説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】誤操作を回避しつつ親指による入力を実現する携帯端末装置を提供する。
【解決方法】発明の携帯端末装置(1)は、人間が片手で前記携帯端末装置を保持したとき親指の付け根を中心として親指が入力画面上に弧を描く第1の動線上(A−B)に相互に重複せずに位置する、第1の入力領域及び第2の入力領域に対して関連付けられた、使用頻度が高い又は高い操作精度が要求される処理を実行し、入力画面上で第1の動線に直交する第2の動線上(C−D)に相互に重複せずに位置し、かつ、第1の領域及び第2の領域のいずれとも重複せずに位置する、第3の入力領域及び第4の入力領域に対して関連付けられた、使用頻度が低い又は高い慎重性が要求される処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置及びプログラムに関し、特に相場商品の売買を行う携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末装置を使用して商品等の売買を行うことは一般的に行われており、有価証券、外国為替等の相場商品の売買についても、外出先からの売買、あるいは夜間における海外市場での売買等を中心に利用者は多い。
この際使用される携帯端末装置は、手のひらに収まる大きさであり、キーボードやタッチパネルに対して、保持した手の親指で行う入力を受け付けるものが多い。携帯端末装置の親指による正確な入力を可能にする技術としては、例えば特許文献1がある。
特許文献1に記載の携帯端末装置は、右手で保持したときも、左手で保持したときも、親指の付け根を中心としたボタン配列になるように工夫されている。
【特許文献1】特開2005−311997号公報(段落0011、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の発明では、親指が高い操作性を以って動く範囲に、慎重に判断して押下すべきボタンがある場合に、そのボタンを誤って押下する危険性を排除することはできない。
そこで、本発明は、誤操作を回避しつつ、親指による入力を実現する携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の携帯端末装置は、人間が片手で前記携帯端末装置を保持したとき親指の付け根を中心として親指が入力画面上に弧を描く第1の動線上に相互に重複せずに位置する、第1の入力領域及び第2の入力領域に対して関連付けられた、使用頻度が高い又は高い操作精度が要求される処理を実行し、入力画面上で第1の動線に直交する第2の動線上に相互に重複せずに位置し、かつ、第1の領域及び第2の領域のいずれとも重複せずに位置する、第3の入力領域及び第4の入力領域に対して関連付けられた、使用頻度が低い又は高い慎重性が要求される処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、誤操作を回避しつつ、親指による入力を実現する携帯端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を実施するための最良の形態(「本実施形態」という)を、図等を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る携帯端末装置の使用状況を説明する図である。
携帯端末装置1は、無線基地局2とネットワーク3を介して、取引所サーバ4と取引仲買業者サーバ5に接続されている。取引所サーバ4は、例えば証券取引所等の商品市場に設置され、売り注文と買い注文を出会わせて売買を成立させるサーバである。取引仲買業者サーバ5は、商品の売買主体からの売買注文を取引所サーバ4に対して取り次ぐサーバである。なお、取引仲買業者サーバ5は、例えば外国為替取引等における取次業者のサーバ、取次業者の顧客のサーバ及び取引相手のサーバを含む概念である。
取引所サーバ4は、各商品が市場で現在及び過去にどのような値をつけたかという、相場情報も有している。取引仲買業者サーバ5も、取引所サーバ4から入手した情報又は独自に入手した情報に基づいて、同様の相場情報を有している場合が多く、いずれも、ネットワーク3を介して、その相場情報を携帯端末装置1に送信することができる
【0007】
(商品売買、成り行き、指値)
ここで、商品とは、有価証券、外国為替、穀物や貴金属等を含む広い概念である。さらに商品売買は、あらゆる期間あらゆる幣種の資金の貸借をも含む概念である。資金の貸借に際して、価格に相当する概念は利率である。
このような商品売買における注文方法には、大きく分けて2種類がある。
