説明

携帯端末装置および情報提供システム

【課題】
音声を用いて情報を送信する音響通信システムにおいて、音響IDを受信してIDコードにデコードするデコード機能のオン/オフを適宜制御することが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】
音声信号化された識別情報である音響IDを収音する収音部と、収音された音響IDから識別情報を復調する復調部と、利用者によって操作される操作部と、操作部が操作されたとき復調部をオンし、復調部が識別情報を復調したのち復調部をオフするオン/オフ制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声を用いたIDコードの通信により情報を提供する情報提供システムおよび情報提供システムなどに用いられる携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声を用いてIDコードなどの情報を伝送する音響通信システムが提案されている(たとえば特許文献1)。このシステムは以下のようである。送信装置は、IDコードを疑似ノイズ符号で拡散し、非可聴帯域の音声周波数に周波数シフトして音響IDとして放音する。受信装置は、スマートフォンなどの携帯端末装置であり、音声を収音してデジタル信号に変換し、このデジタルの音声信号をフィルタリングすることによって音響IDを抽出し、これをデコードしてIDコードを取得する。なお、スマートフォンとは、情報端末機能を有する多機能携帯電話である。
【0003】
このシステムは、たとえば、観光地やショッピングモールなどで道案内や売出し情報の送信に用いられたり、テレビ放送で放送中の番組に関連した情報を提供するために用いられる。観光地やショッピングモールでは、どこで音響IDが送信されているか判らないため、ユーザは携帯端末装置のデコード機能を常時オンしておく必要がある。また、テレビ放送でもいつ音響IDが放送されるか判らないため、ユーザは携帯端末装置のデコード機能を常時オンしておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/016589号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の、音声を収音してデジタル信号に変換し、このデジタルの音声信号をフィルタリングすることによって音響IDを抽出し、これをデコードしてIDコードを取得するというデコード処理は、携帯端末装置にとって大きな電力を消費する処理である。しかしながら、携帯端末装置はバッテリ駆動であるため、電力の消耗は極力抑える必要がある。したがって、観光地やショッピングモールなどにいる間ずっと、または、テレビを見ている間ずっと携帯端末装置のデコード機能をオンさせておくことは好ましいことではなかった。
【0006】
この発明は、音声を用いて情報を送信する音響通信システムにおいて、音響IDを受信してIDコードにデコードするデコード機能のオン/オフを適宜制御することが可能な携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明である情報提供システムは、携帯端末装置と放音装置とが音響的に接続され、前記携帯端末装置とコンテンツサーバとが情報通信ネットワークで接続された情報提供システムであって、前記放音装置は、音声信号化された識別情報である音響IDを放音し、前記コンテンツサーバは、前記携帯端末装置からのアクセスに対応して所定のコンテンツを前記携帯端末装置に返信し、前記携帯端末装置は、前記放音装置によって放音された音響IDを収音する収音部と、収音された音響IDから前記識別情報を復調する復調部と、復調された識別情報を用いて前記コンテンツサーバにアクセスし、コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、前記復調部をオン/オフするオン/オフ制御部と、を備え、前記オン/オフ制御部は、利用者によって操作される操作部を備え、該操作部が操作されたとき前記復調部をオンし、前記復調部が前記識別情報を復調したのち、前記操作部の操作の有無にかかわらず前記復調部をオフすることを特徴とする。
【0008】
また、前記携帯端末装置から前記識別情報を受信して、この識別情報に対応する前記コンテンツサーバのアドレス情報を前記携帯端末装置に返信する識別情報解決サーバをさらに設け、前記コンテンツ取得部が、前記識別情報を前記識別情報解決サーバに送信して前記コンテンツサーバのアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報を用いて前記コンテンツサーバにアクセスするようにしてもよい。
【0009】
