説明

携帯端末装置

【課題】2つのタッチパネル間で表示部を移動させる際にもユーザへの操作負担を抑えることが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために本願発明は、ユーザによる接触を検知する接触検知部と、前記第1のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第1のタッチパネル上での押圧が解除されたときに、前記接触検知部により接触が検知されているか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部により接触が検知されていると判定された場合において前記接触検知部による接触が検知されなくなったときに、前記第2のタッチパネル上で押圧が開始されているか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部により押圧が開始されていると判定されたときは、前記第2のタッチパネル上の押圧されている位置に前記表示物を表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタッチパネルを有する携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのタッチパネルを有する携帯端末装置が知られている(特許文献1)。近年の携帯端末装置は、パソコン等に引けを取らないような複雑な機能を実現できるようになっており、それに伴いより複雑な表示が必要になってきている。
【0003】
そのため、上述のような2つのタッチパネルを有する携帯端末装置において、1つの機能に係る複雑な表示を2つのタッチパネルを用いて行うケースが考えられるが、このように2つのタッチパネルに分割して表示した場合、タッチパネルを跨ぐドラッグ操作等が必要となり得る。
【0004】
これに対しては、片方の手で第1のタッチパネルに表示されているウインドウ等の表示物をタッチしながら、他方の手で第2のタッチパネル上の所望の位置をタッチし、その後に、第1のタッチパネルから手を離すことで第1のタッチパネルから第2のタッチパネルに表示物を移動させる方法が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311224号公報
【特許文献2】特開2005−092476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、携帯端末装置では、片方の手で機器を持って操作を行うのが一般的であるため、一方のタッチパネルから他方のタッチパネルに表示物を移動させる際に両手を使わなければならない特許文献2の方法は不便である。
【0007】
更に、特許文献2の方法では、一方のタッチパネルから他方のタッチパネルに表示物を移動させる際に、ユーザは、1つのタッチパネル内で表示物を移動させる場合のドラッグ操作とは異なる操作を行う必要がある。つまり、ユーザは、1つのタッチパネル内で表示物を移動させるのか、一方のタッチパネルから他方のタッチパネルに表示物を移動させるのかを意識して操作しなければならないので、ユーザへの操作負担が増えるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、一方のタッチパネルから他方のタッチパネルに表示物を移動させる際にもユーザへの操作負担を抑えることが可能な携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末装置は、第1及び第2のタッチパネルを備え、タッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始されてから押圧位置が変化して押圧が解除されるまでの間において、押圧されている位置に対応して当該表示物を表示する機能を有する携帯端末装置であって、前記第1のタッチパネルと前記第2のタッチパネルとの間に設けられ、ユーザによる接触を検知する接触検知部と、前記第1のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第1のタッチパネル上での押圧が解除されたときに、前記接触検知部にて接触が検知されているか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部により接触が検知されていると判定された後に、前記接触検知部にて接触が検知されなくなったときは、前記第2のタッチパネル上で押圧が開始されているか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部により押圧が開始されていると判定されたときは、前記第2のタッチパネル上の押圧されている位置に前記表示物を表示する表示制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、表示物の位置での押圧開始から、押圧位置の変化に対応して表示されるところのその表示物は、例えばアイコンや画像やテキスト等の、タッチパネル内に表示される表示要素を意味する。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を備えることにより、ユーザの操作負担を抑えながら、一方のタッチパネルから他方のタッチパネルへ表示物を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】携帯電話機100の外観斜視図である。
