説明

携帯端末装置及び携帯端末通信システム並びにプログラム

【課題】電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置を使用して、電気製品から携帯端末装置への機能の引き継ぎを特別な操作を行うことなく実現できるようにする。
【解決手段】携帯電話機1は、電気製品(テレビ受像機)10と同種の機能(テレビ機能)を備え、電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のいずれかの電力量が所定の閾値を越えた場合に、テレビ受像機10に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号(電源オフ信号)を送信すると共に、テレビ受像機10と同種の機能(テレビ機能)を起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置及び携帯端末通信システム並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機(携帯端末装置)には電話機としての本来の通話機能以外にも、例えば、テレビ放送受信機能、音楽/動画再生機能などのように電力消費が比較的多い重負荷な機能が搭載されている。一方、昨今、地球温暖化の原因となる温室効果ガス(CO2)の排出量を減らしたり、震災などによる電力供給不足を回避したりするためにも商用電力使用量の削減が要望されている。そして、従来では、このような要望に応える技術として、例えば、商用電力を供給する電力事業者側において、供給電力(消費電力)が制限要請の電力量を越えた際に、家庭などの電力消費者側の携帯電話機に電子メールを送信して電力使用の制限要請を通知するようにし、携帯電話機は、この電力使用の制限要請を受信した際に、電気製品(エアコン、テレビ)に対してリモコン信号を送出して、その電気製品の電源を“オフ(OFF)”するようにした技術が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−188877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術にあっては、現在の供給電力(消費電力)が制限要請の電力量を越えた際に、携帯電話機を介して電気製品(エアコン、テレビ)の電源を強制的にオフするようにしているために、突発的な停電と同様な状態となってしまう。その結果、例えば、テレビ視聴中に電力使用がオーバーしたような場合には、テレビ視聴が突然中断してしまい、名場面などを見逃してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明の課題は、電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置を使用して、電気製品から携帯端末装置への機能の引き継ぎを特別な操作を行うことなく容易に実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置であって、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号を送信するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
電気製品と、この電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置とを有する携帯端末通信システムであって、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末通信システムである。
【0008】
更に、上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する手段と、
前記取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する手段と、
前記電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号を送信するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う手段と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置を使用して、電気製品から携帯端末装置への機能の引き継ぎを特別な操作を行うことなく容易に実現することができ、電力使用の抑制効果と利便性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話機が利用可能な通信システム(携帯端末通信システム)の概要を示したブロック図。
【図2】携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】電力事業者(供給者)側のサーバ装置6及び電力消費者側のサーバ装置7から電力量を取得するタイミング毎に実行開始される動作を示したフローチャート。
【図4】図3の動作に続くフローチャート。
【図5】本発明の機能を説明するための機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
