説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部を光源部で蓄光させる場合に適切なタイミングで蓄光できるようにする。
【解決手段】オープンボタン8は、操作部筐体1と表示部筐体2とを開かせてその折り畳み状態を解除させるボタンであり、軽く触れただけの一段目の押下操作が行われた際にオンする電気接点スイッチ8aと、深く押し込む二段目の押下操作が行われた際に操作部筐体1と表示部筐体2とを開かせてその折り畳み状態を解除させるメカスイッチ8bを有している。制御回路部11は、このオープンボタン8の一段目の押下操作によりその電気接点スイッチ8aがオンされたか否かに基づいて携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別し、使用開始タイミングであれば、表示部7のバックライト7bを駆動させることによりキー操作部5の蓄光材への蓄光を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話に代表される携帯端末装置にあっては、夜間や照明の無い場所でもキーを操作することができるようにキー操作部には、キーを照明するための照明手段が設けられている。そして、従来では、このキー照明時の消費電流を低減するために蓄光式の夜光材料(蓄光材)を使用し、キー自体を暗所で自発光させるようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
このように蓄光材をキーの照明手段として使用した折り畳み型の携帯端末装置において、通常、持ち運んでいる状態では筐体を閉じているためにキー操作部には、外光(太陽光や人工光)が当たらず、蓄光できないために暗闇での携帯電話の使用時にキー操作部を発光させることができないという問題があった。
【0004】
そこで、更に、従来では、折り畳み型の携帯端末装置に蓄光材を使用する場合に、筐体が閉じている状態(折り畳まれている状態)のときに、液晶表示部のバックライトを点灯させることによりキー操作部への蓄光を行うようにした技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08‐180758号公報
【特許文献2】特開2010‐108772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したようにバックライトの点灯で蓄光させる先行技術にあっては、常にキー操作部が蓄光されている状態を保つようにバックライトを点灯し続ける必要があり、長い間、携帯端末装置が使用されなければ、蓄光のための消費電流が無駄になってしまうという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部を光源部で蓄光させる場合に適切なタイミングで蓄光できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置であって、
当該端末装置を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記光源部を駆動させることにより前記操作部の蓄光材への蓄光を開始する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別する機能と、
前記使用開始タイミングであることが判別された際に、前記光源部を駆動させることにより前記蓄光材への蓄光を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部を光源部で蓄光させる場合に適切なタイミングで蓄光することができ、消費電流の低減により実用性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話機の外観を概略的に示した図。
【図2】携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】オープンボタン5に軽く触れる一段目の押下操作が行われた際に実行開始されるフローチャート。
【図4】第2実施形態における携帯電話機の外観を概略的に示した図。
【図5】第2実施形態における携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図6】第2実施形態において、定期的に発生された割り込みイベントに応じて実行開始される蓄光量計測処理を示したフローチャート。
【図7】第2実施形態において、オープンボタン5に軽く触れる一段目の押下操作が行われた際に実行開始されるフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態1)
