説明

携帯端末装置

【課題】
本発明の目的は、純正品および適合規格品である充電器以外による充電を防止する機能を備えた携帯端末装置を提供することである。
【解決手段】
携帯端末装置に純正品および適合規格品以外である充電器が接続された場合においても、充電器に付加されている非接触ICタグと携帯端末装置に備えられた非接触ICタグリーダーとの間で無線通信を行い、充電器に取り付けられている非接触ICタグの識別IDが純正品および適合規格品の充電器のIDであると認証した場合のみに充電の開始を許可し、純正品および適合規格品以外の充電器による充電を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関し、特に純正品および適合規格品である充電器以外による充電を防止する機能を備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯端末装置の電源供給用電源として充電式電池が用いられている。通常、携帯端末装置においては、専用の充電式電池と専用の充電器とがセットで販売され、純正の充電器を使用するように取扱説明書等に注意書きが書かれている。しかし実際には、携帯端末装置に純正品以外の充電器が接続されて、充電式電池の充電が行われる場合がある。携帯端末装置の充電式電池を純正品および適合規格品以外の充電器で充電した場合には、携帯端末装置に適切な電流や電圧が供給されない場合がある。携帯端末装置に備えられている電気回路および電池は、充電時に純正の充電器から適切な電圧と電流が供給されることを想定して設計されているため、純正および適合規格品ではない充電器で充電されることにより設計外の電圧や電流が供給された場合には、充電式電池およびそれを搭載した携帯端末装置本体に誤動作が生じたり、故障につながる場合がある。このような理由から、携帯端末装置には、当該携帯端末装置に対応する純正の充電器、または規格にかなった充電器が適切に接続されることが望まれている。
【0003】
上記技術に関連して、特開2004−180039号公報で開示されている「複線式ループアンテナ及び携帯情報端末」では、複数の内部電線を有する複芯電線と、複数の内部電線を直列に接続する接続部とを有するループアンテナが提案されている。
【0004】
また、特開2004−283956号公報で開示されている「充電システム、ロボット装置、充電装置、及び充電方法」では、所定の情報を記憶し、情報を無線で出力する無線タグを備える充電装置と、無線タグの信号を読み取る無線タグ読取手段と、無線タグからの信号をもとに、充電装置の位置を算出する位置算出手段と、位置算出手段による算出結果に基づいて、充電装置へ移動する移動手段とを備えるロボット装置とを備える充電システムが提案されている。
【0005】
また、特開2004−289995号公報で開示されている「充電装置および電子機器」では、充電される電子機器が載置されたことを検出して検出情報を出力する電子機器検出部と、電子機器に設けられた電池に電力を供給可能に構成され、電子機器が載置された状態で電子機器と電気的に接続される電力供給部と、電池ないし電子機器に設けられて、少なくとも電池の機種を特定するための機種特定情報を記憶するメモリ、このメモリから読み出したデータないしメモリへ書き込むデータを送受信するアンテナを有する無線タグとデータの送受信を行う送受信部と、電子機器検出部が出力した検出情報に基づいて電子機器が載置されていることを判断するとともに、送受信部が前記無線タグより読み出した機種特定情報に基づいて電池に対する充電を許可するか判断し、電池に対する充電を許可する場合に、電池に電力を供給するように電力供給部に通電する通電制御部とを設けた充電装置が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−180039号公報
【特許文献2】特開2004−283956号公報
【特許文献3】特開2004−289995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、純正品および適合規格品である充電器以外による充電を防止する機能を備えた携帯端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用する括弧付き符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明の携帯端末装置(20)は、表示部(32)と、蓄電部(39)と、蓄電部を充電するための充電器(22)に付加される識別ID(23)を読み取るための読み取り部(21)と、読み取り部により読み取られた識別IDの情報(45a)と規定の情報(34b)とを照合して、照合の結果が一致を示す場合には、充電器による蓄電部の充電を許可し、照合の結果が一致を示さない場合には、表示部に充電器を使用不可とする情報を表示する制御部(50)とを備える。
【0010】
また、本発明の携帯端末装置(20)において、読み取り部(21)は、携帯端末装置が充電器(22)と嵌合するための携帯端末装置の嵌合部(36)に配置される。