図1は、携帯端末装置として適用した携帯電話機が利用可能な通信システム(携帯端末通信システム)の概要を示したブロック図である。
この携帯端末通信システムは、電気製品(家電製品)と、この電気製品と同種の機能を備えた携帯電話機とを有する通信システムで、この携帯電話機1は、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、テレビ機能、リモコン機能、無線LAN(Local Area Network)通信機能などが備えられている。
【0012】
テレビ機能は、デジタルテレビ放送を受信する機能であり、リモコン機能は、家庭内の電気機器(本実施形態ではテレビ受像機)を、近距離通信を介してリモートコントロールする機能である。携帯電話機1は、最寄りの基地局2を介して無線通信網3に接続されると、この無線通信網3を介して他の携帯電話機(図示省略)との間で通話や電子メールの送受信が可能な状態となり、また、無線通信網3を介してインターネット4に接続されると、電子メールの送受信やWebページの閲覧が可能となる。
【0013】
携帯電話機1は、上述のテレビ機能の動作時に、テレビ局5から発信される地上波デジタル放送を受信することによりその放送番組を視聴可能な状態となっている。なお、携帯電話機1は、無線通信網3、インターネット4を介して画像配信装置(図示省略)からデジタル放送をダウンロード受信することによりテレビ放送を視聴可能な状態とするようにしてもよい。更に、携帯電話機1は、無線通信網3及びインターネット4を介して電力事業者(供給者)側のサーバ装置6に接続されている。電力事業者側のサーバ装置6は、電力事業者側が供給している商用電力として地域別の現在の総電力量を管理するもので、携帯電話機1は、定期的(例えば、1分間隔や5分間隔毎)に電力事業者側のサーバ装置6をアクセスすることにより、このサーバ装置6から自宅が属する地域の総電力量を受信取得するようにしている。
【0014】
また、携帯電話機1は、家庭内の無線LANシステムを構築する電力消費者(ユーザ)側のサーバ装置7に通信接続されている。この電力消費者側のサーバ装置7には、家庭用電気メータ8が接続されていると共に、無線用のアクセスポイント9が接続されており、携帯電話機1は、定期的(例えば、1分間隔や5分間隔毎)に電力消費者側のサーバ装置7をアクセスすることにより、このサーバ装置7から家庭用電気メータ8で計測された現在の総電力量を、アクセスポイント9を介して受信取得するようにしている。
【0015】
ここで、携帯電話機1は、電力事業者側のサーバ装置6から受信取得した総電力量、電力消費者側のサーバ装置7から受信取得した総電力量のうち、そのいずれかの総電力量が対応する所定の閾値を越えたか否かを定期的にモニタリングするようにしている。この場合、電力事業者側のサーバ装置6から取得した電力量と比較される閾値は、商用電力の集中使用によって地域停電などが起き得る危険性のある電力量間際の値で、例えば、電力事業者による最大供給電力量に対してその90%の値などである。また、電力消費者側のサーバ装置7から取得した電力量と比較される閾値は、予めユーザ操作により任意に設定されたもので、家庭内での過去の電力使用状況などを考慮して真夏時や真冬時での最大消費電力量に対してその95%の値などであるが、その値は、ユーザの節電への意識レベルなどにより任意である。更に、電力量と閾値とを比較する場合に、電力量の瞬時値が閾値を越えたかを調べたり、所定期間(例えば、1週間、1ヶ月など)のように電力量の累計値が閾値を超えたかを調べたりするようにしてもよく、その比較の方法は任意である。
【0016】
携帯電話機1は、電力事業者側のサーバ装置6、電力消費者側のサーバ装置7をアクセスしてそのいずれからの電力量が、対応する閾値を越えたことを検出した際に、電気製品(テレビ受像機)10に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号としてその主電源を切断させる電源オフ(OFF)信号を、リモコン機能を介して送信すると共に、この電気製品10と同種の機能(テレビ機能)をオン(ON)させて自動起動させるようにしている。つまり、携帯電話機1は、モニタリング対象の電力量が対応する閾値を越えた際に、電気製品(テレビ受像機)10から携帯電話機1のテレビ機能への引き継ぎを行うようにしている。
【0017】
図2は、携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
中央制御部11は、二次電池を備えた電池部12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機1の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリ(図示省略)などを有している。この記憶部13には、プログラム記憶部M1、各種情報一時記憶部M2などが設けられている。なお、記憶部13は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しない所定の外部サーバ上にあってもよい。プログラム記憶部M1は、図3及び図4に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それに必要とする情報などが記憶されている。各種情報一時記憶部M2は、フラグ情報、タイマ情報、画面情報など、携帯電話機1が動作するために必要な各種の情報を一時的に記憶するワーク領域である。
