説明

携帯端末

【課題】ユーザが手を動かせない状況でも、ユーザの操作性に優れ、ユーザによる誤動作が少ない制御が可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、ユーザの瞳及び顔の動作を検出する動作検出部3と、ユーザの瞳の動作に関連付けて、表示部2に表示されるカーソルの移動に関する操作コマンドを格納する操作コマンド格納部6と、ユーザの顔の動作に関連付けて、処理の実行・停止の選択に関する選択コマンドを格納する選択コマンド格納部7と、動作検出部3によってユーザの動作が検出された場合に、検出された動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かを判断する動作判断部4と、動作判断部4によって動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致すると判断された場合に、一致したコマンドに対応するカーソルの移動又は処理の実行・停止の選択を制御する処理制御部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの瞳及び顔の動作に対応した制御を行う携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが手を動かせない状況でも、ユーザの目の動きで端末の操作を行える技術がある。例えば、特許文献1では、ユーザの眼球の黒目の動きと瞬きの有無に基づいて、表示画面中の項目選択手段を移動し、選択する携帯端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−102415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した携帯端末では黒目の動きと瞬きの有無のみに基づいた端末操作しか行えず、ユーザの操作性は悪く、それゆえにユーザによる誤動作も多いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、ユーザが手を動かせない状況でも、ユーザの操作性に優れ、ユーザによる誤動作が少ない制御が可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る携帯端末は、ユーザの瞳及び顔の動作を検出する動作検出手段と、ユーザの瞳の動作に関連付けて、表示手段に表示されるカーソルの移動に関する操作コマンドを格納する操作コマンド格納手段と、ユーザの顔の動作に関連付けて、処理の実行・停止の選択に関する選択コマンドを格納する選択コマンド格納手段と、動作検出手段によってユーザの動作が検出された場合に、検出された動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かを判断する動作判断手段と、動作判断手段によって動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致すると判断された場合に、一致したコマンドに対応するカーソルの移動又は処理の実行・停止の選択を制御する処理制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
この携帯端末では、ユーザの瞳及び顔の動作が検出された場合に、検出された動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かが判断され、一致すると判断された場合に、一致したコマンドに対応するカーソルの移動又は処理の実行・停止の選択が制御される。この携帯端末では、ボタン等の操作がなされずとも、ユーザによる瞳及び顔の動作を検出してカーソルの移動や処理の実行・停止の選択がなされるので、ユーザは画面を見たままの状態で簡便に携帯端末を操作できる。また、この携帯端末では、瞳の動作による操作コマンドと、顔の動作による選択コマンドとを切り分けているので、ユーザの操作性を確保でき、かつ誤動作を防止できる。
【0008】
また、操作コマンド格納手段には、優先順位が付された複数の操作コマンドが格納され、選択コマンド格納手段には、優先順位が付された複数の選択コマンドが格納され、動作判断手段は、優先順位の高い順から動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かを判断することが好ましい。
【0009】