【0011】
また、本発明の携帯端末装置(20)は、さらに、音声部(25)を備え、照合の結果が一致を示さない場合には、制御部(50)は、さらに音声部により充電器(22)を使用不可とする音声情報を生成する。
【0012】
また、本発明の携帯端末装置(20)は、さらに、振動部(26)を備え、照合の結果が一致を示さない場合には、制御部(50)は、さらに振動部を振動させることにより、充電器(22)は使用不可であることを知らせる。
【0013】
また、本発明の携帯端末装置(20)は、さらに、蓄電部(39)の電圧を測定するための電圧測定回路(37)を備え、電圧測定回路により蓄電部の端子電圧を測定し、測定された端子電圧の値が規定の値以下の場合に、読み取り部(21)により、充電器(22)に配置される識別ID(23)が読み取られる。
【0014】
また、本発明の携帯端末装置(20)における読み取り部は、非接触ICタグリーダー(21)である。
【0015】
また、本発明の携帯端末装置(20)における識別ID(23)の情報は、充電器(22)が純正品あるいは規格品であるかを識別するための情報を備えている。
【0016】
また、本発明の携帯端末装置(20)は、携帯電話である。
【0017】
また、本発明の携帯端末装置(20)における読み取り部(21)は、さらに、PCと携帯端末装置とを接続するためのPC接続ケーブルに付加される識別IDを読み取る。
【0018】
また、本発明の携帯端末装置(20)における読み取り部は、さらに、携帯端末装置を搭載するハンズフリー装置に付加される識別IDを読み取る。
【0019】
また、本発明の携帯端末装置の充電方法は、表示部(32)と、蓄電部(39)と、蓄電部を充電するための充電器(22)に付加される識別ID(23)を読み取るための読み取り部(21)と、制御部(50)とを備える携帯端末装置(20)の充電方法であって、識別IDの情報(45a)を読み取るID情報取得ステップと、ID情報取得ステップにより取得されたID情報と規定の情報(34b)とを照合するID情報照合ステップと、ID情報照合ステップにおける照合結果が一致を示す場合には、充電器による蓄電部の充電を許可する充電許可ステップと、照合の結果が一致を示さない場合には、表示部に充電器を使用不可とする情報を表示する充電不許可ステップとを備える。
【0020】
また、本発明の携帯端末装置の充電方法における携帯端末機器(20)は、さらに、音声部(25)を備え、照合の結果が一致を示さない場合には、さらに、充電器(22)を使用不可とする音声情報を生成する音声情報生成ステップを備える。
【0021】
また、本発明の携帯端末装置の充電方法における携帯端末機器(20)は、さらに、振動部(26)を備え、照合の結果が一致を示さない場合には、さらに、携帯端末装置を振動させることにより、充電器(22)は使用不可であることを知らせる振動生成ステップを備える。
【0022】
また、本発明の携帯端末装置の充電方法において、携帯端末装置(20)は、さらに、蓄電部(39)の電圧を測定するための電圧測定回路(37)を備え、蓄電部の端子電圧を測定する端子電圧測定ステップと、端子電圧測定ステップにより測定された端子電圧の値が規定の値以下の場合に、識別IDの情報(45a)を読み取るID情報取得ステップとを備える。
【0023】
また、本発明の携帯端末装置の充電プログラム(34a)は、コンピュータ読み込み可能であり、請求項10から13までのいづれか一項に記載の携帯端末装置の充電方法を実現する。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、純正品および適合規格品である充電器以外による充電を防止する機能を備えた携帯端末装置を提供することができる。
【0025】
これにより、携帯端末装置に純正品および適合規格品以外である充電器が接続された場合においても、充電器に付加されている非接触ICタグと携帯端末装置に備えられた非接触ICタグリーダーとの間で無線通信を行い、充電器に取り付けられている非接触ICタグの識別IDが純正品および適合規格品の充電器のIDであると認証した場合のみに充電の開始を許可し、純正品および適合規格品以外の充電器による充電を禁止することができる。純正品および適合規格品である充電器以外での充電を禁止することによって、充電器から携帯端末装置へ想定外の電圧や電流が供給されることによって生じる誤作動や故障を防ぐことができる。
【0026】
また、本発明では、純正品および適合規格品の充電器であると認証する方式として非接触ICタグを使用している。これにより、携帯端末装置が充電を許可する識別IDが分からない限り充電許可される充電器を製造することはできない。よって、純正品および適合規格品を模倣した充電器の製造が防止され、模倣品使用により生じる携帯端末装置の誤作動や故障を未然に防止することができる。
【0027】
