説明

携帯端末

【課題】発熱部材の熱を効果的に放熱し得る携帯端末を提供する。
【解決手段】放熱部材50は、筐体11内に配置されてRFIDタグ処理部40や制御部21などの発熱部材20からの熱を受ける第1放熱板51と、筐体11外に配置されて第1放熱板51を介して伝達される熱を放熱する第2放熱板52とを備えている。また、熱伝導シート60は、第1放熱板51および発熱部材20にそれぞれ面接触して両部材間の熱伝達を行う。そして、第2放熱板52は、筐体11のうち把持部12と異なる頭部14の外面側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部材を有する携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱部材を有する携帯端末に関する技術として、下記特許文献1に示す折畳み式携帯電話機が知られている。この折畳み式携帯電話機は、上下本体がヒンジ機構により折畳み可能に連結されており、下部本体内には、ステンレスからなるシールドケースと、シールドケースの背面に配設されるICカードホルダと、シールドケースの正面に配設される制御基板と、が設けられている。
【0003】
そして、制御基板のパワーアンプの表面はシールドケースに直接接触しており、このシールドケースはその上部でヒンジ機構の第1フレームに当接し、この第1フレームはICカードホルダに当接している。これにより、パワーアンプで発生した熱はシールドケースに伝達されるとともに、このシールドケースを介してヒンジ機構の第1フレームおよびICカードホルダに伝達されて放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発熱部材の熱を上述のように筐体(下部本体)内に配置されている構成部品を介して筐体内にて放熱するだけでは、この発熱部材に対する冷却性能を高めることが困難である。特に、例えば、RFIDタグリーダライタにおいて、RFIDタグを広範囲(例えば2m〜4m)で読取可能とするために高出力の電波を連続して送信すると、CPUやパワーアンプ等の発熱部材がより多くの熱を発生してしまう。このため、すぐに筐体内の温度が飽和して冷却効果が低下するだけでなく、筐体を把持する部位である把持部が熱くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、発熱部材の熱を効果的に放熱し得る携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の携帯端末では、操作手段が設けられてこの操作手段を操作するために把持される把持部と外部から情報を取得する取得手段を有する頭部とを有する筐体と、前記筐体内に配置されて取得した情報の処理時に発熱する発熱部材と、前記筐体内に配置されて前記発熱部材からの熱を受ける第1放熱部と前記筐体外に配置されて前記第1放熱部を介して伝達される熱を放熱する第2放熱部とを有する放熱部材と、前記第1放熱部および前記発熱部材にそれぞれ面接触して両部材間の熱伝達を行うための熱伝導部材と、を備える携帯端末であって、前記第2放熱部は、前記頭部の外面側に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記第2放熱部の少なくとも一部は、弾性部材により一体化して被覆されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の携帯端末において、前記第1放熱部および前記第2放熱部には、他方に連結するための連結部がそれぞれ同じ材料にて設けられており、これら連結部を介して前記第1放熱部および前記第2放熱部が熱伝導可能に連結されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記発熱部材は、RFIDタグと無線通信することにより当該RFIDタグに記録されている情報を読み取るRFIDタグ読取手段であって、前記第2放熱部の一部は、前記RFIDタグ読取手段の無線通信に関するアンテナ機能を兼備することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記第1放熱部は、前記熱伝導部材に面接触しない部位が前記筐体内にて第2放熱部から離間する方向に延出することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末において、前記取得手段は、前記筐体に設けられる読取口を介して入射する情報コードからの反射光に基づいて当該情報コードに記録されている情報を読み取る光学的読取手段であって、前記第2放熱部は、前記読取口近傍に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、放熱部材は、筐体内に配置されて発熱部材からの熱を受ける第1放熱部と、筐体外に配置されて第1放熱部を介して伝達される熱を放熱する第2放熱部とを備えている。また、熱伝導部材は、第1放熱部および発熱部材にそれぞれ面接触して両部材間の熱伝達を行う。そして、第2放熱部は、筐体のうち把持部と異なる頭部の外面側に配置される。
【0014】
これにより、筐体内に配置される発熱部材にて発生した熱は、同じく筐体内に配置される熱伝導部材および第1放熱部を介して、筐体外に配置される第2放熱部に伝達され、この第2放熱部にて筐体外に放熱されるので、発熱部材の熱を効果的に放熱することができる。また、第2放熱部は、筐体のうち把持部と異なる頭部の外面側に配置されるので、把持部を把持する使用者が発熱部材の熱を感じにくくすることができる。
【0015】
請求項2の発明では、第2放熱部の少なくとも一部は、弾性部材により一体化して被覆されているため、上述した放熱機能に加えて落下等による衝撃を吸収する保護機能をも兼備することができる。
