説明

携帯端末装置及び自己診断方法

【課題】電話機能を有する携帯端末装置のアプリケーションへの操作によって自己診断する。
【解決手段】診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、アプリケーションの不具合を診断する自己診断処理部と、自己診断処理部を活性化して、アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更する起動メニュー変更部と、アプリケーションの指定を受け付けると、変更された起動コマンドを実行する自己診断制御部と、アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示するユーザ表示部と、自己診断処理部によって、アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納される記憶部と、診断の終了が検出されると、ログデータを、アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信する診断結果送信部とを有する携帯端末装置により達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションに対して自己診断可能な携帯端末装置及び自己診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電話機能を備えた携帯端末装置が広く普及するようになった。電話機能を備えた携帯端末装置は、例えば、携帯電話などであるが、電話機能を備えていることにより、ユーザは通常携帯して使用しており、不具合が発生した場合には、日常生活に影響を与えかねない。従って、メーカなどは、不具合に対する迅速な対応が求められている。
【0003】
例えば、携帯端末装置に内蔵された集積回路に発生した故障現象を、ダウンロードしたテストプログラムにより試験することができるようにした技術などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−150543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話などの携帯端末装置が期待した動きをしない場合、ユーザは、先ず販売店に持ち込む。販売店では、ユーザから携帯端末装置の不具合の状況を聞くものの、その不具合がハード故障なのか、ソフト障害なのかを区別するためには専門的な知識が必要であることから、不具合の状況によっては、ユーザの携帯端末装置を預かってメーカに修理を依頼(預かり修理)せざるを得ない場合がある。預かり修理の場合、ユーザは携帯端末装置を修理の期間は使用できない。
【0006】
一方で、ユーザが期待した動きをしないと訴える不具合が、必ずしも、機能(アプリケーション)に問題があるとは限らず、ユーザの操作に寄るものでアプリケーションは正常に動作している場合もある。そのような場合には、不具合と思われた状況は、ユーザに操作手順を説明するのみで解決し、預かり修理をする必要がないこともある。
【0007】
このため、携帯端末装置では、機能が正常動作しているかをテストする自己診断機能を遠隔から起動し、その結果を回収する機能が搭載され始めており、例えばOMA−DM(Device Management)のような国際標準仕様として利用されている。
【0008】
しかしながら、上述した従来技術のようなテスト専用のプログラム又はアプリケーションを用いて、ユーザの携帯端末装置をテストする技術では、不具合が生じた際のユーザの操作を再現してテストすることができないと言った問題がある。また、再現テストが行えないことから、ユーザが訴えるところの不具合に係る診断に役立つ操作ログ、及び正常又は障害などの状態を示すログなどを適切に得ることが困難であると言った問題がある。
【0009】
携帯端末装置においては、種々のソフトウェアの搭載により多様な機能を実現できるようになってきており、ハードウェア及び搭載されたアプリケーションの不具合も多様化し、より適切な診断と迅速な対応が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術は、診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、該アプリケーションの不具合を診断する自己診断部と、前記自己診断部を活性化した状態で、前記アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更する変更部と、前記アプリケーションの指定を受け付けると、前記変更された起動コマンドを実行する指定受付部と、前記変更された起動コマンドが実行されると、前記アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示する操作手順表示部と、前記活性化された前記自己診断部によって、前記アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納される記憶部と、前記自己診断部によって前記診断の終了が検出されると、ネットワークを介して、前記記憶部に格納された前記ログデータを、前記アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信するログデータ送信部と、を有することを特徴とする携帯端末装置のように構成される。
【0011】
また、上記課題を解決するための手段として、コンピュータによって実行される自己診断方法、及び上記携帯端末装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、及びそのプログラムを記憶した記憶媒体とすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術では、診断専用のアプリケーションを用いることなく、携帯端末装置のアプリケーション自身を用いて、そのアプリケーションへの操作手順をユーザに指定することによって、ユーザの操作に応じたアプリケーションの動作を自己診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】システム構成例を示す図である。
【図2】携帯端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】遠隔管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図4】UI部品の占有状態を説明するための図である。
【図5】アプリケーションの実行状態を説明するための図である。
【図6】自己診断処理を説明するためのフローチャート図である。
【図7】シナリオ内容の例を示す図である。
【図8】起動コマンドの書き換え例を示す図である。
【図9】起動メニューの画面例を示す図である。
【図10】操作手順メッセージの例を示す図である。
【図11】ユーザの選択に応じてキャプチャされた画面データ例を示す図である。
【図12】診断結果メッセージの例を示す図である。
【図13】ユーザの操作ミスの場合の画面データ例を示す図である。