また、本発明では、携帯端末装置の充電器との嵌合部に配置された非接触ICタグリーダーと充電器に取り付けられている非接触ICタグ23との間における通信距離が数cmである通信方式を採用している。これにより、純正あるいは適合規格品ではない充電器を携帯端末装置に接続して充電しようとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品の充電器が置いてある場合においても、他の充電器からの電波を間違って読み取ることがなく、識別IDの誤読を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の携帯端末装置は、携帯端末装置に純正品および適合規格品以外である充電器が接続された場合においても、携帯端末装置の充電器との嵌合部に配置される非接触ICタグリーダーが、充電器に付加されている非接触ICタグとの間で無線通信を行い、充電器に取り付けられている非接触ICタグの識別IDが純正品および適合規格品の充電器のIDであると認証した場合のみに充電の開始を許可し、純正品および適合規格品以外の充電器による充電を禁止する。純正品および適合規格品以外の充電器による充電を禁止することによって、携帯端末装置へ想定外の電圧や電流が供給されることによって生じる誤作動や故障を未然に防止する。
【0029】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係わる携帯端末装置の概略構成を示す。本実施の形態の携帯端末装置20は、LCD等からなる表示部32と、音声部25と、キーボード等の入力部33と、振動部26と、非接触ICタグリーダー21と、制御部50と、電池39と、電圧測定回路37と、充電回路35とを備えている。そして、表示部32と、音声部25と、入力部33と、振動部26と、非接触ICタグリーダー21と、制御部50と、電圧測定回路37と、充電回路35とは、それぞれシステムバス30により接続されている。
【0030】
制御部50は、CPU(中央処理装置)31と記憶部34とを備えている。記憶部34には、予め、電池39を一定の規定により充電するための電池充電プログラム34aと、当該電池39を充電することのできる充電器に関する情報である充電器規格情報34bとを有している。制御部50は、非接触ICタグリーダー21により読み取られる、充電器22に付加されている非接触ICタグ23の識別ID45aの情報と充電器規格情報34bとを照合する。そして、照合の結果が一致を示す場合には、当該充電器による電池39の充電を許可し、照合の結果が一致を示さない場合には、表示部32に当該充電器を使用不可とする情報を表示する。また、当該充電器を使用不可とする情報は、必要に応じて音声部25および振動部26を介して使用者に知らされる。
【0031】
充電回路35は、充電端子36を介して供給される電力を規定条件の電流および電圧値に変換して、電池端子38に接続される電池39を充電する。充電端子36は、充電時に充電器側の端子と嵌合することにより、充電器からの電力を充電回路35に供給する。電圧測定回路37は、電池端子38の電圧を測定することにより、電池39の電圧状態を確認する。電圧測定回路37で測定された電池39の電圧は、充電開始及び終了の判断基準に使用される。また、充電時における充電回路35の動作状況も逐次適正状態であるか制御部50により確認される。
【0032】
図2に、本発明の実施の形態に係わる携帯端末装置20に備わる非接触ICタグリーダー21により、充電器22に付加される非接触ICタグ23を確認する模式を示す。充電器22に付加されている非接触ICタグ23には、当該充電器22の識別情報である識別IDが格納されている。携帯端末20の充電端子36に充電器22が接続され、充電動作を開始する前に、非接触ICタグリーダー21が非接触ICタグ23に格納されている識別IDを読み取り、その結果純正または適合規格の充電器IDであると認証された場合のみ、充電動作が開始される。そして、充電動作の開始に基づいて、充電器22からの電力が、充電端子36を介して充電回路35に供給される。充電回路35に供給された電力は、充電回路35により規定された電圧および電池に変換されて、電池端子38を介して電池39に供給されて充電される。
【0033】
図3に、本実施の形態に係わる携帯端末装置20の充電端子36に配置される非接触ICタグリーダー21と、充電器22に付加される非接触ICタグ23の概略構成を示す。非接触ICタグリーダー21は、リーダー制御部40と、リーダー側送受信部41と、リーダー側アンテナ部42とを備えている。非接触ICタグ23は、タグ側アンテナ部43と、タグ側送受信部44と、タグ側メモリ45とを備えている。
【0034】
リーダー側アンテナ部42及びタグ側アンテナ部43はコイルからなり、2つのコイルの誘導磁束による誘起電圧を信号とすることにより、非接触ICタグリーダー21と非接触ICタグ23との間における無線通信が行われる。リーダー側送受信部41及びタグ側送受信部44では、デジタル信号とキャリア信号の変調および復調が行われる。
【0035】