【図2】携帯電話機100における2つのタッチパネルを跨ぐドラッグ&ドロップ操作を利用した操作例を説明するための図である。
【図3】メール作成画面の一例を示すための図である。
【図4】携帯電話機100の構成図である。
【図5】ユーザによるドラッグ&ドロップ操作に対する携帯電話機100の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】携帯電話機100の制御処理の遷移を説明するための図である。
【図7】その他の実施の形態(1)に係る携帯電話機100の制御処理を示すフローチャートである。
【図8】その他の実施の形態(1)に係る携帯電話機100の制御処理の遷移を説明するための図である。
【図9】その他の実施の形態(2)に係る携帯電話機100の制御処理の遷移を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る携帯端末装置の実施の形態としての携帯電話機について説明する。
【0014】
図1は、スライド型の携帯電話機100の外観斜視図である。携帯電話機100は、上部筐体101と、下部筐体102とで構成されている。上部筐体101には、スピーカ103、マイク104、タッチパネル105及びタッチセンサ107が設けられている。下部筐体102には、タッチパネル106及びタッチセンサ108が設けられている。各タッチパネル上には、ユーザからの指示に基づいて、カーソルキーやテンキー等のキー群やアイコン等が表示され、ユーザは、これらを指等でタッチすることにより各種操作を行うことができる。また、上部筐体101と下部筐体102とは開閉可能に連結されている。
【0015】
図1(A)は、上部筐体101と下部筐体102とが閉じた状態にある場合の外観斜視図である。閉じた状態とは、上部筐体101が、下部筐体102のタッチパネル106を覆うような相対位置にある場合である。本実施の形態では、閉じた状態を閉状態と称する。
【0016】
図(B)は、上部筐体と下部筐体とが開いた状態にある場合の外観斜視図である。開いた状態とは、上部筐体101に設けられたタッチパネル105と下部筐体102に設けられたタッチパネル106とを同一方向からの視認が可能な関係となる相対位置である。本実施の形態では、開いた状態を開状態と称する。
〔概要〕
最初に、図2を用いて、2つのタッチパネルを跨ぐドラッグ&ドロップ操作を利用した操作例の概要を説明する。
図2(A)では、各タッチパネル105、106の上にアイコン1乃至5が表示された例を示しており、特に、タッチパネル106上のアイコン5をユーザが指6でタッチして、タッチしたまま指を携帯電話機100から離さないまま移動させようとしている様子(ドラッグしようとしている様子)を示している。
【0017】
ユーザが、タッチした指6を携帯電話機100から離さないまま、このアイコン5をタッチパネル105に向かって移動させていくと、タッチセンサ108及びタッチセンサ107上を通過した後に、タッチパネル105の領域に入る(図2(B)参照)。指6が、タッチパネル106の外に出た場合であっても、タッチパネル106におけるタッチパネル105側の境界でアイコン5へのタッチが解除されない。
【0018】
引き続き、タッチパネル105上で指を滑らせていき、メールのアイコン1の上でアイコン5をドロップすること、つまり、タッチパネル105上を滑らせてきた指が、タッチパネル105上のアイコン1の位置にきたときに、その指をタッチパネル105から離す(タッチパネル105の押圧を解除する)ことで、図3に示すように、ドロップしたアイコン5に対応するファイルが添付された新規メールの作成画面が表示される。
【0019】
このように、ユーザは、離れて配置された2つのタッチパネル間においても、あたかも1つのディスプレイで操作しているかのように、ドラッグ&ドロップ操作を行うことができる。
〔構成〕
図4は、携帯電話機100の構成図である。
【0020】
携帯電話機100は、無線部110、マイク104、スピーカ103、信号処理部113、開閉検出部112、タッチパネル105、タッチパネル106と、タッチセンサ107と、タッチセンサ108と、記憶部111、及び制御部118により構成されている。
【0021】
無線部110は、アンテナ109を介して送受信する信号の変復調を行う。
【0022】
信号処理部113は、マイク104から入力される音声信号を無線部110を介して送信するための処理や、アンテナ109から無線部110を介して受信した音声信号をスピーカ103へ出力するための処理を行う。また、信号処理部113は、無線部110を介して電子メール等のデータを受信し、制御部118へ出力する。
【0023】
マイク104は、入力された音声を音声信号として信号処理部113へ出力する。
【0024】