先ず、図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、携帯端末装置として適用した携帯電話機の外観を概略的に示した図である。
この携帯電話機は、2つの筐体として操作部筐体(下側筐体)と上側筐体(表示部筐体)とを開閉可能に取り付けた折り畳み自在なもので、この折り畳み型の携帯電話機には、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などが備えられている。
【0013】
この携帯電話機を構成する操作部筐体(下側筐体)1と表示部筐体(上側筐体)2とは、ヒンジ部3を介して開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられている。そして、この操作部筐体1の前面には通話用マイク4及びキー操作部5が配設され、また、表示部筐体2の前面には通話用スピーカ6及び表示部7が配設されている。このキー操作部5と表示部7とは、操作部筐体1と表示部筐体2とを折り畳んだ状態(重ね合った状態:閉状態)では互いに向かい合って対向する状態となる。
【0014】
操作部筐体1の一側面のヒンジ部3側には、オープンボタン8が配設されている。このオープンボタン8は、操作部筐体1と表示部筐体2との折り畳み状態を解除することにより、それらを開いた開状態とするための操作ボタンで、二段押しが可能な押しボタン構造となっている。携帯電話機の使用を開始する際に、オープンボタン8を軽く触れただけの一段目の押下操作が行われた場合には、折り畳み状態の解除の開始を指示し、深く押し込む二段目の押下操作が行われた場合には、操作部筐体1と表示部筐体2とを開かせてその折り畳み状態を解除させる。なお、この携帯電話機には、図示省略したが、操作部筐体1と表示部筐体2とを折り畳み状態でロックするロック機構を有しているほか、オープンボタン8の二段押しによりそのロック状態を外して操作部筐体1と表示部筐体2とをバネ力で開かせるオープン機構を有している。
【0015】
図2は、携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
制御回路部11は、携帯電話機の全体動作を制御するもので、図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。制御回路部11は、キー操作部5からのキー入力信号に応じて携帯電話機の各種の処理を実行する。電源回路部12は、バッテリー13からの電力を必要に応じて携帯電話機の各部に供給する。記憶部14は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどを有する構成で、図3に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、後述する蓄光カウンタ14aを有している。
【0016】
無線回路部15は、アンテナ16を介して最寄りの携帯電話基地局との間で無線通信を行うことにより、電話の着呼や発呼、通話用マイク4及び通話用スピーカ6を使用しての音声通話、インターネット上からコンテンツのダウンロード、電子メールの送受信などを実行可能となっている。開閉検出回路部17は、操作部筐体1と表示部筐体2とを折り畳んだ状態(閉状態)であるか操作部筐体1と表示部筐体2とを開いた開状態であるかを検出するもので、操作部筐体1と表示部筐体2のいずれか一方の筐体に磁石が配置され、反対側の筐体に、この磁石と対向する位置に磁力を感知する磁気センサを配置した構成となっているが、その構成は、これに限らず、例えば、機械的手段や光学的な手段などであってもよい。
【0017】
キー操作部5は、そのキーボード5aの上に各種の押しボタン式のキー5bが配設されたもので、キーボード5aの表面全域及び各キー5bのキートップ部分には、暗所での使用を可能とする照明手段として蓄光性を有する蓄光材(夜光材)が使用されている。なお、蓄光材は、太陽、蛍光灯、発光ダイオードなどからの光エネルギを吸収(蓄光)して発光するもので、例えば、発光輝度や残光性の優れたアルミナ系酸化物などの材料である。表示部7は、液晶表示パネル7aとバックライト7bを有するもので、バックライト7bとして、例えば、小型化が可能な白色LED(発光ダイオード)を使用している。操作部筐体1と表示部筐体2とを折り畳んだ状態(重ね合った状態)においてバックライト7bの点灯によりキー操作部5の蓄光材への蓄光が行われる。
【0018】
オープンボタン8は、軽く触れただけの一段目の押下操作が行われた際にオンする電気接点スイッチ8aと、深く押し込む二段目の押下操作が行われた際に操作部筐体1と表示部筐体2とを開かせてその折り畳み状態を解除させるメカスイッチ8bとを有し、この電気接点スイッチ8aのスイッチング信号(オン/オフ信号)は、制御回路部11に入力される。制御回路部11は、電気接点スイッチ8aからのスイッチング信号に基づいて携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別するようにしている。
