説明

携帯端末

【課題】多様なマスク表示機能を実現できる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、ディスプレイと、文字列を示す文字コード等を記憶している情報記憶部と、不可視化するマスク対象文字列を示す文字コード等を記憶している非表示情報記憶部と、ユーザの操作により表示面上を移動自在なマスクオブジェクト40を示す座標データを記憶している座標データ記憶部と、マスクオブジェクト40を表示させるとともに、表示面における各文字列の表示位置と座標データが示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、マスク対象文字列に合致する不可視化部分の表示位置がマスクオブジェクト40の表示領域内に存在するときは、その不可視化部分を表示させないで、それ以外の部分を表示させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク表示機能を有する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学生が教科書や参考書等の書籍に記載された文字列や図等(以下、文字列等という。)を暗記する場合に、暗記したい文字列等を赤色マーカーでマーキングした後、その書面の上に緑色の下敷きを重ねることにより、文字列等を黒く塗り潰された状態にすることが行われている。
これを電子ペーパについて応用したものとして、電子ペーパに表示される文字列等の中で予め登録した文字列等と一致する所定の文字列を不可視化して表示(マスク表示)する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−34047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の技術では、電子ペーパの表示面の全領域について所定の文字列をマスク表示するか、或いは、表示面の全領域でまったくマスク表示を行わないかのいずれかを選択できるにすぎず、表示面内に、所定の文字列についてマスク表示を行う領域と、まったくマスク表示を行わない領域とが同時に現れるようにすることができなかった。
【0005】
このように、所定の文字列についてマスク表示される領域とまったくマスク表示されない領域とが同時に現れるようにし、更に、マスク表示される領域を表示面内で移動させたりすることができれば、例えば、教科書コンテンツや単語帳コンテンツを表示面に表示させて、当該教科書コンテンツ等に含まれる所定の文字列(単語)を暗記する場合の暗記方法の多様性に、より柔軟に対応できる等のメリットがある。
【0006】
本発明の目的は、上記事由に鑑みてなされたものであり、多様なマスク表示機能を有する携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯端末は、ディスプレイと、文字および図形のいずれかを含む第1情報を記憶している第1記憶部と、第1情報のうち不可視化する不可視化部分の条件を示す第2情報を記憶している第2記憶部と、ディスプレイの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、ユーザの操作により表示面上を移動自在なマスクオブジェクトの表示領域を示す第3情報を記憶している第3記憶部と、マスクオブジェクトを表示させるとともに、表示面における第1情報の表示位置と第3情報が示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、第2情報が示す条件に合致する不可視化部分の表示位置がマスクオブジェクトの表示領域内に存在するときは、その不可視化部分を表示させないで、それ以外の部分を表示させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスク表示機能の利便性を向上させることができる携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る携帯端末の概略正面図である。
【図2】実施の形態1に係る携帯端末の概略構成図である。
【図3】実施の形態1に係る座標データを説明するための図である。
【図4】実施の形態1に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1に係る携帯端末のAUTOモードにおける動作説明図である。
【図7】実施の形態1に係る携帯端末の移動モードにおける動作説明図である。
【図8】実施の形態1に係る携帯端末のスポイトモードにおける動作説明図である。
【図9】実施の形態1に係る携帯端末のスポイトモードにおける動作説明図である。
【図10】実施の形態1に係る携帯端末の反転モードにおける動作説明図である。
【図11】実施の形態1に係る携帯端末のモード切替受付処理におけるフローチャートである。
【図12】実施の形態1に係る携帯端末のモード切替受付処理におけるフローチャートである。
【図13】実施の形態1に係る携帯端末の穴あき処理におけるフローチャートである。
【図14】実施の形態1に係る携帯端末の反転処理におけるフローチャートである。
【図15】実施の形態1に係る携帯端末の読上げ処理におけるフローチャートである。
【図16】実施の形態2に係る携帯端末の概略正面図である。
【図17】実施の形態2に係る携帯端末の概略構成図である。
【図18】実施の形態2に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態2に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図20】実施の形態2に係る携帯端末の穴あき処理におけるフローチャートである。
【図21】実施の形態2に係る携帯端末の反転処理におけるフローチャートである。
【図22】実施の形態2に係る携帯端末の動作説明図である。
【図23】実施の形態2に係る携帯端末の動作説明図である。
【図24】変形例に係る携帯端末の概略正面図である。
【図25】変形例に係る携帯端末の動作説明図である。
【図26】変形例に係る携帯端末の動作説明図である。
【図27】変形例に係る携帯端末の動作説明図である。
【図28】変形例に係る携帯端末の動作説明図である。
【図29】変形例に係る携帯端末の動作の穴あき処理におけるフローチャートである。
【図30】変形例に係る携帯端末の動作説明図である。
【図31】変形例に係る携帯端末の動作説明図である。
【図32】変形例に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。<実施の形態1>
<1>概要
本実施の形態に係る携帯端末1は、図1に示すように、タッチパネル20に、複数の文字列のうちユーザが予め指定した所定の文字列(図1の例では、文字列「UVW」と文字列「uvw」)と一致するものをマスクして表示する領域(以下、マスクオブジェクトと称す。)40を表示する機能を有する。
【0011】
このように、タッチパネル20内で、マスクオブジェクト40が一部に限られていることで、表示画面上に暗記したい文字列が表示されない領域と表示される領域とが一度に現れることとなり、ユーザは教科書コンテンツの暗記等に利用することができる。例えば、1行分マスクオブジェクト40をずらすことによって、暗記の対象となっている文字列を表示させ、当該暗記の対象となっている文字列を正しく暗記しているか否かを確認しながら、教科書コンテンツを読み進めていくといったことが可能となる。
【0012】
また、携帯端末1は、ユーザが所定の操作を行う等によりマスクオブジェクト40を移動させることができるモード(以下、移動モードと称す。)と、ユーザがタッチパネル20に表示されている文字列にタッチすると当該文字列の属性情報が表示され、マスクオブジェクト40にタッチするとマスクオブジェクト40に設定されているマスク情報が表示されるモード(以下、スポイトモードと称す。)と、タッチパネル20全体で所定の文字列をマスクして表示するモード(以下、全体モードと称す。)と、マスクオブジェクト40内において所定の文字列を表示し他の文字列を表示しない、いわゆる反転表示させるモード(以下、反転モードと称す。)とに切り替えることができる。そして、携帯端末1が移動モードにある場合には、携帯端末1を傾けるとその傾きに応じて自動的にマスクオブジェクト40が移動するモード(以下、AUTOモードと称す。)に切り替えることもできる。
<2>構成
本実施の形態に係る携帯端末1は、図2に示すように、基地局との間でアンテナ11を介して無線信号の送受信を行う通信処理部10と、タッチパネル20と、マイクロフォン62から入力される音声信号を変換して出力するとともに、入力される音声信号をスピーカ61から出力する処理を行う音声処理部60と、記憶部32と、携帯端末1の傾きを検知する加速度センサ50と、通信処理部10等を制御する制御部30とを備える。
【0013】
タッチパネル20は、ディスプレイ20aとタッチパッド20bとから構成される。ここで、ディスプレイ20aは、液晶ディスプレイにより構成され、制御部30から入力される画像データが示す画像を表示する。また、タッチパッド20bは、透明電極により構成され、ディスプレイ20aの前面に配置されている。そして、ユーザがタッチパッド20bに指等を接触させると、タッチパッド20bは、タッチパッド20b上における接触位置を示す座標データを含むPRESSメッセージを制御部30に入力する。
【0014】
通信処理部10は、基地局との間で無線信号の送受信を行うために信号の変調復調を行う。通信処理部10は、基地局から送信される信号を受信すると、復調して制御部30に入力する。また、通信処理部10は、外部に設けられデータを含む信号を送信する機能を有するサーバ(図示せず)から送信された後述のマスク対象文字列を含む信号を受信すると復調して制御部30に入力する。
【0015】
記憶部32は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリにより構成され、文字列を構成する各文字のコードや属性を識別する識別コード等から構成される情報(第1情報)を記憶する情報記憶部32aと、タッチパッド20bにおけるマスクオブジェクト40を特定するための位置座標を示す座標データ(第3情報)を記憶する座標データ記憶部32bと、ディスプレイ20aへの表示しない文字列を記憶する非表示情報記憶部32cと、画像データを記憶する画像データ記憶部32dと、プログラムを記憶するプログラム記憶部32eとを有する。また、記憶部32は、更に、各文字に対応する音声データを記憶する音声データ記憶部32fと、各種フラグの内容を記憶するフラグ記憶部32gを有する。
