、及び携帯端末装置の機能設定プログラム

【課題】簡単な操作で機能を切り替えることができると共に、安定した操作が行える携帯端末装置を提供する。
【解決手段】主制御部21は、開閉センサ32の検出出力から、上側筐体10及び下側筐体11が開かれたかどうかを判定し、筐体が開かれたことが検出されると、方向センサ31の検出出力から携帯端末1の重力に対する方向を検出し、携帯端末1の重力に対する方向と設定可能な機能とを対応させ、検出された携帯端末1の重力に対する方向に対応する機能を選択し、所定のキーが押下されたら、選択された機能に確定する。携帯端末1の重力に対する方向を決めるだけで、所望の機能が選択でき、また、所定のキーを押下することで、機能を確定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能が設定できる携帯端末装置、携帯端末装置の機能設定方法、及び携帯端末装置の機能設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の高機能化が進み、現行の携帯端末には、通話機能の他に、メール機能、ウェブ機能、カメラ機能、テレビ機能、音楽プレイヤー機能、ゲーム機能等、各種の機能が搭載されるようになってきている。現行の携帯端末では、これらの機能を選択するのに、メニュー画面を用いるものが多い。しかしながら、メニュー画面からの機能選択では、機能が増加すると、選択肢が増加し、所望の機能を選択することが難しくなる。また、入力ボタンに選択できる機能を予め割り当てることにより、そのボタンを押下して機能を起動させる方法がある。このような方法でも、機能を動作させるまでにいくつかのボタンを押下することが必要であるために、携帯端末装置の機能を容易に選択することができない。
【0003】
また、特許文献1には、自装置の基準位置からの傾き度合いを自装置の角度情報として検出し、この角度の情報に対応付けられたアプリケーションを選択することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−289039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、メニュー選択や入力ボタンによる機能選択では、機能選択の操作が複雑になる。また、特許文献1に示されるものは、複数のアプリケーションをフォアグランドとバックグランドとで同時に起動して、傾斜角を切り替えることで、起動中のアプリケーションを切り替えるものである。このような構成では、1つのアプリケーションを実行中に、機器の傾斜角を変えると、他のアプリケーションが切り替わってしまい、安定した操作が行えない。また、傾斜角によるアプリケーションの選択では、どの機能に設定されているのかユーザが一見して判定できない。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる携帯端末装置、携帯端末装置の機能設定方法、及び携帯端末装置の機能設定プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述に課題を解決するために、本発明に係る携帯端末装置は、複数の機能に設定可能な携帯端末装置であって、機器の重力に対する方向を検出する方向検出手段と、機器の重力に対する方向と設定可能な機能とを対応させ、方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択する機能選択手段と、選択された機能を確定する機能確定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る携帯端末装置の機能設定方法は、複数の機能に設定可能な携帯端末装置の機能設定方法であって、機器の重力に対する方向を検出する工程と、機器の重力に対する方向と設定可能な機能とを対応させ、方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択する工程と、選択された機能を確定する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る携帯端末装置の機能設定プログラムは、複数の機能に設定可能な携帯端末装置の機能設定プログラムであって、機器の重力に対する方向を検出するステップと、機器の重力に対する方向と設定可能な機能とを対応させ、方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択するステップと、選択された機能を確定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機器の重力に対する方向を決めるだけで、所望の機能が選択でき、機能設定が簡単に行える。また、本発明によれば、所定のキーが押下されることで機能が確定するので、機能設定後に機器の角度を変えても機能が切り替わることがなく、安定した操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の外観構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の主要部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末における機能切り替えの説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末における機能切り替えの説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1の外観構成を示す平面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係る携帯端末1は、上側筐体10と、下側筐体11と、上側筐体10と下側筐体11とを連結させるヒンジ部12とからなる。
【0014】
上側筐体10には、その略々全面に渡って、表示部14が配設される。表示部14は例えば液晶ディスプレイからなる。表示部14には、電話利用時に、着信や送信の電話番号や住所録が表示される。また、表示部14には、カメラ撮影時に、撮像した画像が表示される。また、表示部14は、テレビ受信時には、受信したテレビ放送の画面が表示される。その他、表示部14は、メールの送受信画面や、インターネットのウェブ画面、ゲームの画面等、様々な情報の表示に用いられる。
【0015】
下側筐体11には、その略々全面に渡って、操作部13が配設される。操作部13は、電話番号の入力等に用いるテンキー、カーソルを移動させるためのカーソルキー、決定キー、通話開始キー及び終了キー等、各種のキーを含んでいる。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1の主要部の内部構成を示すブロック図である。