スピーカ103は、信号処理部113にて処理された音声信号又は制御部118より受け取った音声データを音声として出力する。
【0025】
タッチパネル105は表示部114及び入力部115を、タッチパネル106は、表示部116及び入力部117を備えて構成されている。
【0026】
各表示部114、116は、LCD(Liquid Crystal Display)を含み、制御部118からの指示に基づいて、文字やアイコン等の画像をLCDに表示する機能を有している。
【0027】
また、各表示部114、116は、後述する記憶部111が記憶している座標値に基づいて、タッチ状態からデタッチ状態までの間にユーザの指がなぞった軌跡を表示する機能を有している。
【0028】
各入力部115,117は、ユーザによるタッチを検出し、検出している間、単位時間(例えば1/60秒)毎に、タッチしている位置の座標値を、制御部118を介して記憶部111に出力する。尚、各入力部115,117は、一般的なタッチパネルで用いられている抵抗膜方式、光学式、静電容量結合式等の何れの方法で実現するものであってもよい。
【0029】
タッチセンサ107は、上部筐体101の表面又は内部に設けられ、ユーザによるタッチを検出し、検出している間、単位時間(例えば1/60秒)毎に、その位置の座標値を、制御部118を介して記憶部111に出力する。尚、タッチセンサ107は、一般的なタッチパネル等で用いられている抵抗膜方式、光学式、静電容量結合式等の何れの方法で実現するものであってもよい。
【0030】
タッチセンサ108は、下部筐体102の表面又は内部に設けられ、ユーザによるタッチを検出し、検出している間、単位時間(例えば1/60秒)毎に、その位置の座標値を、制御部118を介して記憶部111に出力する。尚、タッチセンサ108は、一般的なタッチパネル等で用いられている抵抗膜方式、光学式、静電容量結合式等の何れの方法で実現するものであってもよい。
【0031】
記憶部111は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、制御部118で処理されるプログラム等を記憶する。
【0032】
また、記憶部111は、ユーザによるタッチを検出している間、各入力部115,117及び各タッチセンサ107,108から出力される座標値を単位時間(例えば1/60秒)毎に記憶する機能を有する。つまり、記憶部111は、タッチ状態からデタッチ状態までの間に出力された座標値を記憶する。記憶部111は、タッチ状態からデタッチ状態に変わると、記憶した座標値を制御部118に出力する。
【0033】
制御部118は、操作状態検出部119、接触検出部120及び操作判定部121とで構成され、携帯電話機100の全体動作の制御を行う。制御部118は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの処理手段である。
【0034】
操作状態検出部119は、各入力部115,117から送出された座標値に応じて、各タッチパネル105,106の操作状態を検出する機能を有する。各タッチパネル105,106の操作状態には、ユーザの指等がタッチパネルをタッチした(タッチパネルの押圧を開始した)タッチ状態の他、タッチパネルから指等を離した(タッチパネルの押圧を解除した)デタッチ状態、タッチ状態になった後であってデタッチ状態になっていないドラッグ状態がある。なお、一般的にドラッグ状態という場合、タッチされている位置が移動することになるが、本実施の形態では、全く位置が移動しない場合も含め、ドラッグ状態と表現している。操作状態検出部119は、検出した操作状態を操作判定部121に出力する。
【0035】
接触検出部120は、各タッチセンサ107,108から出力された結果に応じて、ユーザの指等が触れているか否かを検出する機能を有する。接触検出部120は、検出した結果を操作判定部121に出力する。
【0036】
操作判定部121は、操作状態検出部119によりタッチパネル106においてデタッチ状態を検出した場合に、接触検出部120により検出された結果に基づいてドラッグ状態を継続するか否かを判定する機能を有する。具体的な判定方法を次に説明する。操作判定部121は、操作状態検出部119がデタッチ状態と判定した場合において接触検出部120によりタッチセンサ108への接触が検出されているときは、操作判定部121は、ドラッグ状態を継続する。そして次に、ドラッグ状態を継続している間にタッチセンサ108への接触が検知されなくなった場合において、接触検出部によりタッチセンサ107への接触が検出されているときは、ドラッグ状態を継続する。そして、操作判定部121は、ドラッグ状態を継続している間にタッチセンサ107への接触が検知されなくなった場合において、操作状態判定部119によりタッチパネル106にてタッチ状態を検出しているときは、ドラック状態を継続する。
【0037】
