説明

携帯端末

【課題】タッチパネルを採用している携帯端末において、視覚障害者が点字入力を可能とした携帯端末を提供する。
【解決手段】タッチパネル14からの操作によって動作する携帯端末10において、タッチパネル14の表面を所定の大きさの複数の領域に分け、各領域ごとにタッチの有無を認識可能な入力検出部30と、点字1文字を構成するドットの位置を、点字毎に記憶している点字記憶部32と、入力検出部30によって検出された各領域におけるタッチの有無と点字記憶部32に記憶されているドットの位置とに基づいて、タッチパネルから入力された点字を選択する点字選択部34と、点字選択部によって選択された点字を記憶する入力結果記憶部36とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点字を入力可能とした携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
点字による書面等を作成する場合、点字を入力できる装置が必要となる。点字入力可能な装置としては、点字タイプライターが従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
ただ、点字タイプライターは、紙やラベルなどに点字を直接打刻するものであるので、点字をデータとして処理することができない。
【0003】
また、パーソナルコンピュータ等の情報機器に直接点字によるデータ入力ができるように、点字キーボードも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
点字キーボードを用いれば、情報機器に対して点字をデータ入力することができる。
【0004】
さらに、タッチパネルにおいて点字入力可能な装置も開発されている(例えば、特許文献3参照)。
このタッチパネル式の入力装置によれば、点字を構成する複数のドットが突出して形成されたフィルム状のシートをタッチパネル表面に配置しており、視覚障害者であってもタッチパネルにて入力が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−268349号公報
【特許文献2】特開2006−318211号公報
【特許文献3】特開平9−120254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述してきた点字の入力装置によれば、視覚障害者であっても点字の入力は可能であるが、健常者が通常用いている機器を同様に使いこなすことはできない。
例えば、携帯電話と携帯情報機器(PDA)の機能を併せ持つ携帯端末(スマートフォン)が各携帯電話会社から販売されており、携帯電話としての機能に加え種々の情報を手軽に取得しやすくなっている。ところが、このような携帯端末においては、タッチパネル方式を採用している機種も多くあり、視覚障害者にとっては利用しづらく、視覚障害者が携帯端末の利便性を享受することができないという課題がある。
【0007】
また、上記の特許文献3のように携帯端末のタッチパネル表面に点字が刻字されたフィルムを配置しようとしても、そもそも携帯端末のタッチパネルは面積が狭い物であるから点字が刻字されたフィルムによって操作するのは困難である。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、特にタッチパネルを採用している携帯端末において、視覚障害者が点字入力を可能とした携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる携帯端末によれば、タッチパネルを備え、タッチパネルからの操作によって動作する携帯端末において、タッチパネルの表面を所定の大きさの複数の領域に分け、各領域ごとにタッチの有無を認識可能な入力検出部と、点字1文字を構成するドットの位置を、点字毎に記憶している点字記憶部と、入力検出部によって検出された各領域におけるタッチの有無と点字記憶部に記憶されているドットの位置とに基づいて、タッチパネルから入力された点字を選択する点字選択部と、点字選択部によって選択された点字を 記憶する入力結果記憶部とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、視覚障害のあるユーザが携帯端末を使用する場合においても、タッチパネルの決められた領域と点字のドットの位置とを予め対応付けしておくことにより、ユーザがタッチパネルをタッチすることで点字入力が可能となる。
【0010】
