説明

携帯端末

【課題】装置載置時においてスピーカ音孔の周囲に音の通り道を確保可能として、安定した音をユーザに対して提供できるようにした携帯端末を提供する。
【解決手段】操作部を有する下部筐体1に対して表示部を有する上部筐体2が変移自在に連結され、下部筐体1の操作部とは反対面(背面)にスピーカ音孔7が設けられた携帯端末において、載置面6に載置されたとき、背面と載置面との間にスピーカ音を開放可能な隙間9が生じる様に、背面が載置面に対して傾いて構成され、またスピーカ音孔7の近傍に突起部4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に関し、特に操作部筐体に対して表示部筐体が変移自在に連結され操作部筐体の操作部とは反対面にスピーカ音孔を設けた携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末を代表する携帯電話機としては、種々の構成の機器が使用されているが、その一例として、折り畳み式の携帯電話機がある。このような折り畳み式の携帯電話機の例を、図4に示している。図4では、この折り畳み式携帯電話機を開いた状態において背面から見た背面図が示されている。
【0003】
図4において、操作部(図示せず)を有する下部(第一)筐体1と、表示部(図示せず)を有する上部(第二)筐体2とを有し、下部筐体1に対して開閉自在に上部筐体2が図示せぬヒンジ部によって連結されている。
【0004】
このような折り畳み式携帯電話機において、装置軽薄化等の形状の多様化により、下部筐体1側のヒンジ部付近の背面に、スピーカ機能を有するものがある。図では、スピーカ音孔を7として示している。
【0005】
かかる構造の携帯電話機のユーザ使用場面を考慮した場合、通常、机などの載置面上に装置を載置することが多く、この時スピーカ音孔7のある筐体背面が載置面に接することになる。その結果、スピーカ音孔7も載置面に接することになって、スピーカ音がこもったり、もしくは音が小さくなる音圧低下の問題が発生することになる。
【0006】
そこで、スピーカ音孔7が載置面で塞がれないようにするために、例えば、図5及び図6に示す様に、下部筐体1のスピーカの近くの背面に、別部品の突起部8を追加して設け、当該背面をいわゆる底上げすることにより、載置面6と下部筐体1の背面との間に隙間9を形成するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0007】
なお、図5は、図4に示した折り畳み式携帯電話機を折り畳んだ状態の背面図を示し、図6は、図5のA−A線に沿う矢視方向の一部拡大断面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平7−25645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
下部筐体1が載置面6の上に載置される場合には、この別部品の突起部8が、装置開閉の有無にかかわらず、常時載置面6と接することになり、この突起部8が摩耗して削れたり、外れたりするなどの不具合が発生する懸念がある。
【0010】
本発明の目的は、装置載置時においてスピーカ音孔の周囲に音の通り道を確保可能として、安定した音をユーザに対して提供できるようにした携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による携帯端末は、操作部を有する第一筐体に対して表示部を有する第二筐体が変移自在に連結され、前記第一筐体の操作部とは反対面(背面)にスピーカ音孔が設けられた携帯端末であって、載置面に載置されたとき、前記背面と前記載置面との間にスピーカ音を開放可能な隙間が生じる様に、前記背面が前記載置面に対して傾いて構成され、また前記スピーカ音孔の近傍に突起部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スピーカ音孔のある筐体背面と載置面との間に隙間が生じるように、背面を載置面に対して傾く様に構成し、第一筐体に対して第二筐体が変移して装置重心が第二筐体方向へ移動した場合にのみ突起部が載置面と接するようにしたので、突起部の摩耗などによる上記問題を解決しつつ、ユーザに対して安定なスピーカ音を供給できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における一状態例を示す図であり、(A)はその側面図、(B)は(A)の一部拡大断面図、(C)はスピーカ音孔近傍を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における他の状態例を示す図であり、(A)はその側面図、(B)は(A)の一部拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す図である。
【図4】折り畳み式携帯電話機の開状態の背面図である。
【図5】本発明に関連する折り畳み式携帯電話機の閉状態の背面図である。
【図6】図5のA−A線に沿う矢視方向の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態を示す図である。図1(A)は、携帯電話機を載置面6上に載置した場合の側面図であり、(B)は、(A)の下部筐体1の下側フレーム11の一部(スピーカ音孔7近傍)断面を模式的に示した図であり、(C)は、スピーカ音孔7と突起部4との位置関係を示す図である。なお、図1において、他の図と同等部分は同一符号により示しいる。
【0015】