開閉検出部112は、下部筐体102に対する上部筐体101の相対位置を検出する機能を有する。具体的には、開閉検出部112は、携帯電話機100が、開状態にあるのか、閉状態にあるのかを検出する。開閉検出部112は、検出した結果を制御部118に出力する。開閉検出部112の例としては、例えば上部筐体101と下部筐体02とに磁石センサを設けることが考えられる。磁石センサを設けることにより、閉状態にあるときは、互いの磁石センサが近接することで電気信号が流れ、開状態にあるときは、磁石センサは離れているため電気信号は流れないように構成してもよい。
〔動作の説明〕
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図5、図6を用いて説明する。
【0038】
最初に、携帯電話機100は、各表示部114、116アイコンを表示する(S1)。そして、各入力部115,117は、ユーザによるタッチを検出した場合に、タッチを検出した位置の座標値を制御部118に出力する(S2)。制御部118は、各入力部115、117から出力された座標値に基づいて、タッチを検出した位置にあるアイコンを特定する(S3)。
本実施例においては、例えば、図6(A)に示すように、制御部118は、タッチパネル105にアイコン1を、タッチパネル106にアイコン2乃至アイコン5を表示し、そして、ユーザの指がタッチパネル106にタッチした場合に入力部117が出力した座標値に基づいて、アイコン5を特定したものとする。
【0039】
次に、操作状態検出部119は、タッチパネル106にてデタッチ状態に遷移したか否かを検出する(S4)。操作判定部121は、操作状態検出部119によりタッチパネル106にてデタッチ状態が検出された場合に、接触検出部120によりタッチセンサ108にてユーザによるタッチが検出されているか否かを判定する。操作判定部は、タッチセンサ108にてユーザによるタッチが検出されていない場合には(S5のNo)、デタッチ状態と判定する。表示部116は、デタッチを検出した座標値に、S3により特定されたアイコンを表示させる(S11)。
【0040】
操作判定部121は、タッチセンサ108にてユーザによるタッチが検出されている場合には(S5のYes)、タッチ状態を継続する。具体的には、例えば図6(B)に示すように、操作判定部121は、ユーザの指6が、携帯電話機100に触れながら矢印7の方向に動くことにより、タッチパネル106の領域を出た後にタッチセンサ108の領域に入ったときは、タッチ状態(又はドラッグ状態)を継続する。
【0041】
次に、操作判定部121は、接触検出部120によりタッチセンサ108へのタッチが検出されなくなったか否かを判定する(S6)。操作判定部121は、タッチセンサ108へのタッチが検出されなくなった場合に、接触検出部120の出力に基づいて、タッチセンサ107にてユーザによるタッチが検出されているか否かを判定する(S7)。操作判定部121は、タッチセンサ107にてユーザによるタッチが検出されていない場合は(S7のNo)、デタッチ状態と判定する(S12)。表示部116は、操作判定部121によりデタッチ状態と判定された場合には、S3により特定されたアイコン5を初期の位置(S2により検出された座標値)に表示させる(S13)。具体的には、操作判定部121は、例えば図6(B)において、ユーザの指6が矢印8の方向に動くことにより、タッチセンサ108の領域内にあるユーザの指6がタッチセンサ107への領域に移動せずにタッチセンサ108から離れた場合には、デタッチ状態と判定する。この場合に、表示部116は、アイコン5を元の位置(図6(a)のアイコン5の位置)に表示する。
【0042】
操作判定部121は、タッチセンサ107にてユーザによるタッチが検出されている場合は(S7のYes)、タッチ状態を継続する。具体的には、例えば、操作判定部121は、図6(B)に示すように、ユーザの指6が、携帯電話機100に触れながら矢印9の方向に動くことにより、タッチセンサ108の領域を出た後にタッチセンサ107の領域に入ったときは、タッチ状態(又はドラッグ状態)を継続する。
【0043】
次に、操作判定部121は、接触検出部120からの出力に基づいて、タッチセンサ107へのタッチが検出されなくなったか否かを判定する(S8)。操作判定部121は、タッチセンサ107へのタッチが検出されなくなった場合に、操作状態検出部119からの出力に基づいて、タッチパネル105にてユーザによるタッチが検出されているか否かを判定する(S9)。操作判定部121は、タッチパネル105にてユーザによるタッチが検出されていない場合には(S9のNo)、デタッチ状態と判定する(S12)。表示部116は、操作判定部121によりデタッチ状態と判定された場合には、S3により特定されたアイコンを初期の位置(S2により検出された座標値)に表示させる(S13)。具体的には、操作判定部121は、図6(B)に示すように、ユーザの指6が、携帯電話機100に触れながら矢印10の方向に動くことにより、タッチセンサ107の領域内にあるユーザの指6がタッチパネル105の領域内に移動せずにタッチセンサ107から離れた場合には、デタッチ状態と判定する。この場合に、表示部116は、アイコン5を元の位置(図6(A)のアイコン5の位置)に表示する。
【0044】
