説明

携帯端末装置

【課題】外部から開口部へ入った鉄粉塵がスピーカ磁石に吸引されて発音用膜に付着することを防止し、この防止により発音用膜の発音時の振動を抑制しないようにし、スピーカ音の劣化や音量の低下を防止すること。
【解決手段】携帯端末装置30は、通信を行う携帯端末装置本体を形成する筐体15内の壁面側に配設されたスピーカ16と、このスピーカ16の発音用膜16aである音声出力側に一方の開口が配置され、他方の開口が携帯端末装置本体の外部側に配置された筒状の筒形状部17とを有する。筒形状部17が、当該筒形状部17の内周面に設けられた磁石31を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場、製造現場、金属加工などを行う現場等の騒音の大きい特定場所では、携帯電話機を含む携帯端末装置として、例えば大音量で防水型のタイプのものが主に使用される。この種の携帯端末装置の外観正面図を図4(a)に示し、(b)に(a)のA−A断面図を示す。この図4に示す携帯端末装置10は、文字や画像等を表示するディスプレイ11を備え、この下方に0〜9,♯,*等のキー操作部12、更にキー操作部12の下部にスピーカからの音や声等の音声を出力する音声出力部13を備える。
【0003】
音声出力部13は、携帯端末装置10の筐体15内部の裏面側に配設されたスピーカ16と、このスピーカ16の発音用膜16aの表面側に一方の開口が配置され、他方の開口が携帯端末装置本体の外部側に配置された筒形状部17と、この筒形状部17の外部に抜ける開口を閉塞して張り付けられたメッシュカバー18とを備えて構成されている。また、スピーカ16の発音用膜16aと筒形状部17との間には防水機構としての防水テープ19が介在されており、スピーカ16の内部には音声出力に必要な磁石20が搭載されている。この種の携帯端末装置として特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−200853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の携帯端末装置10においては、スピーカ16が大音量タイプであるため、通常の携帯電話機に使用されるタイプのものより大型であり、このため携帯端末装置10も図4(b)に示す厚み寸法L1が通常の携帯電話機よりも厚く(長く)なっている。従って、着信やハンズフリー等の音声出力時に、スピーカ16で発音された音声が筒形状部17を通って共鳴しながら外部へ出力されるので、大音量で出力される。
【0006】
このようにスピーカ16が大型であるため、この大型に合わせて筒形状部17の内径も大きく開口も大きい。このため、特に工事現場、金属加工など土砂や金属粉塵などが存在する場所での使用が多い携帯端末装置10では、矢印Y1で示すようにメッシュカバー18の網目から筒形状部17へ土砂や金属粉塵などが入る。これらの土砂や金属粉塵などの中に、砂鉄や鉄粉などの鉄粉塵が混入している場合には、この鉄粉塵がスピーカ16の磁石20に吸い寄せられて発音用膜16aの表面に付着し、このため発音用膜16aの発音のための振動が抑制され、音が劣化したり音量が低下したりするといった問題が発生する。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、外部から開口部へ入った鉄粉塵がスピーカ磁石に吸引されて発音用膜に付着することを防止し、この防止により発音用膜の発音時の振動を抑制しないようにし、スピーカ音の劣化や音量の低下を防止することができる、携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために本発明は、通信を行う携帯端末装置本体を形成する筐体内に配設されたスピーカと、前記スピーカの音声出力側に一方の開口が配置され、他方の開口が携帯端末装置本体の外部側に配置された筒形状部とを有する携帯端末装置において、前記筒形状部は、当該筒形状部の内周面に設けられた磁石を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記磁石は、前記筒形状部の内周面に露出して設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記磁石は、前記筒形状部の内周面から突出して設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記磁石は、前記筒形状部の内周面に周回状に連続的に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記磁石は、前記筒形状部の内周面に周回状に断続的に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記磁石は、前記筒形状部の内周面における前記外部側の開口近傍に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記スピーカと前記筒形状部との境界は、防水構造となっていることを特徴とする。