【図14】遠隔管理サーバへ送信されるログデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施例に係るシステムにおける自己診断方法は、ユーザ自身によって携帯端末装置の機能を実現するアプリケーションへの操作を再現させ、再現中のユーザの実操作、及び、そのユーザの実操作に応じたアプリケーションの動作状況から、ユーザの操作による不具合であるのか、アプリケーションの障害(バグ)であるのかの判断を可能とするものである。
【0015】
本実施例に係るシステムは、図1に示すようなシステム構成を有する。図1は、システム構成例を示す図である。図1に示すシステム1000は、携帯端末装置100と、遠隔管理サーバ200とがネットワーク2を介して接続され、携帯端末装置100と、ヘルプセンター300とが、電話回線網5を介して接続される。また、ヘルプセンター300は、遠隔管理サーバ200とネットワーク2を介して接続される。
【0016】
システム1000において、ユーザが携帯している携帯端末装置100で、期待した動きをしない不具合が生じると、ヘルプセンター300に電話をかけ、不具合についてオペレータ3に問い合わせる。オペレータ3は、不具合を遠隔診断によって診断するために、携帯端末装置100の電話番号又は電子メールを示す遠隔診断を行うためのシナリオデータ171rの送付先情報と、遠隔診断タイプとを含む自己診断活性化要求を、PC(Personal Computer)等の端末3aから遠隔管理サーバ200へ送信する。
【0017】
遠隔診断タイプは、ユーザの携帯端末装置100に不具合が発生したときに使用していた機能を診断するためのタイプを特定する情報である。遠隔診断タイプには、アプリケーション名を含んでもよい。
【0018】
シナリオデータ171rは、携帯端末装置100を診断するためにユーザの操作を誘導するための操作手順と、ログタイプなどを指定する情報を含むデータである。また、シナリオデータ171rは、携帯端末装置100の機能毎に異なるため、診断対象の機能をその機能識別情報で特定する。機能識別情報は、機能を実現するアプリケーションを特定するアプリケーション名、更に、詳細に機能を特定する情報などを含んでもよい。
【0019】
遠隔管理サーバ200は、携帯端末装置100のアプリケーションの不具合を管理するサーバ装置であり、ヘルプセンター300からの自己診断活性化要求に応じて、その自己診断活性化要求で指定される送付先情報へ、遠隔診断タイプに対応するシナリオデータ171rを携帯端末装置100へ送信する。
【0020】
携帯端末装置100は、シナリオデータ171rを受信すると、シナリオデータ171rに従って、ユーザに所望するアプリケーションを実際に操作させ、不具合に係るログデータ9を取得する。不具合に係るログデータ9は、遠隔管理サーバ200へ送信され、遠隔管理サーバ200によってログデータ9に基づいて診断される。
【0021】
図1を参照しつつ、上述した自己診断方法に係る機能構成について説明する。
【0022】
携帯端末装置100は、電話通信部130と、自己診断処理部140と、記憶部170とを有する。記憶部170は、活性化データ領域171と、起動コマンドデータ領域172と、操作ログデータ領域173と、診断用操作ログデータ領域174と、画面ログデータ領域175などを有し、自己診断処理に係るデータを格納する。記憶部170は図2のメモリユニット12の記憶領域の一部に相当する。
【0023】
電話通信部130と、ユーザ入力部131と、操作記録部132と、診断結果送信部134と、ユーザ表示部133と、自己診断処理部140と、活性化データ領域171と、起動コマンドデータ領域172と、操作ログデータ領域173と、診断用操作ログデータ領域174と、画面ログデータ領域175とは、後述されるCPU11がプログラムを実行することによって行われる処理によって実現される。
【0024】
電話通信部130は、ユーザが電話回線網を介して通話するための電話通信を行う処理部である。
【0025】
自己診断処理部140は、自己診断制御部141と、起動メニュー変更部142と、ユーザ入力部143と、操作記録部144と、操作手順追加部145と、操作記録検査部146と、ユーザ操作修正部147と、ユーザ表示部148と、診断実行結果記録部149と、診断結果送信部150とを更に有する。
【0026】
自己診断制御部141は、遠隔管理サーバ200からシナリオデータ171rを受信すると、自己診断処理を活性化する処理部である。例えば、シナリオデータ171rとして、遠隔管理サーバ200からメール機能を自己診断するためのメールシナリオデータ171bを受信すると、自己診断制御部141は、活性化データ領域171にメールシナリオデータ171bを追加する。メールシナリオデータ171bが追加されることによって、既に取得してあったカメラシナリオデータ171aと、メールシナリオデータ171bとが活性化データ領域171に格納される。自己診断制御部141は、起動メニュー変更部142にアプリケーションの起動コマンドの書き換えを指示する。
【0027】
起動メニュー変更部142は、自己診断制御部141によって起動されると、ユーザが起動メニューからアプリケーションを選択した際に、自己診断処理部140を介して選択したアプリケーションが実行されるように、起動コマンドデータ領域172に記憶されているアプリケーションを起動するための起動コマンドを書き換えることによって起動メニューを変更する。起動コマンドの書き換え方法は後述される。起動コマンドの書き換え後に携帯端末装置100の表示ユニット13(図2)に、書き換えられた起動コマンドを用いた起動メニューが表示される。
【0028】
ユーザ入力部143は、ユーザが表示ユニット13(図2)に表示された画面から所望の情報を選択するなどにより情報が入力されると、その入力された情報を受け付ける。起動メニューからユーザが所望する診断対象となるアプリケーションを選択した場合、ユーザ入力部143は、ユーザが選択したアプリケーションを指定する情報を受け付ける。
【0029】
操作記録部144は、ユーザ入力部143によるユーザ入力の受け付けに応じて、ユーザの操作を示す操作ログデータを操作ログデータ領域173に追加して記録する。
【0030】
一方、自己診断制御部141は、ユーザによる診断対象のアプリケーションの選択に応じて、操作手順追加部145に対して、選択されたアプリケーションに対応するシナリオデータ171rを指定して、アプリケーションが提供する画面表示に追加して、ユーザに操作させる操作手順を表示させるように指示する。
【0031】
操作手順追加部145は、自己診断制御部141からの指示に応じて、指定されたシナリオデータ171rから、ユーザの操作を誘導するために操作手順を取得して、選択されたアプリケーションの起動前に、ユーザ表示部148に操作手順の表示を指示する。また、操作手順追加部145は、操作記録検査部146へ診断開始を通知する。診断開始の通知には、シナリオデータ171rが指定される。例えば、メール機能の自己診断を行う場合、メールシナリオデータ171bが指定される。
【0032】