【0019】
すなわち、携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングとは、操作部筐体1と表示部筐体2とを開かせて表示部7の表示内容を視認可能な状態としたり、キー操作部5を操作可能な状態としたりするための直前の状態を意味し、実施形態においては上述のようにオープンボタン8を軽く触れただけの一段目の押下操作が行われた状態を示しているが、これに限らず、後述するが、操作部筐体1と表示部筐体2とを開き始めた状態、携帯電話機を手に持ち始めた状態などであってもよい。
【0020】
ここで、制御回路部11は、電気接点スイッチ8aがオンされたときに携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングであると判断して、表示部7のバックライト7bを点灯駆動させることによりキー操作部5の蓄光材への蓄光を制御するようにしている。この場合、制御回路部11は、表示部7の画面全体を白表示させるように制御すると同時に、バックライト7bを最大輝度で点灯させるように制御することにより、キー操作部5の蓄光材を瞬時に蓄光させるようにしている。
【0021】
このようにオープンボタン8を二段押し構造とすることでユーザ(使用者)にあっては、オープンボタン8に軽く触れてからオープンボタン8を押し込むまでの時間を意図的に調整することにより、キー操作部5への蓄光の強さ(蓄光される時間)を容易に調整することが可能となる。例えば、暗い環境下で長めに携帯電話機を使用したいときには、オープンボタン8に触れてからオープンボタン8を押し込むまでの時間を長めにすることによりキー操作部5への蓄光を強くすること、つまり、キー操作部5の発光時間を長くすることができる。逆に、明るい環境下で携帯電話機を使用したいときには、キー操作部5の発光が必要ないためにオープンボタン8を触れると同時に一気に押し込むことによりキー操作部5への蓄光を最短の時間とすることにより、無駄な電力消費を抑えるという、使い方も可能となる。
【0022】
次に、第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図3に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。
図3は、オープンボタン5に軽く触れる一段目の押下操作が行われた際に実行開始されるフローチャートであり、この図3のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0023】
先ず、制御回路部11は、オープンボタン8の一段目の押下操作によりその電気接点スイッチ8aがオンされると、開閉検出回路部17の検出結果に基づいて操作部筐体1と表示部筐体2との開閉状態を判定する(ステップS1)。ここで、オープンボタン8を触れると同時に一気に押し込むことにより操作部筐体1と表示部筐体2とを開かせたときには(ステップS1でNO)、キー操作部5への蓄光が不要であると判断して図3のフローから抜けるが、操作部筐体1と表示部筐体2とが閉状態のままであれば、つまり、オープンボタン8が深く押し込まれていなければ(ステップS1でYES)、キー操作部5への蓄光が必要であると判断してステップS2に移り、表示部7のバックライト7bを駆動させてキー操作部5の蓄光材への蓄光を開始する。この場合、上述したように表示部7の画面全体を白表示させると同時に、バックライト7bを最大輝度で点灯させることにより瞬時に蓄光させる。このような蓄光開始に伴って、蓄光継続時間を計測する蓄光カウンタ14aの計測動作を開始させる。
【0024】
そして、開閉検出回路部17の検出結果に基づいて開閉状態の判定を行い(ステップS3)、閉状態のままであれば(ステップS3でYES)、上述の蓄光カウンタ14aの計測時間を取得して所定時間を経過したか、つまり、蓄光を開始して現時点までの蓄光継続時間は、所定時間を超えたかを調べる(ステップS4)。
【0025】
ここで、ユーザがオープンボタン8に軽く触れることにより電気接点スイッチ8aをオンさせたものの、オープンボタン8が押し込まれなかったものとすると、蓄光が延々続いてしまってバッテリー13を無駄に消費してしまうことになるため、それを防ぐためにステップS4では、蓄光継続時間を監視するようにしているが、本実施形態では所定時間を“30秒”としている。なお、所定時間をユーザ操作により任意に設定可能としてもよく、例えば、“20秒”や“40秒”などとしてもよい。
【0026】