これにより、リーダー側アンテナ部42とタグ側アンテナ部との間で送受信されるデータ信号のデータ通信が可能となる。リーダー制御部40では、リーダー側アンテナ部42のコイルに流す電流電圧を制御することにより、非接触ICタグリーダー21と非接触ICタグ23との間における無線通信を制御する。タグ側メモリ45には、識別ID45aが格納されている。無線通信データとして、識別ID45aを非接触ICタグ23と非接触ICタグリーダー21との間で送受信することによって、本実施の形態に係わる携帯端末装置20による充電器22のIDの認証が実施される。
【0036】
(実施の形態1における動作原理)
本実施の形態における動作原理を、図4に基づいて説明する。本実施の形態に係わる携帯端末20の入力部33から起動の指示が入力されると、制御部50のCPU31は、記憶部34に格納されている電池充電プログラム34aを読み込んで実行する。電池充電プログラム34aが実行されると、携帯端末20の充電端子36に充電器22が装着されたとき、または、既に充電器22が装着されているが一度充電を完了して現在は充電をしていない状態において規定時間毎に、電圧測定回路37により電池電圧が測定される(ステップS51)。ステップS51による電池電圧測定の結果、電池電圧が規定の電圧よりも低く、充電が必要であると判定された場合(ステップS52:Yes)には、制御部50の指示に基づいて、非接触ICタグリーダー21のリーダー制御部40は、充電器22に付加されている非接触ICタグ23との無線通信を開始する(ステップS53)。ステップS53による無線通信の結果、非接触ICタグ23から読み出した識別ID45aが純正あるいは適合規格品の充電器のID情報を有すると認証された場合には(ステップS54:Yes)、充電回路35に対して充電を許可し(ステップS55)、電池39の充電が開始される(ステップS56)。一方、非接触ICタグリーダー21のリーダー制御部40が無線通信を開始しても、非接触ICタグ23からの応答がなかった場合、もしくは応答があったが読み出した識別ID45aが純正あるいは適合規格品に対応した充電器のID情報を有しなかった場合には(ステップS54:NO)、充電回路35に対して電池39の充電を許可しない。そして、表示部32に「純正の充電器以外では充電できません。純正の充電器で充電して下さい。」等の表示をすることによって、携帯端末装置20の使用者に純正の充電器以外では充電できないことを知らせ、純正の充電器で充電するように促す(ステップS57)。
【0037】
本実施の形態においては、ステップS57において、純正の充電器で充電するように促すのに、表示部32による文字表示の他に、入力部33からの使用者による設定に応じて、音声部25からの音声、または、振動部26による携帯端末装置20の振動によって不許可状況を使用者に知らせることが可能である。
【0038】
本実施の形態においては、通信距離が数cmである非接触ICタグ23を用いた無線通信方式を使用している。つまり、携帯端末20と充電器22が装着された状態のときに非接触ICタグ23と非接触ICタグリーダー21との間で無線通信が行える距離であれば良い。通信距離が離れている通信方式を採用すると、純正あるいは適合規格品ではない充電器を携帯端末装置20に接続して充電しようとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品の充電器が置いてあれば、携帯端末装置20に接続されていない純正の充電器の非接触ICタグ23の識別ID45aを認証して、充電回路35に対して充電開始を許可してしまうことになる。よって、本実施の形態においては、通信距離が数cmである通信方式を採用する。
【0039】
本実施の形態においては、携帯端末装置20に純正品および適合規格品以外である充電器22が接続された場合においても、充電器22に付加されている非接触ICタグ23と携帯端末装置20に備えられた非接触ICタグリーダー21との間で無線通信を行い、充電器22に取り付けられている非接触ICタグ23の識別ID45aが純正品および適合規格品の充電器のIDであると認証した場合のみに充電の開始を許可し、純正品および適合規格品以外の充電器による充電を禁止する。純正品および適合規格品以外の充電器による充電を禁止することによって、携帯端末装置20へ想定外の電圧や電流が供給されることによって生じる誤作動や故障を未然に防止する。また、本実施の形態においては、非接触ICタグ23を使用して、純正あるいは適合規格品の充電器であると認証する方式を採用している。このため、携帯端末装置20が、充電回路35に対して充電を許可する識別IDが分からない限り充電許可される充電器を作成することはできない。よって純正あるいは適合規格品以外の充電器による充電を防止できる。さらに、本実施の形態においては、携帯端末装置20の充電器22との嵌合部に備えられた非接触ICタグリーダー21と充電器22に取り付けられている非接触ICタグ23との間における通信距離が数cmである通信方式を採用している。これにより、純正あるいは適合規格品ではない充電器を携帯端末装置20に接続して充電しようとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品の充電器が置いてある場合においても、他の充電器からの電波を間違って読み取ることがなく、識別ID45aの誤読を防止することができる。
