説明

携帯端末

【課題】電子メールを送信する際に宛先の指定を効率的に行う。
【解決手段】電子メールの送受信機能を有する携帯端末1おいて、送受信した電子メールを保存するメモリ部60と、メモリ部60に記憶された電子メールのうち、指定された文字列を含む表題を具備する電子メールを特定し、当該電子メールの宛先アドレスを抽出して表示する制御部10とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯端末に関し、特に、電子メールを送信する操作の簡略化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機は、情報交換や情報収集の面から、生活にはなくてはならないツールとなりつつある。このような携帯電話機は、世の中に登場した当時は、通話機能しか有していないものがほとんどであったが、近年では、一般のパーソナルコンピュータと同様に、電子メールを送信したり、インターネットに接続したりすることができるようになっている。
【0003】
このような携帯電話機では、電子メールの作成時にメールアドレスを指定する際、直接入力か、電話帳に保存されているメールアドレスを1件1件選択していたため、入力に時間がかかり、かつ送信先に漏れが発生していた。また、過去の送受信メールの再送や返信機能を使うことによって、メールアドレスを新たに入力せずに済む手段もあるが、関連するメールを探す手間と、送信したいメールアドレスが全てふくまれているかを確認する必要があった。
【0004】
そこで、キーワードを入力すると、受信済みメールの中から、そのキーワードが表題と文書中に含まれる電子メールを検索し、検索した電子メールの宛先の中から所望の宛先を決定して電子メールを送信する技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−11374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、受信済みのメールの中からの検索を、受信メールの表題と文書中に対して行うため、処理が煩雑になるとともに、不必要な検索まで行ってしまう虞れがあり、所望の宛先を効率的に検索できるとは言いがたい。
【0007】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、電子メールを送信する際に宛先の指定を効率的に行うことができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
電子メールの送受信機能を有する携帯端末において、
送受信した電子メールを保存する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された電子メールのうち、指定された文字列を含む表題を具備する電子メールを特定し、当該電子メールの宛先アドレスを抽出して表示する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明においては、送受信した電子メールのうち、指定された文字列を含む表題を具備する電子メールを特定し、その電子メールの宛先アドレスを抽出して表示する構成としたため、処理が煩雑になったり、不必要な検索まで行ってしまったりすることがなく、電子メールを送信する際に宛先の指定を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の携帯端末の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した携帯端末の電子メール作成時のメールアドレス入力におけるキーワード検索処理の概要を説明するための図である。
【図3】図1に示した携帯端末の電子メール作成時のメールアドレス入力におけるキーワード検索処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示した携帯端末の電子メール作成時のメールアドレスを抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示した携帯端末の電子メール作成時の文字列を抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示した携帯端末にて宛先アドレスと文字列との対応づけの処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の携帯端末の実施の一形態を示す図である。
【0013】
本形態は図1に示すように、制御部10と、アンテナ20と、無線部30と、キー操作部40と、表示部50と、メモリ部60とを備える。
【0014】
制御部10は、CPU11を有し、制御プログラム12に基づいて、接続する各ブロックを制御する。
【0015】
無線部30は、アンテナ20を介して基地局との間にてデータを送受信する。基地局から受信したデータは、無線部30で復調し、制御部10にて受信データを解析する。
【0016】
制御部10は、基地局から受信したデータが音声データであれば復号化して音声出力し、音声データ以外であれば受信データに応じた動作を行う。
【0017】
キー操作部40は、複数のキーを具備しており、電子メールを作成する時の文字入力ボタンやメール送信ボタン、メール返信ボタン、メール転送ボタンを含んでいる。
【0018】
表示部50は、液晶等のデバイスを使用して、制御部10の制御により各種表示を行う。
【0019】
メモリ部60は、本発明の記憶手段となるものであって、ROMまたはRAMを使用して、受信した電子メールを保存するエリア61と、電子メールの表題となる件名を検索するためにユーザーが指定した文字列を格納するエリア62と、指定された文字列によってキーワード検索して抽出された宛先アドレスとなるメールアドレスを格納するエリア63と、検索に用いた文字列と電子メールのタイムスタンプとを対応づけて管理するメール検索履歴エリア64と、電話番号やメールアドレス、名前等のデータを保存する電話帳エリア65と、携帯電話1の状態やデータ編集時の一時的な作業エリア66とを有している。