この携帯端末では、優先順位の高い順から動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かが判断される。これにより、ユーザは、操作コマンド又は選択コマンドの優先順位を高くすることで、ユーザが意図した制御を優先的に実行させることができる。よって、この携帯端末は、ユーザの操作性に優れており、それゆえに、ユーザによる誤動作をより少なくすることができる。
【0010】
また、操作コマンドには、ユーザの瞳の動作によるカーソルの移動を開始する開始コマンドと、ユーザの瞳の動作によるカーソルの移動を終了する終了コマンドとが含まれていることが好ましい。
【0011】
この場合、ユーザは開始コマンドと終了コマンドを用いてカーソルの移動の開始と終了を区切ることで、カーソルの移動を制御したい状況においてのみ、携帯端末にカーソルの移動を制御させることができる。したがって誤動作をより確実に防止できる。
【0012】
また、操作コマンドには、カーソルの位置を開始コマンドによってカーソルの移動が開始された際のカーソルの位置に復帰させる位置復帰コマンドが含まれていることが好ましい。
【0013】
この場合、ユーザが誤ってカーソルの位置を意図しない位置に移動した場合でも、すぐにカーソル位置を開始コマンドによってカーソルの移動が開始された際のカーソルの位置に復帰させることができる。
【0014】
また、選択コマンドには、ユーザの顔の動作による処理の実行・停止の選択を開始する開始コマンドと、ユーザの顔の動作による処理の実行・停止の選択を終了する終了コマンドとが含まれていることが好ましい。
【0015】
この場合、ユーザは開始コマンドと終了コマンドを用いて処理の実行・停止の選択の開始と終了を区切ることで、処理の実行・停止の選択を制御したい状況においてのみ、携帯端末に処理の実行・停止の選択を制御させることができる。したがって誤動作をより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが手を動かせない状況でも、ユーザの操作性に優れ、ユーザによる誤動作が少ない制御が可能な携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末の機能的な構成要素を示すブロック図である。
【図2】携帯端末1のハードウェア構成図である。
【図3】操作コマンド格納部6が保持するデータの例を示すテーブルである。
【図4】選択コマンド格納部7が保持するデータの例を示すテーブルである。
【図5】携帯端末1において、ユーザの瞳及び顔の動作に対応した制御を行う際の表示部2に表示される画面の一例を示す図である。
【図6】携帯端末1において、ユーザの瞳及び顔の動作に対応した制御を行う際の表示部2に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】携帯端末1において、ユーザの瞳及び顔の動作に対応した制御を行う際の表示部2に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】携帯端末1において、ユーザの瞳及び顔の動作に対応した制御を行う際の表示部2に表示される画面の一例を示す図である。
【図9】携帯端末1の動作を示すフローチャート図である。
【図10】携帯端末1の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る携帯端末の一実施形態を示す概要図である。携帯端末1は、図1に示すように、機能的な構成要素として、動作検出部3(動作検出手段)、動作判断部4(動作判断手段)、処理制御部5(処理制御手段)、操作コマンド格納部6(操作コマンド格納手段)、及び選択コマンド格納部7(選択コマンド格納手段)を備えている。また、携帯端末1は、図1に示すように、物理的な構成要素の一つとして表示部2(表示手段)を備えている。
【0019】
携帯端末1は、CPU等のハードウェアから構成されているものである。図2は、携帯端末1のハードウェア構成図である。図1に示される携帯端末1は、物理的には、図2に示すように、CPU51、主記憶装置であるRAM52及びROM53、入力デバイスである数字キーやカメラ等の入力装置54、ディスプレイ等の出力装置55、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール56、ハードディスク等の補助記憶装置57等を含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示す各構成要素の機能は、図2に示すCPU51、RAM52等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU51の制御のもとで入力装置54、出力装置55、通信モジュール56を動作させるとともに、RAM52や補助記憶装置57におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0020】