【0040】
以上により、本実施の形態においては、非常に信頼性および安全性の高い携帯端末装置20を実現することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図5に、本発明の実施の形態2に係わる携帯端末装置の概略構成を示す。本実施の形態に係わる携帯端末装置60の構成要件およびその動作原理は、実施の形態1におけるそれぞれと基本的に同様である。但し、本実施の形態に備わる非接触ICタグリーダー21は、充電器22に付加される非接触ICタグ23との間で通信を行うことにより当該充電器による充電を許可するか否かを判断するのではなく、本実施の形態に係わる携帯端末装置60とPCとの間で通信を行うために接続されるPC接続ケーブルに付加される非接触ICタグ23との間で無線通信を行うことにより、当該PC接続ケーブルによる携帯端末装置60とPCとの通信を許可するか否かを判断する。このため、本実施の形態においては、PC接続ケーブルを接続するための外部接続端子90と、PC接続ケーブルを介してPCとの通信の制御を行う通信制御部80とを備えている。また、記憶部34は、PC接続ケーブルを介してPCとの通信制御を行うためのPCケーブル接続プログラム34cと、PCケーブル規格情報34dとを備えている。
【0042】
なお、本実施の形態には、必要に応じて実施の形態1の構成要件が同時備えられても良い。
【0043】
(実施の形態2における動作原理)
本実施の形態における動作原理を、図6に基づいて説明する。本実施の形態に係わる携帯端末の入力部33から起動の指示が入力されると、制御部50のCPU31は、記憶部34に格納されているPCケーブル接続プログラム34cを読み込んで実行する。PCケーブル接続プログラム34cが実行されて、携帯端末装置60の外部接続端子90にPC接続ケーブルが装着されると(ステップS60)、制御部50の指示に基づいて、非接触ICタグリーダー21のリーダー制御部40は、PC接続ケーブルに付加されている非接触ICタグ23との無線通信を開始する(ステップS61)。ステップS61による無線通信の結果、非接触ICタグ23から読み出した識別ID45aが純正あるいは適合規格品のPC接続ケーブルのID情報を有すると認証された場合には(ステップS62:Yes)、通信制御部80に対してPC接続ケーブルとの通信を許可(ステップS63)し、PC接続ケーブルを介したPCとの通信が開始される。一方、非接触ICタグリーダー21のリーダー制御部40が無線通信を開始しても、非接触ICタグ23からの応答がなかった場合、もしくは応答があったが読み出した識別ID45aが純正あるいは適合規格品に対応したPC接続ケーブルのID情報を有しなかった場合には(ステップ62:NO)、通信制御部80に対して、PC接続ケーブルとの通信を許可しない。そして、表示部32に「純正のPC接続ケーブル以外による通信はできません。純正のPC接続ケーブルを接続して下さい。」等の表示をすることによって、携帯端末装置60の使用者に純正のPC接続ケーブル以外ではPCとの通信ができないことを知らせ、純正のPC接続ケーブルを接続するように促す(ステップS64)。
【0044】
本実施の形態においては、ステップS64において、純正のPC接続ケーブルを接続して通信を行うように促すのに、表示部32による文字表示の他に、入力部33からの使用者による設定に応じて、音声部25からの音声、または、振動部26による携帯端末装置60の振動によって不許可状況を使用者に知らせることが可能である。
【0045】
本実施の形態においては、通信距離が数cmである非接触ICタグ23を用いた無線通信方式を使用している。つまり、携帯端末装置60とPC接続ケーブルとが接続された状態のときに非接触ICタグ23と非接触ICタグリーダー21との間で無線通信が行える距離であれば良い。通信距離が離れている通信方式を採用すると、純正あるいは適合規格品ではないPC接続ケーブルを携帯端末装置60に接続してPCと通信しようとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品のPC接続ケーブルが置いてあれば、携帯端末装置60に接続されていない純正のPC接続ケーブルの非接触ICタグ23の識別ID45aを認証して、通信制御部80に対してPC接続ケーブルとの通信を許可してしまうことになる。よって、本実施の形態においては、通信距離が数cmである通信方式を採用する。
【0046】
