説明

携帯端末装置

【課題】装置本体に対するユーザの操作性が低下するのを抑制することが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】このPDA100(携帯端末装置)は、ソフトウェアキーボード画面30が任意の大きさで表示される表示画面部21を含む装置本体20と、ユーザにより装置本体20が移動される際、表示画面部21の面内方向に沿って移動される移動量P1と、面内方向と垂直な方向に沿って移動される移動量P2とを検出する撮像部23と、撮像部23が検出した移動量P1とP2とを比較して、移動量P1がP2よりも大きい場合には、面内方向のうちの装置本体20が移動される方向とは反対の方向に移動量P1だけソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を移動した状態で表示画面部21に表示させるとともに、移動量P2がP1よりも大きい場合には、移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行うように構成された制御部25aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末装置に関し、特に、表示画面部に入力画面が表示される装置本体を備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示画面部に入力画面が表示される装置本体を備えた携帯端末装置が知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、任意の画像を表示可能な表示部と、装置本体の加速度を検出する加速度検知手段と、加速度検知手段により検出された加速度に対応して表示部内の画像の表示範囲を変更する画像変更制御手段とを備えた画像表示制御装置(携帯端末装置)が開示されている。この画像表示制御装置では、ユーザが装置本体を上下方向、左右方向、および前後方向に移動させた場合、画像変更制御手段は、加速度検知手段が検出した各々の方向における装置本体の加速度に基づいて、画像(画面)を上下方向または左右方向にスクロールさせたり前後方向に拡大または縮小させたりして表示部に表示する制御を行うように構成されている。また、この画像表示制御装置では、装置本体が全ての方向に移動される場合であっても、所定の方向(たとえば前後方向)に移動される際の画像変更制御(画像を拡大または縮小して表示する制御)のみを実行する制御モードに設定可能であるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、タッチパネルからなる入力部と、入力部に重ねられて設けられるとともにソフトウェアキーボードが表示される表示部(表示画面)と、ソフトウェアキーボードからの入力信号を処理可能な制御部(CPU)とを備えた携帯情報端末装置が開示されている。この携帯情報端末装置では、制御部は、ユーザによりタッチパネルが操作された際、表示画面内のタッチパネルに接触した位置とその周辺領域とに対応するキーボード画像を部分的に拡大した状態で表示部に表示する制御を行うように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、任意の画像を表示可能な表示部と、装置本体の移動量を検出する加速度センサと、加速度センサにより検出された移動量に対応して表示部内の画像の表示範囲を変更する制御部(CPU)とを備えた画像表示装置(携帯端末装置)が開示されている。この画像表示装置では、ユーザが装置本体を上下方向、左右方向、および前後方向に移動させた場合、制御部は、加速度センサが検出した各々の方向における装置本体の加速度に基づいて、画像(画面)を上下方向または左右方向にスクロールさせたり表示倍率を拡大または縮小させたりして表示部に表示する制御を行うように構成されている。また、このような制御は、移動される3つの方向毎に全て行われるので、ユーザは、常に移動動作に応じて処理された画像を見ながら装置本体の操作を行うように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、任意の画像を表示可能な表示部と、装置本体の移動時の加速度を検出するセンサと、このセンサにより検出された移動量に対応して表示部内の画像の表示範囲を変更する制御部とを備えた電子機器(携帯端末装置)が開示されている。この電子機器では、ユーザが装置本体を上下方向、左右方向、および前後方向に移動させた場合、制御部は、センサが検出した各々の方向における装置本体の加速度に基づいて、画像(画面)を上下方向または左右方向にスクロールさせたり表示倍率を拡大または縮小させたりして表示部に表示する制御を行うように構成されている。また、このような制御は、移動される3つの方向毎に全て行われるので、ユーザは、常に移動動作に応じて処理された画像を見ながら装置本体の操作を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−271505号公報
【特許文献2】特開2001−175375号公報
【特許文献3】特開2004−191642号公報
【特許文献4】特開2005−25170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像表示制御装置では、装置本体が全ての方向(上下、左右および前後方向)に移動される場合であっても所定の方向(たとえば前後方向)に対応した画像変更制御(画像の拡大または縮小)のみを行う制御モードに設定されている場合、必ずしもユーザの動作に適した画像変更制御が行われているとは考えられない。すなわち、ユーザが主に装置本体を上下/左右方向に移動させて使用する場合、画像が上下または左右方向にスクロールされる制御が優先されるべきであるにも関わらず、画像(画面)が拡大または縮小される制御が実行されてしまう場合が考えられる。また、ユーザが主に装置本体を前後方向に移動させて使用する場合、画像(画面)が拡大または縮小されて表示される制御が優先されるところを画像がスクロールされてしまう場合が考えられる。このような場合、ユーザの動作(使い方)に応じた画像変更制御が適切に行われないため、装置本体に対するユーザの操作性が低下するという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の携帯情報端末装置では、ユーザがタッチパネルを操作した際、タッチパネルに接触した位置とその周辺領域とに対応するキーボード画像が部分的に拡大して表示される一方、ユーザが表示部の面内方向と垂直な方向に装置本体を移動させることにより表示部をユーザに対して近づけたり遠ざけたりする場合であっても、表示部に表示されるキーボード画像の大きさは変化しないと考えられる。したがって、タッチパネルが操作されない状態で装置本体がユーザから遠ざけられた場合、ユーザから見たキーボード画像の大きさは相対的に小さくなる。また、この状態でタッチパネルが操作されたとしても、表示画面内には、部分的に拡大されたキーボード画像の部分と拡大されていないキーボード画像の部分とが混在した状態で表示されるため、ユーザは、部分的に拡大されたキーボード画像と拡大されていないキーボード画像とが混在した画面を見ながらタッチパネルを操作することを強いられる。このため、表示画面内のキーボード画像が見えづらい分、装置本体に対するユーザの操作性が低下するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献3および4に記載の画像表示装置や電子機器では、装置本体の上下方向、左右方向、および前後方向の各々の方向が混在する方向に移動した場合、移動に応じて画像(画面)のスクロール動作および表示倍率の拡大/縮小表示の動作が同時になされるため、ユーザは、スクロールされ、かつ、拡大/縮小され続ける画像を凝視しながら装置本体の操作を行うことを強いられる。このため、画面内の画像が見えづらくなるので、装置本体に対するユーザの操作性が低下するという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置本体に対するユーザの操作性が低下するのを抑制することが可能な携帯端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