操作記録検査部146は、ユーザ操作修正部147及び診断実行結果記録部149に対して、診断開始及び診断終了の通知を行う。操作記録検査部146は、診断実行結果記録部149に対しては、診断開始の通知で指定されたシナリオデータ171rに基づいて、ログタイプを指定する。
【0033】
また、操作記録検査部146には、診断開始の通知時にシナリオデータ171rを指定しておく。診断開始後は、操作記録検査部146は、操作ログデータ領域173に新たな操作ログデータが格納されたか否かを検査して、新たな操作ログデータを検出した場合、ユーザ操作修正部147に対して、ユーザの操作を示す操作情報を通知する。
【0034】
ユーザ操作修正部147は、シナリオデータ171rを参照して、操作情報に基づいて、ユーザの操作がシナリオデータ171rで指定される操作手順に一致するか否かを判断する。ユーザの操作がシナリオデータ171rで指定される操作手順に一致しない場合、ユーザ操作修正部147は、ユーザ表示部148に、ユーザに再度操作してもらうためのメッセージを表示ユニット13(図2)で表示させる。
【0035】
ユーザ表示部148は、操作手順追加部145又はユーザ操作修正部147からの指示に応じた表示を表示ユニット13(図2)に行う。
【0036】
診断実行結果記録部149は、操作記録検査部146からの診断開始の通知に応じて、指定されたログタイプに対応する操作ログデータを操作ログデータ領域173から取得して診断用操作ログデータ領域174に格納する。また、診断実行結果記録部149は、診断開始から診断終了までの間、所定間隔又はシナリオデータ171rにて指定された事象が発生する毎に画面をキャプチャし、キャプチャした画面データにタイムスタンプを付加した画面ログデータを画面ログデータ領域175に追加して格納する。診断実行結果記録部149は、操作記録検査部146からの診断終了の通知に応じて、診断結果送信部150に、記憶部170に格納されているログデータを遠隔管理サーバ200へ送信を要求する。
【0037】
操作記録検査部146と診断実行結果記録部149とを一つの自己診断部140aとして構成してもよい。
【0038】
診断結果送信部150は、診断実行結果記録部149からの要求に応じて、記憶部170の診断用操作ログデータ領域174に格納されている操作ログデータと、画面ログデータ領域175に格納されている画面ログデータとを、遠隔管理サーバ200へネットワーク4を介して送信する。
【0039】
携帯端末装置100において、ユーザ自身の判断で所望の機能を診断できるようにしてもよい。その場合、自己診断制御部141は、起動メニュー変更部142に対して、活性化データ領域171に既に存在するシナリオデータ171rの全てに対して、対応するアプリケーションの起動コマンドの変更を指示すればよい。
【0040】
また、変更された起動コマンドは、診断終了時に、起動メニュー変更部142によって、通常の起動コマンドに書き戻すようにしてもよい。単に、操作に不慣れであったことが原因である場合、操作手順を用いて正しい操作を示す誘導によって、ユーザは正しい操作を習得することができ、不要な預かり修理による不都合を回避することができる。
【0041】
活性化データ領域171は、遠隔管理サーバ200から受信した機能毎のシナリオデータ171rを格納するための記憶領域である。例えば、カメラ機能の動作を診断するためのカメラシナリオデータ171a、メールシナリオデータ171bなどのシナリオデータ171rが格納される。
【0042】
起動コマンドデータ領域172は、各アプリケーションを起動するための起動コマンドを格納するための記憶領域である。複数のアプリケーションが存在する場合には夫々に対応する起動コマンドが起動コマンドデータ領域172内に格納されている。ユーザが起動メニューから機能(アプリケーション)を選択すると、対応する起動コマンドがCPU11(図2)によって読み出されて実行されることにより選択されたアプリケーションが起動する。
【0043】
操作ログデータ領域173は、ユーザの操作を示す操作ログを時系列に蓄積して格納するための記憶領域である。
【0044】
診断用操作ログデータ領域174は、シナリオデータ171rで指定されるログタイプのログデータを格納するための記憶領域である。画面ログデータ領域175は、診断開始から診断終了までにキャプチャした画面データにタイムスタンプを付加した画面ログデータを格納するための記憶領域である。
【0045】
遠隔管理サーバ200は、主に、自己診断遠隔起動部220と、診断結果受信部230と、記憶部270とを有する。記憶部270は、図3のメモリユニット212及び記憶装置217の記憶領域の一部に相当し、シナリオデータ管理領域271と、受信ログデータ管理領域272とを有する。
【0046】
自己診断遠隔起動部220と、診断結果受信部230と、シナリオデータ管理領域271と、受信ログデータ管理領域272とは、後述するCPU211(図3)がプログラムを実行することによって行われる処理によって実現される。
【0047】
自己診断遠隔起動部220は、ネットワーク4を介して、ヘルプセンター300から送信された自己診断活性化要求に応じて、その自己診断活性化要求で指定される遠隔診断タイプに対応するシナリオデータ171rを記憶部270のシナリオデータ管理領域271から取得して、携帯端末装置100へ送信する。
【0048】
診断結果受信部230は、携帯端末装置100からネットワーク4を介してログデータ9を受信すると、受信したログデータ9に送信元情報を付加して記憶部270に格納する。記憶部270に格納されたログデータ9は、携帯端末装置100にてシナリオデータ171rに従った自己診断処理中に取得した操作ログデータと画面ログデータとを含む。
【0049】
シナリオデータ管理領域271は、携帯端末装置100の診断対象の機能毎のシナリオデータ171rを格納し管理するための記憶領域である。機能毎のシナリオデータ171rとして、カメラシナリオデータ171a、メールシナリオデータ171bなどが、シナリオデータ管理領域271に格納され管理される。
【0050】
受信ログデータ管理領域272は、携帯端末装置100から受信した操作ログデータと画面ログデータとを含むログデータ9を格納する記憶領域である。
【0051】
図2は、携帯端末装置100のハードウェア構成を示す図である。図2に示す携帯端末装置100は、コンピュータによって制御される端末装置であって、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリユニット12と、表示ユニット13と、入力ユニット14と、音声処理ユニット15と、通信ユニット16と、ドライバ18とを有し、システムバスBに接続される。
【0052】
CPU11は、メモリユニット12に格納されたプログラムに従って携帯端末装置100を制御する。メモリユニット12には、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read-Only Memory)等が用いられ、CPU11にて実行されるプログラム、CPU11での処理に必要なデータ、CPU11での処理にて得られたデータ等を格納する。また、メモリユニット12の一部の領域が、CPU11での処理に利用されるワークエリアとして割り付けられている。