【0016】
この非表示情報記憶部32cは、例えば、字体が「ボールド体」で、色が「黒」で、文字サイズが「12pt」で、種類が英語である文字列「UVW」というように特定の属性を有する文字列に関する情報(第2情報)を記憶している。具体的には、書体(イタリック体、ゴシック体または明朝体等)、色、文字サイズ、種類等の各文字属性を識別する識別コードと、文字列を構成する各文字の文字コードが記憶されている。また、非表示情報記憶部32cは、文字属性を識別する識別するコードとして、例えば、下線や取り消し線が引かれているか否かを識別するためのコードも記憶している。そして、制御部30では、後述するように、この文字コードおよび識別コードに基づいて穴あき処理および反転処理を行うことになる。
【0017】
座標データ記憶部32bには、矩形状のマスクオブジェクト40を特定するための4点P1,P2,P3,P4の座標データが記憶されている。この座標データは、例えば、図3に示すように設定された座標系において、矩形状のマスクオブジェクト40の4つの頂点それぞれの座標P1(0,py1)、P2(0,py2)、P3(px,py2)およびP4(px,py1)を示す座標データが記憶されている。また、座標データ記憶部32bは、ディスプレイ20aに表示される文字それぞれを囲む矩形状の領域の4つの頂点の座標データも記憶している。
【0018】
また、音声データ記憶部32fには、単語やフレーズを読み上げるときの音声を示す音声データが記憶されている。この音声データとしては、例えば、英語や日本語の単語を読み上げるときの音声を示すものがある。また、音声データ記憶部32fには、音声のみならず、文字列を読み上げている際にBGMとしてスピーカ61から流す楽曲データも記憶されている。
【0019】
フラグ記憶部32gは、図1に示すように文字列の一部をマスクして表示するか否かを示す表示フラグF0と、移動モードにするか否かを示す移動モードフラグF1と、反転モードにする否かを示す反転モードフラグF2と、AUTOモードにするか否かを示すオートフラグF3と、全体モードにするか否かを示す全体モードフラグF4と、音声読み上げ処理を行うか否かを示す音声フラグF5とを記憶している。ここで、移動モードフラグF1、反転モードフラグF2、オートフラグF3および全体モードフラグF4は、「1」に設定されると、各モードに設定されることになる。また、表示フラグF0が「1」に設定されれば、図1に示すような文字列の一部をマスクして表示することとなり、音声フラグF5が「1」に設定されれば、音声読み上げ処理が行われることになる。
【0020】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)30aと主記憶部(メモリ)30bとから構成され、CPU30aがプログラム記憶部32eに記憶されているプログラムを主記憶部30bに読み込んで実行することにより、<3>で説明する各種処理を実行する。
<3>動作
<3−1>全体動作
本実施の形態に係る携帯端末1の動作を図4および図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0021】
図4および図5では、ディスプレイ20aに1つのマスクオブジェクト40が表示されている場合の動作を示している。ここにおいて、制御部30は、表示フラグF0が「1」に設定されているか否かを定期的に確認している。
そして、表示フラグF0が「1」に設定されていると判定されると、制御部30は、まず、反転モードフラグF2が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS1)。この表示フラグF0は、後述のモード切替受付処理において「表示」キーがタッチされることにより、「1」に設定される。
【0022】
ステップS1において、反転モードフラグF2が「1」に設定されていると判定されると(ステップS1:YES)、ステップ24の処理に移行する(図5参照)。
一方、ステップS1において、反転モードフラグF2が「1」に設定されていないと判定すると(ステップS1:NO)、制御部30は、穴あき処理を行う(ステップS2)。この穴あき処理では、図1に示すように、所定の文字列(図1の例では「UVW」および「uvw」)がマスクされた画像を示す画像データを生成する。この穴あき処理の内容については、<3−3>で詳細に説明する。
【0023】
そして、制御部30は、穴あき処理により生成された画像データが示す画像をディスプレイ20aに表示する(ステップS3)。図1はその一例である。図1の例では、マスクオブジェクト40内で、文字列「UVW」および「uvw」が表示されない(図1の左斜線部分は表示されていない文字列を示す。)。
次に、制御部30は、オートフラグF3の内容を確認する(ステップS4)。
【0024】
ステップS4において、オートフラグF3が「1」に設定されていると判定されると(ステップS4:YES)、制御部30は、加速度センサ50からの入力信号に基づいて携帯端末1の傾きを検知し(ステップS13)、検知された傾きに応じてマスクオブジェクトを移動する位置を特定し(ステップS14)、特定された位置にマスクオブジェクトの位置を変更する(ステップS12)。その後、再び、ステップS1の処理に移行する。図6に一例を示す。図6に示す例では、携帯端末1は、アルファベットからなる文字列の並び方向に直交する方向における終りに近い側(以下、ディスプレイ下側と称す。)がより地面に近くなる形で配置されている。この携帯端末1の配置は、加速度センサ50からの入力信号に基づいて検知される。この場合、制御部30は、図6に示すように、マスクオブジェクト40が所定の速度でディスプレイ下側に向かってスライドするように移動させていく。このとき、制御部30は、図4におけるステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS13→ステップS14→ステップS12→ステップS1の処理を繰り返すことになる。この繰り返し周期は、例えば、1s程度に設定される。そして、マスクオブジェクト40がディスプレイ20aに表示されなくなるまでスライドしたところで、AUTOフラグF3は強制的に「0」に設定される。
【0025】
一方、ステップS4において、オートフラグF3が「1」に設定されていないと判定されると(図4のステップS4:NO)、制御部30は、タッチパッド20bからPRESSメッセージの入力(以下、タッチパッド入力と称す。)があるか否かを確認する(図4のステップS5)。ここでは、制御部30は、一定周期毎に各周期でPRESSメッセージが制御部30に入力された履歴が存在するか否かを確認し、PRESSメッセージが入力された履歴が存在するとタッチパッド入力があると判定することになる。
【0026】
ステップS5において、タッチパッド入力がない(つまり、PRESSメッセージの入力履歴が存在しない)と判定されると(ステップS5:NO)、制御部30は、再び、ステップS1に移行する。
一方、ステップS5において、タッチパッド入力がある(つまり、PRESSメッセージの入力履歴が存在する)と判定されると(ステップS5:YES)、制御部30は、タッチパッド20bにおけるタッチされている位置を示す座標データを取得する(ステップS6)。ここで、制御部30は、座標データをダッチパッド部20bから入力されたPRESSメッセージから取得する。
【0027】
次に、制御部30は、移動モードフラグF1が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS7)。
ステップS7において、移動モードフラグF1が「1」に設定されていると判定されると(ステップS7:YES)、制御部30は、タッチされている座標データに基づいてタッチされている位置がマスクオブジェクト40内か否かを確認する(ステップS8)。ここでは、制御部30は、取得した座標データと矩形状のマスクオブジェクト40の4つの頂点P1,P2,P3およびP4それぞれの座標を示す座標データとに基づいて、タッチされている一がマスクオブジェクト40内か否かを判定する。
【0028】
ステップS8において、タッチされている位置がマスクオブジェクト40外と判定されると(ステップS8:NO)、制御部30は、再び、穴あき処理を行う(ステップS1)。このとき、マスクオブジェクト40は移動せず、現状の表示状態が維持される。
一方、ステップS8において、タッチされている位置がマスクオブジェクト40内と判定されると(ステップS8:YES)、制御部30は、所定時間経過するのを待った後(ステップS9)に再びタッチされている位置がマスクオブジェクト40内か否かを判定する(ステップS10)。この所定時間としては、例えば、1/60sec程度に設定すればよい。
【0029】
ステップS10において、タッチされている位置がマスクオブジェクト40外と判定されると(ステップS10:NO)、再び、ステップS1に移行する。このとき、マスクオブジェクト40は、移動せず、現状の表示状態が維持される。
一方、ステップS10において、タッチされている位置がマスクオブジェクト40内と判定されると(ステップS10:YES)、制御部30は、タッチされている位置の座標データを取得し(ステップS11)、前に取得した座標データが示す位置から現在タッチされている位置までの変位量および変位方向に応じて、マスクオブジェクト40の位置(オブジェクト位置)を変更する(ステップS12)。
【0030】
そして、制御部30は、再び、穴あき処理を行う(図4のステップS1)。
結局、移動モードフラグF1が「1」に設定されている状態において、ステップS1乃至ステップS12の処理が繰り返されることで、図7に示すように、タッチ位置がスライドするに伴って、ディスプレイ20bに表示されるマスクオブジェクト40がスライドしていくことになる。
【0031】
また、ステップS7において、移動モードフラグF1が「1」に設定されていない(スポイトモードに設定されている)と判定されると(ステップS7:NO)、制御部30は、取得した座標データに基づいて、タッチされている位置がマスクオブジェクト40内であるか否かを確認する(ステップS15)。