【0018】
無線通信部14は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局2との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調して中央制御部11に対して出力すると、中央制御部11は、音声信号処理部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化した後、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナAT1から発信出力させる。
【0019】
表示部16は、例えば、高精細液晶や有機EL(Electro Luminescence)などを使用したもので、例えば、待受画像、アイコン、日時情報のほか、テキストデータ、メール、Webページ、テレビ放送番組などを表示するもので、テレビ機能の使用時にはテレビ映像を表示するテレビ画面となる。操作部17は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部11は、この操作部17からの入力操作信号に応じた処理を実行する。例えば、電源オンオフ操作に応じて電源オン/オフ処理を行ったり、テレビ機能のオン/オフを制御したりする。
【0020】
テレビ受信部18は、地上波デジタルテレビ放送と共に、電子番組表(EPG)などの番組情報も含めて受信可能なもので、アンテナAT2から放送信号を抽出する受信部(アナログ回路部)と、受信した放送信号をOFDM(直交周波数分割多重)復調したり、多重化されている放送信号から映像、音声、データ(文字データ)に分離して復号化したり、圧縮データの解凍などを行うデジタル回路部を有している。リモコン通信部19は、上述したように電気製品(テレビ受像機)10をリモートコントロールするリモコン機能を構成するもので、このリモコン通信部19とテレビ受像機10との間では、赤外線通信あるいはBluetooth(登録商標)通信などを使用した近距離通信が可能となっているが、本実施形態では、Bluetooth(登録商標)通信のリモコン機能を使用するようにしている。
【0021】
リモコン通信部19とテレビ受像機10との間では、アンテナAT3を介して双方向に近距離通信が可能となっており、携帯電話機1は、テレビ受像機10に対して上述の電源オフ信号(リモコン信号)をリモコン通信部19から送信するに先立って、テレビ受像機10から現在の選局情報(チャンネル情報)を、リモコン通信部19を介して受信取得して、テレビ受信部18に設定するようにしている。これによってテレビ受像機10で視聴していたテレビ番組がそのまま携帯電話機1のテレビ機能に引き継がれるようになる。また、LAN通信部20は、家庭内の無線LANシステムを構築する無線LAN用の通信インターフェイスであり、アンテナAT4を介して信号の送受信を行う。
【0022】
次に、本実施形態における携帯電話機1の動作概念を図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。
図3及び図4は、電力事業者側のサーバ装置6及び電力消費者側のサーバ装置7から電力量を取得するタイミング毎に実行開始される動作を示したフローチャートである。なお、各サーバ装置から電力量を定期的に取得するための時間間隔は、例えば、5分間隔、1分間隔などのようにユーザ操作によって予め任意に設定されたもので、その設定時間が経過する毎に図3及び図4のフローが実行開始される。
【0023】
先ず、携帯電話機1の中央制御部11は、引き継ぎフラグ(図示省略)を参照して、その引き継ぎフラグは“オフ”されているかを調べる(ステップS1)。ここで、引き継ぎフラグは、テレビ受像機10により視聴中のテレビ放送番組をそのまま携帯電話機1のテレビ機能に引き継いでいる状態であることを示すフラグである。いま、引き継ぎフラグが“オン”されている場合、つまり、テレビ受像機10から携帯電話機1への引き継ぎが行われている場合には(ステップS1でNO)、図4のステップS14に移る。
【0024】
また、引き継ぎフラグが“オフ”されている場合、つまり、テレビ受像機10から携帯電話機1への引き継ぎが行われていない場合には(ステップS1でYES)、電力事業者側のサーバ装置6をアクセスすることにより、そのサーバ装置6から自宅が属する地域の電力量を受信取得し(ステップS2)、その電力量が所定の閾値A1を越えているかを調べる(ステップS3)。なお、地域の電力量と比較される閾値A1は、上述したように例えば、電力事業者による地域別の最大供給電力量に対してその90%の電力量などである。
【0025】
ここで、電力事業者側のサーバ装置6から取得した電力量が所定の閾値A1を越えていなければ(ステップS3でNO)、電力消費者側のサーバ装置7をアクセスすることにより、そのサーバ装置7から家庭用電気メータ8で計測されている電力量を、アクセスポイント9を介して受信取得し(ステップS4)、その電力量が所定の閾値B1を越えているかを調べる(ステップS5)。なお、家庭の電力使用量と比較される閾値B1は、上述したように例えば、家庭内での過去の電力使用状況などを考慮して、真夏時や真冬時での最大消費電力量に対してその95%の電力量などである。