【0008】
第一に、成り行き注文は、所定の商品を所定の数量だけ、価格を指定せず現時点の市場価格で売買する方法である。例えば外貨建ての債権が発生したと同時に同種同額の外貨を同期間で借り入れるヘッジ取引等はこの方法によることが多い。
成り行き注文では、どのタイミングで注文をするかを決めること、そしてその取引が「売り」であるのか「買い」であるのかを決めることが重要である。そして、意図しないタイミングで取引をしてしまう誤りや、「売り」と「買い」を入れ違える誤りを最も回避する必要がある。
【0009】
第二に、指値注文は、ある売買希望価格を指定し、将来の市場価格が当該売買希望価格になった場合に、当該売買希望価格で所定の商品を所定の数量だけ売買する方法である。仕入れコストが確定している商品の売却等は、この方法によることが多い。そして、当該売買希望価格のことを「指値」ということが多いので、以降では「指値」として説明する。しかしながら、請求項の「商品の価格」は、「売買希望価格」又は「指値」と呼ばれるものに限定されない。
指値注文では指値の水準を決めることが重要である。そして、指値の桁違い等の金額ミスを最も回避する必要がある。
【0010】
図2は、本実施形態の携帯端末装置の人間の手による保持方法を説明する図である。
携帯端末装置1を人間が手で保持するとき、一般的には、図2のように保持する。すなわち一般に蒲鉾板状の携帯端末装置1を画面や操作ボタンを正面にして、手のひらに置き、親指以外の4指と、親指の付け根の膨らんだ部分で両側から挟持する。
このとき、親指を、付け根を中心に画面上を図2のA―Bの動線(第1の動線)上で動かすことは容易にできる。その一方、図2のC―Dの動線(第2の動線)上で動かすことは容易ではなく、ユーザは慎重にならざるを得ない。なぜなら、第2の動線上の動作、すなわち図2の左右方向の動作を行う場合、右に動かすほど親指の付け根が携帯端末装置1から離れ、握力を失って携帯端末装置1を落下させる危険があるからである。
このような人間の手指の構造的な特性から、ボタンを押下し、パネルをタッチする等の親指の操作は第1の動線上の動作、すなわち図2の上下方向の動作で行われることが操作の容易性からは望ましい。
しかし、第1の動線上での親指による動作が容易であるが故の誤操作の危険も存在する。
【0011】
そこで、意図しないタイミングでの売買や桁違い等の金額ミス等の誤操作を防ぐために、敢えて、操作性の低い第2の動線上の動作を利用することが、本発明の基本的な発想である。
【0012】
図3は、本実施形態に係る携帯端末装置の構成図である。携帯端末装置1は、手のひらサイズの一般的なコンピュータであり、相互に接続された中央制御装置11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入出力装置(ディスプレイ)14、及び通信装置15を有している。
補助記憶装置13には、入力処理データベース21と、出力処理データベース22が記憶されている。
成り行き注文管理部31及び指値注文管理部32は、プログラムである。以下において、「○○部は」と主体を表示した場合は、中央制御装置11が、補助記憶装置13から各プログラムを読み出して、主記憶装置12にロードした上で、各プログラムの機能を実行するものとする。
ディスプレイ14は、ディスプレイ14上の各位置における入力を感知できるものとする。圧力を感知するものであってもよいし、温度を感知するものでもよい。
【0013】
図4は、本実施形態に係る入力処理データベースの一例である。
入力処理データベース21では、画面ID欄101に記憶された画面IDに関連付けて、入力領域欄102には入力領域が、処理の内容欄103には処理の内容が、それぞれ記憶されている。
画面ID欄101の画面IDは、ディスプレイ14に表示される入力画面を一意に特定する識別子である。
入力領域欄102の入力領域は、ディスプレイ14上の領域を特定する情報である。例えば1〜4行目は、4つの値(開始点のX座標,開始点のY座標,終了点のX座標,終了点のY座標)が、ディスプレイ14平面上の、「開始点」を左上とし、「終了点」を右下とする長方形の領域を示す。
また、例えば5〜8行目は、3つの値(中心のX座標,中心のY座標,半径)で特定される円の領域を示す。これらは一例であって、他の特定方法もあり得る。例えば、複数の点をX、Y座標で指定し、それらを頂点とする多角形の内側を特定領域としてもよい。
座標の原点はディスプレイ平面上の任意の場所にとってよい。ここでは、ディスプレイ14の左下の点(図6)を原点とする。
なお、「E」、「F」、・・・の文字は、説明用の文字であって、情報として記憶していなくてもよい。