この発明の一の局面による携帯端末装置は、入力操作のための入力画面が任意の大きさで表示される表示画面部を含む装置本体と、ユーザにより装置本体が移動される際、装置本体の表示画面部の面内方向に沿って移動される第1移動量と、面内方向と垂直な方向に沿って移動される第2移動量とを検出する検出部と、検出部が検出した第1移動量と第2移動量とを比較して、第1移動量が第2移動量よりも大きい場合には、面内方向のうちの装置本体が移動される方向とは反対の方向に第1移動量だけ入力画面の表示範囲を移動した状態で入力画面を表示画面部に表示させるとともに、第2移動量が第1移動量よりも大きい場合には、第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行うように構成された制御部とを備える。
【0013】
この発明の一の局面による携帯端末装置では、上記のように、ユーザにより装置本体が移動される際、装置本体の表示画面部の面内方向に沿って移動される第1移動量と、面内方向と垂直な方向に沿って移動される第2移動量とを検出する検出部と、検出部が検出した第1移動量と第2移動量とを比較して、第1移動量が第2移動量よりも大きい場合には、面内方向のうちの装置本体が移動される方向とは反対の方向に第1移動量だけ入力画面の表示範囲を移動した状態で入力画面を表示画面部に表示させるとともに、第2移動量が第1移動量よりも大きい場合には、第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行うように構成された制御部とを備えている。これにより、ユーザが装置本体を使用する際、制御部は、検出部が検出する第1移動量および第2移動量のうちの、より大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行して入力画面の表示処理を行うことができる。たとえば、ユーザが主に表示画面部の面内方向に沿って装置本体を移動させて使用する場合、表示画面部の面内方向と垂直な方向の移動(第2移動量)が若干検出されたとしても、入力画面の表示範囲を表示画面部の面内方向に沿って第1移動量だけ移動させる処理が優先される。また、ユーザが主に表示画面部の面内方向と垂直な方向に沿って装置本体を移動させて使用する場合、表示画面部の面内方向の移動(第1移動量)が若干検出されたとしても、入力画面の表示倍率を第2移動量に基づいて拡大または縮小させる処理が優先される。すなわち、装置本体の主な移動方向に応じた入力画面の表示処理が優先的に行われるので、装置本体の主な移動方向と異なる方向に応じた入力画面の表示処理が行われない分、ユーザの入力画面に対する視覚的な負担が軽減される。この結果、装置本体に対するユーザの操作性が低下するのを抑制することができる。
【0014】
また、上記一の局面のように構成することによって、入力画面は、入力画面全体の表示倍率が拡大または縮小された状態で表示画面部に表示される。したがって、ユーザが装置本体の移動に伴って部分的に拡大された入力画面などを見ながら入力操作を行うような場合と異なり、ユーザは、表示画面部内の入力画面を特別な注意を払わずに無理なく見ながら入力操作を行うことができる。これによっても、ユーザの入力画面に対する視覚的な負担が軽減されるので、装置本体に対するユーザの操作性が低下するのを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による携帯端末装置において、好ましくは、装置本体は、表示画面部に重ねて配置されるとともに、ユーザが入力画面に基づいて装置本体に対する入力操作を行うことが可能なタッチパネル部をさらに含み、制御部は、少なくともユーザがタッチパネル部を介して装置本体に対する入力操作が行われている際に、第1移動量が第2移動量よりも大きい場合には、面内方向のうちの装置本体が移動される方向とは反対の方向に第1移動量だけ入力画面の表示範囲を移動した状態で入力画面を表示画面部に表示させるとともに、第2移動量が第1移動量よりも大きい場合には、第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、少なくともユーザがタッチパネル部を操作している間、検出部が検出する第1移動量および第2移動量のうちの、より大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行して入力画面の表示処理を行うことができるので、本発明の効果を、より効果的にユーザに提供することができる。
【0016】
上記装置本体がタッチパネル部を含む構成において、好ましくは、入力画面は、複数の入力キー画像からなるソフトウェアキーボードにより構成されており、制御部は、ユーザがタッチパネル部を介して装置本体に対する入力操作が行われている際、第1移動量が第2移動量よりも大きい場合には、面内方向のうちの装置本体が移動される方向とは反対の方向に第1移動量だけソフトウェアキーボードの表示範囲を移動した状態でソフトウェアキーボードを表示画面部に表示させるとともに、第2移動量が第1移動量よりも大きい場合には、第2移動量に基づいてソフトウェアキーボードの表示倍率を拡大または縮小した状態でソフトウェアキーボードを表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、少なくともユーザがタッチパネル部を介してソフトウェアキーボードを操作している間、検出部が検出する第1移動量および第2移動量のうちの、より大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行して入力画面の表示処理が行われる。これにより、ユーザは、操作性の低下に伴うストレスなどを感じることなくソフトウェアキーボードを介して装置本体に対する入力操作を行うことができる。
【0017】
上記一の局面による携帯端末装置において、好ましくは、検出部がユーザに対して装置本体が遠ざかる方向に第2移動量を検出する場合には、制御部は、第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を拡大した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行うように構成されるとともに、検出部がユーザに対して装置本体が近づく方向に第2移動量を検出する場合には、制御部は、第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を縮小した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、装置本体が表示画面部の面内方向と垂直な方向に沿ってユーザから遠ざかる場合においてもユーザに近づけられる場合においても、装置本体と表示画面部との距離に応じて入力画面の表示倍率が切り換えられる。これにより、ユーザは、装置本体と表示画面部との距離に影響されることなく、常に、適切な表示倍率に調整された入力画面を見ることができる。
