携帯端末装置および救助情報発信方法
【課題】適切なタイミングで救助信号の発信を自動的に開始する。
【解決手段】通信手段1aは、無線通信網10を介してデータ通信を行う。発信制御手段1bは、通信手段1aの通話状況を監視し、通信手段1aの通信可否状況に基づいて、救助信号を発信するか否かを判定する。そして、発信制御手段1bは、救助信号を発信する旨の判定をした場合、救助信号の発信指示を出力する。発信手段1cは、発信制御手段1bが出力した発信指示を受け付けると、自装置の識別情報を含む救助信号の間欠発信を開始する。
【解決手段】通信手段1aは、無線通信網10を介してデータ通信を行う。発信制御手段1bは、通信手段1aの通話状況を監視し、通信手段1aの通信可否状況に基づいて、救助信号を発信するか否かを判定する。そして、発信制御手段1bは、救助信号を発信する旨の判定をした場合、救助信号の発信指示を出力する。発信手段1cは、発信制御手段1bが出力した発信指示を受け付けると、自装置の識別情報を含む救助信号の間欠発信を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置および救助情報発信方法に関し、特に、無線通信網と接続する携帯端末装置およびそのような携帯端末装置による救助情報発信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震災害時や山岳遭難時などにおける遭難者の捜索は、主に人海戦術で行われる。遭難者を捜索する救助隊は、遭難者が遭難したと思われる範囲を網羅的に捜索し、発見し次第、遭難者を救助する。
【0003】
しかし、救助隊により遭難者が遭難したと思われる範囲を網羅的に捜索する方法では、遭難者の救助までに長い時間を要してしまう場合がある。遭難者は、被災によって怪我を負っている場合や、寒さなどによって衰弱している場合が多い。このため、救助隊は、遭難者を迅速に発見し、救助する必要がある。
【0004】
そこで、遭難者の迅速な発見を可能とするために、入山者等に予め個人を識別するためのタグを持たせて、要所毎に設置された読み取り装置にて各人の通過履歴を取得しておき、各人が遭難した場合には、この通過履歴の情報から遭難したと思われる範囲を絞り込む技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。ただし、この方法では、遭難者が通過する経路上に経路情報を取得するための設備が予め必要となる。
【0005】
また、上記のように経路情報を取得する設備が設置されていない場所でも、遭難者を迅速に発見し救助するための技術がある。このような技術として、入山者等に自身の位置情報を発信する端末装置を持たせておき、各人が遭難した場合には、この端末装置が発信する位置情報を元に遭難した所持者を捜索する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、予め人体の異常を検出するためのセンサを保持しておき、センサが人体に異常を検出すると救助要請を行う技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−133039号公報
【特許文献2】特開2006−127111号公報
【特許文献3】特開2007−129654号公報
【特許文献4】特開2003−109160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、携帯電話機は、急速に普及しており、ほぼ1人1台の普及率となっている。携帯電話機を用いると、例えば、携帯電話機が基地局と電波で交信できる範囲、いわゆる通話エリア内であれば、被災者は、携帯電話機を用いた無線通話によって救助を求めることができる。更に、最近では、GPS(Global Positioning System)による自装置の位置情報を取得することが可能な携帯電話機も普及してきており、被災者は、この位置情報により自分の所在を知らせることも可能である。このように携帯電話機は、普段身に付けていることが多く、予期しない緊急時にも有効に活用することができる。
【0007】
しかし、携帯電話機を所持していたとしても、携帯電話機が通話エリアの外に出てしまったり、災害により基地局自体が利用不可能となったり、長期の遭難によりバッテリの電力が尽きてしまうなどの原因で、携帯電話機による無線通話が不可能となり、遭難者が携帯電話機を利用して救助を求めることができなくなるという課題がある。
【0008】
また、上記特許文献3の方法で示される端末装置のように、常時信号を発信しているのでは、バッテリを浪費してしまうという問題がある。また、無線発信に使用する周波数帯によっては、他のシステム等で使用される無線通信の周波数帯との電波干渉が問題となる。すなわち、不必要な場合には信号の発信を停止することが望ましい。
【0009】
一方、被災者自身の操作によって信号を発信するようにすると、例えば、被災者の意識が無い(死亡時も含む)等、携帯電話機の操作が不可能な場合に、救助情報を発信することができないという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで救助信号の発信を自動的に開始することが可能な携帯端末装置および救助情報発信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、無線通信網と接続する携帯端末装置が提供される。この携帯端末装置は、通信手段、発信制御手段および発信手段を有する。通信手段は、無線通信網を介して通信する。発信制御手段は、通信手段の通信状況を監視し、通信手段の通信可否状況に基づいて救助信号を発信するか否かを判定し、救助信号を発信する旨の判定をした場合、上記救助信号の発信指示を出力する。発信手段は、発信制御手段が出力した発信指示を受け付けると、自装置の識別情報を含む救助信号の間欠発信を開始する。
【0012】
このような携帯端末装置によれば、通信手段により無線通信網と通信が行われる。そして、発信制御手段により、通信手段の通信状況が監視され、通信手段の通信可否状況に基づいて救助信号を発信するか否かが判定され、救助信号を発信する旨の判定がされた場合、上記救助信号の発信指示が出力される。更に、発信手段により、発信制御手段が出力した発信指示が受け付けられると、自装置の識別情報を含む救助信号の間欠発信が開始される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、上記携帯端末装置と同様の処理を行う救助情報発信方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記携帯端末装置および救助情報発信方法によれば、適切なタイミングで救助信号の発信を自動的に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施の形態の概要について説明し、その後、本実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、本実施の形態に係る携帯端末装置の概念図である。携帯端末装置1は、無線通信網10と接続し、音声等のデータの送受信を行う。また、携帯端末装置1は、携帯端末装置1の所持者が被災したと考えられる場合を検出して、周囲に自端末の識別情報を含む救助情報を間欠的に発信する。受信装置2は、この救助情報を受信するための装置である。
【0016】
携帯端末装置1は、通信手段1a、発信制御手段1bおよび発信手段1cを有する。
通信手段1aは、無線通信網10を介してデータの送受信を行う。無線通信網10としては、例えば、無線電話網や、無線IP(Internet Protocol)通信網がある。
【0017】
発信制御手段1bは、通信手段1aの通信状況を監視し、上記通信手段1aが無線通信網10を介した通信の可否を判定する。発信制御手段1bは、通信手段1aの通信が不可であることを検出すると、自装置の識別情報を含む救助情報の発信指示を出力する。ここで、自装置の識別情報とは、携帯端末装置1に固有の番号等であり、通信手段1aが無線電話網と接続される場合には、電話番号を利用することができる。電話番号を用いると、その番号に対応する所持者も特定することができるため、遭難者の人物を特定することもできる。
【0018】
発信手段1cは、発信制御手段1bが出力した発信指示を受け付けると、上記救助情報の間欠発信を開始する。発信手段1cで使用する無線通信方法としては、例えば、短距離無線通信規格であるZigbeeのような省電力近距離無線通信規格に則った通信機器を利用することができる。Zigbeeの仕様は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.15.4として規格化されている。IEEE802.15.4通信規格では、電波の最大伝送距離を、送信出力を調整することで数十m〜数百m程度に設定することができる。更に、Zigbeeなどを採用した通信機器は、発信の周期や送信出力にも依るが、無線通信用の電源としてボタン電池や乾電池を使用することで、1〜2年程度の稼動が可能であり、少ない電力で長期間に渡って救助情報を発信することができるという利点がある。
【0019】
受信装置2は、救助者が保持する端末装置である。受信装置2は、受信手段2aを有する。
受信手段2aは、携帯端末装置1から発信された救助情報を受信する。受信装置2は、上記救助情報を受信すると、例えば、検出音によって救助者に知らせる。
【0020】
このように、携帯端末装置1の所持者は、携帯端末装置1を常備しておくことで、突然の災害時にも無線通信網10を介した無線通信によって救助を要請することができる。しかし、無線通信網10を介した無線通信が利用不可能となった場合等には、無線通信による救助要請が不可能となる。この時、携帯端末装置1は、無線通信網10を介した無線通信が行われていないことを検出して、周囲に自端末の識別情報を含む救助情報を発信するようにする。すなわち、携帯端末装置1は、救助情報を、常時発信するのではなく、救助が必要な場合を特定して、救助情報を発信するようにする。
【0021】
これにより、日常生活においては、救助情報の発信による無駄な電力の消費を抑えることができる。また、例えば、無線通信の規格としてZigbeeなどを採用する場合には、利用する周波数帯としてISM帯(Industrial, Science and Medical band)が用いられる。このISM帯は、無免許で利用可能であり、様々なシステムで共用されるため、相互の電波干渉を避けるために不必要な場合においては救助情報の発信が停止されていることが好ましい。すなわち、必要な場合に限り救助情報を発信することで、日常生活における他のシステムとの電波干渉を避けることができるという効果もある。
【0022】
また、受信装置2を所持する救助者は、この救助情報を受信装置2によって受信し、携帯端末装置1を所持する遭難者を捜索することができる。救助者は、受信装置2が発する検出音や光によって、近辺に携帯端末装置1が存在することを認知できる。例えば、携帯端末装置1の発信手段1cによる電波の最大伝送距離が100mと設定されている場合、救助者は、自身の位置から100mの範囲内に遭難者が存在することを認知できる。このようにして、携帯端末装置1を所持する遭難者を見落とすことなく、範囲を絞りながら効率的に捜索を行うことができる。
【0023】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施の形態のシステム構成を示す図である。図2に示す捜索システムは、地震等の災害の被災者や山での遭難者を捜索するためのシステムである。この捜索システムは、携帯電話機100、捜索端末装置200、無線基地局300およびGPS衛星400を有する。
