説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】携帯端末装置と鍵装置との関係を強化することでセキュリティの大幅な向上を期待できるようにする。
【解決手段】携帯電話機1は、鍵装置20から近距離無線通信でロック解除信号を受信した際にロック状態を解除する。これにより携帯電話機1と鍵装置20との距離が近くても鍵装置20からロック解除信号を送信しなければ、ロック状態を解除することができず、鍵装置20との距離を条件とせずに携帯電話機1と鍵装置20との関係を強化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用を制限するロック機能を備えた携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の携帯電話機としての携帯端末装置は、例えば、クレジットカード機能やプリペイドカード機能、公共交通機関の定期券機能、自宅の鍵機能など様々な機能や個人情報である電話帳や写真データなどが集約しており、大変便利である反面、紛失した場合の被害が非常に大きくなる。そのため、携帯端末装置にはパスワードにより個人情報を保護する機能が備わっているが、多くは4桁程度の数字からなるパスワードであり、他人の手に渡った場合にパスワードが解読されるのは時間の問題となる。
【0003】
そこで、従来では、携帯端末装置の紛失時でのリスクを分散させるために携帯端末装置とキー(鍵)装置でシステムを構成して、携帯端末装置側の個人情報を保護する技術が知られている。例えば、携帯端末装置とキー装置との間でID情報を近距離無線通信により相互に送受信し、携帯端末装置とキー装置との距離(電波強度)に応じて携帯端末装置を自動的にロックして個人情報を保護するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−004988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、携帯端末装置とキー装置との距離が離れて受信電力が所定のしきい値を下回ったことを条件にセキュリティ保護を有効とする技術であって、携帯端末装置とキー装置との距離が所定の範囲内であれば、個人情報を保護することはできず、また、携帯端末装置とキー装置との距離が離れた場合に携帯端末装置を自動的にロックするだけでは、紛失した携帯端末装置を見つけ出すことはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、携帯端末装置と鍵装置との関係を強化することでセキュリティの大幅な向上を期待できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために第1の発明の一つの態様は、
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置と対の関係にある鍵装置から近距離無線通信により送信された信号を受信する近距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した信号がロック解除信号である場合に前記ロック状態を解除する処理を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、第1の発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定する機能と、
近距離無線通信機能付きの鍵装置から送信された信号を近距離無線通信により受信する機能と、
前記受信した信号がロック解除信号である場合に前記ロック状態を解除する処理を実行させる機能と、
を実現させるためのプログラム、である。
【0009】
上述した課題を解決するために第2の本発明の一つの態様は、
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置と対の関係にある鍵装置から近距離無線通信により送信された信号を受信する近距離無線通信手段と、
通知音発生手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した信号がロック設定信号である場合に前記ロック状態に設定する処理を実行させると共に、前記通知音発生手段を駆動して該設定処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【0010】
また、第2の発明の他の態様は、
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定する機能と、
近距離無線通信機能付きの鍵装置から送信された信号を近距離無線通信により受信する機能と、
前記受信した信号がロック設定信号である場合に前記ロック状態に設定する処理を実行させると共に、通知音発生手段を駆動して該設定処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる機能と、
を実現させるためのプログラム、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯端末装置と鍵装置との関係を強化することでセキュリティの大幅な向上を期待することができ、実用性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話機1の外観を概略的に示した図。