【0026】
いま、電力事業者側のサーバ装置6、電力消費者側のサーバ装置7から取得した電力量のうち、そのいずれかの電力量がその閾値A1又は閾値B1を越えている場合には(ステップS3でYESあるいはステップS5でYES)、テレビ受像機10から携帯電話機1への引き継ぎ処理に移る(ステップS6〜S11)。先ず、携帯電話機1は、テレビ受像機10から現在の動作に関する情報として選局情報(チャンネル情報)を受信取得する(ステップS6)。そして、テレビ受像機10と同種の機能(テレビ機能)であるテレビ受信部18をオンして起動させた後(ステップS7)、受信取得した選局情報をテレビ受信部18に設定することによりチャンネル切り換えを行う(ステップS8)。これによってテレビ受像機10で視聴中の番組内容がそのまま携帯電話機1に引き継がれることになる。
【0027】
そして、テレビ受像機10から携帯電話機1への引き継ぎを行う旨のメッセージを端末画面(テレビ画面)の所定位置、例えば、片隅部に表示させる(ステップS9)。そして、テレビ受像機10に対してその電力使用を抑制するためにその主電源をオフさせる電源オフ信号(リモコン信号)をリモコン通信部19から送信する(ステップS10)。なお、図示省略したが、テレビ受像機10で視聴中の番組内容をそのまま携帯電話機1に引き継いでからテレビ受像機10の主電源をオフするまでの間に、引き継ぎ準備時間(例えば、3秒間)を設定しておき、この引き継ぎ準備時間が経過した際に、テレビ受像機10の主電源をオフするようにしてもよい。これによって引き継ぎが完了すると、上述した引き継ぎフラグを“オン”させた後(ステップS11)、図3及び図4のフローから抜ける。
【0028】
このようにしてテレビ受像機10から携帯電話機1への引き継ぎが行われた状態においては、電力取得タイミングに達して図3のフローが開始されると、引き継ぎフラグは“オン”されているので、図4のフローに移り、携帯電話機1は、電力事業者側のサーバ装置6をアクセスすることにより、そのサーバ装置6から自宅が属する地域の電力量を受信取得し(ステップS12)、その電力量が所定の閾値A2未満であるかを調べる(ステップS13)。ここで、地域の電力量と比較される閾値A2は、電力事業者による最大供給電力量に対してその80%以下の値などのように下回った場合、つまり、地域停電などが起きる危険性が解消された場合の電力量であり、上述した閾値A1との関係は、A1>A2となっている。いま、地域の電力量が所定の閾値A2以上のままであれば(ステップS13でNO)、上述の引き継ぎ状態を継続するために、図3及び図4のフローから抜ける。
【0029】
いま、地域の電力量が所定の閾値A2未満まで下がった場合には(ステップS13でYES)、電力消費者側のサーバ装置7をアクセスすることにより、そのサーバ装置7から家庭用電気メータ8で計測された電力量を、アクセスポイント9を介して受信取得し(ステップS14)、その電力量が所定の閾値B2未満であるかを調べる(ステップS15)。ここで、家庭の電力量と比較される閾値B2は、家庭内での過去の電力使用状況などを考慮して、真夏時や真冬時での最大消費電力量に対してその85%の電力量などのように家庭内の電力使用量が下回った場合の電力量であり、上述した閾値B1との関係は、B1>B2となっている。いま、家庭内の電力量が所定の閾値B2以上のままであれば(ステップS15でNO)、上述の引き継ぎ状態を継続するために、図3及び図4のフローから抜けるが、家庭内の電力量が所定の閾値B2未満まで下がった場合には(ステップS15でYES)、上述の引き継ぎ状態を解除して元の状態に復帰させる処理に移る(ステップS16〜S20)。
【0030】
すなわち、地域の電力量が所定の閾値A2未満まで下回り(ステップS13でYES)、かつ家庭内の電力量が所定の閾値B2未満まで下回った場合には(ステップS15でYES)、テレビ受像機10に対してその電力使用の抑制を解除する電力抑制解除信号として、その電源オン信号(リモコン信号)をリモコン通信部19から送信すると共に(ステップS16)、テレビ受信部18に設定されている選局情報をリモコン通信部19から送信する(ステップS17)。これによってテレビ受像機10側では主電源のオンと共に、受信した選局情報に基づいてチャンネル切り換えを行う。その後、携帯電話機1側のテレビ受信部18をオフしてその動作を停止する(ステップS18)。
【0031】
なお、図示省略したが、テレビ受像機10をオンしてから携帯電話機1側のテレビ受信部18をオフするまでの間に、引き継ぎ解除時間(例えば、3秒間)を設定しておき、この引き継ぎ解除時間が経過した際に、携帯電話機1側のテレビ受信部18をオフするようにしてもよい。これによって引き継ぎ解除が完了すると、上述の引き継ぎメッセージ表示を消去すると共に(ステップS19)、上述の引き継ぎフラグを“オフ”させる(ステップS20)。その後、図3及び図4のフローから抜ける。
【0032】