【0053】
表示ユニット13は、CPU11の制御のもとに必要な各種情報を表示する。入力ユニット14は、マウス、キーボード等を有し、ユーザが携帯端末装置100が処理を行なうための必要な各種情報を入力するために用いられる。
【0054】
音声処理ユニット15は、音声の入出力制御を行い、マイク15aと、スピーカ15bとを有する。マイク15は、音声入力装置であり、スピーカ15bは音声出力装置である。
【0055】
通信ユニット16は、ネットワーク通信部16aと、電話回線通信装置16bとを有する。ネットワーク通信部16aは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)等に接続し、管理サーバ200(図2)などの外部装置との間の通信制御をするための装置である。電話回線通信装置16bは、電話による発呼及び着呼による通信接続を制御し、通話を可能とする電話機能を提供する装置である。
【0056】
ドライバ18は、外部記憶媒体19へのデータの書き込み、又は、外部記憶媒体19へのデータの読み出しを行うためのインタフェースを提供する。外部記憶媒体19は、マイクロSDなどのフラッシュメモリ型電子媒体等である。
【0057】
図3は、遠隔管理サーバ200のハードウェア構成を示す図である。図3に示す遠隔管理サーバ200は、コンピュータによって制御されるサーバ装置であって、CPU211と、メモリユニット212と、表示ユニット213と、出力ユニット214と、入力ユニット215と、通信ユニット216と、記憶装置217と、ドライバ18とを有し 、システムバスBに接続される。
【0058】
CPU211は、メモリユニット212に格納されたプログラムに従って遠隔管理サーバ200を制御する。メモリユニット212には、RAM及びROM等が用いられ、CPU211にて実行されるプログラム、CPU211での処理に必要なデータ、CPU211での処理にて得られたデータ等を格納する。また、メモリユニット212の一部の領域が、CPU211での処理に利用されるワークエリアとして割り付けられている。
【0059】
表示ユニット213は、CPU211の制御のもとに必要な各種情報を表示する。出力ユニット214は、プリンタ等を有し、利用者からの指示に応じて各種情報を出力するために用いられる。入力ユニット215は、マウス、キーボード等を有し、利用者が遠隔管理サーバ200が処理を行なうための必要な各種情報を入力するために用いられる。通信ユニット216は、例えばインターネット、LAN等に接続し、外部装置との間の通信制御をするための装置である。記憶装置217には、例えば、ハードディスクユニットが用いられ、各種処理を実行するプログラム等のデータを格納する。
【0060】
遠隔管理サーバ200によって行われる処理を実現するプログラムは、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等の記憶媒体219によって遠隔管理サーバ200に提供される。即ち、プログラムが保存された記憶媒体219がドライバ218にセットされると、ドライバ218が記憶媒体219からプログラムを読み出し、その読み出されたプログラムがシステムバスB2を介して記憶装置217にインストールされる。そして、プログラムが起動されると、記憶装置217にインストールされたプログラムに従ってCPU211がその処理を開始する。尚、プログラムを格納する媒体としてCD−ROMに限定するものではなく、コンピュータが読み取り可能な媒体であればよい。コンピュータ読取可能な記憶媒体として、CD−ROMの他に、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリであっても良い。
【0061】
また、遠隔管理サーバ200によって行われる処理を実現するプログラムが、通信ユニット216を介して外部装置から提供されてもよい。或いは、外部装置へ該プログラムを提供し、後述される各処理は外部装置で実現されるように構成してもよい。通信ユニット216による通信は無線又は有線に限定されるものではない。
【0062】
次に、電話機能を有する携帯端末装置100における、アプリケーションによるユーザインタフェース部品(UI部品)の占有状態について説明する。図4は、UI部品の占有状態を説明するための図である。図4中、携帯端末装置100として、複数のアプリケーション6a、6b、・・・を有する携帯電話器100aで説明する。
【0063】
図4において、携帯電話器100aでは、ユーザ1がタッチ操作やボタン操作を実現するためのUI部品C1及びC2は、ユーザ1が現在利用中の一つのアプリケーション6a又は6bによってのみ占有される。
【0064】
アプリケーション6aにおいて、ユーザ1からUI部品C2へのボタン操作がなされると、イベント通知64aがイベントハンドラ61aに行われる。ユーザ1がアプリケーション6aからアプリケーション6bに切り替えると、UI部品C1及びC2の占有状態は、アプリケーション6aからアプリケーション6bに切り替えられる。アプリケーション6bにおいて、ユーザ1からUI部品C2へのボタン操作がなされると、イベント通知64bがイベントハンドラ61bに行われる。
【0065】
UI部品C1及びC2が、一つのアプリケーション6a又は6bによってのみ占有されるため、イベント通知64a及びイベント通知64bはどのアプリケーションでなされたものかを監視することができる。
【0066】
従って、診断対象がアプリケーション6aである場合、本実施例では、上述したように、起動コマンドデータ領域172に記憶されている診断対象のアプリケーション6aを起動するための起動コマンドを書き換えることによって、自己診断処理部140を介してアプリケーション6aが実行されることによって、イベント通知64aを監視することが可能となる。
【0067】
自己診断の有無によるアプリケーションの実行状態の違いについて説明する。図5は、アプリケーションの実行状態を説明するための図である。図5(A)では、自己診断を行わない場合の通常の実行状態を時系列で例示している。図5(A)に示す通常の実行状態では、ユーザがアプリケーションを選択すると、選択されたアプリケーションに対応する起動コマンドE1が起動コマンドデータ領域172から読み出されて実行されることによって、アプリケーションが起動し初期化処理が行われる。
【0068】
ユーザにより操作1が行われると、操作1に対応するコマンド1が実行される。次に、ユーザにより操作2が行われると、操作2に対応するコマンド2が実行される。更に、ユーザにより操作3が行われると、操作3に対応するコマンド3が実行される。
【0069】
図5(B)では、自己診断を行う場合の実行状態を時系列で例示している。図5(B)に示す自己診断時の実行状態では、ユーザがアプリケーションを選択すると、選択されたアプリケーションに対応する起動コマンドE1'が起動コマンドデータ領域172から読み出されて実行される。
【0070】
起動コマンドE1'は、ユーザが選択したアプリケーションが自己診断処理部140を介して起動されるように起動コマンドE1が書き換えられたコマンドである。
【0071】