処理の内容欄103の処理の内容は、入力領域に入力が加えられた際行われる処理の内容である。その内容を実施する具体的方法は、本発明とは直接関係しないので記載しない。
なお、処理の内容は、実取引に係る処理に限定されない。例えば、「成り行き売り注文を出す試験取引」のように、処理の結果が、携帯端末装置1の外部に及ばない処理の内容であってもよい。又は、取引所サーバ4や取引仲買業者サーバ5とは無関係の処理の内容であってもよい。
【0014】
図5は、本実施形態に係る出力処理データベース22の一例である。
出力処理データベース22では、画面ID欄111に記憶された画面IDに関連付けて、図形種類欄112には図形種類が、出力領域欄113には出力領域が、表示対象情報欄114には表示対象情報が、大きさ欄115には大きさが、色欄116には色が、それぞれ記憶されている。
画面ID欄111の画面IDは、ディスプレイ14に表示される出力画面を一意に特定する識別子である。出力画面は、入力画面とは別の概念である。しかしながら、本実施形態においては、1つのディスプレイ14に、入力画面と出力画面を重ねて表示することを前提にしている。従って、例えば、「01」の出力画面は「01」の入力画面と同じである。なお、入力画面(出力画面)「01」は図6に対応し、入力画面(出力画面)「02」は図8に対応している。
図形種類欄112の図形種類は、表示されるべき対象の種類を示したものである。ここでは、文字を示す「文字列」、画像を示す「画像」、数値を示す「数値」、折れ線グラフを示す「折れ線グラフ」、直線を示す「直線」が記憶されている。ある出力領域に複数の種類、例えば「文字列」と「数値」を表示することもできる。
【0015】
出力領域欄113の出力領域は、ディスプレイ14上の領域を特定する情報である。例えば1〜4行目では、4つの値(開始点のX座標,開始点のY座標,終了点のX座標,終了点のY座標)が、ディスプレイ14平面上の、「開始点」を左上とし、「終了点」を右下とする長方形の領域を示す。
折れ線グラフについては、2つの値(グラフの原点のX座標,グラフの原点のY座標)は、それらの値が特定するグラフの原点(ディスプレイ14平面の原点ではない)から見て第一象限(右上)に展開される折れ線グラフを示す。
直線については、1つの値が、その値で特定されるグラフの軸上のある水準に引かれる直線を示す。
5行目の数値については、2つの値(X軸座標,Y軸座標)が位置を示している。そのうち、Y座標「V or W」とあるのは、Y座標が、「売り注文の指値又は買い注文の指値」の水準であること(指値によってディスプレイ上を「直線」とともに上下に動く)を示している。
これらは一例であって、他の特定方法もあり得る。なお、「E」、「F」、・・・の文字は、説明用の文字であって、情報として記憶していなくてもよい。
【0016】
表示対象情報欄114の表示対象情報は、出力領域に表示されるべき情報である。
「“ ”」が付された文字列等は、その文字列等が出力領域にそのまま表示されることを示している。但し「“イメージ○”」は、「イメージ○」という名の付された画像がそのまま表示されることを意味する。
「X軸:時刻、Y軸:中値」とあるのは、その時刻をX軸として、中値(売り価格と買い価格の中心値)をY軸として、グラフを表示することを示している。
「“ ”」が付されていない文字列等は、その文字列等で示される情報を、入力画面から受け付け、又は携帯端末装置1の外部から受け付けたうえで、出力領域に表示することを意味する。「“ ”」が付されていない文字列等と、「“ ”」が付された文字列等が並列して記憶されている場合は、その両者を並列して表示することを示す。
座標の原点はディスプレイ14平面上任意の場所にとってよいが、ここでは入力画面の座標の原点と一致するものとする。
大きさ欄115の大きさは、表示されるべき対象の大きさを示す値である。対象が文字列又は数値の場合は、それらのポイント数であり、対象が折れ線グラフ又は直線の場合は、それらの太さを示す値である。対象が画像である場合は、所定の規則で定められたサイズを示す値である。
色欄116の色は、表示されるべき情報の色彩である。
【0017】
(第1の実施形態:成り行き注文)
図6は、本実施形態に係る携帯端末装置を使用する成り行き注文を説明する図である。
当該画面は、画面IDが「01」である入力画面と出力画面が重ねて表示されている状態を示している。当該画面には、注文執行ボタン51及び注文ロックボタン61が表示されている。
【0018】
注文執行ボタン51は、売り注文ボタン52と買い注文ボタン53を含む。
売り注文ボタン52は、図4の1行目レコード及び図5の1行目のレコードに相当する。買い注文ボタン53は、図4の2行目レコード及び図5の2行目のレコードに相当する。