【図2】携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】鍵装置20の基本構成な要素を示したブロック図。
【図4】携帯電話機1において近距離無線通信で鍵装置20から電波を受信した際に実行開始されるフローチャート。
【図5】第2実施形態において、携帯電話機1に鍵装置20が外部入出力端子4、21を介して接続された際に実行開始されるフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態1)
先ず、図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、携帯端末装置として適用した携帯電話機の外観を概略的に示した図である。
この携帯電話機1は、2つの筐体(下部筐体、上部筐体)が開閉可能に取り付けられた折り畳み自在なもので、この折り畳み型の携帯電話機には、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、近距離(短距離)通信機能などが備えられている。
【0014】
この携帯電話機1を構成する2つの筐体、つまり、下部筐体(操作部筐体)1aと上部筐体(表示部筐体)1bとは、ヒンジ部1cを介して開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられている。そして、この下部筐体1aの前面には通話用マイク2及びキー操作部3が配設され、また、下部筐体1aの一側面にはPC(パーソナルコンピュータ)や充電器などの外部機器に接続可能な他に鍵装置20に接続可能な雌型の外部入出力端子4が配設されている。上部筐体1bの前面には通話用スピーカ5及び表示部6が配設されている。なお、キー操作部5と表示部6とは、下部筐体1aと上部筐体1bとを折り畳んだ状態(閉状態)では互いに向かい合って対向する状態となる。
【0015】
鍵装置20は、携帯電話機1と対をなす関係にあるもので、近距離無線通信機能が備えられている。この鍵装置20の筐体(例えば、携帯電話機1の1/10程度の大きさ)の一側部には、携帯電話機1側の雌型外部入出力端子4に挿入接続される雄型の外部入出力端子21が配設されている。また、筐体の前面には、2種類の押しボタン22、23が配設されている。この押しボタン22は、携帯電話機1側をキーロック状態に設定すべきことを要求するロック設定ボタンであり、他の押しボタン23は、携帯電話機1側のキーロック状態を解除すべきことを要求するロック解除ボタンである。ここで、キーロック状態とは、後述するが、所定のキーを除く他の全てのキー操作を無効とする状態(使用不能な状態)に設定されていることをいう。
【0016】
このロック設定ボタン22及びロック解除ボタン23が操作されると、その操作に応じたロック設定信号やロック解除信号が制御コードとして近距離無線通信により携帯電話機1側に送信される。なお、鍵装置20は、例えば、家の鍵や車の鍵などと一緒にキーホルダで管理することができるようにしているが、その管理の仕方は任意である。このように鍵装置20を携帯電話機1と別々に管理しておくことで、携帯電話機1がキーロック状態に設定されていれば、たとえ、紛失などにより携帯電話機1が他人の手に渡ったとしても、不正操作の心配も無く、携帯電話機1を紛失した際のリスクを減らすことが可能となる。
【0017】
図2は、携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
CPU11は、携帯電話機1の全体動作を制御する中央演算処理装置で、キー操作部3からのキー入力信号に応じて携帯電話機1の各種の処理を実行したり、入力されたデータや処理されたデータを表示部(例えば、液晶表示部)6に表示させたりする。キー操作部3は、各種のキーとして、電源キー、メニューキー、受話キー、数値キーなどを備えたもので、押しボタン式のキーに限らず、液晶表示画面上にタッチセンサを積層配置したタッチキーを構成するものであってもよい。
【0018】
内蔵メモリ12は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどを有する構成で、この内蔵メモリ12には、図4に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、個人情報として、電話帳、メール、スケジュール、メモ、音声、画像、動画など、様々なデータが格納されている。また、内蔵メモリ12には、近距離無線通信のペアリング認識用として使用されるIDコード情報(図示省略)が格納され、更には一時的に情報を記憶するワーク領域としても使用される。
【0019】
無線部13は、アンテナ14を介して最寄りの携帯電話基地局との間で無線通信を行うことにより、電話の着呼や発呼、通話用マイク2及び通話用スピーカ5を使用しての音声通話、インターネット上からコンテンツのダウンロード、電子メールの送受信などを実行可能となっている。開閉検出部15は、下部筐体1aと上部筐体1bとを折り畳んだ状態(閉状態)であるか、2つの筐体を開いた開状態であるかを検出するもので、下部筐体1aと上部筐体1bのいずれか一方の筐体に磁石が配置され、反対側の筐体に、この磁石と対向する位置に磁力を感知する磁気センサを配置した構成となっているが、その構成は、これに限らず、例えば、機械的手段や光学的な手段などであってもよい。