ステップS15において、タッチされている位置がマスクオブジェクト40内でないと判定されると(ステップS15:NO)、続いて、制御部30は、タッチされている位置が文字列を構成する各文字それぞれを囲む矩形状の領域のいずれかに含まれるか否か、即ち、タッチされている位置が文字列それぞれを囲む矩形状の領域内の座標(説明の便宜上、「文字列の座標」という。)と一致するか否かを確認する(ステップS16)。
【0032】
ステップS16において、タッチされている位置が矩形状の領域のいずれにも含まれない(文字列の座標と一致しない)と判定されると(ステップS16:NO)、そのまま、ステップS1の処理に移行する。
一方、ステップS16において、タッチされている位置が矩形状の領域のいずれかに含まれる(文字列の座標と一致する)と判定されると(ステップS16:YES)、制御部30は、まず穴あき処理を行って画像データを生成し(ステップS17)、続いて、文字列の属性を示す属性表示画像を生成して、穴あき処理により生成した画像データと属性表示画像とを合成する(ステップS18)。この文字列の属性を示す属性表示画像は、情報記憶部32aからタッチされている位置にある文字列に対応する属性情報を取得して生成する。その後、制御部30は、合成して得られた画像をディスプレイ20aに表示し(ステップS19)、ステップS23の処理に移行する。
【0033】
図8に穴あき処理により生成した画像データと属性表示画像とを合成して得られる画像の一例を示す。図8に示す例では、文字列「EFG」の属性が「ボールド体」であり、文字の色が「黒」であり、文字サイズが「12pt」であり、種類が「日本語」であることを示す吹き出し画像(属性表示画像)と、穴あき処理により生成された画像とが合成されている。
【0034】
また、ステップS15において、タッチされている位置がマスクオブジェクト40内であると判定されると(ステップS15:YES)、制御部30は、まず穴あき処理で画像データを生成し(ステップS20)、続いて、マスクオブジェクトの設定情報を表示するマスク情報表示画像を生成して、穴あき処理により生成した画像データとマスク情報表示画像とを合成する(ステップS21)。このマスク情報表示画像は、非表示情報記憶部32cからマスク表示する対象となる文字列についての情報を取得して生成する。その後、制御部30は、合成して得られた画像をディスプレイ20aに表示し(ステップS22)、ステップS23に移行する。
【0035】
図9に穴あき処理により生成した画像データとマスク情報表示画像とを合成して得られる画像の一例を示す。図9に示す例では、マスク情報が文字列「UVW」および「uvw」を非表示にすることを示す吹き出し画像(マスク情報表示画像)と穴あき処理により生成された画像とが合成されている。
そして、ステップS23では、制御部30が、タッチパッド入力状態が継続しているか否かを確認する(ステップS23)。ここでは、制御部30は、PRESSメッセージの入力有無を検知することにより、タッチパッド入力状態が継続しているか否かを確認する。
【0036】
ステップS23において、タッチパッド入力状態が継続していると判定されると(ステップS23:YES)、制御部30は、再び座標データを取得する(ステップS3)。このとき、制御部30が、図4におけるステップS6→ステップS7→ステップS15→ステップ16→ステップS17→ステップS18→ステップS19→ステップS23→ステップS6の処理を繰り返すことにより図8に示すような画像を表示し続けることになる。一方、制御部30が、図4におけるステップS6→ステップS7→ステップS15→ステップ20→ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS6の処理を繰り返すことにより図9に示すような画像を表示し続けることになる。この繰り返し周期は、例えば、1s程度に設定される。
【0037】
一方、ステップS23において、タッチパッド入力状態が継続していないと判定されると(ステップS23:NO)、ステップS1の処理に移行する。
結局、スポイトモードに設定されている場合は、マスクオブジェクト40の位置が固定された状態であり、ユーザがタッチした位置に応じて文字列の属性やマスクオブジェクト40の設定情報が表示される。そして、ユーザが文字列等をタッチしている限り属性等が表示され、ユーザがタッチしなくなると同時に属性等の表示が消えるようになっている。
【0038】
また、ステップS1において、反転モードフラグF2が「1」に設定されていると判定されると(ステップS1:YES)、制御部30は、反転処理を行う(ステップS24)。この反転処理の内容については、<3−4>で詳細に述べる。
そして、制御部30は、穴あき処理により生成された画像データが示す画像をディスプレイ20aに表示する(ステップS25)。図10はその一例である。図10の例では、マスクオブジェクトにおけるマスク対象文字列として、文字列「UVW」および「uvw」が設定されている。そして、マスクオブジェクト40内における文字列「UVW」および「uvw」以外の文字列が表示されず、文字列「UVW」および「uvw」のみが表示されている。
【0039】
次に、制御部30は、オートフラグF3が「1」に設定されているか否か確認する(ステップS26)。
ステップS26において、オートフラグF3が「1」に設定されていると判定されると(ステップS26:NO)、制御部30は、ステップS35以下の処理を行う。このステップS35およびステップS36の処理は、図4のステップS13およびステップS14の処理と同様なので説明を省略する。
【0040】
一方、ステップS26において、オートフラグF3が「1」に設定されていないと判定されると(ステップS26:YES)、制御部30は、タッチパッド20bがタッチパッド入力の有無を確認する(ステップS27)。
ステップS26において、タッチパッド入力がないと判定されると(ステップS27:NO)、制御部30は、再び、ステップS1の処理に移行する(図4参照)。
【0041】
一方、ステップS27において、タッチパッド入力があると判定されると(ステップS27:YES)、制御部30は、ステップS28以降の処理を行う。なお、ステップS28乃至ステップS45の処理は、ステップS39およびステップS42において反転処理を行う点以外はステップS6乃至ステップS23の処理(図4参照)と同様なので説明を省略する。
<3−2>モード切替受付処理
携帯端末1が待ち受け状態にある場合、或いは図4および図5のフローチャートに従って処理を行っている場合のいずれかに関わらず、制御部30は、一定の周期(1sec以上の周期)で、タッチパッド20b上における「移動」キー、「反転」キー、「全体]キーまたは「表示」キーのいずれかが指等でタッチされたか否かを監視しており、いずれかがタッチされると割込みを発生して制御部30が図11および図12のフローチャートに示すモード切替受付処理を実行する。
【0042】
まず、制御部30は、ユーザがタッチパッド20bに指等でタッチすると、割込みを発生するとともにタッチパッド20bからタッチされた位置を示す座標データを取得して(ステップS201)、当該座標データに対応するキーの種類を特定する(ステップS202)。ここでは、制御部30が、画像記憶部32dに記憶された画像データそれぞれについて予め定めてある配置と対応づけて予め記憶している複数種類のキー情報から座標データに対応するキー(以下、「対象キー」と称す。)の種類を特定する。
【0043】
そして、制御部30は、対象キーが「移動」キーであるか否かを確認する(ステップS203)。
ステップS203において、対象キーが「移動」キーであると判定されると(ステップS203:YES)、制御部30は、移動モードフラグF1が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS204)。
【0044】
ステップS204において、移動モードフラグF1が「1」に設定されていると判定されると(ステップS204:YES)、制御部30は、移動モードフラグF1を「0」に設定した後に(ステップS207)、ディスプレイ20aに表示されている「AUTO」キーを非表示とし(ステップS208)、モード切替受付処理を終了する。また、ステップS208では、制御部30は、「AUTO」キーを非表示とすると同時に、オートフラグF3を「0」に設定して、タッチパッド20bにおける「AUTO」キーが表示されていた位置へのタッチ操作が無効となり、ステップS202において、「AUTO」キーが特定されないようになる。
【0045】
一方、ステップS204において、移動モードフラグF1が「1」に設定されていないと判定すると(ステップS204:NO)、制御部30は、移動モードフラグF1を「1」に設定した後に(ステップS205)、ディスプレイ20bに「AUTO」キーを表示して(ステップS206)、モード切替受付処理を終了する。また、ステップS206では、制御部30は、「AUTO」キーを表示すると同時に、タッチパッド20bにおける「AUTO」キーが表示される位置へのタッチ操作が有効となり、ステップS202において、「AUTO」キーが特定されるようになる。
【0046】
一方、ステップS203において、「移動」キーでないと判定されると(図11のステップS203:NO)、制御部30は、次に、対象キーが「反転」キーであるか否かを確認する(ステップS209)。
ステップS209において、対象キーが「反転」キーであると判定されると(ステップS209:YES)、制御部30は、反転モードフラグF2が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS210)。
【0047】
ステップS210において、反転モードフラグF2が「1」に設定されていると判定されると(ステップS210:YES)、制御部30は、移動モードフラグF1を「0」に設定した後に(ステップS212)モード切替受付処理を終了する。
一方、ステップS210において、反転モードフラグF2が「1」に設定されていないと判定すると(ステップS210:NO)、制御部30は、反転モードフラグF2を「1」に設定した後に(ステップS211)モード切替受付処理を終了する。
