説明

携帯端末

【課題】省スペースでねじ部材の緩みを防止できる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末10は、筐体11と、筐体11に取り付けられるねじ部材15と、ねじ部材15の頭部17を覆うねじキャップ21とを備えている。ねじ部材15は、筐体11に軸部16が挿通され、かつ、頭部17が筐体11の凹部32に収容されている。ねじキャップ21は、平面円弧部34と、円弧部34に隣り合う角部35とを有する。さらに、凹部32の平面形状がねじキャップ21の平面形状に相似している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に凹部を備え、この凹部にねじ部材の頭部が収容され、この頭部の表面がねじキャップで覆われた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より一般的な携帯端末は、ケースおよびカバーがねじ部材により相互に固定されて筐体が形成されている。そして、ケースおよびカバーをねじ部材で固定した状態において、ねじ部材の頭部(円形)を円形のねじキャップが覆うように構成されている(例えば、特許文献1)。また、同様に、四角形のねじキャップも一般的に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−158563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の円形のねじキャップは、円形に形成されているため、ねじキャップが廻ることが考えられる。ねじキャップが廻ると、ねじキャップと共にねじ部材も廻ってしまい、ねじ部材に緩みが発生することが考えられる。
また、四角形のねじキャップを採用した場合には、緩みの課題については解決できるものの、多くのスペースが必要となってしまう。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、省スペースでねじ部材の緩みを防止できる携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯端末は、筐体と、前記筐体に軸部が挿通され、かつ、頭部が筐体の凹部に収容されるねじ部材と、前記頭部の表面を覆うねじキャップと、を備え、前記ねじキャップは、平面円弧部と、前記円弧部に隣り合う角部とを有し、前記凹部の平面形状が前記ねじキャップの平面形状に相似している。
【0007】
ねじキャップに円弧部に隣り合う角部を備え、ねじキャップの平面形状に凹部の平面形状を相似させた。よって、ねじキャップの角部を凹部で保持できるので、凹部でねじキャップが廻ることを阻止できる。
このように、ねじキャップが廻ることを凹部で阻止することで、省スペースでありながら、ねじキャップが廻ってねじ部材が緩むことを防止できる。
【0008】
また、本発明の携帯端末は、前記角部は、前記円弧部に対して接線接続される一対の直線部の交差部である。
【0009】
ねじキャップの角部を、円弧部に対して接線接続される一対の直線部の交差部とした。
これにより、ねじキャップに比較的大きな角部を形成できるので、ねじキャップが廻ることを凹部で確実に阻止できる。
【0010】
さらに、本発明の携帯端末は、前記各直線部のうちの少なくとも一方が前記筐体の平面形状の直線部に対して平行である。
【0011】
ここで、ねじキャップの直線部は外側に突出した部位であり、直線部を筐体の内側に突出させた場合、筐体の内側に直線部が比較的大きく張り出される。
このため、筐体の内側の空間を有効に活用し難くなる。
【0012】
そこで、ねじキャップの一方の直線部を筐体の平面形状の直線部に対して平行に形成するようにした。
これにより、凹部の直線部を、筐体の平面形状の直線部に対して平行に形成することにより、筐体の内側への影響を少なくできるので筐体の内側の空間を有効に活用できる。
【0013】
また、本発明の携帯端末は、前記筐体はスライドレールを介して他の筐体に連結され、前記ねじ部材は前記スライドレールのレールおよびスライダのうちの一方を共締めする。
【0014】
ねじ部材でスライドレールのレールおよびスライダのうちの一方を共締めするようにした。
これにより、スライドレールのレールやスライダを共締めするねじ部材の緩みをねじキャップで防止できるので、筐体および他の筐体を円滑に繰り返し伸長でき、携帯端末の使い勝手を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯端末によれば、ねじキャップに角部を備え、ねじキャップの平面形状に凹部の平面形状を相似させてねじキャップの角部を凹部で保持することにより、ねじキャップが廻ることを凹部で阻止することで、省スペースでありながら、ねじキャップと共にねじ部材が緩むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る第1実施形態の携帯端末を示す平面図
【図2】図1のI−I線断面図
【図3】図2のII部拡大図
【図4】図1の携帯端末からねじキャップを外した状態を示す平面図
【図5】第1実施形態の凹部、ねじ部材およびねじキャップを示す分解斜視図
【図6】本発明に係る第2実施形態の携帯端末を伸長した状態を示す平面図
【図7】図6のIII部拡大図
