説明

携帯端末

【課題】携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部と、携帯端末の加速度を測定する加速度測定部と、所定の情報に基づいて携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしているか否かを判定する乗車判定部と、携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしており、かつ加速度測定部が所定値以上の減速を検出した場合、現在地情報に関連付けられた駅の識別情報を取得する駅情報取得部と、駅の識別情報に関連付けられた駅の周辺の施設に関する情報である地域情報を取得する地域情報取得部と、表示部と、取得された地域情報を表示部に表示させる表示制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、到着駅の周辺の地域情報を好適に表示する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、携帯電話機をはじめとする携帯端末には、携帯端末の現在地情報を利用して種々の処理を行うものが数多く知られている。例えば、GPS機能を備えた携帯端末は、列車を下りた際に目的地の位置がわからない場合であっても、端末の位置を把握し目的地までの道程を検索することができる点で有効である。
【0003】
また、GPS機能を備えない携帯端末であっても、携帯端末の現在の主基地局に割り当てられた識別情報であるセルID(IDentification)を利用して同様の処理を行う方法も知られている。測位に時間が掛かったり、GPS衛星からの信号が受信できない場合には測位ができなかったりするというGPS機能特有の問題を解消することができる点で有効である。
【0004】
例えば、特許文献1には、セルID方式と地磁気センサを用いて、利用者のおおまかな現在位置を把握し、そこから必要な情報を取得する技術を備えた携帯端末が開示されている。この携帯端末は、ユーザがGPS機能を内蔵した高機能・高価格の携帯端末を持っていなくても、現在の位置から必要な情報を得ることができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−122160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術は、セルID方式を利用して必要な情報を取得することを可能としたものであった。しかし、情報を取得するタイミングがユーザ契機のため、必要が生じてから情報を取得するまでに時間と手間が掛かるという問題があった。
【0007】
また、現在位置を反映した情報を取得するためには携帯端末に対する操作が必要であり、操作方法がわからないユーザにとっては利用することができなかった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、列車降車時における駅周辺の地域情報を好適なタイミングで表示することができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯端末は、上述した課題を解決するために、携帯端末の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部と、前記携帯端末の加速度を測定する加速度測定部と、所定の情報に基づいて前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしているか否かを判定する乗車判定部と、前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしており、かつ前記加速度測定部が所定値以上の減速を検出した場合、前記現在地情報に関連付けられた駅の識別情報を取得する駅情報取得部と、前記駅の識別情報に関連付けられた駅の周辺の施設に関する情報である地域情報を取得する地域情報取得部と、表示部と、取得された前記地域情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る携帯端末は、携帯端末の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部と、前記携帯端末の加速度を測定する加速度測定部と、所定の情報に基づいて前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしているか否かを判定する乗車判定部と、前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしており、かつ前記加速度測定部が所定値以上の減速を検出した場合、前記現在地情報に関連付けられた駅の識別情報を取得する駅情報取得部と、予め設定された前記地域情報の取得を行わない前記駅の識別情報を記憶する記憶部と、前記駅情報取得部が取得した前記駅の識別情報が前記記憶部に記憶された前記駅の識別情報とは異なる場合、前記駅の識別情報に関連付けられた駅の周辺の施設に関する情報である地域情報を取得する地域情報取得部と、表示部と、取得された前記地域情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る携帯端末は、列車降車時における駅周辺の地域情報を好適なタイミングで表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る携帯端末の一例である携帯電話機を示す外観構成図。