また、各点字に対応した発音を記憶した音声記憶部と、点字選択部によって選択された点字に対応する発音を音声記憶部から抽出して出力する音声出力部とを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、点字の入力に伴い、入力した点字の発音が音声出力される。このため、タッチパネルでの入力で入力操作に確信が持てない場合であっても、音声出力を聞くことで入力が正しかったか否かを確認することができる。
【0011】
また、前記入力検出部は、タッチパネルのフリックを検出可能であって、所定方向へのフリックが、点字入力時の所定の動作と対応付けがされて記憶されているフリック動作記憶部と、入力検出部によって検出された所定方向のフリックに対応付けされた動作を実行するフリック実行手段とを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、携帯端末に対して縦方向又は横方向など、種々の方向のフリックを点字入力における種々の動作に対応付けできる。
【0012】
また、加速度センサと、該加速度センサによって所定の加速度が検出された場合には、ユーザによってシャッフルされたものとして、シャッフルに対応付けされた動作を実行するシャッフル実行手段とを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、携帯端末がシャッフルされた場合に、シャッフルという動作を点字入力における所定の動作に対応付けできる。
【0013】
さらに、各領域においてタッチされる毎にタッチ位置を記憶し、各領域毎に、過去複数回記憶されたタッチ位置の分布に基づいてタッチ中心位置を算出し、算出されたタッチ中心位置に基づいて各領域の境界を変更するように制御する領域変更手段を具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、ユーザの指の配置位置に癖がある場合においては、その癖に合わせてタッチパネルの領域を変えることができる。このため、指の配置位置の癖によってタッチ位置が隣の領域と紛らわしい場合に、入力エラーが出てしまうようなことを防止することができる。
【0014】
さらに、各領域には、それぞれ異なる入力音が対応付けされて記憶している入力音記憶部と、前記入力検出部が各領域毎のタッチの有無を検出すると、該領域に対応付けされた入力音を入力音記憶部から読み出して出力する入力音出力部とを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、視覚障害があって、正しい領域をタッチしているかどうかが不安なユーザであっても、音を聞けば正しい領域をタッチしていることがわかるので、安心して入力動作を続けることができる。
【0015】
さらに、点字選択部が、入力中の点字が6つのドットよりも多くのドットで構成されている点字であると判断した場合、6つのドット分の入力を検知した後、さらに入力を促す入力促進音が出力できるように、入力促進音を記憶している入力促進音記憶部を具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、ユーザは6つのドットで構成される点字以外の点字であっても正確に入力できる。
【0016】
なお、携帯端末に装着されるカバーであって、タッチパネル部分が開口し、且つ携帯端末の方向及びタッチパネルの位置が凹凸によって判別可能に形成されているものを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、視覚障害を有するユーザにとって、携帯端末の向きやタッチパネルの位置を正確に把握することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の携帯端末によれば、視覚障害のあるユーザであっても携帯端末を容易に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の携帯端末の外観構成を示す説明図である。
【図2】タッチパネル部を3つの領域に分割して点字の左列のドットを入力するところを示す説明図である。
【図3】タッチパネル部を3つの領域に分割して点字の右列のドットを入力するところを示す説明図である。
【図4】携帯端末の内部構成を示すブロック図である。
【図5】領域を変更する機能について説明する説明図である。
【図6】タッチパネル部を6つの領域に分割したところを示す説明図である。
【図7】図6の場合において、タッチパネルの向きを逆にしたところを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施形態の携帯端末の構成について説明する。ここでの携帯端末のユーザの操作スイッチとしては、表示部がタッチパネルとなっているものを対象としている。