売り注文ボタン52と買い注文ボタン53は、図4の入力領域の欄102の「E」と「F」を参照すれば明らかなように、第1の動線上に相互に重複することなく配置されている。なお、売り注文ボタン52と買い注文ボタン53の位置を相互に入れ替えてもよい。
【0019】
売り注文ボタンに52は、文字列及び数値「Sell 105.16」が、「2」ポイントの大きさで、「青」の色で表示されている(図5の1行目のレコード)。このうち「105.16」は、携帯端末装置1が、例えば取引所サーバ4から取得してきた情報である。そして、このボタンの領域「E」に親指で触れると、「成り行き売り注文を出す」という処理がおこなわれることになる(図4の1行目のレコード)。
具体的には、成り行き注文管理部31は、売り注文ボタン52に対する入力を感知すると、画面ID「01」と、入力領域「E(10,105,50,90)」を検索キーとして、入力処理データベース21を検索し、処理の内容「成り行き売り注文を出す」を取得し、当該処理を実行する。
【0020】
買い注文ボタン53には、文字列及び数値「Buy 105.20」が、「2」ポイントの大きさで、「赤」の色で表示されている(図5の2行目のレコード)。このうち「105.20」は、携帯端末装置1が、例えば取引所サーバ4から取得してきた情報である。そして、このボタンの領域「F」に親指で触れると、「成り行き買い注文を出す」という処理がおこなわれることになる(図4の2行目のレコード)。
具体的には、成り行き注文管理部31は、買い注文ボタン53に対する入力を感知すると、画面ID「01」と、入力領域「F(10,85,50,75)」を検索キーとして、入力処理データベース21を検索し、処理の内容「成り行き買い注文を出す」を取得し、当該処理を実行する。
【0021】
注文ロックボタン61は、ロック設定ボタン62とロック解除ボタン63を含む。
ロック設定ボタン62は、図4の3行目のレコード及び図5の3行目のレコードに相当する。ロック解除ボタン63は、図4の4行目のレコード及び図5の4行目のレコードに相当する。
ロック設定ボタン62とロック解除ボタン63は、図4の入力領域欄102の「G」と「H」を参照すれば明らかなように、注文執行ボタン51と重複することなく、第2の動線上に相互に重複することなく配置されている。なお、ロック設定ボタン62とロック解除ボタン63の位置を相互に入れ替えてもよい。
ロック設定ボタン62には、画像「“イメージ1”(錠前がかけられたイメージ)」が、「2」の大きさで、「緑」の色で表示されている(図5の3行目のレコード)。そして、このボタンの領域「G」に親指で触れると、「操作不可能モードにする」という処理がおこなわれることになる(図4の3行目のレコード)。
具体的には、成り行き注文管理部31は、ロック設定ボタン62に対する入力を感知すると、画面ID「01」と、入力領域「G(36,60,50,50)」を検索キーとして、入力処理データベース21を検索し、処理の内容「操作不可能モードにする」を取得し、当該処理を実行する。
ロック解除ボタン63には、画像「“イメージ2”(錠前が外されたイメージ)」が、「2」の大きさで、「赤」の色で表示されている(図5の4行目のレコード)。そして、このボタンの領域「H」に親指で触れると、「操作不可能モードを解除する」という処理がおこなわれることになる(図4の4行目のレコード)。
具体的には、成り行き注文管理部31は、ロック解除ボタン63に対する入力を感知すると、画面ID「01」と、入力領域「H(22,20,36,50)」を検索キーとして、入力処理データベース21を検索し、処理の内容「操作不可能モードを解除する」を取得し、当該処理を実行する。
【0022】
このように、注文執行ボタン51と注文ロックボタン61を配置することによって、例えば、ロック解除の入力は、親指の第2の動線上の動き(図6の符号64)によってなされるため、ユーザは慎重に操作することになる。その一方、売買の注文については、親指の第1の動線上の動き(図6の符号54)によってなされるため、ユーザは、携帯端末装置1を落とすかもしれない等の不安を感じることなく、高い操作性で操作することができる。
なお、本実施形態の以上の説明では、注文ロックボタン61に単純に触れて操作することとした。しかしながら、図7に示すように、親指が画面上を離れることなく第2の動線上をスライドするように操作することとすれば、より確実な入力操作が行える。
更に、注文執行ボタン51及び注文ロックボタン61は、後記する第2の実施形態においても適用可能である。例えば、図8に示すディスプレイ14上の入力領域に対して、注文執行ボタン51及び注文ロックボタン61を設定することができる。