【図2】本発明に係る携帯端末の実施形態を示す概略的な機能ブロック図。
【図3】本実施形態における携帯電話機により実行されるナビゲーション起動判定処理を説明するフローチャート。
【図4】本実施形態における携帯電話機により実行される簡易ナビゲーション処理を説明するフローチャート。
【図5】簡易ナビゲーション処理に基づくメインディスプレイの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る携帯端末の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る携帯端末の一例である携帯電話機1を示す外観構成図である。
【0015】
図1(A)は、折り畳み式の携帯電話機1を約180度に開いた開状態のときの正面から見た外観の構成を示す図である。図1(B)は、図1(A)の携帯電話機1を閉状態にした際の正面(図1(A)の携帯電話機1を矢印X方向に折り畳んで見える面)から見た外観の構成を示す図である。
【0016】
携帯電話機1は、中央のヒンジ部11を境に第一の筐体12と第二の筐体13とがヒンジ結合されている。第一の筐体12と第二の筐体13とは、ヒンジ部11を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(図2のアンテナ31)が設けられる。携帯電話機1は、この内蔵されたアンテナを介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信する。
【0017】
第一の筐体12には、その表面に操作キー14が設けられる。操作キー14は、数字キー15、十字キー16、確定キー17などの複数のキーを備える。
【0018】
数字キー15は、「0」から「9」の数字や「あ行」から「わ行」のかな文字、「A」から「Z」のアルファベットの入力の受け付けが可能なキーである。十字キー16は、上下左右方向に操作されることにより、メインディスプレイ20に表示されたカーソルなどを上下左右方向に移動させる操作などを受け付ける。また、確定キー17は、押下されることにより、種々の確定操作などを受け付ける。
【0019】
第一の筐体12の側面には、サイドキー18が設けられる。サイドキー18は、携帯電話機1が開状態および閉状態のときに第一の筐体12の内部方向に押下されることによって、種々の指示を受け付ける。
【0020】
第一の筐体12には、操作キー14の下部にマイクロフォン21が設けられる。携帯電話機1は、マイクロフォン21によって通話時のユーザの音声を集音する。
【0021】
一方、第二の筐体13には、その大部分の面積を占めるメインディスプレイ20が設けられる。メインディスプレイ20は、電波の受信状態および電池残量を示すピクトアイコンや現在日時の他、電子メール、ホームページなどを表示することができる。なお、メインディスプレイ20は、例えばLCD(LiquidCrystalDisplay)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイにより構成されるディスプレイである。
【0022】
第二の筐体13のメインディスプレイ20の上部の所定の位置にはレシーバ(受話器)22が設けられる。携帯電話機1は、レシーバ22によって通話時の通話相手の音声を出力する。また、携帯電話機1の所定の位置には、音声を出力するスピーカ(図示せず)も設けられる。これらのレシーバ22およびマイクロフォン21を利用することにより、ユーザは音声通話することが可能となる。
【0023】
第一の筐体12と第二の筐体13の内部の所定の位置には、携帯電話機1の筐体の状態(開状態または閉状態)を検出するための磁気センサ23a、23b、23c、および23d(磁気センサ23)が設けられる。
【0024】
図1(B)に示すように、携帯電話機1の閉状態時の正面には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ25が設けられる。サブディスプレイ25は、現在のアンテナの感度のレベルを示すアンテナピクト、携帯電話機1の電波の受信状態および電池残量を示すピクトアイコンや現在日時などが表示される。
【0025】
図2は、本発明に係る携帯端末の実施形態を示す概略的な機能ブロック図である。
【0026】
携帯電話機1は、W−CDMA方式のみならず、GSM方式、cdma2000 1x RTT方式、EVDO方式、および3.9世代のLTEシステムの無線アクセスであるE−UTRA方式などを利用した所定の無線通信方式によって音声通信やデータ通信を行うことが可能である。また、アンテナ31、無線送受信部32、および信号処理部33は所定の方式に対応する。
【0027】
