携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材
【課題】薄くても非常に高い強度を持つ携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材を提供する。
【解決手段】化学強化によるカリウムイオンを含有する圧縮応力層1aを有する主表面を持ち、携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材1であって、前記主表面においてカリウムイオンが5000ppm以下の濃度で含まれる前記圧縮応力層1aを有し、前記ガラス基材1の厚さが0.5mmとなるように構成され、前記ガラス基材1の外周の縁部を支持した状態で前記主表面の中央部を加圧子により加圧した際の破壊荷重が546N以上であることを特徴とする携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【解決手段】化学強化によるカリウムイオンを含有する圧縮応力層1aを有する主表面を持ち、携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材1であって、前記主表面においてカリウムイオンが5000ppm以下の濃度で含まれる前記圧縮応力層1aを有し、前記ガラス基材1の厚さが0.5mmとなるように構成され、前記ガラス基材1の外周の縁部を支持した状態で前記主表面の中央部を加圧子により加圧した際の破壊荷重が546N以上であることを特徴とする携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDAなどの携帯端末装置においては、ディスプレイに衝撃や外力が加わることを防止するために、プラスティック製の保護板、例えば透明性の高いアクリル樹脂製の保護板がディスプレイの外側に一定の間隔をおいて配設されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、アクリル樹脂製の保護板は外力によって撓み易いので、保護板とディスプレイとの間隔を、その撓みを吸収できる程度に広く設定する必要がある。また、アクリル樹脂製の保護板にある程度の強度を持たせるためには厚くする必要がある。このため、携帯端末装置の薄型化を実現することが難しくなっている。
【0004】
そこで、携帯端末装置の薄型化を実現するために、撓みを抑えつつ、しかも薄板であっても強度のある化学強化ガラスを使った保護板が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、特定のガラス組成からなる板ガラスを所定形状に切断し、端面を面取り加工し、両面を鏡面研磨加工した後、化学強化して表面に圧縮応力層を形成することで、撓みを抑え、また破損しにくい携帯端末用のカバーガラスとその製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−299199号公報
【特許文献2】特開2007−99557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなカバーガラスとして用いられるガラス基材においては、その主表面に外部より大きい応力を受けるため、非常に高い強度が要求される。さらに、携帯端末装置用のカバーガラスでは、軽量化も同時に要求される。このため、薄くて強度に優れる、すなわち薄くても非常に高い強度を持つガラス基材が要求される。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、薄くても非常に高い強度を持つ携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材は、化学強化によるカリウムイオンを含有する圧縮応力層を有する主表面を持ち、携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材であって、前記主表面においてカリウムイオンが5000ppm以下の濃度で含まれる前記圧縮応力層を有し、前記ガラス基材の厚さが0.5mmとなるように構成され、前記ガラス基材の外周の縁部を支持した状態で前記主表面の中央部を加圧子により加圧した際の破壊荷重が546N以上であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、圧縮応力層におけるカリウムイオン濃度が5000ppm以下であるので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、強度低下を招く引張応力層の形成を回避することができる。これにより、薄くても非常に高い強度を持つガラス基材を実現することができる。
【0010】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、カリウムイオン濃度が5000ppmを超えるイオン交換層がエッチングによって除去されて前記主表面が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記化学強化は、低温化学強化であることが好ましい。
【0012】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記ガラス基材がダウンドロー法により成型された熔解ガラスで構成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記ガラス基材は、SiO2、Al2O3、Li2O及びNa2Oからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記ガラス基材は、ガラス組成物としてK2Oを実質的に含まないことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材によれば、圧縮応力層におけるカリウムイオン濃度が5000ppm以下であるので、その後の洗浄による引張応力層の形成を防止して非常に高い強度を発揮するガラス基材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】化学強化したガラス基材の一般的な表面状態を説明するための断面図であり、(a)はガラス基材の主表面を含む領域を示す断面図であり、(b)は(a)のX部の拡大図である。
【図2】本発明にかかるガラス基材の主表面を含む領域を示す断面図である。
【図3】ガラス基材の強度測定を行うための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、化学強化したガラス基材の一般的な表面状態を説明するための図であり、(a)はガラス基材の主表面を含む領域を示す断面図であり、(b)は(a)のX部の拡大図である。図1(a)に示すガラス基材1は、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、ガラス基板のイオンを熔融塩のイオンでイオン交換して化学強化してなるガラス基材である。このガラス基材1は、その表面に圧縮応力層1aが形成されている。また、ガラス基材1の表層(最表層から深さ数μmまでの領域)は、化学強化によりアルカリイオン濃度が非常に高いイオン交換層1bが形成されている。
【0018】