【0020】
開閉検出部15により下部筐体1aと上部筐体1bとを折り畳んだ状態(閉状態)が検出されると、CPU11は、キー操作をロック状態に設定するようにしている。ここで、ロック状態とは、キー操作部3上の各種のキーのうち、所定のキー(例えば、着信に応答する受話キー)を除いた他の全てのキー操作を無効とするキーロック状態を意味している。このように携帯電話機1には、筐体が閉状態となると自動的にキー操作をロック状態とする機能(ロック機能)が備えられている。
【0021】
RF(Radio Frequency)受信部16は、電波を利用した非接触型の受信部で、アンテナ17を介して鍵装置20との間で近距離無線通信を行う。なお、RF受信部16の通信可能範囲は、例えば、2〜3メートル内となっており、鍵装置20を所持しているユーザが通信可能範囲内まで接近している状態において、鍵装置20との間でデータの送受信が行われる。この場合、鍵装置20側においてそのロック設定ボタン22、ロック解除ボタン23が操作されると、その操作に応じて鍵装置20から近距離無線通信により送信されるロック設定信号やロック解除信号をRF受信部16が受信すると、CPU11は、この受信したロック設定信号、ロック解除信号に応じてロック設定処理やロック解除処理を実行するようにしている。なお、ロック解除処理は、近距離無線通信以外に携帯電話機1、鍵装置20の外部入出力端子4、21同士を直接接続した状態においても実行可能である。サウンドスピーカ18は、着信音、各種の通知音、音楽などを発生出力するもので、CPU11の制御下で駆動される。
【0022】
図3は、鍵装置20の基本構成な要素を示したブロック図である。
CPU24は、鍵装置20の全体動作を制御する中央演算処理装置で、このCPU24には、外部入出力端子21、ロック設定ボタン22、ロック解除ボタン23、メモリ25、RF送信部26が接続されている。メモリ25は、例えば、ROM、RAMを有する構成で、本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、近距離無線通信のペアリング認識用として使用されるIDコード情報(図示省略)が格納されている。なお、IDコード情報は、携帯電話機1側に格納されているIDコード情報と同一内容のコード情報である。RF送信部26は、電波を利用した非接触型の送信部で、アンテナ27を介して携帯電話機1との間で近距離無線通信を行う。この場合、RF送信部26からはロック設定ボタン22、ロック解除ボタン23の操作に応じてロック設定信号、ロック解除信号を制御コードとして上述のIDコード情報と共に送信される。
【0023】
次に、第1実施形態における携帯電話機1の動作概念を図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。
図4は、携帯電話機1において近距離無線通信で鍵装置20から電波を受信した際に実行開始されるフローチャートであり、この図4のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0024】
ここで、携帯電話機1と鍵装置20には、共通するユニークなIDコード情報が記憶されているものとする。また、携帯電話機1は、その筐体が閉状態で受話キー以外のキー操作を全て不能とするキーロック状態に設定されているものとする。この状態において、携帯電話機1は、鍵装置20から送信された信号を受信すると、図4のフローを開始する。
先ず、携帯電話機1は、鍵装置20から送信されたIDコード情報及び制御コードを受信する受信処理(ステップS1)を実行した後、内蔵メモリ12からIDコード情報を読み出し、このIDコード情報と受信したIDコード情報とを比較して両者の一致判定を行う(ステップS2)。その結果、両者が一致していなければ(ステップS2でNO)、図4のフローから抜けるが、一致しているときには(ステップS2でYES)、受信した制御コードの種類の判定を行う(ステップS3、S4)。
【0025】
いま、制御コードがキーロック状態に設定すべきことを示すロック設定信号であれば(ステップS3でYES)、受話キー以外のキー入力を無効にするキーロック状態に設定する処理(ステップS8)を行った後、サウンドスピーカ18を駆動させてその処理完了を通知する通知音を発生させる(ステップS9)。また、制御コードがキーロック設定を示すものでなければ(ステップS3でNO)、キーロック解除を示す制御コードであるかの判定を行う(ステップS4)。
【0026】
その結果、制御コードがキーロック解除を示すロック解除信号であれば(ステップS4でYES)、筐体は閉状態であるかを調べ(ステップS5)、閉状態であることを条件に(ステップS5でYES)、全てのキー入力を有効として使用可能とするキーロック解除処理を行う(ステップS6)。そして、サウンドスピーカ18を駆動させてその処理完了を通知する通知音を発生(ステップS7)させた後、図4のフローから抜ける。なお、筐体が閉状態である場合(ステップS5でNO)、又は制御コードがキーロック及びキーロック解除のいずれでもない場合には(ステップS4でNO)、図4のフローから抜ける。
【0027】