以下、図1に示す構成要素に基づいて、携帯端末1の各構成要素を説明する。
【0021】
携帯端末1はユーザインタフェースとしてグラフィカルユーザインタフェースを採用しており、表示部2は、グラフィカルユーザインタフェースにおけるグラフィックを表示する。グラフィカルユーザインタフェースにおけるグラフィックの一例としては、アイコン、カーソル、ダイアログボックス、及びボタンなどが挙げられる。
【0022】
動作検出部3は、ユーザの瞳及び顔の動作を検出する。例えば、入力装置54であるカメラが一定時間間隔で撮像したユーザの瞳及び顔の画像を基に、動作検出部3は、撮像した画像の差分情報からユーザの瞳及び顔の動作を検出する。
【0023】
操作コマンド格納部6は、ユーザの瞳の動作に関連付けて、表示部2に表示されるカーソルの移動に関する操作コマンドを格納する。
【0024】
操作コマンド格納部6には、優先順位が付された複数の操作コマンドが格納されてもよい。後述の動作判断部4は、優先順位が付された複数の操作コマンドのうち、優先順位の高い順からユーザの瞳の動作が操作コマンドに一致するか否かを判断し、後述の処理制御部5は、一致した操作コマンドに対応するカーソルの移動を制御する。つまり、ユーザが意図した制御を優先的に実行させたい場合は、ユーザがその制御に関する操作コマンドの優先順位を高くすることにより、処理制御部5によってその制御が優先的に制御されることになる。
【0025】
また、操作コマンドには、ユーザの瞳の動作によるカーソルの移動を開始する開始コマンドと、ユーザの瞳の動作によるカーソルの移動を終了する終了コマンドとが含まれていてもよい。開始コマンドと終了コマンドを用いることで、カーソルの移動の開始と終了を区切ることができ、カーソルの移動を制御したい状況においてのみ、携帯端末1にカーソルの移動を制御させることができる。
【0026】
また、操作コマンドには、カーソルの位置を開始コマンドによってカーソルの移動が開始された際のカーソルの位置に復帰させる位置復帰コマンドが含まれていてもよい。これにより、ユーザが誤ってカーソルの位置を意図しない位置に移動した場合でも、すぐにカーソル位置を開始コマンドによってカーソルの移動が開始された際のカーソルの位置に復帰させることができる。
【0027】
操作コマンド格納部6により格納される操作コマンドの一例を図3に示す。図3の操作コマンドには、各操作コマンドを識別する「コマンドNo.(コマンド番号)」、操作コマンドに関連付けられたユーザの瞳の動作である「動作内容」、上述の「優先順位」、後述の動作判断部4が検出された瞳の動作が操作コマンドに一致するか否かを判断する際の判断基準である「判断基準」、後述の動作判断部4により検出された瞳の動作が操作コマンドに一致すると判断した際に後述の処理制御部5により制御されるカーソルの移動に関する処理内容である「処理内容」が含まれる。なお、優先順位は、数字が小さいほど優先順位が高いことを示す。
【0028】
図3の操作コマンドのうち、コマンドNo.が1の操作コマンドが上述の開始コマンドに対応し、コマンドNo.が2の操作コマンドが上述の終了コマンドに対応し、コマンドNo.が4の操作コマンドが上述の位置復帰コマンドに対応する。
【0029】
選択コマンド格納部7は、ユーザの顔の動作に関連付けて、処理の実行・停止の選択に関する選択コマンドを格納する。
【0030】
選択コマンド格納部7には、優先順位が付された複数の選択コマンドが格納されてもよい。後述の動作判断部4は、優先順位が付された複数の選択コマンドのうち、優先順位の高い順からユーザの顔の動作が選択コマンドに一致するか否かを判断し、後述の処理制御部5は、一致した選択コマンドに対応する処理の実行・停止の選択を制御する。つまり、ユーザが意図した制御を優先的に実行させたい場合は、ユーザがその制御に関する選択コマンドの優先順位を高くすることにより、処理制御部5によってその制御が優先的に制御されることになる。
【0031】