このようなイオン交換層1bが存在する状態のガラス基材1を水や水溶液で洗浄すると(化学強化工程後の洗浄)、図1(b)に示すように、化学強化の際のイオン交換でイオン交換層1bに存在するカリウムイオン(K+)がK+よりもイオン半径の小さいヒドロニウムイオン(H3O+)とイオン交換され、最表層は水和層1cとなる。その結果、ガラス基材1の表層(イオン交換層1b)においては、洗浄により引張応力層が形成されてしまう。特に、洗浄液に酸性溶液を用いると、この傾向が顕著となる。また、ダウンドロー法により成型されたガラス基材は、プレス法により成型され、その後研磨加工されて得られたガラス基材に比べて化学強化(イオン交換)が早く進行するので、この傾向が顕著となると考えられる。
【0019】
本発明者は上記の知見に基づいて、化学強化により形成されたガラス基材の表層のイオン交換層を除去しておくことにより、その後の洗浄による引張応力層の形成を防止して非常に高い強度を発揮させることができることを見出し本発明をするに至った。すなわち、本発明の骨子は、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、前記ガラス基板のイオンを前記熔融塩のイオンでイオン交換して前記ガラス基板を化学強化し、前記化学強化により前記ガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去することにより、薄くても非常に高い強度を持つガラス基材を実現することである。本発明にかかるガラス基材は、図2で示されるように、図1(a)や図1(b)で示されているイオン交換層1bが完全に取り除かれて構成されている。
【0020】
なお、化学強化を行ったガラス基板から溶出するアルカリ成分を低減あるいは抑制することを目的とする技術があるが(特開平10−194788号公報)、これらの技術は、ガラス表面を脱アルカリ処理すること、又はガラス表面にアルカリ溶出防止層を形成することを目的としている技術であり、本発明に係る技術的思想とは根本的に異なる技術である。
【0021】
本発明に係るガラス基材は、上述したような観点より、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、ガラス基板のイオンを熔融塩のイオンでイオン交換してガラス基板を化学強化し、その後、化学強化によりガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去することにより製造することができる。
【0022】
このようにして得られたガラス基材は、化学強化による圧縮応力層を有するが、その圧縮応力層は主表面におけるカリウムイオン濃度が5000ppm以下の層からなっており(イオン交換層を含まず)、主表面におけるカリウムイオンの濃度が5000ppm以下である。すなわち、ガラス基材は、カリウムイオン濃度が5000ppmを超えるイオン交換層が除去されて主表面が形成されている。このガラス基材の主表面におけるカリウムイオン濃度やイオン交換層を含んでいないことは、例えば、試料に電子線を照射し、照射部位から励起された各種の信号の中から任意の設定波長のX線を分光結晶で選別して検出器によって計測する波長分散型X線分析装置(WDX)や、試料に電子線を照射し、照射部位から励起された各種の信号全てを半導体検出器で増幅してエネルギー別に信号を振り分けるエネルギー分散型X線分析装置(EDX)などで測定することができる。
【0023】
ガラス基材は、溶融ガラスから直接シート状に成型したもの、あるいは、ある厚さに成型されたガラス体を所定の厚さに切り出し、主表面を研磨して所定の厚さに仕上げたものなどを使用することができる。好ましくは、溶融ガラスから直接シート状に成型したものを使用することが好ましい。なぜなら、溶融ガラスから直接シート状に成型したガラス基板の主表面は、熱間成型された表面であり、極めて高い平滑性を有し、マイクロクラックのない表面状態を有するからである。溶融ガラスから直接シート状に成型する方法としては、ダウンドロー法、フロート法などが挙げられる。中でも、ガラス基材は、ダウンドロー法により成型された熔解ガラスで構成されていることが好ましい。
【0024】
また、ガラス基材は、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどで構成されていることが好ましい。中でも、ガラス基材は、SiO2、Al2O3、Li2O及びNa2Oからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることが好ましい。特に、アルミノシリケートガラスは、62重量%〜75重量%のSiO2、5重量%〜15重量%のAl2O3、4重量%〜10重量%のLi2O、4重量%〜12重量%のNa2O、及び5.5重量%〜15重量%のZrO2を含有することが好ましく、さらに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.0であり、さらにAl2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5である組成とすることが好ましい。また、ガラスの原料成分にK2O(酸化カリウム)を実質的に含有していないことが好ましい。
【0025】
SiO2は、ガラス骨格を形成する主要成分である。SiO2の割合は、化学的耐久性や、溶融温度を考慮すると、62重量%〜75重量%であることが好ましい。
【0026】
Al2O3は、ガラス表面のイオン交換性能を向上させるため含有される。Al2O3の割合は、化学的耐久性などを考慮して、5重量%〜15重量%であることが好ましい。
【0027】
Li2Oは、ガラス表層部でイオン交換処理浴中の主としてNaイオンとイオン交換されることにより、ガラスを化学強化する際の必須成分である。Li2Oの割合は、イオン交換性能や、化学的耐久性を考慮して、4重量%〜10重量%であることが好ましい。
【0028】
Na2Oは、ガラス表層部でイオン交換処理浴中のKイオンとイオン交換されることにより、ガラスを化学強化する際の必須成分である。Na2Oの割合は、機械的強度や、化学的耐久性を考慮して、4重量%〜12重量%であることが好ましい。
【0029】
ZrO2は、機械的強度を高める効果がある。ZrO2の割合は、化学的耐久性や、均質なガラスを安定して製造することを考慮して、5.5重量%〜15重量%であることが好ましい。
【0030】
本発明において、化学強化は、硝酸カリウムなどの熔融塩を用い、温度300℃〜450℃、処理時間1時間〜30時間で行う。特に、化学強化は、硝酸カリウム及び/又は硝酸ナトリウムの熔融塩を用いてガラス基板を構成する材料のガラス点移転以下の温度で行われることが好ましい。このようないわゆる低温化学強化を行うことにより、表層面のアルカリイオンをイオン半径の大きなイオンと交換することができる。この場合の処理時間は、16時間以下であることが好ましい。
【0031】
なお、化学強化は、ガラス基材を所望の形状に外形加工した後に行うことが好ましい。これにより、ガラス基材の端面も化学強化されるため、ガラス基材を携帯端末装置に装着する際、ガラス基材の欠けや割れが生じることを防止できる。
【0032】
ガラス基材を化学強化した後、ガラス基材に付着している熔融塩やその他の付着物を取り除くために、ガラス基材を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、水などの洗浄液で洗い流す方法や、洗浄液に浸漬する浸漬法、洗浄液を流しながら回転するロール体をガラス基板に接触させるスクラブ洗浄法などを利用することができる。浸漬法では、洗浄液に超音波を印加した状態で実施してもよい。