また、前記携帯端末装置から前記識別情報を受信して、この識別情報に対応する前記識別情報解決サーバのアドレス情報を前記携帯端末装置に返信するポータルサーバをさらに設け、前記コンテンツ取得部が、前記識別情報を前記ポータルサーバに送信して前記識別情報解決サーバのアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報を用いて前記識別情報解決サーバにアクセスするようにしてもよい。
【0010】
また、携帯端末装置が、情報通信ネットワークに接続されたとき、復調部をオンさせたり、携帯端末装置が、情報通信ネットワークから切断されたとき、復調部をオフさせたりしてもよい。
【0011】
また、携帯端末装置に自己の位置を検出する位置検出部をさらに設け、放音装置から所定距離以内に接近したとき復調部をオンさせたり、放音装置から所定距離以上離れたとき復調部をオフさせたりしてもよい。
【0012】
本発明の携帯端末装置は、音声信号化された識別情報である音響IDを収音する収音部と、収音された音響IDから前記識別情報を復調する復調部と、利用者によって操作される操作部と、前記操作部が操作されたとき前記復調部をオンし、前記復調部が前記識別情報を復調したのち前記復調部をオフするオン/オフ制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、音響IDを識別情報に復調する復調部を必要なときのみオンし、それ以外の場面では復調部をオフすることができるため、無駄な電力消費を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の案内システムの構成図
【図2】コンテンツデータベースの記憶内容を示す図
【図3】案内装置のブロック図
【図4】案内装置から放音される音声の周波数成分を例示する図
【図5】携帯端末装置の一例であるスマートフォンのブロック図
【図6】携帯端末装置の音声信号処理部の動作を示すフローチャート
【図7】コンテンツサーバの動作を示すフローチャート
【図8】案内システムの他の形態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照してこの発明の実施形態である案内システムについて説明する。図1は、案内システムの構成を説明する図である。この案内システムは、たとえば観光地などに設置されるシステムであり、案内装置1、携帯端末装置2およびコンテンツサーバ4を有している。案内装置1は、観光地の複数の観光スポット(地点)にそれぞれ設けられる。スマートフォン2は、この観光地を訪れるユーザ6が所持するものである。コンテンツサーバ4は、インターネットなどのネットワーク3を介して携帯端末装置2と接続される。なお、携帯端末装置2としては、情報端末機能を有する多機能携帯電話であるスマートフォンを用いることが可能である。
【0016】
案内装置1はスピーカ16(図4参照)を備え、このスピーカ16からその観光スポットを解説するガイド音声を放音する。この案内音声により、観光客であるユーザ6は、その観光スポットの詳細を知ることができる。
【0017】
そして、この案内音声に音響ID50が重畳されており、案内装置1は、案内音声と音響ID50を合成した音声をスピーカ16から放音する。音響ID50は、18〜20kHzの高い周波数帯域の音声信号からなり、ユーザ6が所持する携帯端末装置2が所定のコンテンツ52を取得するための情報を含むものである。携帯端末装置2は、この音響ID50を収音してデコードする機能、デコードしたIDコード51を用いてコンテンツサーバ4にアクセスする機能、および、このIDコード51に対応するコンテンツ52である道案内情報を取得して表示部に表示する機能を有している。道案内情報は、現在、ユーザ6がいる観光スポット(案内装置1の所在地)から次の観光スポットへ移動するための案内情報であり、携帯端末装置2の表示部25(図5参照)に表示する画像、および/または、オーディオアンプ27で再生される音声などからなる。
【0018】
観光地には複数の観光スポットが存在し、各観光スポットにはそれぞれ案内装置1が設置されている。それぞれの案内装置1は、その地点(観光スポット)のガイド音声を放音すると同時に、その地点を示すIDコード51を音響ID50として放音する。コンテンツサーバ4のコンテンツデータベース40(図2参照)には、そのIDコード51の地点から次の地点(観光スポット)へ至るための道案内情報が記憶されている。コンテンツサーバ4は、携帯端末装置2からIDコード51を受信すると、そのIDコード51に対応する道案内情報を返信する。
【0019】
なお、通常の道案内であれば、次の地点までの道順を示す情報を道案内情報としてコンテンツデータベース40に記憶しておけばよいが、この実施形態では、案内システムに「宝探し」や「オリエンテーリング」などのゲーム性を持たせるために、道案内情報として次の地点への道順のほか、次の地点の名前(観光スポット名)やその地点(観光スポット)を割り出すヒントなどを記憶している。
【0020】