【0016】
請求項3の発明では、第1放熱部および第2放熱部は、同じ材料にて設けられる連結部をそれぞれ介して熱伝導可能に連結されるため、第1放熱部および第2放熱部が分離可能に構成されることとなる。これにより、筐体内に配置される第1放熱部の連結部を筐体外に露出させることで、第1放熱部等を収容した筐体に対し、両連結部を連結するように第2放熱部を後から組み付けることが可能となり、筐体の内外に配置される第1放熱部および第2放熱部の組付性を向上させることができる。また、両放熱部の連結部はそれぞれ同じ材料で構成されるので、両放熱部を一体に形成する場合と同等の熱伝導性を両放熱部間に持たせることができる。
【0017】
請求項4の発明では、発熱部材は、RFIDタグと無線通信することにより当該RFIDタグに記録されている情報を読み取るRFIDタグ読取手段であり、第2放熱部の一部は、当該RFIDタグ読取手段の無線通信に関するアンテナ機能を兼備する。これにより、第2放熱部の一部は、上述した放熱機能に加えてRFIDタグ読取手段のアンテナ機能をも兼備するので、筐体外への放熱を実現するための部品点数の増大や大型化を抑制することができる。
【0018】
請求項5の発明では、第1放熱部は、熱伝導部材に面接触しない部位が筐体内にて第2放熱部から離間する方向に延出するため、熱伝導部材を介する発熱部材からの熱が、第2放熱部だけでなくこの延出部位にも伝達される。これにより、発熱部材からの熱伝導経路が長いために第2放熱部による放熱効果が小さい発熱初期段階であっても、第1放熱部に伝達される熱が上記延出部位にて筐体内に放熱されるため、発熱部材の熱をより効果的に放熱することができる。
【0019】
請求項6の発明では、取得手段は、筐体に設けられる読取口を介して入射する情報コードからの反射光に基づいて当該情報コードに記録されている情報を読み取る光学的読取手段であり、第2放熱部は、読取口近傍に配置されている。このように取得手段として光学的読取手段を採用することで、外部から情報を光学的に取得することができる。特に、光学的読取手段を備える携帯端末では、通常、読取口から離間する部位を把持部と想定し読取口近傍を把持しない構成になるので、第2放熱部を読取口近傍に配置することで、把持部を把持する使用者が発熱部材の熱を感じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る読取装置10の構成概要を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は一部断面で示す側面図である。
【図2】図1の放熱部材50を示す拡大断面図である。
【図3】図1の読取装置10の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図4】図4(A)は、図3の情報コード読取部30を例示するブロック図であり、図4(B)は、図3のRFIDタグ処理部40を例示するブロック図である。
【図5】本実施形態の変形例に係る読取装置10の構成概要を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の携帯端末を読取装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る読取装置10は、使用者によって携帯されて様々な場所で用いられる携帯情報端末として構成されており、バーコードや二次元コードなどの情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能と、RFIDタグ(無線タグ)に記録された情報を無線通信により読み取るRFIDタグリーダとしての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成をなしている。
【0022】
読取装置10は、筐体11内に全体的制御を司る制御部21、情報コードを光学的に読み取るための情報コード読取部30、RFIDタグの情報を無線通信により読み取るためのRFIDタグ処理部40などの各種電気部品と、各種電気部品の電源として機能するバッテリ28とが収容されるように構成されている。
【0023】
図1に示すように、筐体11は、使用者に把持される把持部12と、液晶表示器22が取り付けられる液晶部13と、読取口14aが設けられる頭部14とからなる。把持部12のうち液晶表示器22近傍には、読取対象の情報や当該読取装置10の操作に関する情報を入力可能なファンクションキーや数字情報を入力可能なテンキー等、情報を入力する際に操作される複数のキーを有するキー操作部23が設けられている。これにより、使用者は、キー操作部23を操作するために把持部12を把持することとなる。
【0024】
頭部14は、把持部12との間に液晶表示器22が介在することで把持部12から離間するように配置されており、その外面側が読取口14aを除き液晶表示器22近傍まで保護部材15により覆われている。
【0025】
保護部材15は、放熱性の高い金属製の第2放熱板52の両面を高熱伝導性のシリコンゴム16で被覆するように一体的に成形されており、落下等による衝撃を吸収して頭部14等への衝撃の伝達を抑制する保護機能を有している。
【0026】
また、読取装置10は、制御部21や情報コード読取部30、RFIDタグ処理部40など取得した情報の処理時に発熱する部材(以下、発熱部材20という)の熱を筐体11外に放熱するための放熱部材50を備えている。この放熱部材50は、図2に示すように、筐体11内に配置されて発熱部材20からの熱を受ける第1放熱板51と、保護部材15のシリコンゴム16で被覆された第2放熱板52とを分離可能に備えるよう構成されている。なお、放熱部材50は、特許請求の範囲に記載の「放熱部材」の一例に相当し、第1放熱板51および第2放熱板52は、特許請求の範囲に記載の「第1放熱部」および「第2放熱部」の一例に相当する。