図1に示す様に、操作部(図示せず)を有する下部筐体1の背面において、すなわち、この下部筐体1を構成する下側フレーム11の背面のスピーカ音孔7が設けられた部分近傍(ヒンジ部3の近傍)において、この背面と載置面6との間に隙間9が生じる様に当該背面の構造を定める。
【0016】
例えば、図1(A)に示したように、スピーカ音孔7部分のフレーム11の背面を、載置面に対して傾斜した構造とする。例えば、装置の長辺に平行な断面の形状を、いわゆるラウンドフォルム(湾曲構造)として、スピーカ音孔7が設けられている背面部分が、載置面6に対して傾いた構造とする。
【0017】
これにより、両者間に隙間9が形成されるようにして、スピーカ音が当該隙間9により外部へ開放可能なようにするのである。ラウンドフォルムとする代わりに、直線的に傾斜する構造であっても良い。また、本実施の形態では、スピーカ音孔7の中心部分に突起部4を設けている。
【0018】
図1(A)の状態、すなわち、上部筐体2が下部筐体1に対して、直角(20で示す)及び0度を含む鋭角の場合には、隙間9によりスピーカ音はこもることなく外部へ放出される。このとき、突起部4は載置面6と接していないものとする。
【0019】
ここで、図2(A)に示す様に、上部筐体2が下部筐体1に対して鈍角(30で示す)となるように開かれた状態になると、装置重心が下部筐体側から上部筐体の方向へ移動するが、このとき、突起部4がないと、この移動に伴って、装置が上部筐体側(図の右側)へ傾いて、フレーム11の背面が載置面6に接してしまい、隙間9がなくなる。その結果、スピーカ音孔7が塞がってしまい、音がこもることになる。その結果、上部筐体2の開閉により、音の変化が大きくなってしまうことになる。
【0020】
しかしながら、本実施の形態では、突起部4をスピーカ音孔7の中心部分に設けているので、図2(A)のように、上部筐体2が下部筐体1に対して鈍角となるように大きく開かれた状態になると、図2(B)に示すように、突起部4が載置面6と接するようになる。よって、この突起部4により、載置面6と下部筐体の下側フレーム11の背面とには依然として隙間9が維持されて、スピーカ音の通り道が確保されることになるので、やはり、スピーカ音はこもることなく外部へ放出される。その結果、上部筐体2の開閉によっては音の変化が大きくなることはないのである。
【0021】
本実施の形態によれば、突起部4が載置面6と接するのは、図2に示したように、上部筐体2が下部筐体1に対して変移して、装置重心が上部筐体方向へずれたときのみあり、図1の状態では、突起部4は載置面6と接することはない。よって、特許文献1のように、突起部4は常時載置面6と接するわけではないので、突起部の摩耗などによる損傷の割合はかなり低くなるものである。
【0022】
なお、突起部4を設ける位置は、図1(C)に示すようなスピーカ音孔7の中心部分に限らず、スピーカ音孔7の近傍に設ければ良いものである。
【0023】
図3は本発明の他の実施の形態を示す図であり、上部筐体2を下部筐体1に対して閉状態として載置面6に載置したときに、装置の長辺に平行に見たときの側面図である。本例では、この長辺に直交する方向の断面において、下部筐体1の背面を、いわゆるラウンドフォルム(湾曲構造)として、載置面とこの背面との間に隙間9を常時形成するようにして、スピーカ音の通り道を確保したものである。
【0024】
この実施の形態の場合には、上部筐体がどのように変移しても、すなわち、装置の重心の変動にかかわらず、隙間9が確保されるので、突起部は不要であるという利点がある。
【0025】
上記の実施の形態においては、第二筐体が第一筐体に対して、開閉自在に連結された折り畳み式携帯電話機の例を説明したが、これに限らず、第二筐体が第一筐体に対して回転自在に連結された構造のものや、第二筐体が第一筐体に対してスライド自在に連結された構造のものなど、第二筐体が第一筐体に対して変移自在に連結された構造のものであれば、本発明は適用可能である。また、携帯電話機に限らず、携帯型の情報処理端末であれば、同様に適用可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0026】
1 下部(第一)筐体
2 上部(第二)筐体
3 ヒンジ部
4,8 突起部
6 載置面
7 スピーカ音孔
9 隙間
11 下側フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を有する第一筐体に対して表示部を有する第二筐体が変移自在に連結され、前記第一筐体の操作部とは反対面(背面)にスピーカ音孔が設けられた携帯端末であって、
載置面に載置されたとき、前記背面と前記載置面との間にスピーカ音を開放可能な隙間が生じる様に、前記背面が前記載置面に対して傾いて構成され、
また前記スピーカ音孔の近傍に突起部が設けられていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第二筐体の変移に伴って、前記携帯端末の重心が前記第二筐体の方向へずれたときに、前記突起部が載置面に当接するようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記スピーカ音孔は複数設けられており、前記突起部はこれら複数のスピーカ音孔の中心に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−252001(P2010−252001A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98526(P2009−98526)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】