【0024】
携帯電話機100は、GPS機能を備えた携帯電話機である。携帯電話機100は、無線基地局300と無線通信することで、他の携帯電話機等との間での音声通話やデータ通信が可能となる。また、携帯電話機100は、GPS衛星400と無線通信することで、自端末の位置情報を、例えば、緯度経度の座標情報として取得することができる。なお、携帯電話機100は、無線基地局300からも、自身の所在する位置情報を取得することもできる。
【0025】
ここで、携帯電話機100を所持する被災者は、携帯電話機100が無線基地局300を介して通信可能なエリア内、すなわち、通話エリア内にある場合には、自身が被災したこと、現在の所在位置および自身の状態等を無線通話により救助者に伝え、救助を要請することができる。
【0026】
また、携帯電話機100は、無線基地局300による通話エリア内にあって、無線基地局300の所在地が携帯電話会社等によって指定される災害指定地域に含まれる場合、無線基地局300から配信される災害指定地域情報を受信する。被災者は、この災害指定地域情報を受信することで、自身の所在する地域(通話エリア)が被災地に指定されていることを確認することができる。
【0027】
しかし、携帯電話機100が通話エリアの外にある場合や、災害により無線基地局300自体が利用不可能となった場合等には、被災者は、無線通信を行うことができない。この場合を特定するために、携帯電話機100は、所定の期間の間(例えば、1日)、継続して無線通信が不可であったことを検出して救助情報の発信を開始する。ここで、救助情報には、携帯電話機100の識別情報やGPS機能により取得した最新の位置情報等が含まれる。
【0028】
捜索端末装置200は、GPS機能を備えた端末装置である。捜索端末装置200は、GPS衛星400と無線通信することで、自端末の現在の位置情報を、例えば、緯度経度の座標情報として取得する。
【0029】
また、捜索端末装置200は、携帯電話機100が発信した救助情報を受信する。捜索端末装置200は、救助情報を受信すると、捜索端末装置200を所持する救助者に、例えば、音等によって救助情報を受信していることを通知する。これによって、捜索端末装置200を所持する救助者は、自身の近辺に携帯電話機100が存在することを認識することができる。そして、捜索端末装置200は、救助情報に含まれる携帯電話機100の識別情報や位置情報を捜索端末装置200に備えられたモニタに出力する。これにより、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100を所持する人物やその位置を把握することができる。
【0030】
なお、携帯電話機100が救助情報の発信を開始する契機として、上記の説明では、所定の期間の間、継続して無線通信が不可であった場合としたが、救助情報の発信を、更に、以下の契機により開始するようにして、被災した場合をより正確に特定する。
【0031】
具体的には、(1)携帯電話機100の無線通話機能を動作させるためのバッテリの電力が低下し、無線通話機能の動作が不可能な場合、(2)上記バッテリの電力は残っているが、携帯電話機100による無線通信が所定の期間継続して不可であった場合、(3)無線基地局300から災害指定地域情報を受信している場合、(4)被災者自身による救助情報の発信開始の操作を受け付けた場合、とする。
【0032】
次に、上記(1)〜(4)の場合を契機として救助情報を発信する携帯電話機100の機能構成について説明する。
図3は、携帯電話機の機能を示すブロック図である。携帯電話機100は、無線通話部110、救助情報発信部120、操作部130、電力供給制御部140、バッテリ150,160を有する。
【0033】
無線通話部110は、送受信部111(電話・GPS共用)およびアンテナ112を有する。
送受信部111は、通話用の無線信号の送受信およびGPS信号の受信の共用である。送受信部111は、例えば、アンテナ共用機能を有しており、無線通話用に使用される周波数帯域と、GPS通信用に使用される周波数帯域とに送受信信号を分離することができる。送受信部111は、送受信兼用のアンテナ112を介して無線基地局300との間で、通話用またはデータ通信用の無線信号を送受信する。
【0034】
また、送受信部111は、送受信兼用のアンテナ112を介して、GPS衛星400から送信されるGPS信号を受信し、更に、図示しないFM(Frequency Modulation)放送局等から送信される補正情報を考慮して、自端末の所在地を緯度経度の座標で表される位置情報として取得する。送受信部111は、取得した位置情報とその位置情報を取得した日時情報を救助情報記憶部121に格納する。
【0035】
更に、送受信部111は、無線基地局300から、自端末の所在する地域が被災地であることを通知する情報である災害指定地域情報を取得する。
救助情報発信部120は、救助情報記憶部121、送受信部122(捜索用)および発信制御部123を有する。
【0036】
救助情報記憶部121は、送受信部111が取得した位置情報を、この位置情報を取得した日時および自端末の識別情報と共に記憶する。ここで、自端末の識別情報とは、携帯電話機100の電話番号である。電話番号を用いると、例えば、携帯電話機100の所持者が捜索対象となっているか否かを判定することができる。なお、識別情報は、携帯電話機100を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いても構わない。以降の説明では、携帯電話機100の救助情報とは、電話番号、位置情報およびこの位置情報を取得した日時を含むものとする。
【0037】
なお、救助情報記憶部121に記憶される救助情報は、例えば、位置情報を取得するたびに上書き更新されるか、または、蓄積されたデータ量に応じて古い情報から上書き更新されることが記憶領域を効率的に利用する上では望ましい。
【0038】
送受信部122は、発信制御部123から救助情報の発信指示を受け付けると、救助情報記憶部121に記憶された救助情報を間欠的に発信する。送受信部122で使用する無線通信方法としては、例えば、短距離無線通信規格であるZigbeeなどを用いる。Zigbeeのような小電力動作を実現可能な方法を利用することで、少ない電力で長期間に渡って救助情報を発信することができる。なお、このような省電力無線装置(Zigbeeなど)では、送受信部122から発信される電波の最大伝送距離は、送信出力を調整することで数十m〜数百m程度に設定することができる。
【0039】
発信制御部123は、通話用電源監視部123a、通信状況監視部123b、指定情報監視部123cおよび送信操作監視部123dを有する。
通話用電源監視部123aは、電力供給制御部140を介して無線通話部110用の電源であるバッテリ150の蓄電力を監視する。通話用電源監視部123aは、バッテリ150の蓄電力が尽きて、無線通話部110の動作が不可となった場合、送受信部122に救助情報の発信指示を出力する。
【0040】
通信状況監視部123bは、送受信部111による無線基地局300との間の通信状況を監視する。通信状況監視部123bは、タイマーを有しており、所定の期間(例えば、1日)、継続して送受信部111を介した無線通信が不可であった場合、送受信部122に救助情報の発信指示を出力する。
【0041】
指定情報監視部123cは、送受信部111が無線基地局300から災害指定地域情報を取得しているか否かを監視する。指定情報監視部123cは、送受信部111が災害指定地域情報を取得している場合、送受信部122に救助情報の発信指示を出力する。
【0042】
送信操作監視部123dは、携帯電話機100の所持者による操作部130への操作入力があったことを検出する。送信操作監視部123dは、操作部130への操作入力を検出すると、送受信部122に対して救助情報の発信指示を出力する。
【0043】
操作部130は、救助情報の発信が必要な場合に、携帯電話機100の所持者によって操作され、発信制御部123から送受信部122に対して、救助情報の発信指示を強制的に出力させるためのスイッチである。
【0044】
電力供給制御部140は、無線通話部110および救助情報発信部120への電力供給を制御する。
バッテリ150は、無線通話部110および救助情報発信部120を動作させるための電力を蓄えた電源である。
【0045】
バッテリ160は、救助情報発信部120を動作させるための電力を蓄えた電源である。バッテリ160は、バッテリ150の予備電源として用いられ、例えば、バッテリ150に蓄えられた電力が所定値よりも低下した場合に、電力供給制御部140によって、バッテリ160から救助情報発信部120へ電力が供給されるよう制御される。バッテリ160としては、例えば、省スペースなボタン電池を使用することができる。
【0046】
このように、無線通話部110に電力を供給するため消耗の早いバッテリ150の予備電源として、救助情報発信部120専用のバッテリ160を備えることで、被災時や遭難時にも長期に渡って救助情報を発信し続けることができる。
【0047】
次に、携帯電話機100が発信する救助情報を受信する捜索端末装置200の機能構成について説明する。
図4は、捜索端末装置の機能を示すブロック図である。捜索端末装置200は、救助情報記憶部210、送受信部220(捜索・GPS共用)、アンテナ230、画像処理部240および表示部250を有する。
【0048】
救助情報記憶部210は、送受信部220が受信した救助情報を記憶する。また、救助情報記憶部210は、送受信部220が取得した捜索端末装置200の現在の位置情報を記憶する。
【0049】
送受信部220は、捜索用の無線信号の送受信およびGPS信号の受信の共用である。送受信部220は、例えば、アンテナ共用機能を有しており、救助情報の受信用に使用される周波数帯域と、GPS通信用にしようされる周波数帯域とに送受信信号を分離することができる。送受信部220は、送受信兼用のアンテナ230を介して携帯電話機100から間欠的に送信される救助情報を受信する。また、送受信部220は、救助情報の受信時の信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)を受信感度として測定する。そして、受信した救助情報と受信時の受信感度を救助情報記憶部210に記憶する。
【0050】
ここで、例えば、携帯電話機100が発信する電波の最大伝送距離が100mと設定されている場合、送受信部220は、携帯電話機100の存在する位置から100mの範囲内に入った場合に、携帯電話機100からの救助情報を受信することができる。
【0051】
また、送受信部220は、送受信兼用のアンテナ230を介してGPS衛星400から送信されるGPS信号を受信し、更に、図示しないFM放送局等から送信される補正情報を考慮して、自端末の所在地を緯度経度の座標で表される位置情報として取得する。送受信部220は、取得した位置情報とその位置情報を取得した日時情報を救助情報記憶部210に格納する。
【0052】
画像処理部240は、救助情報記憶部210に記憶された救助情報および自端末が取得した現在の位置情報を、表示部250に出力する。
表示部250は、捜索端末装置200の捜索用画面を表示させるためのモニタである。表示部250としては、例えば、液晶モニタが用いられる。
【0053】
