説明

携帯端末装置

【課題】従来よりも操作性に優れ、且つ強固なセキュリティが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】複数の領域が設定される表示部101と、複数の領域のうちから操作により指定された領域の位置を検出する検出部102と、検出部102により検出された領域の位置を記憶する記憶部103と、複数の領域を区別する表示を行うとともに、各領域に対する表示を変更する表示制御部104aと、記憶部103が指定された領域の位置を記憶した後に検出部102で検出された領域の位置と、記憶部103に記憶された領域の位置とを比較する比較部104bとを備える携帯端末装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ機能を有する携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯端末装置には、画面とテンキーを1つにしたタッチパネルを具備した携帯端末装置や従来からある画面とテンキーとで構成された携帯端末装置等がある。
【0003】
このような携帯端末装置のセキュリティ番号の認証方法は、タッチパネルを有した携帯端末装置では、タッチパネル上にテンキーを表示し、予め登録したセキュリティ番号をテンキーで入力し、入力されたセキュリティ番号を認証する。また、画面とテンキーとで構成された携帯端末装置では、予め登録したセキュリティ番号をテンキーで入力し、入力されたセキュリティ番号を認証する。このように、予め登録されているセキュリティ番号は、幾つかの数字の組み合わせを使うのが一般的である。
【0004】
一方、パソコンによる認証では、数字以外にも英字を使うことができるためにセキュリティが向上する。また、パソコンを用いた場合、ソフトウェアキーなどを使用してテンキーをランダムに配置することにより、セキュリティ性がより向上する手段をとるものもある。さらに、パソコンでは、ソフトウェアキーを一字押すたびにソフトウェアキーの配置を換えることで、セキュリティがより一層強化する手段をとるものもある。
【0005】
関連のある技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−199581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、携帯端末装置に上述したパソコンのセキュリティ機能を追加すると不都合が生じてしまう。すなわち、携帯端末装置に英数字をセキュリティキーとして使用するのであれば、テンキーを何回か打つことにより英数字の変換をして1文字を入力することになる。従って、操作する度にこのような動作を行う必要が生じるため、入力する時間を費やす上、煩わしいという問題があった。
【0008】
また、前述のように、携帯端末装置では主にセキュリティ番号を用いて認証するのに対し、パソコンでは数字や英字等を組み合わせて認証することから、携帯端末装置の方がパソコンよりセキュリティ性が劣るため、携帯端末装置のセキュリティ性の向上が望まれていた。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来よりも操作性に優れ、且つ強固なセキュリティが可能な携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の携帯端末装置は、複数の領域が設定される表示部と、前記複数の領域のうちから操作により指定された領域の位置を検出する検出部と、前記検出部により検出された領域の位置を記憶する記憶部と、前記複数の領域を区別する表示を行うとともに、前記各領域に対する前記表示を変更する表示制御部と、前記記憶部が前記指定された領域の位置を記憶した後に前記検出部で検出された領域の位置と、前記記憶部に記憶された前記領域の位置とを比較する比較部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、複数の領域が設定される表示部と、前記複数の領域として3つ以上の領域を設定された場合、前記領域が1つ又は2つ以上含まれる2つ以上の領域に分割して認識し、該認識した領域のうちから操作により指定された領域の位置を検出する検出部と、前記検出部により検出された領域の位置を記憶する記憶部と、前記複数の領域を区別する表示を行うとともに、前記各領域に対する前記表示を変更する表示制御部と、前記記憶部が前記指定された領域の位置を記憶した後に前記検出部で検出された領域の位置と、前記記憶部に記憶された前記領域の位置とを比較する比較部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記表示制御部は、前記記憶部が前記指定された領域の位置を記憶する前に前記各領域に対する前記表示を変更することを特徴とする。
【0013】
また、前記複数の領域を区別する表示は、前記各領域の色彩を区別する表示であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