【0023】
(第2の実施形態:指値注文)
図8は、本実施形態に係る携帯端末装置を使用する指値注文を説明する図である。
当該画面は、画面IDが「02」である入力画面と出力画面が重ねて表示されている状態を示している。当該画面には、価格設定ボタン71、折れ線グラフ72、設定価格73及び設定価格ライン74が表示されている
【0024】
価格設定ボタン71は、刻み上げボタン71a、刻み下げボタン71b、ジャンプ上げボタン71c、及びジャンプ下げボタン71dを含む(図8の下の拡大図参照)。
価格設定ボタン71は、異なる4つの入力領域71a、71b、71c及び71dを有する。そして、これらの入力領域は、価格設定ボタン71の上下左右の頂点を中心とする所定の半径の円の内部の領域である(価格設定ボタン71の「正方形」からはみ出ている部分もある。また、「正方形」の中には、入力領域ではない部分もある)。
刻み上げボタン71aは、図4の5行目のレコードに相当する。刻み下げボタン71bは、図4の6行目のレコードに相当する。ジャンプ上げボタン71cは、図4の7行目のレコードに相当する。ジャンプ下げボタン71dは、図4の8行目のレコードに相当する。
刻み上げボタン71aと刻み下げボタン71bは、図4の入力領域欄102の「P」と「Q」を参照すれば明らかなように、第1の動線上に相互に重複することなく配置されている。なお、刻み上げボタン71aと刻み下げボタン71bの位置を相互に入れ替えてもよい。
ジャンプ上げボタン71cとジャンプ下げボタン71dは、図4の入力領域欄102の「R」と「S」を参照すれば明らかなように、刻み上げボタン71a及び刻み下げボタン71cと重複することなく、第2の動線上に相互に重複することなく配置されている。なお、ジャンプ上げボタン71cとジャンプ下げボタン71dの位置を相互に入れ替えてもよい。
【0025】
例えば、ユーザが指値を決めるに際の処理は以下のようになる。
(1)携帯端末装置1は、ユーザがディスプレイ14を介して任意の方法で入力する大まかな暫定的な値を受け付ける。例えば、その値は「105.10」であり、設定価格73には「105.10」が表示され、その水準を示す設定価格ライン74が表示されたとする。
【0026】
(2)ユーザとしては、画面に表示される折れ線グラフ72(その値で売買しようとする商品の当日の値動きを示すものとする)を見ながら、前記暫定的な入力値を微調整する場合がある。この場合、携帯端末装置1は、ユーザが刻み上げボタン71a又は刻み下げボタン71bを親指で触れるのを受け付ける。
すると、刻み上げボタン71aに入力を受け付けた場合は、携帯端末装置1は、「指値を最小単位だけ上げる」という処理を行い(図4の5行目のレコード)、設定価格73の表示を「105.10」から「105.11」に変更する(図5の5行目のレコード)。刻み下げボタン71bに入力を受け付けた場合は、携帯端末装置1は、「指値を最小単位だけ下げる」という処理を行い(図4の6行目のレコード)、設定価格73の表示を「105.10」から「105.09」に変更する(図5の5行目のレコード)。
最小単位とは、売買に適用される最小の価格表示単位(桁数)のことで、商品によって異なってよいが、ここでは、「0.01」(小数点以下第2桁)である。
具体的には、指値注文管理部32は、刻み上げボタン71a又は刻み下げボタン71bに対する入力を感知すると、画面ID「02」と、入力領域「P(100,55,3)」又は「Q(100,45,3)」を検索キーとして、入力処理データベース21を検索し、処理の内容「指値を最小単位だけ上げる」又は「指値を最小単位だけ下げる」を取得し、当該処理を実行する。
そして、指値注文管理部32は、表示対象情報「指値」を検索キーとして出力処理データベース22を検索し、該当するレコードの画面ID「02」が特定する出力画面の、出力領域「T(32,V or W)」に微調整後の指値を、図形種類「数値」として、大きさ「5」で、色「黒」で、表示する。また、指値注文管理部32は、表示対象情報「売り注文の指値」又は「買い注文の指値」を検索キーとして出力処理データベース22を検索し、該当するレコードの画面ID「02」が特定する出力画面の、出力領域「V(Y)」又は「W(Y)」に微調整後の指値の水準を示す直線を、図形種類「直線」として、太さ「3」で、色「赤」又は「黒」で、表示する。
【0027】