【0018】
上記一の局面による携帯端末装置において、好ましくは、制御部が第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行う際、制御部は、ユーザから見た入力画面の大きさが、入力画面の表示倍率が第2移動量に基づいて拡大または縮小される前の状態と、入力画面の表示倍率が第2移動量に基づいて拡大または縮小された後の状態とにおいて略同じ大きさに保たれるように、入力画面の表示倍率を拡大または縮小して表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ユーザは、装置本体と表示画面部との距離に影響されることなく、常に、ユーザから見た入力画面の大きさが略同じの大きさで表示された入力画面を見ることができるので、ユーザは、視覚的なストレスのない状態で装置本体を操作することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、少なくともユーザの年齢に関する情報が記憶された記憶部をさらに備え、制御部が第2移動量に基づいて入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で入力画面を表示画面部に表示させる制御を行う際、制御部は、入力画面の表示倍率が拡大または縮小された後のユーザから見た入力画面の大きさを、記憶部に記憶されたユーザの年齢に関する情報に基づいて決定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、入力画面の表示倍率が切り換えられる際、ユーザの年齢に応じて表示倍率がさらに補正された状態で切り換えられるので、ユーザの個人的な特徴が考慮される分、入力画面の見やすさを、より多くのユーザに体感させることができる。
【0020】
上記装置本体がタッチパネル部を含む構成において、好ましくは、制御部は、ユーザによってタッチパネル部による装置本体への入力操作が行われていない場合に、入力画面の表示範囲を移動しない状態であり、かつ、入力画面の表示倍率を拡大または縮小しない状態で、入力画面を表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ユーザがタッチパネル部を操作していない間は、検出部が検出する第1移動量および第2移動量のうちのより大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行するような入力画面の表示処理が行われない。したがって、ユーザがタッチパネル部を操作していない間は、ユーザは、入力画面の表示処理が行われない通常のサイズの入力画面を見ることができる。
【0021】
上記一の局面による携帯端末装置において、好ましくは、検出部は、ユーザを撮影可能な撮像装置を含み、検出部は、ユーザにより装置本体が移動される際の撮像装置が撮影したユーザの像の位置の変化に基づいて第1移動量および第2移動量を検出するように構成されている。このように構成すれば、撮像装置が撮影したユーザの位置の変化に基づいて、制御部は、第1移動量および第2移動量を容易に把握することができる。
【0022】
この場合、好ましくは、検出部は、ユーザにより装置本体が移動される際の撮像装置が撮影したユーザの顔の大きさの変化に基づいて、第1移動量および第2移動量を検出するように構成されている。このように構成すれば、ユーザの顔の大きさの変化に基づいて、制御部は、第1移動量および第2移動量をより容易に把握することができる。
【0023】
上記一の局面による携帯端末装置において、好ましくは、検出部は、装置本体が移動される際の装置本体の加速度に基づいて、第1移動量および第2移動量を検出するように構成されている。このように構成すれば、装置本体の加速度の大きさに基づいて、制御部は、第1移動量および第2移動量を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による携帯端末装置(PDA)の構成を示した平面図である。
【図2】図1に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)の構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)を使用して情報の入力操作を行っている状態を示した図である。
【図4】図1に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)を使用して情報の入力操作を行っている状態を示した図である。
【図5】図1に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)が表示するソフトウェアキーボード画面の表示倍率が変更された状態を示した平面図である。
【図6】図5に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)が表示するソフトウェアキーボード画面の表示範囲が変更されて表示された状態を示した平面図である。
【図7】図5に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)が表示するソフトウェアキーボード画面の表示範囲が変更されて表示された状態を示した平面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による携帯端末装置(PDA)の制御フローを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
まず、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態によるPDA100の構成について説明する。なお、本実施形態では、本発明の携帯端末装置の一例として、表示画面部に入力画面が表示されるPDA(Personal Digital Assistant)100に、本発明を適用した場合について説明する。
【0027】
本発明の一実施形態によるPDA100は、図1に示すように、樹脂製の筐体10の内部に制御回路部25(図2参照)などを構成する装置本体20が収納されている。また、装置本体20は、図2に示すように、筐体10(図1参照)の表面に露出する液晶ディスプレイからなる表示画面部21と、表示画面部21の表面に設けられた静電容量方式のタッチパネル部22と、表示画面部21の側方に設けられるとともに内部にCCDセンサ(撮像素子)が内蔵された撮像部23と、アンテナ24aが内蔵されるとともに通信用電波の送受信を行う通信部24と、装置本体20を制御する制御回路部25と、制御回路部25に電力を供給する電源部26とを備えている。したがって、このPDA100では、通信用電波が受信可能な環境下では、屋内または屋外を問わずに、ユーザがインターネット接続サービスなどを利用して情報の送受信を行うことが可能に構成されている。