本実施の形態においては、携帯端末装置60に純正品および適合規格品以外であるPC接続ケーブルが接続された場合においても、PC接続ケーブルに付加されている非接触ICタグ23と携帯端末装置60に備えられた非接触ICタグリーダー21との間で無線通信を行い、PC接続ケーブルに取り付けられている非接触ICタグ23の識別ID45aが純正品および適合規格品のPC接続ケーブルのIDであると認証した場合にのみPCとの通信を許可し、純正品および適合規格品以外のPC接続ケーブルによるPCとの通信を禁止する。純正品および適合規格品以外のPC接続ケーブルによる通信を禁止することによって、携帯端末装置60とPC接続ケーブルとの間におけるインピーダンスのミスマッチにより生じる、通信データの破損や、携帯端末装置60本体の電気部品に与える損傷を未然に防止する。また、本実施の形態においては、携帯端末装置60の外部接続端子90との嵌合部に備えられた非接触ICタグリーダー21とPC接続ケーブルに取り付けられている非接触ICタグ23との間における通信距離が数cmである通信方式を採用している。これにより、純正あるいは適合規格品ではないPC接続ケーブルを携帯端末装置60に接続してPCとの通信を実行しようとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品のPC接続ケーブルが置いてある場合においても、他のPC接続ケーブルからの電波を間違って読み取ることがなく、識別ID45aの誤読を防止することができる。
【0047】
以上により、本実施の形態においては、非常に信頼性および安全性の高い携帯端末装置60を実現することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図7に、本発明の実施の形態3に係わる携帯端末装置の概略構成を示す。本実施の形態に係わる携帯端末装置70の構成要件およびその動作原理は、実施の形態1または2におけるそれぞれと基本的に同様である。但し、本実施の形態に備わる非接触ICタグリーダー21は、充電器22またはPC接続ケーブルに付加される非接触ICタグ23との間で通信を行うことにより、当該充電器による充電、あるいは、通信制御部80によるPC接続ケーブルを介したPCとの通信を許可するか否かを判断するのではなく、本実施の形態に係わる携帯端末装置70に接続されるハンズフリー装置に付加される非接触ICタグ23との間で無線通信を行うことにより、携帯端末装置と当該ハンズフリー装置との通信を許可するか否かを判断する。
【0049】
このため、本実施の形態においては、ハンズフリー装置を接続するための外部接続端子90と、ハンズフリー装置との通信の制御を行う通信制御部80とを備えている。また、記憶部34には、予めハンズフリー装置との通信制御を行うためのハンズフリー装置接続プログラム34eと、ハンズフリー装置規格情報34fとが格納されている。
【0050】
なお、本実施の形態には、実施の形態1および2の構成要件が、それぞれ必要に応じて備えられても良い。
【0051】
(実施の形態3における動作原理)
本実施の形態における動作原理を、図8に基づいて説明する。本実施の形態に係わる携帯端末の入力部33から起動の指示が入力されると、制御部50のCPU31は、記憶部34に格納されているハンズフリー装置接続プログラム34eを読み込んで実行する。ハンズフリー装置接続プログラム34eが実行されると、携帯端末装置70の外部接続端子90にハンズフリー装置が装着されると(ステップS70)、制御部50の指示に基づいて、非接触ICタグリーダー21のリーダー制御部40は、ハンズフリー装置に付加されている非接触ICタグ23との無線通信を開始する(ステップS71)。ステップS71による無線通信の結果、非接触ICタグ23から読み出した識別ID45aが純正あるいは適合規格品のハンズフリー装置のID情報を有すると認証された場合には(ステップS72:Yes)、通信制御部80に対してハンズフリー装置との通信を許可(ステップS73)し、ハンズフリー装置との通信が開始される。一方、非接触ICタグリーダー21のリーダー制御部40が無線通信を開始しても、非接触ICタグ23からの応答がなかった場合、もしくは応答があったが読み出した識別ID45aが純正あるいは適合規格品に対応したハンズフリー装置のID情報を有しなかった場合には(ステップ72:NO)、通信制御部80に対して、ハンズフリー装置との通信を許可しない。そして、表示部32に「純正のハンズフリー装置以外による通信はできません。純正のハンズフリー装置を接続して下さい。」等の表示をすることによって、携帯端末装置70の使用者に純正のハンズフリー装置以外との通信ができないことを知らせ、純正のハンズフリー装置を接続するように促す(ステップS74)。
【0052】
本実施の形態においては、ステップS74において、純正のハンズフリー装置を接続して通信を行うように促すのに、表示部32による文字表示の他に、入力部33からの使用者による設定に応じて、音声部25からの音声、または、振動部26による携帯端末装置70の振動によって不許可状況を使用者に知らせることが可能である。
【0053】
本実施の形態においては、通信距離が数cmである非接触ICタグ23を用いた無線通信方式を使用している。つまり、携帯端末20とハンズフリー装置とが接続された状態のときに非接触ICタグ23と非接触ICタグリーダー21との間で無線通信が行える距離であれば良い。通信距離が離れている通信方式を採用すると、純正あるいは適合規格品ではないハンズフリー装置を携帯端末装置70に接続して通信しようとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品のハンズフリー装置が置いてあれば、携帯端末装置70に接続されていない純正のハンズフリー装置の非接触ICタグ23の識別ID45aを認証して、通信制御部80に対してハンズフリー装置との通信を許可してしまうことになる。よって、本実施の形態においては、通信距離が数cmである通信方式を採用する。