【0048】
また、ステップS209において、対象キーが「反転」キーでないと判定されると(ステップS209:NO)、制御部30は、続いて、対象キーが「AUTO」キーであるか否かを確認する(ステップS213)。
ステップS213において、対象キーが「AUTO」キーであると判定されると(ステップS213:YES)、制御部30は、オートフラグF3が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS214)。
【0049】
ステップS214において、オートフラグF3が「1」に設定されていると判定されると(ステップS214:YES)、制御部30は、オートフラグF3を「0」に設定した後に(ステップS216)、モード切替受付処理を終了する。
一方、ステップS214において、オートフラグF3が「1」に設定されていないと判定すると(ステップS214:NO)、制御部30は、オートフラグF3を「1」に設定した後に(ステップS215)、モード切替受付処理を終了する。
【0050】
また、ステップS213において、「AUTO」キーでないと判定されると(ステップS213:NO)、制御部30は、次に、対象キーが「全体」キーであるか否かを確認する(ステップS217)。
ステップS217において、対象キーが「全体」キーであると判定されると(ステップS217:YES)、制御部30は、全体モードフラグF4が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS218)。
【0051】
ステップS218において、全体モードフラグF4が「1」に設定されていると判定されると(ステップS218:YES)、制御部30は、全体モードフラグF4を「0」に設定した後に(ステップS220)、モード切替受付処理を終了する。
一方、ステップS218において、全体モードフラグF4が「1」に設定されていないと判定すると(ステップS218:NO)、制御部30は、全体モードフラグF4を「1」に設定した後に(ステップS219)、モード切替受付処理を終了する。
【0052】
また、ステップS217において、対象キーが「全体」キーでないと判定されると(ステップS217:NO)、制御部30は、続いて、対象キーが「表示」キーであるか否かを確認する(ステップS221)。
ステップS221において、対象キーが「表示」キーであると判定されると(ステップS221:YES)、制御部30は、表示フラグF0が「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS222)。
【0053】
ステップS222において、表示フラグF0が「1」に設定されていると判定されると(ステップS222:YES)、制御部30は、表示フラグF0を「0」に設定した後に(ステップS224)、モード切替受付処理を終了する。
一方、ステップS222において、表示フラグF0が「1」に設定されていないと判定すると(ステップS222:NO)、制御部30は、表示フラグF3を「1」に設定した後に(ステップS223)、モード切替受付処理を終了する。
【0054】
また、ステップS221において、対象キーが「表示」キーでないと判定されると(図12のステップS221:NO)、制御部30は、続いて、対象キーが「音声」キーであるか否かを確認する(ステップS225)。
ステップS225において、対象キーが「音声」キーであると判定されると(ステップS225:YES)、制御部30は、音声フラグF5を「1」に設定した後に(ステップS226)、モード切替受付処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS225において、対象キーが「音声」キーでないと判定されると(ステップS225:NO)、そのままモード切替受付処理を終了する。
<3−3>穴あき処理、反転処理
本実施の形態に係る携帯端末1の穴あき処理の内容を図13に示すフローチャートに従って詳細に説明する。以下、非表示情報記憶部32cに記憶されている文字コードおよび属性を示すコードで特定される文字列をマスク対象文字列として説明する。
【0056】
まず、制御部30は、情報記憶部32aからディスプレイ20aに一度に表示される文字列を取得する(ステップS51)。情報記憶部32aには、コンテンツに含まれる情報が全て記憶されており、その中からディスプレイ20aに一度に表示できる文字列を選出する。ここでは、制御部30が、ディスプレイ20aに一度に表示できる文字数を管理しており、当該文字数を超えない範囲で文字列を選出することになる。
【0057】
次に、制御部30は、取得した情報について構文解析を行い、構文の境界位置を特定する(ステップS52)。これにより、選出した文字列を、意味のある文字列単位に区分する。ここで、構文解析は、例えば、語彙機能文法を用いて行う。
そして、制御部30は、ディスプレイ20aに表示される各文字列について先頭から順番にマスクオブジェクト40の座標と比較していく。以下、このマスクオブジェクト40の座標との比較対象となる文字列を対象文字列と称して説明する。
【0058】
制御部30は、座標データ記憶部32bに記憶されている対象文字列を構成する各文字を囲む矩形状の領域を示す座標を特定し(ステップS53)、対象文字列を構成する文字に対応する矩形状の領域を示す座標(説明の便宜上、対象文字列の座標と称す。)とマスクオブジェクト40の座標とを比較する(ステップS54)。ここでは、制御部30は、対象文字列を構成する各文字を囲む矩形状の領域の座標を示す座標データと、矩形状のマスクオブジェクト40の4つの頂点P1,P2,P3およびP4それぞれの座標を示す座標データとを取得する。そして、制御部30は、対象文字列の座標データと4つの頂点P1,P2,P3およびP4の座標データとに基づいて、対象文字列の座標が示す対象文字列の表示位置がマスクオブジェクト40内にあるか否かを判定する。そして、対象文字列の表示位置がマスクオブジェクト40内になければ(ステップS55:NO)、そのままステップS59に移行する。一方、対象文字列の表示位置がマスクオブジェクト40内にあるときは(ステップS55:YES)、対象文字列とマスク対象文字列とを比較し(ステップS56)、文字列がマスク対象文字列のいずれかと一致するときは(ステップS57:YES)、文字列を空白文字列に置き換え(ステップS58)、対象文字列を次の文字列に変更する(ステップS59)。つまり、対象文字列が全てマスクオブジェクト40内にあるときに限り、マスクされ、一部でもマスクオブジェクトの外側にある場合には、対象文字列の全てが表示されることになる。ここで、対象文字列とマスク対象文字列との比較は、情報記憶部32aに記憶されている対象文字列の文字コードおよび属性を示す各コードが、非表示情報記憶部32cに記憶されているマスク対象文字列の文字コードおよび属性を示す各コードと一致するか否かを判断することにより行われる。
【0059】
次に、制御部30は、ディスプレイ20aに表示される文字列の終りであるか否かを確認する(ステップS60)。この終りであるか否かの確認は、対象文字列が存在するか否か(つまり、次の文字列が存在するか否か)を確認することにより行う。ステップS60において、終りでないと判定されると(ステップS60:NO)、再び、対象文字列の座標を特定する(ステップS53)。
【0060】
一方、終りと判定されると(ステップS60:YES)、制御部30は、画像データを生成して(ステップS61)穴あき処理を終了する。
次に、本実施の形態に係る携帯端末1の反転処理の内容を図14に示すフローチャートに従って説明する。
反転処理は、図13に示す穴あき処理と略同様であり、図14に示すように、ステップS657において、マスク対象文字列と不一致であるか否かを確認する点のみが相違する。なお、ステップS651乃至ステップS656並びにステップS658乃至ステップS661の処理は、図13に示すステップS51乃至ステップS56並びにステップS58乃至ステップS61と同様なので説明を省略する。
<3−4>全体表示処理
制御部30は、全体モードフラグF4が「1」に設定されているか否かを定期的(例えば、500msec毎)に確認している。そして、全体モードフラグF4が「1」に設定されていると判定されると、制御部30は、強制的にマスクオブジェクト40がディスプレイ20a全体に一致するように設定する。このとき、「移動」キーおよび「AUTO」キーへの入力操作は、無効となるように設定される。
<3−5>音声読み上げ処理
制御部30は、音声フラグF5が「1」に設定されているか否かを定期的(例えば、500msec毎)に確認している。そして、音声フラグF5が「1」に設定されていると判定されると、制御部30は、音声読み上げ処理を行う。
【0061】
以下、音声読み上げ処理の内容を図15に示すフローチャートに従って詳細に説明する。
まず、制御部30は、情報記憶部32aからディスプレイ20aに一度に表示される情報を取得する(ステップS301)。
次に、制御部30は、取得した情報について構文解析を行い、文字列の区切り位置を特定する(ステップS302)。
【0062】
そして、制御部30は、ディスプレイ20aに表示される各文字列について先頭から順番にマスクオブジェクト40の座標と比較していく。このマスクオブジェクト40の座標との比較対象となる文字列を以下対象文字列と称する。
制御部30は、対象文字列の座標を特定し(ステップS303)、対象文字列の座標とマスクオブジェクトの座標とを比較する(ステップS304)。そして、対象文字列の座標がマスクオブジェクト内になければ(ステップS305:NO)、対象文字列の読み上げ音声を出力した後(ステップS309)、ステップS310に移行する。つまり、制御部30は、文字列単位で音声辞書を参照して音声読み上げを行う。
【0063】
一方、対象文字列の座標がマスクオブジェクト内にあるときは(ステップS305:YES)、制御部30は、対象文字列とマスク対象文字列とを比較し(ステップS306)、対象文字列がマスク対象文字列のいずれかと一致するときは(ステップS307:YES)、対象文字列を構成する文字の文字数を算出し、予め設定された1文字を読み上げる時間(以下、単位時間と称す。)と文字数との積に相当する時間、音声を出力せずに待機してから(ステップS308)、ステップS310に移行する。