以上のように本実施形態において携帯電話機1は、電気製品(テレビ受像機)10と同種の機能(テレビ機能)を備え、電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のいずれかの電力量が所定の閾値を越えた場合に、テレビ受像機10に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号(電源オフ信号)を送信すると共に、電気製品10と同種の機能(テレビ機能)を起動するようにしたので、テレビ受像機10と同種の機能を備えた携帯電話機1を使用して、テレビ受像機10から携帯電話機1への機能の引き継ぎを特別な操作を行うことなく容易に実現することができ、電力使用の抑制効果と共に利便性に富んだものとなる。この場合、テレビ受像機10よりも消費電力の少ない携帯電話機1を利用し、かつ充電した電力を使用するために商用電力の大幅な削減が可能となる。
【0033】
携帯電話機1は、取得した電力量が所定の閾値を越えた場合に、テレビ受像機10が現在実行中の動作に関する情報として選局情報を受信取得して携帯電話機1のテレビ機能に設定するようにしたので、テレビ受像機10の動作をそのまま引き継ぐことが可能となり、ユーザにあっては、テレビ受像機10で視聴中の番組内容をそのまま携帯電話機1で視聴することができる。
【0034】
携帯電話機1は、取得した電力量が所定の閾値を越えた後にその閾値よりも下回った場合に、テレビ受像機10に対してその電力使用の抑制を解除する電力抑制解除信号として電源オン信号を送信するようにしたので、特別な操作を行うことなく、機能の引き継ぎ状態から元の状態に復帰させることができる。
【0035】
携帯電話機1は、取得した電力量が所定の閾値を越えた後にその閾値よりも下回った場合に、テレビ受像機10から引き継いだ動作に関する情報として選局情報を元のテレビ受像機10に送信して復帰させるようにしたので、特別な操作を行うことなく、機能の引き継ぎ状態から元の状態に復帰させることができる。
【0036】
携帯電話機1側で、電力事業者側のサーバ装置6、電力消費者側のサーバ装置7をアクセスして電力消費者側で消費している電力量や電力事業者側が供給している電力量を受信取得し、そのいずれかの電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別するようにしたので、携帯電話機1の主導の下、商用電力の使用を抑制することが可能となる。
【0037】
なお、上述した実施形態において携帯電話機1は、取得した電力量が所定の閾値を越えた場合に、テレビ受像機10が現在実行中の動作に関する情報として選局情報を受信取得して携帯電話機1のテレビ機能に設定するようにしたが、テレビ受像機10が待機中状態の場合にその揮発メモリに格納されている情報(例えば、録画予約情報など)を動作に関する情報として受信取得するようにしてもよい。この場合、携帯電話機1は、テレビ受像機10から受信取得した録画予約情報などをテレビ機能(テレビ受信部18)にスタンバイ情報(待機中情報)として設定するようにすれば、テレビ受像機10の主電源を停止させることができ、待機電力の消費を抑えることが可能となる。この場合、携帯電話機1は、テレビ受像機10から録画予約情報などを取得した後、テレビ受像機10の主電源を停止させる電源オフ信号を電力抑制信号(リモコン信号)としてテレビ受像機10に送信するようにすればよい。
【0038】
また、上述した実施形態においては、電力消費者側で消費している電力量や電力事業者側が供給している電力量のいずれか一方が所定の閾値を越えた場合に、電気製品10の電力使用を抑制するようにしたが、その両方の電力量が所定の閾値をそれぞれ越えた場合に、テレビ受像機10の電力使用を抑制するようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態においては、電力消費者側で消費している電力量及び電力事業者側が供給している電力量が所定の閾値をそれぞれ下回った場合に、テレビ受像機10に対する電力使用の抑制を解除するようにしたが、そのいずれか一方が所定の閾値を下回った場合に、電力使用の抑制を解除するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態においては、テレビ受像機10の電力使用を抑制する電力抑制信号として電源オフ信号を送信するようにしたが、例えば、画面の明るさを下げる明るさ制限信号や音量を下げる音量制限信号を送信するようにしてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態においては、電気製品としてテレビ受像機10を例示した場合を示したが、パーソナルコンピュータ、音楽プレイヤー、DVD/ブルーレイレコーダなどのAV機器であってもよい。また、電気製品と同種の機能としては、ブラウザ・文書作成機能、音楽/動画再生機能を搭載した携帯電話機1であってもよい。この場合、携帯電話機1は、電気製品の動作に関する情報として、閲覧中のURL、作成/編集中の文書ファイル、再生中の音楽/動画ファイル、録画予約の情報をその電気製品から受信取得して引き継ぐようにしてもよい。また、電気製品としては固定電話機であってもよい。この場合、電気製品の動作に関する情報として、固定電話機から携帯電話機1に着信情報を転送するようにしてもよい。これによって固定電話機の使用を携帯電話機1に代替えすることができる。