操作判定部121は、タッチパネル105にてユーザによるタッチを検出している場合には(S9のYes)、タッチ状態を継続する。そして、表示部114は、タッチパネル105にてユーザによるタッチを検出している位置に、S3により特定されたアイコンを表示させる(S10)。具体的には、操作判定部121は、図6(B)に示すように、ユーザの指6が、携帯電話機100に触れながら矢印11の方向に動くことにより、タッチセンサ107の領域を出た後にタッチパネル105の領域に入ったときは、タッチ状態(又はドラッグ状態)を継続する。そして、表示部114は、入力部115が検出したタッチ位置にアイコン5を表示させる。
【0045】
以上の動作を行うことにより、離れて配置された2つのタッチパネル間においても、ユーザは、あたかも1つのディスプレイで操作しているかのように、ドラッグ&ドロップ操作を行うことができる。
〔その他の実施の形態〕
(1)本実施の形態では、携帯電話機100が開状態にある場合に、一方のタッチパネルに表示されているアイコンを他方のタッチパネルに移動させることで説明をした。しかしながら、本発明は、必ずしも携帯電話機100が開状態にある場合に限定されない。そのため、携帯電話機100が閉状態にある場合に、一方のタッチパネルに表示されているアイコンを他方のタッチパネルに移動させる実施の形態を、図7及び図8を用いて説明する。
【0046】
最初に、制御部118は、開閉検出部112からの出力に基づいて、自機が開状態にあるか閉状態にあるかを判定する(S21)。制御部118は、開状態にあると判定した場合には図5のS1に移行する(S21のNo)。S1以降の動作については〔動作の説明〕にて説明したのと同等であるため、説明は省略する。制御部118は、閉状態にあると判定した場合には(S21のYes)、表示部114にアイコンを表示する(S22)。次に、入力部115は、タッチパネル105にてユーザによるタッチを検出した場合に、タッチを検出した位置の座標を制御部118に出力する(S23)。制御部118は、入力部115から出力された座標値に基づいて、タッチを検出した位置にあるアイコンを特定する(S24)
具体的には、例えば図8(A)に示すように、制御部118は、タッチパネル105にてアイコン2及びアイコン3を表示し、そして、ユーザの指がタッチパネル105にタッチした場合に入力部115が出力した座標値に基づいて、アイコン2を特定する。
【0047】
次に、操作判定部121は、操作状態検出部119からの出力に基づいて、タッチパネル105にてデタッチ状態を検出したか否かを判定する(S25)。そして、操作判定部121は、タッチパネル105にてデタッチ状態を検出した場合に、タッチセンサ107にてユーザの指6によるタッチが検出されているか否かを判定する(S26)。操作判定部121は、タッチセンサ107にてユーザの指6によるタッチが検出されていない場合には、デタッチ状態と判定する(S26のNo)。表示部114は、操作判定部121によりデタッチ状態と判定された場合には、デタッチを検出した位置にアイコン2を表示させる(S30)。
【0048】
操作判定部121は、タッチセンサ107にてユーザの指6によるタッチを検出した場合には、タッチ状態を継続する(S26のYes)。具体的には、例えば図8(B)にて示すように、ユーザの指6が、携帯電話機100に触れながら矢印12の方向に動くことにより、タッチパネル105の領域を出た後にタッチセンサ107の領域に入ったときは、タッチ状態を継続する。
【0049】
表示部114は、タッチセンサ107へのユーザの指6によるタッチを検出しなくなった後に、タッチパネル105からアイコン2の表示を消す(S27)。
【0050】
次に、制御部118は、自機が開状態に遷移したか否かを判定する(S28)。表示部116は、開状態に遷移した場合には(S28のYes)、タッチパネル106の所定の箇所にアイコン2を表示する(S29)。具体的には、例えば図8(C)に示すように、表示部116は、閉状態から開状態に遷移した場合に、アイコン2をタッチパネル106の所定の箇所に表示する。
【0051】
以上の動作を行うことにより、携帯電話機100が閉状態にある場合であっても、一方のタッチパネルに表示されているアイコンを他方のタッチパネルに移動させることができる。
(2)制御部118は、タッチ状態からデタッチ状態に遷移するまでの間、各入力部及び各タッチセンサが出力した座標値を用いて、ユーザの指6が描いた軌跡をタッチパネルに表示させてもよい。具体的には、例えば図9(A)に示すように、ユーザの指6が携帯電話機100に触れながら軌跡13(三角形の軌跡)を描いたとする。制御部118は、記憶部111に、ユーザの指6が軌跡13を描いている間に各入力部及び各タッチセンサから出力された座標値を記憶させる。制御部118は、操作判定部121が、操作状態検出部119及び接触検出部120からの出力に基づいてデタッチ状態であると判定した後に、例えばアイコン14等を介して、ユーザから軌跡を表示する指示を受け付けたときは、記憶した座標値に基づいて作成される軌跡13を縮小させた軌跡15を、タッチパネル105に表示させる。図9(B)には、表示部114が、タッチパネル105に、ユーザの指6が描いた軌跡13を縮小させた軌跡15を表示している例を示している。