【0064】
一方、ステップS307において、対象文字列がマスク対象文字列のいずれとも一致しない場合は(ステップS307:NO)、制御部30は、対象文字列の読み上げ音声を出力した後(ステップS309)、ステップS310に移行する。
そして、ステップS310では、制御部30が、対象文字列を次の文字列に変更し、続いて、終りか否かを判断する(ステップS311)。この終りであるか否かの確認は、前述と同様に、対象文字列が存在するか否かを確認することにより行う。
【0065】
ステップS311において、終りでないと判定されると(ステップS311:NO)、再び、ステップS303に移行する。
一方、ステップS311において、終りであると判定されると(ステップS311:YES)、制御部30は、音声フラグF5を強制的に「0」に設定して(ステップS312)、音声読み上げ処理を終了する。
<3−6>マスク対象文字列に関する情報の取得動作
携帯端末1は、外部サーバ(図示せず)から送信されるマスク対象文字列に関する情報を取得し、取得した情報を非表示情報記憶部32cに格納する動作を行うことができる。この外部サーバは、例えば、マスク対象文字列に関する情報のみならず外部サーバや情報の内容を識別するための識別情報を記憶する記憶装置(図示せず)と、各情報を送信するための送信装置(図示せず)とを備えたものが用いられる。以下では、この外部サーバから送信されるマスク対象文字列に関する情報を携帯端末1が取得する例について説明する。
【0066】
まず、外部サーバでは、記憶装置に格納されたマスク対象文字列に関する情報と、外部サーバおよび送信する情報の内容を識別するための識別情報とが送信装置に入力される。
次に、送信装置は、マスク対象文字列に関する情報と、識別情報を含むヘッダ情報とから構成される情報に対応する信号を生成して携帯端末1に向けて送信する。
一方、携帯端末1は、外部サーバから送信された信号を受信すると、通信処理部10が復調処理を行い、得られた情報を制御部30に入力する。
【0067】
そして、制御部30は、通信処理部10から入力される情報の中からマスク対象文字列に関する情報を抽出して、非表示情報記憶部30cに書き込む。
<実施の形態2>
<1>概要
本実施の形態に係る携帯端末1は、図16に示すように、ディスプレイ20a上に表示された複数の文字列のうち、ユーザの指定した2つの領域40,41(以下、第1マスクオブジェクト40と、第2マスクオブジェクト41と称す。)内において、各領域についてユーザが予め指定した所定の文字列(図16の例では、第1マスクオブジェクト40は、文字列「UVW」と文字列「uvw」、第2マスクオブジェクト41は、文字列「CDE」と文字列「cde」)については表示しないようにする。また、第1マスクオブジェクト40と第2マスクオブジェクト41とが重なる領域では、各マスクオブジェクトについてマスク対象文字列として登録されている情報のいずれもが表示されない。
<2>構成
本実施の形態に係る携帯端末1の構成は、実施の形態1に係る携帯端末1の構成と略同様であり、図17に示すように、記憶部32に第1非表示情報記憶部32c1と第2非表示情報記憶部32c2とが設けられている点が相違する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
<3>動作
<3−1>全体動作
本実施の形態に係る携帯端末1の全体動作は、実施の形態1に係る携帯端末1の動作と略同様であり、図4におけるステップS7からステップS23に至る処理および図5におけるステップS28からステップS44に至るまでの処理、並びに、穴あき処理および反転処理の内容が相違する。以下、実施の形態1と同様の処理については適宜説明を省略する。
【0068】
図18に、本実施の形態に係るステップS7からステップS23に至るフローチャートを示し、図19に、本実施の形態に係るステップS28からステップS44に至る処理のフローチャートを示す。
次に、実施の形態2に係る携帯端末1のステップS7の処理からステップS23の処理に至るまでの動作について図18に示すフローチャートに従って説明する。なお、ステップS5乃至ステップS7の処理については実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0069】
ステップS7(図3参照)において、移動モードフラグF1が「1」に設定されていないと判定されると(ステップS7:NO)、制御部30は、対象文字列が第1マスクオブジェクト40内にあるか否かを確認する(ステップS401)。
ステップS401において、対象文字列が第1マスクオブジェクト40内に存在しないと判定されると(ステップS401:NO)、制御部30は、対象文字列が第2マスクオブジェクト41内にあるか否かを確認する(ステップS402)。
【0070】
ステップS402において、対象文字列が第2マスクオブジェクト41内に存在しないと判定されると(ステップS402:NO)、ステップS403乃至ステップS406の処理に移行する。このステップS403乃至ステップS406の処理は、図3のステップS16乃至ステップS19の処理と同様なので説明を省略する。
一方、ステップS402において、対象文字列が第2マスクオブジェクト41内に存在すると判定されると(ステップS402:YES)、制御部30は、穴あき処理(ステップS407)、第2マスク情報を示す表示画像を生成して穴あき処理で生成した画像データと合成する処理(第2マスク情報表示画像合成)(ステップS408)を行い、続いて、得られた画像をディスプレイ20aに表示し(ステップS409)、ステップS23の処理に移行する。
【0071】
図22に一例を示す。図22に示す例では、第2マスク情報が文字列「CDE」および「cde」を非表示にすることを示す吹き出し画像(第2マスク情報表示画像)と穴あき処理により生成された画像とが合成されている。
また、ステップS401において、対象文字列が第1マスクオブジェクト40内に存在すると判定されると(ステップS401:YES)、制御部30は、対象文字列が第2マスクオブジェクト41内にあるか否かを確認する(ステップS410)。
【0072】
ステップS410において、対象文字列が第2マスクオブジェクト41内に存在しないと判定されると(ステップS410:NO)、制御部30は、穴あき処理(ステップS411)、第1マスク情報の表示画像を生成して穴あき処理で生成した画像データと合成する処理(第1マスク情報表示画像合成)(ステップS412)を行い、続いて、得られた画像をディスプレイ20aに表示し(ステップS413)、ステップS23の処理に移行する。
【0073】
一方、ステップS410において、対象文字列が第2マスクオブジェクト41内に存在すると判定されると(ステップS410:YES)、制御部30は、穴あき処理(ステップS414)、第1領域および第2マスク情報表示画像合成処理(ステップS415)を行い、続いて、得られた画像をディスプレイ20aに表示し(ステップS416)、ステップS23の処理に移行する。
【0074】
図23に一例を示す。図23に示す例では、第1マスク情報が文字列「UVW」および「uvw」であり、第2マスク情報が文字列「CDE」および「cde」である。そして、文字列「UVW」、[uvw」、「CDE」および「cde」を非表示にすることを示す吹き出し画像(第1マスク情報および第2マスク情報表示画像)と穴あき処理により生成された画像とが合成されている。
【0075】
なお、実施の形態2に係る携帯端末1のステップS28の処理からステップS44の処理に至るまでの動作は、図19に示すように、図18に示すフローチャートと略同様であり、ステップS504、S507、S511およびS514で反転処理を行う点のみが相違する。なお、ステップS504,S507,S511およびS514を除く、ステップS501乃至ステップS516の処理については、図18に示す処理内容と同様なので説明を省略する。
<3−2>穴あき処理、反転処理
本実施の形態に係る携帯端末1の穴あき処理の内容を図20に示すフローチャートに従って詳細に説明する。以下、第1非表示情報記憶部32c1に記憶されている文字コードおよび属性を示すコードで特定される文字列を第1マスク対象文字列、第2非表示情報記憶部32c2に記憶されている文字コードおよび属性を示すコードで特定される文字列を第2マスク対象文字列として説明する。
【0076】
まず、制御部30は、情報記憶部32aからディスプレイ20aに一度に表示される情報を取得する(ステップS151)。
次に、制御部30は、取得した情報について構文解析を行い、文字列の区切りを特定する(ステップS152)。
そして、制御部30は、ディスプレイ20aに表示される各文字列について先頭から順番に第1マスクオブジェクト40内の座標並びに第2マスクオブジェクト41内の座標と比較していく。この第1マスクオブジェクト40の座標並びに第2マスクオブジェクト41の座標との比較対象となる文字列を以下対象文字列と称する。
【0077】
制御部30は、座標データ記憶部32bに記憶されている対象文字列を構成する各文字を囲む矩形状の領域を示す座標を特定し(ステップS153)、対象文字列を構成する文字に対応する矩形状の領域を示す座標(説明の便宜上、対象文字列の座標と称す。)と第1マスクオブジェクト40の各座標とを比較する(ステップS154)。ここでは、制御部30は、対象文字列を構成する各文字を囲む矩形状の領域の座標を示す座標データと、矩形状の第1マスクオブジェクト40の4つの頂点それぞれの座標を示す座標データとを取得する。そして、制御部30は、対象文字列の座標データと第1マスクオブジェクトの4つの頂点の座標データとに基づいて、対象文字列の座標が示す対象文字列の表示位置がマスクオブジェクト40内にあるか否かを判定する。対象文字列の表示位置が第1マスクオブジェクト40内になければ(ステップS155:NO)、そのままステップS159に移行する。
【0078】
一方、対象文字列の表示位置が第1マスクオブジェクト40内にあるときは(ステップS155:YES)、対象文字列と第1マスク対象文字列とを比較し(ステップS156)、対象文字列が第1マスク対象文字列のいずれかと一致するときは(ステップS157:YES)、対象文字列を空白文字列に置き換え(ステップS158)。ここにおいて、対象文字列とマスク対象文字列との比較は、実施の形態1と同様に、情報記憶部32aに記憶されている対象文字列の文字コードおよび属性を示す各コードが、非表示情報記憶部32cに記憶されているマスク対象文字列の文字コードおよび属性を示す各コードと一致するか否かを判断することにより行われる。