【0020】
以下に、上記のように構成された携帯端末1の電子メール作成時のメールアドレス入力におけるキーワード検索処理について説明する。
【0021】
図2は、図1に示した携帯端末1の電子メール作成時のメールアドレス入力におけるキーワード検索処理の概要を説明するための図である。
【0022】
ユーザーが電子メール作成時に宛先を入力する際、表示部50に宛先入力の選択画面を表示する(表示1)。
【0023】
ユーザーは、表示1内にある“6.キーワード検索”を選択する。キーワード検索選択後、文字列を直接入力するか、過去に検索したことのある文字列で再検索するのかを表示部50に表示する。
【0024】
そして、文字列を直接入力する場合は(表示2)、文字列の入力画面を表示する(表示3)。検索する文字列を入力して検索を開始すると、送受信メールデータ保存エリア61に保存されている送受信メールデータから該当する電子メールを特定し、作業エリア66にその電子メールの宛先アドレスを抽出する。全ての電子メールを検索したら、抽出した宛先アドレスをメールアドレス抽出格納エリア63に整理して格納する。
【0025】
格納後、検索に使用した文字列と、抽出した宛先アドレスとを表示部50に表示する(表示4)。
【0026】
一方、過去に検索したことのある文字列で再検索する場合は(表示5)、過去に検索した文字列を表示する(表示6)。検索する文字列を選択して検索を開始すると、送受信メールデータ保存エリア61に保存されている送受信メールデータから該当する電子メールを特定し、作業エリア66にその電子メールの宛先アドレスを抽出する。全ての電子メールを検索したら、抽出した宛先アドレスと過去に検索した宛先アドレスとを併せてメールアドレス抽出格納エリア63に整理して格納する。
【0027】
格納後、検索に使用した文字列と、抽出した宛先アドレスとを表示部50に表示する(表示7)。
【0028】
以下に、上述した処理について具体的に説明する。
【0029】
図3は、図1に示した携帯端末1の電子メール作成時のメールアドレス入力におけるキーワード検索処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0030】
まず、キー操作部40を介して入力されたキーデータを制御部10にて解析する(ステップ1)。
【0031】
次に、制御部10において、現在の携帯端末1の状態が電子メール作成時のメールアドレス入力状態かどうかを判断する(ステップ2)。
【0032】
そして、メールアドレス入力状態であった場合、制御部10において、入力手段がキーワード検索による方法かどうかを判断する(ステップ3)。
【0033】
一方、ステップ2においてメールアドレス入力状態でなければ、制御部10の制御によって携帯端末1の状態に合わせた動作をする。
【0034】
入力手段がキーワード検索であった場合、文字列となるキーワードの入力方法が、文字列が直接入力されるのか、文字列が選択入力されるのかを判断する(ステップ4)。
【0035】
また、ステップ3において、入力手段が、従来からある直接入力や電話帳からの選択であった場合は、本処理を終了し、従来の処理を実行する。
【0036】
文字列の入力方法は、直接入力する方法と一度検索した文字列を選択して使用する方法がある。文字列を直接入力する方法は、まず、キー操作部40から直接入力されることによって指定された文字列を制御部10の制御によって作業エリア66に格納する(ステップ5)。そして、入力が完了するまでは、キー操作部40から入力される文字列を作業エリア66に格納し続ける(ステップ6)。
【0037】
一方、一度検索した文字列を選択して使用する場合は、検索キーワード格納エリア62に格納された、過去に検索した文字列を制御部10の制御によって表示部50に表示する(ステップ7)。そして、表示した状態でユーザーが選択したら、制御部10の制御によって、選択された文字列を作業エリア66に格納する(ステップ8)。
【0038】
キー操作部40から入力された文字列または選択された文字列を作業エリア66に格納できたら、制御部10において、格納された文字列が含まれるメールデータの表題となる件名を具備する電子メールを特定し、該当する電子メールに使用された宛先アドレスを抽出する(ステップ9)。
【0039】
検索した結果、該当する電子メールが存在するかどうかを判断する(ステップ10)。そして、該当する電子メールが存在する場合、制御部10において、作業エリア66に格納した宛先を表示部50に表示する(ステップ11)。
【0040】
さらに、制御部10において、メールアドレス抽出格納エリア63に、検索に使用した文字列と抽出した宛先アドレスとを対応づけて保存する(ステップ12)。
【0041】
一方、該等する電子メールが存在しない場合は、制御部10の制御によって、該当する電子メールが無い旨を表示部50に表示する(ステップ13)。
【0042】
上述した検索・抽出・保存が完了したら、制御部10において、検索した文字列と最新メールのタイムスタンプとを対応づけてメール検索履歴エリア64に記憶し、再検索時に一度検索したメールを再検索しない様にする(ステップ14)。
【0043】
次に、上述したメールアドレスを抽出する処理の流れについて説明する。
【0044】
図4は、図1に示した携帯端末1の電子メール作成時のメールアドレスを抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【0045】
検索する文字列が指定されたら、送受信メールデータ保存エリア61に保存されている送受信メールデータのタイムスタンプ情報を読み出し、最新のメールデータから表題となる件名を作業エリア66に格納する(ステップ21)。
【0046】
そして、検索を開始する前に、指定された文字列が初検索なのか再検索なのか判断する(ステップ22)。初検索の場合、ステップ21にて作業エリア66に格納したメールデータの表題となる件名の文字列に設定された検索文字列が含まれているかどうかを確認する(ステップ23)。
【0047】