【図8】図7の携帯端末からねじキャップを外した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る携帯端末について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1、図2に示すように、第1実施形態の携帯端末10は、筐体11と、筐体11に取り付けられるねじ部材15と、ねじ部材15の頭部17を覆うねじキャップ21とを備えている。
【0019】
筐体11は、ケース12と、ケース12を覆うカバー13とを備えている。
図3に示すように、ケース12は、内部23に雌ねじ部25がインサート成形され、ケース12の表面12Aに開口14(図2参照)が形成されている。
雌ねじ部25は、ねじ部材15の軸部16がねじ結合可能に形成されている。
ケース12の開口14に表示パネル27が設けられている。
【0020】
カバー13は、雌ねじ部25に対して同軸上に貫通孔31が形成され、貫通孔31に対して同軸上に凹部32が形成されている。
貫通孔31は、ねじ部材15の軸部16が挿通可能に形成されている。
凹部32は、ねじ部材15の頭部17を収容可能に形成され、底部32Aに頭部17の底面17Aが当接するように形成されている。
【0021】
ねじ部材15は、雄ねじが形成された軸部16と、軸部16の上端16Aに設けられた頭部17とを有する。
頭部17は、一例として、平面視円形に形成されている。
ねじ部材15の軸部16を凹部32および貫通孔31に挿通させて雌ねじ部25にねじ結合することにより、頭部17の底面17Aが凹部32の底部32Aを押圧する。
これにより、ねじ部材15でケース12にカバー13が取り付けられる。
【0022】
また、凹部32は、図4、図5に示すように、ねじキャップ21を収容可能に、平面形状がねじキャップ21の平面形状に相似している。
具体的には、凹部32の周壁は、円弧周壁部32Bと、円弧周壁部32Bに隣り合う一対の角周壁部32Cとを有する。
【0023】
一対の角周壁部32Cは、先端32Dの交差部が90度になるように円弧周壁部32Bから外方に突出されている。
すなわち、凹部32は、円弧周壁部32Bおよび一対の角周壁部32Cで涙滴形状に形成されている。
【0024】
この凹部32にねじ部材15の頭部17が収容され、かつ、ねじキャップ21が収容される。
ねじキャップ21は、凹部32に収容され、例えば頭部17の表面17Bに両面テープで貼り付けられることにより頭部17の表面17Bを覆う部材である。
このねじキャップ21は、凹部32に収納可能に、平面形状が凹部32の平面形状に相似している。
【0025】
すなわち、ねじキャップ21は、平面視で円弧状に形成された円弧部34と、円弧部34に隣り合う角部35とを有する。
角部35は、円弧部34の外周34Aに対して接線接続される一対の直線部35Aが交差する部位(交差部)であり、先端35Bが90度になるように円弧部34から外方に突出されることにより涙滴形状に形成されている。
また、円弧部34の外周34Aは、360度の円弧のうち3/4の部位で形成されている。
【0026】
ここで、図1に示すカバー13は、周縁13Aの近傍部位13Bが凹部32から周縁13Aに向けて比較的大きな湾曲状で下り勾配に形成されている。
このため、ねじキャップ21の角部35を周縁13A側に向けて設けた場合、角部35がカバー13から上方に突出することが考えられる。
そこで、ねじキャップ21の角部35を周縁13A側とは反対側(すなわち、カバー13の内側)に向けることにより、角部35をカバー13から上方に突出しないようにした。
【0027】
このように、ねじキャップ21を涙滴形状とすることによりねじキャップ21に比較的大きな角部35を形成できる。
この角部35を、凹部32の一対の角周壁部32C間に角部35を収容することにより、ねじキャップ21が廻ることを一対の角周壁部32Cで阻止できる。
このように、ねじキャップ21が廻ることを凹部32の角周壁部32Cで阻止することにより、ねじキャップ21と共にねじ部材15が廻って緩むことを防止できる。
【0028】
次に、第2実施形態の携帯端末40を図6〜図8に基づいて説明する。
なお、第2実施形態の携帯端末40において第1実施形態の携帯端末10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
(第2実施形態)
図6、図7に示すように、第2実施形態の携帯端末40は、筐体41にねじ部材15(図8参照)でスライドレール45のレール46が共締めされ、スライドレール45を介して筐体41が他の筐体42に連結されている。
【0030】
筐体41のケース48にカバーがねじ部材15で取り付けられるとともに、スライドレール45のレール46がねじ部材15(図8参照)でケース48に共締めされている。
また、他の筐体42にスライドレール45のスライダが設けられている。
よって、筐体41および他の筐体42が、スライドレール45を介して携帯状態と使用状態との間で矢印方向に伸縮可能に連結されている。
【0031】
このように、ねじ部材15でスライドレール45のレール46を共締めすることにより、スライドレール45のレール46を共締めするねじ部材15の繰り返しの伸縮による緩みをねじキャップ21で防止できる。
これにより、スライドレール45の機能を良好に保つことが可能になり、筐体41および他の筐体42を円滑に繰り返し伸長でき、携帯端末40の使い勝手を高めることができる。
【0032】