従って、起動コマンドE1'によってアプリケーションが起動される直前に、自己診断処理部140の操作手順追加部145及びユーザ表示部148によって、ユーザに操作を誘導する操作手順7dが表示ユニット13に表示される。
【0072】
これは、操作手順追加部145の指示に応じて、ユーザ表示部148が、操作手順7dが表示ユニット13に表示する。操作手順7dは、例えば、「ボタンを3−>5−>7の順に押してください」等のメッセージで示される。
【0073】
そして、アプリケーションの起動を示すログデータが操作ログデータ領域173に格納され(起動記録5a)、アプリケーションによる初期化処理が行われる。ユーザが操作手順7dに従って、ボタン3を操作すると(ボタン3の操作1')、ボタン3を操作したことを示すログデータが記憶部170の操作ログデータ領域173に格納される(操作記録5b)。
【0074】
続けて、ユーザがボタン5を操作すると(ボタン5の操作2')、ボタン5を操作したことを示すログデータが記憶部170の操作ログデータ領域173に格納される(操作記録5c)。そして、ユーザがボタン2を操作すると(ボタン2の操作2')、操作手順7dで指定されているボタン7の操作と異なるボタン2の操作であるため、操作修正表示7eが表示ユニット13に表示される。
【0075】
これは、操作記録検査部146でボタン2の操作がシナリオデータ171rで指定された操作と異なる操作であることを検出し、その検出に応じて、ユーザ操作修正部147が操作手順7dに基づくメッセージを生成し、ユーザ表示部148に対して表示ユニット13に表示させる。操作修正表示7eは、生成されたメッセージを含む。メッセージは、例えば、「ボタン2が押されました。ボタン7を実行してください」等の内容である。
【0076】
次に、携帯端末装置100において、自己診断処理部140によって行われる自己診断処理について説明する。図6は、自己診断処理を説明するためのフローチャート図である。図6において、ヘルプセンター300から受信した自己診断活性化要求に応じて、遠隔管理サーバ200がシナリオデータ171rを携帯端末装置100へ送信する。携帯端末装置100は、遠隔管理サーバ200からシナリオデータ171rを受信する(ステップS11)。
【0077】
そして、起動メニュー変更部142が起動コマンドを変更し、ユーザ表示部148によって起動メニューが表示ユニット13に表示される(ステップS12)。ユーザが表示された起動メニューからアプリケーションを選択することにより、対応する起動コマンドが実行される(ステップS13)。
【0078】
自己診断制御部141は、ユーザの選択により、アプリケーションを起動する起動コマンドによって自己診断が実行されたか否かを判断する(ステップS14)。
【0079】
ステップS14において、自己診断が実行されていない場合、アプリケーションの通常実行を行う。アプリケーションの通常実行において、ユーザがタッチ操作やボタン操作でデータの入力を行うと(ステップS14−2)、入力されたデータに対応するコマンドが実行される(ステップS14−4)。その後、アプリケーションが終了する(ステップS24)と共に、この自己診断処理も終了する。
【0080】
一方、ステップS14において、自己診断が実行される場合、つまり、自己診断を伴うアプリケーションの実行の場合、操作手順追加部145が、ユーザ表示部148に操作手順を表示ユニット13に表示させる(ステップS15)。また、操作手順追加部145は、操作記録検査部146へ診断開始を通知する。診断開始の通知には、シナリオデータ171rが指定されている。
【0081】
診断開始の通知に応じて、操作記録検査部146は、診断実行結果記録部148に対して、診断開始の通知で指定されるシナリオデータ171rからログタイプを取得して、そのログタイプを指定した診断開始の指示を行う(ステップS16)。また、操作記録検査部146は、記憶部170の操作ログデータ領域173から新たな操作ログデータを取得する処理を開始する。
【0082】
表示ユニット13に表示された操作手順に従って、ユーザがタッチ操作やボタン操作でデータの入力を行うと、ユーザ入力部143は、操作記録部144にユーザの操作を示す操作ログデータを記憶部170の操作ログデータ領域173に追加して記録する(ステップS17)。
【0083】
操作記録検査部146は、操作ログデータと操作手順とを比較することによって操作誤りを検出する(ステップS18)。操作記録検査部146は、ユーザの操作誤りを検出したか否かを判断する(ステップS19)。ユーザの操作誤りを検出した場合、操作記録検査部146は、ユーザ操作修正部147に通知し、ユーザ操作修正部147は、正しい操作を促すメッセージを生成して、ユーザ表示部に生成したメッセージを表示ユニット13に表示させる(ステップS19−2)。そして、この自己診断制御処理は、ステップS17へ戻り、上述同様の処理を行う。
【0084】
一方、ステップS19において、操作誤りを検出しなかった場合、ユーザ入力に対応するコマンドが実行され、アプリケーションの処理が行われる。診断実行結果記録部149は、そのコメント実行結果を記憶部170の画面ログデータ領域175に追加して記録する(ステップS20)。
【0085】
自己診断制御部141は、シナリオデータ171rに従った自己診断が終了したか否かを判断する(ステップS21)。自己診断が終了した場合、自己診断制御部141は、操作記録検査部146に診断終了を通知する。
【0086】
操作記録検査部146は、診断結果を示すメッセージを生成して、ユーザ表示部148に生成したメッセージを表示ユニット13に表示させる(ステップS22)。また、操作記録検査部146は、診断実行結果記録部149に診断終了の通知を行う。
【0087】
診断終了の通知に応じて、診断実行結果記録部149は、記憶部170において、操作ログデータ領域173からログタイプで指定される操作ログデータを取得して診断用操作ログデータ領域174に格納する。そして、診断実行結果記録部149は、診断結果送信部150にログデータを遠隔管理サーバ200へ送信させる(ステップS23)。そして、アプリケーションが終了し(ステップS24)、この自己診断処理も終了する。
【0088】
メールシナリオデータ171bに含まれるシナリオ内容の例を説明する。図7は、シナリオ内容の例を示す図である。図7に示すシナリオ内容7aは、自己診断の対象に係る要求内容を含む要求部([SelfCheckRequest])と、記録するログタイプを指定するログタイプ指定部([Recording])と、ユーザに操作させる操作手順を含むシナリオ部([Scenario])等の自己診断処理部140を活性化させるための記述部分を有する。
【0089】
要求部([SelfCheckRequest])において、「Target: ReadMail.exe」の記述71によって、自己診断の対象となるメール(電子メール)の受信機能を実現するアプリケーションの実行ファイル名(ReadMail.exe)が指定される。この記述71は、起動メニュー変更部142によって参照される。この例では、メールの受信機能を指定しているが、自己診断の対象となるアプリケーションの実行ファイル名が指定されればよい。
【0090】