【0079】
続いて、制御部30は、対象文字列の表示位置が第2マスクオブジェクト41内に存在するか否かを確認する(ステップS159)。ここでは、制御部30は、対象文字列を構成する各文字を囲む矩形状の領域の座標を示す座標データと、矩形状の第2マスクオブジェクト40の4つの頂点それぞれの座標を示す座標データとを取得する。そして、制御部30は、対象文字列の座標データと第2マスクオブジェクトの4つの頂点の座標データとに基づいて、対象文字列の座標が示す対象文字列の表示位置がマスクオブジェクト40内にあるか否かを判定する。
【0080】
ステップS159において、対象文字列の表示位置が第2マスクオブジェクト41内になければ(ステップS159:NO)、対象文字列を次の文字列に変更する(ステップS163)。
一方、対象文字列の表示位置が第2マスクオブジェクト41内にあるときは(ステップS159:YES)、対象文字列と第2マスク対象文字列とを比較し(ステップS160)、文字列が第2マスク対象文字列のいずれかと一致するときは(ステップS161:YES)、文字列を空白文字列に置き換える(ステップS162)。なお、この第2マスク対象文字列の中には空白文字列が含まれている。
【0081】
次に、制御部30は、対象文字列を次の文字列に変更する(ステップS163)。
そして、制御部30は、終りであるか否かを確認する(ステップS164)。この終りであるか否かの確認は、前述と同様に、対象文字列が存在するか否かを確認することにより行う。
ステップS164において、終りでないと判定されると(ステップS164:NO)、再び、対象文字列の座標を特定する(ステップS153)。
【0082】
一方、ステップS164において、終りであると判定されると(ステップS164:YES)、制御部30は、画像データを生成して(ステップS165)穴あき処理を終了する。
次に、本実施の形態に係る携帯端末1の反転処理の内容を図20に示すフローチャートに従って説明する。
【0083】
反転処理は、図20に示す穴あき処理と略同様であり、図21に示すように、ステップS256において、対象文字列と第1マスク対象文字列および第2マスク対象文字列とを比較し、ステップS257およびステップS261において、マスク対象文字列と不一致であるか否かを確認する点のみが相違する(図21中の一点鎖線で囲んだ部分)。なお、ステップS251乃至ステップS255、ステップS258乃至ステップS260並びにステップS262乃至ステップS265の処理は、図20に示すステップS151乃至ステップS156、ステップS158乃至ステップS160並びにステップS162乃至ステップS165と同様なので説明を省略する。
【0084】
<変形例>
(1)前述の実施の形態1および2では、マスクオブジェクト40をディスプレイ20a内で移動させる場合には、「移動」キーをタッチして移動モードに設定する例について記載したが、これに限定されるものではない。例えば、マスクオブジェクト40内の任意の部分を一定の時間内で2回連続でタッチすることで移動モードに設定されるものであってもよい。
【0085】
(2)前述の実施の形態2では、制御部30が2つのマスクオブジェクトをディスプレイ20aに表示させる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図23に示すように、3つ以上の領域(図24のマスクオブジェクト141、142、143)をディスプレイ20aに表示させるようにしてもよい。この場合、例えば、図23に示すように、「領域数」キーを表示させ、この領域数キーをタッチするとディスプレイ20aに表示するマスクオブジェクトの数を設定できる領域設定画面に切り替わるようにすればよい。そして、ユーザが領域設定画面からディスプレイ20aに表示するマスクオブジェクトの数を「3」と設定すれば、図24に示すように、3つの領域が表示されるようにすればよい。
【0086】
また、本変形例では、マスクオブジェクトの数と同数の非表示情報記憶部(図示せず)を設けることになる。なお、この複数の非表示情報記憶部は、例えば、1つのメモリを複数の領域に分割することにより構成すればよい。
(3)前述の実施の形態1では、マスクオブジェクト40を移動させることができる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図25に示すように、ディスプレイ20aにスライドスイッチ241を表示し、ユーザがスライドスイッチ241を動かすことによりマスクオブジェクト40の大きさを自由に変更できるようにしてもよい。
【0087】
(4)前述の実施の形態1および2に係る携帯端末1において、例えば、ユーザがマスクオブジェクトの内側にある一点をタッチすると平面視円形の穴341が空き(図26参照)、穴が開いた領域はそのまま文字列が表示されるものであってもよい。ここにおいて、図26では、穴が開いている部分を明確にするために、穴の外枠を表示させる例を示しているが、穴が開いている部分を表示しないようにしてもよい。更に、本変形例において、穴が開いた領域をタッチすると開いた穴が再び塞がるようにしてもよい。
【0088】
(5)前述の実施の形態1および2に係る携帯端末1では、マスクオブジェクト40の形状が矩形状である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図27に示すように、ユーザがディスプレイ20aの上端側に表示された「L」キーをタッチすると、マスクオブジェクト40がL字型に変形されるものであってもよい。このL字型のマスクオブジェクト40は、例えば、上下方向に延出する部分と左右方向に延出する部分との長さの比が略1対1となるように予め設定されるものとすることができる。なお、図27では、マスクオブジェクト40がL字型に変形される例を示しているが、これに限らず、例えば、U字型に変形されるものであってもよい。
【0089】
(6)前述の実施の形態1および2のマスクオブジェクト40では、背景色が着色(例えば、赤色や緑色)表示されるものであってもよい。例えば、マスクオブジェクト40では、マスクオブジェクト40内にある黒色で表示された文字列に緑色の半透明の背景色が合成されて表示されるようにしてもよい。
また、例えば、実施の形態2において、2つのマスクオブジェクトそれぞれに異なる種類の色に着色しておき(例えば、第1マスクオブジェクトを青色、第2マスクオブジェクトを黄色に着色)、第1マスクオブジェクトと第2マスクオブジェクトとが重なる領域では各マスクオブジェクトの色を混ぜた色(例えば、緑色)となるようにしてもよい。
【0090】
(7)前述の実施の形態1および2では、ディスプレイ20aに表示される複数の文字列のうちマスクオブジェクト40内に表示される文字列であれば、予め設定されている文字列と一致すれば、無条件にマスクされる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数頁から構成される教科書コンテンツについて、所定の頁を選択的にマスクオブジェクト40が表示されてマスク表示がなされるようにしてもよい。
【0091】
また、教科書コンテンツの各頁に対して、それぞれ異なるマスク対象文字列が設定されたマスクオブジェクト40が表示されるようにしてもよい。ここにおいて、各頁に対してどの種類のマスクオブジェクト40を表示するかを識別する情報を保持しておく領域を記憶部32に設けておけばよい。
(8)前述の実施の形態1および2では、情報記憶部30aに記憶された情報のうちマスク対象文字列に一致するものをディスプレイ20aに表示しない例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図28に示すように、「(」と「)」(以下、マスク対象区間開始文字およびマスク対象区間終了文字と称す。)で区切られた文字を表示しないようにするものであってもよい。なお、本変形例では、「(」および「)」の場合について説明するが、例えば、他の記号により区切られた文字列であってもよい。更に、2つの記号等により区切られた文字列のみならず、インデント以下の一行分の文字列(つまり、インデントが含まれる行全体)を表示しないようにするものであってもよい。
【0092】
本変形例に係る携帯端末1の穴あき処理の内容を図29に示すフローチャートに従って詳細に説明する。この場合、非表示情報記憶部32cには、マスク対象区間開始文字およびマスク対象区間終了文字の文字コードおよび当該文字の属性を示すコードが記憶されている。なお、図29のステップS1051乃至ステップS1055、ステップS1063およびS1066は、図13におけるステップS51乃至ステップS55、ステップS60およびS61と同様なので説明を省略する。
【0093】
ステップS1055において、対象文字列の表示位置がマスクオブジェクト40内にあると判定されると(ステップS1055:YES)、制御部30は、対象文字列とマスク対象区間開始文字とを比較し(ステップS1056)、対象文字列がマスク対象区間開始文字のいずれかと一致するときは(ステップS1057:YES)、マスク対象区間開始文字位置を特定する(ステップS1058)。ここで、対象文字列とマスク対象区間開始文字との比較は、情報記憶部32aに記憶されている対象文字列の文字コードおよび属性を示す各コードが、非表示情報記憶部32cに記憶されているマスク対象区間開始文字の文字コードおよび属性を示す各コードと一致するか否かを判断することにより行われる。
【0094】
続いて、制御部30は、対象文字列とマスク対象区間終了文字とを比較し(ステップS1059)、対象文字列がマスク対象区間終了文字のいずれかと一致するときは(ステップS1060:YES)、マスク対象区間終了文字位置を特定する(ステップS1061)。ここで、対象文字列とマスク対象区間終了文字との比較は、前述のマスク対象区間終了文字の場合と同じなので説明を省略する。
【0095】
次に、制御部30は、対象文字列を次の文字列に変更する(ステップS1062)。