【0028】
また、ユーザがインターネット接続サービスなどを利用する際、図1に示すように、表示画面部21の所定の領域に、複数のキー画像30aが配列されて構成されたソフトウェアキーボード画面30が表示されるように構成されている。また、ソフトウェアキーボード画面30以外の領域には、ソフトウェアキーボード画面30によって情報を入力するための入力窓31が表示されるように構成されている。すなわち、表示画面部21は、表示画面部21に表示されたソフトウェアキーボード画面30や入力窓31が、タッチパネル部22を透過してユーザ300に視認できるように構成されている。これにより、図3に示すように、ユーザ300が、一方の手301によって装置本体20を裏面側から把持した状態で表示画面部21を見ながら、他方の手302の指などを使用して各々のキー画像30aに対応したタッチパネル部22の表面に触れることにより、PDA100に文字や記号などの情報を入力することが可能に構成されている。なお、ソフトウェアキーボード画面30は、本発明の「入力画面」の一例である。
【0029】
また、図2に示すように、制御回路部25は、CPUからなり装置本体20の制御を司る制御部25aと、ユーザに関する情報などが予め登録されているRAM(読取り書込み可能記憶装置)25bと、制御部25aが実行する各種制御プログラムが格納されたROM(読取り専用記憶装置)25cと、撮像部23によって撮影された被写体(ユーザ300など)の映像を画像信号に変換する撮像信号処理部25dとを備えている。なお、RAM25bは、本発明の「記憶部」の一例である。
【0030】
ここで、本実施形態では、ユーザ300がソフトウェアキーボード画面30を使用して装置本体20を操作している状態において、ユーザ300が装置本体20の位置を移動させた場合、制御部25aは、装置本体20が移動される方向に応じて表示中のソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示サイズ)や表示範囲を変更しながら表示画面部21に表示する制御を行うように構成されている。
【0031】
具体的に説明すると、ユーザ300が図3に示した位置で装置本体20を操作している状態において、装置本体20をユーザ300の顔303から前方向(Z1方向)に遠ざけて図4に示した位置で操作しようとする場合には、制御部25aは、表示中のソフトウェアキーボード画面30を所定の倍率で拡大して表示画面部21に表示する制御を行うように構成されている。
【0032】
また、上述とは反対に、ユーザ300が図4に示した位置で装置本体20を操作している状態において、装置本体20をユーザ300の顔303に向かって後ろ方向(Z2方向)に近づけた場合には、制御部25aは、表示中のソフトウェアキーボード画面30を所定の倍率で縮小して表示画面部21に表示する制御を行うように構成されている。なお、前方向(Z1方向)および後ろ方向(Z2方向)は、本発明の「表示画面部の面内方向と垂直な方向」の一例である。
【0033】
また、本実施形態では、ソフトウェアキーボード画面30の大きさは、装置本体20が前方向(Z1方向)および後ろ方向(Z2方向)に移動される際の表示画面部21とユーザ300の顔303との距離L1の大きさに応じて徐々に拡大または縮小されて表示画面部21に表示されるように構成されている。
【0034】
また、本実施形態では、ユーザ300が図4に示した位置で装置本体20を操作している状態において、装置本体20を左右方向(X方向)または上下方向(Y方向)に移動させて操作しようとする場合には、表示中のソフトウェアキーボード画面30の表示範囲が、装置本体20の移動方向に追従して滑らかに移動するように構成されている。
【0035】
すなわち、装置本体20を図5に示した状態から右方向(X1方向)に動かすと、制御部25aは、表示画面部21内のソフトウェアキーボード画面30を左方向(X2方向)に移動する制御を行うことにより、ソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を図6に示すように右方向(X1方向)に移動させて表示画面部21に表示するように構成されている。
【0036】
また、上述とは反対に、装置本体20を左方向(X2方向)に動かすと、制御部25aは、ソフトウェアキーボード画面30を右方向(X1方向)に移動することによりソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を左方向(X2方向)に移動させて表示画面部21に表示するように構成されている。なお、左右方向(X方向)および上下方向(Y方向)は、本発明の「表示画面部の面内方向」の一例である。
【0037】
また、上記した左右方向へ移動する場合と同様に、装置本体20を上方向(Y1方向)に動かすと、制御部25aは、図5に示した状態から図7に示した状態となるように、ソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を上方向(Y1方向)に滑らかに移動させて表示画面部21に表示するように構成されている。また反対に、装置本体20を下方向(Y2方向)に動かすと、ソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を下方向(Y2方向)に移動させて表示画面部21に表示するように構成されている。
【0038】
また、制御部25aによって上述の制御が行われる際に、本実施形態では、制御部25aは、装置本体20の左右方向(X方向)および上下方向(Y方向)に沿った移動量P1(図4参照)と、装置本体20の前後方向(Z方向)に沿った移動量P2(図4参照)とを比較した後、移動量が大きい方の方向に対してのみ、表示中のソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示サイズ)または表示範囲を変更しながら表示画面部21に表示する制御を行うように構成されている。なお、移動量P1および移動量P2は、それぞれ、本発明の「第1移動量」および「第2移動量」の一例である。
【0039】
すなわち、移動量がP1>P2の関係である場合、装置本体20の左右方向または上下方向の移動に追従してソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を左右方向(X方向)または上下方向(Y方向)に移動させる一方、装置本体20の前後方向(Z方向)の移動には追従せずに同じ大きさ(表示サイズ)でソフトウェアキーボード画面30を表示し続けるように構成されている。これにより、ユーザ300が、主に表示画面部21の面内方向に装置本体20を動かしている際は、ソフトウェアキーボード画面30が拡大または縮小されることなく同じ大きさを維持したまま左右方向(X方向)または上下方向(Y方向)に動かされるので、前後方向(Z方向)に若干の「手振れ」などが発生しても、ソフトウェアキーボード画面30の表示サイズには影響しないように構成されている。
【0040】