アンテナ31は、移動通信網に収容される基地局から所定の通信処理システムで送信される無線信号を空間から受信する。また、アンテナ31は、所定の通信処理システムで無線通信できるように空間に所定のアクセス方式の無線信号を放射する。
【0028】
無線送受信部32は、アンテナ31を介して、移動通信網に収容される基地局との間で所定の通信処理方式で無線通信する。無線送受信部32は、信号処理部33にて生成された変調信号に基づいて、制御部39から指示されるキャリア周波数の無線信号を生成する。また、無線送受信部32は、制御部39から指示されるキャリア周波数の無線信号を受信し、周波数シンセサイザから出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、無線送受信部32は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。この受信結果は、信号処理部33と制御部39に出力される。
【0029】
信号処理部33は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、受信ベースバンド信号に所定の信号処理を施し、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータを得る。また、信号処理部33は、受信パケットデータに含まれる音声信号を復調し、この復調結果を復号して音声データなどを得る。復号処理により得られた音声データは、PCMコーデック34に供給される。PCMコーデック34は、音声データをPCM復号し、PCM復号後のアナログオーディオデータ信号を受話増幅器35に出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器35にて増幅された後、レシーバ22により出力される。
【0030】
一方、マイクロフォン21に入力された話者(ユーザ)の音声信号(アナログオーディオ信号)は、送話増幅器37により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック34によりPCM符号化される。このPCM符号化後のオーディオ信号は、信号処理部33に入力される。信号処理部33は、このオーディオ信号を符号化し、符号化によって得た音声データやその他のデータに基づいて変調信号を生成するとともに、生成された変調信号を無線送受信部32に出力する。
【0031】
携帯電話機1は、現在の主基地局(図示せず)に割り当てられた識別情報であるセルIDを取得し、現在の主基地局のセルIDを常に保持するようになっている。制御部39は必要に応じてセルIDを参照することができる。
【0032】
制御部39は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなる。CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部40からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種の処理を実行する。また、CPUは、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0033】
記憶部40は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなる。記憶部40は、制御部39のCPUより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群、携帯電話機1の制御プログラムや制御データ、携帯電話機1またはユーザに固有に割り当てられた識別情報を格納する。この他にも、記憶部40は、例えば名前、電話番号、住所および位置情報が連絡先情報として登録された電話帳データや、データ通信により取得したデータやダウンロードしたデータなどを適宜記憶する。電源回路44は、バッテリ43の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。携帯電話機1には、現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)45が設けられている。
【0034】
携帯電話機1は、携帯電話機1の移動状態を検出するための三軸方向の加速度センサ48と、携帯電話機1の筺体の水平からの角度を検出する三軸方向の地磁気センサ47とを有する。加速度センサ48と地磁気センサ47とは筺体内に内蔵されており、例えば第一の筺体12または第二の筐体13の表面および裏面に沿う面内にX軸およびY軸が定義され、表面および裏面に垂直な方向にZ軸が定義される。
【0035】
加速度センサ48は、携帯電話機1に対して所定の方向に加えられた加速度の検出結果を三軸方向の検出値として出力する。加速度センサ48は、この検出値を制御部39に出力する。なお、加速度センサ48は三軸方向の加速度の変化を検出するのみならず、所定の一軸または二軸方向の加速度の変化を検出できればよい。
【0036】