従来よりも操作性に優れ、且つ強固なセキュリティが可能な携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る携帯端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯端末装置のセキュリティ番号登録処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態に係る携帯端末装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る携帯端末装置が表示する画面に対応する位置情報を認識するための内部パーティションを示す図である。
【図5】本実施の形態に係る携帯端末装置のセキュリティ解除処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る携帯端末装置のセキュリティ解除処理の際に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態に係る携帯端末装置100について図を用いて説明する。なお、以下の説明で用いる図は、説明で用いるために必要な図のみ記載しており、これらに限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る携帯端末装置100の機能構成を示すブロック図である。携帯端末装置100は、テンキー等により複数の領域が各々他の領域と区別されるように表示される表示部101、表示部101でユーザが選択した領域の位置を検出する検出部102、位置情報を記憶する記憶部103、及びCPU(Central Processing Unit)により制御する制御部104を有する。
【0018】
制御部104は少なくとも表示制御部104a及び比較部104bを有する。表示制御部104aは、例えばテンキーの数字を囲うパーティションのように、複数の領域を区別するように表示部101に表示させるとともに、各領域に対する表示を変更する。比較部104bは、セキュリティを解除する際に、ユーザによりあらかじめ記憶部103に記憶された位置情報と、セキュリティを解除するためにユーザにより選択された番号に対応する位置情報とを比較する。
【0019】
次に、携帯端末装置100の動作例を、セキュリティ番号登録処理、セキュリティ解除処理の順に説明する。まず、セキュリティ番号登録処理について図2〜4を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る携帯端末装置のセキュリティ番号登録処理の一例を示すフローチャートである。図3は、本実施の形態に係る携帯端末装置100が表示する画面の一例を示す図である。図4は、本実施の形態に係る携帯端末装置100が表示する画面に対応する位置情報を認識するための内部パーティションを示す図である。なお、説明の便宜上図1を用いることがある。
【0020】
まず、検出部102は、ユーザによる表示部101への指示を検出すると検出結果を図1に示す表示制御部104aに通知し、セキュリティ番号登録処理が開始される(S1、S2)。
【0021】
表示制御部104aは、セキュリティ方式を従来の方式又は本発明の方式のいずれにするかをユーザに選択させるための情報を表示部101に表示させる(S3)。そして、検出部102は、ユーザにより本発明の方式が選択されたことを検出し、検出結果を表示制御部104aに通知する(S4)。
【0022】
表示制御部104aは、本発明の方式が選択されたことを判定すると(S5)、図3に示すようなテンキー等を表示部101に表示させる(S6)。
【0023】
ここで、図3に示すテンキーが表示された領域101aは、表示制御部104aでは、図4に示すようなアルファベットのa〜lまでの12の文字が表示された領域として認識される。すなわち、図4に示す図は図3に示す図と対応しており、また、図4に示すアルファベットのa〜lは図3に示すテンキーが表示された領域101aの各々の位置情報である。なお、図4に示す図は表示部101に表示されるものではない。
【0024】
検出部102は、ユーザにより表示部101に表示された「8」が選択されたことを検出すると、検出結果を表示制御部104aに通知する(S7、S8)。表示制御部104aは、図4に示す図に基づいて、表示部101の「8」が表示された領域101aの位置情報である「h」がユーザに選択されたものとして認識する(S9)。
【0025】
同様に、検出部102は、「5」、「1」及び「1」が選択されたことを検出すると、検出結果を表示制御部104aに通知する。通知を受けた表示制御部104aは、各々の位置に対応する位置情報である「e」、「a」及び「a」がユーザにより選択されたものとして認識する(S10〜S15)。
【0026】