【0017】
図2において、主制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、携帯端末1の全体の動作の制御を行っている。ROM(Read Only Memory)22には、ブートプログラム、基本プログラム、各種のアプリケーションプログラムが保存されている。フラッシュメモリ23には、各種のプリセットデータ、電話帳データ、メールのデータ、電話履歴、写真情報等、各種のデータが記憶される。RAM(Random Access Memory)24は、データの一時保存用のメモリである。
【0018】
無線通信部26は、基地局との間で、電波の送受信を行うものである。通信方式としては、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(Global System for Mobile Communication)、CDMA(Code Division Multiple Access)、WCDMA(Wideband CDMA)等がある。音声処理部27は、入力音声信号や出力音声信号の処理を行っている。
【0019】
撮像部28は、カメラ撮影を行うものである。撮像部28には、レンズ等の光学系と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のイメージセンサからなる。撮像部28は、風景を撮影したりするのに利用される他、二次元バーコード(QRコード)の入力等に利用される。撮像部28で撮像された画像信号は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式により圧縮されて、フラッシュメモリ23に記録される。
【0020】
テレビ受信部29は、ワンセグテレビ放送を受信して、テレビ放送を再生するものである。
【0021】
携帯端末1内には、機器の基準軸の重力に対する方向(傾き)を検出する方向センサ31が設けられる。方向センサ31としては、例えば、重力加速度を検出する加速度センサが用いられる。
【0022】
また、上側筐体10と下側筐体11との間を連結するヒンジ部12に対して、開閉センサ32が設けられている。開閉センサ32としては、ホール素子と磁石を使ったデバイスが用いられる。
【0023】
次に、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1における機能切り替えについて説明する。本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1は、通話機能の他に、カメラ機能、テレビ受信機能、メール機能等、様々な機能が設定できる。本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1では、これらの機能を、機器の重力に対する方向により選択し、所定キーにより確定できる。このことについて以下に説明する。
【0024】
図3及び図4は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1における機能切り替えの説明図である。
【0025】
ユーザは、図3(A)〜図3(D)に示すように、携帯端末1の重力に対する方向を切り替えることで、所望の機能に選択できる。例えば、図3(A)に示すように、ユーザが携帯端末1の筐体を開き、携帯端末1を重力方向に沿って上側に向けると、図4(A)に示すように、携帯端末1は待ち受け状態に選択される。待ち受け状態に選択されたことは、表示部14上の機能表示41aによりユーザに知らされる。待ち受け画面からでは、操作部13の入力操作により、通話を行うことができる。また、待ち受け画面からは、キー操作やメニュー操作により、各種の設定が行える。
【0026】
図3(B)に示すように、携帯端末1を重力に対して垂直に右側に向けると、図4(B)に示すように、携帯端末1はカメラ機能に選択される。カメラ機能に選択されたことは、表示部14上の機能表示41bによりユーザに知らされる。ここで、ユーザが所定のキー例えば決定キー13aを押下すると、カメラ機能に確定される。機能が確定された後には、ユーザが携帯端末1の重力に対する方向を変えても、機能は変更されない。これにより、ユーザは、カメラ機能を用いて写真撮影を行うことができる。
【0027】
図3(C)に示すように、携帯端末1を重力に沿って下側に向けると、図4(C)に示すように、携帯端末1はテレビ機能に選択される。テレビ機能に選択されたことは、表示部14上の機能表示41cによりユーザに知らされる。ここで、ユーザが所定のキー例えば決定キー13aを押下すると、テレビ機能に確定される。機能が確定された後には、ユーザが携帯端末1の重力に対する方向を変えても、機能は変更されない。これにより、ユーザは、テレビ機能を用いてテレビ視聴を楽しむことができる。
【0028】
図3(D)に示すように、携帯端末1を重力に対して垂直に左側に向けると、図4(D)に示すように、携帯端末1はメール機能に選択される。メール機能に選択されたことは、表示部14上の機能表示41dによりユーザに知らされる。ここで、ユーザが所定のキー例えば決定キー13aを押下すると、メール機能に確定される。機能が確定された後には、ユーザが携帯端末1の重力に対する方向を変えても、機能は変更されない。これにより、ユーザは、テレビ機能を用いてテレビ視聴を楽しむことができる。
【0029】
なお、上述の例では、携帯端末1を重力に対して上側に向けると待ち受け状態になり、重力に対して垂直に右側に向けるとカメラ機能になり、重力に対して下側に向けるとテレビ機能になり、重力に対して左側に向けるとメール機能として説明したが、携帯端末1の重力に対する方向と、選択される機能との関係にはこれに限定されるものではなく、任意のものが設定できる。
【0030】
また、所定のキーが押される前に携帯端末1の重力に対する方向を徐々に変化させた場合、選択される機能は、方向を変える毎にそれぞれの設定した方向に対応して、切り替えられる。
【0031】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1の動作を示すフローチャートである。
【0032】
図5において、主制御部21は、開閉センサ32の検出出力から、上側筐体10及び下側筐体11が開かれたかどうかを判定し(ステップS1)、筐体が開かれたことが検出されると、方向センサ31の検出出力から、携帯端末1の重力に対する方向を検出する(ステップS2)。次に、主制御部21は、携帯端末1の重力に対する方向と設定可能な機能とを対応させ、検出された携帯端末1の重力に対する方向に対応する機能を選択する(ステップS3)。次に、主制御部21は、選択された機能を表示部14上に表示し、ユーザに知らせる(ステップS4)。次に、主制御部21は、所定のキー例えば決定キー13aが押下されたかどうかを判定し(ステップS5)、所定のキーが押下されていなければ、ステップS2に処理を戻す。所定のキーが押下されたら、主制御部21は、選択された機能に設定して、機能を確定する(ステップS6)。