ところで、図1に示す第1実施形態の携帯端末10では、カバー13が周縁13Aの近傍部位13Bにおいて凹部32から周縁13Aに向けて比較的大きな湾曲状で下り勾配に形成されている。
このため、ねじキャップ21の角部35を周縁13A側に向けて設けた場合、角部35がカバー13から上方に突出する虞がある。
【0033】
そこで、ねじキャップ21の角部35を周縁13A側とは反対側(すなわち、カバー13の内側)に向けることにより、角部35をカバー13から上方に突出しないようにしている。
しかし、ねじキャップ21の角部35をカバー13の内側に向けた場合、角部35をカバー13の内側に比較的大きく張り出されるためカバー13の内側の空間39を有効に活用し難くなる。
【0034】
これに対して、図6、図8に示す第2実施形態の携帯端末40では、筐体41のケース48の表面48Aは、他の筐体42に重ね合わされる面である。よって、ケース48の表面48Aと他の筐体42との隙間を小さくすることが好ましい。
このため、ケース48の表面48Aは全域が略平坦(すなわち、平面形状)に形成されている。よって、ケース48の周縁(直線部)48Bの近傍部位48Cも平面形状に形成されている。
【0035】
これにより、ねじキャップ21(角部35)の一対の直線部35Aのうち一方をケース48の周縁48Bの近傍において、周縁48Bに対して平行に配置しても、周縁48Bの近傍部位48Cから角部35が上方に突出する虞がない。
従って、ねじキャップ21(角部35)の一方の直線部35Aをケース48の周縁48Bの近傍において、周縁48Bに対して平行に配置できる。
【0036】
すなわち、図1に示す第1実施形態のように、ねじキャップ21の角部35をケース48の内側に向けて突出する必要がない。
これにより、ねじキャップ21の角部35によるケース48の内側への影響を少なくできる。
従って、ケース48の内側の空間49にスライドレール45のレール46を設けることができ、ケース48の内側の空間49を有効に活用できる。
【0037】
なお、本発明に係る携帯端末は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、第2実施形態では、ねじ部材15でスライドレール45のレール46を共締めする例について説明したが、これに限らないで、ねじ部材15でスライドレール45のスライダを共締めすることも可能である。
【0038】
また、第2実施形態では、ねじキャップ21(角部35)の一対の直線部35Aのうち一方をケース48の周縁48Bに対して平行に配置した例について説明したが、これに限定するものではない。
例えば、一対の直線部35Aのうち他方を周縁48Bに対して平行に配置することも可能であり、また、一対の直線部35Aの両方をケース48の周縁48Bに対して平行に配置することも可能である。
【0039】
さらに、第1実施形態および第2実施形態では、ねじ部材15の頭部17を平面視円形に形成した例について説明したが、これに限らないで、ねじ部材15の頭部17を平面視六角形等の他の形状に形成することも可能である。
【0040】
また、第1実施形態および第2実施形態で使用した携帯端末、筐体、ねじ部材、ねじキャップ、角部、他の筐体、スライドレールおよびレール等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、筐体にねじ部材の軸部が挿通可能な凹部を備え、この凹部にねじ部材の頭部が収容され、この頭部の表面がねじキャップで覆われた携帯端末への適用に好適である。
【符号の説明】
【0042】
10,40 携帯端末
11,41 筐体
15 ねじ部材
16 軸部
17 頭部
17B 頭部の表面
21 ねじキャップ
32 凹部
34 円弧部
35 角部
35A 一対の直線部
42 他の筐体
45 スライドレール
46 レール
48B ケースの周縁(筐体の直線部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に軸部が挿通され、かつ、頭部が筐体の凹部に収容されるねじ部材と、
前記頭部の表面を覆うねじキャップと、を備え、
前記ねじキャップは、平面円弧部と、前記円弧部に隣り合う角部とを有し、
前記凹部の平面形状が前記ねじキャップの平面形状に相似している携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載した携帯端末において、
前記角部は、前記円弧部に対して接線接続される一対の直線部の交差部である携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載した携帯端末において、
前記各直線部のうちの少なくとも一方が前記筐体の平面形状の直線部に対して平行である携帯端末。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載した携帯端末において、
前記筐体はスライドレールを介して他の筐体に連結され、
前記ねじ部材は前記スライドレールのレールおよびスライダのうちの一方を共締めする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105782(P2013−105782A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246577(P2011−246577)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】