図2はコンテンツサーバ4に設けられるコンテンツデータベース40の構成図である。コンテンツデータベース40には、複数の地点(案内装置1)にそれぞれ設定されるIDとそのIDが設定される地点(観光スポット)名、その制限時間帯、および、コンテンツ52が記憶されている。図2には、地点名として地点A〜Dと記載しているが、具体的には観光スポットの名称である。時間帯は、この地点(オリエンテーリングのチェックポイント)を有効に通過できる制限時間である。図2の例では、11時〜12時の間に地点Aをスタートし、順次、地点B,C,Dに13時30分、15時、16時30分までにするように制限時間が定められている。そして、コンテンツ52である道案内情報は、地点Aにおいては「地点Bまでの道順」が記憶されており、通常の道案内と同様にそれをこの案内どおりに道を辿ってゆけば地点Bに到達できるようになっている。一方、地点Bにおいては「地点Cの名前」が記憶されており、その名前の場所を地図などで探してたどり着くように指示されている。また、地点Cにおいては「地点Dのヒント」が記憶されており、このヒントに基づいて地点Dを割り出し、その場所を地図などで探してたどり着くように指示さている。そして、地点Dはゴールであるため、コンテンツ52としてはゴールした旨の画像を提供するURLが記憶されている。この画像を「お宝」とすれば、このオリエンテーリングを宝探しゲームとするすることも可能である。
【0021】
なお、通常の道案内であれば、制限時間帯は不要であり、全ての地点のコンテンツ52に次の地点への道順情報を含めればよい。道案内情報に画像データなどを組み合わせてコンテンツ52としてもよい。また、最後の地点(図2では地点D)のコンテンツ52に地点Aへの道順情報を含めることにより、どの地点からスタートしても全ての地点(観光スポット)を巡ることができるようになる。
【0022】
図3を参照して、ガイド音声を放音する案内装置1の構成を説明する。案内装置1は、IDメモリ11、変調部12、ガイド音声再生部13、合成部14、増幅器15およびスピーカ16を備えている。IDメモリ11には所定の道案内情報(コンテンツ52)に対応づけられるIDコード51が記憶されている。変調部12は、IDコード51を空気振動である音波として放音可能な周波数帯域の信号(音響ID50)に変調する処理部である。変調部12は、IDコード51で拡散符号を位相変調し、この位相変調された拡散符号を非可聴帯域まで周波数シフトして放音する。この技術は、本出願人による国際特許出願(国際公開第2010/016589号パンフレット)に詳細に説明されている。ガイド音声再生部13は、この案内装置1が設置されている観光スポットの詳細や見どころなどをアナウンスする音声やBGMなどを再生する。合成部14は、拡散変調されたIDコード51である音響ID50とガイド音声とを加算合成し、合成された音声信号を増幅器15に出力する。増幅器15は合成部14から入力された音声信号を適当な電力まで増幅してスピーカ16に供給する。スピーカ16は増幅器15から入力された音声信号を音響として放音する。
【0023】
音響ID50は、IDコード51を特定の拡散符号で拡散し、18〜20kHzの周波数帯域へ周波数シフトしたものである。上述したように、この技術は本出願人による国際特許出願(国際公開第2010/016589号パンフレット)に詳細に説明されている。案内装置1のスピーカ16で再生可能な周波数帯域は、概ね100Hz〜20kHzの範囲である。図4に示すように、ガイド音声の上限周波数は16kHz程度であり、音響ID50は、このガイド音声に対して18〜20kHzの帯域に重畳される。これにより、ガイド音声と音響ID50とが、帯域が重複することなくスピーカ16から放音される。なお、音響ID50の変調方式およびガイド音声に対する音響ID50の重畳方式は上に述べた方式に限定されない。
【0024】
図5は携帯端末装置の一例であるスマートフォン2の本願発明に関係する部分のみを取り出した機能ブロック図である。スマートフォン2は、制御部20、マイク21、A/Dコンバータ22、ネットワーク通信部23、地図データメモリ24、表示部25、操作部26、オーディオアンプ27、GPS測位部28およびスイッチ29を備えている。
【0025】
マイク21は、案内装置1のスピーカから放音された音声を収音して電気信号である音声信号に変換する。A/Dコンバータ22は、マイク21から入力したアナログの音声信号をデジタル信号に変換する。ネットワーク通信部23は、ネットワーク3を介してコンテンツサーバ4と通信する。地図データメモリ24は、案内システムのカバーエリアである観光地の地図データを記憶する。この地図データメモリ24は内蔵のフラッシュメモリやハードディスクでもよく、スロットに挿入されるSDカード等の記憶媒体でもよい。表示部25は、スマートフォン2の前面に設けられた液晶画面を含み、この液晶画面に地図などの画像を表示する。操作部26は、液晶画面の表面に形成されたタッチパネルであり、ユーザ6によってタッチされた位置を検出して制御部20に入力する。オーディオアンプ27は制御部20から出力されたデジタルオーディオ信号をD/A変換および増幅して出力する。オーディオアンプ27には内蔵スピーカまたはイヤホンジャックが接続される。GPS測位部28は、GPSシステムを用いてスマートフォン2(ユーザ6)の現在位置を測位する。