以上のように、第1実施形態において携帯電話機1は、鍵装置20から近距離無線通信でロック解除信号を受信した際にロック状態を解除するようにしたので、携帯電話機1と鍵装置20との距離が近くても鍵装置20からロック解除信号が送信されて来なければ、ロック状態を解除せずにロック状態をそのまま維持することができる。このように鍵装置20との距離を条件とせずに携帯電話機1と鍵装置20との関係を強化することができ、セキュリティの大幅な向上を期待することが可能となり、実用性に富んだものとなる。
【0028】
また、携帯電話機1は、鍵装置20からボタン操作によりロック状態を解除したり、ロック状態に設定したりした際に、その処理完了を通知する通知音を発生するようにしたので、例えば、携帯電話機1を家の中のどこかに置き忘れてしまった場合でも、処理の完了通知音によって携帯電話機1を発見し易くなる。
【0029】
また、筐体が閉状態となると自動的にキー操作をロック状態とするようにしたので、たとえ、紛失などにより携帯電話機1が他人の手に渡ったとしても、不正操作の心配も無く、携帯電話機1を紛失した際のリスクを減らすことが可能となる。
【0030】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。
この第2実施形態は、キーロック解除処理に関連付けて鍵装置20との間でデータバックアップ処理を実行したり、データリストア処理を実行したりするようにしたものである。そして、この第2実施形態では、携帯電話機1に鍵装置20が外部入出力端子4、21を介して接続された際に、キーロック状態を自動的に解除するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0031】
図5は、第2実施形態において、携帯電話機1に鍵装置20が外部入出力端子4、21を介して接続された際に実行開始されるフローチャートであり、この図5のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、携帯電話機1は、鍵装置20が接続されると、それらの接続検出処理(ステップS11)を行った後、内蔵メモリ12からIDコード情報を読み出し、このIDコード情報と受信したIDコード情報とを比較して両者の一致判定を行う(ステップS12)。その結果、両者が一致していなければ(ステップS12でNO)、図5のフローから抜けるが、両者が一致しているときには(ステップS12でYES)、キーロック状態を解除する処理を行う(ステップS13)。
【0032】
このようにして鍵装置20の接続に応じてキーロック状態を自動的に解除した後は、表示部6に処理メニュー画面(図省略)を表示させる。この処理メニュー画面には、“データバックアップ”、“データリストア”の項目が含まれており、そのいずれかの項目を選択する選択操作が行われるまで待機状態となる。すなわち、“データバックアップ”の項目が選択されたかを調べたり(ステップS4)、“データリストア”が選択されたかを調べたりして(ステップS15)、そのいずれかが選択されるまで待機状態となる。
【0033】
いま、初期メニュー画面の中からデータバックアップの項目が選択されたときには(ステップS4でYES)、携帯電話機1の内蔵メモリ1212に記憶されているメールや写真、電話帳などの個人情報をセキュリティ対象の情報として外部入出力端子4、21を介して鍵装置20側のメモリ25に転送するバックアップ処理を行う(ステップS19)。そして、サウンドスピーカ18を駆動させてその処理完了を通知する通知音を発生(ステップS20)させると共に、バックアップ処理の完了を示すメッセージを表示部6に表示させる表示処理(ステップS21)を行った後、図5のフローから抜ける。
【0034】
また、上述の処理メニュー画面の中からデータリストアの項目が選択されたときには(ステップS15でYES)、鍵装置20のメモリ25にバックアップされていた個人情報を外部入出力端子21、4を介して携帯電話機1の内蔵メモリ12に転送するリストア処理を実行する(ステップS16)。そして、サウンドスピーカ18を駆動させてその処理完了を通知する通知音を発生(ステップS17)させると共に、リストア処理の完了を示すメッセージを表示部6に表示させる表示処理(ステップS18)を行った後、図5のフローから抜ける。
【0035】
以上のように、第2実施形態において携帯電話機1は、鍵装置2を利用してデータバックアップ処理を実行したり、データリストア処理を実行したりすることができるほか、キーロック解除処理に関連付けて鍵装置20との間でデータバックアップ処理を実行したり、データリストア処理を実行したりするようにしたので、更にセキュリティの向上が可能となる。また、携帯電話機1に鍵装置20が外部入出力端子4、21を介して接続された際に、キーロック状態を自動的に解除することができる。
【0036】
なお、上述した第2実施形態においては、携帯電話機1に鍵装置20が外部入出力端子4、21を介して接続された際に、データバックアップ処理を実行したり、データリストア処理を実行したりするようにしたが、上述した第1実施形態のように近距離無線通信を利用して、データバックアップ処理やデータリストア処理を実行するようにしてもよい。