また、捜索端末装置200は、携帯電話機100からの救助情報を受信した場合に、スピーカからの検出音やLED(Light Emitting Diode)等の発光によって救助者に知らせるようにしてもよい。このようにすると、携帯電話機100から取得した救助情報に含まれる位置情報が、GPS機能により取得された時点が古いものであり、現在の携帯電話機100の位置と異なる場合にも、周囲に携帯電話機100が存在することを知らせることができるため効果的である。なお、検出音や発光を用いると、例えば、携帯電話機100がGPS機能を有していない場合にも、その存在を救助者に対して効果的に通知することができるという利点もある。
【0054】
次に、携帯電話機100から発信される救助情報に関して説明する。
図5は、救助情報テーブルのデータ構造例を示す図である。救助情報テーブル121aには、携帯電話機番号を示す項目、位置情報を示す項目および日時情報を示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、携帯電話機100の情報を構成する。
【0055】
携帯電話機番号を示す項目には、携帯電話機100の電話番号が設定される。位置情報を示す項目には、携帯電話機100のGPS機能により取得された位置情報が緯度経度の座標として設定される。日時情報を示す項目には、上記位置情報がGPS機能により取得された日時が設定される。上記位置情報を示す項目および日時情報を示す項目の設定は、携帯電話機100のGPS機能により最後に位置情報が取得された時点の情報が設定される。
【0056】
救助情報テーブル121aには、例えば、携帯電話機番号が“090−1234−1234”、位置情報が“N35.40.40.8,E139.46.12.7”、日時情報が“2008.1.12,21:33:16”という情報が設定される。これは、携帯電話機番号が“090−1234−1234”である携帯電話機100が、2008年1月12日の21時33分16秒の時点で、北緯35度40分40秒8、東経139度46分12秒7に存在していたことを示している。
【0057】
この情報を取得することによって、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100が存在すると思われる範囲を特定することができる。
次に、捜索端末装置200で管理される救助情報に関して説明する。
【0058】
図6は、救助情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。救助情報管理テーブル210aは、携帯電話機番号を示す項目、位置情報を示す項目、日時情報を示す項目、捜索対象を示す項目および受信感度を示す項目が設けられている。
【0059】
携帯電話機番号を示す項目には、救助情報を受信した携帯電話機の電話番号が設定される。位置情報を示す項目には、各携帯電話機の位置情報が設定される。日時情報を示す項目には、上記位置情報を取得した日時が設定される。捜索対象を示す項目には、その携帯電話機番号で示される携帯電話機が、捜索の対象となっているか否かが設定される。受信感度を示す項目には、該当の救助情報を受信したときに送受信部220が測定した受信感度が設定される。
【0060】
ここで、取得した携帯電話機番号が捜索対象であるか否かは、予め捜索端末装置200に記憶される。すなわち、捜索対象である被災者の氏名から、この被災者が所有している携帯電話機の電話番号を取得して、捜索対象の電話番号として予め捜索端末装置200の救助情報記憶部210に記憶しておく。そして、取得した携帯電話機番号が、記憶された捜索対象の電話番号と一致する場合には、捜索対象を示す項目に“対象”が設定され、それ以外の場合には、“非対象”が設定される。
【0061】
救助情報管理テーブル210aには、例えば、携帯電話機番号が“090−1234−1234”、位置情報が“N35.40.40.8,E139.46.12.7”、日時情報が“2008.1.12,21:33:16”、捜索対象が“対象”、受信感度が“77db”という情報が設定される。これは、携帯電話機番号が“090−1234−1234”である携帯電話機100が、2008年1月12日の21時33分16秒の時点で、北緯35度40分40秒8、東経139度46分12秒7に存在していたことを示している。また、この携帯電話機番号の所持者が被災者として捜索対象になっていることを示している。更に、救助情報を受信したときの受信感度が77dbであったことを示している。救助者は、表示部250に出力された受信感度の大小によって、携帯電話機100に近づいているか等を把握することができる。
【0062】
なお、救助情報管理テーブル210aは、捜索の“非対象”である携帯電話機からも情報を受信している場合を示している。これらの携帯電話機の情報も救助情報記憶部210に記憶しておくことで、後に各電話番号に該当する所持者の捜索が必要となったときに、容易にその捜索範囲を特定することができる。
【0063】
このようにして、捜索端末装置200では、各携帯電話機から受信した救助情報が記憶され、管理される。
次に、以上のような構成およびデータ構造において実行される処理の詳細を説明する。
【0064】
図7は、携帯電話機の救助情報の発信開始処理を示すフローチャートである。以下、図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。以下の処理は、携帯電話機100が、救助情報の間欠発信を行っていない場合に実行される。
【0065】
[ステップS11]送信操作監視部123dは、操作部130への操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力が行われた場合、送信操作監視部123dは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。操作入力が行われていない場合、処理がステップS12に移される。
【0066】
[ステップS12]通話用電源監視部123aは、バッテリ150の蓄電力が尽きて、無線通話部110の動作が不可であるか否かを判定する。動作不可である場合、通話用電源監視部123aは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。動作可である場合、処理がステップS13に移される。
【0067】
[ステップS13]通信状況監視部123bは、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が可能であるか否かを判定する。可能である場合、処理がステップS14に移される。不可能である場合、処理がステップS15に移される。
【0068】
[ステップS14]指定情報監視部123cは、送受信部111が災害指定地域情報を受信しているか否かを判定する。受信している場合、指定情報監視部123cは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。受信していない場合、処理が終了する。
【0069】
[ステップS15]通信状況監視部123bは、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が不可であった期間が、所定の期間(例えば、1日)、継続しているか否かを判定する。所定の期間継続している場合、通信状況監視部123bは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。所定の期間継続していない場合、処理が終了する。
【0070】
[ステップS16]送受信部122は、救助情報の発信指示を受け付ける。そして、送受信部122は、救助情報の間欠発信を開始する。
このように、携帯電話機100は、その所持者が被災したと想定される場合を特定して、周囲に救助情報を発信する。
【0071】
次に、携帯電話機100において、救助情報が発信されている状態から、停止状態となる処理の流れについて説明する。
図8は、携帯電話機の救助情報の発信停止処理を示すフローチャートである。以下、図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。以下の処理は、携帯電話機100が、救助情報の間欠発信を行っている場合に実行される。
【0072】
[ステップS21]送信操作監視部123dは、操作部130への操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力が行われた場合、送信操作監視部123dは、救助情報の発信停止指示を送受信部122に出力して、処理がステップS24に移される。操作入力が行われていない場合、処理がステップS22に移される。
【0073】
[ステップS22]通信状況監視部123bは、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が可能であるか否かを判定する。可能である場合、処理がステップS23に移される。不可能である場合、終了する。
【0074】
[ステップS23]指定情報監視部123cは、送受信部111が災害指定地域情報を受信しているか否かを判定する。受信している場合、処理が終了する。受信していない場合、指定情報監視部123cは、救助情報の発信停止指示を送受信部122に出力して処理がステップS24に移される。
【0075】
[ステップS24]送受信部122は、救助情報の発信停止指示を受け付ける。そして、送受信部122は、救助情報の間欠発信を停止する。
このように、携帯電話機100の所持者は、携帯電話機100を常備しておくことで、突然の災害時にも通話エリア内にいる場合には、無線通話によって救助を要請することができる。更に、携帯電話機100は、所持者が被災したと想定される場合を特定して救助情報の発信を開始する。
【0076】
なお、発信制御部123による監視により、送受信部122から周囲への救助情報の発信開始は、所持者が被災したと想定される以下の場合である。すなわち、(1)携帯電話機100の無線通話機能を動作させるためのバッテリの電力が低下し、無線通話機能の動作が不可能な場合、(2)上記バッテリの電力は残っているが、携帯電話機100による無線通話が所定の期間継続して行われなかった場合、(3)無線基地局300から災害指定地域情報を受信している場合、(4)被災者自身による救助情報の発信開始の操作を受け付けた場合である。
【0077】
これにより、日常生活においては、救助情報の発信による無駄な電力の消費を抑えることができる。また、例えば、無線通信の規格としてIEEE802.15.4通信規格(Zigbeeなど)を採用する場合、利用する周波数帯であるISM帯における、他のシステムとの電波干渉を抑止することができるという利点もある。
【0078】
なお、携帯電話機100による救助情報の発信開始の契機は、上記の(1)〜(4)の場合に限らず、他の場合を契機としても構わない。例えば、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が不可となった場合には、その継続期間に関わらず、救助情報を発信するようにしてもよい。
【0079】
次に捜索端末装置200側での救助情報の受信処理に関して説明する。
図9は、捜索端末装置の受信処理の流れを示すフローチャートである。以下、図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0080】
[ステップS31]送受信部220は、携帯電話機100からの救助情報を受信する。
[ステップS32]送受信部220は、救助情報を受信した際の信号の受信感度を測定する。
【0081】
[ステップS33]送受信部220は、受信した救助情報、受信感度の測定結果および捜索対象であるか否かを示す情報を救助情報記憶部210に格納する。