【0026】
スイッチ29は、音声信号処理部200の動作をユーザ6の操作によりオン/オフするためのスイッチである。音声信号処理部200は、A/Dコンバータ22および制御部20に機能的に設けられる音響ID処理部31からなる。A/Dコンバータ22は電力の消費が大きく、音響ID50処理部31はCPUパワーの消費が大きいため、音響ID50のデコードを行うときオンされ、デコードが終了するとオフされる。この音声信号処理部200のオン/オフは、ユーザ6によるスイッチ29の操作により、または、自動的に行われる。なお、図5ではスイッチ29を操作部26とは別にハードウェア的に設けているが、操作部26のタッチパネルおよび表示部25の液晶画面を用いてソフトウェア的に設けてもよい。
【0027】
制御部20には、アプリケーションプログラムとの協働により音響ID処理部31、画像再生部32、音声再生部33およびウェブブラウザ34が構成される。音響ID50処理部31は、マイク21によって収音された音声信号を整合フィルタに通すことによってIDコード51を復調するIDコード復調部、ネットワーク通信部23を制御してコンテンツサーバ4と通信するコンテンツ取得部などからなっている。IDコード51は、たとえば、IDコード51の拡散に用いられた拡散符号列がフィルタ係数として設定されている適合フィルタに音響ID50を通すことにより復調される。この復調処理の詳細は、上述の国際公開第2010/016589号パンフレットに記載されている。画像再生部32は、地図データメモリ24から地図データを読み出して、GPS測位部28が測位した現在位置やコンテンツサーバ4から受信した道案内情報などを合成して表示部25に出力する。音声再生部33は、各種の音声を再生してオーディオアンプ27に出力する。ウェブブラウザ34は、コンテンツサーバ4から取得したコンテンツ52がURLの場合に、そのURLにアクセスしてウェブページを表示する。
【0028】
この実施形態では、スイッチ29は、図6のフローチャートで説明するように、音声信号処理部200をオンするスイッチとして機能し、音声信号処理部200は音響ID50をデコードしたとき、電力消費、CPUパワーの浪費を抑えるために自動的にオフする。ただし、音声信号処理部200をスイッチ29の操作により手動でオフできるようにしてもよい。
【0029】
また、音声信号処理部200を、制御部20に自動的にオンさせるようにしてもよい。たとえば、制御部20が、CPU測位部28の測位結果に基づき、案内装置1に接近したことを検出したとき音声信号処理部200をオンする。また、案内装置1から遠ざかったことを検出したとき、制御部20が音声信号処理部200をオフするようにしてもよい。
【0030】
また、スマートフォン2は、インターネットなどのネットワーク3を介してコンテンツサーバ40と接続される。制御部20は、Wi−Fiなどの無線LANの圏内に入ったとき、または、3G通信によりインターネットにダイヤルアップ接続されたとき、音声信号処理部200をオンするようにしてもよい。また、これらのネットワーク接続が切断されたとき、音声信号処理部200をオフするようにしてもよい。
【0031】
図6(A)、(B)は携帯端末装置2の制御部20の動作を示すフローチャートである。図7はコンテンツサーバ4の動作を示すフローチャートである。
【0032】
図6(A)は、スイッチ29の操作検出動作を示すフローチャートである。この動作は、数ミリ秒ごとに繰り返し実行される。ステップS11(以下、ステップSnを単にSnと記す)でスイッチ29がオンされたか(オンイベントが発生したか)否かを検出する。スイッチ29がオンされていない場合には(S11でNO)そのまま動作を終了する。スイッチ29がオンされた場合には(S11でNO)、現在音声信号処理部200が起動中であるかを判断する(S12)。音声信号処理部200が起動中の場合には(S12でYES)そのまま動作を終了する。音声信号処理部200が起動していない場合には(S12でNO)、音声信号処理部200を起動して(S13)動作を終了する。なお、S12で音声信号処理部200が起動していた場合、音声信号処理部200を停止するようにしてもよい。
【0033】