また、選択コマンドには、ユーザの顔の動作による処理の実行・停止の選択を開始する開始コマンドと、ユーザの顔の動作による処理の実行・停止の選択を終了する終了コマンドとが含まれていてもよい。開始コマンドと終了コマンドを用いることで、処理の実行・停止の選択の開始と終了を区切ることができ、処理の実行・停止の選択を制御したい状況においてのみ、携帯端末1に処理の実行・停止の選択を制御させることができる。
【0032】
選択コマンド格納部7により格納される選択コマンドの一例を図4に示す。図4の選択コマンドには、各選択コマンドを識別する「コマンドNo.(コマンド番号)」、選択コマンドに関連付けられたユーザの顔の動作である「動作内容」、上述の「優先順位」、後述の動作判断部4が検出された顔の動作が選択コマンドに一致するか否かを判断する際の判断基準である「判断基準」、後述の動作判断部4により検出された顔の動作が選択コマンドに一致すると判断した際に後述の処理制御部5により制御される処理の実行・停止の選択に関する処理内容である「処理内容」が含まれる。なお、優先順位は、数字が小さいほど優先順位が高いことを示す。
【0033】
動作判断部4は、動作検出部3によってユーザの動作が検出された場合に、検出された動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かを判断する。動作判断部4は、優先順位の高い順から動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かを判断してもよい。
【0034】
処理制御部5は、動作判断部4によって動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致すると判断された場合に、一致したコマンドに対応するカーソルの移動又は処理の実行・停止の選択を制御する。
【0035】
以下では、図3を用いて、動作判断部4による操作コマンドの一致判断、及び処理制御部5による操作コマンドの制御の具体例を示す。まず、動作検出部3によりユーザの瞳の動作として、両目を開く動作が検出されたとする。また、その際、動作検出部3は、両目を開く動作が例えば1.2秒継続されたことを検出する。次に動作判断部4は、検出された両目を開く動作が操作コマンド格納部6により格納された操作コマンドに一致するか否かを判断する。動作判断部4は、操作コマンド格納部6により格納された図3の操作コマンドのうち、コマンドNo.が1の操作コマンドの動作内容が該当すると判断する。さらに、両目を開く動作が、当該操作コマンドの判断基準である「0.5秒以上継続」を満たしていることを判断し、コマンドNo.が1の操作コマンドが一致していると判断する。そして、処理制御部5は、コマンドNo.が1の操作コマンドの処理内容である「カーソルの移動の開始」に対応する制御を行う。
【0036】
続いて、以下では、図4を用いて、動作判断部4による選択コマンドの一致判断、及び処理制御部5による選択コマンドの制御の具体例を示す。まず、動作検出部3によりユーザの顔の動作として、右目を閉じる動作が検出されたとする。また、その際、動作検出部3は、右目を閉じる動作が例えば0.7秒継続されたことを検出する。次に動作判断部4は、検出された右目を閉じる動作が選択コマンド格納部7により格納された選択コマンドに一致するか否かを判断する。動作判断部4は、選択コマンド格納部7により格納された図3の選択コマンドのうち、コマンドNo.が3の選択コマンドの動作内容が該当すると判断する。さらに、右目を閉じる動作が、当該選択コマンドの判断基準である「0.5秒以上継続」を満たしていることを判断し、コマンドNo.が3の選択コマンドが一致していると判断する。そして、処理制御部5は、コマンドNo.が3の選択コマンドの処理内容である「Yesを選択する」に対応する制御を行う。なお、この「Yesを選択する」とは、例えば、表示部2に表示されたダイアログボックスに含まれる「Yes」ボタンを選択することを意味する。
【0037】
なお、上記の選択コマンドの具体例において、動作検出部3が、「両目を閉じ、かつ、顔を前に倒す」動作が0.7秒継続されたことを検出したとする。この場合、図3の選択コマンドのうち、コマンドNo.が3の選択コマンドと共に、コマンドNo.が7の選択コマンドも一致する条件を満たすことになる。ただし、コマンドNo.が3の選択コマンドの優先順位が3で、コマンドNo.が7の選択コマンドの優先順位が7であり、コマンドNo.が3の選択コマンドの優先順位の方が高いので、この場合、動作判断部4はコマンドNo.が3の選択コマンドが一致していると判断する。
【0038】