[ステップS34]画像処理部240は、救助情報記憶部210に記憶された情報に基づいて、表示部250に携帯電話機100に関する情報および現在時刻や自端末の現在の位置情報を出力する。
【0082】
このように、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100からの救助情報を受信すると、表示部250に表示される捜索用画面によって、携帯電話機100の情報(電話番号、位置情報および携帯電話機100が位置情報を取得した最終の日時)を確認することができる(捜索用画面については、図11に例示する)。そして、上記捜索用画面に表示された自身の現在の位置座標から、捜索対象とする範囲を特定することができる。
【0083】
以下では、携帯電話機100および捜索端末装置200を用いた被災者の捜索方法を模式図を用いて説明する。
図10は、捜索端末装置による被災者の捜索方法を示す模式図である。図10では、被災者Aおよび被災者Bが捜索対象となっているものとする。そして、被災者Aは携帯電話機100を所持しており、被災者Bは携帯電話機100aを所持している。
【0084】
捜索端末装置200には、携帯電話機100および携帯電話機100aからの電波の最大伝送距離の範囲内に入ると、携帯電話機100,100aのそれぞれから救助情報を取得する。捜索端末装置200を所持する救助者は、救助情報に含まれる携帯電話機番号、位置情報等から被災者Aおよび被災者Bの所在位置を特定することができる。
【0085】
また、捜索端末装置200は、例えば、検出音を発するか、または、LEDを発光させることによって捜索端末装置200を所持する救助者に対し、救助者の所在する付近に携帯電話機100,100aのそれぞれが存在することを知らせる。このようにすると、携帯電話機100から取得した位置情報が古く、実際の携帯電話機100の位置と異なる場合にも、救助者は、周囲に携帯電話機100が存在することを検知することできる。
【0086】
図11は、捜索端末装置の表示部に出力される捜索用画面の出力例である。捜索用画面250aの画面上部には、捜索端末装置200の現在の所在地および現在時間が表示される。捜索端末装置200の現在の所在地として表示される情報は、捜索端末装置200のGPS機能によって取得された緯度経度の座標情報である。
【0087】
捜索用画面250aは、救助情報記憶部210に記憶された識別情報に基づいて、各携帯電話機に関する情報が出力される。捜索用画面250aには、各携帯電話機に関する情報を表す項目として、受信携帯電話機番号、位置情報、遭難時間、捜索対象状況および受信感度が設けられている。
【0088】
ここで、受信携帯電話機番号の項目には、救助情報管理テーブル210aの携帯電話機番号を示す項目に格納された電話番号が出力される。位置情報の項目には、救助情報管理テーブル210aの位置情報を示す項目に格納された座標情報が出力される。遭難時間の項目には、救助情報管理テーブル210aの日時情報を示す項目に格納された日時が出力される。捜索対象状況の項目には、救助情報管理テーブル210aの捜索対象を示す項目に格納された対象または非対象を示す情報が出力される。受信感度の項目には、救助情報管理テーブル210aの受信感度を示す項目に格納された受信感度の値が出力される。
【0089】
救助者は、捜索用画面250aを参照することで、捜索対象となっている被災者A,Bの所有する携帯電話機の位置情報等を確認することができる。そして、自身の現在の位置、捜索対象の携帯電話機の位置情報等に基づいて、捜索対象とする範囲を特定することができる。
【0090】
図12は、複数の捜索端末装置を用いた被災者の捜索方法を示す模式図である。図12では、被災者Aが捜索対象となっている。なお、被災者Aは、携帯電話機100を所持している。そして、捜索端末装置200を所持する救助者C(図示せず)と捜索端末装置200aを所持する救助者D(図示せず)が被災者Aを捜索している。捜索端末装置200,200aのそれぞれは、携帯電話機100からの電波の最大伝送距離の範囲内に入るとその信号を受信し、携帯電話機100の救助情報を取得する。
【0091】
このように、複数の救助者によって捜索端末装置200を用いて被災者Aを捜索すると、同時に捜索できる範囲が広がって、より迅速に被災者Aを救助することができる。そして、携帯電話機100から発信される救助情報に含まれる位置情報が古く、携帯電話機100の実際の位置と異なるような場合にも、それぞれの捜索端末装置で受信された信号の検出の有無、受信感度の情報から、各捜索端末装置から実際の携帯電話機100の位置までの方角や距離を予測することができる。
【0092】
なお、上記の説明では、携帯電話機100は、間欠的に救助情報を発信するものとしたが、捜索端末装置200からの救助情報の送信要求を受信し、その送信要求に応じて救助情報を捜索端末装置200に送信するようにしてもよい。この場合は、携帯電話機100は、捜索端末装置200からの送信要求を待機する待機モードとなる。間欠的に救助情報を発信するモードとするか、待機モードとするかは、電力の消費状況を考慮して携帯電話機100に予め設定される。
【0093】
以上の説明のように、携帯電話機100は、所持者が被災したと想定される場合を検出して、周囲に自端末の識別情報を含む救助情報の間欠発信を開始する。所持者が被災したと想定される場合とは、具体的には、(1)携帯電話機100の無線通話機能を動作させるためのバッテリの電力が低下し、無線通話機能の動作が不可能な場合、(2)上記バッテリの電力は残っているが、携帯電話機100による無線通信が所定の期間継続して行われなかった場合、(3)無線基地局300から災害指定地域情報を受信している場合、(4)被災者自身による救助情報の発信開始の操作を受け付けた場合である。
【0094】
これにより、日常生活においては、救助情報の発信による無駄な電力の消費を抑えることができる。また、例えば、無線通信に利用する周波数帯にISM帯を使用するような場合でも、他のシステムとの電波干渉を抑止することができる。なお、携帯電話機100による救助情報の発信開始の契機は、上記の(1)〜(4)の場合に限らず、他の場合を契機としても構わない。
【0095】
更に、例えば、短距離無線通信規格としてZigbeeのような小電力動作を実現可能な方法を採用すると、ボタン電池による稼動で1年間程度、救助情報を発信することが可能である。このため、遭難時から長時間が経過した場合にも、この救助情報によって被災者を捜索することができる。
【0096】
また、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100から発信される救助情報に基づいて、携帯電話機100を所持する被災者を捜索することができる。救助者は、この救助情報に含まれる位置情報等によって捜索範囲を特定して、効率的な捜索が可能となる。
【0097】
なお、本実施の形態で示したように、救助情報の発信用の端末として、携帯電話機を採用することが望ましい。携帯電話機は、日常生活において常時所持されていることが多く、被災時用に別途専用の端末を所持するという煩わしさがない。また、携帯電話機は、ほぼ1人1台の普及率である。このため、大規模な災害によって多くの人が被災した場合でも、救助者は、それぞれの被災者が所持する携帯電話機から発信される救助情報に基づいて、効率的に捜索を行うことができる。
【0098】
以上、携帯端末装置および救助情報発信方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、これらに他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、これらは前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施の形態に係る携帯端末装置の概念図である。
【図2】本実施の形態のシステム構成を示す図である。
【図3】携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図4】捜索端末装置の機能を示すブロック図である。
【図5】救助情報テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】救助情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】携帯電話機の救助情報の発信開始処理を示すフローチャートである。
【図8】携帯電話機の救助情報の発信停止処理を示すフローチャートである。
【図9】捜索端末装置の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】捜索端末装置による被災者の捜索方法を示す模式図である。
【図11】捜索端末装置の表示部に出力される捜索用画面の出力例である。
【図12】複数の捜索端末装置を用いた被災者の捜索方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0100】
1 携帯端末装置
1a 通信手段
1b 発信制御手段
1c 発信手段
2 受信装置
2a 受信手段
10 無線通信網
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置および救助情報発信方法に関し、特に、無線通信網と接続する携帯端末装置およびそのような携帯端末装置による救助情報発信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震災害時や山岳遭難時などにおける遭難者の捜索は、主に人海戦術で行われる。遭難者を捜索する救助隊は、遭難者が遭難したと思われる範囲を網羅的に捜索し、発見し次第、遭難者を救助する。
【0003】
しかし、救助隊により遭難者が遭難したと思われる範囲を網羅的に捜索する方法では、遭難者の救助までに長い時間を要してしまう場合がある。遭難者は、被災によって怪我を負っている場合や、寒さなどによって衰弱している場合が多い。このため、救助隊は、遭難者を迅速に発見し、救助する必要がある。
【0004】
そこで、遭難者の迅速な発見を可能とするために、入山者等に予め個人を識別するためのタグを持たせて、要所毎に設置された読み取り装置にて各人の通過履歴を取得しておき、各人が遭難した場合には、この通過履歴の情報から遭難したと思われる範囲を絞り込む技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。ただし、この方法では、遭難者が通過する経路上に経路情報を取得するための設備が予め必要となる。
【0005】
また、上記のように経路情報を取得する設備が設置されていない場所でも、遭難者を迅速に発見し救助するための技術がある。このような技術として、入山者等に自身の位置情報を発信する端末装置を持たせておき、各人が遭難した場合には、この端末装置が発信する位置情報を元に遭難した所持者を捜索する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、予め人体の異常を検出するためのセンサを保持しておき、センサが人体に異常を検出すると救助要請を行う技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−133039号公報
【特許文献2】特開2006−127111号公報
【特許文献3】特開2007−129654号公報