図1に示すように、携帯端末10の外周にはカバー12を装着することが好ましい。カバー12は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、脱着が容易となっている。カバー12は表示部14(タッチパネル部14)が覆われないように開口部12aが形成されており、この開口部12aの周囲の所定位置(2箇所)に突起15a,15bが形成されている。
【0020】
2箇所の突起15a,15bは、タッチパネル部14の中央部分にある操作エリア14aの上下両端部に位置しており、この突起15a,15bの範囲内で操作が可能な操作エリア14aであることを識別できる。
なお、タッチパネル部14の上端部は、2箇所の突起のうち上部の突起15aよりも上方に位置している。したがって、上部の突起15aとタッチパネル部14の上端部との間は、操作エリア14aとは違う操作が可能なエリアとして構成できる。
本実施形態では、上部の突起15aとタッチパネル部14の上端部との間は情報エリア14bとして設けられており、この間において何らかの情報等が表示されるようになっている。
【0021】
一方、タッチパネル部14の下端部は、2箇所の突起のうち下部の突起15bよりも下方に位置している。したがって、下部の突起15bとタッチパネル部14の下端部との間は、操作エリア14aとは違う操作が可能なエリアとして構成できる。
本実施形態では、下部の突起15bとタッチパネル部14の下端部との間はショートカットエリア14cとして設けられており、この間を操作することで、他のアプリケーションの立ち上げ等を実行できる。
【0022】
なお、本実施形態における携帯端末10は、下部表面にホームボタンが設けられている。そして、カバー12には、ホームボタンの表面を覆うとともにホームボタンであることを触覚で認識可能となるように何らかの突起が形成されたホームボタン部16が形成されている。ホームボタン部16の表面には、例えば×の形状の突起を形成しておけばよい。
また、カバー12を滑りにくい特性の材料で構成することで、直接携帯端末10の表面を持つ場合よりも、手から滑らずに確実な保持ができるようにすることができる。
【0023】
次に、本実施形態における、点字入力における基本的な方法について図2〜図3に基づいて説明する。
本実施形態では、タッチパネル部14の操作エリア14aを横方向に3つの領域エリア1、エリア2、エリア3に分けて設定している。そして、3つの領域それぞれは、点字を構成する6つのドットのうち、左側の列の3つのドット及び右側の列の3つのドットを各エリアに対応させておく。
【0024】
ユーザは、入力したい点字の3行2列のドットを左列、右列の順で、タッチパネル部14の操作エリア14aにおける3つの領域に、ドットがあればタッチ、ドットがなければタッチしないようにして入力する。
【0025】
なお、点字を構成する6つのドットのうち、一般的な読み取り方としては、左列上から下に順番に読み取り、次に右列上から下に順番に読み取ることが一般的である。したがって、図2に示すように、まず左列のドットを上から順に1,2,3と番号を付けるとする。そして、ドット1をエリア1に、ドット2をエリア2に、ドット3をエリア3に対応させている。
左列の3つのドットにおける入力が完了すると、次に右列の3つのドットの入力を行う。
図3に示すように、右列の3つのドットを上から順に4,5,6と番号を付けるとする。そして、ドット4をエリア1に、ドット5をエリア2に、ドット6をエリア3に対応させている。
【0026】
なお、本実施形態における各領域へタッチする指は、右手で入力する場合、右手人差し指をエリア1、右手中指をエリア2、右手薬指をエリア3に対応させるとよい。
また、各列ごとにおける、各領域へのタッチは同時に行うものとする。たとえば、左列においてドット1が有り、ドット2が無し、ドット3が有りの場合には、右手の人差し指がエリア1を、薬指がエリア3を同時にタッチするようにする。
【0027】
携帯端末10は、このような1列毎の入力を検知し、2列分の入力を検知したところで入力された点字を判別する。
なお、判別された点字の音は、携帯端末のスピーカ(図示せず)から出力されるとよい。例えば、判別された点字が「ア」であれば「ア」の音が出力されることになる。音が出力されない限り、視覚障害者にとっては正しく入力できたか否かが確認できないためである。
【0028】
さらに携帯端末10は、1列目の入力が完了したときに出力する1列目完了音と、2列目の入力が完了し、点字入力が完了したときに出力する入力完了音を出力するとよい。
【0029】