【0015】
本発明において、前記磁石を、電流供給時に磁化状態、未供給時に非磁化状態となる電磁石とし、この電磁石を、前記スピーカの音声出力時に非磁化状態とし、前記スピーカの音声未出力時に磁化状態とする制御を行う磁化制御部を更に備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明において、前記磁化制御部は、前記スピーカの音声出力時に磁化状態の磁力が減少するように抑制する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部から開口部へ入った鉄粉塵がスピーカ磁石に吸引されて発音用膜に付着することを防止し、この防止により発音用膜の発音時の振動を抑制しないようにし、スピーカ音の劣化や音量の低下を防止することができる携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る携帯端末装置の構成図であり、(a)は携帯端末装置の外観正面図、(b)は(a)のA1−A1断面図である。
【図2】第2実施形態に係る携帯端末装置の構成図であり、(a)は携帯端末装置の外観正面図、(b)は(a)のA2−A2断面図である。
【図3】第2実施形態の携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】従来の携帯端末装置の構成図であり、(a)は携帯端末装置の外観正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態について詳細に説明する。但し、本明細書の全図において同一部分には同一符号を付し、その説明を適時省略する。
(第1実施形態の構成)
図1は、第1実施形態に係る携帯端末装置30の構成図であり、(a)は携帯端末装置30の外観正面図、(b)は(a)のA1−A1断面図である。第1実施形態に係る携帯端末装置30は、一般的に使用される携帯電話機であってもよいが、ここでは、特に工事現場等の騒音の大きい特定場所で使用される大音量で防水型のタイプで、本体外形の厚みがあって落としても破損し難い頑強な構造を有するものであるとする。
【0020】
この携帯端末装置30は、文字や画像等を表示するディスプレイ11と、この下方に0〜9,♯,*等のキー操作部12、更にキー操作部12の下部にスピーカからの音や声等の音声を出力する音声出力部13を備えて構成されている。
【0021】
音声出力部13は、携帯端末装置30の本体を形成する筐体15内部の裏面側(壁面側)に配設されたスピーカ16と、このスピーカ16の発音用膜16aの表面側に一方の開口が配置され、他方の開口が携帯端末装置本体の外部側に配置された筒形状部17と、この筒形状部17の外部に抜ける開口を閉塞して張り付けられたメッシュカバー18とを備えて構成されている。また、スピーカ16の発音用膜16aと筒形状部17との間には防水機構としての防水テープ19が介在されており、スピーカ16の内部には音声出力に必要な磁石(スピーカ磁石とも言う)20が搭載されている。
【0022】
また、スピーカ16は、大音量タイプであるため、通常の携帯電話機に使用されるタイプのものより大型であり、このため携帯端末装置30も図1(b)に示す厚み寸法L1が通常の携帯電話機よりも厚く(長く)なっている。
【0023】
第1実施形態の特徴は、筒形状部17の開口近傍の内周面に周回状に露出する状態に磁石31を埋め込んで配設した点にある。磁石31が露出する状態とは、内周面から凸状に突出した状態であってもよい。この他、磁石31は露出していなくともその磁力が筒形状部17の内周部に働く状態であればよい。
(第1実施形態の動作)
このように筒形状部17に磁石31を配設した場合、特に工事現場等の砂埃の多い環境下において、矢印Y2で示すようにメッシュカバー18の網目から筒形状部17に砂が入った場合、この砂に混入する砂鉄(砂中の砂鉄)などの鉄粉塵が磁石31に吸着される。これは磁石31が筒形状部17の開口近傍に配設されているためであり、このように筒形状部17の入り口付近で磁石31に鉄粉塵が吸着されるので、鉄粉塵が筒形状部17の奥に入り込まなくなる。
【0024】
従って、筒形状部17の奥に配置されたスピーカ16まで鉄粉塵が進入しないので、スピーカ磁石20に鉄粉塵が吸い寄せられて、鉄粉塵がスピーカ16の発音用膜16aの表面に付着といったことが無くなる。
【0025】
或いは、磁石31に吸着されなかった僅かの鉄粉塵が、筒形状部17の奥に進入する場合もある。この場合、スピーカ磁石20に吸い寄せられる鉄粉塵の量は極僅かであり、このため、発音用膜16aの表面に付着する鉄粉塵の量も、磁石31が無い場合に比較して大幅に減少する。
(第1実施形態の効果)
以上説明のように第1実施形態に係る携帯端末装置30は、通信を行う携帯端末装置本体を形成する筐体15内の壁面側に配設されたスピーカ16と、このスピーカ16の発音用膜16aである音声出力側に一方の開口が配置され、他方の開口が携帯端末装置本体の外部側に配置された筒状の筒形状部17とを有する。
【0026】