【特許文献4】特開2003−109160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、携帯電話機は、急速に普及しており、ほぼ1人1台の普及率となっている。携帯電話機を用いると、例えば、携帯電話機が基地局と電波で交信できる範囲、いわゆる通話エリア内であれば、被災者は、携帯電話機を用いた無線通話によって救助を求めることができる。更に、最近では、GPS(Global Positioning System)による自装置の位置情報を取得することが可能な携帯電話機も普及してきており、被災者は、この位置情報により自分の所在を知らせることも可能である。このように携帯電話機は、普段身に付けていることが多く、予期しない緊急時にも有効に活用することができる。
【0007】
しかし、携帯電話機を所持していたとしても、携帯電話機が通話エリアの外に出てしまったり、災害により基地局自体が利用不可能となったり、長期の遭難によりバッテリの電力が尽きてしまうなどの原因で、携帯電話機による無線通話が不可能となり、遭難者が携帯電話機を利用して救助を求めることができなくなるという課題がある。
【0008】
また、上記特許文献3の方法で示される端末装置のように、常時信号を発信しているのでは、バッテリを浪費してしまうという問題がある。また、無線発信に使用する周波数帯によっては、他のシステム等で使用される無線通信の周波数帯との電波干渉が問題となる。すなわち、不必要な場合には信号の発信を停止することが望ましい。
【0009】
一方、被災者自身の操作によって信号を発信するようにすると、例えば、被災者の意識が無い(死亡時も含む)等、携帯電話機の操作が不可能な場合に、救助情報を発信することができないという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで救助信号の発信を自動的に開始することが可能な携帯端末装置および救助情報発信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、無線通信網と接続する携帯端末装置が提供される。この携帯端末装置は、通信手段、発信制御手段および発信手段を有する。通信手段は、無線通信網を介して通信する。発信制御手段は、通信手段の通信状況を監視し、通信手段の通信可否状況に基づいて救助信号を発信するか否かを判定し、救助信号を発信する旨の判定をした場合、上記救助信号の発信指示を出力する。発信手段は、発信制御手段が出力した発信指示を受け付けると、自装置の識別情報を含む救助信号の間欠発信を開始する。
【0012】
このような携帯端末装置によれば、通信手段により無線通信網と通信が行われる。そして、発信制御手段により、通信手段の通信状況が監視され、通信手段の通信可否状況に基づいて救助信号を発信するか否かが判定され、救助信号を発信する旨の判定がされた場合、上記救助信号の発信指示が出力される。更に、発信手段により、発信制御手段が出力した発信指示が受け付けられると、自装置の識別情報を含む救助信号の間欠発信が開始される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、上記携帯端末装置と同様の処理を行う救助情報発信方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記携帯端末装置および救助情報発信方法によれば、適切なタイミングで救助信号の発信を自動的に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施の形態の概要について説明し、その後、本実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、本実施の形態に係る携帯端末装置の概念図である。携帯端末装置1は、無線通信網10と接続し、音声等のデータの送受信を行う。また、携帯端末装置1は、携帯端末装置1の所持者が被災したと考えられる場合を検出して、周囲に自端末の識別情報を含む救助情報を間欠的に発信する。受信装置2は、この救助情報を受信するための装置である。
【0016】
携帯端末装置1は、通信手段1a、発信制御手段1bおよび発信手段1cを有する。
通信手段1aは、無線通信網10を介してデータの送受信を行う。無線通信網10としては、例えば、無線電話網や、無線IP(Internet Protocol)通信網がある。
【0017】
発信制御手段1bは、通信手段1aの通信状況を監視し、上記通信手段1aが無線通信網10を介した通信の可否を判定する。発信制御手段1bは、通信手段1aの通信が不可であることを検出すると、自装置の識別情報を含む救助情報の発信指示を出力する。ここで、自装置の識別情報とは、携帯端末装置1に固有の番号等であり、通信手段1aが無線電話網と接続される場合には、電話番号を利用することができる。電話番号を用いると、その番号に対応する所持者も特定することができるため、遭難者の人物を特定することもできる。
【0018】
発信手段1cは、発信制御手段1bが出力した発信指示を受け付けると、上記救助情報の間欠発信を開始する。発信手段1cで使用する無線通信方法としては、例えば、短距離無線通信規格であるZigbeeのような省電力近距離無線通信規格に則った通信機器を利用することができる。Zigbeeの仕様は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.15.4として規格化されている。IEEE802.15.4通信規格では、電波の最大伝送距離を、送信出力を調整することで数十m〜数百m程度に設定することができる。更に、Zigbeeなどを採用した通信機器は、発信の周期や送信出力にも依るが、無線通信用の電源としてボタン電池や乾電池を使用することで、1〜2年程度の稼動が可能であり、少ない電力で長期間に渡って救助情報を発信することができるという利点がある。
【0019】
受信装置2は、救助者が保持する端末装置である。受信装置2は、受信手段2aを有する。
受信手段2aは、携帯端末装置1から発信された救助情報を受信する。受信装置2は、上記救助情報を受信すると、例えば、検出音によって救助者に知らせる。
【0020】
このように、携帯端末装置1の所持者は、携帯端末装置1を常備しておくことで、突然の災害時にも無線通信網10を介した無線通信によって救助を要請することができる。しかし、無線通信網10を介した無線通信が利用不可能となった場合等には、無線通信による救助要請が不可能となる。この時、携帯端末装置1は、無線通信網10を介した無線通信が行われていないことを検出して、周囲に自端末の識別情報を含む救助情報を発信するようにする。すなわち、携帯端末装置1は、救助情報を、常時発信するのではなく、救助が必要な場合を特定して、救助情報を発信するようにする。
【0021】
これにより、日常生活においては、救助情報の発信による無駄な電力の消費を抑えることができる。また、例えば、無線通信の規格としてZigbeeなどを採用する場合には、利用する周波数帯としてISM帯(Industrial, Science and Medical band)が用いられる。このISM帯は、無免許で利用可能であり、様々なシステムで共用されるため、相互の電波干渉を避けるために不必要な場合においては救助情報の発信が停止されていることが好ましい。すなわち、必要な場合に限り救助情報を発信することで、日常生活における他のシステムとの電波干渉を避けることができるという効果もある。
【0022】
また、受信装置2を所持する救助者は、この救助情報を受信装置2によって受信し、携帯端末装置1を所持する遭難者を捜索することができる。救助者は、受信装置2が発する検出音や光によって、近辺に携帯端末装置1が存在することを認知できる。例えば、携帯端末装置1の発信手段1cによる電波の最大伝送距離が100mと設定されている場合、救助者は、自身の位置から100mの範囲内に遭難者が存在することを認知できる。このようにして、携帯端末装置1を所持する遭難者を見落とすことなく、範囲を絞りながら効率的に捜索を行うことができる。
【0023】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施の形態のシステム構成を示す図である。図2に示す捜索システムは、地震等の災害の被災者や山での遭難者を捜索するためのシステムである。この捜索システムは、携帯電話機100、捜索端末装置200、無線基地局300およびGPS衛星400を有する。
【0024】
携帯電話機100は、GPS機能を備えた携帯電話機である。携帯電話機100は、無線基地局300と無線通信することで、他の携帯電話機等との間での音声通話やデータ通信が可能となる。また、携帯電話機100は、GPS衛星400と無線通信することで、自端末の位置情報を、例えば、緯度経度の座標情報として取得することができる。なお、携帯電話機100は、無線基地局300からも、自身の所在する位置情報を取得することもできる。
【0025】
ここで、携帯電話機100を所持する被災者は、携帯電話機100が無線基地局300を介して通信可能なエリア内、すなわち、通話エリア内にある場合には、自身が被災したこと、現在の所在位置および自身の状態等を無線通話により救助者に伝え、救助を要請することができる。
【0026】
また、携帯電話機100は、無線基地局300による通話エリア内にあって、無線基地局300の所在地が携帯電話会社等によって指定される災害指定地域に含まれる場合、無線基地局300から配信される災害指定地域情報を受信する。被災者は、この災害指定地域情報を受信することで、自身の所在する地域(通話エリア)が被災地に指定されていることを確認することができる。
【0027】
しかし、携帯電話機100が通話エリアの外にある場合や、災害により無線基地局300自体が利用不可能となった場合等には、被災者は、無線通信を行うことができない。この場合を特定するために、携帯電話機100は、所定の期間の間(例えば、1日)、継続して無線通信が不可であったことを検出して救助情報の発信を開始する。ここで、救助情報には、携帯電話機100の識別情報やGPS機能により取得した最新の位置情報等が含まれる。
【0028】
捜索端末装置200は、GPS機能を備えた端末装置である。捜索端末装置200は、GPS衛星400と無線通信することで、自端末の現在の位置情報を、例えば、緯度経度の座標情報として取得する。
【0029】
また、捜索端末装置200は、携帯電話機100が発信した救助情報を受信する。捜索端末装置200は、救助情報を受信すると、捜索端末装置200を所持する救助者に、例えば、音等によって救助情報を受信していることを通知する。これによって、捜索端末装置200を所持する救助者は、自身の近辺に携帯電話機100が存在することを認識することができる。そして、捜索端末装置200は、救助情報に含まれる携帯電話機100の識別情報や位置情報を捜索端末装置200に備えられたモニタに出力する。これにより、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100を所持する人物やその位置を把握することができる。
【0030】
なお、携帯電話機100が救助情報の発信を開始する契機として、上記の説明では、所定の期間の間、継続して無線通信が不可であった場合としたが、救助情報の発信を、更に、以下の契機により開始するようにして、被災した場合をより正確に特定する。
【0031】
具体的には、(1)携帯電話機100の無線通話機能を動作させるためのバッテリの電力が低下し、無線通話機能の動作が不可能な場合、(2)上記バッテリの電力は残っているが、携帯電話機100による無線通信が所定の期間継続して不可であった場合、(3)無線基地局300から災害指定地域情報を受信している場合、(4)被災者自身による救助情報の発信開始の操作を受け付けた場合、とする。
【0032】