また、移動量がP1<P2の関係である場合、装置本体20の前後方向(Z方向)の移動に追従してソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示サイズ)を拡大または縮小させる一方、装置本体20の左右方向(X方向)および上下方向(Y方向)の移動には追従せずに、同じ表示範囲でソフトウェアキーボード画面30を表示し続けるように構成されている。したがって、ユーザ300が、主に装置本体20を前後方向(Z方向)に動かす際は、左右方向および上下方向に若干の「手振れ」などが発生しても、ソフトウェアキーボード画面30が手振れなどに応じて左右方向および上下方向に揺れ動かないように構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、制御部25aが装置本体20の移動量P1および移動量P2を比較する際に、撮像部23が取得するユーザ300の顔303の位置や大きさの変化に基づいて、装置本体20の移動量P1およびP2をそれぞれ算出するように構成されている。すなわち、制御部25aは、撮像部23内のCCDセンサ(図示せず)が有する撮像面に映される顔303の位置や大きさの変化量に基づいて、装置本体20の移動量P1およびP2を常に把握するように構成されている。なお、撮像部23は、本発明の「検出部」および「撮像装置」の一例である。
【0042】
また、本実施形態では、制御部25aが移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示サイズ)を拡大または縮小させる際に、制御部25aは、装置本体20が前後方向に移動される前と後とでのユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさが、略同じ大きさに保たれるように、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小して表示画面部21に表示させる制御を行うように構成されている。
【0043】
すなわち、図3に示した距離L1(=約30cm)の場合にユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさが、図4に示した距離L2(=約60cm)の場合にユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさと略同じになるように構成されている。したがって、ユーザ300は、装置本体20を遠ざけても近づけても、ユーザ300の視野に映るソフトウェアキーボード画面30(個々のキー画像30a)の大きさが略変わらないことを体感できるように構成されている。なお、ユーザ300が装置本体20を手に持った状態でPDA100の操作を行うことを想定した場合、装置本体20を前後方向に移動させる範囲の最大値は、ユーザ300が腕を伸ばして顔303から装置本体20を最も遠ざける場合であるので、ここまでの範囲においてユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさが変わらないようにソフトウェアキーボード画面30の表示倍率が調整可能に構成されていればよい。
【0044】
また、本実施形態では、ユーザ300がPDA100の操作を行う際、装置本体20のRAM25bに予め登録されているユーザ300の年齢に関する情報に基づいて、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小して表示画面部21に表示させる制御を行うように構成されている。すなわち、ユーザ300が図3に示した状態から図4に示した状態に装置本体20を前方向に遠ざけた際に行われるソフトウェアキーボード画面30の表示倍率の制御において、制御部25aは、ユーザ300の年齢に関する情報を加味して表示倍率を決定する制御を行うように構成されている。
【0045】
したがって、たとえば、ユーザ300が相対的に年配の方である場合、相対的に若い方の場合の表示倍率(拡大率)よりも大きい表示倍率でソフトウェアキーボード画面30(個々のキー画像30a)が表示されるように構成されている。なお、表示倍率を補正するための補正係数などに関しては、たとえば、年齢と年齢に応じた補正係数とを対応させた数表(対応表)などが、PDA100の製造時にROM25cに予め書き込まれるように構成されていてもよいし、ユーザ300がPDA100を購入した際に、ユーザ300の年齢に関する情報などをRAM25bに登録するのにあわせて、この補正係数を任意に設定できるように構成されていてもよい。
【0046】
次に、図1、図3〜図5および図8を参照して、本実施形態によるPDA100の制御部25aの制御動作について説明する。なお、以下の説明では、装置本体20に電源が投入された状態で、装置本体20がユーザ300によるタッチパネル部22からの入力を受け付けることが可能な待機状態となっていることを前提としている。
【0047】
まず、図8に示すように、ステップS1では、制御部25aによって、表示画面部21にソフトウェアキーボード画面30や入力窓31が初期状態(通常)の表示倍率で表示される。すなわち、装置本体20は、タッチパネル部22からの入力待ちの状態となっている。
【0048】
そして、ステップS2では、タッチパネル部22による操作が開始されたか否かが制御部25aによって判断されるとともに、タッチパネル部22による操作が開始されるまで上記したステップS1の処理を継続しながらこの判断が繰り返される。
【0049】
また、ステップS2においてタッチパネル部22による操作が開始されたと判断された場合、ステップS3において、制御部25aにより撮像部23が起動される。すなわち、図3に示すように、撮像部23によって表示画面部21の前方(Z2方向)に位置するユーザ300の顔303が撮像部23内の撮像面に映される。
【0050】
そして、ステップS4では、撮像部23が撮影したユーザ300の顔303の大きさや位置のデータに基づいて、装置本体20とユーザ300との位置関係(図3に示す距離L1など)が制御部25aにより算出される。
【0051】
また、ステップS4では、装置本体20とユーザ300との位置関係が算出されるのと同時に、所定時間毎の装置本体20とユーザ300との位置関係の変化量が計算される。これにより、図3に示した装置本体20が移動される際の移動量P1および移動量P2が求められる。
【0052】
ここで、本実施形態では、ステップS5において、移動量P1と移動量P2とが比較される。この結果、移動量がP1<P2である(ユーザ300が主に装置本体20を前後方向(Z方向)に動かしている)と判断された場合、ステップS7において、制御部25aは、装置本体20の前後方向(Z方向)の移動に追従してソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示サイズ)を拡大または縮小させて表示画面部21に表示し続ける処理を行う。すなわち、表示画面部21のソフトウェアキーボード画面30は、たとえば、図1に示した状態(大きさ)と図5に示した状態(大きさ)との間で滑らかに変化しながら表示される。
【0053】
また、本実施形態では、ステップS5における移動量P1と移動量P2との比較結果がP1>P2である(ユーザ300が主に装置本体20を左右方向(X方向)または上下方向(Y方向)に動かしている)と判断された場合、ステップS7において、制御部25aは、装置本体20の左右方向または上下方向の移動に追従してソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を移動させて表示画面部21に表示し続ける処理を行う。すなわち、表示画面部21のソフトウェアキーボード画面30は、たとえば、図5に示した表示範囲と図6に示した表示範囲との間(左右方向の移動)や、図5に示した表示範囲と図7に示した表示範囲との間(上下方向の移動)で滑らかに移動しながら表示される。