【0042】
また、上述した実施形態においては、商用電力を電源として駆動する電気機器を例示したが、太陽光発電などによる独立電力を電源として駆動する電気機器であっても同様に適用可能である。
【0043】
また、上述した実施形態においては、携帯電話機1の単体に適用した場合を例示したが、電気製品(テレビ受像機)10と、このテレビ受像機10と同種の機能(テレビ機能)を備えた携帯電話機1とを有する携帯端末通信システムにおいて、上述した図3及び図4のフローと基本的に同様の動作を電力消費者側のサーバ装置7で実行するようにすればよい。すなわち、電力消費者側のサーバ装置7は、電力消費者側で消費している電力量や電力事業者側が供給している電力量を受信取得し、そのいずれかの電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別し、そのいずれかの電力量が所定の閾値を越えた場合に、テレビ受像機10に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号(電源オフ信号)を送信すると共に、テレビ受像機10と同種の機能(テレビ機能)を起動させるようにしてもよい。これによってテレビ受像機10と同種の機能を備えた携帯電話機1を使用して、テレビ受像機10から携帯電話機1への機能の引き継ぎを特別な操作を行うことなく実現することができる。
【0044】
また、上述した携帯端末通信システムにおいては、電力消費者側のサーバ装置7が電力量を取得して所定の閾値を越えたか否かを判別するようにしたが、上述の実施形態と同様に、その電力量の取得と判別を携帯電話機1側で行うようにしてもよい。更に、電気製品(テレビ受像機)10側でその電力量の取得と判別を行うようにしてよい。この場合、電気製品(テレビ受像機)10は、電力消費者側で消費している電力量や電力事業者側が供給している電力量を受信取得し、そのいずれかの電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別し、そのいずれかの電力量が所定の閾値を越えた場合に、自己の電力使用を抑制し、テレビ受像機10と同種の機能(テレビ機能)を起動させるようにすればよい。
【0045】
また、上述した携帯端末通信システムとしては、ホーム・エネルギー・マネージメント・システム(HEMS)、ビル・エネルギー・マネージメント・システム(BEMS)などのシステムに利用するようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話機に適用した場合を示したが、デジタルカメラ(コンパクトカメラ)、PDA、音楽プレイヤーなどであってもよい。
【0047】
その他、上述した実施形態において示した“機”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限らない。
【0049】
(付記1)
図5は、付記1の構成図である。この図に示すように、付記1記載の発明は、
電気製品101(図1ではテレビ受信機10)と同種の機能を備えた携帯端末装置102(図1では携帯電話機1)であって、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する取得手段103(図2では携帯電話機1の中央制御部11、記憶部13、リモコン通信部19)と、
前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する判別手段104(図2では携帯電話機1の中央制御部11、記憶部13)と、
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号を送信するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う制御手段105(図2では携帯電話機1の中央制御部11、記憶部13、テレビ受信部18、リモコン通信部19)と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【0050】
(付記2)
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品が現在実行中の動作に関する情報を受信する受信手段を更に備え、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した動作に関する情報を前記電気機器と同種の機能に設定することにより当該電気製品の動作を引き継ぐ制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【0051】
(付記3)
前記判別手段は、前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えた後に、電力量がその閾値よりも下回ったか否かを更に判別し、
前記制御手段は、前記電気製品に対して電力抑制を解除する信号を送信するほか、その電気製品から引き継いだ動作に関する情報を当該電気製品に送信して復帰させる制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【0052】