次に、上記(1)〜(4)の場合を契機として救助情報を発信する携帯電話機100の機能構成について説明する。
図3は、携帯電話機の機能を示すブロック図である。携帯電話機100は、無線通話部110、救助情報発信部120、操作部130、電力供給制御部140、バッテリ150,160を有する。
【0033】
無線通話部110は、送受信部111(電話・GPS共用)およびアンテナ112を有する。
送受信部111は、通話用の無線信号の送受信およびGPS信号の受信の共用である。送受信部111は、例えば、アンテナ共用機能を有しており、無線通話用に使用される周波数帯域と、GPS通信用に使用される周波数帯域とに送受信信号を分離することができる。送受信部111は、送受信兼用のアンテナ112を介して無線基地局300との間で、通話用またはデータ通信用の無線信号を送受信する。
【0034】
また、送受信部111は、送受信兼用のアンテナ112を介して、GPS衛星400から送信されるGPS信号を受信し、更に、図示しないFM(Frequency Modulation)放送局等から送信される補正情報を考慮して、自端末の所在地を緯度経度の座標で表される位置情報として取得する。送受信部111は、取得した位置情報とその位置情報を取得した日時情報を救助情報記憶部121に格納する。
【0035】
更に、送受信部111は、無線基地局300から、自端末の所在する地域が被災地であることを通知する情報である災害指定地域情報を取得する。
救助情報発信部120は、救助情報記憶部121、送受信部122(捜索用)および発信制御部123を有する。
【0036】
救助情報記憶部121は、送受信部111が取得した位置情報を、この位置情報を取得した日時および自端末の識別情報と共に記憶する。ここで、自端末の識別情報とは、携帯電話機100の電話番号である。電話番号を用いると、例えば、携帯電話機100の所持者が捜索対象となっているか否かを判定することができる。なお、識別情報は、携帯電話機100を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いても構わない。以降の説明では、携帯電話機100の救助情報とは、電話番号、位置情報およびこの位置情報を取得した日時を含むものとする。
【0037】
なお、救助情報記憶部121に記憶される救助情報は、例えば、位置情報を取得するたびに上書き更新されるか、または、蓄積されたデータ量に応じて古い情報から上書き更新されることが記憶領域を効率的に利用する上では望ましい。
【0038】
送受信部122は、発信制御部123から救助情報の発信指示を受け付けると、救助情報記憶部121に記憶された救助情報を間欠的に発信する。送受信部122で使用する無線通信方法としては、例えば、短距離無線通信規格であるZigbeeなどを用いる。Zigbeeのような小電力動作を実現可能な方法を利用することで、少ない電力で長期間に渡って救助情報を発信することができる。なお、このような省電力無線装置(Zigbeeなど)では、送受信部122から発信される電波の最大伝送距離は、送信出力を調整することで数十m〜数百m程度に設定することができる。
【0039】
発信制御部123は、通話用電源監視部123a、通信状況監視部123b、指定情報監視部123cおよび送信操作監視部123dを有する。
通話用電源監視部123aは、電力供給制御部140を介して無線通話部110用の電源であるバッテリ150の蓄電力を監視する。通話用電源監視部123aは、バッテリ150の蓄電力が尽きて、無線通話部110の動作が不可となった場合、送受信部122に救助情報の発信指示を出力する。
【0040】
通信状況監視部123bは、送受信部111による無線基地局300との間の通信状況を監視する。通信状況監視部123bは、タイマーを有しており、所定の期間(例えば、1日)、継続して送受信部111を介した無線通信が不可であった場合、送受信部122に救助情報の発信指示を出力する。
【0041】
指定情報監視部123cは、送受信部111が無線基地局300から災害指定地域情報を取得しているか否かを監視する。指定情報監視部123cは、送受信部111が災害指定地域情報を取得している場合、送受信部122に救助情報の発信指示を出力する。
【0042】
送信操作監視部123dは、携帯電話機100の所持者による操作部130への操作入力があったことを検出する。送信操作監視部123dは、操作部130への操作入力を検出すると、送受信部122に対して救助情報の発信指示を出力する。
【0043】
操作部130は、救助情報の発信が必要な場合に、携帯電話機100の所持者によって操作され、発信制御部123から送受信部122に対して、救助情報の発信指示を強制的に出力させるためのスイッチである。
【0044】
電力供給制御部140は、無線通話部110および救助情報発信部120への電力供給を制御する。
バッテリ150は、無線通話部110および救助情報発信部120を動作させるための電力を蓄えた電源である。
【0045】
バッテリ160は、救助情報発信部120を動作させるための電力を蓄えた電源である。バッテリ160は、バッテリ150の予備電源として用いられ、例えば、バッテリ150に蓄えられた電力が所定値よりも低下した場合に、電力供給制御部140によって、バッテリ160から救助情報発信部120へ電力が供給されるよう制御される。バッテリ160としては、例えば、省スペースなボタン電池を使用することができる。
【0046】
このように、無線通話部110に電力を供給するため消耗の早いバッテリ150の予備電源として、救助情報発信部120専用のバッテリ160を備えることで、被災時や遭難時にも長期に渡って救助情報を発信し続けることができる。
【0047】
次に、携帯電話機100が発信する救助情報を受信する捜索端末装置200の機能構成について説明する。
図4は、捜索端末装置の機能を示すブロック図である。捜索端末装置200は、救助情報記憶部210、送受信部220(捜索・GPS共用)、アンテナ230、画像処理部240および表示部250を有する。
【0048】
救助情報記憶部210は、送受信部220が受信した救助情報を記憶する。また、救助情報記憶部210は、送受信部220が取得した捜索端末装置200の現在の位置情報を記憶する。
【0049】
送受信部220は、捜索用の無線信号の送受信およびGPS信号の受信の共用である。送受信部220は、例えば、アンテナ共用機能を有しており、救助情報の受信用に使用される周波数帯域と、GPS通信用にしようされる周波数帯域とに送受信信号を分離することができる。送受信部220は、送受信兼用のアンテナ230を介して携帯電話機100から間欠的に送信される救助情報を受信する。また、送受信部220は、救助情報の受信時の信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)を受信感度として測定する。そして、受信した救助情報と受信時の受信感度を救助情報記憶部210に記憶する。
【0050】
ここで、例えば、携帯電話機100が発信する電波の最大伝送距離が100mと設定されている場合、送受信部220は、携帯電話機100の存在する位置から100mの範囲内に入った場合に、携帯電話機100からの救助情報を受信することができる。
【0051】
また、送受信部220は、送受信兼用のアンテナ230を介してGPS衛星400から送信されるGPS信号を受信し、更に、図示しないFM放送局等から送信される補正情報を考慮して、自端末の所在地を緯度経度の座標で表される位置情報として取得する。送受信部220は、取得した位置情報とその位置情報を取得した日時情報を救助情報記憶部210に格納する。
【0052】
画像処理部240は、救助情報記憶部210に記憶された救助情報および自端末が取得した現在の位置情報を、表示部250に出力する。
表示部250は、捜索端末装置200の捜索用画面を表示させるためのモニタである。表示部250としては、例えば、液晶モニタが用いられる。
【0053】
また、捜索端末装置200は、携帯電話機100からの救助情報を受信した場合に、スピーカからの検出音やLED(Light Emitting Diode)等の発光によって救助者に知らせるようにしてもよい。このようにすると、携帯電話機100から取得した救助情報に含まれる位置情報が、GPS機能により取得された時点が古いものであり、現在の携帯電話機100の位置と異なる場合にも、周囲に携帯電話機100が存在することを知らせることができるため効果的である。なお、検出音や発光を用いると、例えば、携帯電話機100がGPS機能を有していない場合にも、その存在を救助者に対して効果的に通知することができるという利点もある。
【0054】
次に、携帯電話機100から発信される救助情報に関して説明する。
図5は、救助情報テーブルのデータ構造例を示す図である。救助情報テーブル121aには、携帯電話機番号を示す項目、位置情報を示す項目および日時情報を示す項目が設けられている。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、携帯電話機100の情報を構成する。
【0055】
携帯電話機番号を示す項目には、携帯電話機100の電話番号が設定される。位置情報を示す項目には、携帯電話機100のGPS機能により取得された位置情報が緯度経度の座標として設定される。日時情報を示す項目には、上記位置情報がGPS機能により取得された日時が設定される。上記位置情報を示す項目および日時情報を示す項目の設定は、携帯電話機100のGPS機能により最後に位置情報が取得された時点の情報が設定される。
【0056】
救助情報テーブル121aには、例えば、携帯電話機番号が“090−1234−1234”、位置情報が“N35.40.40.8,E139.46.12.7”、日時情報が“2008.1.12,21:33:16”という情報が設定される。これは、携帯電話機番号が“090−1234−1234”である携帯電話機100が、2008年1月12日の21時33分16秒の時点で、北緯35度40分40秒8、東経139度46分12秒7に存在していたことを示している。
【0057】
この情報を取得することによって、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100が存在すると思われる範囲を特定することができる。
次に、捜索端末装置200で管理される救助情報に関して説明する。
【0058】
図6は、救助情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。救助情報管理テーブル210aは、携帯電話機番号を示す項目、位置情報を示す項目、日時情報を示す項目、捜索対象を示す項目および受信感度を示す項目が設けられている。
【0059】
携帯電話機番号を示す項目には、救助情報を受信した携帯電話機の電話番号が設定される。位置情報を示す項目には、各携帯電話機の位置情報が設定される。日時情報を示す項目には、上記位置情報を取得した日時が設定される。捜索対象を示す項目には、その携帯電話機番号で示される携帯電話機が、捜索の対象となっているか否かが設定される。受信感度を示す項目には、該当の救助情報を受信したときに送受信部220が測定した受信感度が設定される。
【0060】
ここで、取得した携帯電話機番号が捜索対象であるか否かは、予め捜索端末装置200に記憶される。すなわち、捜索対象である被災者の氏名から、この被災者が所有している携帯電話機の電話番号を取得して、捜索対象の電話番号として予め捜索端末装置200の救助情報記憶部210に記憶しておく。そして、取得した携帯電話機番号が、記憶された捜索対象の電話番号と一致する場合には、捜索対象を示す項目に“対象”が設定され、それ以外の場合には、“非対象”が設定される。