(3)本実施の形態では、スライド型の携帯電話機にて説明したが、必ずしもスライド型に限定されない。例えば、開閉機構を備えないストレートタイプの携帯電話機であってもよい。この場合には、2つのタッチパネルの間に設けるタッチセンサは、タッチセンサ107又はタッチセンサ108のいずれか一方のみでよい。そして、開閉機構を備えないストレートタイプの携帯電話機にて本発明を実施する場合には、図7において、S6及びS7の処理は不要になる。
(4)制御部118は、更に、各タッチセンサ107、108の起動及び終了を制御することとしてもよい。例えば、制御部118は、タッチパネル106にてユーザの指によるタッチを検出した場合に、タッチセンサ108を起動し、そして、タッチセンサ108にてユーザの指によるタッチを検出した場合に、タッチセンサ107を起動することとしてもよい。制御部118がこのような処理を行うことにより、2つのタッチセンサにて消費される電力を低減させることができる。
(5)本実施の形態では、操作判定部121は、図5及び図6において、ユーザの指6が矢印9、11の方向に移動する場合にタッチ状態を継続したが、必ずしも矢印9、11の方向だけに限らない。例えば、操作判定部121は、ユーザの指6がタッチセンサ108にある場合に、矢印9の方向ではなく矢印7の逆方向に進んだときもタッチ状態を継続することとしてもよい。また、例えば、操作判定部121は、ユーザの指6がタッチセンサ107にある場合に、矢印11の方向ではなく矢印9の逆方向に進んだとしてもタッチ状態を継続することとしてもよい。
(6)本実施の形態では、操作状態検出部119がデタッチ状態を検出した場合に、各タッチパネル105、106及び各タッチセンサ107、108のいずれかにタッチがあるときにドラッグ状態を継続することで記載したが、必ずしもこれに限定されない。操作状態検出部119がデタッチ状態を検出した場合に処理を行うのではなく、タッチパネル108にてドラッグ状態にある場合にタッチセンサ108にて接触を検知し、タッチパネル108にてデタッチを検出した場合に、例えばタッチセンサ108での接触が継続していれば、ドラック状態を継続することとしてもよい。つまり、指6がタッチパネル106からタッチセンサ108へ移動している場合に(例えば図6(B)の矢印7の方向に移動している場合に)、指6がタッチパネル106とタッチセンサ108の両方に接していることを検出したときには、例え操作状態検出部119がタッチパネル106にてデタッチ状態を検出したとしても、操作判定部121はドラッグ状態を継続することとしてもよい。指6が、タッチセンサ108からタッチセンサ107への移動する場合、そして、タッチセンサ107からタッチパネル105へ移動する場合においても同様である。
【0052】
この他、実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
103 スピーカ
104 マイク
105 タッチパネル
106 タッチパネル
107 タッチセンサ
108 タッチセンサ
109 アンテナ
110 無線部
111 記憶部
112 開閉検出部
113 信号処理部
114 表示部
115 入力部
116 表示部
117 入力部
118 制御部
119 操作状態判定部
120 接触検出部
121 操作判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のタッチパネルを備え、タッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始されてから押圧位置が変化して押圧が解除されるまでの間において、押圧されている位置に対応して当該表示物を表示する機能を有する携帯端末装置であって、
前記第1のタッチパネルと前記第2のタッチパネルとの間に設けられ、ユーザによる接触を検知する接触検知部と、
前記第1のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第1のタッチパネル上での押圧が解除されたときに、前記接触検知部にて接触が検知されているか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により接触が検知されていると判定された後に、前記接触検知部にて接触が検知されなくなったときは、前記第2のタッチパネル上で押圧が開始されているか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により押圧が開始されていると判定されたときは、前記第2のタッチパネル上の押圧されている位置に前記表示物を表示する表示制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記第1のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第1のタッチパネル上での押圧が解除された場合において、前記接触検知部にて接触が検知されていないと判定されたときは、前記第1のタッチパネル上の押圧が解除された位置に前記表示物を表示すること