【0054】
その後、ステップS8では、タッチパネル部22による入力操作が所定の時間発生していないか否かが制御部25aによって判断されるとともに、タッチパネル部22による入力操作が継続されていると判断された場合、上記したステップS4に制御が戻されて、以降ステップS8までの処理が繰り返される。
【0055】
また、ステップS8において、タッチパネル部22による操作が所定時間行われていないと判断された場合、ステップS9において、制御部25aは、ソフトウェアキーボード画面30や入力窓31を通常の表示倍率で表示画面部21に表示する制御を行う。なお、ステップS9の終了後は、再び上記したステップS1からの制御フローが繰り返される。
【0056】
本実施形態では、上記のように、ユーザ300により装置本体20が移動される際、装置本体20の表示画面部21の面内方向(図3のX方向およびY方向)に沿って移動される移動量P1と、面内方向と垂直な方向(図3のZ方向)に沿って移動される移動量P2とを検出する撮像部23と、撮像部23が検出した移動量P1と移動量P2とを比較して、移動量P1が移動量P2よりも大きい場合には、面内方向(図3のX方向およびY方向)のうちの装置本体20が移動される方向とは反対の方向に移動量P1だけソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を移動した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させるとともに、移動量P2が移動量P1よりも大きい場合には、移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行うように構成された制御部25aとを備えている。これにより、ユーザ300が装置本体20を使用する際、制御部25aは、撮像部23が検出する移動量P1および移動量P2のうちの、より大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行してソフトウェアキーボード画面30の表示処理を行うことができる。
【0057】
具体的には、ユーザ300が主に表示画面部21の面内方向(図3のX方向およびY方向)に沿って装置本体20を移動させて使用する場合、表示画面部21の面内方向と垂直な方向(図3のZ方向)の移動(移動量P2)が若干検出されたとしても、ソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を表示画面部21の面内方向に沿って移動量P1だけ移動させる処理が優先される。また、ユーザ300が主に表示画面部21の面内方向と垂直な方向(Z方向)に沿って装置本体20を移動させて使用する場合、表示画面部21の面内方向(X方向およびY方向)の移動(移動量P1)が若干検出されたとしても、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を移動量P2に基づいて拡大または縮小させる処理が優先される。すなわち、装置本体20の主な移動方向に応じたソフトウェアキーボード画面30の表示処理が優先的に行われるので、装置本体20の主な移動方向と異なる方向に応じたソフトウェアキーボード画面30の表示処理が行われない分、ユーザ300のソフトウェアキーボード画面30に対する視覚的な負担が軽減される。この結果、装置本体20に対するユーザ300の操作性が低下するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、ソフトウェアキーボード画面30は、ソフトウェアキーボード画面30全体の表示範囲が移動した状態で表示画面部21に表示されるとともに、ソフトウェアキーボード画面30全体の表示倍率が拡大または縮小された状態で表示画面部21に表示されるように構成されている。したがって、ユーザ300は、装置本体20の移動に伴って表示画面部21内で部分的に移動されたソフトウェアキーボード画面や、部分的に拡大されたソフトウェアキーボード画面(特定のキー画像)などを見ながら入力操作を行う場合と異なり、表示画面部21内のソフトウェアキーボード画面30に対して特別な注意を払わずに無理なく見ることができる。これによっても、ユーザ300のソフトウェアキーボード画面30に対する視覚的な負担が軽減されるので、装置本体20に対するユーザ300の操作性が低下するのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、制御部25aは、ユーザ300がタッチパネル部22を介して装置本体20に対する入力操作が行われている際、移動量P1が移動量P2よりも大きい場合には、面内方向(図3のX方向およびY方向)のうちの装置本体20が移動される方向とは反対の方向に移動量P1だけソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を移動した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させるとともに、移動量P2が移動量P1よりも大きい場合には、移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行うように構成されている。これにより、制御部25aは、少なくともユーザ300がタッチパネル部22を操作している間、撮像部23が検出する移動量P1および移動量P2のうちの、より大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行してソフトウェアキーボード画面30の表示処理を行うことができるので、本発明の効果を、より効果的にユーザ300に提供することができる。
【0060】
また、本実施形態では、撮像部23がユーザ300に対して装置本体20が遠ざかる方向(図3のZ1方向)に移動量P2を検出する場合、制御部25aを、移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行うように構成するとともに、撮像部23がユーザ300に対して装置本体20が近づく方向(図3のZ2方向)に移動量P2を検出する場合、制御部25aを、移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を縮小した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行うように構成している。これにより、装置本体20が表示画面部21の面内方向と垂直な方向に沿ってユーザ300から遠ざかる場合においてもユーザ300に近づけられる場合においても、装置本体20と表示画面部21との距離L1(図3参照)に応じてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率が切り換えられる。