検索後、送受信メールデータ保存エリア61に格納されているメールデータを全て確認したか判断する(ステップ24)。全てのメールデータが検索できていない場合、次に新しいタイムスタンプのメールデータから表題となる件名を作業エリア66に格納し(ステップ25)、全てのメールデータに対して検索が完了するまでステップ23からステップ25を繰り返す。
【0048】
一方、指定された文字列が再検索の文字列だった場合、送受信メールデータ保存エリア61から読み出したメールデータのタイムスタンプと、メール検索履歴エリア64に記憶されている同文字列の検索タイムスタンプを読み出す(ステップ26)。まだ検索していない新しいメールデータが存在しているかを判断し(ステップ27)、まだ検索していないメールデータが存在する場合、ステップ21にて作業エリア66に格納したメールデータの表題となる件名の文字列に検索文字列が含まれているかどうかを確認する(ステップ28)。
【0049】
検索後、次に新しいタイムスタンプのメールデータから表題となる件名を作業エリア66に格納し(ステップ29)、未検索のメールデータに対して検索が完了するまでステップ26からステップ29を繰り返す。
【0050】
次に、上述した文字列を抽出する処理の流れについて説明する。
【0051】
図5は、図1に示した携帯端末1の電子メール作成時の文字列を抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【0052】
検索する文字列と対象となるメールデータの表題である件名が作業エリア66に読み出されている状態で文字列の比較を行う(ステップ31)。
【0053】
そして、検索文字列が含まれている場合(ステップ32)、対象となったメールデータの宛先アドレスを読み出し(ステップ33)、その宛先アドレスが作業エリア66に抽出済みかどうかを確認する(ステップ34)。
【0054】
既に作業エリア66に抽出済みであった場合は何もせず(ステップ35)、一方、まだ作業エリア66に抽出していない場合は、読み出したメールアドレスを作業エリア66に保存する(ステップ36)。
【0055】
メールデータの宛先メールアドレスが複数ある場合は、ステップ33からステップ36の処理を繰り返し、全メールアドレスを抽出する。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態では、電子メール作成時に、ユーザーが検索する文字列を入力して宛先アドレスを抽出していたが、電子メールを送受信した際に、メモリ部60に現在記憶されている文字列で検索し、メモリ部60に記憶されていない宛先アドレスを自動で検索文字列と対応づけることにより、宛先アドレスのフォルダを常に最新の状態にすることができ、再検索する手間を省くことができる。
【0057】
図6は、図1に示した携帯端末1にて宛先アドレスと文字列との対応づけの処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0058】
まず、電子メールを送受信した状態かどうかを確認し(ステップ41)、電子メールの送受信をした状態である場合、送受信メールデータ保存エリア61から該当するメールデータの表題となる件名を作業エリア66に読み出す(ステップ42)。また、電子メールを送受信した状態でなければ、何もせずに本処理は終了する。
【0059】
そして、作業エリア66に抽出したメールデータの表題となる件名に、検索キーワード格納エリア62に格納されている文字列が含まれているかどうかを確認し(ステップ43)、該当する文字列が含まれていた場合、メールデータから宛先アドレスを抽出し、抽出した宛先アドレスと既存の文字列とを対応づけてメールアドレス抽出格納エリア63に格納する(ステップ44)。
【0060】
また、ステップ44にて宛先アドレスを格納したか、もしくは該当する文字列が含まれていなかった場合、検索キーワード格納エリア62に格納されている文字列を全て確認したかを確認し(ステップ45)、全て確認済みであれば処理を終了する。未確認の文字列があった場合、全ての文字列が確認されるまで、ステップ43からステップ45を繰り返す。
【符号の説明】
【0061】
1 携帯端末
10 制御部
11 CPU
12 制御プログラム
20 アンテナ
30 無線部
40 キー操作部
50 表示部
60 メモリ
61 送受信メールデータベース保存エリア
62 検索キーワード格納エリア
63 メールアドレス抽出格納エリア
64 メール検索履歴エリア
65 電話帳保存エリア
66 作業エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールの送受信機能を有する携帯端末において、
送受信した電子メールを保存する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された電子メールのうち、指定された文字列を含む表題を具備する電子メールを特定し、当該電子メールの宛先アドレスを抽出して表示する制御手段とを有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記制御手段は、前記指定された文字列と、該文字列によって抽出された宛先アドレスとを対応づけて前記記憶手段に保存する携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末において、
前記制御手段は、電子メールを送受信した後、前記記憶手段に記憶された文字列が当該電子メールの表題に含まれる場合、当該電子メールの宛先アドレスと当該文字列とを対応づけて前記記憶手段に保存する携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203531(P2012−203531A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65859(P2011−65859)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】