いま、蓄光継続時間が所定時間未満であれば(ステップS4でNO)、上述のステップS3に戻って、所定時間を超えるまで待機状態となるが、蓄光継続時間が所定時間を超えたとき(ステップS4でYES)又は所定時間未満でも開状態となったときには(ステップS3でNO)、表示部7の駆動を終了させてキー操作部5の蓄光材への蓄光を終了させる(ステップS5)。この場合、表示部7の白表示を停止させると共に、バックライト7bを消灯させ、更には、蓄光カウンタ14aの計測動作を停止させてその計測値をクリアする。その後、図3のフローから抜ける。
【0027】
以上のように、第1実施形態において制御回路部11は、操作部筐体1と表示部筐体2とが折り畳まれている状態において、オープンボタン8の一段目の押下操作によりその電気接点スイッチ8aがオンされたか否かに基づいて携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別し、使用開始タイミングであれば、表示部7のバックライト7bを駆動させることによりキー操作部5の蓄光材への蓄光を開始するようにしたので、キー操作部5を表示部7で蓄光させる場合に適切なタイミングで蓄光することができ、消費電流を大幅に低減できるほか、使用直前での蓄光であるために照明効果も高くなり、実用性に富んだものとなる。
【0028】
また、オープンボタン8を二段押し構造とするようにしたので、使用者にあっては、オープンボタン8に軽く触れてからオープンボタン8を押し込むまでの時間を意図的に調整することにより、キー操作部5への蓄光の強さ(時間)を調整することを容易に行うことが可能となる。
【0029】
表示部7のバックライト7bを蓄光の光源部とするようにしたので、蓄光専用としての光源部を新たに設けなくても、表示部7のバックライト7bを兼用することができる。また、蓄光を開始してから所定時間の経過後にバックライト7bを停止するようにしたので、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0030】
以下、この発明の第2実施形態について図4〜図7を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、携帯電話機の使用開始時に蓄光を開始するようにしたが、この第2実施形態にあっては、携帯電話機の使用中に蓄光された蓄光時間に相当する発光可能な時間(発光時間)を計測しておき、携帯電話機の使用開始時に発光時間が所定値未満か否かに応じて表示部7の駆動による蓄光を制御するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0031】
図4は、第2実施形態における携帯電話機の外観を概略的に示した図である。
この携帯電話機は、上述した第1実施形態と同様に、折り畳み型で、操作部筐体(下側筐体)1と表示部筐体(上側筐体)2とは、ヒンジ部3を介して開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられている。この操作部筐体1の前面には通話用マイク4及びキー操作部5が配設されている。また、表示部筐体2の前面には通話用スピーカ6及び表示部7が配設されている。操作部筐体1の一側面のヒンジ部3側には二段押し構造のオープンボタン8が配設されている。そして、この第2実施形態において操作部筐体1の前面のヒンジ部3側には操作部筐体1の周辺の明るさを検出するための照度センサ9が配設されている。
【0032】
図5は、第2実施形態における携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。この第2実施形態においても第1実施形態と同様に、携帯電話機の全体動作を制御する制御回路部11を中核として、通話用マイク4、キー操作部5、通話用スピーカ6、表示部7、液晶表示パネル7a、バックライト7b、オープンボタン8、電気接点スイッチ8a、メカスイッチ8b、電源回路部12、バッテリー13、記憶部14、無線回路部15、開閉検出回路部17などを備えているが、この第2実施形態では更に、照度センサ9を備えている。また、記憶部14には、蓄光開始に伴って、蓄光継続時間を計測する蓄光カウンタ14aのほか、発光カウンタ14bを備えている。
【0033】
制御回路部11は、照度センサ9の検出結果を定期的に参照して、操作部筐体1の周囲は明るいか暗いかを判定し、その判定結果に基づいて発光カウンタ14bの値を更新するようにしている。発光カウンタ14bは、携帯電話機の使用状況によりキー操作部5に蓄光された時間に相当する発光可能な時間(発光時間)を計測するもので、制御回路部11は、携帯電話機の使用開始時に発光時間が所定値未満であれば、表示部7の駆動による強制的な蓄光を開始して、その発光時間を捕捉するようにしている。
【0034】