検出部102は、ユーザにより図3に示す「決定」ボタンが選択されたことを検出する(S16)と、検出結果を表示制御部104aに通知する。表示制御部104aは、4つの位置情報である、「h」、「e」、「a」及び「a」を記憶部103に記憶させる(S17)。
【0027】
表示制御部104aは、記憶部103へ位置情報を記憶させた後、セキュリティ番号登録完了通知を表示部101に表示させる(S18)。最後に、ユーザがセキュリティ番号の登録を認識し、処理が終了する(S19)。
【0028】
次に、セキュリティ解除処理について図5及び6を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る携帯端末装置100のセキュリティ解除処理の一例を示すフローチャートである。図6は、本実施の形態に係る携帯端末装置100のセキュリティ解除処理の際に表示される画面の一例を示す図である。なお、説明の便宜上、図1及び4を用いることがある。
【0029】
まず、検出部102は、ユーザが表示部101に触れたことを検出すると検出結果を図1に示す表示制御部104aに通知し、セキュリティ番号解除処理が開始される(S21、S22)。
【0030】
表示制御部104aはテンキーを表示部101に表示させる(S23)。検出部102は、ユーザにより図6(a)に示す「8」が押下されたことを検出すると、検出結果を表示制御部104aに通知する(S24)。表示制御部104a(端末)は、図4に示す図に基づいて表示部101の「8」の位置に対応する位置情報である「h」がユーザに選択されたものとして認識する(S25)。
【0031】
表示制御部104aは、ユーザにより「決定」キーが押下された検出結果の通知を受けたか否か判断する(S26)。検出結果の通知を受けていない場合(S26、no)、表示制御部104aは図6(b)に示すようにテンキーの数字配置をランダムに変更し(S27)、変更されたテンキーを表示部101に表示させる(S23)。
【0032】
このS23〜S27は、表示制御部104aがユーザにより「決定」キーが押下されたことを認識するまで繰り返される。具体的には、ユーザは、図6(b)に示す数字配列変更後のテンキーの中から「1」を選択し、図6(c)に示すように数字配列変更されたテンキーの中から「3」を選択し、続いて図6(d)に示すように数字配列変更されたテンキーの中から「1」を選択する。これに伴い、表示制御部104a(端末)は、図4に示す図に基づいて、各々のテンキーに対応する位置情報である「e」、「a」及び「a」がユーザにより選択されたものとして認識する。
【0033】
ユーザは、セキュリティ番号の入力が終了していないと判断した場合(S28、no)、S24に戻り、前述のようにテンキーのいずれかを選択する。一方、セキュリティ番号の入力を終了すると判断した場合(S28、yes)には、図6(e)に示す「決定」キーを押下する。検出部102は「決定」キーが押下されたことを検出すると、検出結果を図1に示す比較部104bに通知する(S29)。
【0034】
比較部104bは検出結果の通知を受けると(S26、yes)、記憶部103に記憶された位置情報を読み込む(S30)。比較部104bは、検出部102の検出結果から得られた位置情報と、記憶部103に記憶された位置情報とを比較する(S31)。
【0035】
比較部104bは、各々の位置情報が一致すると判断した場合(S31、yes)、表示制御部104aに解除が成功した判断結果を通知する(S32)。表示制御部104aは、図6(f)に示すように表示部101に「ロック解除」を表示させる(S34)。一方、比較部104bは、各々の位置情報が一致しないと判断した場合(S31、no)、表示制御部104aに解除が失敗した判断結果を通知する(S33)。表示制御部104aは表示部101に「解除失敗」を表示させる(S34)。
【0036】
ユーザは、解除が成功したと認識した場合(S35、yes)、セキュリティ解除処理を終了する(S37)。解除が失敗したと判断した場合(S35、no)、再びセキュリティ解除要求を行うか否か判断する(S36)。要求する場合(S36、yes)にはS24に戻り、要求しない場合には(S36、no)セキュリティ解除処理を終了する(S37)。
【0037】
以上のように、本実施の形態に係る携帯端末装置100はユーザが表示部101を押下した位置を認識する。このため、例えばセキュリティキーが英字や数字の組み合わせによるものであっても、英字に変換するためにボタンを複数回押下するという操作が不要となり、簡単にセキュリティを解除することができるため、従来よりも操作性に優れる。また、セキュリティを解除する際、表示部101に表示されるテンキーの配列がランダムに変更される。このため、セキュリティ番号を登録する際にユーザが押下したテンキーの番号を第三者が暗記した場合であっても、その番号によりセキュリティが解除されることがなく、従来よりも強固なセキュリティを実現することができる。
【0038】