【0054】
本実施の形態においては、携帯端末装置70に純正品および適合規格品以外であるハンズフリー装置が接続された場合においても、ハンズフリー装置に付加されている非接触ICタグ23と携帯端末装置70に備えられた非接触ICタグリーダー21との間で無線通信を行い、ハンズフリー装置に取り付けられている非接触ICタグ23の識別ID45aが純正品および適合規格品のハンズフリー装置のIDであると認証した場合のみにハンズフリー装置との通信を許可し、純正品および適合規格品以外のハンズフリー装置との通信を禁止する。純正品および適合規格品以外のハンズフリー装置との通信を禁止することによって、携帯端末装置70とハンズフリー装置との間におけるインピーダンスのミスマッチや、ピン配列等の違いにより生じる通信データの破損や、携帯端末装置本体に与える損傷を未然に防止する。また、本実施の形態においては、携帯端末装置70の外部接続端子90との嵌合部に備えられた非接触ICタグリーダー21とハンズフリー装置に取り付けられている非接触ICタグ23との間における通信距離が数cmである通信方式を採用している。これにより、純正あるいは適合規格品ではないハンズフリー装置を携帯端末装置70に接続して通信を行おうとした場合に、近くに純正あるいは適合規格品のハンズフリー装置が置いてある場合においても、他のハンズフリー装置からの電波を間違って読み取ることがなく、識別ID45aの誤読を防止することができる。
【0055】
以上により、本実施の形態においては、非常に信頼性および安全性の高い携帯端末装置70を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる携帯端末装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わる携帯端末装置により充電器に付加されるIDを確認する模式を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わる携帯端末装置に備わる非接触ICタグリーダーと、充電器に付加される非接触ICタグとの通信形態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わる携帯端末装置の動作フローを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係わる携帯端末装置の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係わる携帯端末装置の動作フローを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係わる携帯端末装置の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係わる携帯端末装置の動作フローを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
20、60、70…携帯端末装置
21…非接触ICタグリーダー
22…充電器
23…非接触ICタグ
25…音声部
26…振動部
30…システムバス
31…CPU
32…表示部
33…入力部
34…記憶部
34a…電池充電プログラム
34b…充電器規格情報
34c…PCケーブル接続プログラム
34d…PCケーブル規格情報
34e…ハンズフリー接続プログラム
34f…ハンズフリー規格情報
35…充電回路
36…充電端子
37…電圧測定回路
38…電池端子
39…電池
40…リーダー制御部
41…リーダー側送受信部
42…リーダー側アンテナ
43…タグ側アンテナ
44…タグ側送受信部
45…タグ側メモリ
45a…識別ID
50…制御部
80…通信制御部
90…外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
蓄電部と、
前記蓄電部を充電するための充電器に付加される識別IDを読み取るための読み取り部と、
前記読み取り部により読み取られた前記識別IDの情報と規定の情報とを照合して、前記照合の結果が一致を示す場合には、前記充電器による前記蓄電部の充電を許可し、前記照合の結果が一致を示さない場合には、前記表示部に前記充電器を使用不可とする情報を表示する制御部と
を具備する携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、前記読み取り部は、前記携帯端末装置が前記充電器と嵌合するための前記携帯端末装置の嵌合部に配置される
携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
さらに、音声部を備え、