【0061】
救助情報管理テーブル210aには、例えば、携帯電話機番号が“090−1234−1234”、位置情報が“N35.40.40.8,E139.46.12.7”、日時情報が“2008.1.12,21:33:16”、捜索対象が“対象”、受信感度が“77db”という情報が設定される。これは、携帯電話機番号が“090−1234−1234”である携帯電話機100が、2008年1月12日の21時33分16秒の時点で、北緯35度40分40秒8、東経139度46分12秒7に存在していたことを示している。また、この携帯電話機番号の所持者が被災者として捜索対象になっていることを示している。更に、救助情報を受信したときの受信感度が77dbであったことを示している。救助者は、表示部250に出力された受信感度の大小によって、携帯電話機100に近づいているか等を把握することができる。
【0062】
なお、救助情報管理テーブル210aは、捜索の“非対象”である携帯電話機からも情報を受信している場合を示している。これらの携帯電話機の情報も救助情報記憶部210に記憶しておくことで、後に各電話番号に該当する所持者の捜索が必要となったときに、容易にその捜索範囲を特定することができる。
【0063】
このようにして、捜索端末装置200では、各携帯電話機から受信した救助情報が記憶され、管理される。
次に、以上のような構成およびデータ構造において実行される処理の詳細を説明する。
【0064】
図7は、携帯電話機の救助情報の発信開始処理を示すフローチャートである。以下、図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。以下の処理は、携帯電話機100が、救助情報の間欠発信を行っていない場合に実行される。
【0065】
[ステップS11]送信操作監視部123dは、操作部130への操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力が行われた場合、送信操作監視部123dは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。操作入力が行われていない場合、処理がステップS12に移される。
【0066】
[ステップS12]通話用電源監視部123aは、バッテリ150の蓄電力が尽きて、無線通話部110の動作が不可であるか否かを判定する。動作不可である場合、通話用電源監視部123aは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。動作可である場合、処理がステップS13に移される。
【0067】
[ステップS13]通信状況監視部123bは、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が可能であるか否かを判定する。可能である場合、処理がステップS14に移される。不可能である場合、処理がステップS15に移される。
【0068】
[ステップS14]指定情報監視部123cは、送受信部111が災害指定地域情報を受信しているか否かを判定する。受信している場合、指定情報監視部123cは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。受信していない場合、処理が終了する。
【0069】
[ステップS15]通信状況監視部123bは、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が不可であった期間が、所定の期間(例えば、1日)、継続しているか否かを判定する。所定の期間継続している場合、通信状況監視部123bは、救助情報の発信指示を送受信部122に出力して、処理がステップS16に移される。所定の期間継続していない場合、処理が終了する。
【0070】
[ステップS16]送受信部122は、救助情報の発信指示を受け付ける。そして、送受信部122は、救助情報の間欠発信を開始する。
このように、携帯電話機100は、その所持者が被災したと想定される場合を特定して、周囲に救助情報を発信する。
【0071】
次に、携帯電話機100において、救助情報が発信されている状態から、停止状態となる処理の流れについて説明する。
図8は、携帯電話機の救助情報の発信停止処理を示すフローチャートである。以下、図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。以下の処理は、携帯電話機100が、救助情報の間欠発信を行っている場合に実行される。
【0072】
[ステップS21]送信操作監視部123dは、操作部130への操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力が行われた場合、送信操作監視部123dは、救助情報の発信停止指示を送受信部122に出力して、処理がステップS24に移される。操作入力が行われていない場合、処理がステップS22に移される。
【0073】
[ステップS22]通信状況監視部123bは、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が可能であるか否かを判定する。可能である場合、処理がステップS23に移される。不可能である場合、終了する。
【0074】
[ステップS23]指定情報監視部123cは、送受信部111が災害指定地域情報を受信しているか否かを判定する。受信している場合、処理が終了する。受信していない場合、指定情報監視部123cは、救助情報の発信停止指示を送受信部122に出力して処理がステップS24に移される。
【0075】
[ステップS24]送受信部122は、救助情報の発信停止指示を受け付ける。そして、送受信部122は、救助情報の間欠発信を停止する。
このように、携帯電話機100の所持者は、携帯電話機100を常備しておくことで、突然の災害時にも通話エリア内にいる場合には、無線通話によって救助を要請することができる。更に、携帯電話機100は、所持者が被災したと想定される場合を特定して救助情報の発信を開始する。
【0076】
なお、発信制御部123による監視により、送受信部122から周囲への救助情報の発信開始は、所持者が被災したと想定される以下の場合である。すなわち、(1)携帯電話機100の無線通話機能を動作させるためのバッテリの電力が低下し、無線通話機能の動作が不可能な場合、(2)上記バッテリの電力は残っているが、携帯電話機100による無線通話が所定の期間継続して行われなかった場合、(3)無線基地局300から災害指定地域情報を受信している場合、(4)被災者自身による救助情報の発信開始の操作を受け付けた場合である。
【0077】
これにより、日常生活においては、救助情報の発信による無駄な電力の消費を抑えることができる。また、例えば、無線通信の規格としてIEEE802.15.4通信規格(Zigbeeなど)を採用する場合、利用する周波数帯であるISM帯における、他のシステムとの電波干渉を抑止することができるという利点もある。
【0078】
なお、携帯電話機100による救助情報の発信開始の契機は、上記の(1)〜(4)の場合に限らず、他の場合を契機としても構わない。例えば、送受信部111と無線基地局300との間の無線通信が不可となった場合には、その継続期間に関わらず、救助情報を発信するようにしてもよい。
【0079】
次に捜索端末装置200側での救助情報の受信処理に関して説明する。
図9は、捜索端末装置の受信処理の流れを示すフローチャートである。以下、図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0080】
[ステップS31]送受信部220は、携帯電話機100からの救助情報を受信する。
[ステップS32]送受信部220は、救助情報を受信した際の信号の受信感度を測定する。
【0081】
[ステップS33]送受信部220は、受信した救助情報、受信感度の測定結果および捜索対象であるか否かを示す情報を救助情報記憶部210に格納する。
[ステップS34]画像処理部240は、救助情報記憶部210に記憶された情報に基づいて、表示部250に携帯電話機100に関する情報および現在時刻や自端末の現在の位置情報を出力する。
【0082】
このように、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100からの救助情報を受信すると、表示部250に表示される捜索用画面によって、携帯電話機100の情報(電話番号、位置情報および携帯電話機100が位置情報を取得した最終の日時)を確認することができる(捜索用画面については、図11に例示する)。そして、上記捜索用画面に表示された自身の現在の位置座標から、捜索対象とする範囲を特定することができる。
【0083】
以下では、携帯電話機100および捜索端末装置200を用いた被災者の捜索方法を模式図を用いて説明する。
図10は、捜索端末装置による被災者の捜索方法を示す模式図である。図10では、被災者Aおよび被災者Bが捜索対象となっているものとする。そして、被災者Aは携帯電話機100を所持しており、被災者Bは携帯電話機100aを所持している。
【0084】
捜索端末装置200には、携帯電話機100および携帯電話機100aからの電波の最大伝送距離の範囲内に入ると、携帯電話機100,100aのそれぞれから救助情報を取得する。捜索端末装置200を所持する救助者は、救助情報に含まれる携帯電話機番号、位置情報等から被災者Aおよび被災者Bの所在位置を特定することができる。
【0085】
また、捜索端末装置200は、例えば、検出音を発するか、または、LEDを発光させることによって捜索端末装置200を所持する救助者に対し、救助者の所在する付近に携帯電話機100,100aのそれぞれが存在することを知らせる。このようにすると、携帯電話機100から取得した位置情報が古く、実際の携帯電話機100の位置と異なる場合にも、救助者は、周囲に携帯電話機100が存在することを検知することできる。
【0086】
図11は、捜索端末装置の表示部に出力される捜索用画面の出力例である。捜索用画面250aの画面上部には、捜索端末装置200の現在の所在地および現在時間が表示される。捜索端末装置200の現在の所在地として表示される情報は、捜索端末装置200のGPS機能によって取得された緯度経度の座標情報である。
【0087】
捜索用画面250aは、救助情報記憶部210に記憶された識別情報に基づいて、各携帯電話機に関する情報が出力される。捜索用画面250aには、各携帯電話機に関する情報を表す項目として、受信携帯電話機番号、位置情報、遭難時間、捜索対象状況および受信感度が設けられている。
【0088】
ここで、受信携帯電話機番号の項目には、救助情報管理テーブル210aの携帯電話機番号を示す項目に格納された電話番号が出力される。位置情報の項目には、救助情報管理テーブル210aの位置情報を示す項目に格納された座標情報が出力される。遭難時間の項目には、救助情報管理テーブル210aの日時情報を示す項目に格納された日時が出力される。捜索対象状況の項目には、救助情報管理テーブル210aの捜索対象を示す項目に格納された対象または非対象を示す情報が出力される。受信感度の項目には、救助情報管理テーブル210aの受信感度を示す項目に格納された受信感度の値が出力される。
【0089】
救助者は、捜索用画面250aを参照することで、捜索対象となっている被災者A,Bの所有する携帯電話機の位置情報等を確認することができる。そして、自身の現在の位置、捜索対象の携帯電話機の位置情報等に基づいて、捜索対象とする範囲を特定することができる。