キー操作部5は、第1実施形態と同様に、そのキーボード5a及び各キー5bには、暗所での使用のために蓄光性を有する蓄光材が使用されているが、この蓄光材は、一般家庭での蛍光灯の照明程度の明るさでも十分に蓄光が可能なもので、蓄光された時間の10倍程度の発光時間(暗闇で十分な視認性を保つことができる発光時間)が得られる性能である。例えば、性能について第2実施形態では、720秒(12分)の蓄光時間で最大7200秒(120分)の発光時間が得られるものとする。
【0035】
図6は、第2実施形態において、定期的(例えば、5秒間隔)に発生された割り込みイベントに応じて実行開始される蓄光量計測処理を示したフローチャートである。
先ず、制御回路部11は、照度センサ9によりキー操作部5の周囲が明るいか暗いかの判定を行う(ステップS11)。この場合の判定は、一般家庭での蛍光灯の照明以上の明るさを明るいと判定し、それよりも暗い場合を暗いと判定するようにしている。
【0036】
その結果、明るいと判定したときには(ステップS11でYES)、発光カウンタ14bの値に“50秒”を加算する(ステップS12)。すなわち、上述のように割り込みイベントが5秒間隔で発生されるので、割り込みイベントから次の割り込みイベントが発生されるまでの時間が蓄光時間(5秒)となり、この蓄光時間の10倍の発光時間を発光カウンタ14bに加算する。これによって、発光カウンタ14bの値が発光の最大値“7200秒”を越えたかを調べ(ステップS13)、最大値を越えたときには(ステップS13でYES)、発光カウンタ14bの値を最大値(7200秒)とする(ステップS14)。
【0037】
一方、照度センサ9によりキー操作部5の周囲が暗いかと判定したときには(ステップS11でNO)、発光カウンタ14bの値から“5秒”を減算する(ステップS15)。その結果、発光カウンタ14bの値が発光の最小値“0秒”以下になったかを調べ(ステップS16)、最小値の“0秒”以下であれば(ステップS16でYES)、発光カウンタ14bの値を最小値“0秒”とする(ステップS17)。このような蓄光量計測処理は、割り込みイベントが発生する毎(例えば、5秒毎)に繰り返される結果、発光カウンタ14bの値は、蓄光された時間の10倍の時間が発光時間となる。
【0038】
図7は、第2実施形態において、オープンボタン5に軽く触れる一段目の押下操作が行われた際に実行開始されるフローチャートであり、この図7のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、制御回路部11は、オープンボタン8の一段目の押下操作によりその電気接点スイッチ8aがオンされると、開閉検出回路部17の検出結果に基づいて操作部筐体1と表示部筐体2との開閉状態を判定する(ステップS21)。
【0039】
ここで、オープンボタン8を触れると同時に一気に押し込むことにより操作部筐体1と表示部筐体2とを開いたときには(ステップS21でNO)、キー操作部5への蓄光が不要であると判断して図7のフローから抜けるが、閉状態のままでオープンボタン8が深く押し込まれていなければ(ステップS21でYES)、発光カウンタ14bの値は所定時間“600秒”未満であるか、つまり、発光時間が不足しているか否かを調べる(ステップS22)。いま、発光カウンタ14bの値が“600秒”未満であれば(ステップS22でYES)、発光時間が不足していると判断して以下、第1実施形態と同様に、表示部7を駆動させてキー操作部5の蓄光材への蓄光を開始させる(ステップS23)。この蓄光開始に伴って、蓄光継続時間を計測する蓄光カウンタ14aの計測動作を開始させる。
【0040】
そして、開閉検出回路部17の検出結果に基づいて開閉状態の判定を行い(ステップS24)、閉状態のままであれば(ステップS24でYES)、上述の蓄光カウンタ14aの計測時間を取得して所定時間(例えば、30秒)を経過したかを調べる(ステップS25)。その結果、所定時間未満であれば(ステップS25でNO)、上述のステップS24に戻って、所定時間を超えるまで待機状態となるが、所定時間を超えたときには(ステップS25でYES)又は所定時間未満であっても開状態となったときには(ステップS24でNO)、表示部7の駆動を終了させてキー操作部5の蓄光材への蓄光を終了(ステップS26)させた後、図7のフローから抜ける。一方、発光カウンタ14bの値が所定時間“600秒”以上であれば(ステップS22でYES)、発光時間が足りていると判断して、表示部7の駆動による蓄光を行わずに、図7のフローから抜ける。
【0041】