なお、点字の種類によっては、6つのドットだけでは構成されないものもある。例えば、濁音、半濁音、促音、拗音などは12のドットで構成されている。
したがって、携帯端末10では、2列目の入力が終了したときにまだ点字入力が完了していないと判断した場合には、2列目の入力が完了しただけであって、まだ入力が必要である旨をユーザに知らせるため、さらに入力を促す音を出力するとよい。
【0030】
次に、図4に基づいて本実施形態の携帯端末の内部構成について説明する。なお、以下の内部構成については、携帯端末内に設けられている演算処理装置及びメモリが、予め設定されたプログラムに従ってその機能を実現している。
携帯端末10は、タッチパネル部14でタッチされたことを各領域(本実施形態では、エリア1〜エリア3の3つの領域)ごとに判定する入力検出部30と、各点字のドット配置を記憶している点字記憶部32と、入力検出部30で検出された入力信号に基づいて点字記憶部32から、いずれの点字が入力されたかを選択する点字選択部34とを具備している。
入力検出部30には、各領域の範囲を示すデータが記憶されており、タッチパネル部14の何れの場所がタッチされたかを判断することができる。
【0031】
さらに、携帯端末10は、点字選択部34によって選択された点字を記憶しておく入力結果記憶部36を備えており、ユーザが入力した点字は1文字ずつ記憶される。
また、携帯端末10には、入力された点字を音声出力する機能が設けられている。具体的には、点字と、この点字に該当する発音とが音声記憶部38に記憶されており、点字選択部34によって選択された点字の発音が音声記憶部38から音声出力部(具体的にはスピーカ)40から音声となって出力される。このため、視覚障害があるユーザであっても入力した点字が正しかったかどうかを確認できる。
【0032】
また、携帯端末10には、各領域ごとに割り当てられた入力音を予め記憶しておく入力音記憶部49を設けておくとよい。入力音記憶部49から抽出された入力音は音声出力部40から出力される。
また各領域には異なる音を割り当てておくことにより、視覚障害のあるユーザはタッチパネル部14にタッチした時点で、自分の思ったところに正確にタッチしたか否かを判断することができる。
また、各領域でそれぞれ異なる音として、和音となるように設定しておくとよい。これによれば、各領域を全てタッチした場合には非常に響きが良い入力音とすることができる。
【0033】
加えて、点字の1列目と2列目では各領域に設定する音を異なるようにすると、より入力の助けになる。例えば、1列目の各領域に設定される音と、2列目の各領域に設定される音とを半音異なるようにすること等が考えられる。
さらに、後述するような12個のドットで構成される点字の場合には、最初に入力した6つのドットに続く次の6つのドットを3列目及び4列目と考え、上記の1列目と2列目との関係と同様に、3列目及び4列目の各領域にさらに異なる音を設定するように設定するようにするとよりよい。
具体的には、1列目に対応するエリア1、エリア2、エリア3にそれぞれ「ド」、「ミ」、「ソ」の音をそれぞれ設定し、2列目に対応するエリア1、エリア2、エリア3にそれぞれ「ド#」、「ファ」、「ソ#」の音をそれぞれ設定し、3列目に対応するエリア1、エリア2、エリア3にそれぞれ「レ」、「ファ#」、「ラ」の音をそれぞれ設定し、4列目に対応するエリア1、エリア2、エリア3にそれぞれ「レ#」、「ソ」、「ラ#」の音をそれぞれ設定するなどが例として挙げられる。このような設定によれば、入力が進むにつれて入力音が半音ずつ高くなるので、入力の進行が聴覚上実感しやすく視覚障害者にとって入力がよりスムーズに行えると考えられる。
【0034】
また、点字は基本的には3行2列に配列された6つのドットで構成されている6点式であるが、濁音、半濁音、拗音は12のドットで構成される。このとき、濁音符、半濁音符、拗音符が、通常の点字よりも前に付されることで、濁音等であることが判別できる。入力検出部30は、入力された点字が濁音、半濁音又は拗音であることは、濁音符、半濁音符又は拗音符が入力されることで判断できる。したがって、これらの文字の場合、6つのドットの入力が終わったあと、さらに6ドット分を入力しなければ点字1文字が完成しない。
そこで、入力検出部30が、入力中の点字が6つのドットよりも多くのドットで構成されている点字であると判断した場合、6つのドット分の入力を検知した後、さらに入力を促す入力促進音が出力されるとよい。
【0035】
入力促進音は、入力音とは異なる音としておき、予め入力音記憶部49に記憶されている。
入力検出部30が、6つのドットで構成されていない点字が入力されていることを検出すると、点字選択部34は、入力促進音を入力音記憶部49から抽出して、音声出力部40から出力させるように制御する。