【0033】
本発明において、化学強化によりガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去する工程が行われる。イオン交換層を除去する方法としては、エッチングや研磨加工などを挙げることができる。ガラス基材を、溶融ガラスから直接シート状に成型する場合においては、主表面に傷を付けないようにするために、エッチングでイオン交換層を除去することが好ましい。
【0034】
エッチングによりイオン交換層を除去する場合において、エッチングに用いる処理液は、フッ化水素酸、ヘキサフルオロケイ酸、及びバッファードフッ酸からなる群から選ばれた少なくとも一つを含有する溶液であることが好ましい。この場合、エッチング温度は、20℃〜60℃、さらに好ましくは30℃〜50℃の範囲である。エッチング時間は、3分〜60分であることが好ましい。また、エッチングの際の処理形態としては、ガラス基材をエッチング液に浸漬した状態でエッチング液をポンプで循環させる形態でも良く、ガラス基材をエッチング液に浸漬した状態でガラス基材を上下動させる形態でも良く、ガラス基材にエッチング液をシャワー状に接触させる形態でも良い。
【0035】
エッチングなどによりイオン交換層を除去した後、ガラス基材の表面には付着物が付着していることがあるので、かかる付着物を取り除くために、超音波を印加した状態でガラス基材を洗浄しても良い。このときの洗浄液としては、水や硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が挙げられ、市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄剤など)を併用してもよい。
【0036】
このようなガラス基材は、携帯電話やPDAなどの携帯端末装置(特に、表示画面)の保護に用いるカバーガラスであることが好ましい。この場合、板状のガラス基材の主表面にレジストパターンを形成した後、前記レジストパターンをマスクとして、エッチャントで前記ガラス基材をエッチングすることにより所望の形状に切り抜く。このカバーガラスは、エッチングにより外形を形成しているので、このエッチングにより形成された端面は、非常に高い平滑性を有し、熔解ガラス面で構成されているので、機械加工で形成された端面に必ず存在するマイクロクラックのない状態となる。このような構成のカバーガラスは、携帯端末用カバーガラスの外形形状が複雑な形状であっても、携帯端末用カバーガラスに求められる高い機械的強度を得ることができる。
【0037】
ガラス基材を所望の形状(例えば、矩形状)に切り抜くためにエッチングするエッチング方法は、湿式エッチング(ウェットエッチング)、乾式エッチング(ドライエッチング)どちらでも良い。ウェットエッチングに使用するエッチャントは、ガラス基板を食刻できるものであれば、何でも良い。例えば、フッ酸を主成分とする酸性溶液や、フッ酸に、硫酸、硝酸、塩酸、ケイフッ酸のうち少なくとも一つの酸を含む混酸などを用いることができる。また、ドライエッチングに使用するエッチャントは、ガラス基材を食刻できるものであれば何でも良いが、例えばフッ素系ガスを使用することができる。
【0038】
上述した本発明に係るガラス基材は、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、前記ガラス基板のイオンを前記熔融塩のイオンでイオン交換して前記ガラス基板を化学強化し、前記化学強化により前記ガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去しているので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、非常に高い強度を示すものである。
【0039】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
まず、SiO2を63.5重量%、Al2O3を8.2重量%、Li2Oを8.0重量%、Na2Oを10.4重量%、ZrO2を11.9重量%含むアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、長辺80mm、短辺45mm、板厚0.5mmの板状のガラス基板(シート状ガラス)に成型した。
【0040】
次いで、このガラス基板を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を35℃に保った3重量%H2SiF6水溶液に浸漬し、ガラス基板を上下に揺動させて10分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約1μmエッチングした。その後、このガラス基板を40℃に保った15重量%H2SO4水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら5分間洗浄処理した。このようにして実施例1のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ5000ppmであった。
【0041】
得られたガラス基材について、図3に示す装置を用いて強度測定を行った。すなわち、図3に示すように、中央部にガラス基材11よりも小さい開口部12aを有する支持台12上に得られたガラス基材11を載せ、ガラス基材11の中央部を加圧子13で加圧してガラス基材11が破壊されたときの荷重を調べた。このとき、加圧子13を降下させる速度は10mm/分とした。このような強度測定をガラス基材30枚について行い、最大値、最小値、平均値及び標準偏差を求めた。その結果を下記表1に示す。
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板に45℃に保った3重量%H2SiF6水溶液をシャワー状に噴霧して接触させて20分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約2μmエッチングした。その後、このガラス基板を40℃に保った15重量%H2SO4水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら5分間洗浄処理した。このようにして実施例2のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ2000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0043】
(実施例3)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を35℃に保った6重量%H2SiF6水溶液に浸漬し、液をポンプで循環させながら10分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約3μmエッチングした。その後、実施例1,2と同様にガラス基板を洗浄処理した。このようにして実施例3のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ1500ppmであった。このようにして実施例3のガラス基材を作製した。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0044】