地磁気センサ47は、筺体のX軸方向、Y軸方向およびZ方向の地磁気を検出するセンサである。地磁気センサ47は、これらの方向の地磁気成分の検出結果を、三軸方向の検出値として出力する。地磁気センサ47は、この検出値を制御部39に出力する。
【0037】
非接触ICチップ部50は、携帯電話機1において電子マネー機能を実現するためのチップである。非接触ICチップ部50は、ICチップ用アンテナ51や図示しない専用CPU、メモリを有する。非接触ICチップ部50は、ICチップ用アンテナ51を介して外部端末装置であるICカードリーダライタ(図示せず)との間で微弱電波によって近距離通信を行う。専用CPUは、非接触ICチップ部50で行われる処理を統括的に制御する。メモリは、例えばフラッシュメモリであり、電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報やICカードリーダライタから送信された種々の情報を保持する。本実施形態においては、非接触ICチップ部50は、特に駅の自動改札機から改札に入場したことを示す改札情報を受け取る。また、非接触ICチップ部50は、携帯電話機1の電源回路44から動作電力を得るようになっている。
【0038】
次に、携帯電話機1で実行される簡易ナビゲーション機能について説明する。この簡易ナビゲーション機能は、携帯電話機1のユーザが列車から降車した際、降車した駅の周辺の地域情報を自動的に表示する処理である。このとき、携帯電話機1は、ユーザが目的の施設まで到達できるよう、必要な情報を表示することでナビゲーションを行う。なお、「駅の周辺の地域情報」は、例えば駅の周辺の施設や観光スポットをはじめとするユーザの目的地となり得る地点(以下、単に「施設など」という。)に関する情報である。
【0039】
まず、携帯電話機1において実行される簡易ナビゲーション機能の起動の要否を判定するナビゲーション起動判定処理について説明する。
【0040】
図3は、本実施形態における携帯電話機1により実行されるナビゲーション起動判定処理を説明するフローチャートである。
【0041】
ステップS1において、制御部39は、非接触ICチップ部50が駅の改札に設置された自動改札機(図示せず)に近接されたか否かの判定を行う。自動改札機は、図示しないICカードリーダライタを備える。自動改札機は、携帯電話機1が近接されるとICカードリーダライタを介した非接触通信により非接触ICチップ部50との間で改札情報や金額情報を送受信する。制御部39は、自動改札機から改札情報を受信した旨の通知を非接触ICチップ部50より受け付けたか否かに基づいて、自動改札機に近接されたか否かの判定を行うことができる。制御部39は、非接触ICチップ部50が自動改札機に近接されていないと判定した場合、近接されるまで待機する。
【0042】
一方、制御部39は非接触ICチップ部50が自動改札機に近接されたと判定した場合、ステップS2において、ユーザが駅の改札に入場を行うか否か(ユーザが列車に乗車するか否か)の判定を行う。制御部39は、非接触ICチップ部50がICカードリーダライタより受信した改札情報に基づいて判定を行う。すなわち、制御部39は、改札情報が駅の入場を示す情報であればユーザが駅の改札に入場を行うと判定する。制御部39は、ユーザが駅の改札に入場していないと判定した場合、処理を終了する。
【0043】
一方、制御部39はユーザが駅の改札に入場を行うと判定した場合、ステップS3において、簡易ナビゲーション機能の起動状態を示す簡易ナビゲーションモードをONにする。すなわち、制御部39は、携帯電話機1のユーザがこれから列車に乗車するとみなして、降車駅の周辺の地域情報をナビゲーションするために簡易ナビゲーション機能を起動する。
【0044】
なお、図3のナビゲーション起動判定処理においては、非接触ICチップ部50より通知された情報に基づいて駅の改札に入場したか否かを判定した。しかし、これに限らず例えば加速度センサ48において測定される加速度が、列車が発車したと判断される所定の加速度以上となった場合(ユーザが列車に乗車している場合)に簡易ナビゲーションモードをONにしてもよい。
【0045】
次に、簡易ナビゲーションモードがONに移行した場合に実行される簡易ナビゲーション処理について説明する。
【0046】
図4は、本実施形態における携帯電話機1により実行される簡易ナビゲーション処理を説明するフローチャートである。
【0047】
ステップS11において、制御部39は、簡易ナビゲーションモードがONであるか否かの判定を行う。制御部39は、簡易ナビゲーションモードがOFFであると判定した場合、簡易ナビゲーションモードがONとなるまで待機する。
【0048】
一方、制御部39は、簡易ナビゲーションモードがONであると判定した場合、ステップS12において、ユーザが乗車中の列車が停止したか否かの判定を行う。このとき制御部39は、加速度センサ48が所定値以上の減速を検出したか否かに基づいて列車が停止したか否かの判定を行う。制御部39は、未だ列車が走行中であると判定した場合、列車が停止するまで待機する。
【0049】