「GuideMsg:" 動作テストを実施します「OK」を入力後に起動されるアプリで数字キーを「3」⇒「5」⇒「7」の順で押してください"」の記述72によって、アプリケーションの起動直前の自己診断開始時に画面に表示する操作手順メッセージが指定される。この記述72は、操作手順追加部145によって参照され、操作手順追加部145が、ユーザ表示部148に「動作テストを実施します…「3」⇒「5」⇒「7」の順で押してください」のメッセージを表示ユニット13に表示させる。
【0091】
また、「On_Error: All_Logs」の記述73によって、診断中に障害が発生した場合の処理が指定される。診断中に障害が発生した場合には、診断実行結果記録部149によって、全てのログデータが遠隔管理サーバ200へ送信される。
【0092】
ログタイプ指定部([Recording])において、「KeyEvent,TraceLog,PanicLog,Snapshot」の記述74によって、自己診断に係るログデータのタイプ(ログタイプ)が指定される。この記述74は、操作記録検査部146によって参照され、診断実行結果記録部149に指示される。この例では、記述74により、ログタイプとして、ユーザのタッチ操作及びボタン操作による入力イベントのログを指定するKeyEvent、アプリケーションの動作に係るログを指定するTraceLog、障害発生時の状態に係るログを指定するPanicLog、及び、画面をキャプチャして取得した画面データのログを指定するSnapshotが指定されている。
【0093】
シナリオ部([Scenario])では、自己診断手順がStep_01、Step_02、Step_03、及びStep_04で示される。このシナリオ部([Scenario])は、操作記録検査部146によって参照される。自己診断手順Step_01からStep_04の内、手順Step_01からStep_03は、ユーザを誘導する操作手順でもある。
【0094】
自己診断手順Step_01では、「Expect PushBtn_3」の記述75によって、操作記録検査部146は、ユーザがボタン3を押下することを期待する。ユーザの操作がこの期待通りでない場合、操作記録検査部146は、ユーザの操作誤りであると判断して、ユーザ操作修正部147に通知する。
【0095】
また、「On_UnExpected: Show "CLRボタンで戻ってください"」の記述76は、ユーザの操作誤りを検出した場合に、「CLRボタンで戻ってください」等のメッセージを表示することを示している。操作記録検査部146から操作誤りの通知を受けると、ユーザ操作修正部147は、「On_UnExpected: Show "CLRボタンで戻ってください"」の記述76に従って、ユーザ表示部148に対して、メッセージ「CLRボタンで戻ってください」を表示ユニット13に表示するように指示する。自己診断手順Step_02は、手順Step_01と同様である。
【0096】
自己診断手順Step_03では、「On_UnExpected: Restart_App」の記述77によって、この手順で期待するボタン7(「Expect PushBtn_7」)が押下されなかった場合、アプリケーションをリスタートすることを示している。操作記録検査部146は、ユーザの操作が期待するボタン7でない場合、自己診断制御部141に通知する。自己診断制御部141によって、アプリケーションが再起動される。
【0097】
例えば、メールを転送するところで返信する操作が行われた場合など、操作の取り消しが効かない間違った操作がなされた際の動作として、アプリケーションの再起動が指定される。
【0098】
自己診断手順Step_04では、「Final」の記述78によって、シナリオ([Scenario])の終了が示される。自己診断制御部141によって参照され、シナリオの終了判定が行われる。
【0099】
また、「Report All_Logs」の記述79によって、シナリオの終了後の動作が示される。この例では、自己診断に係る全てのログデータを遠隔管理サーバ200へ送信することを示している。操作記録検査部146によって参照され、全ログデータの送信の指示を含む診断終了の通知が、診断実行結果記録部149に対して成される。診断実行結果記録部149は、この診断終了の通知に応じて、記憶部170の診断用操作ログデータ領域174に格納した操作ログデータと、画像ログデータ領域175に格納した画面ログデータとを遠隔管理サーバ200に送信する。
【0100】
図8は、起動コマンドの書き換え例を示す図である。図8では、メールの受信機能の場合で、起動コマンドの書き換え例を説明する。図8において、通常にメールの受信機能に係るアプリケーションを起動させるための起動コマンドE2は、「メール, ReadMail.exe」のように記述される。
【0101】
本実施例では、自己診断機能を活性化させるために、起動コマンドE2の記述を起動コマンドE2'の記述「メール, SelfCheck.exe ReadMail.exe」に書き換える。自己診断機能を実現する自己診断処理部140の実行ファイル名「SelfCheck.exe」が受信機能の実行ファイル名「ReadMail.exe」の前に挿入される。この変更により、起動コマンドE2'が選択された場合に、自己診断処理部140がテスト対象となるアプリケーション(この例では、メールの受信機能)を引数として実行され、自己診断処理部140の制御下でテスト対象となるアプリケーションを動作させることができる。
【0102】
従って、診断用の専用アプリケーションを用いることがなく、ユーザは、通常使用しているアプリケーション自身を使った動作テストができるため、再現性に優れている。
【0103】
図9は、起動メニューの画面例を示す図である。図9に示す起動メニュー画面G50は、例えば、カメラ機能を利用するためのカメラボタン51、メールを利用するためのメールボタン52などを含む。例えば、利用者が表示ユニット13に表示された起動メニュー画面G50からメールボタン52を押下すると、図8に示す起動コマンドE2'がCPU11によって実行されアプリケーションが起動する。アプリケーションの起動直前、例えば、図10に示すような操作手順メッセージが表示される。
【0104】
図10は、操作手順メッセージの例を示す図である。図10に示す画面53aは、起動コマンドE2'の起動によって表示される画面例である。画面53aには、操作手順追加部145が、生成した操作手順メッセージ54aが表示されている。操作手順メッセージ54aは、図7に示すシナリオ内容7aを参照することによって要求部([SelfCheckRequest])の記述72から取得した操作手順メッセージである。操作手順メッセージ54aにOKボタンを含めることによって、ユーザによる了解を促すことができる。
【0105】
ユーザが操作手順メッセージ54aのOKボタンを押下すると、アプリケーションによって提供される画面が表示ユニット13に表示される。そこで、操作手順メッセージ54aに従って、最初の数字キー「3」を押下する。このキーイベントに応じて、診断実行結果記録部149が画面をキャプチャし、画面データを取得する。
【0106】