例えば、図4のステップS8(キーロック処理)の前に、図5のステップS19〜S21を挿入するようにしてもよい。この場合、鍵装置20とのデータの転送として、近距離無線通信を利用すればよい。また、図4のステップS6(キーロック解除処理)の後に、図5のステップS16〜S18を挿入するようにしてもよい。この場合、鍵装置20とのデータの転送として、近距離無線通信を利用すればよい。このようにキーロック処理とデータバックアップ処理とを関連付けて実行したり、キーロック解除処理とデータリストア処理とを関連付けて実行したりすることにより、更にセキュリティを向上させることが可能となる。
【0037】
上述した第1及び第2実施形態においては、ロック状態として受話キー以外のキー操作が全て不能なキーロック状態を示したが、キーロックに限らず、電話帳機能、スケジュール機能、メモ機能など、所定の機能の使用を制限するロック状態であってもよい。
【0038】
上述した第1及び第2実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話機に適用した場合を示したが、デジタルカメラ(コンパクトカメラ)、PDA、音楽プレイヤーなどであってもよい。
【0039】
その他、上述した第1及び第2実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0040】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0041】
(付記1)
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置と対の関係にある鍵装置から近距離無線通信により送信された信号を受信する近距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した信号がロック解除信号である場合に前記ロック状態を解除する処理を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
付記1によれば、対の関係にある鍵装置から近距離無線通信によりロック解除信号を受信した場合にロック状態を解除する処理を実行するようにしたので、鍵装置との距離が近くても鍵装置からロック解除信号を送信しなければ、ロック状態を解除することができず、鍵装置との距離を条件とせずに鍵装置との関係を強化することができ、セキュリティの大幅な向上を期待することが可能となる。
【0042】
(付記2)
通知音発生手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ロック状態を解除する処理を実行した際に、前記通知音発生手段を駆動して該解除処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
付記2によれば、ロック解除処理の完了を通知する通知音を発生するようにしたので、携帯端末装置を置き忘れてしまった場合でも、ロック解除時にそれを発見し易くなる。
【0043】
(付記3)
使用状態に応じた形態に変更可能な複数の筐体が使用不能な形態に変更されたことを検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段により使用不能な形態が検出された場合に、前記ロック状態に設定する処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
付記5によれば、複数の筐体が使用不能な形態に変更された場合に、ロック状態に設定するようにしたので、携帯端末装置が他人の手に渡ったとしても、不正操作の心配も無く、紛失した際のリスクを減らすことが可能となる。
【0044】
(付記4)
前記制御手段は、前記ロック解除処理を実行した後、記憶データを前記鍵装置側に転送するデータバックアップ処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
付記4によれば、ロック解除処理に関連付けて鍵装置側にデータをバックアップすることができ、更にセキュリティを向上させることが可能となる。
【0045】
(付記5)
前記制御手段は、前記ロック解除処理を実行した後、前記鍵装置側にバックアップされているデータを取り込んで復元するデータリストア処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする付記1あるいは付記6記載の携帯端末装置。
付記5によれば、ロック解除処理に関連付けて鍵装置側からデータを取り込んで復元することができ、更にセキュリティを向上させることが可能となる。
【0046】
(付記6)
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置と対の関係にある鍵装置から近距離無線通信により送信された信号を受信する近距離無線通信手段と、
通知音発生手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した信号がロック設定信号である場合に前記ロック状態に設定する処理を実行させると共に、前記通知音発生手段を駆動して該設定処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
付記6によれば、鍵装置からの指示でロック状態に設定することができるほか、ロック設定処理の完了を通知する通知音を発生するようにしたので、携帯端末装置を置き忘れてしまった場合でも、ロック設定時にそれを発見し易くなる。