制御部39は列車が停止したと判定した場合、ステップS13において、現在の時刻を記憶部40やRAMなどの所定の記憶領域に記憶する。すなわち、制御部39は、加速度が所定値以下となった時刻(列車が停止した時刻)を列車の到着時刻として取得する。
【0050】
ステップS14において、制御部39は、ユーザが携帯電話機1を視認中であるか否かの判定を行う。制御部39は、例えば携帯電話機1の開状態および閉状態を検出する磁気センサ23から取得した検出結果に基づいて判定を行う。具体的には、携帯電話機1が開状態である場合には、ユーザが携帯電話機1を視認中であると判定する。ユーザが携帯電話機1を視認中であるか否かの判定は、磁気センサ23に限らず、例えば周囲の照度を検出する照度センサなどを用いることにより判定してもよい。
【0051】
制御部39は、ユーザが携帯電話機1を視認中ではないと判定した場合、視認されるまで待機する。
【0052】
一方、制御部39はユーザが携帯電話機1を視認中であると判定した場合、ステップS15において、基地局情報によるセルIDを取得する。本実施形態における携帯電話機1は、セルIDを携帯電話機1の現在地を示す現在地情報として用いる。なお、携帯電話機1が、いずれの基地局に対しても圏外である場合には、現在のセルIDを取得することができないため、処理を終了するなどして対処する。
【0053】
ステップS16において、制御部39は、セルIDから列車が停止した駅の識別情報を取得する。駅の識別情報は、例えば駅名を示す情報である。制御部39は、例えばセルIDと駅名とが関連付けられた情報を保有するネットワークサーバ(図示せず)からセルIDに対応する駅名を取得する。また、記憶部40にセルIDと関連付けられた駅名情報を保有する場合には、記憶部40より対応する駅名情報を取得することができる。
【0054】
ステップS17において、制御部39は、セルIDに基づいて列車が停止した駅の識別情報の取得に成功したか否かの判定を行う。制御部39は、駅の識別情報の取得に失敗したと判定した場合、駅の周辺の地域情報を取得することができないため処理を終了する。
【0055】
一方、制御部39は駅の識別情報の取得に成功したと判定した場合、ステップS18において、取得された駅の識別情報を記憶部40などの所定の記憶領域に格納する。
【0056】
ステップS19において、制御部39は、今回取得された駅の識別情報が記憶部40に記憶された回数が所定値X以上であるか否かの判定を行う。ここで、制御部39は、取得された駅の識別情報を累積的に記憶部40に記憶するようになっている。識別情報が取得された駅の利用頻度を計測するためである。制御部39は、記憶された回数が所定値X以上であると判定した場合、当該駅は頻繁に利用される駅であるためナビゲーションが不要であるとみなして、処理を終了する。なお、駅の識別情報の記憶回数に応じてナビゲーションの要否を判定したが、予めナビゲーションを行わない駅をユーザ任意に設定可能なように構成してもよい。
【0057】
一方、制御部39は、駅の識別情報が記憶された回数が所定値Xより小さいと判定した場合、ステップS20において、駅の周辺の地域情報を取得する。制御部39は、例えば駅の識別情報と地域情報とが関連付けられた情報を保有するネットワークサーバ(図示せず)から対応する地域情報を取得する。地域情報は、例えば施設などの名称が該当する。また、ネットワークサーバは、施設などの名称と駅に対する施設などの方位とが関連付けられた施設方位情報を保有する。制御部39は、ネットワークサーバから施設などの名称と併せて対応する施設方位情報を取得する。
【0058】
なお、記憶部40に駅の識別情報と関連付けられた施設などの名称、施設方位情報を保有する場合には、記憶部40より対応する地域情報を取得することができる。
【0059】
ステップS21において、制御部39は、列車が停止してから一定時間以内であるか否かの判定を行う。制御部39は、時刻記憶ステップS13において記憶部40などに記憶した列車停止時の時刻と現在の時刻とを比較することにより一定時間の経過を判定する。
【0060】
制御部39は、列車が停止してから一定時間が経過していないと判定した場合、ステップS22において、列車停止時の時刻に基づいて列車が到着した(ユーザが降車した)プラットホーム(ホーム)の情報を取得する。制御部39は、記憶部40などに記憶した列車の到着時刻に基づいてホームの情報を取得する。例えば、制御部39は、駅の到着時刻と列車が到着したホームとが関連付けられたホームの情報を保有するネットワークサーバから対応するホームの情報を取得する。また、記憶部40に駅の到着時刻と関連付けられたホームの情報を保有する場合には、記憶部40より対応するホームの情報を取得することができる。
【0061】
制御部39は、列車が停止してから一定時間が経過したと判定した場合、地磁気センサ起動ステップS23に進む。列車停止から一定時間が経過した場合には、ユーザは既にホームから離れていると考えられる。このため、降車ホームを反映した地域情報の表示を行う必要がないためである。
【0062】