本実施形態の特徴は、筒形状部17が、当該筒形状部17の内周面に設けられた磁石31を備えることにある。
【0027】
この構成によれば、携帯端末装置外部から筒形状部17の内部に砂が侵入した際に、筒形状部17の内周面に設けられた磁石31に砂に混入する鉄粉塵が吸着される。従って、磁石31より筒形状部17の奥側には鉄粉塵が進入しないので、従来のように、筒形状部17の奥に配置されたスピーカ16の磁石20に鉄粉塵が吸い寄せられて、鉄粉塵がスピーカ16の発音用膜16aの表面に付着するといったことを防止することができる。これによって、発音用膜16aの発音時の振動が鉄粉塵で抑制されることがないので、スピーカ16の音声の劣化や音量の低下を防止することができる。
【0028】
ところで、外部から筒形状部17に進入した砂中の鉄粉塵が磁石31に全て吸着されない場合も考えられるが、この場合、磁石31に吸着されなかった僅かの鉄粉塵が、筒形状部17の奥に進入するものの、スピーカ磁石20に吸い寄せられる鉄粉塵の量は極僅かである。このため、発音用膜16aの表面に付着する鉄粉塵の量は、磁石31が無い場合に比較して大幅に少ない。このケースの場合も、発音用膜16aの発音時の振動が鉄粉塵で抑制されることが殆どないので、スピーカ16の音声の劣化や音量の低下を防止することができる。
【0029】
また、磁石31は、筒形状部17の内周面に露出して設けるのが好ましい。この構成によれば、磁石31が内周面から露出しているので、鉄粉塵の吸引力が強くなり、鉄粉塵をより多量に吸着することができる。
【0030】
また、磁石31は、筒形状部17の内周面から凸状に突出して設けてもよい。この構成によれば、磁石31が内周面から突出しているので、より鉄粉塵の吸引力が強くなり、鉄粉塵をより多量に吸着することができる。
【0031】
また、磁石31は、筒形状部17の内周面に周回状に連続的に設けてもよい。この構成によれば、磁石31が筒形状部17の内周面に周回状に連続的に設けられているので、外部から筒形状部17に進入した砂中の鉄粉塵を、磁石31に、より多量に吸着することができるので、筒形状部17の奥に配置されたスピーカ16側への鉄粉塵の進入をより防止することが可能となる。
【0032】
また、磁石31は、筒形状部17の内周面に周回せずとも、周回状に断続的に設けられていてもよい。この構成では、磁石31の量を削減することができる。
【0033】
また、磁石31は、筒形状部17の内周面における外部側の開口近傍に配置することが好ましい。この構成では、外部から筒形状部17に進入した砂中の鉄粉塵を、筒形状部17の入り口付近で磁石31に吸着することができるので、スピーカ16側への鉄粉塵の進入をより防止することが可能となる。
【0034】
また、スピーカ16と筒形状部17との境界は、防水テープ19が介在された防水構造となっている。このような防水構造の場合、鉄粉塵を含む砂が溜まり易く、この溜まった鉄粉塵は外部側の開口まで距離があるので外部へ出にくく、スピーカ16に近いので発音用膜16aに出て溜まり易い。しかし、このような防水構造があっても、防水構造よりも外部側の磁石31で鉄粉塵を付着させるので、鉄粉塵が防水構造に溜まることを防止することができる。
【0035】
また、筒形状部17の筒状は、円筒形状でその径方向の断面形状が円形や楕円形、四角形状等の多角形状であってもよい。更に、メッシュカバー18は、筒形状部17から着脱自在として、メッシュカバー18を取り外して磁石31に吸着した鉄粉塵を取り除けるようにしてもよい。
(第2実施形態の構成)
図2は、第2実施形態に係る携帯端末装置40の構成図であり、(a)は携帯端末装置40の外観正面図、(b)は(a)のA2−A2断面図である。第2実施形態に係る携帯端末装置40が、第1実施形態の携帯端末装置30と異なる点は、磁石31を電磁石41とし、この電磁石41の磁化又は非磁化をスピーカ16の使用状況に応じて制御するようにしたことにある。
【0036】
この電磁石41の磁化又は非磁化の制御を行う構成を、図3の携帯端末装置40の構成を示すブロック図を参照して説明する。携帯端末装置40は、外部にディスプレイ11と、キー操作部12と、マイク51と、発光部52と、撮影部53とを備え、内部にスピーカ16と、信号処理部54と、アンテナ55aが接続された無線部55と、振動部56と、記憶部57と、制御部58と、電源部59と、更に、電磁石41と、磁化制御部42とを備えて構成されている。
【0037】
ディスプレイ11は、カラー表示を行うバックライト方式の液晶ディスプレイであり、液晶パネルと当該液晶パネルに光を照射するためにバックライトを備える。このディスプレイ11は制御部58から入力された制御信号に基づき文字、図形、記号、画像などの各種情報を表示する。また、ディスプレイ11は、液晶ディスプレイ以外に限らず、例えば、有機ELディスプレイや、複数のLED(Light Emitting Diode)がマトリックス上に配列されたディスプレイであってもよい。この他、ディスプレイ11は、図示せぬタッチパネル入力手段を備え、このタッチパネル入力手段におけるユーザの画面操作に応じた入力信号を制御部58へ出力するようにしてもよい。