図6(B)は音響IDデコード動作を示すフローチャートである。この動作は、図6(A)の動作により(または自動的に)音声信号処理部200が起動されたときスタートする。スタート後、音響ID50処理部31は、S1で待機している。音響ID50を検出すると(S1でYES)、これをデコードする(S2)。そして、デコードしたIDコード51をコンテンツサーバ4に送信する(S3)。コンテンツサーバ4は受信したIDコード51に対応して図7の処理を実行し、対応するメッセージを返信する。携帯端末装置2の制御部20はこの返信を受信すると、その返信内容を判定する(S4)。返信内容が道案内情報であれば、その道案内情報を地図データとともに表示部25に表示し、これに音声が伴う場合にはこれをオーディオアンプ27で再生する(S5)。また、返信内容がURLであれば、ウェブブラウザ34を起動し(S7)、受信したURLをウェブブラウザ34に渡して(S8)、このURLにアクセスしてウェブページを表示させる(S10)。また、返信内容がIDコード51が無効である旨のメッセージであれば、その旨、すなわち、間違ったIDコードである旨、または、その地点への到達が遅すぎて時間切れである旨を表示部25に表示する(S9)。S5、S8またはS9の処理ののち音声信号処理部200の動作を停止させて(S6)処理を終了する。
【0034】
図7はコンテンツサーバ4の動作を示すフローチャートである。端末装置である携帯端末装置2からIDコード51を受信するまでS21で待機している。IDコード51を受信すると(S21でYES)、そのときの時刻を読み取り(S22)、この時刻(受信時刻)と受信したIDコード51の組み合わせでコンテンツデータベース40を検索する(S23)。検索の結果IDコード51が有効であれば、すなわち、コンテンツデータベース40にIDコード51が存在し、そのIDコード51の制限時間に受信時刻が含まれている場合には(S24でYES)、IDコード51に対応するコンテンツ52を読み出して、携帯端末装置2に返信する(S25)。IDコード51が有効でない場合、すなわち、IDコード51が存在しない場合または受信時刻が制限時間から外れている場合には(S24でNO)、IDコード51が無効である旨、すなわち、IDコード51が存在しないまたは時間切れである旨のメッセージを携帯端末装置2に返信する(S26)。
【0035】
上記実施形態は、図8(A)に示すように、携帯端末装置2にコンテンツサーバ4のURL53を記憶しておき、携帯端末装置2が、音響ID50を収音してIDコード51をデコードしたとき、このIDコード51をコンテンツサーバ4に送信し、その返信としてコンテンツ52を取得する形態であった。しかし、音響ID50を用いてコンテンツサーバ4からコンテンツ52を取得するシステムは、図8(A)に示した形態以外の形態、たとえば図8(B)、(C)に示す形態でも実現可能である。
【0036】
図8(B)の形態では、携帯端末装置2にID解決サーバ7のURL54を記憶しておく。ID解決サーバ7は、携帯端末装置2からIDコード51を受信し、このIDコード51に対応するコンテンツサーバ4のURL53を携帯端末装置2に返信するサーバである。携帯端末装置2が、音響ID50を収音してIDコード51をデコードしたとき、このIDコード51をID解決サーバ7に送信して、その返信として対応するコンテンツサーバ4のURL53を取得する。携帯端末装置2は、このURL53を用いてコンテンツサーバ4にアクセスすることによりコンテンツ52を取得する。このときIDコード51をコンテンツサーバ4に送信してこれに対応するコンテンツ52を取得するようにしてもよい。
【0037】
図8(C)の形態では、携帯端末装置2にポータルサーバ8のURL55を記憶しておく。ポータルサーバ8は、音響ID50を用いて情報を提供するシステム(たとえば案内システム)において、ネットワーク3上に散在するコンテンツ52を管理してユーザ6に容易に取得可能にする受付サーバである。ポータルサーバ8は、携帯端末装置2からIDコード51を受信し、このIDコード51に対応するID解決サーバ7のURL54を携帯端末装置2に返信する。携帯端末装置2が、音響ID50を収音してIDコード51をデコードしたとき、このIDコード51をポータルサーバ8に送信し、その返信として対応するID解決サーバ7のURL54を取得する。次に、このURL54でID解決サーバ7にアクセスしIDコード51を送信し、その返信として対応するコンテンツサーバ4のURL53を取得する。携帯端末装置2は、このURL53を用いてコンテンツサーバ4にアクセスすることによりコンテンツ52を取得する。このときIDコード51をコンテンツサーバ4に送信してこれに対応するコンテンツ52を取得するようにしてもよい。
【0038】
なお、図8(B)、(C)の形態において、コンテンツサーバ4とID解決サーバ7が同じサーバであってもよい。
【0039】
また、図8(B)、(C)の形態において、ID解決サーバ7を複数設け、携帯端末装置2が複数のID解決サーバ7に順次アクセスしてコンテンツサーバ4に到達するような形態でもよく、この形態も本願の技術的範囲に含まれる。
【0040】
なお、この実施形態では、携帯端末装置2としてスマートフォンを例示しているが、携帯端末装置はスマートフォンに限定されない。例えば、PDA(Personal Data Assistance)、タブレット端末または一般の携帯電話であってもよい。また、上記の実施形態では、案内システムを例にあげて説明したが、本発明の携帯端末装置2は、音響ID50を収音してデコードするシステムであればどのようなシステムにも適用することが可能である。