【0027】
第1放熱板51はその中央部51aにて熱伝導シート60に面接触し、この熱伝導シート60は発熱部材20の少なくとも一部を覆うように面接触する。これにより、熱伝導シート60を介して第1放熱板51および発熱部材20間での熱伝達が良好になされることとなる。なお、この面接触部およびその周囲にゲル状の熱伝導材料を塗布することで、熱伝導性をさらに向上させてもよい。
【0028】
中央部51aの頭部14側には、第2放熱板52に着脱可能に連結するための第1連結部51bが端部から直立して突出するように設けられている。この第1連結部51bは、2つの平板部が所定の隙間を構成するように平行に形成されており、両平板部の先端側が互いに離間するように傾斜している。また、中央部51aの把持部12側であって熱伝導シート60に面接触しない部位には、延出部51cが第1連結部51bから離間する方向(第2放熱板52から離間する方向)に延出するように設けられている。
【0029】
このように構成される第1放熱板51は、筐体11内にて所定の位置に収容されるとき、第1連結部51bの先端側が筐体11の外側に露出するとともに、延出部51cが筐体11内に延出するように組み付けられる。
【0030】
第2放熱板52には、第1放熱板51の第1連結部51bに着脱可能に連結するための第2連結部52aがシリコンゴム16から一部露出するように設けられている。この第2連結部52aは、第1連結部51bの上記所定の隙間に嵌合可能に平板状に形成されており、その先端側が断面尖形状になっている。また、この第2放熱板52は、後述するようにRFIDタグ処理部40のアンテナとして機能し、説明の便宜上、アンテナ機能を発揮する場合には当該第2放熱板52をアンテナ52ともいう。
【0031】
このように構成される放熱部材50では、第1放熱板51が収容された筐体11の頭部14に保護部材15を組み付けて当該頭部14を覆うとき、シリコンゴム16から露出する第2連結部52aが筐体11の外側に露出する第1連結部51bの隙間に嵌合する。これにより、両連結部51b,52aを介して第1放熱板51および第2放熱板52が連結されることとなる。特に、本実施形態では、第1放熱板51および第2放熱板52と第1連結部51bおよび第2連結部52aとを同じ金属製の材料にて形成することで、第1放熱板51および第2放熱板52を一体に形成する場合と同等の熱伝導性を両放熱板51,52間に持たせている。
【0032】
図3に示すように、制御部21には、上述した液晶表示器22およびキー操作部23に加えて、LED24、スピーカ25および外部インターフェース26などが接続されている。制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有し、メモリ27とともに情報処理装置として機能している。また、液晶表示器22、LED24およびスピーカ25は、いずれも制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。また、キー操作部23は、使用者による各キーのキー操作に応じて制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、キー操作部23から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。
【0033】
外部インターフェース26は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源となるバッテリ28や電源部29が設けられており、これらによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されている。
【0034】
また、制御部21には、外部から情報を取得する取得手段としての情報コード読取部30およびRFIDタグ処理部40がそれぞれ接続されている。
情報コード読取部30は、図4(A)に示すように、CCDエリアセンサなどの固体撮像素子からなる受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードCを光学的に読み取るように機能する。
【0035】
この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部21から指令を受けた照明部31にて照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口14aを通って情報コードCが付された読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口14aを通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に受光される。
【0036】
読取口14aと受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力される受光信号は、画像データとしてメモリ27に記憶され、デコード処理などに用いられるようになっている。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。また、情報コード読取部30および制御部21は、特許請求の範囲に記載の「光学的読取手段」の一例に相当する。
【0037】
RFIDタグ処理部40は、頭部14を保護する保護部材15の第2放熱板52をアンテナ52として使用することで、このアンテナ52および制御部21と協働してRFIDタグTとの間で電磁波による無線通信を行ない、RFIDタグTに記憶されるデータの読取り、或いはRFIDタグTへのデータの書込みを行なうように機能する。なお、RFIDタグ処理部40および制御部21は、特許請求の範囲に記載の「RFIDタグ読取手段」の一例に相当する。