以上のように、第2実施形態において制御回路部11は、照度センサ9の計測結果に基づいてキー操作部5の蓄光材に蓄光された状況として蓄光材が発光可能な発光時間を計測しておき、携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングの際に、この発光時間が所定時間未満であれば蓄光材への蓄光を開始し、所定時間以上であれば蓄光材への蓄光を抑制するようにしたので、発光時間が不足している場合には、蓄光を捕捉するが、発光時間が十分であれば、蓄光を行わずに即座に発光を行うことができ、電力消費を抑えることができる。その他、第2実施形態において上述した第1実施形態と同様の効果を有する。
【0042】
なお、上述した第2実施形態においては、照度センサ9の計測結果に基づいてキー操作部5の蓄光材に蓄光された状況として蓄光材が発光可能な発光時間を計測するようにしたが、蓄光された時間を計測しておき、携帯電話機を使用し始める使用開始タイミングの際に、蓄光時間が所定時間未満であるかを判別し、所定時間未満であれば蓄光材への蓄光を開始し、所定時間以上であれば蓄光材への蓄光を抑制するようにしてもよい。
【0043】
なお、上述した第1及び第2実施形態においては、操作部筐体1と表示部筐体2とが折り畳まれている状態において、オープンボタン8の操作に応じてその折り畳み状態を解除して操作部筐体1と表示部筐体2とをバネ力で開かせるオープン機構を備えたが、このようなボタン操作によるオープンに限らず、手の力で操作部筐体1と表示部筐体2とを開くようにしてもよい。
【0044】
上述した第1及び第2実施形態においては、オープンボタン8に軽く触れたことを検出した際に、携帯電話機の使用開始タイミングであると判定するようにしたが、開閉検出回路部17により操作部筐体1と表示部筐体2との開き始め(例えば、開度5°)を検出し、この開き始めを検出した際に携帯電話機の使用開始タイミングであると判定するようにしてもよい。この場合、開閉検出回路部17に電気的・機械的・光学的なスイッチ手段などを設けて開き始めを検出するようにしてもよく、その検出の仕方は任意である。
【0045】
また、上述した第1及び第2実施形態においては、オープンボタン8に軽く触れたことを検出した際に、携帯電話機の使用開始タイミングであると判定するようにしたが、操作部筐体1の両側に人体接触を検出するタッチセンサ(図示省略)を配設し、このタッチセンサへの人体接触状態に基づいて携帯電話機の使用開始タイミングであると判定するようにしてもよい。
【0046】
この場合、タッチセンサへの人体接触状態として、操作部筐体1の両側に配設されているタッチセンサが同時に人体接触されたこと、且つその接触時間が所定時間(例えば、1秒)以上であることを条件に、携帯電話機の使用開始タイミングであると判定するようにしてもよい。また、操作部筐体1の両側に配設されているタッチセンサが同時に人体接触されたこと、且つ操作部筐体1と表示部筐体2との開き始め(例えば、開度5°)を検出したことを条件に、携帯電話機の使用開始タイミングであると判定するようにしてもよい。
【0047】
上述した第1及び第2実施形態においては、操作部筐体1と表示部筐体2とを折り畳み自在としたが、折り畳み自在に限らず、例えば、操作部筐体1と表示部筐体2とをスライド可能なものにおいて、操作部筐体1を180°回転させてそのキー操作部5を表示部7側に向けた状態で操作部筐体1と表示部筐体2とをスライドさせるようにしてもよい。
【0048】
上述した第1及び第2実施形態においては、表示部7のバックライト7bを光源部としたが、着信報知用の発光ダイオードなどを兼用したり、専用の光源を設けたりするようにしてもよい。また、蓄光対象の操作部は、キーボード上に各種のキーを配設したものに限らず、単一のボタンなどであってもよい。
【0049】
上述した第1及び第2実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話機に適用した場合を示したが、デジタルカメラ(コンパクトカメラ)、PDA、音楽プレイヤーなどであってもよい。
【0050】
その他、上述した第1及び第2実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0051】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0052】
(付記1)
蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置であって、
当該端末装置を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記光源部を駆動させることにより前記操作部の蓄光材への蓄光を開始する制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
付記1によれば、当該端末装置を使用し始める使用開始タイミングを条件に光源部を駆動させて操作部の蓄光材への蓄光を開始するようにしたので、操作部を光源部で蓄光させる場合に適切なタイミングで蓄光することができ、消費電流の低減により実用性に富んだものとなる。