なお、上述の動作内容の具体例である「両目を閉じ、かつ、顔を前に倒す」のように、選択コマンドに関連付けられたユーザの顔の動作を、複数の顔の動作としてもよい。その場合、動作判断部4は、複数の顔の動作が全て一致したか否かにより、該当する選択コマンドが一致するか否かを判断する。
【0039】
次に、図5〜図8を用いて、携帯端末1において、ユーザの瞳及び顔の動作に対応した制御を行う際の表示部2に表示される画面の一例を示す。図5は、表示部2上にアイコンA1〜A5、及びカーソルBが表示されている状態を示した図である。次に、動作検出部3によりユーザの両目を見開く動作が検出され、動作判断部4により図3のコマンドNo.が1の操作コマンド(開始コマンド)が一致していると判断され、処理制御部5により当該開始コマンドの処理内容である「カーソルの移動を開始」の制御が実行される。
【0040】
次に、動作検出部3によりユーザの黒目の移動が検出され、動作判断部4により図3のコマンドNo.が3の操作コマンドが一致していると判断され、処理制御部5により当該操作コマンドの処理内容である「カーソルを黒目の移動に合わせて移動」の制御が実行される。図6は、黒目の移動にあわせてカーソルBが軌跡Cを辿ってアイコンA2の上に移動したことを示す図である。
【0041】
次に、動作検出部3によりユーザの両目を2回閉じる動作が検出され、動作判断部4により図3のコマンドNo.が2の操作コマンド(終了コマンド)が一致していると判断され、処理制御部5により当該終了コマンドの処理内容である「カーソルの移動を終了」の制御が実行される。それに伴い、アイコンA2に対応する電子メールソフトの起動確認を行うダイアログボックスDが表示されたとする。図7は、ダイアログボックスDが表示された状態を示す図である。
【0042】
次に、動作検出部3によりユーザの顔を左右に順番に傾ける動作が検出され、動作判断部4により図4のコマンドNo.が1の選択コマンド(開始コマンド)が一致していると判断され、処理制御部5により当該開始コマンドの処理内容である「処理の実行・停止の選択を開始」の制御が実行される。次に、動作検出部3によりユーザの唇の口角が一定の角度以上上がり、「Ye」の形をしている動作が検出され、動作判断部4により図4のコマンドNo.が5の選択コマンドが一致していると判断され、処理制御部5により当該選択コマンドの処理内容である「Yesを選択する」の制御が実行される。図8は、ダイアログボックスD上のYesボタンが選択された状態(選択状態E)を示す。
【0043】
続いて、このように構成された携帯端末1の動作について説明する。図9及び図10は、携帯端末1の動作を示すフローチャートである。なお、図9のS6の次はMとなっているが、これは図10のMに続くことを意味している。つまり、図9のS6の次は図10のS7に続く。
【0044】
まず、動作検出部3は、ユーザの瞳の動作を検出し(S1)、動作判断部4は、検出した瞳の動作が開始コマンドに一致すると判断し、処理制御部5は、カーソルの移動を開始する制御を行う(S2)。次に、動作検出部3は、ユーザの瞳の動作を検出し(S3)、動作判断部4は、検出した瞳の動作が瞳の動作に合わせたカーソルの移動に関する操作コマンドに一致すると判断し、処理制御部5は、瞳の動作に合わせてカーソルの移動を行う(S4)。次に、動作検出部3は、ユーザの瞳の動作を検出し(S5)、動作判断部4は、検出した瞳の動作が終了コマンドに一致すると判断し、処理制御部5は、カーソルの移動を終了する制御を行う(S6)。
【0045】
次に、動作検出部3は、ユーザの顔の動作を検出し(S7)、動作判断部4は、検出した顔の動作が開始コマンドに一致すると判断し、処理制御部5は、処理の実行・停止の選択を開始する制御を行う(S8)。次に、動作検出部3は、ユーザの顔の動作を検出し(S9)、動作判断部4は、検出した顔の動作が処理の実行・停止の選択に関する選択コマンドに一致すると判断し、処理制御部5は、処理の実行・停止の選択を行う(S10)。次に、動作検出部3は、ユーザの顔の動作を検出し(S11)、動作判断部4は、検出した顔の動作が終了コマンドに一致すると判断し、処理制御部5は、処理の実行・停止の選択を終了する制御を行う(S12)。
【0046】