ステップS23において、制御部39は、ホームの情報に基づいて、このホームを起点とした場合に施設などに最短で到達することができる駅の出口に関する情報である最短出口情報を取得する。例えば、制御部39は、ホームと各施設などに最短で到達するための出口が関連付けられた最短出口情報を保有するネットワークサーバから対応する最短出口情報を取得する。また、記憶部40にホームと関連付けられた最短出口情報を保有する場合には、記憶部40より対応するホームの情報を取得することができる。
【0063】
ステップS24において、制御部39は、地磁気センサ47を起動させる。制御部39は、地磁気センサ47から出力された検出値より携帯電話機1(を保持するユーザ)の方位を適宜取得する。
【0064】
ステップS25において、制御部39は、メインディスプレイ20に駅周辺の地域情報を表示する。このとき表示される地域情報は、駅周辺に位置する施設などの名称、現在の携帯電話機1の現在の方位に対する施設などの相対方位、到着ホームから各施設などに最短で到達することができる駅の出口を併せて表示する。
【0065】
制御部39は、地磁気センサ47より出力される携帯電話機1の方位が変化した場合には、変化に応じて施設などの相対方位を適宜変化させて表示する。
【0066】
なお、最短出口情報は、列車の到着ホームを特定した上で最短出口情報を取得したが、ホームを特定することなく駅から各施設などに最短で到達可能な一般的な出口を表示してもよい。
【0067】
図5は、簡易ナビゲーション処理に基づくメインディスプレイ20の表示例を示す図である。
【0068】
メインディスプレイ20は、待ち受け画面の下部領域に簡易ナビゲーション処理によって取得された情報を「簡易行き先表示」として表示する。図5の例では、「○×ビル」、「△△百貨店」、「◎◇百貨店」および「□○シアター」に向かうための案内が表示されている。例えば「○×ビル」の名称の図示左側に表示された矢印「↑」は、現在の携帯電話機1(を保持するユーザ)の向く方向に向かって歩けば到達できる旨を案内している。また、「○×ビル」の名称の図示右側に表示された「(A1出口)」は、列車の到着ホームから最短で「○×ビル」に到達できる出口を案内している。携帯電話機1は、施設などに最短で到達できる出口を併せて案内するため、出口が多い駅においては有効である。
【0069】
携帯電話機1は簡易行き先表示をメインディスプレイ20の全領域に表示せず、待ち受け画面の一部に表示するようにした。このため、自動的にナビゲーション結果を表示する一方で、ナビゲーション以外の機能を利用したいユーザの使用性を妨げない点で有効である。
【0070】
なお、携帯電話機1は、例えば各施設などの名称を選択可能に表示し、選択された場合により詳細な地図情報や道のり案内を表示することもできる。
【0071】
このように、携帯電話機1は、携帯電話機1の現在位置を特定し、さらに携帯電話機1の現在の方向を意識して駅周辺地域情報を表示することができるため、ユーザに対するナビゲーションを好適に行うことができる。
【0072】
また、携帯電話機1は現在のプラットホームを自動的に特定し、現在位置を反映したナビゲーションを行うことができるため、よりユーザの所望する情報を提示することができる。
【0073】
さらに、携帯電話機1は、ユーザが携帯電話機1を視認中であるか否かに応じてナビゲーション結果を取得するため、ユーザがナビゲーションが不要であるとみなすことができる場合には、不要な処理を行わない。また、携帯電話機1は、停車した駅が使用頻度が高い駅である場合には、ユーザにとって案内が不要であるとみなすことができるためナビゲーション処理を行わない。このため、自動でナビゲーション処理が実行されることに伴う不要な処理を可能な限り低減させることができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、基地局情報によるセルIDを用いることで、簡易に携帯電話機1の現在地を特定できるようにした。しかし、携帯電話機1はセルID以外を用いて降車駅を特定するようにしてもよい。例えば、携帯電話機1がGPS機能を備える場合には、このGPS機能を利用して降車駅を特定してもよい。
【0075】
本発明に係る携帯電話機1は、PDA(PersonalDigitalAssistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの種々の携帯端末にも適用することができる。
【0076】
また、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0077】
さらに、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0078】
1 携帯電話機
11 ヒンジ部
12 第一の筐体
13 第二の筐体
14 操作キー
20 メインディスプレイ
21 マイクロフォン
22 レシーバ(受話器)
23、23a、23b、23c、23d 磁気センサ
25 サブディスプレイ
31 アンテナ
32 無線送受信部
33 信号処理部
34 PCMコーデック
35 受話増幅器
37 送話増幅器
39 制御部
40 記憶部
43 バッテリ
44 電源回路
45 時計回路(タイマ)
47 地磁気センサ
48 加速度センサ
50 非接触ICチップ部