このようにすれば、ユーザは、濁音、半濁音又は拗音などの12個のドットで構成される点字であっても正確に入力できる。
【0036】
また、入力検出部30は、ユーザがタッチパネルをフリックした場合には、フリックを検出することができる。フリックはタッチパネル部14に指をおいたままで、所定方向にずらす動作のことをいい、単なるタッチとは異なる。
本実施形態では、フリックの方向として縦方向または横方向の2方向のフリックに対して、その動作内容が予め設定されているものとする。フリックに対応する動作は、フリック動作記憶部42に記憶されている。そして、フリック動作実行部44が、検出したフリックに対応する動作を実行するように設けられている。
【0037】
なお、本発明として、フリックの方向を2方向のみ検出することに限定するものではない。例えば、入力検出部30は、判別できる範囲で多方向へのフリックを認識可能であって、これら各方向に対して直感的に相応しい動作をフリック動作実行部44が実行可能となるように、対応する動作をフリック動作記憶部42に記憶して設定しておくと良い。
また、入力検出部30は、フリックだけでなくドラッグ(他のボタン等を押しながらタッチパネル部14においた指を所定方向にずらす動作)や、フリック又はドラックを複数方向に折り返す操作も検出可能とし、これらの操作に対して直感的に相応しい動作をフリック動作実行部44が実行可能となるように、対応する動作をフリック動作記憶部42に記憶して設定しておくこともできる。
【0038】
フリックの動作例としては、入力取り消し、または対応する列にドットが存在しない場合などが挙げられる。
例えば、左フリック又は上フリックが入力取り消しの意味であるとフリック動作記憶部42に記憶されている場合には、入力検出部30が左フリック又は上フリックを検出すると、先に入力された1列分のドットの位置を削除し、再度1列分の入力が可能となるように、点字選択部34が動作する。
また、右フリック又は下フリックがその列にドットが存在しない意味であるとフリック動作記憶部42に記憶されている場合には、入力検出部30が右フリック又は下フリックを検出すると、点字選択部34は、当該列にはドットが存在しないものとして次の列の入力を待つか、又は点字記憶部32から該当する点字を選択して出力する。
【0039】
さらに、携帯端末10には、シャッフル検出センサ(具体的には加速度センサ)46が設けられている。シャッフル検出センサ46によって携帯端末10がシャッフルされたことを検出することができる。なおシャッフルとは、携帯端末10全体が振り動かされることを指す。
携帯端末10では、シャッフルに対応する動作が予め設定されているものとする。シャッフルに対応する動作はシャッフル動作記憶部48に記憶され、シャッフル動作実行部50が予め設定された動作を実行する。例えば、シャッフルにより、点字入力モードを終了させるなどの動作を行わせることができる。
【0040】
次に、予め設定した領域の境界を自動変更できる機能について説明する。
例えば、ユーザが携帯端末10を持つ手の位置は、人それぞれ異なっているのが通常であり、このためタッチパネル部14の操作エリア14aのどの場所に指を置くかについても人それぞれで異なってくる。
したがって、予め操作エリア14aを所定の大きさの領域に設定していても、指の位置がその領域を若干はみ出す可能性があるユーザもあるし、そうでないユーザもある。
【0041】
そこで、携帯端末10は、タッチ位置に基づいて各領域の境界の位置を変更できる領域変更部54を備えている。
領域変更部54は、各領域においてタッチされるごとにタッチ位置を記憶するタッチ位置記憶部55と、複数個のタッチ位置の分布に基づいてタッチ位置の中心位置を決定する中心位置算出手段56とを備えており、中心位置と各領域の境界との距離が予め設定された閾値よりも小さくなった場合には、この距離が少なくとも閾値以上となるように各領域の境界を変更するように制御している。
また、タッチ位置の分布に基づく中心は、2次元の度数分布に基づいて決定される。
【0042】
領域変更部54の動作を図5に基づいて具体的に説明する。
図5では、左右方向をx軸、上下方向をy軸とし、タッチパネル部14における右側の領域(エリア3)での領域の境界について検討する場合を示している。
領域変更部54による領域の変更は、各領域毎に実行される。まず、領域変更部54は、該当する領域におけるタッチ位置記憶部55に記憶されている複数のタッチ位置のデータから、平均値または中央値によって中心位置を算出する。ここで中心位置の座標を(X1,Y1)とする。