その後、ステップS1063において、終りと判定されると(ステップS1063:YES)、制御部30は、マスク対象区間開始文字およびマスク対象区間終了文字の両方が特定されているか否かを確認する(ステップS1064)。
ステップS1064において、マスク対象区間開始文字およびマスク対象区間終了文字の両方が特定されていると判定されると(ステップS1064:YES)、制御部30は、マスク対象区間開始文字およびマスク対象区間終了文字の間のマスク対象区間にある文字列を全て空白文字列に置き換えた後(ステップS1065)、ステップS1066に移行する。一方、マスク対象区間開始文字およびマスク対象区間終了文字のいずれかのみ特定されている、或いは、両方とも特定されていないと判定されると(ステップS1064:NO)、そのままステップS1066に移行する。
【0096】
(9)前述の実施の形態1および2では、ディスプレイ20aに「移動」キー等を含む操作パレットを表示し、タッチパッド20b上における操作パレットに対応する位置をタッチすることによりモードの切替を行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、携帯端末1に、タッチパネル20とは別にハードキーからなるモード切替用の専用釦(図示せず)を設けてもよい。
【0097】
或いは、携帯端末1内に音声認識部(図示せず)を設け、この音声認識部が、マイク62から入力される音声を解読してモード切替指示を受け付ける構成としてもよい。
更に、携帯端末1内に特定のパターンの振動を検知する振動検知部(図示せず)を設け、この振動検知部が特定の振動パターンを検知すると、制御部30がモードを切り替える構成としてもよい。
【0098】
(10)前述の実施の形態1および2において、各マスクオブジェクトの属性を併せ持つ新たなマスクオブジェクトを生成することができるようにしてもよい。例えば、ディスプレイ20aに「足し合わせ」キーを表示させたものであって、第1マスクオブジェクト(第1マスク対象文字列が「UVW」および「uvw」)および第2マスクオブジェクト(第2マスク対象文字列が「CDE」および「cde」)がディスプレイ20aに表示された状態から、図30に示すように「足し合わせ」キーがタッチされると、マスク対象文字列が「UVW]、「uvw」、「CDE」および「cde」に設定されたマスクオブジェクト40が1つディスプレイ20aに表示されるようにしてもよい。このとき、マスクオブジェクト40は、第1マスクオブジェクトおよび第2マスクオブジェクトを包含する最小の矩形領域として表示される。
【0099】
(11)前述の実施の形態1および2において、ディスプレイ20aに「領域作成」キーを表示させたものであって、文字列の属性を表示させた状態で、「領域作成」キーがタッチされると、文字列の属性に基づいて新たなマスクオブジェクトが作成されるものであってもよい。例えば、図8に示すように、文字列「EFG」の属性を表示した状態(図8参照)において、「領域作成」キーをタッチすると、図31に示すように文字列「EFG」をマスク対象文字列とする新たなマスク41が表示されるようにしてもよい。
【0100】
この場合、フラグ記憶部32gに「領域作成」キーがタッチされると「1」に設定される領域作成フラグを記憶させ、制御部30が、図4に示す実施の形態1のフローチャートのうちステップS19の後の処理を図32に示すように変更したフローチャートが示す処理を行うようにすればよい。
即ち、実施の形態1におけるステップS19の処理後、制御部30が、領域作成フラグが「1」に設定されているか否かを確認する(ステップS1001)。
【0101】
ステップS1001において、領域作成フラグが「1」に設定されていると判定されると、制御部30が、文字列「EFG」からなる第2マスク対象文字列を生成して、第2非表示情報記憶部32c2に記憶させる(ステップS1002)。その後、実施の形態2におけるステップS1に移行する。
一方、ステップS1001において、領域作成フラグが「1」に設定されていないと判定されると、そのまま実施の形態1におけるステップS23に移行する。
【0102】
(12)前述の実施の形態1において、1つのマスクオブジェクト40に複数のマスク対象文字列が設定されている場合、当該マスクオブジェクト40に設定されているマスク対象文字列の一部をマスク対象文字列とする新たなマスクオブジェクトを生成することができるようにしてもよい。例えば、タッチパネル20で所定の操作を行うと、マスクオブジェクト40に設定されているマスク対象文字列の一覧が表示されるようにし、その一部を選択して新たなマスクオブジェクトを生成することができるようにすればよい。
【0103】
(13)前述の実施の形態1および2において、マスクオブジェクトにおける音声読み上げについて主音声と副音声とで切り替え可能としてもよい。例えば、マスクオブジェクト内では、主音声では日本語を読み上げ、副音声では、別の辞書を参照して、対応する英語訳を読み上げるものとしてもよい。
また、マスクオブジェクト内の文字列を読み上げているときには、BGMが流れるようにしてもよい。この場合、制御部30は、読み上げている文字列がマスクオブジェクト内にあるか否かを確認し、マスクオブジェクト内と判定すると音声データ記憶部32fに記憶されているBGMに対応する楽曲データを取得して音声処理部60に入力する。そして、音声処理部60は、入力される楽曲データに基づいてスピーカ61からBGMを流すようにすればよい。
【0104】
更に、実施の形態2において、第1マスクオブジェクト40内の文字列は主音声で読み上げ処理がなされ、第2マスクオブジェクト41内の文字列は副音声で読み上げ処理がなされるように設定され、第1マスクオブジェクトと第2マスクオブジェクトとを重ねあわせることで、主音声と副音声とが交互に読み上げられるようにしてもよい。
(14)前述の実施の形態1および2では、対象文字列が全てマスクオブジェクト40内にあるときに限り、マスクされ、一部でもマスクオブジェクト40の外側にある場合には、対象文字列の全てが表示される例について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、対象文字列の一部がマスクオブジェクト40の外側にある場合には、その一部を表示し他の部分はマスクするようにしてもよい。
【0105】
(15)前述の実施の形態2では、第1マスクオブジェクト40と第2マスクオブジェクト41とが重なる部分では、第1マスク対象文字列または第2マスク対象文字列と一致する文字列がマスクされる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1マスクオブジェクト40と第2マスクオブジェクト41とが重なった部分では、第1マスク対象文字列に該当するとともに第2マスク対象文字列にも該当する文字列のみがマスクされるようにしてもよい。
【0106】
(16)前述の実施の形態1および2で説明した制御部30で実行されるプログラムは、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することができる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのCPUがそのプログラムを実行することにより前述の実施の形態1および2で説明した制御部30の機能が実現される。
【0107】
<補足>
(1)前述の実施の形態1および2に係る携帯端末1は、ディスプレイ20aと、入力を受け付けるタッチパッド20bと、文字列を示す文字コードおよび当該文字列の属性コード(第1情報)を記憶している情報記憶部(第1記憶部)32aと、文字列のうち不可視化する文字列(不可視化部分)の条件を示すマスク対象文字列を示す文字コードおよび当該マスク対象文字列の属性コード(第2情報)を記憶している非表示情報記憶部(第2記憶部)32cと、ディスプレイ20aの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、タッチパッド20bが受け付けた入力に基づき、表示面上を移動するマスクオブジェクト40を示す座標データ(第3情報)を記憶している座標データ記憶部(第3記憶部)32cと、ディスプレイ20aの表示面にマスクオブジェクト40を表示させる場合、表示面における各文字列の表示位置と座標データが示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、マスク対象文字列に合致する不可視化部分の表示位置がマスクオブジェクト40の表示領域内に存在するときは、その不可視化部分を表示させないで、それ以外の部分を表示させる制御部30とを備える。
【0108】
本構成によれば、ディスプレイ20aの表示面の一部であるマスクオブジェクト40の表示領域内を部分的に不可視化して表示(マスク表示)させたり、部分的に不可視化して表示されるオブジェクトの表示領域をディスプレイの表示面内で移動させるなど、従来にはない多様なマスク表示機能を実現できる。
つまり、不可視化する(マスクする)文字列をマスク対象文字列として、非表示情報記憶部32cに記憶させておけば、情報記憶部32aに記憶されている文字列のうち、マスク対象文字列に一致する文字列をマスクして表示させることができる。 (2)前述の実施の形態2に係る携帯端末1は、座標データ記憶部32bが、複数のマスクオブジェクト40,41を示す座標データを記憶し、非表示情報記憶部32c1,32c2が、複数のマスクオブジェクト40,41それぞれに対応付けて、各マスクオブジェクト40,41内で不可視化するマスク対象文字列を示す文字コードおよび属性コードを記憶している。
【0109】
本構成によれば、第1の文字列の内容と第2の文字列の内容とを異なる内容とすることにより、より多彩なマスク表示が可能となる。
(3)前述の実施の形態1および2に係る携帯端末1は、音声を出力するスピーカ61と、音声処理部60とを備えており、制御部30が、ディスプレイ20aに表示された文字列を音声としてスピーカ61に出力させる。
【0110】
本構成によれば、ユーザがヒアリング学習を行う場合において、例えば、覚えたい文字列を読み上げないようにするという処理が可能となる。
(4)前述の実施の形態1および2に係る携帯端末では、マスク対象文字列が、特定の書体、色および文字サイズのうち少なくとも一つが含まれる文字列となっている。
本構成によれば、特定の書体、色および文字サイズのうち少なくとも一つが含まれる文字列をマスクするマスク表示が可能となる。