【0033】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1では、ユーザが携帯端末1の筐体を開き、携帯端末1の重力に対する方向を定めることにより、各種の機能を選択することができ、ユーザが所定のキーを押下することで、所望の機能に確定できる。このように、携帯端末1の重力に対する方向を決めるだけで、所望の機能が選択できるので、携帯端末1の機能設定が簡単に行える。また、ユーザが所定のキーを押下することで機能が確定するので、機能設定後に携帯端末1の角度を変えても機能が切り替わることがなく、安定した操作が可能となる。
【0034】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末1の動作を示すフローチャートである。
【0035】
前述の第1の実施形態は、上側筐体10と下側筐体11とを回動自在に連結した折り畳み構造となっている。このような折り畳み構造の携帯端末では、前述したように、上側筐体10と下側筐体11とが開かれたことを検出した後、携帯端末1の重力に対する方向を検出して、重力に対する方向に対応する機能を選択するようにしている。
【0036】
これに対して、この第2の実施形態は、このような折り畳み構造ではなく、一体型の携帯端末に用いて好適である。
【0037】
図6において、主制御部21は、所定のキーが押下されたかどうかを判定し(ステップS101)、所定のキーが押下されたことが検出されると、方向センサ31の検出出力から、携帯端末1の重力に対する方向を検出する(ステップS102)。次に、主制御部21は、携帯端末1の重力に対する方向と設定可能な機能とを対応させ、検出された携帯端末1の重力に対する方向に対応する機能を選択する(ステップS103)。次に、主制御部21は、選択された機能を表示部14上に表示し、ユーザに知らせる(ステップS104)。次に、主制御部21は、所定のキーが押下されたかどうかを判定し(ステップS105)、所定のキーが押下されていなければ、ステップS102に処理を戻す。所定のキーが押下されたら、主制御部21は、選択された機能に設定して、機能を確定する(ステップS106)。
【0038】
なお、ステップS101で携帯端末1の重力に対する方向により機能を選択できるようにするための所定キーと、ステップS105で機能を確定させるための所定キーとは、同じキーであっても良いし、異なるキーであっても良い。
【0039】
このように、本発明の第2の実施形態では、所定のキーの押下を検出した後、携帯端末1の重力に対する方向を検出して、重力に対する方向に対応する機能を選択することで、一体型の携帯端末でも、携帯端末1の重力に対する方向により、所望の機能に簡単に選択できる。
【0040】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1:携帯端末
10:上側筐体
11:下側筐体
12:ヒンジ部
13:操作部
14:表示部
21:主制御部
23:フラッシュメモリ
26:無線通信部
27:音声処理部
28:撮像部
29:テレビ受信部
31:方向センサ
32:開閉センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能に設定可能な携帯端末装置であって、
機器の重力に対する方向を検出する方向検出手段と、
前記機器の重力に対する方向と前記設定可能な機能とを対応させ、前記方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、前記設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択する機能選択手段と、
前記選択された機能を確定する機能確定手段と
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
更に、前記機能選択手段で選択された機能を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記機能選択手段は、筐体が開かれたと判定されると、前記方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、前記設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択する処理を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記機能選択手段は、所定キーの押下が検出されると、前記方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、前記設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択する処理を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
複数の機能に設定可能な携帯端末装置の機能設定方法であって、
機器の重力に対する方向を検出する工程と、
前記機器の重力に対する方向と前記設定可能な機能とを対応させ、前記方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、前記設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択する工程と、
前記選択された機能を確定する工程と
を含むことを特徴とする携帯端末装置の機能設定方法。
【請求項6】
複数の機能に設定可能な携帯端末装置の機能設定プログラムであって、
機器の重力に対する方向を検出するステップと、
前記機器の重力に対する方向と前記設定可能な機能とを対応させ、前記方向検出手段で検出された機器の重力に対する方向に応じて、前記設定可能な複数の機能の中から所望の機能を選択するステップと、
前記選択された機能を確定するステップと
を含むことを特徴とするコンピュータにより実行可能な携帯端末装置の機能設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175222(P2012−175222A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32984(P2011−32984)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.QRコード
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】