(付記4)
前記受信手段は、前記電気製品が待機中状態の場合にその揮発メモリに格納されている情報を動作に関する情報として受信し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した動作に関する情報を前記電気機器と同種の機能に待機中情報として設定する、
ようにしたことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【0053】
(付記5)
前記制御手段は、前記電気製品に送信する電力抑制信号として、当該電気機器の主電源を停止させる電源オフ信号を送信する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【0054】
(付記6)
電気製品と、この電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置とを有する携帯端末通信システムであって、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末通信システム。
【0055】
(付記7)
コンピュータに対して、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する手段と、
前記取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する手段と、
前記電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号を送信するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う手段と、
を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0056】
1 携帯電話機
3 無線通信網
4 インターネット
6 電力事業者側のサーバ装置
7 電力消費者側のサーバ装置
8 家庭用電気メータ
10 電気製品(テレビ受像機)
11 中央制御部
13 記憶部
16 表示部
17 操作部
18 テレビ受信部
19 リモコン通信部
20 LAN通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置であって、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号を送信するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品が現在実行中の動作に関する情報を受信する受信手段を更に備え、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した動作に関する情報を前記電気機器と同種の機能に設定することにより当該電気製品の動作を引き継ぐ制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えた後に、電力量がその閾値よりも下回ったか否かを更に判別し、
前記制御手段は、前記電気製品に対して電力抑制を解除する信号を送信するほか、その電気製品から引き継いだ動作に関する情報を当該電気製品に送信して復帰させる制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記電気製品が待機中状態の場合にその揮発メモリに格納されている情報を動作に関する情報として受信し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した動作に関する情報を前記電気機器と同種の機能に待機中情報として設定する、
ようにしたことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。

【請求項5】
前記制御手段は、前記電気製品に送信する電力抑制信号として、当該電気機器の主電源を停止させる電源オフ信号を送信する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
電気製品と、この電気製品と同種の機能を備えた携帯端末装置とを有する携帯端末通信システムであって、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末通信システム。
【請求項7】
コンピュータに対して、
電力消費者側で消費している電力量、電力事業者側が供給している電力量のうち、少なくともそのいずれかの電力量を取得する手段と、
前記取得した電力量が所定の閾値を越えたか否かを判別する手段と、
前記電力量が所定の閾値を越えたと判別された場合に、前記電気製品に対してその電力使用を抑制する電力抑制信号を送信するほか、前記電気機器と同種の機能を起動する制御を行う手段と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−58822(P2013−58822A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194508(P2011−194508)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】