この結果、ユーザ300は、装置本体20と表示画面部21との距離L1に影響されることなく、常に、適切な表示倍率に調整されたソフトウェアキーボード画面30を見ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、制御部25aが移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行う際、制御部25aを、ユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさが、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率が移動量P2に基づいて拡大または縮小される前の状態(図3の状態)と、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率が移動量P2に基づいて拡大または縮小された後の状態(図4の状態)とにおいて略同じ大きさに保たれるように、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小して表示画面部21に表示させる制御を行うように構成している。これにより、ユーザ300は、装置本体20と表示画面部21との距離に影響されることなく、常に、ユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさが略一定の大きさで表示されたソフトウェアキーボード画面30を見ることができる。この結果、ユーザ300は、視覚的なストレスを有することなく装置本体20を操作することができる。
【0062】
また、本実施形態では、制御部25aが移動量P2に基づいてソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小した状態でソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行う際、制御部25aを、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率が拡大または縮小された後のユーザ300から見たソフトウェアキーボード画面30の大きさを、RAM25bに記憶されたユーザ300の年齢に関する情報に基づいて決定する制御を行うように構成している。これにより、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率が切り換えられる際、ユーザ300の年齢に応じて表示倍率がさらに補正された状態で切り換えられるので、ユーザ300の個人的な特徴が考慮される分、ソフトウェアキーボード画面30の見やすさを、より多くのユーザ300に体感させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、制御部25aを、ユーザ300によってタッチパネル部22による装置本体20への入力操作が行われていない場合、ソフトウェアキーボード画面30の表示範囲を移動しない状態であり、かつ、ソフトウェアキーボード画面30の表示倍率を拡大または縮小しない状態で、ソフトウェアキーボード画面30を表示画面部21に表示させる制御を行うように構成している。これにより、ユーザ300がタッチパネル部22を操作していない間は、撮像部23が検出する移動量P1および移動量P2のうちのより大きな移動量に基づいた制御を優先的に実行するようなソフトウェアキーボード画面30の表示処理が行われない。したがって、ユーザ300がタッチパネル部22を操作していない間は、ユーザ300は、ソフトウェアキーボード画面30の表示処理が行われない通常のサイズのソフトウェアキーボード画面30(図1参照)を容易に見ることができる。
【0064】
また、本実施形態では、ユーザ300により装置本体20が移動される際の撮像部23が撮影したユーザ300の像の位置の変化に基づいて移動量P1および移動量P2を検出するように構成することによって、撮像部23が撮影したユーザ300の位置の変化に基づいて、制御部25aは、移動量P1および移動量P2を容易に把握することができる。
【0065】
また、本実施形態では、ユーザ300により装置本体20が移動される際の撮像部23が撮影したユーザ300の顔303の大きさの変化に基づいて、移動量P1および移動量P2を検出するように構成することによって、ユーザ300の顔303の大きさの変化に基づいて、制御部25aは、移動量P1および移動量P2をより容易に把握することができる。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
たとえば、上記実施形態では、携帯端末装置としての一例であるPDAに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、表示画面部に入力画面が表示される装置本体を備えた携帯端末装置であれば、PDA以外のたとえばノート型パソコンや携帯電話機などの携帯端末装置にも適用可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、撮像部23によってユーザ300(顔303)位置の変化に基づいて装置本体20の移動量P1および移動量P2を検出するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、装置本体20に加速度センサを内蔵するとともに、この内蔵された加速度センサを使用して、装置本体20の3次元方向の加速度の変化量に基づいて移動量P1および移動量P2を検出するように構成してもよい。また、装置本体20に角速度センサ(ジャイロセンサ)を内蔵するとともに、この内蔵された角速度センサを使用して、装置本体20の3次元方向における角速度の変化量に基づいて移動量P1および移動量P2を検出するように構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、撮像部23を使用して装置本体20の移動量P1および移動量P2の両方を検出するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、移動量P1および移動量P2のいずれか一方を撮像部23を利用して検出するとともに、移動量P1および移動量P2のいずれか他方を加速度センサなどを使用して検出するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、装置本体20の移動量P1および移動量P2の大きさに応じてソフトウェアキーボード画面30の表示範囲または表示倍率を滑らかに変化させるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、装置本体20の移動量が所定の値を超えた場合にのみ、移動量P1とP2とを比較した後に、ソフトウェアキーボード画面30の表示範囲または表示倍率を変化させるように構成してもよい。すなわち、ユーザ300が装置本体20を把持して入力操作を行う際、「手振れ」程度の移動については、本発明における制御フロー(図8参照)を行わないように構成にしてもよい。この結果、ユーザが積極的に起こす動作(装置本体の上下・左右・前後方向の移動)についてのみ本発明における制御フロー(図8参照)を行うことができるので、本発明の効果を、より的確にユーザに提供することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、PDA100の長手方向を左右方向(図3のX方向)に合わせた状態でユーザ300が使用する場合について示したが、本発明はこれに限らず、PDA100の長手方向を上下方向(図3のY方向)に合わせた状態でユーザ300が使用する場合についても、本発明を適用することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、移動量P2の大きさに応じてソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示倍率)を変化させて表示させるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ソフトウェアキーボード画面30の大きさ(表示倍率)を変化させることに加えて、各キー画像30aに描かれている文字や記号の表示される太さを変化させて表示するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