(3)ユーザとしては、画面に表示される折れ線グラフ72を見ながら、前記暫定的な入力値を大幅に見直そうとする場合がある。この場合、携帯端末装置1は、ユーザがジャンプ上げボタン71c又はジャンプ下げボタン71dを親指で触れるのを受け付ける。すると、ジャンプ上げボタン71cに入力を受け付けた場合は、携帯端末装置1は、「指値を最小単位の10のn乗倍だけ上げる」という処理を行い(図4の7行目のレコード)、設定価格73の表示を「105.10」から「105.20」に変更する。ジャンプ下げボタン71dに入力を受け付けた場合は、携帯端末装置1は、「指値を最小単位の10のn乗倍だけ下げる」という処理を行い(図4の8行目のレコード)、設定価格73の表示を「105.10」から「105.00」に変更する。「10のn乗」の「n」は、1、2、3、・・・というように任意に設定できるが、ここではn=1としている。
具体的には、指値注文管理部32は、ジャンプ上げボタン71c又はジャンプ下げボタン71dに対する入力を感知すると、画面ID「02」と、入力領域「R(105,50,3)」又は「S(95,50,3)」を検索キーとして、入力処理データベース21を検索し、処理の内容「指値を最小単位の10のn乗倍だけ上げる」又は「指値を最小単位の10のn乗倍だけ下げる」を取得し、当該処理を実行する。
そして、指値注文管理部32は、表示対象情報「指値」を検索キーとして出力処理データベース22を検索し、該当するレコードの画面ID「02」が特定する出力画面の出力領域「T(32,V or W)」に大幅に見直した後の指値を、図形種類「数値」として、大きさ「5」で、色「黒」で、表示する。また、指値注文管理部32は、表示対象情報「売り注文の指値」又は「買い注文の指値」を検索キーとして出力処理データベース22を検索し、該当するレコードの画面ID「02」が特定する出力画面の、出力領域「V(Y)」又は「W(Y)」に大幅に見直した後の指値の水準を示す直線を、図形種類「直線」として、太さ「3」で、色「赤」又は「黒」で、表示する。
【0028】
このように、刻み上げボタン71a、刻み下げボタン71b、ジャンプ上げボタン71c及びジャンプ下げボタン71dを配置することによって、例えば、指値の大幅な変更の入力は、親指の第2の動線上の動き(図8の符号76)によってなされるため、ユーザは慎重に操作することになる。その一方、指値の微調整については、親指の第1の動線上の動き(図8の75)によってなされるため、ユーザは、携帯端末装置1を落とすかもしれない等の不安を感じることなく、高い操作性で操作することができる。
なお、価格設定ボタン71を用いる入力は、第2の実施形態に係る入力に限定されるものではない。例えば、指値の入力に限らず、一般的な数値の入力をおこなう場合にも用いられてよい。この場合は、価格設定ボタン71をディスプレイ14の中心に大きく設定することが望ましい。
【0029】
前記では、価格設定ボタン71によって、売買希望価格(指値)を入力する例を説明した。しかしながら、これはあくまでも一例である。例えば、売買希望数量を入力するために、価格設定ボタン71が用いられてもかまわない。
売買希望価格に最小単位が存在するのと同様に、売買希望数量についても、最小単位
(売買に適用される最小の数量表示単位)が存在する。例えば、株式には売買の最小ロットとなる株数(銘柄によって異なるが、1株、10株、100株など)が存在する。
この場合、売買希望数量の最小単位の微調整を、刻み上げボタン71a及び刻み下げボタン71bによって行い、売買希望数量の最小単位の10のn乗倍の大幅な見直しを、ジャンプ上げボタン71c及びジャンプ下げボタン71dによって行うこともできる。
【0030】
また、前記では、価格設定ボタン71によって、売買希望価格や売買希望数量を入力する例を説明した。しかしながら、これらもあくまでも一例であり、売買に関係しない、あるいは売買主体の希望に関係しない一般的な価格や数量の入力をするために、価格設定ボタン71が用いられてもかまわない。
更に、価格や数量に限定されず、数値一般の入力において、価格設定ボタン71が用いられてもかまわない。すなわち、入力についての所定の最小単位に係る微調整については、刻み上げボタン71a及び刻み下げボタン71bによって入力を行い、最小単位の10のn乗倍の大幅な見直しについては、ジャンプ上げボタン71c及びジャンプ下げボタン71dによって行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る携帯端末装置の使用状況を説明する図である。
【図2】本実施形態の携帯端末装置の人間の手による保持方法を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る携帯端末装置の構成図である。
【図4】本実施形態に係る入力処理データベースの一例である。
【図5】本実施形態に係る出力処理データベースの一例である。