図11は、ユーザの選択に応じてキャプチャされた画面データ例を示す図である。図11に示す画面データ8aは、複数の機能1〜5に夫々に対応する複数のボタンを含む画面からユーザが機能3に相当する数字キー「3」を選択した状態をキャプチャした画面データ例である。画面データ8aは、診断実行結果記録部149によって、記憶部170の画面ログデータ領域175に格納される。
【0107】
図12は、診断結果メッセージの例を示す図である。図12において、メールを利用するための画面53bに、自己診断中に障害が発生した場合には、診断結果メッセージ54bが表示される。診断結果メッセージ54bによって、「ご迷惑をおかけしています診断中にエラーが発生しました障害記録を送信中です」などのメッセージが表示される。
【0108】
このような診断結果メッセージ54bの表示によって、ユーザは、販売店に出向く前に預かり修理となることを予測することができる。
【0109】
図13は、ユーザの操作ミスの場合の画面データ例を示す図である。図13に示す画面データ8bは、ユーザが押すべきキーが分からない状態でキャプチャされた画面データ例である。画面データ8bは、診断実行結果記録部149によって、記憶部170の画面ログデータ領域175に格納される。
【0110】
図14は、遠隔管理サーバへ送信されるログデータの例を示す図である。図14において、診断実行結果記録部149が遠隔管理サーバ200に送信するログデータ9が例示される。操作ログデータ67は、記憶部170の診断用操作ログデータ領域174に格納された操作ログデータの例である。操作ログデータは、操作した時刻と、操作結果とを有する。
【0111】
操作ログデータ67は、ログ67aから67i等を含む。操作ログデータ67において、「10:03:10 自己診断起動」のログ67aは、図8の起動コマンドE2'の実行により、先ずSelfCheck.exeが実行されたことを示し、「10:04:20 メーラ起動」のログ67bは、次にReadMail.exeが実行されたことを示している。
【0112】
「10:04:30 ボタン3操作」のログ67cは、ユーザがボタン3を操作したことを示し、「10:04:32 メールボックス表示」のログ67dは、ボタン3の操作によってメールボックスが表示されたことを示している。
【0113】
「10:05:12 ボタン5操作」のログ67eは、ユーザがボタン5を操作したことを示し、「10:05:20 メール作成」のログ67fは、ボタン5の操作によってメール作成状態となったことを示している。
【0114】
「10:05:24 ボタン2操作」のログ67gは、ユーザがボタン2を操作したことを示し、「10:05:40 操作警告表示」のログ67hと「10:05:42 メーラ再起動」のログ67iは、ユーザによるボタン2の操作が期待した操作と異なっていたために、操作警告表示がなされ、その後、メーラ再起動となったことを示している。
【0115】
画面ログデータ68は、記憶部170の画面ログデータ領域175に格納された自己診断中に複数の画面をキャプチャした画面データ68−1から68−nを含む。
【0116】
画面ログデータ68において、各画面データ68−1から68−nは、画面をキャプチャした時刻を示すタイムスタンプ68aが付加されている。
【0117】
上述したように、本実施例では、診断専用のアプリケーションを用いるのではなく、ユーザが通常使用しているアプリケーションを利用して、携帯端末装置100への操作をユーザ自身が行えることで、実際にアプリケーションを使用しているときの不具合を診断することができる。
【0118】
また、ユーザは通常使用しているアプリケーションを操作するため、ユーザの操作に関係する不具合を検出することができる。予期せぬユーザの操作によってアプリケーションが誤動作したことによる障害を検出する。或いは、ユーザが操作方法に不慣れであったために、アプリケーションに不具合があると思っていた状況を確認することができる。この場合、アプリケーションは正常な動作を示すことが、遠隔管理サーバ200へ送信されるログデータ9によって判別できる。
【0119】
また、ユーザは、操作手順が表示され、また、操作に誤りがある場合、正しい操作を促すメッセージ(操作ガイド)が表示されることにより、正しい操作を習得することができる。従って、無用な預かり修理を依頼してしまうことがない。
【0120】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0121】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、該アプリケーションの不具合を診断する自己診断部と、
前記自己診断部を活性化した状態で、前記アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更する変更部と、
前記アプリケーションの指定を受け付けると、前記変更された起動コマンドを実行する指定受付部と、
前記変更された起動コマンドが実行されると、前記アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示する操作手順表示部と、
前記活性化された前記自己診断部によって、前記アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納される記憶部と、
前記自己診断部によって前記診断の終了が検出されると、ネットワークを介して、前記記憶部に格納された前記ログデータを、前記アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信するログデータ送信部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
(付記2)
前記自己診断部は、前記遠隔管理サーバから受信したシナリオデータに含まれる前記操作手順に従って、前記ユーザの操作が該操作手順に一致するか否かを判断することによって、前記アプリケーションの不具合を診断することを特徴とする付記1に記載の携帯端末装置。
(付記3)
前記自己診断部によって前記ユーザの操作が前記操作手順に一致しないと判断した場合、該一致しなかったユーザの操作と該操作手順で指定される操作とを示す操作修正表示を行う操作修正部を有することを特徴とする付記2に記載の携帯端末装置。
(付記4)
操作手順表示部は、前記シナリオデータに含まれる前記操作手順を表示することを特徴とする付記2又は3に記載の携帯端末装置。
(付記5)
前記自己診断部は、前記ユーザの操作に応じて、該操作を示す操作ログデータと、前記アプリケーションが提供する画面をキャプチャした画面データにタイムスタンプを付加した画面ログデータとを前記記憶部に格納し、
ログデータ送信部は、前記操作ログデータと前記画面ログデータとを含めた前記ログデータを前記遠隔管理サーバへ送信することを特徴とする付記1又は4のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
(付記6)
電話回線網を介して通話可能とする電話通信部を有することを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
(付記7)