【0090】
図12は、複数の捜索端末装置を用いた被災者の捜索方法を示す模式図である。図12では、被災者Aが捜索対象となっている。なお、被災者Aは、携帯電話機100を所持している。そして、捜索端末装置200を所持する救助者C(図示せず)と捜索端末装置200aを所持する救助者D(図示せず)が被災者Aを捜索している。捜索端末装置200,200aのそれぞれは、携帯電話機100からの電波の最大伝送距離の範囲内に入るとその信号を受信し、携帯電話機100の救助情報を取得する。
【0091】
このように、複数の救助者によって捜索端末装置200を用いて被災者Aを捜索すると、同時に捜索できる範囲が広がって、より迅速に被災者Aを救助することができる。そして、携帯電話機100から発信される救助情報に含まれる位置情報が古く、携帯電話機100の実際の位置と異なるような場合にも、それぞれの捜索端末装置で受信された信号の検出の有無、受信感度の情報から、各捜索端末装置から実際の携帯電話機100の位置までの方角や距離を予測することができる。
【0092】
なお、上記の説明では、携帯電話機100は、間欠的に救助情報を発信するものとしたが、捜索端末装置200からの救助情報の送信要求を受信し、その送信要求に応じて救助情報を捜索端末装置200に送信するようにしてもよい。この場合は、携帯電話機100は、捜索端末装置200からの送信要求を待機する待機モードとなる。間欠的に救助情報を発信するモードとするか、待機モードとするかは、電力の消費状況を考慮して携帯電話機100に予め設定される。
【0093】
以上の説明のように、携帯電話機100は、所持者が被災したと想定される場合を検出して、周囲に自端末の識別情報を含む救助情報の間欠発信を開始する。所持者が被災したと想定される場合とは、具体的には、(1)携帯電話機100の無線通話機能を動作させるためのバッテリの電力が低下し、無線通話機能の動作が不可能な場合、(2)上記バッテリの電力は残っているが、携帯電話機100による無線通信が所定の期間継続して行われなかった場合、(3)無線基地局300から災害指定地域情報を受信している場合、(4)被災者自身による救助情報の発信開始の操作を受け付けた場合である。
【0094】
これにより、日常生活においては、救助情報の発信による無駄な電力の消費を抑えることができる。また、例えば、無線通信に利用する周波数帯にISM帯を使用するような場合でも、他のシステムとの電波干渉を抑止することができる。なお、携帯電話機100による救助情報の発信開始の契機は、上記の(1)〜(4)の場合に限らず、他の場合を契機としても構わない。
【0095】
更に、例えば、短距離無線通信規格としてZigbeeのような小電力動作を実現可能な方法を採用すると、ボタン電池による稼動で1年間程度、救助情報を発信することが可能である。このため、遭難時から長時間が経過した場合にも、この救助情報によって被災者を捜索することができる。
【0096】
また、捜索端末装置200を所持する救助者は、携帯電話機100から発信される救助情報に基づいて、携帯電話機100を所持する被災者を捜索することができる。救助者は、この救助情報に含まれる位置情報等によって捜索範囲を特定して、効率的な捜索が可能となる。
【0097】
なお、本実施の形態で示したように、救助情報の発信用の端末として、携帯電話機を採用することが望ましい。携帯電話機は、日常生活において常時所持されていることが多く、被災時用に別途専用の端末を所持するという煩わしさがない。また、携帯電話機は、ほぼ1人1台の普及率である。このため、大規模な災害によって多くの人が被災した場合でも、救助者は、それぞれの被災者が所持する携帯電話機から発信される救助情報に基づいて、効率的に捜索を行うことができる。
【0098】
以上、携帯端末装置および救助情報発信方法を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、これらに他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。また、これらは前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施の形態に係る携帯端末装置の概念図である。
【図2】本実施の形態のシステム構成を示す図である。
【図3】携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図4】捜索端末装置の機能を示すブロック図である。
【図5】救助情報テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図6】救助情報管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】携帯電話機の救助情報の発信開始処理を示すフローチャートである。
【図8】携帯電話機の救助情報の発信停止処理を示すフローチャートである。
【図9】捜索端末装置の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】捜索端末装置による被災者の捜索方法を示す模式図である。
【図11】捜索端末装置の表示部に出力される捜索用画面の出力例である。
【図12】複数の捜索端末装置を用いた被災者の捜索方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0100】
1 携帯端末装置
1a 通信手段
1b 発信制御手段
1c 発信手段
2 受信装置
2a 受信手段
10 無線通信網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信網と接続する携帯端末装置において、
前記無線通信網を介して無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段の通信状況を監視し、前記通信手段が無線通信可能な状態か否かに基づいて救助信号の発信が必要かを否かを判定する発信制御手段と、
前記発信制御手段が前記救助信号の発信が必要と判定すると、自装置の識別情報を含む前記救助信号の間欠発信を開始する発信手段と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
自装置の所在を示す位置情報を記憶する位置情報記憶手段を更に有し、
前記通信手段は、前記無線通信網を介して前記位置情報を取得して、取得した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納し、
前記発信手段は、前記位置情報記憶手段に記憶された前記位置情報を更に含む前記救助信号の間欠発信を開始する、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記発信制御手段は、前記通信手段の通信不可の状態が所定時間継続したことを検出して、前記救助信号の発信が必要と判定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記通信手段の動作に必要な電力を供給する第1の電力供給手段と、
前記発信制御手段および前記発信手段の動作に必要な電力を供給する第2の電力供給手段と、
を更に有し、
前記発信制御手段は、前記第1の電力供給手段による電力供給が停止したことを検出して、前記救助信号の発信が必要と判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記発信制御手段は、前記発信手段が前記救助信号の間欠発信を行っている際に、前記通信手段による無線通信が可能となり、かつ、前記通信手段が前記無線通信網を介して前記自装置の所在位置が被災した地域に含まれる旨を示す災害指定地域情報を取得していない場合には、前記発信手段による前記救助信号の間欠発信を停止させる、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
無線通信網と接続する携帯端末装置における救助情報発信方法において、
通信手段が、無線通信網を介して通信を行い、
発信制御手段が、前記通信手段の通信状況を監視し、前記通信手段が無線通信可能な状態か否かに基づいて救助信号の発信が必要か否かを判定し、
発信手段が、前記発信制御手段が前記救助信号の発信が必要と判定すると、自装置の識別情報を含む前記救助信号の間欠発信を開始する、
ことを特徴とする救助情報発信方法。
【請求項1】
無線通信網と接続する携帯端末装置において、
前記無線通信網を介して無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段の通信状況を監視し、前記通信手段が無線通信可能な状態か否かに基づいて救助信号の発信が必要かを否かを判定する発信制御手段と、
前記発信制御手段が前記救助信号の発信が必要と判定すると、自装置の識別情報を含む前記救助信号の間欠発信を開始する発信手段と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
自装置の所在を示す位置情報を記憶する位置情報記憶手段を更に有し、
前記通信手段は、前記無線通信網を介して前記位置情報を取得して、取得した前記位置情報を前記位置情報記憶手段に格納し、
前記発信手段は、前記位置情報記憶手段に記憶された前記位置情報を更に含む前記救助信号の間欠発信を開始する、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記発信制御手段は、前記通信手段の通信不可の状態が所定時間継続したことを検出して、前記救助信号の発信が必要と判定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記通信手段の動作に必要な電力を供給する第1の電力供給手段と、
前記発信制御手段および前記発信手段の動作に必要な電力を供給する第2の電力供給手段と、
を更に有し、
前記発信制御手段は、前記第1の電力供給手段による電力供給が停止したことを検出して、前記救助信号の発信が必要と判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記発信制御手段は、前記発信手段が前記救助信号の間欠発信を行っている際に、前記通信手段による無線通信が可能となり、かつ、前記通信手段が前記無線通信網を介して前記自装置の所在位置が被災した地域に含まれる旨を示す災害指定地域情報を取得していない場合には、前記発信手段による前記救助信号の間欠発信を停止させる、
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
無線通信網と接続する携帯端末装置における救助情報発信方法において、
通信手段が、無線通信網を介して通信を行い、
発信制御手段が、前記通信手段の通信状況を監視し、前記通信手段が無線通信可能な状態か否かに基づいて救助信号の発信が必要か否かを判定し、
発信手段が、前記発信制御手段が前記救助信号の発信が必要と判定すると、自装置の識別情報を含む前記救助信号の間欠発信を開始する、
ことを特徴とする救助情報発信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−199542(P2009−199542A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43135(P2008−43135)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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