(比較例1)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板を40℃に保った15重量%H2SO4水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら10分間洗浄処理した。このようにして比較例1のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ6000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【表1】
【0045】
表1から分かるように、実施例1から実施例3のガラス基材は、比較例1のガラス基材に比べて、板厚0.5mmであっても非常に高い破壊強度を示しており、また、そのバラツキが非常に小さかった。これは、エッチングによりイオン交換層が除去されているので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、強度低下を招く引張応力層の形成を回避しているからであると考えられる。
【0046】
(実施例4)
まず、SiO2を63.5重量%、Al2O3を8.2重量%、Li2Oを8.0重量%、Na2Oを10.4重量%、ZrO2を11.9重量%含むアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、長辺100mm、短辺50mm、板厚0.7mmの板状のガラス基板(シート状ガラス)に成型した。
【0047】
次いで、このガラス基板を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を30℃に保った1重量%HF水溶液に浸漬し、ガラス基板を上下に揺動させて5分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約3μmエッチングした。その後、このガラス基板を30℃に保った10重量%HCl水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら20分間洗浄処理した。このようにして実施例4のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ500ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に示す。
【0048】
(実施例5)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を45℃に保った0.5重量%HF水溶液に浸漬し、液をポンプで循環させながら10分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約2μmエッチングした。その後、このガラス基板を30℃に保った10重量%HCl水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら20分間洗浄処理した。このようにして実施例5のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ1000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に併記する。
【0049】
(実施例6)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を40℃に保った2.0重量%HF水溶液に浸漬し、上下に揺動した状態3分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約2μmエッチングした。その後、実施例4,5と同様にガラス基板を洗浄処理した。このようにして実施例6のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ1000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に併記する。
【0050】
(比較例2)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板を30℃に保った10重量%HCl水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら20分間洗浄処理した。このようにして比較例2のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ5500ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に併記する。
【表2】
【0051】
表2から分かるように、実施例4から実施例6のガラス基材は、比較例2のガラス基材に比べて、板厚0.7mmであっても非常に高い破壊強度を示しており、また、そのバラツキが非常に小さかった。これは、エッチングによりイオン交換層が除去されているので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、強度低下を招く引張応力層の形成を回避しているからであると考えられる。
【0052】
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態においては、イオン交換層を除去する処理としてエッチングを用いた場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、イオン交換層を除去する処理として、エッチング以外の処理や加工(例えば、研磨加工)を用いても良い。また、ガラス基板を所望の形状に切り抜く方法としてエッチング処理のほかに、スクライブ加工やレーザー加工などの切断方法を用いてもよい。さらに、上記実施の形態における材料組成、薬剤の種類、数値、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,11 ガラス基材
1a 圧縮応力層
1b イオン交換層
1c 水和層
12 支持台
12a 開口部
13 加圧子
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDAなどの携帯端末装置においては、ディスプレイに衝撃や外力が加わることを防止するために、プラスティック製の保護板、例えば透明性の高いアクリル樹脂製の保護板がディスプレイの外側に一定の間隔をおいて配設されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、アクリル樹脂製の保護板は外力によって撓み易いので、保護板とディスプレイとの間隔を、その撓みを吸収できる程度に広く設定する必要がある。また、アクリル樹脂製の保護板にある程度の強度を持たせるためには厚くする必要がある。このため、携帯端末装置の薄型化を実現することが難しくなっている。
【0004】
そこで、携帯端末装置の薄型化を実現するために、撓みを抑えつつ、しかも薄板であっても強度のある化学強化ガラスを使った保護板が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、特定のガラス組成からなる板ガラスを所定形状に切断し、端面を面取り加工し、両面を鏡面研磨加工した後、化学強化して表面に圧縮応力層を形成することで、撓みを抑え、また破損しにくい携帯端末用のカバーガラスとその製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−299199号公報