コンピュータによって実行される自己診断方法であって、該コンピュータが、
診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、該アプリケーションの不具合を診断し、
前記自己診断部を活性化した状態で、前記アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更し、
前記アプリケーションの指定を受け付けると、前記変更された起動コマンドを実行し、
前記変更された起動コマンドが実行されると、前記アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示し、
前記活性化された前記自己診断部によって、前記アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納され、
前記自己診断部によって前記診断の終了が検出されると、ネットワークを介して、前記記憶部に格納された前記ログデータを、前記アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信する
ことを特徴とする自己診断方法。
(付記8)
診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、該アプリケーションの不具合を診断し、
前記自己診断部を活性化した状態で、前記アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更し、
前記アプリケーションの指定を受け付けると、前記変更された起動コマンドを実行し、
前記変更された起動コマンドが実行されると、前記アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示し、
前記活性化された前記自己診断部によって、前記アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納され、
前記自己診断部によって前記診断の終了が検出されると、ネットワークを介して、前記記憶部に格納された前記ログデータを、前記アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0122】
3 オペレータ
3a 端末
4 ネットワーク
5 電話回線網
9 ログデータ
11 CPU
12 メモリユニット
13 表示ユニット
14 入力ユニット
16 通信ユニット
17 記憶装置
18 ドライバ
19 記憶媒体
100 携帯端末装置
130 電話通信部
140 自己診断処理部
141 自己診断制御部
142 起動メニュー変更部
143 ユーザ入力部
144 操作記録部
145 操作手順追加部
146 操作記録検査部
147 ユーザ操作修正部
148 ユーザ表示部
149 診断実行結果記録部
150 診断結果送信部
170 記憶部
171 活性化データ領域
171a カメラシナリオデータ
171b メールシナリオデータ
171r シナリオデータ
172 起動コメントデータ領域
173 操作ログデータ領域
174 診断用操作ログデータ領域
175 画面ログデータ領域
200 遠隔管理サーバ
220 自己診断遠隔起動部
230 診断結果受信部
270 記憶部
271 シナリオデータ管理領域
272 受信ログデータ管理領域
300 ヘルプセンター
1000 システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、該アプリケーションの不具合を診断する自己診断部と、
前記自己診断部を活性化した状態で、前記アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更する変更部と、
前記アプリケーションの指定を受け付けると、前記変更された起動コマンドを実行する指定受付部と、
前記変更された起動コマンドが実行されると、前記アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示する操作手順表示部と、
前記活性化された前記自己診断部によって、前記アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納される記憶部と、
前記自己診断部によって前記診断の終了が検出されると、ネットワークを介して、前記記憶部に格納された前記ログデータを、前記アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信するログデータ送信部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記自己診断部は、前記遠隔管理サーバから受信したシナリオデータに含まれる前記操作手順に従って、前記ユーザの操作が該操作手順に一致するか否かを判断することによって、前記アプリケーションの不具合を診断することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記自己診断部によって前記ユーザの操作が前記操作手順に一致しないと判断した場合、該一致しなかったユーザの操作と該操作手順で指定される操作とを示す操作修正表示を行う操作修正部を有することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記自己診断部は、前記ユーザの操作に応じて、該操作を示す操作ログデータと、前記アプリケーションが提供する画面をキャプチャした画面データにタイムスタンプを付加した画面ログデータとを前記記憶部に格納し、
ログデータ送信部は、前記操作ログデータと前記画面ログデータとを含めた前記ログデータを前記遠隔管理サーバへ送信することを特徴とする請求項1又は3のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
コンピュータによって実行される自己診断方法であって、該コンピュータが、
診断対象のアプリケーションに対するユーザの操作に応じて、該アプリケーションの不具合を診断し、
前記自己診断部を活性化した状態で、前記アプリケーションを起動するように起動コマンドを変更し、
前記アプリケーションの指定を受け付けると、前記変更された起動コマンドを実行し、
前記変更された起動コマンドが実行されると、前記アプリケーションの起動前にユーザが行う操作手順を表示し、
前記活性化された前記自己診断部によって、前記アプリケーションに対するユーザの操作結果を示すログデータが格納され、
前記自己診断部によって前記診断の終了が検出されると、ネットワークを介して、前記記憶部に格納された前記ログデータを、前記アプリケーションの不具合を管理する遠隔管理サーバへ送信する
ことを特徴とする自己診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−216982(P2012−216982A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80453(P2011−80453)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】