【0038】
キー操作部12は、ユーザの入力操作に応じた入力信号を制御部58へ出力する。その入力操作は、例えば、着信や発信時の入力、音量の調整入力、ディスプレイ11の輝度調整の入力、電源オン/オフの切替入力、ディスプレイ11の表示画面の切替入力等である。
【0039】
スピーカ16は、制御部58の音声出力処理に応じて信号処理部54から出力されるアナログ信号に基づき外部に音を出力する。制御部58から信号処理部54へはデジタル信号入力であるが、このデジタル信号が信号処理部54でアナログ信号にデジタル/アナログ変換され、アナログ信号としてスピーカ16へ出力されるようになっている。
【0040】
マイク51は、外部からの音声をアナログ信号に変換して信号処理部210を介して制御部58へ出力する。そのアナログ信号は、信号処理部54でアナログ/デジタル変換され、このデジタル信号が制御部58へ出力されるようになっている。
【0041】
発光部52は、LEDなどの発光素子により構成されており、制御部58から出力された制御信号によって外部へ光を照射する。この発光部52は、電話の着信、メールの受信、アラーム日時到来などを、外部へ光を照射することにより報知する。
【0042】
撮影部53は、キー操作部12からの入力操作に応じて動画や静止画を撮影する。この撮影された動画や静止画は、制御部58を介して記憶部57に記憶される。
【0043】
無線部55は、アンテナ55aの電波の送受信動作に応じて他携帯端末装置や基地局と無線通信を行う。この際、無線部55は、アンテナ55aで受信される所定の高周波信号に対して復調及び復号処理を行いデジタル音声信号へと変換する。また、制御部58から入力されたデジタル音声信号に符号化及び変調処理を行い高周波信号に変換してアンテナ55aから送信する。また、無線部55は、他の携帯端末装置等とアンテナ55aを介してメールの送受信動作を行う。
【0044】
振動部56は、図示せぬモータを備えて構成され、制御部58から出力された制御信号によって機械的振動を発生する。例えば、電話の着信、メールの受信、アラーム日時到来などを機械的振動によって報知する。
【0045】
電源部59は、リチウムイオン電池などの充放電可能な電池によって構成され、携帯端末装置40に電力を供給する。
【0046】
制御部58は、CPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などで構成され、携帯端末装置40に備えられた各構成要素を制御することにより携
帯端末装置40を統括的に管理して、各種機能を実行する。例えば、制御部58は、キー操作部12の入力操作に基づき、携帯端末装置40に備えられたメール機能、電話機能、アラーム報知機能などを実行したり、記憶部57に記憶されたプログラムを実行したりする。
【0047】
次に、第2実施形態の特徴要素である磁化制御部42は、電磁石41の磁化又は非磁化をスピーカ16の使用状況に応じて制御する。制御部58でスピーカ16を使用するための制御が行われていない場合、言い換えると制御部58から音声鳴動のためのデジタル信号が出力さていない場合は、磁化制御部42は、電源部59を磁化する制御を行う。言い換えれば、電磁石41に磁化のための電流を流し、電磁石41をON(オン)状態とする。
【0048】
一方、制御部58でスピーカ16を使用する制御が行われている場合、言い換えると制御部58から音声鳴動のためのデジタル信号が出力されている場合は、磁化制御部42は、電源部59を非磁化とする制御を行う。つまり、電磁石41に磁化のための電流は流さず、電磁石41をOFF(オフ)状態とする。この非磁化は、例えば、着信時やハンズフリー時などの音声鳴動が必要な場合である。
(第2実施形態の動作)
このように筒形状部17に電磁石41を配設した場合、通常の携帯端末装置40を使用しない場合は、磁化制御部42により電源部59を磁化する制御が行われる。これによって、電磁石41は磁力状態となっているので、図2(b)に矢印Y2で示すようにメッシュカバー18の網目から筒形状部17に砂が入った場合、この砂に混入する鉄粉塵が電磁石41に吸着される。この吸着によって、鉄粉塵が筒形状部17の奥に入り込まなくなるので、筒形状部17の奥に配置されたスピーカ16まで鉄粉塵が進入しなくなる。従って、スピーカ磁石20に鉄粉塵が吸い寄せられて、鉄粉塵がスピーカ16の発音用膜16aの表面に付着といったことが無くなる。或いは、発音用膜16aの表面に付着する鉄粉塵の量が、磁石31が無い場合に比較して大幅に減少する。なお、鉄粉塵に限らず例えば強磁性を有する粉体など磁石に吸い寄せられる粒体の侵入を防ぐ効果があることは言うまでもない。
【0049】
次に、電磁石41を磁化した状態において例えば着信があったとする。この場合、着信時には着信音を鳴動させる必要があるので、磁化制御部42の非磁化制御によって電磁石41をOFFとして非磁化とする。
【0050】