【0047】
(付記7)
コンピュータに対して、
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定する機能と、
近距離無線通信機能付きの鍵装置から送信された信号を近距離無線通信により受信する機能と、
前記受信した信号がロック解除信号である場合に前記ロック状態を解除する処理を実行させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
付記8によれば、付記1と同様に鍵装置との関係を強化することができ、セキュリティの大幅な向上を期待することが可能なものとなり、付記1の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【0048】
(付記8)
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定する機能と、
近距離無線通信機能付きの鍵装置から送信された信号を近距離無線通信により受信する機能と、
前記受信した信号がロック設定信号である場合に前記ロック状態に設定する処理を実行させると共に、通知音発生手段を駆動して該設定処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
付記8によれば、付記6と同様に鍵装置との関係を強化することができ、セキュリティの大幅な向上を期待することが可能なものとなり、付記6の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 携帯電話機
1a 下部筐体
1b 上部筐体
3 キー操作部
4、21 外部入出力端子
6 表示部
20 鍵装置
11、24 CPU
12 内蔵メモリ
15 開閉検出部
16 RF受信部
17 サウンドスピーカ
25 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置と対の関係にある鍵装置から近距離無線通信により送信された信号を受信する近距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した信号がロック解除信号である場合に前記ロック状態を解除する処理を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
通知音発生手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ロック状態を解除する処理を実行した際に、前記通知音発生手段を駆動して該解除処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
使用状態に応じた形態に変更可能な複数の筐体が使用不能な形態に変更されたことを検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出手段により使用不能な形態が検出された場合に、前記ロック状態に設定する処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ロック解除処理を実行した後、記憶データを前記鍵装置側に転送するデータバックアップ処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ロック解除処理を実行した後、前記鍵装置側にバックアップされているデータを取り込んで復元するデータリストア処理を実行させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定可能な携帯端末装置であって、
当該携帯端末装置と対の関係にある鍵装置から近距離無線通信により送信された信号を受信する近距離無線通信手段と、
通知音発生手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した信号がロック設定信号である場合に前記ロック状態に設定する処理を実行させると共に、前記通知音発生手段を駆動して該設定処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定する機能と、
近距離無線通信機能付きの鍵装置から送信された信号を近距離無線通信により受信する機能と、
前記受信した信号がロック解除信号である場合に前記ロック状態を解除する処理を実行させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
少なくとも所定の機能の使用を制限するロック状態に設定する機能と、
近距離無線通信機能付きの鍵装置から送信された信号を近距離無線通信により受信する機能と、
前記受信した信号がロック設定信号である場合に前記ロック状態に設定する処理を実行させると共に、通知音発生手段を駆動して該設定処理の完了を通知する通知音の発生処理を実行させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109698(P2012−109698A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255513(P2010−255513)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】