51 ICチップ用アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部と、
前記携帯端末の加速度を測定する加速度測定部と、
所定の情報に基づいて前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしているか否かを判定する乗車判定部と、
前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしており、かつ前記加速度測定部が所定値以上の減速を検出した場合、前記現在地情報に関連付けられた駅の識別情報を取得する駅情報取得部と、
前記駅の識別情報に関連付けられた駅の周辺の施設に関する情報である地域情報を取得する地域情報取得部と、
表示部と、
取得された前記地域情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記現在地情報取得部は、前記現在地情報として基地局情報によるセルIDを取得する請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記ユーザが前記携帯端末を視認中であるか否かを判定する視認判定部をさらに備え、
前記地域情報取得部は、前記ユーザが前記携帯端末を視認中である場合に前記地域情報を取得する請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項4】
現在の時刻を計測する時刻計測部をさらに備え、
前記地域情報取得部は、前記加速度が所定値以下となった時刻を前記列車の到着時刻として取得し、前記到着時刻に関連付けられた前記列車が到着したプラットホームに関するプラットホーム情報を取得し、前記プラットホーム情報に関連付けられた前記プラットホームを起点とした場合に前記施設に最短で到達することができる前記駅の出口に関する最短出口情報を取得し、
前記表示制御部は、前記地域情報と共に前記最短出口情報を表示させる請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末の方位を検出する方位検出部をさらに備え、
前記地域情報取得部は、前記地域情報に係る施設に関連付けられた前記駅に対する施設の方位に関する施設方位情報を取得し、
前記表示制御部は、前記施設方位情報に基づいて前記携帯端末の現在の方位に対する前記施設の相対方位を前記地域情報と共に表示させる請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記駅の識別情報、前記地域情報、前記プラットホーム情報、前記最短出口情報および前記施設方位情報を保有するネットワークサーバと通信を行う通信部をさらに備え、
前記駅情報取得部は、前記ネットワークサーバより前記駅の識別情報を取得し、
前記地域情報取得部は、前記ネットワークサーバより前記地域情報、前記プラットホーム情報、前記最短出口情報および前記施設方位情報を取得する請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
駅の改札入場時に前記駅に設けられたICカードリーダライタと非接触通信を行う非接触ICチップ部をさらに備え、
前記乗車判定部は、前記非接触ICチップ部が前記非接触通信を行った場合に前記携帯端末のユーザが前記列車に乗車すると判定する請求項1記載の携帯端末。
【請求項8】
前記駅情報取得部により前記駅の識別情報が取得された回数を記憶する記憶部をさらに備え、
前記地域情報取得部は、前記回数が所定値以上である場合には前記地域情報の取得を行わない請求項1記載の携帯端末。
【請求項9】
前記表示制御部は、待ち受け画面を表示した前記表示部の一部の領域に前記地域情報を表示させる請求項1記載の携帯端末。
【請求項10】
携帯端末の現在地を示す現在地情報を取得する現在地情報取得部と、
前記携帯端末の加速度を測定する加速度測定部と、
所定の情報に基づいて前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしているか否かを判定する乗車判定部と、
前記携帯端末のユーザが列車に乗車するまたはしており、かつ前記加速度測定部が所定値以上の減速を検出した場合、前記現在地情報に関連付けられた駅の識別情報を取得する駅情報取得部と、
予め設定された前記地域情報の取得を行わない前記駅の識別情報を記憶する記憶部と、
前記駅情報取得部が取得した前記駅の識別情報が前記記憶部に記憶された前記駅の識別情報とは異なる場合、前記駅の識別情報に関連付けられた駅の周辺の施設に関する情報である地域情報を取得する地域情報取得部と、
表示部と、
取得された前記地域情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−169800(P2011−169800A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34843(P2010−34843)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】