20 装置本体
21 表示画面部
22 タッチパネル部
23 撮像部(検出部)
25a 制御部
25b RAM(記憶部)
30 ソフトウェアキーボード画面(入力画面)
300 ユーザ
303 顔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作のための入力画面が任意の大きさで表示される表示画面部を含む装置本体と、
ユーザにより前記装置本体が移動される際、前記装置本体の前記表示画面部の面内方向に沿って移動される第1移動量と、前記面内方向と垂直な方向に沿って移動される第2移動量とを検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記第1移動量と前記第2移動量とを比較して、前記第1移動量が前記第2移動量よりも大きい場合には、前記面内方向のうちの前記装置本体が移動される方向とは反対の方向に前記第1移動量だけ前記入力画面の表示範囲を移動した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させるとともに、前記第2移動量が前記第1移動量よりも大きい場合には、前記第2移動量に基づいて前記入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成された制御部とを備える、携帯端末装置。
【請求項2】
前記装置本体は、前記表示画面部に重ねて配置されるとともに、ユーザが前記入力画面に基づいて前記装置本体に対する入力操作を行うことが可能なタッチパネル部をさらに含み、
前記制御部は、少なくとも前記ユーザが前記タッチパネル部を介して前記装置本体に対する入力操作が行われている際に、前記第1移動量が前記第2移動量よりも大きい場合には、前記面内方向のうちの前記装置本体が移動される方向とは反対の方向に前記第1移動量だけ前記入力画面の表示範囲を移動した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させるとともに、前記第2移動量が前記第1移動量よりも大きい場合には、前記第2移動量に基づいて前記入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記入力画面は、複数の入力キー画像からなるソフトウェアキーボードにより構成されており、
前記制御部は、前記ユーザが前記タッチパネル部を介して前記装置本体に対する入力操作が行われている際、前記第1移動量が前記第2移動量よりも大きい場合には、前記面内方向のうちの前記装置本体が移動される方向とは反対の方向に前記第1移動量だけ前記ソフトウェアキーボードの表示範囲を移動した状態で前記ソフトウェアキーボードを前記表示画面部に表示させるとともに、前記第2移動量が前記第1移動量よりも大きい場合には、前記第2移動量に基づいて前記ソフトウェアキーボードの表示倍率を拡大または縮小した状態で前記ソフトウェアキーボードを前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記検出部が前記ユーザに対して前記装置本体が遠ざかる方向に前記第2移動量を検出する場合には、前記制御部は、前記第2移動量に基づいて前記入力画面の表示倍率を拡大した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成されるとともに、
前記検出部が前記ユーザに対して前記装置本体が近づく方向に前記第2移動量を検出する場合には、前記制御部は、前記第2移動量に基づいて前記入力画面の表示倍率を縮小した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御部が前記第2移動量に基づいて前記入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行う際、前記制御部は、前記ユーザから見た前記入力画面の大きさが、前記入力画面の表示倍率が前記第2移動量に基づいて拡大または縮小される前の状態と、前記入力画面の表示倍率が前記第2移動量に基づいて拡大または縮小された後の状態とにおいて略同じ大きさに保たれるように、前記入力画面の表示倍率を拡大または縮小して前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
少なくとも前記ユーザの年齢に関する情報が記憶された記憶部をさらに備え、
前記制御部が前記第2移動量に基づいて前記入力画面の表示倍率を拡大または縮小した状態で前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行う際、前記制御部は、前記入力画面の表示倍率が拡大または縮小された後の前記ユーザから見た前記入力画面の大きさを、前記記憶部に記憶された前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて決定する制御を行うように構成されている、請求項5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ユーザによって前記タッチパネル部による前記装置本体への入力操作が行われていない場合に、前記入力画面の表示範囲を移動しない状態であり、かつ、前記入力画面の表示倍率を拡大または縮小しない状態で、前記入力画面を前記表示画面部に表示させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記ユーザを撮影可能な撮像装置を含み、
前記検出部は、前記ユーザにより前記装置本体が移動される際の前記撮像装置が撮影した前記ユーザの像の位置の変化に基づいて前記第1移動量および前記第2移動量を検出するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記ユーザにより前記装置本体が移動される際の前記撮像装置が撮影した前記ユーザの顔の大きさの変化に基づいて、前記第1移動量および前記第2移動量を検出するように構成されている、請求項8に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記装置本体が移動される際の前記装置本体の加速度に基づいて、前記第1移動量および前記第2移動量を検出するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−282459(P2010−282459A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135903(P2009−135903)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】