【0053】
(付記2)
前記判別手段は、前記操作部を備えた操作部筐体と前記光源部としての表示部を備えた表示部筐体との折り畳み状態を解除する操作が開始されたか否かに基づいて使用開始タイミングであるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする付記1に記載の携帯端末装置。
付記2によれば、折り畳み状態を解除する操作の開始を使用開始タイミングとして判別することができる。
【0054】
(付記3)
前記操作部筐体と表示部筐体との折り畳み状態を解除する操作子を更に備え、
前記判別手段は、前記操作子が操作された際を使用開始タイミングとして判別する付記2に記載の携帯端末装置。
付記3によれば、操作子の操作を使用開始タイミングとすることができる。
【0055】
(付記4)
前記操作部筐体と表示部筐体との折り畳み状態を解除する前記操作子は、複数段押しが可能な押しボタンであり、
前記判別手段は、前記押しボタンの一段目の押下を検出した際に、前記解除操作が開始されたと判別し、
前記制御手段は、前記押しボタンの一段目の押下で前記操作部の蓄光材への蓄光を開始し、該押しボタンの二段目以降の押下で蓄光を終了する、
ようにしたことを特徴とする付記3に記載の携帯端末装置。
付記4によれば、押しボタンの一段目の押下で蓄光を開始し、二段目以降の押下で蓄光を終了するようにしたので、使用者の意思に応じて操作部への蓄光の強さ(時間)を容易に調整することができる。
【0056】
(付記5)
前記光源部は、表示部の表示面を照明するバックライトであり、
前記制御手段は、前記表示部のバックライトを駆動させることにより前記蓄光材への蓄光を制御する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜4のいずれかの付記に記載の携帯端末装置。
付記5によれば、表示部の表示面を照明するバックライトを蓄光の光源部とするようにしたので、蓄光専用の光源部を新たに設けなくても、バックライトを蓄光用として兼用することができる。
【0057】
(付記6)
前記制御手段は、前記光源部の駆動を開始してから所定時間が経過した際にその駆動を停止させる、
ようにしたことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の携帯端末装置。
付記6によれば、光源部の駆動を自動的に停止するようにしたので、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0058】
(付記7)
前記操作部の周辺の明るさを計測する照度センサの計測結果に基づいて前記蓄光材に蓄光された状況を数量として計測する計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記計測手段による計測結果に基づいて前記蓄光材への蓄光を制御する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の携帯端末装置。
付記7によれば、蓄光材に蓄光された状況を数量として計測しておき、当該端末装置の使用開始タイミングの際に、その計測結果に基づいて蓄光を制御するようにしたので、蓄光を適切に制御することができる。
【0059】
(付記8)
前記計測手段は、前記照度センサの計測結果に基づいて前記蓄光材に蓄光された状況として前記蓄光材が発光可能な発光時間を計測し、
前記制御手段は、前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記計測手段により計測された発光時間が所定時間未満であるかを判別し、所定時間未満であれば前記蓄光材への蓄光を開始し、所定時間以上であれば前記蓄光材への蓄光を抑制する、
ようにしたことを特徴とする付記7に記載の携帯端末装置。
付記8によれば、蓄光材に蓄光された状況を発光時間として計測しておき、当該端末装置の使用開始タイミングの際に、発光時間に応じて蓄光を行うか否かを制御することができる。
【0060】
(付記9)
前記操作部は、キーボード上に各種のキーを備えたキー操作部であり、
前記蓄光材は、少なくとも前記キーボード、各キーのいずれかにを設ける、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の携帯端末装置。
付記9によれば、キーボードや各キー自体に蓄光材を使用するようにしたので、効果的な照明が可能となる。
【0061】
(付記10)
コンピュータに対して、
蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別する機能と、