【0111】
(5)前述の実施の形態1に係る携帯端末では、ディスプレイ20aと、文字列を示す文字コードおよび当該文字列の属性コード(第1情報)を記憶している情報記憶部(第1記憶部)32aと、文字列のうち可視化する文字列(可視化部分)の条件を示すマスク対象文字列を示す文字コードおよび当該マスク対象文字列の属性コード(第2情報)を記憶している非表示情報記憶部(第2記憶部)32cと、ディスプレイ20aの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、ユーザの操作により表示面上を移動自在なマスクオブジェクト40を示す座標データ(第3情報)を記憶している座標データ記憶部(第3記憶部)32cと、マスクオブジェクト40を表示させるとともに、表示面における各文字列の表示位置と座標データが示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、マスク対象文字列に合致する可視化部分の表示位置がマスクオブジェクト40の表示領域内に存在するときは、その可視化部分以外の部分を表示させないで、その可視化部分を表示させる制御部30とを備える。
【0112】
本構成によれば、ディスプレイ20aの表示面の一部であるオブジェクトの表示領域内において部分的に可視化して表示(マスク表示)させたり、部分的に可視化して表示されるオブジェクトの表示領域をディスプレイの表示面内で移動させるなど、更に多様なマスク表示機能を実現できる。 (6)前述の実施の形態1に係る携帯端末では、ディスプレイ20aの傾きを検知するための加速度センサ50を備え、制御部30は、加速度センサ50の検出結果に基づき、マスクオブジェクト40の表示位置を移動させる。
【0113】
本構成によれば、ディスプレイ20aを傾けると、マスクオブジェクト40を移動させることができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
(7)前述の実施の形態1に係る携帯端末では、タッチパッド20bが、更に、ディスプレイ20aの表示面上に対する入力を受け付け、制御部30が、タッチパッド20bが受け付けた入力に基づきディスプレイ20aの表示面に表示されたマスクオブジェクト40の表示位置を移動させる。
【0114】
本構成によれば、ユーザがタッチパッド20b上でドラッグ操作をすると、マスクオブジェクト40を移動させることができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
(8)前述の実施の形態1および2に係る携帯端末は、マスク対象文字列を送受信する通信処理部10を備える。
【0115】
本構成によれば、通信機能を有する複数の端末がアクセス可能な外部のサーバにマスク対象文字列を蓄えておき、ユーザのニーズにあわせて適宜携帯端末にマスク対象文字列を送信するというサービスの提供が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、ディスプレイを有する携帯端末に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 携帯端末
10 通信処理部
20 タッチパネル
20a ディスプレイ
20b タッチパッド
30 制御部
32 記憶部
32a 情報記憶部(第1記憶部)
32b 座標データ記憶部(第3記憶部)
32c 非表示情報記憶部(第2記憶部)
32d 画像データ記憶部
32e プログラム記憶部
32f 音声データ記憶部
32g フラグ記憶部
40 マスクオブジェクト
50 加速度センサ
60 音声処理部
61 スピーカ
62 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
入力を受け付ける入力部と、
文字および図形のいずれかを含む第1情報を記憶している第1記憶部と、
前記第1情報のうち不可視化する不可視化部分の条件を示す第2情報を記憶している第2記憶部と、
前記ディスプレイの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、前記入力部が受け付けた入力に基づき、表示面上を移動するマスクオブジェクトの表示領域を示す第3情報を記憶している第3記憶部と、
前記ディスプレイの表示面に前記マスクオブジェクトを表示させる場合、前記表示面における前記第1情報の表示位置と前記第3情報が示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、前記第2情報が示す条件に合致する不可視化部分の表示位置が前記マスクオブジェクトの表示領域内に存在するときは、当該不可視化部分を表示させない制御部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第3記憶部は、複数のマスクオブジェクトを記憶し、
前記第2記憶部は、前記複数のマスクオブジェクトそれぞれに対応付けて、各マスクオブジェクトの表示領域内で不可視化する不可視化部分の条件を記憶している
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
更に、音声を出力する音声出力部を備えるとともに、
前記第1情報は、文字列により構成され、
前記制御部は、前記ディスプレイに表示された前記第1情報を音声として前記音声出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第2情報が示す条件は、前記第1情報に特定の書体、色および文字サイズのうち少なくとも一つが含まれることである
ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
ディスプレイと、
文字および図形のいずれかを含む第1情報を記憶している第1記憶部と、
前記第1情報のうち可視化する可視化部分の条件を示す第2情報を記憶している第2記憶部と、
前記ディスプレイの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、ユーザの操作により表示面上を移動自在なマスクオブジェクトを示す第3情報を記憶している第3記憶部と、
前記マスクオブジェクトを表示させるとともに、前記表示面における前記第1情報の表示位置と前記第3情報が示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、前記第2情報が示す条件に合致する可視化部分の表示位置が前記マスクオブジェクトの表示領域内に存在するときは、その可視化部分以外の部分を表示させないで、その可視化部分を表示させる制御部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
前記ディスプレイの傾きを検知するための加速度センサを備え、
前記制御部は、前記加速度センサの検出結果に基づき、前記マスクオブジェクトの表示位置を移動させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記入力部は、更に、前記ディスプレイの表示面上に対する入力を受け付け、前記制御部は、前記入力部が受け付けた入力に基づき前記ディスプレイの表示面に表示された前記マスクオブジェクトの表示位置を移動させる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記第2情報を送受信する送受信部を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項9】
ディスプレイを備える携帯端末の前記ディスプレイに前記マスクオブジェクトを表示させる表示処理をコンピュータにより実現するための制御プログラムであって、
前記表示処理は、
入力を受け付ける入力受付ステップと、
文字および図形のいずれかを含む第1情報を記憶する第1記憶ステップと、
前記第1情報のうち不可視化する不可視化部分の条件を示す第2情報を記憶する第2記憶ステップと、
前記ディスプレイの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、前記入力部が受け付けた入力に基づき、表示面上を移動するマスクオブジェクトの表示領域を示す第3情報を記憶する第3記憶ステップと、
前記ディスプレイの表示面に前記マスクオブジェクトを表示させる場合、前記表示面における前記第1情報の表示位置と前記第3情報が示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、前記第2情報が示す条件に合致する不可視化部分の表示位置が前記マスクオブジェクトの表示領域内に存在するときは、当該不可視化部分を表示させない表示制御ステップとを含む
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
ディスプレイを備える携帯端末の前記ディスプレイに前記マスクオブジェクトを表示させる表示処理をコンピュータにより実現するための表示方法であって、
入力を受け付ける入力受付ステップと、
文字および図形のいずれかを含む第1情報を記憶する第1記憶ステップと、
前記第1情報のうち不可視化する不可視化部分の条件を示す第2情報を記憶する第2記憶ステップと、
前記ディスプレイの表示面に表示され且つ当該表示面に比べて面積が小さく、前記入力部が受け付けた入力に基づき、表示面上を移動するマスクオブジェクトの表示領域を示す第3情報を記憶する第3記憶ステップと、
前記ディスプレイの表示面に前記マスクオブジェクトを表示させる場合、前記表示面における前記第1情報の表示位置と前記第3情報が示すマスクオブジェクトの表示領域とを比較して、前記第2情報が示す条件に合致する不可視化部分の表示位置が前記マスクオブジェクトの表示領域内に存在するときは、当該不可視化部分を表示させない表示制御ステップとを含む
ことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−231268(P2012−231268A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97654(P2011−97654)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】