また、エリア3とエリア2の境界の座標を(a,y)とする。境界は、y軸に平行な直線であるのでx座標のaは定数である。
【0043】
領域変更部54は、算出された中心位置(X1,Y1)が、入力検出部30に記憶されている各領域の境界(a,y)に対してどの程度接近しているかを検出する。本実施形態では、X1−aが中心位置と境界との距離である。そして、領域変更部54は、予め設定されている閾値(T)と算出された距離とを比較する。
ここで、領域変更部54が比較した結果、T<X1−aであれば、タッチの中心位置が充分に境界から離れているということで領域の境界変更はない。
一方、領域変更部54が比較した結果、T≧X1−aであれば、タッチの中心位置が境界に近いと判断できる。そこで、このような場合には、領域変更部54は、入力検出部に予め記憶されている境界を、中心位置から離れる方向に移動させるように制御する。なお、境界を移動させる場合、その移動距離は少なくとも閾値(T)と同じだけ移動させればよい。
【0044】
なお、例えば上記のようにエリア3の境界をエリア2方向に移動させてしまうと、エリア2の面積が狭くなってしまう。しかしながら、エリア2もエリア3と同様に左側にタッチの中心位置が偏っている可能性が高いので、エリア2のエリア1側の境界もエリア1側に移動すれば問題はない。また、エリア1の左側には移動させるべき境界はなく、単に面積が狭くなるだけであるが、エリア1の左側にタッチの中心位置が左側に偏っていたとしても、他のエリアとの境界をまたぐことはなく、特に問題はない。
【0045】
次に、点字入力時における他の実施形態について説明する。
上述してきた実施形態では、タッチパネル部14の操作エリア14aを3つの領域に分け、基本的には2回の入力で点字1文字を構成させるようにしたものであった。
しかし、操作エリアの領域の分割数は、3つに限定されることはなく、他の数であってもよい。
【0046】
タッチパネル部14の操作エリア14aの領域を6つにした場合の例を図6に示す。
このような場合には、両手の人差し指、中指、薬指をタッチパネル部14に配置し、それぞれの親指及び小指をタッチパネル部14が形成されていない裏側又は側面に配置する。
このようにすることで、点字を構成する6つのドットを一回で入力することができる。
さらに、点字入力に用いられる人差し指、中指、薬指以外の指や、手の指以外の箇所の配置を、端末の予め設定された位置に配置できるよう、指や手の形状に合わせた突起や凹みを携帯端末10の本体又はカバー12に形成するとよい。このようにすることで、ユーザに対して携帯端末10を所持する際の基準位置を示唆することができ、打点位置のバラツキを有効に抑制することができる。
【0047】
また、図7に示すように操作エリア14aの領域を6つにした場合であって、点字の一文字を構成する6つのドットの位置と、操作エリア14aの各領域の配置を図5の場合とは表裏逆になるようにしてもよい。すなわち、この構成では、ユーザは、タッチパネル部14を自分の反対側に向け、裏側で点字を入力するようにしてもよい。
これは、点字を読むときのように、ドットが自分の方向(手前方向)に突出している物を読むことに慣れているユーザに対して有効である。
【0048】
さらに、操作エリアの領域は、これらの数に限定されることなく、例えば2つの領域で、1つの点字を3回に分けて入力するようにしてもよい。
また操作エリアを4つの領域にわけ、最初は4つのドットの入力、次に2つのドットの入力を行うようにしてもよい。
【0049】
また、ユーザの設定により、点字選択部34の機能を変更できるようにしてもよい。
例えば、図2、図3、図6、図7に示すように、点字を構成する6つのドットを1列目上からドット1〜ドット3、2列目上からドット4〜ドット6と定義した場合、日本語の母音に相当する箇所はドット1、ドット2、ドット4によって表現され、日本語の子音に相当する箇所はドット3、ドット5、ドット6によって表現されている。
一方、中途失明者のように比較的成長してから点字を覚える場合には、日本語の五十音表の母音を1列目のドット1〜ドット3、子音をドット4〜ドット6となるようにドット3とドット4を入れ換えた変形点字にすると覚えが早いという事情がある。
このような要求に応えるため、ユーザの設定により点字選択部34の機能を変更し、入力検出部30が認識した各領域のタッチの有無に基づいて点字選択部34が点字記憶部32から点字を選択する際、ドット3とドット4とを入れ換えたうえで点字選択が可能となるようにすればより好適である。
【0050】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0051】
10 携帯端末
12 カバー
12a 開口部