以上説明したように、この携帯端末1では、ユーザの瞳及び顔の動作が検出された場合に、検出された動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かが判断され、一致すると判断された場合に、一致したコマンドに対応するカーソルの移動又は処理の実行・停止の選択が制御される。この携帯端末1では、ボタン等の操作がなされずとも、ユーザによる瞳及び顔の動作を検出してカーソルの移動や処理の実行・停止の選択がなされるので、ユーザは画面を見たままの状態で簡便に携帯端末1を操作できる。また、この携帯端末1では、瞳の動作による操作コマンドと、顔の動作による選択コマンドとを切り分けているので、ユーザの操作性を確保でき、かつ誤動作を防止できる。
【0047】
また、この携帯端末1では、優先順位の高い順から動作が操作コマンド又は選択コマンドに一致するか否かが判断される。これにより、ユーザは、操作コマンド又は選択コマンドの優先順位を高くすることで、ユーザが意図した制御を優先的に実行させることができる。よって、この携帯端末1は、ユーザの操作性に優れており、それゆえに、ユーザによる誤動作をより少なくすることができる。
【0048】
また、この携帯端末1では、ユーザは開始コマンドと終了コマンドを用いてカーソルの移動の開始と終了を区切ることで、カーソルの移動を制御したい状況においてのみ、携帯端末1にカーソルの移動を制御させることができる。したがって誤動作をより確実に防止できる。
【0049】
また、この携帯端末1では、ユーザが誤ってカーソルの位置を意図しない位置に移動した場合でも、すぐにカーソル位置を開始コマンドによってカーソルの移動が開始された際のカーソルの位置に復帰させることができる。
【0050】
この携帯端末1では、ユーザは開始コマンドと終了コマンドを用いて処理の実行・停止の選択の開始と終了を区切ることで、処理の実行・停止の選択を制御したい状況においてのみ、携帯端末1に処理の実行・停止の選択を制御させることができる。したがって誤動作をより確実に防止できる。
【符号の説明】
【0051】
1…携帯端末、2…表示部、3…動作検出部、4…動作判断部、5…処理制御部、6…操作コマンド格納部、7…選択コマンド格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの瞳及び顔の動作を検出する動作検出手段と、
ユーザの瞳の動作に関連付けて、表示手段に表示されるカーソルの移動に関する操作コマンドを格納する操作コマンド格納手段と、
ユーザの顔の動作に関連付けて、処理の実行・停止の選択に関する選択コマンドを格納する選択コマンド格納手段と、
前記動作検出手段によってユーザの動作が検出された場合に、検出された動作が前記操作コマンド又は前記選択コマンドに一致するか否かを判断する動作判断手段と、
前記動作判断手段によって前記動作が前記操作コマンド又は前記選択コマンドに一致すると判断された場合に、一致したコマンドに対応するカーソルの移動又は処理の実行・停止の選択を制御する処理制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記操作コマンド格納手段には、優先順位が付された複数の操作コマンドが格納され、
前記選択コマンド格納手段には、優先順位が付された複数の選択コマンドが格納され、
前記動作判断手段は、前記優先順位の高い順から前記動作が前記操作コマンド又は前記選択コマンドに一致するか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記操作コマンドには、ユーザの瞳の動作による前記カーソルの移動を開始する開始コマンドと、ユーザの瞳の動作による前記カーソルの移動を終了する終了コマンドとが含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記操作コマンドには、前記カーソルの位置を前記開始コマンドによって前記カーソルの移動が開始された際の前記カーソルの位置に復帰させる位置復帰コマンドが含まれていることを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記選択コマンドには、前記ユーザの顔の動作による前記処理の実行・停止の選択を開始する開始コマンドと、前記ユーザの顔の動作による前記処理の実行・停止の選択を終了する終了コマンドとが含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−209928(P2011−209928A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75956(P2010−75956)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】