【0038】
RFIDタグ処理部40は、RFIDタグTを広範囲(例えば2m〜4m)であっても読取可能とするために高出力の電波を連続して送信可能に構成されており、図4(B)に示すように、送信回路41、受信回路42、整合回路43などを有している。送信回路41は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力する構成をなしている。
【0039】
変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を整合回路43を介してアンテナ52に出力している。このようにしてアンテナ52に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ52より外部に放射される。
【0040】
一方、アンテナ52によって受信された電波信号は、整合回路43を介して受信回路42に入力される。この受信回路42は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ52を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0041】
次に、上述のように構成される読取装置10において、放熱部材50による放熱作用について以下に説明する。
例えば、RFIDタグ処理部40において、RFIDタグTを広範囲で読取可能とするために高出力の電波をアンテナ52を介して連続して送信していると、RFIDタグ処理部40や制御部21などの発熱部材20から高温の熱が発生する。
【0042】
このように発熱部材20にて発生した熱は、面接触する熱伝導シート60を介することで良好に第1放熱板51に伝達されると、第1連結部51bおよび第2連結部52aを介して筐体11外に配置される第2放熱板52に伝達される。このように伝達される熱が第2放熱板52にて筐体11外に放熱されるので、発熱部材20にて発生した熱を効果的に放熱して冷却することができる。
【0043】
また、第2放熱板52による放熱効果が小さい発熱初期段階では、第1放熱板51に伝達される熱が延出部51cにより筐体11内に放熱されるので、発熱部材20の熱をより効果的に放熱することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る読取装置10では、放熱部材50は、筐体11内に配置されてRFIDタグ処理部40や制御部21などの発熱部材20からの熱を受ける第1放熱板51と、筐体11外に配置されて第1放熱板51を介して伝達される熱を放熱する第2放熱板52とを備えている。また、熱伝導シート60は、第1放熱板51および発熱部材20にそれぞれ面接触して両部材間の熱伝達を行う。そして、第2放熱板52は、筐体11のうち把持部12と異なる頭部14の外面側に配置される。
【0045】
これにより、筐体11内に配置される発熱部材20にて発生した熱は、同じく筐体11内に配置される熱伝導シート60および第1放熱板51を介して、筐体11外に配置される第2放熱板52に伝達され、この第2放熱板52にて筐体11外に放熱されるので、発熱部材20の熱を効果的に放熱することができる。また、第2放熱板52は、筐体11のうち把持部12と異なる頭部14の外面側に配置されるので、把持部12を把持する使用者が発熱部材20の熱を感じにくくすることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る読取装置10では、第2放熱板52は、保護部材15としてシリコンゴム16により一体化して被覆されているため、上述した放熱機能に加えて落下等による衝撃を吸収する保護機能をも兼備することができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る読取装置10では、第1放熱板51および第2放熱板52は、同じ材料にて設けられる連結部51b,52aをそれぞれ介して熱伝導可能に連結されるため、第1放熱板51および第2放熱板52が分離可能に構成されることとなる。これにより、筐体11内に配置される第1放熱板51の第1連結部51bを筐体11外に露出させることで、第1放熱板51等を収容した筐体11に対し、両連結部51b,52aを連結するように第2放熱板52を後から組み付けることが可能となり、筐体11の内外に配置される第1放熱板51および第2放熱板52の組付性を向上させることができる。また、両放熱板51,52の連結部51b,52aはそれぞれ同じ材料で構成されるので、両放熱板51,52を一体に形成する場合と同等の熱伝導性を両放熱板51,52間に持たせることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る読取装置10では、第2放熱板52は、上述した放熱機能に加えて、RFIDタグ処理部40の無線通信に関するアンテナ機能を兼備するので、筐体11外への放熱を実現するための部品点数の増大や大型化を抑制することができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る読取装置10では、第1放熱板51は、熱伝導シート60に面接触しない部位である延出部51cが筐体11内にて第2放熱板52から離間する方向に延出するため、熱伝導シート60を介する発熱部材20からの熱が、第2放熱板52だけでなくこの延出部51cにも伝達される。これにより、発熱部材20からの熱伝導経路が長いために第2放熱板52による放熱効果が小さい発熱初期段階であっても、第1放熱板51に伝達される熱が延出部51cにて筐体11内に放熱されるため、発熱部材20の熱をより効果的に放熱することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る読取装置10では、取得手段として、情報コードCに記録されている情報を読み取る情報コード読取部30が設けられており、第2放熱板52は、読取口14a近傍に配置されている。このような情報コード読取部30を備える携帯端末では、通常、読取口14aから離間する部位を把持部12と想定し読取口14a近傍を把持しない構成になるので、第2放熱板52を読取口14a近傍に配置することで、把持部12を把持する使用者が発熱部材20の熱を感じにくくすることができる。