このように、電磁石41を磁化状態から非磁化状態へと切り換えるのは、図2(b)に示したように、電磁石41がスピーカ16の近傍に配置されているため、その磁力がスピーカ音声に悪影響を及ぼすケースがあるためである。従って、スピーカ音声を鳴動する際には、電磁石41をOFFで非磁化として、その磁力がスピーカ音声に悪影響を及ぼさないようにする。
(第2実施形態の効果)
以上説明のように第2実施形態に係る携帯端末装置40においては、第1実施形態の磁石31を、電流供給時に磁化状態、未供給時に非磁化状態となる電磁石41とし、この電磁石41を、スピーカ16の音声出力時に非磁化状態とし、音声未出力時に磁化状態とする制御を行う磁化制御部42を更に備えて構成した。
【0051】
この構成によれば、スピーカ16から音声出力を行わない場合は、磁化制御部42により電磁石41を磁化状態としておき、着信時などのスピーカ16からの音声出力が必要な場合に電磁石41を非磁化状態に切り換えることができる。従って、通常は電磁石41の磁力により筒形状部17に入った砂中の鉄粉塵を吸着し、着信時などのスピーカ音声出力時には、電磁石41を非磁化として、電磁石41の磁力がスピーカ音声に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0052】
この他、磁化制御部42が、スピーカ16の音声出力時に磁化状態を磁力が減少するように抑制する制御を行うようにしてもよい。この場合も、上記同様に、着信時などのスピーカ音声出力時には、電磁石41の磁力を抑制してその磁力がスピーカ音声に悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲予測は上記実施形態に記載の範囲予測には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲予測に含まれ得ることが、特許請求の範囲予測の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0054】
30,40・・携帯端末装置、11‥ディスプレイ、12‥キー操作部、13‥音声出力部、15‥筐体、16‥スピーカ、16a‥発音用膜、17‥筒形状部、18‥メッシュカバー、31‥磁石、41‥電磁石、42‥磁化制御部、51‥マイク、52‥発光部、53‥撮影部、54‥信号処理部、55‥無線部、55a‥アンテナ、56‥振動部、57‥記憶部、58‥制御部、59‥電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を行う携帯端末装置本体を形成する筐体内に配設されたスピーカと、前記スピーカの音声出力側に一方の開口が配置され、他方の開口が携帯端末装置本体の外部側に配置された筒形状部とを有する携帯端末装置において、
前記筒形状部は、当該筒形状部の内周面に設けられた磁石を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記筒形状部の内周面に露出して設けられていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記磁石は、前記筒形状部の内周面から突出して設けられていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記磁石は、前記筒形状部の内周面に周回状に連続的に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記磁石は、前記筒形状部の内周面に周回状に断続的に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記磁石は、前記筒形状部の内周面における前記外部側の開口近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記スピーカと前記筒形状部との境界は、防水構造となっていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の動作携帯端末装置。
【請求項8】
前記磁石を、電流供給時に磁化状態、未供給時に非磁化状態となる電磁石とし、この電磁石を、前記スピーカの音声出力時に非磁化状態とし、前記スピーカの音声未出力時に磁化状態とする制御を行う磁化制御部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1つに記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記磁化制御部は、前記スピーカの音声出力時に磁化状態の磁力が減少するように抑制する制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90212(P2013−90212A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230043(P2011−230043)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】