【特許文献2】特開2007−99557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなカバーガラスとして用いられるガラス基材においては、その主表面に外部より大きい応力を受けるため、非常に高い強度が要求される。さらに、携帯端末装置用のカバーガラスでは、軽量化も同時に要求される。このため、薄くて強度に優れる、すなわち薄くても非常に高い強度を持つガラス基材が要求される。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、薄くても非常に高い強度を持つ携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材は、化学強化によるカリウムイオンを含有する圧縮応力層を有する主表面を持ち、携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材であって、前記主表面においてカリウムイオンが5000ppm以下の濃度で含まれる前記圧縮応力層を有し、前記ガラス基材の厚さが0.5mmとなるように構成され、前記ガラス基材の外周の縁部を支持した状態で前記主表面の中央部を加圧子により加圧した際の破壊荷重が546N以上であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、圧縮応力層におけるカリウムイオン濃度が5000ppm以下であるので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、強度低下を招く引張応力層の形成を回避することができる。これにより、薄くても非常に高い強度を持つガラス基材を実現することができる。
【0010】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、カリウムイオン濃度が5000ppmを超えるイオン交換層がエッチングによって除去されて前記主表面が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記化学強化は、低温化学強化であることが好ましい。
【0012】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記ガラス基材がダウンドロー法により成型された熔解ガラスで構成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記ガラス基材は、SiO2、Al2O3、Li2O及びNa2Oからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材においては、前記ガラス基材は、ガラス組成物としてK2Oを実質的に含まないことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材によれば、圧縮応力層におけるカリウムイオン濃度が5000ppm以下であるので、その後の洗浄による引張応力層の形成を防止して非常に高い強度を発揮するガラス基材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】化学強化したガラス基材の一般的な表面状態を説明するための断面図であり、(a)はガラス基材の主表面を含む領域を示す断面図であり、(b)は(a)のX部の拡大図である。
【図2】本発明にかかるガラス基材の主表面を含む領域を示す断面図である。
【図3】ガラス基材の強度測定を行うための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、化学強化したガラス基材の一般的な表面状態を説明するための図であり、(a)はガラス基材の主表面を含む領域を示す断面図であり、(b)は(a)のX部の拡大図である。図1(a)に示すガラス基材1は、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、ガラス基板のイオンを熔融塩のイオンでイオン交換して化学強化してなるガラス基材である。このガラス基材1は、その表面に圧縮応力層1aが形成されている。また、ガラス基材1の表層(最表層から深さ数μmまでの領域)は、化学強化によりアルカリイオン濃度が非常に高いイオン交換層1bが形成されている。
【0018】
このようなイオン交換層1bが存在する状態のガラス基材1を水や水溶液で洗浄すると(化学強化工程後の洗浄)、図1(b)に示すように、化学強化の際のイオン交換でイオン交換層1bに存在するカリウムイオン(K+)がK+よりもイオン半径の小さいヒドロニウムイオン(H3O+)とイオン交換され、最表層は水和層1cとなる。その結果、ガラス基材1の表層(イオン交換層1b)においては、洗浄により引張応力層が形成されてしまう。特に、洗浄液に酸性溶液を用いると、この傾向が顕著となる。また、ダウンドロー法により成型されたガラス基材は、プレス法により成型され、その後研磨加工されて得られたガラス基材に比べて化学強化(イオン交換)が早く進行するので、この傾向が顕著となると考えられる。
【0019】
本発明者は上記の知見に基づいて、化学強化により形成されたガラス基材の表層のイオン交換層を除去しておくことにより、その後の洗浄による引張応力層の形成を防止して非常に高い強度を発揮させることができることを見出し本発明をするに至った。すなわち、本発明の骨子は、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、前記ガラス基板のイオンを前記熔融塩のイオンでイオン交換して前記ガラス基板を化学強化し、前記化学強化により前記ガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去することにより、薄くても非常に高い強度を持つガラス基材を実現することである。本発明にかかるガラス基材は、図2で示されるように、図1(a)や図1(b)で示されているイオン交換層1bが完全に取り除かれて構成されている。
【0020】
なお、化学強化を行ったガラス基板から溶出するアルカリ成分を低減あるいは抑制することを目的とする技術があるが(特開平10−194788号公報)、これらの技術は、ガラス表面を脱アルカリ処理すること、又はガラス表面にアルカリ溶出防止層を形成することを目的としている技術であり、本発明に係る技術的思想とは根本的に異なる技術である。
【0021】
本発明に係るガラス基材は、上述したような観点より、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、ガラス基板のイオンを熔融塩のイオンでイオン交換してガラス基板を化学強化し、その後、化学強化によりガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去することにより製造することができる。
【0022】
このようにして得られたガラス基材は、化学強化による圧縮応力層を有するが、その圧縮応力層は主表面におけるカリウムイオン濃度が5000ppm以下の層からなっており(イオン交換層を含まず)、主表面におけるカリウムイオンの濃度が5000ppm以下である。すなわち、ガラス基材は、カリウムイオン濃度が5000ppmを超えるイオン交換層が除去されて主表面が形成されている。このガラス基材の主表面におけるカリウムイオン濃度やイオン交換層を含んでいないことは、例えば、試料に電子線を照射し、照射部位から励起された各種の信号の中から任意の設定波長のX線を分光結晶で選別して検出器によって計測する波長分散型X線分析装置(WDX)や、試料に電子線を照射し、照射部位から励起された各種の信号全てを半導体検出器で増幅してエネルギー別に信号を振り分けるエネルギー分散型X線分析装置(EDX)などで測定することができる。