前記照合の結果が一致を示さない場合には、前記制御部は、さらに前記音声部により前記充電器を使用不可とする音声情報を生成する携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1から3までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
さらに、振動部を備え、
前記照合の結果が一致を示さない場合には、前記制御部は、さらに前記振動部を振動させることにより、前記充電器は使用不可であることを知らせる携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1から4までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
さらに、前記蓄電部の電圧を測定するための電圧測定回路を備え、
前記電圧測定回路により前記蓄電部の端子電圧を測定し、測定された前記端子電圧の値が規定の値以下の場合に、前記読み取り部により、前記充電器に配置される前記識別IDが読み取られる携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1から5までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
前記読み取り部は、非接触ICタグリーダーである携帯端末装置。
【請求項7】
請求項1から6までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
前記識別IDの情報は、前記充電器が純正品あるいは適合規格品であるかを識別するための情報を備えている携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1から7までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
前記携帯端末装置は携帯電話である携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1から8までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
前記読み取り部は、さらに、PCと前記携帯端末装置とを接続するためのPC接続ケーブルに付加される識別IDを読み取る携帯端末装置。
【請求項10】
請求項1から9までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置において、
前記読み取り部は、さらに、前記携帯端末装置を搭載するハンズフリー装置に付加される識別IDを読み取る携帯端末装置。
【請求項11】
表示部と、蓄電部と、前記蓄電部を充電するための充電器に付加される識別IDを読み取るための読み取り部と、制御部とを具備する携帯端末装置の充電方法であって、
前記識別IDの情報を読み取るID情報取得ステップと、
前記ID情報取得ステップにより取得されたID情報と規定の情報とを照合するID情報照合ステップと、
前記ID情報照合ステップにおける照合結果が一致を示す場合には、前記充電器による前記蓄電部の充電を許可する充電許可ステップと、
前記照合の結果が一致を示さない場合には、前記表示部に前記充電器を使用不可とする情報を表示する充電不許可ステップと
を具備する携帯端末装置の充電方法。
【請求項12】
請求項11に記載の携帯端末装置の充電方法において、
前記携帯端末機器は、さらに、音声部を備え、
前記照合の結果が一致を示さない場合には、さらに、前記充電器を使用不可とする音声情報を生成する音声情報生成ステップを備える携帯端末装置の充電方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の携帯端末装置の充電方法において、
前記携帯端末機器は、さらに、振動部を備え、
前記照合の結果が一致を示さない場合には、さらに、前記携帯端末装置を振動させることにより、前記充電器は使用不可であることを知らせる振動生成ステップを具備する携帯端末装置の充電方法。
【請求項14】
請求項11から13までの少なくとも一項に記載の携帯端末装置の充電方法において、
前記携帯端末装置は、さらに、前記蓄電部の電圧を測定するための電圧測定回路を備え、
前記蓄電部の端子電圧を測定する端子電圧測定ステップと、
前記端子電圧測定ステップにより測定された前記端子電圧の値が規定の値以下の場合に、前記識別IDの情報を読み取るID情報取得ステップと
を具備する携帯端末装置の充電方法。
【請求項15】
請求項11から14までのいづれか一項に記載の携帯端末装置の充電方法を実現するためのコンピュータ読み込み可能な携帯端末装置の充電プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−280119(P2006−280119A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96529(P2005−96529)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】