を特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、第2判定部により前記第2のタッチパネル上で押圧が開始されていないと判定したときは、前記第1のタッチパネル上の押圧が開始された位置に前記表示物を表示すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記第1のタッチパネルを備えた第1の筐体と、前記第2のタッチパネルと前記接触検知部とを備えた第2の筐体とで構成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記携帯端末装置は、更に、前記第1のタッチパネルを覆う位置に前記第2の筐体が配置された閉状態と前記第1のタッチパネルと前記第2のタッチパネルが共に略同一平面に並んで配置された開状態とに開閉可能であり、
自機が閉状態にある場合において、前記第2のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第2のタッチパネル上での押圧が解除されたときに、前記接触検知部にて接触が検知されているか否かを判定する第3判定部と、を備え、
前記表示制御部は、前記第3判定部により前記接触検知部にて接触が検知されていると判定された後に、閉状態から開状態へと遷移したときは、前記第2のタッチパネル上の表示部を前記第1のタッチパネル上に表示させること
を特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
第1及び第2のタッチパネルを備え、タッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始されてから押圧位置が変化して押圧が解除されるまでの間において、押圧されている位置に対応して当該表示物を表示する機能を有する携帯端末装置であって、
前記第1のタッチパネルと前記第2のタッチパネルとの間に設けられ、ユーザによる接触を検知する第1接触検知部と、
前記第1接触検知部と前記第2のタッチパネルとの間に設けられ、ユーザによる接触を検知する第2接触検知部と、
前記第1のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第1のタッチパネル上での押圧が解除されたときに、前記第1接触検知部により接触が検知されているか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により接触が検知されていると判定された場合において前記第1接触検知部にて接触が検知されなくなったときに、前記第2接触検知部により接触が検知されているか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により接触が検知されていると判定された場合において前記第2接触検知部にて接触が検知されなくなったときに、前記第2のタッチパネル上で押圧が開始されているか否かを判定する第3判定部と、
前記第3判定部により押圧が開始されていると判定されたときは、前記第2のタッチパネル上の押圧されている位置に前記表示物を表示する表示制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第1のタッチパネル上の表示物の位置で押圧が開始され、その後前記第1のタッチパネル上での押圧が解除された場合において、前記第1接触検知部にて接触が検知されていないと判定されたときは、前記第1のタッチパネル上の押圧が解除された位置に前記表示物を表示すること
を特徴とする請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、第2判定部により接触が検知されていないと判定された場合には、前記第1のタッチパネル上の押圧が開始された位置に前記表示物を表示すること
を特徴とする請求項6乃至請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、第3判定部により前記第2のタッチパネル上で押圧が開始されていないと判定したときは、前記第1のタッチパネル上の押圧が開始された位置に前記表示物を表示すること
を特徴とする請求項6乃至請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記携帯端末装置は、更に、押圧を検出してから押圧が解除されるまでの間、押圧の位置の変化を記憶する記憶部を備え、
前記表示制御部は、前記記憶部が記憶した押圧の位置の変化に基づいて、押圧を検出してから押圧が解除されるまでの軌跡を前記第1のタッチパネル又は前記第2のタッチパネルのいずれかに表示する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9に記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−70474(P2011−70474A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222010(P2009−222010)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】