【0023】
ガラス基材は、溶融ガラスから直接シート状に成型したもの、あるいは、ある厚さに成型されたガラス体を所定の厚さに切り出し、主表面を研磨して所定の厚さに仕上げたものなどを使用することができる。好ましくは、溶融ガラスから直接シート状に成型したものを使用することが好ましい。なぜなら、溶融ガラスから直接シート状に成型したガラス基板の主表面は、熱間成型された表面であり、極めて高い平滑性を有し、マイクロクラックのない表面状態を有するからである。溶融ガラスから直接シート状に成型する方法としては、ダウンドロー法、フロート法などが挙げられる。中でも、ガラス基材は、ダウンドロー法により成型された熔解ガラスで構成されていることが好ましい。
【0024】
また、ガラス基材は、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどで構成されていることが好ましい。中でも、ガラス基材は、SiO2、Al2O3、Li2O及びNa2Oからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることが好ましい。特に、アルミノシリケートガラスは、62重量%〜75重量%のSiO2、5重量%〜15重量%のAl2O3、4重量%〜10重量%のLi2O、4重量%〜12重量%のNa2O、及び5.5重量%〜15重量%のZrO2を含有することが好ましく、さらに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.0であり、さらにAl2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5である組成とすることが好ましい。また、ガラスの原料成分にK2O(酸化カリウム)を実質的に含有していないことが好ましい。
【0025】
SiO2は、ガラス骨格を形成する主要成分である。SiO2の割合は、化学的耐久性や、溶融温度を考慮すると、62重量%〜75重量%であることが好ましい。
【0026】
Al2O3は、ガラス表面のイオン交換性能を向上させるため含有される。Al2O3の割合は、化学的耐久性などを考慮して、5重量%〜15重量%であることが好ましい。
【0027】
Li2Oは、ガラス表層部でイオン交換処理浴中の主としてNaイオンとイオン交換されることにより、ガラスを化学強化する際の必須成分である。Li2Oの割合は、イオン交換性能や、化学的耐久性を考慮して、4重量%〜10重量%であることが好ましい。
【0028】
Na2Oは、ガラス表層部でイオン交換処理浴中のKイオンとイオン交換されることにより、ガラスを化学強化する際の必須成分である。Na2Oの割合は、機械的強度や、化学的耐久性を考慮して、4重量%〜12重量%であることが好ましい。
【0029】
ZrO2は、機械的強度を高める効果がある。ZrO2の割合は、化学的耐久性や、均質なガラスを安定して製造することを考慮して、5.5重量%〜15重量%であることが好ましい。
【0030】
本発明において、化学強化は、硝酸カリウムなどの熔融塩を用い、温度300℃〜450℃、処理時間1時間〜30時間で行う。特に、化学強化は、硝酸カリウム及び/又は硝酸ナトリウムの熔融塩を用いてガラス基板を構成する材料のガラス点移転以下の温度で行われることが好ましい。このようないわゆる低温化学強化を行うことにより、表層面のアルカリイオンをイオン半径の大きなイオンと交換することができる。この場合の処理時間は、16時間以下であることが好ましい。
【0031】
なお、化学強化は、ガラス基材を所望の形状に外形加工した後に行うことが好ましい。これにより、ガラス基材の端面も化学強化されるため、ガラス基材を携帯端末装置に装着する際、ガラス基材の欠けや割れが生じることを防止できる。
【0032】
ガラス基材を化学強化した後、ガラス基材に付着している熔融塩やその他の付着物を取り除くために、ガラス基材を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、水などの洗浄液で洗い流す方法や、洗浄液に浸漬する浸漬法、洗浄液を流しながら回転するロール体をガラス基板に接触させるスクラブ洗浄法などを利用することができる。浸漬法では、洗浄液に超音波を印加した状態で実施してもよい。
【0033】
本発明において、化学強化によりガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去する工程が行われる。イオン交換層を除去する方法としては、エッチングや研磨加工などを挙げることができる。ガラス基材を、溶融ガラスから直接シート状に成型する場合においては、主表面に傷を付けないようにするために、エッチングでイオン交換層を除去することが好ましい。
【0034】
エッチングによりイオン交換層を除去する場合において、エッチングに用いる処理液は、フッ化水素酸、ヘキサフルオロケイ酸、及びバッファードフッ酸からなる群から選ばれた少なくとも一つを含有する溶液であることが好ましい。この場合、エッチング温度は、20℃〜60℃、さらに好ましくは30℃〜50℃の範囲である。エッチング時間は、3分〜60分であることが好ましい。また、エッチングの際の処理形態としては、ガラス基材をエッチング液に浸漬した状態でエッチング液をポンプで循環させる形態でも良く、ガラス基材をエッチング液に浸漬した状態でガラス基材を上下動させる形態でも良く、ガラス基材にエッチング液をシャワー状に接触させる形態でも良い。
【0035】
エッチングなどによりイオン交換層を除去した後、ガラス基材の表面には付着物が付着していることがあるので、かかる付着物を取り除くために、超音波を印加した状態でガラス基材を洗浄しても良い。このときの洗浄液としては、水や硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が挙げられ、市販の洗浄剤(中性洗剤、界面活性剤、アルカリ性洗浄剤など)を併用してもよい。
【0036】
このようなガラス基材は、携帯電話やPDAなどの携帯端末装置(特に、表示画面)の保護に用いるカバーガラスであることが好ましい。この場合、板状のガラス基材の主表面にレジストパターンを形成した後、前記レジストパターンをマスクとして、エッチャントで前記ガラス基材をエッチングすることにより所望の形状に切り抜く。このカバーガラスは、エッチングにより外形を形成しているので、このエッチングにより形成された端面は、非常に高い平滑性を有し、熔解ガラス面で構成されているので、機械加工で形成された端面に必ず存在するマイクロクラックのない状態となる。このような構成のカバーガラスは、携帯端末用カバーガラスの外形形状が複雑な形状であっても、携帯端末用カバーガラスに求められる高い機械的強度を得ることができる。
【0037】
ガラス基材を所望の形状(例えば、矩形状)に切り抜くためにエッチングするエッチング方法は、湿式エッチング(ウェットエッチング)、乾式エッチング(ドライエッチング)どちらでも良い。ウェットエッチングに使用するエッチャントは、ガラス基板を食刻できるものであれば、何でも良い。例えば、フッ酸を主成分とする酸性溶液や、フッ酸に、硫酸、硝酸、塩酸、ケイフッ酸のうち少なくとも一つの酸を含む混酸などを用いることができる。また、ドライエッチングに使用するエッチャントは、ガラス基材を食刻できるものであれば何でも良いが、例えばフッ素系ガスを使用することができる。