【0051】
なお、上記実施形態に係る変形例として、図5に示すように、シリコンゴム16の厚さを厚くした保護部材15aを採用してもよい。これにより、保護部材15aによる頭部14等に対する保護機能を向上させることができる。特に、第1放熱板51および第2放熱板52は分離可能に構成されているため、保護部材15および保護部材15aのいずれか一方を採用する場合でも、筐体11を開封することなく、容易に筐体11の頭部14等に組み付けるとともに両放熱板51,52を連結することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記実施形態では、本発明の携帯端末を、情報コードリーダ機能およびRFIDタグリーダ機能を有する読取装置10に適用した例を説明したが、これに限ることなく、RFIDタグリーダ機能のみを有する読取装置に適用してもよいし、情報コードリーダ機能のみを有する読取装置に適用してもよい。さらに、本発明の携帯端末を、例えばPDAなどの公知の手法により外部から情報を取得する情報読取装置に適用してもよい。
【0053】
(2)保護部材15は、第2放熱板52の一部のみがシリコンゴム16により被覆されて構成されてもよい。この場合、第2放熱板52の残部は、例えば、他の部材により被覆されてもよいし、シリコンゴム16などに囲まれて使用者が触れることのないように露出してもよい。
【0054】
(3)第1連結部51bおよび第2連結部52aを廃止して、第1放熱板51および第2放熱板52を一体に成形するようにしてもよい。
【0055】
(4)頭部14が使用者に把持される可能性が低く当該頭部14の保護の必要性が低い場合には、保護部材15を廃止して、第2放熱板52の少なくとも一部を筐体11外に露出するようにしてもよい。
【0056】
(5)第1放熱板51および第2放熱板52を別の種類の材料にて構成してもよいし、第1連結部51bおよび第2連結部52aのみを別の種類の材料にて構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…読取装置(携帯端末)
11…筐体
12…把持部
14…頭部
14a…読取口
15,15a…保護部材(弾性部材)
16…シリコンゴム(弾性部材)
21…制御部(発熱部材)
30…情報コード読取部(発熱部材,取得手段)
40…RFIDタグ処理部(発熱部材,取得手段)
50…放熱部材
51…第1放熱板(第1放熱部)
51a…第1連結部
52…第2放熱板,アンテナ(第2放熱部)
52a…第2連結部
60…熱伝導シート(熱伝導部材)
C…情報コード
R…読取対象
T…RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段が設けられてこの操作手段を操作するために把持される把持部と外部から情報を取得する取得手段を有する頭部とから構成される筐体と、
前記筐体内に配置されて取得した情報の処理時に発熱する発熱部材と、
前記筐体内に配置されて前記発熱部材からの熱を受ける第1放熱部と前記筐体外に配置されて前記第1放熱部を介して伝達される熱を放熱する第2放熱部とを有する放熱部材と、
前記第1放熱部および前記発熱部材にそれぞれ面接触して両部材間の熱伝達を行うための熱伝導部材と、
を備える携帯端末であって、
前記第2放熱部は、前記頭部の外面側に配置されることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第2放熱部の少なくとも一部は、弾性部材により一体化して被覆されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1放熱部および前記第2放熱部には、他方に連結するための連結部がそれぞれ同じ材料にて設けられており、これら連結部を介して前記第1放熱部および前記第2放熱部が熱伝導可能に連結されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記発熱部材は、RFIDタグと無線通信することにより当該RFIDタグに記録されている情報を読み取るRFIDタグ読取手段であって、
前記第2放熱部の一部は、前記RFIDタグ読取手段の無線通信に関するアンテナ機能を兼備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記第1放熱部は、前記熱伝導部材に面接触しない部位が前記筐体内にて第2放熱部から離間する方向に延出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記取得手段は、前記筐体に設けられる読取口を介して入射する情報コードからの反射光に基づいて当該情報コードに記録されている情報を読み取る光学的読取手段であって、
前記第2放熱部は、前記読取口近傍に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−45004(P2011−45004A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193198(P2009−193198)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】