【図6】本実施形態に係る携帯端末装置を使用する成り行き注文を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る携帯端末装置を使用する成り行き注文を説明する図である。
【図8】本実施形態に係る携帯端末装置を使用する指値注文を説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 携帯端末装置
2 無線基地局
3 ネットワーク
4 取引所サーバ
5 取引仲買業者サーバ
11 中央制御装置(制御部)
12 主記憶装置(記憶部)
13 補助記憶装置(記憶部)
14 入出力装置(ディスプレイ)
15 通信装置
21 入力処理データベース
22 出力処理データベース
A−B、54、75 第1の動線
C−D、64、76 第2の動線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の片手で保持可能な携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、記憶部、制御部及び入力部を有し、
前記入力部は、入力画面の特定の入力領域に対して加えられた入力を感知することが可能であり、
前記記憶部は、前記入力画面を特定する識別子に関連付けて、前記入力領域を特定する情報と、処理の内容とを記憶する、入力処理データベースを備え、
前記制御部は、
前記入力画面に対する入力を感知すると、当該表示されている入力画面を特定する前記識別子と当該入力が感知された前記入力領域を特定する情報を検索キーとして、前記入力処理データベースを検索し前記処理の内容を取得し、
前記取得された処理を行うこと、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記入力処理データベースにおいて、
前記入力領域を特定する情報は、
人間が片手で前記携帯端末装置を保持したとき親指の付け根を中心として親指が前記入力画面上に弧を描く第1の動線上に相互に重複せずに位置する、第1の入力領域及び第2の入力領域を特定する情報と、
前記画面上で前記第1の動線に直交する第2の動線上に相互に重複せずに位置し、かつ、前記第1の領域及び前記第2の領域のいずれとも重複せずに位置する、第3の入力領域及び第4の入力領域を特定する情報を含み、
前記処理の内容は、
前記第1の入力領域及び第2の入力領域に対応する、使用頻度が高い又は高い操作精度が要求される処理の内容と、
前記第3の入力領域及び第4の入力領域に対応する、使用頻度が低い又は高い慎重性が要求される処理の内容を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記入力画面は、価格が変化する商品を売買する売買注文を入力する入力画面であり、
前記第1の入力領域又は前記第2の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記商品の買い注文を出す又は売り注文を出す処理の内容であり、
前記第3の入力領域又は前記第4の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記第1の入力領域及び前記第2の入力領域に対する入力を不可能にする又は前記第1の入力領域及び前記第2の入力領域に対する入力を不可能にすることを解除する処理の内容であること、
を特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記入力画面は、数値を入力する入力画面であり、
前記第1の入力領域又は前記第2の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記数値を最小単位だけ増加又は減少させる処理の内容であり、
前記第3の入力領域又は前記第4の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記数値を最小単位の10のn乗(n=1、2、3、・・)倍だけ増加又は減少させる処理の内容であること、
を特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記入力画面は、価格及び/又は数量が変化する商品の価格及び/又は数量を入力する入力画面であり、
前記第1の入力領域又は前記第2の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記価格及び/又は数量を最小単位だけ増加又は減少させる処理の内容であり、