【0038】
上述した本発明に係るガラス基材は、加熱した化学強化用の熔融塩にガラス基板を浸漬することにより、前記ガラス基板のイオンを前記熔融塩のイオンでイオン交換して前記ガラス基板を化学強化し、前記化学強化により前記ガラス基板の主表面に形成されたイオン交換層を除去しているので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、非常に高い強度を示すものである。
【0039】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
まず、SiO2を63.5重量%、Al2O3を8.2重量%、Li2Oを8.0重量%、Na2Oを10.4重量%、ZrO2を11.9重量%含むアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、長辺80mm、短辺45mm、板厚0.5mmの板状のガラス基板(シート状ガラス)に成型した。
【0040】
次いで、このガラス基板を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を35℃に保った3重量%H2SiF6水溶液に浸漬し、ガラス基板を上下に揺動させて10分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約1μmエッチングした。その後、このガラス基板を40℃に保った15重量%H2SO4水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら5分間洗浄処理した。このようにして実施例1のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ5000ppmであった。
【0041】
得られたガラス基材について、図3に示す装置を用いて強度測定を行った。すなわち、図3に示すように、中央部にガラス基材11よりも小さい開口部12aを有する支持台12上に得られたガラス基材11を載せ、ガラス基材11の中央部を加圧子13で加圧してガラス基材11が破壊されたときの荷重を調べた。このとき、加圧子13を降下させる速度は10mm/分とした。このような強度測定をガラス基材30枚について行い、最大値、最小値、平均値及び標準偏差を求めた。その結果を下記表1に示す。
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板に45℃に保った3重量%H2SiF6水溶液をシャワー状に噴霧して接触させて20分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約2μmエッチングした。その後、このガラス基板を40℃に保った15重量%H2SO4水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら5分間洗浄処理した。このようにして実施例2のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ2000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0043】
(実施例3)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を35℃に保った6重量%H2SiF6水溶液に浸漬し、液をポンプで循環させながら10分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約3μmエッチングした。その後、実施例1,2と同様にガラス基板を洗浄処理した。このようにして実施例3のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ1500ppmであった。このようにして実施例3のガラス基材を作製した。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【0044】
(比較例1)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、360℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に6時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板を40℃に保った15重量%H2SO4水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら10分間洗浄処理した。このようにして比較例1のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ6000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表1に併記する。
【表1】
【0045】
表1から分かるように、実施例1から実施例3のガラス基材は、比較例1のガラス基材に比べて、板厚0.5mmであっても非常に高い破壊強度を示しており、また、そのバラツキが非常に小さかった。これは、エッチングによりイオン交換層が除去されているので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、強度低下を招く引張応力層の形成を回避しているからであると考えられる。
【0046】
(実施例4)
まず、SiO2を63.5重量%、Al2O3を8.2重量%、Li2Oを8.0重量%、Na2Oを10.4重量%、ZrO2を11.9重量%含むアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、長辺100mm、短辺50mm、板厚0.7mmの板状のガラス基板(シート状ガラス)に成型した。
【0047】
次いで、このガラス基板を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を30℃に保った1重量%HF水溶液に浸漬し、ガラス基板を上下に揺動させて5分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約3μmエッチングした。その後、このガラス基板を30℃に保った10重量%HCl水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら20分間洗浄処理した。このようにして実施例4のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ500ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に示す。
【0048】
(実施例5)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を45℃に保った0.5重量%HF水溶液に浸漬し、液をポンプで循環させながら10分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約2μmエッチングした。その後、このガラス基板を30℃に保った10重量%HCl水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら20分間洗浄処理した。このようにして実施例5のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ1000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に併記する。