【0041】
また、この実施形態では、音響ID50のデコードを制御部20がソフトウェア的に行っているが、音響ID50デコード用のLSIなどのハードウェアを別途を設けてもよく、この場合、このハードウェアの電源をオン/オフすることで本発明が実現される。
【符号の説明】
【0042】
1 案内装置
2 携帯端末装置(スマートフォン)
3 ネットワーク
4 コンテンツサーバ
6 ユーザ
7 ID解決サーバ
8 ポータルサーバ
16 スピーカ
29 スイッチ
40 コンテンツデータベース
50 音響ID
51 IDコード(識別情報)
52 コンテンツ
200 音声信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置と放音装置とが音響的に接続され、前記携帯端末装置とコンテンツサーバとが情報通信ネットワークで接続された情報提供システムであって、
前記放音装置は、音声信号化された識別情報である音響IDを放音し、
前記コンテンツサーバは、前記携帯端末装置からのアクセスに対応して所定のコンテンツを前記携帯端末装置に返信し、
前記携帯端末装置は、前記放音装置によって放音された音響IDを収音する収音部と、収音された音響IDから前記識別情報を復調する復調部と、復調された識別情報を用いて前記コンテンツサーバにアクセスし、コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、前記復調部をオン/オフするオン/オフ制御部と、を備え、
前記オン/オフ制御部は、利用者によって操作される操作部を備え、該操作部が操作されたとき前記復調部をオンし、前記復調部が前記識別情報を復調したのち前記復調部をオフする
情報提供システム。
【請求項2】
前記携帯端末装置と情報ネットワークで接続された識別情報解決サーバをさらに有し、
前記識別情報解決サーバは、前記携帯端末装置から前記識別情報を受信して、この識別情報に対応する前記コンテンツサーバのアドレス情報を前記携帯端末装置に返信し、
前記コンテンツ取得部は、前記識別情報を前記識別情報解決サーバに送信して前記コンテンツサーバのアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報を用いて前記コンテンツサーバにアクセスする
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記携帯端末装置と情報ネットワークで接続されたポータルサーバをさらに有し、
前記ポータルサーバは、前記携帯端末装置から前記識別情報を受信して、この識別情報に対応する前記識別情報解決サーバのアドレス情報を前記携帯端末装置に返信し、
前記コンテンツ取得部は、前記識別情報を前記ポータルサーバに送信して前記識別情報解決サーバのアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報を用いて前記識別情報解決サーバにアクセスする
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記オン/オフ制御部は、前記携帯端末装置が、前記情報通信ネットワークに接続されたとき、前記復調部をオンする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記オン/オフ制御部は、前記携帯端末装置が、前記情報通信ネットワークから切断されたとき、前記復調部をオフする請求項4に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記携帯端末装置に、自己の位置を検出する位置検出部をさらに設け、
前記オン/オフ制御部は、前記放音装置から所定距離以内に接近したとき、前記復調部をオンする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記オン/オフ制御部は、前記放音装置から所定距離以上離れたとき、前記復調部をオフする請求項6に記載の情報提供システム。
【請求項8】
音声信号化された識別情報である音響IDを収音する収音部と、
収音された音響IDから前記識別情報を復調する復調部と、
利用者によって操作される操作部と、
前記操作部が操作されたとき前記復調部をオンし、前記復調部が前記識別情報を復調したのち前記復調部をオフするオン/オフ制御部と、
を備えた携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−5377(P2013−5377A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137232(P2011−137232)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】