前記第3の入力領域又は前記第4の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記価格及び/又は数量を最小単位の10のn乗(n=1、2、3、・・)倍だけ増加又は減少させる処理の内容であること、
を特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
記憶部、制御部及び入力部を有し、人間の片手で保持可能な携帯端末装置を機能させるプログラムであって、
前記プログラムは、
前記入力部に対し、
入力画面の特定の入力領域に対して加えられた入力を感知させ、
前記記憶部に対し、
前記入力画面を特定する識別子に関連付けて、前記入力領域を特定する情報と、処理の内容とを記憶する、入力処理データベースを備えさせ、
前記制御部に対し、
前記入力画面に対する入力を感知すると、当該表示されている入力画面を特定する前記識別子と当該入力が感知された前記入力領域を特定する情報を検索キーとして、前記入力処理データベースを検索し前記処理の内容を取得させ、
前記取得された処理を実行させること、
を特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記入力処理データベースにおいて、
前記入力領域を特定する情報は、
人間が片手で前記携帯端末装置を保持したとき親指の付け根を中心として親指が前記入力画面上に弧を描く第1の動線上に相互に重複せずに位置する、第1の入力領域及び第2の入力領域を特定する情報と、
前記画面上で前記第1の動線に直交する第2の動線上に相互に重複せずに位置し、かつ、前記第1の領域及び前記第2の領域のいずれとも重複せずに位置する、第3の入力領域及び第4の入力領域を特定する情報を含み、
前記処理の内容は、
前記第1の入力領域及び第2の入力領域に対応する、使用頻度が高い又は高い操作精度が要求される処理の内容と、
前記第3の入力領域及び第4の入力領域に対応する、使用頻度が低い又は高い慎重性が要求される処理の内容を含むこと、
を特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記入力画面は、価格が変化する商品を売買する売買注文を入力する入力画面であり、
前記第1の入力領域又は前記第2の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記商品の買い注文を出す又は売り注文を出す処理の内容であり、
前記第3の入力領域又は前記第4の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記第1の入力領域及び前記第2の入力領域に対する入力を不可能にする又は前記第1の入力領域及び前記第2の入力領域に対する入力を不可能にすることを解除する処理の内容であること、
を特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記入力画面は、数値を入力する入力画面であり、
前記第1の入力領域又は前記第2の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記数値を最小単位だけ増加又は減少させる処理の内容であり、
前記第3の入力領域又は前記第4の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記数値を最小単位の10のn乗(n=1、2、3、・・)倍だけ増加又は減少させる処理の内容であること、
を特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
前記入力画面は、価格及び/又は数量が変化する商品の価格及び/又は数量を入力する入力画面であり、
前記第1の入力領域又は前記第2の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記価格及び/又は数量を最小単位だけ増加又は減少させる処理の内容であり、
前記第3の入力領域又は前記第4の入力領域に対応する前記処理の内容は、前記価格及び/又は数量を最小単位の10のn乗(n=1、2、3、・・)倍だけ増加又は減少させる処理の内容であること、
を特徴とする請求項7に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−97295(P2010−97295A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265831(P2008−265831)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(502308424)株式会社シンプレクス・テクノロジー (1)
【Fターム(参考)】