【0049】
(実施例6)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板に付着する熔融塩などの付着物などを除去するために水で洗浄した。次いで、このガラス基板を40℃に保った2.0重量%HF水溶液に浸漬し、上下に揺動した状態3分間エッチングを行って、ガラス基板の主表面を約2μmエッチングした。その後、実施例4,5と同様にガラス基板を洗浄処理した。このようにして実施例6のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ1000ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に併記する。
【0050】
(比較例2)
実施例1と同様にして成型されたガラス基板(シート状ガラス)を、380℃に保った硝酸カリウム(KNO3)60重量%と硝酸ナトリウム(NaNO3)40重量%の混塩の処理浴中に2時間浸漬して化学強化した。次いで、このガラス基板を30℃に保った10重量%HCl水溶液に浸漬して40kHzの超音波を印加しながら20分間洗浄処理した。このようにして比較例2のガラス基材を作製した。得られたガラス基材の主表面のカリウムイオン量をWDXで測定したところ5500ppmであった。得られたガラス基材について、実施例1と同様にして強度測定を行った。その結果を下記表2に併記する。
【表2】
【0051】
表2から分かるように、実施例4から実施例6のガラス基材は、比較例2のガラス基材に比べて、板厚0.7mmであっても非常に高い破壊強度を示しており、また、そのバラツキが非常に小さかった。これは、エッチングによりイオン交換層が除去されているので、洗浄の際にヒドロニウムイオンとイオン交換することがなく、強度低下を招く引張応力層の形成を回避しているからであると考えられる。
【0052】
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態においては、イオン交換層を除去する処理としてエッチングを用いた場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、イオン交換層を除去する処理として、エッチング以外の処理や加工(例えば、研磨加工)を用いても良い。また、ガラス基板を所望の形状に切り抜く方法としてエッチング処理のほかに、スクライブ加工やレーザー加工などの切断方法を用いてもよい。さらに、上記実施の形態における材料組成、薬剤の種類、数値、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,11 ガラス基材
1a 圧縮応力層
1b イオン交換層
1c 水和層
12 支持台
12a 開口部
13 加圧子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学強化によるカリウムイオンを含有する圧縮応力層を有する主表面を持ち、携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材であって、前記主表面においてカリウムイオンが5000ppm以下の濃度で含まれる前記圧縮応力層を有し、
前記ガラス基材の厚さが0.5mmとなるように構成され、前記ガラス基材の外周の縁部を支持した状態で前記主表面の中央部を加圧子により加圧した際の破壊荷重が546N以上であることを特徴とする携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項2】
カリウムイオン濃度が5000ppmを超えるイオン交換層がエッチングによって除去されて前記主表面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項3】
前記化学強化は、低温化学強化であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項4】
前記ガラス基材がダウンドロー法により成型された熔解ガラスで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項5】
前記ガラス基材は、SiO2、Al2O3、Li2O及びNa2Oからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項6】
前記ガラス基材は、ガラス組成物としてK2Oを実質的に含まないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項1】
化学強化によるカリウムイオンを含有する圧縮応力層を有する主表面を持ち、携帯端末装置の表示画面の保護に用いられる携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材であって、前記主表面においてカリウムイオンが5000ppm以下の濃度で含まれる前記圧縮応力層を有し、
前記ガラス基材の厚さが0.5mmとなるように構成され、前記ガラス基材の外周の縁部を支持した状態で前記主表面の中央部を加圧子により加圧した際の破壊荷重が546N以上であることを特徴とする携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項2】
カリウムイオン濃度が5000ppmを超えるイオン交換層がエッチングによって除去されて前記主表面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項3】
前記化学強化は、低温化学強化であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項4】
前記ガラス基材がダウンドロー法により成型された熔解ガラスで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項5】
前記ガラス基材は、SiO2、Al2O3、Li2O及びNa2Oからなる群から選ばれた少なくとも一つを含有したアルミノシリケートガラスで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【請求項6】
前記ガラス基材は、ガラス組成物としてK2Oを実質的に含まないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯端末装置のカバーガラス用のガラス基材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−254928(P2012−254928A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179369(P2012−179369)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2011−31943(P2011−31943)の分割
【原出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2011−31943(P2011−31943)の分割
【原出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
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