前記使用開始タイミングであることが判別された際に、前記光源部を駆動させることにより前記蓄光材への蓄光を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。
付記10によれば、付記1と同様に操作部を光源部で蓄光させる場合に適切なタイミングで蓄光することができ、消費電流の低減により実用性に富んだものとなり、付記1の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 操作部筐体
2 表示部筐体
5 キー操作部
7 表示部
7b バックライト
8 オープンボタン
8a 電気接点スイッチ
8b メカスイッチ
11 制御回路部
9 照度センサ
14 記憶部
17 開閉検出回路部
18 発光カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置であって、
当該端末装置を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記光源部を駆動させることにより前記操作部の蓄光材への蓄光を開始する制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記操作部を備えた操作部筐体と前記光源部としての表示部を備えた表示部筐体との折り畳み状態を解除する操作が開始されたか否かに基づいて使用開始タイミングであるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記操作部筐体と表示部筐体との折り畳み状態を解除する操作子を更に備え、
前記判別手段は、前記操作子が操作された際を使用開始タイミングとして判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記操作部筐体と表示部筐体との折り畳み状態を解除する前記操作子は、複数段押しが可能な押しボタンであり、
前記判別手段は、前記押しボタンの一段目の押下を検出した際に、前記解除操作が開始されたと判別し、
前記制御手段は、前記押しボタンの一段目の押下で前記操作部の蓄光材への蓄光を開始し、該押しボタンの二段目以降の押下で蓄光を終了する、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記光源部は、表示部の表示面を照明するバックライトであり、
前記制御手段は、前記表示部のバックライトを駆動させることにより前記蓄光材への蓄光を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記光源部の駆動を開始してから所定時間が経過した際にその駆動を停止させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記操作部の周辺の明るさを計測する照度センサの計測結果に基づいて前記蓄光材に蓄光された状況を数量として計測する計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記計測手段による計測結果に基づいて前記蓄光材への蓄光を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記計測手段は、前記照度センサの計測結果に基づいて前記蓄光材に蓄光された状況として前記蓄光材が発光可能な発光時間を計測し、
前記制御手段は、前記判別手段により使用開始タイミングであることが判別された際に、前記計測手段により計測された発光時間が所定時間未満であるかを判別し、所定時間未満であれば前記蓄光材への蓄光を開始し、所定時間以上であれば前記蓄光材への蓄光を抑制する、
ようにしたことを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記操作部は、キーボード上に各種のキーを備えたキー操作部であり、
前記蓄光材は、少なくとも前記キーボード、各キーのいずれかにを設ける、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項10】
コンピュータに対して、
蓄光性を有する蓄光材を使用した操作部と光源部を備えた携帯端末装置を使用し始める使用開始タイミングであるか否かを判別する機能と、
前記使用開始タイミングであることが判別された際に、前記光源部を駆動させることにより前記蓄光材への蓄光を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−114615(P2012−114615A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260914(P2010−260914)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】