具体的には、ユーザがセキュリティ番号を登録する際にユーザの入力(「8」、「5」、「1」、「1」)を悪意で暗記した第三者は、図6(a)〜(d)に示す画面で「8」、「5」、「1」、「1」を入力する。すると、表示制御部104aは、「h」、「d」、「l」、「a」が選択されたと認識するため、セキュリティを解除することができない。
【0039】
なお、本実施の形態では、検出部102が図3に示すテンキーが表示された領域101a毎に位置を検出しているが、表示部101に表示された領域の数が3つ以上である場合、これらの領域が1つ又は2つ以上含まれる2つ以上の領域に分割して領域情報を再設定し、再設定された領域のうちからユーザの操作により指定された領域の位置を検出してもよい。
【0040】
具体的には、例えば図3に示すテンキーを、「1」、「2」及び「3」が表示されている領域、「4」、「5」及び「6」が表示されている領域、「7」、「8」及び「9」が表示されている領域、「*」、「0」及び「#」が表示されている領域、という4つの領域に再設定する。そして、再設定後の各領域の位置情報を各々「a」、「b」、「c」、「d」と設定する。
【0041】
このように領域を再設定すると、例えば、ユーザが図3に示す画面で「8」、「5」、「1」、「1」を選択すると、表示制御部104aは「c」、「b」、「a」、「a」がユーザに選択されたものと認識することになる。従って、本実施の形態と同様に、ユーザが押下したテンキーの番号を第三者が覚えたとしても、その番号によりセキュリティが解除されることがなく、従来よりも強固なセキュリティを実現することができる。また、図4に示す内部パーティションの構成が簡略化されるため、処理速度を向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、セキュリティ番号登録処理の際にテンキーの数字配置を固定しているが、セキュリティ番号登録処理の際にもテンキーの数字配置を変更してもよい。携帯端末装置100にはユーザが押下したテンキーの位置が登録されるため、ユーザは、テンキーの配置が変更されたとしてもテンキーが表示された領域101aの中から所望の位置を押下することにより、セキュリティ番号を登録することができる。このため、ユーザが押下したテンキーの番号を第三者が覚えたとしても、その番号によりセキュリティが解除されることがないため、従来よりも強固なセキュリティを実現することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、英字配置を固定し数字配置をランダムに変更しているが、逆でもよく、数字配置を固定し英字配置をランダムに変更して登録又は解除の際に英字を入力することにより、数字が選択されたと認識するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、図6に示すようにテンキーの数字配列を変更しているが、テンキーが表示された領域の背景を着色して色彩を変更することによって他の領域と視覚的に区別してもよい。テンキーと色彩とをランダムに変更することにより、より強固なセキュリティを実現することができる。また、本実施の形態では4つの位置情報を用いたが、この個数に限定されることはない。
【0045】
また、本実施の形態では、テンキーが表示部101に表示されるタッチパネルを有する携帯端末装置100について説明したが、タッチパネル機能を有さずに別途テンキーを有する携帯端末装置においても適用することができる。すなわち、表示制御部104aによりテンキーの配列とは異なる配列のテンキーを表示部101に表示可能な携帯端末装置であっても、本実施の形態に係る携帯端末装置100と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0046】
100 携帯端末装置、101 表示部、101a テンキーが表示された領域、102 検出部、103 記憶部、104 制御部、104a 表示制御部、104b 比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域が設定される表示部と、
前記複数の領域のうちから操作により指定された領域の位置を検出する検出部と、
前記検出部により検出された領域の位置を記憶する記憶部と、
前記複数の領域を区別する表示を行うとともに、前記各領域に対する前記表示を変更する表示制御部と、
前記記憶部が前記指定された領域の位置を記憶した後に前記検出部で検出された領域の位置と、前記記憶部に記憶された前記領域の位置とを比較する比較部と
を備えることを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−168609(P2012−168609A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27053(P2011−27053)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】