14 タッチパネル部
14a 操作エリア
14b 情報エリア
14c ショートカットエリア
15a,15b 突起
16 ホームボタン部
30 入力検出部
32 点字記憶部
34 点字選択部
36 入力結果記憶部
38 音声記憶部
40 音声出力部
42 フリック動作記憶部
44 フリック動作実行部
46 シャッフル検出センサ(加速度センサ)
48 シャッフル動作記憶部
49 入力音記憶部
50 シャッフル動作実行部
54 領域変更部
55 タッチ位置記憶部
56 中心位置算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備え、タッチパネルからの操作によって動作する携帯端末において、
タッチパネルの表面を所定の大きさの複数の領域に分け、各領域ごとにタッチの有無を認識可能な入力検出部と、
点字1文字を構成するドットの位置を、点字毎に記憶している点字記憶部と、
入力検出部によって検出された各領域におけるタッチの有無と点字記憶部に記憶されているドットの位置とに基づいて、タッチパネルから入力された点字を選択する点字選択部と、
点字選択部によって選択された点字を記憶する入力結果記憶部とを具備することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
各点字に対応した発音を記憶した音声記憶部と、
点字選択部によって選択された点字に対応する発音を音声記憶部から抽出して出力する音声出力部とを具備することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記入力検出部は、タッチパネルのフリックを検出可能であって、
所定方向へのフリックが、点字入力時の所定の動作と対応付けがされて記憶されているフリック動作記憶部と、
入力検出部によって検出された所定方向のフリックに対応付けされた動作を実行するフリック実行手段とを具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
加速度センサと、
該加速度センサによって所定の加速度が検出された場合には、ユーザによってシャッフルされたものとして、シャッフルに対応付けされた動作を実行するシャッフル実行手段とを具備することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか1項記載の携帯端末。
【請求項5】
各領域においてタッチされる毎にタッチ位置を記憶し、
各領域毎に、過去複数回記憶されたタッチ位置の分布に基づいてタッチ中心位置を算出し、
算出されたタッチ中心位置に基づいて各領域の境界を変更するように制御する領域変更手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちの何れか1項記載の携帯端末。
【請求項6】
各領域には、それぞれ異なる入力音が対応付けされて記憶している入力音記憶部と、
前記入力検出部が各領域毎のタッチの有無を検出すると、該領域に対応付けされた入力音を入力音記憶部から読み出して出力する入力音出力部とを具備することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちの何れか1項記載の携帯端末。
【請求項7】
点字選択部が、入力中の点字が6つのドットよりも多くのドットで構成されている点字であると判断した場合、6つのドット分の入力を検知した後、さらに入力を促す入力促進音が出力できるように、入力促進音を記憶している入力促進音記憶部を具備することを特徴とする請求項1〜請求項6のうちの何れか1項記載の携帯端末。
【請求項8】
携帯端末に装着されるカバーであって、タッチパネル部分が開口し、且つ携帯端末の方向及びタッチパネルの位置が凹凸によって判別可能に形成されているものを具備することを特徴とする請求項1〜請求項7のうちの何れか1項記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−64066(P2012−64066A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208698(P2010−208698)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年7月27日 厚生労働省図書館より頒布が開始された「障害者自立支援機器等研究開発プロジェクト 文字情報を暗号化したコードを音声化できる携帯電話の開発に関する研究 平成21年度 総括・分担研究報告書」に発表
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】